【介護】男の子の圧迫排尿

寝たきり・半身不随になると自力で排尿が出来なくなります。
そんな時に必要になる「圧迫排尿」。
圧迫排尿とは、”膀胱を圧迫し、排尿を強制的にさせること”を言います。

愛犬Mackも歩行できなくなると自分でおしっこを出すことが出来なくなり、圧迫排尿を必要としました。

 

 

とっても大事な排尿

 

 

それまでは当たり前に自分でしていた排尿も、老いや病で自分でコントロールが出来なくなる場合があります。
おしっこを出さずに体の中に溜めておくと、尿の中に細菌が増え、膀胱炎を引き起こします。
膀胱炎は一度なると何度も繰り返しやすいので、飼い主さんが排尿をコントロールしてあげるのはとっても大切な事なのです。

一日に少なくとも一度は排尿をさせなくてはいけません。

 

 

圧迫排尿の方法

 

あくまで私がやりやすかった方法ですが、まずは横に寝かせてあげてください。
飼い主さんが右利きであれば顔を左側に、左利きであれば顔を右側にしてあげてください。

おちんちんの上あたりのお腹を軽く押してみると、茹でたまごのような感触のものがあるのがわかります。
それが膀胱なのですが、触ってみてわからないようでしたら、おしっこがいっぱい溜まっていそうなときに触ってみてください。

膀胱を見つけたら、少しづつ手のひらを押し付けていきます。
むやみに力を加えると、ワンちゃんは痛がりますし、膀胱が破裂する恐れがあります。

 

初めの頃はうまくいかないことが多いと思いますが、毎日の事なのですぐに上達します。

 

 

回数と注意点

 

 

健康な時の愛犬は、一日に何度排尿をしていましたか?
その回数を参考に、おおよそのタイミングや時間を決めましょう。

Mackの場合の排尿スケジュール
一回目:朝起床後(うまく眠れないこともあり時間はまちまち)
二回目:お昼前後
三回目:夕食後(食べた直後はお腹を押すと痛がることがあるので避けます)
四回目:就寝前(こちらも時間はまちまち)

お水を沢山飲んだ時や、水分の多いものを食べた時はだいたい飲食の1~2時間後におしっこが溜まるようなので、お腹を触ってみて、おしっこが溜まっていそうなら排尿させます。

 

注意!

 

上でも書いたように、力を込めすぎると膀胱が破裂する恐れがあります。
初めて自分で圧迫排尿をさせる場合は膀胱の位置が探りやすく、また少ない力で排尿ができるため、おしっこがたくさん溜まっている時をオススメします。

必ず初めて自分で圧迫排尿をさせてみる前に、かかりつけの獣医さんから圧迫排尿の指導を受けましょう。

 

 

実際に見てみましょう

 

以下は昨年5月にMackの圧迫排尿の様子を撮ったものです。
撮りながら排尿させたので少々見にくいですが、圧迫するとおしっこが勢いよく飛び出る様子がお分かりいただけると思います。

 

 

 

力はほとんど入れていません。
膀胱を的確に捉え、圧を加えることでおしっこがスムーズに出てきます。

愛犬の健康を維持するためにも、「圧迫排尿」頑張ってみましょう。

 

 

ライター:奥村 來未

 

 

愛犬との出会い~私がお姉ちゃんになった日~

 

スタートは”犬嫌い”。

 

 

私は幼児時代、動物に対して好奇心旺盛な子供だったようで、ホームビデオにはモルモットに物怖じせず掴んで自分の所へ何度も引き寄せる様子や、ヨチヨチ歩きながらハトを追いかける様子が残っています。
そのせいでしょうか、三歳頃にお邪魔したお宅で飼われていた大きなラブラドールを触ろうとして指を噛まれてしまい、私はそれから「犬は怖いから嫌い」と思うようになりました。

しかし、母の友人でシーズーを10匹近く飼っているMという人がいたのですが、Mさんの所へ遊びに行くとシーズーが一気に駆け寄ってきて、ソファに座れば膝に上ってくる。
どの子もとても人懐こくいい子達ばかりで、初めの頃は怖かったけど、徐々に犬というものに慣れることができたのです。

でもやはり知らない犬は怖く、自分から近寄ることは絶対にしませんでした。

 

 

転機

 

 

私が小学校5年生の頃、近所のコンビニに家族で立ち寄った時に、今では安全面からほとんど見ることはありませんが、ロングのダックスフンドがガードレールに繋がれお留守番をさせられていました。
今では「飼い主さんに確認せず勝手にダメだよ~」と思うのですが、両親がそのダックスフンドの前にしゃがみ、撫で始めたのです。
私は少し離れて見ていましたが、両親が「噛まないから撫でてごらん」と何度も言ってくるので、Mさんの所の子たちも噛まないしと、その子に近づきしゃがみました。

その子は私が手を出すと、耳が見えなくなるほど倒し、尻尾をお尻ごと振り、そしてお腹まで見せたのです。
私が撫でると、嬉しそうに目を細めながら可愛い声を上げます。
私はその時に初めて心の奥底から犬を可愛いと感じました。

 

コンビニから自宅までの帰り道、両親に「ダックスフンドなら私、好きになれるかもしれない。飼ってみたい。」と話していました。

両親はそれまで私がそんな事を言ったことが無かったのでビックリしたのか、家に着くまでの間はずっと「どんなところが可愛かった?」「触ってみてどうだった?」と色々なことを私に質問してきました。

私はその日の夜、眠りにつくまでコンビニ前にいたダックスのことを考えていました。

 

 

 

気に入った子は「先約有」

 

 

 

小学六年生のある日、私は突然母に「Mさんのご近所にダックスが生まれたから見に行こう」と言われました。
突然のことに驚いたものの、「子犬が抱っこできる!」とウキウキで向かいました。

 

お宅にお邪魔すると、スムース・ブラックタンのお父さんと、ロング・レッドのお母さんが出迎えてくれました。

ーーそれと、レッドの男の子が1匹とブラックタンの女の子が二匹。
ブラックタンの女の子同士は、揉みくちゃになって遊んでいます。
一方、レッドの男の子はずっとお母さんを呼んでいて、お母さんが来るとすぐにくっついて離れずに甘えていました。

母はすぐにレッドの男の子が気になったようで抱っこさせて貰っていましたが、母曰く、その時に上目遣いで母を見上げるその子に一目惚れしてしまったんだそうです。
ところがその子は、他に貰い手が決まっているとのことで、少し話をしてそのお宅を後にしました。

 

ところが……!!!

 

それは今でも忘れない、夏の暑い日でした。
夏休みも終盤に差し掛かり、遊びに行く気も起きず家で冷房を満喫し、私は一人でダラダラしていました。
その時、「ちょっと出かけてくるね」と言って出かけていた両親の車が止まる音がしました。
私は玄関の方を向いて両親が入ってくるのを待っていました。

 

ドアが開き、そこには両親と……犬?……犬だ!!
ーーそれはあの時母が抱いた、レッドの男の子でした。
私はその時両親と、その腕の中に居る小さな子をリビングから見た光景を、今でも鮮明に覚えています。

私はリビングから玄関までの廊下を走って行きました。
口から出る言葉は、「なんで?!」「どうして?!」ばかり。
両親は私の反応が想像通りだったのでしょう、ご満悦の様子でした。

どうやら先約がキャンセルになり、我が家に来ることになったその子は、家族会議の結果、名前を決める時にテーブルにマクドナルドの袋が置いてあったのがキッカケになり、「マック」と名付けられました。

 

 

 

それからの暮らし

 

 

 

Mackが来てから両親は末っ子だった私を「お姉ちゃん」と呼ぶようになりました。
するとなんだか嬉しくて、”弟”であるMackの世話は”お姉ちゃん”である私が率先してやっていました。

夜眠るのも、初めて来た日から私と一緒。ご飯も私、ワクチンが終わってからの初散歩も、私と二人でした。
公園に友達と遊びに行く時も、通っていた塾にも、自転車のカゴにMackを乗せて連れて行ったり、先生や友達に自慢して歩きました。

両親に怒られたとき、学校でいじめられた時、私はMackに当たってしまうこともあったのに、Mackはいつも私のそばに居てくれました。

 

それでも中学・高校になると、一緒に寝るのは毎日していても、部活で夜ご飯をあげられなかったり、隣町まで友達と遊びに行ったりすることが増え、Mackとの時間は減っていきました。
高校を卒業する前に、家庭の事情で私は兄と二人、Mackを両親の元へ残して家を出てしまい、それから両親は離婚……私はMackと約二年間離れて暮らしました。

Mackと離れている間に夫と入籍し、妊娠。出産のために里帰りをした際に、当時父がMackの面倒を見ていたので、父宅へ会いに行くことにしました。
父は不在だったので持っていた合鍵で中に入ると、Mackはネグレクトされ、二年前とは全く違う姿に。

私はそのまま父には何も告げずにMackを連れて帰り、私の名前で登録しなおしてMackと再び暮らし始めました。

 

連れ帰ってから

 

私と暮らし始めてからMackは娘の誕生と成長・東日本大震災・数々の疾病を経験し、18歳と5か月になる前に亡くなりました。
離れていた二年間、人間の都合で振り回してしまい申し訳ない気持ちでいっぱいでしたが、最期は私の腕の中で老衰で亡くなり、私はMackのことを幸せな気持ちで旅立たせることができたと思っています。

 

最近、Mackはもうそろそろ生まれ変わる!そろそろまた帰ってくる!と感じています。
今度はずっと離れません。当時と違い私はもう大人です。全ての責任を自分で負うことができます。

今度は姉ちゃんはMackのママ。そしてMackの次の姉ちゃんは私の娘。
私とMackが歩いたような道を、娘とMackが歩いていくかと思うと、なんだか不思議な気持ちですが、楽しみでなりません。

 

 

ライター:奥村 來未

 

 

【老犬介護】強い味方はベビー用品?!

 

介護用品は少ない上に・・・

 

17歳になってから、本格的に介護が必要になっていた愛犬Mack。
日々お世話に追われつつ感じていたのは「介護用品って少ないし、高いし……ダサい!」でした。
最愛の愛犬だとしても、辛いことも多い老犬介護。
高くてダサい介護用品は、見ているだけで暗い気持ちになってしまうような気になりました。

どうして介護用品じゃなければいろんなものがあるのに、こんなに種類が無いの?!
いつも、そう感じていました。

 

キッカケは大好きなフリーマーケット

 

私はフリーマーケットが大好きで、暖かい時期は毎週のように開催されるフリーマーケットに、Mackとの散歩もかねてよく連れて行っていました。
フリーマーケットの中で一番私が大好きなのが、「つめ放題」(笑)
出店者が決めた大きさの袋を100円~500円で買い、好きなだけ服や小物をつめ込むというものなのですが、その時は新生児~140cmサイズまでの子供服のつめ放題をやっていて、娘の学校用に汚されてもいい服をつめようと、興奮気味に参加することにしたのです。

ある程度娘のものを詰めおわると、少しまだスペースがある様子だったのですが、もう娘のものでほしいものが無かったので、なんとなく他のサイズも見ていました。

そこで、ふと見つけたのが赤ちゃん用のロンパース。
「娘もこんなに小さかったんだな。今のMackくらいの大きさかな?」と私の後ろのバギーの中でウトウトしていたMackに合せてみたのです。

 

閃いちゃった!

 

「これ、Mack着れるんじゃない?!」
そう思った瞬間、色々な種類のロンパースをつめ込んでいました。
小さなロンパースは、その時10枚ほどつめ込んで帰ってくることが出来ました。

家に帰ってすぐに洗濯。薄い素材の上に初夏だったのですぐに乾き、着せてみると少し横幅が大きいようなのでミシンを引っ張り出して横を少し縫って横幅を狭めてみました。

すると、何と思った以上にピッタリだったのです。

 

 

 

どんなロンパースがいいの?

 

 

一口にロンパースと言っても、実はロンパースには色々な種類があるのです。
画像のものは購入当時の夏のものです。冬のロンパースだと、長袖長裾だったり、長袖半裾だったりします。

私が色々な種類のロンパースをMackに着せてお世話してみた結果、使いやすかったロンパースの種類は画像の一番左にある”前開きのロンパース”でした。

 

 

寝たきりのMackでしたので、寝ながら着せる必要があるのですが、広げたロンパースの上に寝かせて、手を通して背中を閉じるだけのこのタイプのロンパースは非常に使い勝手がよかったです。
食事や排泄で汚れてしまいやすい老犬介護ですが、ロンパースは新品で買ってもとても安く種類も豊富で、オムツ交換の時には下半身だけを開きやすく、おまけに抱っこしていてもオムツがズレにくいなど、いいことばかりだったのです。

それに、画像をみてお気づきかもしれませんが、尻尾もちゃんと出ます!

 

どうやって着せるの?

 

基本的に、子供服等の人間の服をリメイクして犬に着せる場合、前後逆にして着せることが多いのですが、ロンパースも前後逆に着せます。
股の部分のスナップボタンの数は2~4個のことが多いのですが、尻尾の太さに合わせてボタンの数を選んだり、留める数を変えたりしてください。

 

 

もしも買ってきて大きかった場合、縦に大きかったときは肩の部分を。横に大きかったときは横幅を縫って詰めるといいですよ。

子供服のサイズは、女児50cm→男児50cm→女児60cm→男児60cmという感じで大きくなっていきます。
直すときに何度か失敗したりすることもありますし、私のようにフリーマーケットで合うサイズや直し方がわかってからお店で可愛いロンパースを探すのもアリですよ!

 

 

他にも使える赤ちゃん用品

 

 

ここまでさんざんロンパースについて書いてきましたが、お尻ふきは勿論、他にも使える赤ちゃん用品は沢山あります。

・スタイ
→目ヤニやよだれ、食べこぼしをふく

・服
→ロンパース同様直して着せる(私は甚平や、上の画像のように腹巻付きの寝間着の下を直してかぼちゃパンツにしたりしました)

・おねしょシーツ・カバー
→嘔吐や下痢があっても周りが汚れません。

・ガーゼハンカチ
→赤ちゃん同様、色々なシーンで使います!

・ベビーバス
→老犬に限らず、入浴であるといいとおもいます。

・腹巻
→老犬はお腹が冷えやすいので必要。

横抱き紐
→小型犬しかできませんが、長い時間抱っこしてあげられます。

バウンサー
→窓際、ベランダなどでの日光浴などに。

 

楽しかった、お買い物

Mackが元気だった間、赤ちゃん用品店や赤ちゃんコーナーを見るのが日課になっていて、Mackを思いながら色々な商品を見ているのは本当に楽しかったです。
Mackが亡くなった日も、私は赤ちゃん用品店に寄り、購入していました。

ロンパースは赤ちゃん用なので、小型犬にしか使えないですが、赤ちゃん用品店には沢山使える可能性のあるものが並んでいます。
一度、近所の赤ちゃん用品店をチラッと覗いてみてくださいね!

 

 

ライター:奥村 來未

 

 

楽しく老犬介護。寝相アートの中は自由な世界。

愛犬の介護……それは綺麗事だけでは出来ない、大変なことです。
小型犬か大型犬かで、肉体的な負担の違いはあると思いますが、夜鳴きや愛犬の体調不良が続き飼い主が眠れなくなることや、介護をしながら生まれる不安や困惑はどの飼い主さんも同じだと思います。

私も約1年間愛犬の介護をしていました。
沢山の不安・困惑・悩みに泣きながらお世話をしたこともありました。

 

 

誰でも介護の始まりはマイナスから

 

パピーの頃から過ごした愛犬が成長していく様子は微笑ましく嬉しいものですが、成犬から老いていく様子は切ないものです。
私自身も、愛犬Mackが家族になった時に小学六年生だったので、共に「子供」から「大人」へ”成長”した弟のようなMackが、あっという間に私を追い越して老いていき、できなくなることが増えていく様子を見るのはとても切なく胸が苦しくなりました。

 

2016年9月頃から、Mackは前庭疾患という脳の疾患により、歩行に異常が出始めました。
症状が酷くなってきた頃の同年11月、急性膵炎による約二週間の入院の末、完全寝たきりになりました。
私はそれからMackが2017年10月20日に亡くなるまでの約一年間介護をしていましたが、介護が始まったばかりの頃は精神的に辛い日が続きました。

 

 

キッカケは年賀状

 

Mackの介護が始まった2017年の12月、それまでの年賀状は娘とMackに干支の被り物をさせて、並ばせて撮った写真を印刷していたのですが、Mackは寝たきりになってしまったので、「並んで撮るのは難しいな……どうしようかな?今年は娘だけにするかな?」と考えていました。

娘だけの写真にするならどんなものかと考えていた時に、「娘が赤ちゃんなら寝相アートができたな。娘が赤ちゃんの時は、まだ寝相アートなんて聞いたことが無かったから撮ったことがなかったな。」と思った瞬間に”今のMackで寝相アートを撮ったらどうだろう!”と閃き、思い立ったら吉日!とすぐに材料を探しに車を走らせていました。

そして気づいた時にはカゴのなかにカラフルなバスタオルや画用紙、テーマに沿った使えそうな雑貨をつめ込み、ワクワクしながらレジに並んでいました。

 

 

悩みやイライラを忘れられる

 

 

Mackを寝相アートで可愛く撮ろう!と思い立ってから、小道具を作っている間も、セッティングしている間も、撮影・編集している間も、それまでの介護でのイライラや悩みはすっかり忘れ、頭の中は「あ~Mack可愛い!」ばかり。ーーそれはとっても嬉しい誤算でした。

そして、一つのテーマで撮影が終わっても、次は何のテーマで撮ろうか?どんなものを用意するかな?と寝相アートのことを考えるのが優先になり、介護での悩みやイライラしてしまう時間は大幅に減りました。

 

 

明るく前向きに

 

それからの私は、「決して永遠ではない限られた時間の介護生活なんだから、楽しくやってかなきゃ!」と考えるようになりました。
介護生活は大変だけど、こんなにも愛おしいMackと過ごす時間は、なにものにも変えられない、物凄く貴重なものなんだな。」と思えるようにもなりました。

これはMackを亡くした今だからこそ強く思うことですが、前向きに明るく考えて介護できたことによって、私もMackも今までより遥かに幸せで濃厚な時間が過ごせたと思います。

私が前向きに考えるようになってから、私の気持ちの落ち着きがMackにも伝わったのか、若い頃では考えられませんが、お腹の上で大人しくしていたり、そのままぐっすり眠ってしまったり。
日中も機嫌のいい時間が増えたりと、Mackにもいい影響があるようでした。

 

 

寝相アートへの「こだわり」

 

 

私には寝相アートを撮るうえで、絶対に譲れないこだわりがありました。

ーーそれは、「完璧に撮ろうとしないこと」。
Mackの寝相アートはどれも、影になってしまっているものや、ズレてしまった小道具、そして敷いているタオルにシワがあったりと、完璧に撮れたものは一つもありません。

勿論、セッティングの段階では綺麗にセッティングされています。
しかしMackを寝かせる際、Mackが唯一動く首を動かしたりすることで、どうしてもズレたり、シワが寄ったりしてしまいます。
ですが、Mackに協力してもらって完成させるこの寝相アートは、完璧に撮りたくて撮っているわけではありません。
純粋に、Mackとのこの時間を楽しみながら、Mackの負担にならないように、ズレようがシワが寄ろうが、光がうまく差さなくても、とにかく一番大事なのは”手早く終わらせる事”なのです。

 

いつもテーマを決めてから小道具の調達や作成に一か月近くかかりますが、撮影にかける時間はわずか1分。
そんな風に作り上げた完璧ではない作品たち。ブログで公開する度に「可愛い!」と褒めてもらえるのが、とっても嬉しかったです。

 

 

寝相アートの世界では、自由だった

 

寝たきりだったMack。
動くのは首だけで、起きることも立つこともできなかった。

だけど、寝相アートの世界では、Mackは立つこともできるし、走ることもできます。
花見でお酒を飲んだって、空を飛んだって、何をしたって自由です。
そんな姿を寝相アートで表現する度、私はその画の中のストーリーを想像し、笑みがこぼれました。

 

Mackは今は居ないけど、残ったこの寝相アートたちは楽しかった老犬介護の思い出がたくさん詰まった宝物です。
画の中のMackは今でも自由に動き回っています。

 

 

ライター:奥村來未

 

 

【避妊・去勢】どちらが正解?

 

私の愛犬は未去勢でした

 

愛犬の避妊・去勢について、悩んだことは無いですか?
私は愛犬Mackと暮らし始めた頃、まだ小学六年生だったので全く考えたことが無いのですが、大人になるにつれて何度も去勢について悩んでいました。

入籍してから、私がMackの保護者になったのですが、その時Mackは10歳。
Mackと暮らし始めたとき「6歳から老犬」と飼育本に記載してあり、平均寿命も12~14歳ほどと記載してあった記憶が強く、10歳での全身麻酔は恐ろしくて、知識が増えた頃には正真正銘立派な老犬。

結局亡くなるまで去勢させることはありませんでした。

 

今思えば10歳の頃のMackなら全然去勢可能であったと思うし、その後に何度も前立腺肥大になり血尿が出たりしたので、Mackが15,6歳になる頃には「やればよかった」と思っていました。

 

 

何故決断できなかったのか

 

先に少し触れたように、10歳はかなりの高齢であると思っていたことと、Mackは15歳くらいまで特別大きな病気をしたことが無かったので手術の経験もなく、私の祖父が全身麻酔での手術ののち、完全覚醒できずボケていってしまったのを幼い頃に見ていたのもあり、全身麻酔に大きな恐怖感を持っていたのでした。
勿論獣医にも何度か相談したことはありますが、Mackは停留睾丸であったこともあり「リスクが全くないというわけではない」という言葉に、踏ん切りがつかなかったのです。

 

停留睾丸

 

 

停留睾丸(潜在精巣とも言う)とは、子犬の頃お腹の辺りにある睾丸が成長と共に股の間に降りてくるはずが、両方・または片方しか降りきていない状態の事。生後六か月ごろに気づくことが多い。
(Mackは片方しか降りてきていなかった。)

 

 

メリット・デメリットを考察してみる

 

避妊・去勢をした場合の一番わかりやすいメリットはやはり病気のリスクが減るという事でしょう。
女の子の場合は子宮の病気が。男の子の場合は前立腺や睾丸の病気を予防することが出来ます。

そして、やはり女の子の場合はヒートが無くなります。望まない妊娠を防ぐこともできます。
ヒート中はお店やドッグランに連れていけない、病院の待合室で待つのは好ましくないなどの不便があります。
男の子がヒートの臭いを嗅ぎつけて興奮してしまうからです。
未去勢のMackも、目が見えなくなってからもヒートの臭いを見つけるとグングン進み、ヒート中の子の家の前まで行ってしまうこともありました。

男の子は去勢をしたらヒートの子に過激に反応することもなくなり、その子によりますがマーキングも減るでしょう。

メリットを考察してみると、男の子よりも女の子のほうが多いように感じますね。

 

ではデメリットは?
繁殖が不可能になり、太りやすくなる。
手術自体に耐えられない・手術に伴う不調を起こす場合がある。
性格が大きく変わることがある。

こんなところでしょうか。
メリット・デメリットを考えると、メリットの方が多いようですね。

 

 

「どちらが正しい」は無い

 

 

結局、どちらが正しいかというのは決まっているわけではありません。
愛犬のことを決めるのは飼い主さんですから、他の方が自分の意見を押し付けるのも私は違うと思います。

ただ、避妊去勢をすると特定の病気のリスクが無くなるのは事実。
子宮の病気といって一番浮かびやすい子宮蓄膿症は死亡することもある病で、それは避妊することで避けることが出来ます。

本には「避妊・去勢をした犬は寿命が一年伸びる」と書いてあることもありますが、Mackは18歳まで頑張ってくれました。
去勢していたら19歳まで生きることができたかもしれないけど、同じ結果かもしれません。

 

ただ、「したほうが良かった」と後で少しでも思う可能性があるのなら、したほうがいいと思います。
私はこれから犬を迎える時は避妊・去勢は受けさせるつもりでいます。
なぜかというと、高齢になって前立腺肥大を何度も繰り返した結果、去勢が二度できるほどの費用がかかったことと、去勢しておけば前立腺肥大で何度も嫌な思いをさせる必要が無かったと思うからです。

2,3万ほどで愛犬の老後の安心を買えるのなら、個人的には安いのかなと感じます。
ですが、先程も言ったように正解はないし、飼い主さんが決めることで、他人が口を出すことでは無いです。

愛犬の性格や様子を加味しながら、その子にとって一番の答えを出してあげられたらそれでいいのかなと感じます。

 

 

ライター:奥村 來未

 

 

クローン人形~私のペットロスとの付き合い方~

波のあるペットロスに不安定に

 

 

去年10月に18歳で愛犬Mackを亡くし、亡くした当日から眠れない・食べられなくなり、火葬した日から皆が寝静まった後に何もない空間に向かって名前を呼んだり、寒いからコタツの中に居るかもしれない!と布団をめくって探したり、無駄だとわかっていながらお化けでもいいから見たい!と探し続けました。

ですがそれも2週間ほど。
しっかり最後も看取れたし、老衰だったし、寂しいけど悲しむ別れじゃないんだと、なるべく笑顔で過ごすようにしました。

亡くして1か月~49日までは、いつもそばにMackが居ると思い、足元にMackが居る様子を想像しては、話しかけたり微笑んだりしていました。

しかしーー
49日の夜、夫と空に向かって「バイバイ」と手を振った瞬間から、また少しづつペットロスが戻ってきました。
悲しくなくても寂しいものは寂しいのです。
一人になった時、皆が寝た後、一人でコッソリ泣きました。
遺骨を抱え、蓋をあけ、頭蓋骨を撫でながら話しかけたり、足音が聞こえないかなと耳を澄ましてみたり……

そんな時、ふと見つけたサイトの記事に目が釘付けになりました。

 

知ってはいたけど、興味がなかったクローン人形

 

 

愛犬そっくりの人形を作ることが出来るということは数年前から知ってはいたものの、高額なことや、「似てなかったら嫌だな」という気持ちから”作ってみたい”と思うまでに至ったことはありませんでした。

しかし、日々Mackの姿をふと探してしまったり、いつもいる場所に姿が無いこと。
そして、Mackといつも一緒に寝ていたので、一人で眠ることが出来なくなってきてしまったこともあり、「クローン人形って実際どれぐらいの再現度なんだろう」と思いインターネットで検索してみることにしたのです。

そこで引っかかったのはとある個人のブログ記事。
cuddle clones(カドルクローン)という海外のサイトに愛犬そっくりの人形を注文してみた。という記事に辿り着きました。
そのブログには、細かい注文の仕方や届いたクローン人形の写真が載っていたのですが、その再現度を見てビックリ!
その記事を読み終わった後は気が付くと写真フォルダを開き、注文に必要なMackの写真を選んでいました。

私が選んだ写真の年代は12歳~13歳頃の写真。
若い頃の愛犬の写真なのか、初老期か、晩年期かを考えた結果、”老犬としての愛らしさを持ちつつ、元気”である、初老期の写真を送ることにしたのです。

 

 

 

届いた時は「微妙」 ところが日に日に……

 

 

 

注文するキッカケになった個人ブログを見ながら翻訳サイトを使い、丸一日かけて注文。
サイトでは平均で5ヶ月ほど届くまでに必要とありましたが12月4日に注文し、1月23日に家に届きました。

家には私一人でしたが、待ち切れず開封。
ドキドキしながら箱から取り出しましたが、正直言って最初の印象としては「こんなものか」というものでした。
「世界中のダックスフンドの人形で一番似ている人形」……私は翌日、自身のブログでそう表現し紹介しました。

カドルクローンはおおよその体重から人形の大きさが決まるので、身体の大きさや顔の大きさ、また耳の大きさなど、毎日側で見ていた私にとっては「違う」という感情が大きかったのです。
それでも耳や背中の複雑な配色など、送った写真のみの情報からの再現度としてはかなり高度で感動しました。

娘も夫も、帰宅してMackのクローン人形を見たとき、目をまん丸くしてウルウルさせながらアチコチ観察していました。

 

 

君の名は?

 

 

このクローン人形は、「Mack」+「クローン人形」で、”マックローン”と呼ぶことにしました。
初日からマックローンと一緒に眠ったり、毎週金曜日にある娘のスイミングスクールの送り迎えにも、かつて晩年のMackとそうしていたように車で一緒に出掛けました。

こうして記事を書いている今も、私の傍らにはマックローン。
ふと手を休める度に、ふとマックローンの頭を撫でる私。
何をしている時も私の傍らに……。

ーーそれは、かつての私たちの姿そのものです。

 

 

 

旅行も同行?!

 

不思議なもので、日々そばに置き、かつてMackにしていたようにマックローンに振る舞っていると、中身のない無機質なはずだった人形の表情が次第にMackに近づいていく、似ていくような感覚に囚われたのです。
その変化の様子は、他人に写真を見せても感じるようでした。

そうなると、人形と解っていても更に愛情が増してしまい、もっと話し掛けたり、撫でるようになりました。

挙句の果てにはなんと家族旅行にまで連れて行ったのです。

 

 

これがその時の写真なのですが、心なしかMackは雪が大嫌いだったので、マックローンも表情が硬いように感じます。
ホテルの部屋にも連れていきましたが、まるで本当にMackと旅行に来ているようで、家族全員が初めから終わりまで楽しく旅行することができました。

 

 

興味が湧きましたか?

 

さて、もしかしたらクローン人形に興味を持ってくれた方もいるかもしれません。
検索するとかなり詳しく説明してくれているブログ記事もありますが、こちらでも軽く方法を説明させてください。

まずはこちらが私が利用したcuddleclones(カドルクローン社)のサイトです。

こちらを日本語翻訳表示し閲覧すると、「はじめよう」という所があるのでクリック。
すると正面・背中・尻尾など様々な写真を要求されるのでページ上にアップロードしていきます。
同時に写真に説明をそえることが出来るので、翻訳ソフトを使いながら情報を補足していきます。

ちなみに私は住所を入力するにあたってこちらのサイトを利用しました。

 

費用

私は人形だけの注文でしたので、制作料と送料を合わせて$303(当時)でした。
ところが注文する前にメールアドレスなどを登録する必要があるのですが、登録した時に10%OFFクーポンが届いていたようで、私がそれに気づいたのは注文した後だったので、これから注文される方は情報入力前にメールボックスを確認することを忘れないようにしてくださいね。

私、かなりガッカリしました(笑)

郵便屋さんがクローン人形を届けてくれますが、受け取るときに税関料がかかりますので(私が注文した当時は2000円程でした)千円札を数枚用意してお待ちくださいね。

 

私の今の気持ちは

 

波のあるペットロスに振り回され不安定になっていた私の気持ちですが、今現在も勿論寂しい気持ちはあるものの、マックローンが来てからはペットロスはかなり改善されたと感じます。
ペットロスの大きな波に包まれてしまった時、マックローンを抱きしめながら話しかけたり泣いたりすることで、毎回深い所に落ちる前に気持ちが元に戻るようになりました。

また、抱いて寝ていると、夜中にふと目が覚めたとき視界にマックローンがいると、まるでMackが私の腕の中にいるようで、それまでは目が覚めてしまうともう一度眠ることが出来ないことが多かったのですが、またそのまま安心して再び眠りにつくことが出来るようになりました。

値段は少ししますが、数あるクローン人形制作業者の中でもカドルクローン社は比較的安く制作することが出来るのでお勧めです。

 

私と同じように、最愛の家族を失い深いペットロスの海に沈んでしまっている方がいらっしゃったら、クローン人形を作ってもらうことも候補に入れてみてくださいね。

愛犬の姿が、たとえ人形であっても視界にあるという状況は、大きな安心感を生んでくれますよ。

 

 

ライター:奥村 來未

 

 

【椎間板ヘルニア】ミニチュアダックスに多い、「椎間板ヘルニア」

愛犬情報

犬種:ミニチュアダックス

病名・症状:椎間板ヘルニア

発症年齢:7、8歳

発症の経緯:散歩中突然鳴いて立てなくなった

治療法:痛み止め注射、レーザー

 

 

前兆がなく、突然の発症

 

我が家には私達姉妹が子供の頃から共に暮らし、弟として可愛がっていた愛犬ダックがいました。
ダックが7歳か8歳の頃でしょうか、父がいつものようにダックと散歩をしていたら、ダックが突然「ギャンッ」と大きな声で鳴き、そのままその場にへたり込み立つことが出来なくなりました。
ダックは小刻みにプルプルと震え、大きな瞳をウルウルとさせて父を見上げていたそうです。

父は驚き、すぐに帰宅し動物病院に駆け込みました。

結果は椎間板ヘルニア。
それは、今まで私たちが考えたこともない病だったのです。

 

 

 

内科的治療を受け、回復

 

 

それからは通院での治療をすることになりました。
当時私達は今ほど多くの知識を持っていなかったし、インターネットにも疎かったために情報収集する術がなく、かかりつけの先生の言うことに、何の疑問を持つこともなく言われるがままの治療を受けました。

ただ、手術だけは避けたいという気持ちは家族全員が一致で感じていました。
私達姉妹は当時東京に暮らしており、広島の両親とは離れて暮らしていたので、ただただ祈るばかりでした。

 

病院では痛み止めの注射と、レーザーのようなものを数回受け、歩けるまでに回復しました。

治ってからだいぶ経ってインターネットで調べると、五段階あるステージのうち三段階目のステージだったことを知り、当時あれ以上悪くなることが無かったことを感謝しました。

 

 

椎間板ヘルニアのステージ

LV1:神経に異常はないが、背骨に痛みがあり、触られるのを嫌がる。

Lv2:後脚の麻痺があるが、よろけながらも歩行はできる。

LV3:後脚の麻痺があり、後足を動かすことが出来ても脱力があり歩行できない。

LV4:後脚が完全に麻痺し、皮膚を強めにつねっても反応が無い。自力で排泄できず失禁する。

LV5:後脚が完全に麻痺し、皮膚をつねっても、骨に刺激を与えても反応が無い。痛みを全く感じなくなる。

 

 

予防でやっていたこと

 

ヘルニアは治りましたが、先生には散歩はしばらく最低限にしてほしいと言われたので、ダックは散歩が大好きだったのですが、排泄を外でしかできなかったため朝と夕方に排泄をかねて10分ほど散歩をするだけになりました。
階段や坂道は極力抱っこしていましたが、歩きたがるので行きは歩かせて帰りは抱っこして帰ってくるようにしていました。

ダックは当時8.6kgと、肥満ではないもののガタイが良かったので重くてすぐに腕が痺れたものでした。

歩くのはダメでも、自然のサラダバー(雑草食べ)を楽しんで貰ったりとなるべく外に居させてあげようとしていたのを覚えています。

 

そのほか、夜は一緒に寝ていたのですが、それまではベッドで一緒に寝ていたのを、段差のない敷布団に変更したりしました。

 

 

飼い主さんに伝えたい事

 

ダックは、私たちにとって初めてのワンコで、私も家族もとても無知でした。
階段や坂道も普通に歩かせていたし、家では高さのあるベッドで一緒に寝ていたために、ダックは夜中に目が覚めた時に一人でジャンプして乗り降りしていました。
抱っこも、お尻は支えていたものの縦に抱いていました。

そのすべてを今は後悔しています。

もっと犬のことについて、ミニチュアダックスのことについて勉強をしていたら、日常的に予防してあげることが出来ていれば、ダックはヘルニアの辛さを知らずに済んだかもしれません。

先天的なこともあるし、気を付けていてもなることもあるかもしれません。
……だけど、可能な限り原因となりうる事を予防してあげられたらよかったなと思います。

 

今はダックは亡くなり、新しく弟犬として、同じミニチュアダックスの「そら」を迎えましたが、ダックとのことを教訓にして、横抱き抱っこ・階段や坂道を登らせない・後脚を鍛えるためのバランスボールレッスン・滑りにくいマットを敷くなど、沢山の予防をしています。

 

皆さんの愛犬がなるべく長く最後まで自分の足で歩けますように、少しでも参考になればうれしいです。

 

 

 

ライター:加藤姉妹

 

 

膿皮症~長く根気のいる戦い~

愛犬情報

犬種:ミニチュアダックス

病名・症状:膿皮症

発症年齢:16歳

治療法:塗り薬

 

 

実は怖い?!皮膚疾患、膿皮症。

 

 

犬を飼っていて、「いつか病気を経験するかもしれない」とは思っていても、いつなるのか・どんなものなのかなんて想像するのは難しいもので、いざその時が来ると名前も聞いたことのないようなものであったり、全く想像のしていなかったものだったりしますよね。

愛犬Mackも、今回お話する病である膿皮症を経験するまで、椎間板ヘルニアは二度経験したものの、ほとんど病院にお世話になることはない、病気知らずなワンちゃんだったので、今のように「調子が良ければ通院は月一」なんて状況になるなんて、想像もしていなかったのです。

膿皮症は皮膚の病気ですが実はとっても怖い病気なので、今回Mackの当時の写真とともにお話していきたいと思います。

 

ちょっと辛いお写真もありますが、参考までにお付き合いいただけると嬉しいです。

 

 

気付いた時にはもう遅い

 

病気の発覚前日、寝る前におしっこをさせている時に「あれ?すこし背中の毛がバサバサしてる?」と思ったのがはじめの違和感でした。

寝癖のような感じで、首の付け根の少し下のあたりだけ毛が逆立っています。
その時は皮膚の疾患だとは思わなかったので、上から撫でるだけで、毛をかき分けて確認することはしなかったのです。

翌朝に昨日のバサバサしていたところを見ると、ヒトコブラクダのように盛り上がっていました。
つまんでみると、ブヨブヨしています。
なんだ?おかしいな?なんてつまんでいると、ピュッっと膿が飛び出してきたのです。

上の画像がその時の物です。
画像の真中付近とその少し向こうに二か所、膿が染み出ているのがわかって頂けますでしょうか?

まさか膿が出てくるとは思っても居なかったので、すぐに病院へ行くことにしました。
しかしその日はかかりつけの定休日。

やむなく近くの動物病院へ駆け込みました。

これはその病院で処置を受けた後の様子です。
(赤く見えるのが患部で、白く見えるのは膿皮症の白い粉の塗り薬です。)
毛に覆われているとわからなかったけど、患部はこんなにも大きかったのです。

診断結果は膿皮症。
膿皮症とは、皮膚上で菌が異常繁殖し、化膿して膿を排出してしまった状態なのだそうです。

 

 

 

膿皮症(のうひしょう)のステージと予兆

 

膿皮症にはステージが3段階あります。

1.表面性膿皮症(表皮の最上部にある角質層に発生した膿皮症)

2.表在性膿皮症(毛包とそれに連なる表皮に発生した膿皮症)

3.深在性膿皮症(毛包全体、真皮、皮下組織に発生した膿皮症)

 

Mackの膿皮症は、初診では二番目に重い表在性と診察されましたが、翌日あらためて行ったかかりつけでは、最も重いステージ3:深在性であると診断されました。

この写真は翌日、かかりつけでの処置を受けた後の様子です。
患部がさらに広がっています。

悲しいことに、ここから暫くトビヒのようにして、頬、肘、顎と、あちこちに発症していきます。

 

膿皮症になると上の写真のように、まるで筆のようにして毛が抜けるようになります。
皮膚に毛がくっついたまま剥落してしまうので、このような抜け方をするようなのです。

こんな毛がもしもお部屋で見つかったら、赤信号。
愛犬の毛をあちこちくまなくかき分けて、見てあげる必要があります。

Mackの場合特に気にする様子がなかったのですが、膿皮症は発症するまでは激しいかゆみが伴う事があるようなので、しきりにどこかを痒がる時もくまなく見てあげるといいとおもいます。

 

中期~快方に向かうまでと、予防法

 

これは膿皮症中期の頃の写真です。

瘡蓋(かさぶた)を剥がし、サランラップを巻いて皮膚の再生を促します。
清潔を保つために膿がたまればふき取り、一日に二度アルコール消毒をして、その都度サランラップを新しくする生活がしばらく続きました。

状態が改善をし始めると、徐々に皮膚が黒くなってきます。
でも、まだグジュグジュしていたり、血が止まらないような患部もあります。

この写真は快方に向かってサランラップが取れた頃の様子です。
それでもまだまだ、完治の時期は見えてきません。

まだあちこちに小さな新しい患部ができるので、見つける度にクリーム状の薬を塗っていました。

 

その後Mackの膿皮症が治るまでには、なんと6月の発症から5か月ほどかかりました。

Mackが当時16歳と高齢だったこともあるとは思いますが、梅雨から夏のジメジメで、どんどん患部が広がってしまい、なかなか収まってくれなかったのです。

これは18歳になってからの写真です。
完治と先生に言われてから、いつまでたっても膿皮症だった場所に完全に毛が生え戻ることはありませんでした。

膿皮症は6月から10月くらいの今の時期が発症しやすい時期です。
Mackの発症も、2015年6月18日でした。

膿皮症になる原因としては、抵抗力の衰えや皮膚と毛の間に湿気がたまることで菌が繁殖してしまうことなどがあります。
梅雨の時期、雨の中から散歩に帰って来た時・お風呂に入った時など、しっかりと毛の中まで乾かしてあげることで予防することができます。

また、ヒバ水を使う事でも予防することが出来ます。
ヒバの木から抽出された”ひば油”を水4:エタノール1で割った液体にお好みの量入れることで完成します。
私は3,4滴入れて使用していましたが、ヒノキのような香りで殺菌・防虫の効果があり、Mackだけではなく娘や自分自身も愛用していました。

他にも、薬用シャンプーで洗い、薬浴をするなどの予防方法があります。

膿皮症は一度なると何度も繰り返しやすい上に、完治までに時間と根気を要する皮膚疾患です。
Mackも小さな疾患を、完治と言われてからもあちこち作っていましたが、ひば油とアイプクリーム(通販で購入可能)で対応し、大きくなる前に治していました。

それは、Mackが2017年10月に亡くなるまで続いていました。

愛犬も飼い主も長く苦しい戦いを始めないためにも、日頃から毛をかき分けて赤みがないか?ブツブツしてないか?よく見てあげると、スキンシップも出来て一石二鳥ですね。

 

 

ライター:奥村 來未

 

 

老犬のオムツ事情~デビューはいつがいいの?~

 

愛犬情報

犬種:ミニチュアダックス

オムツデビュー:17歳4か月

デビューの理由:失禁回数が増えたため

 

 

そろそろ?まだ?オムツデビューの時期

 

 

老犬と暮らしている飼い主さんが、きっと一度は考えた事のあるオムツ事情。
足腰が弱りうまくできなくなったり、寝ている時に気づかず失禁してしまったり、様々な理由で頭をよぎるオムツ。
もう着けたほうがいいのか?まだなのか?愛犬に「そろそろどうですか?」と聞いたら「うーん、そうですねぇ」なんて答えてくれるのならいいのだけど、そういうわけにもいかないので、飼い主が決めるしかありません。

足腰が弱り、オシッコが出るまで時間がかかることに、失禁の度に洗濯をしなくてはいけないことに、気長に付き合えるか。というのも判断材料になるでしょう。
老犬との暮らしが「大変」と思えるようなものになるのは、精神衛生上とても良くないことだからです。

 

 

私がオムツデビューさせた理由

 

我が家の今は亡き愛犬Mackがオムツデビューをしたのは17歳4か月になって間もない10月初めの事でした。失禁の頻度が急激に増えたのです。
本犬が「あ、オシッコしたい」と思った瞬間出てしまうようで、我が家では人間の布団で一緒に寝ていたので、毎晩布団を濡らされるようになってしまいました。

このころはそもそも唯一排尿時だけだった歩行も、足腰が立たなくなりうまくできなくなり、時間も、オシッコが出るまで体を支えつづけるこちらの体力も沢山かかるようになってしまったこと。
そして、失禁するたびに元気がなくなることを考慮し、オムツデビューさせることにしました。

犬はプライドが高い生き物ですので、失禁での自信喪失は大きいものだったのかもしれません。
幸い、若いときにマナーベルトを付けたときとは大違いで、すんなり受け入れてくれ、オムツにオシッコをすると褒められると理解したMackはオムツがすっかり定着したようでした。

 

 

 

メリットとデメリット

 

オムツを装着することで勿論メリット・デメリットがあります。
以下のメリット・デメリットを読み、愛犬の体質や性格を考慮し、まだなのか、そろそろなのかの判断材料にしてみてください。

●メリット
①オシッコの失敗が無くなる
②失敗しないので愛犬が自信喪失しない
③洗濯物やオシッコ介助等の手間が減る

●デメリット
①皮膚が荒れることがある
②買ってみないとピッタリなサイズがわからない(人間用の場合)
③愛犬によっては嫌がることもある

以上ですが、女の子で人間用のオムツを使用する場合は尻尾の穴をあける手間などがデメリットに追加されます。

 

 

オムツの工夫(男の子の場合)

 

Mackは男の子なのですが、私がやっていたオムツのちょっとした工夫があります。
男の子は腰にオムツを巻くだけなので、手間は少ないのですが、抱いた時やモゾモゾと動いた時に外れてしまうこともあるので、他の飼い主さんはマスキングテープやガムテープで止めることもあるのでしょうが、私の場合はいくつかの使用済みオムツからテープの部分を外し(下左の絵のAのような物が取れます)、針と糸でひと手間加えていました。

使用していると、粘着部に毛玉やごみが付いてくるので、だいたい三か月ほどで新しく作る必要がありますが、簡単にオムツを開き、オシッコや肌の状態の確認をできるのでお勧めです。

ちなみに、Mackの場合のオムツサイズはMでしたが、夜間は万が一私が起きなかった時のためにLサイズを着用することもありました。
おそらく、3kgまで痩せてしまったMackの身体でもMサイズがちょうどよかったので、Sサイズを使う子は超小型犬のみだと思います。(あくまで個人の意見です)

愛犬のオムツ姿、初めは何だか笑えるけど、慣れてくると赤ちゃんのようでとっても愛おしく見えます。
だんだんと老いていく愛犬の姿に加え、オムツデビューとなると、悲しく思うこともあるかもしれませんが、私は寝たきりで、オムツ姿のMackを毎日お世話していると、まるで私が産んだ新生児のように思えてきて、とっても可愛らしく愛おしく感じていました。

オムツであなたとあなたの愛犬の毎日がゆとりのあるものになりますように。

 

 

 

ライター:奥村 來未

 

 

急性膵炎 ~発症後の食事~

突然襲う、急性膵炎。
そんな急性膵炎は、飼い主・愛犬双方で大変な思いをし、やっと完治しても、慢性化し再発しやすい病です。
特に老犬に発症しやすく、発症してしまうと絶食しながら膵臓を休ませ、抗生剤・鎮痛剤で炎症を抑えてあげることしかできません。
また、何度も膵炎を再発していると、インシュリンの分泌に異常をきたし糖尿病を併発することもあります。

別名・お腹の火傷というほどの辛い痛みに襲われる膵炎を起こさないようにするには、生活習慣の見直ししか方法はありません。

 

 

膵炎を起こさせないようにするためには

 

老犬ではなくても、肥満状態の子にも膵炎は起きやすいので、適正体重を確認し、運動量を増やす・食事内容を見直す・獣医に相談するなどしてください。
運動量に関しては体重1kgに対し、適正といわれている散歩距離は700mですので、愛犬の体重×700mの距離を一日で歩くようにしてあげてください。

例:体重5kgの場合……
5(kg)×700(m)=3,500(m)ですから、朝晩散歩するとして、一度の散歩で1,750mを目安に散歩してあげるといいでしょう。
もちろん、老犬なら足腰が悪くなかなか長距離を歩くことは難しい子もいると思うので、愛犬の様子を見ながら可能な限りお散歩してあげてください。

 

 

食事の見直し

 

食事については愛犬Mackの場合、主に低脂肪なものを与えるように心がけ、高脂肪のものはなるべく避けるようにしました。
成分表示に必ず目を通し、脂肪分や粗脂肪と表示されている所に注目し、5.0%以下のものを選ぶように。
チーズは禁止し、あげたいときにはカッテージチーズを小さじ1~2あげました。
手作り食を作る場合、ささみ・じゃがいも・さつまいもを中心として、他には茹でて火を通したマグロ・葛粉・おかゆ・豆腐・ブロッコリーなど、繊維質を多めに、脂肪・糖を少なめにしていました。

アレルギーで摂れない食事もあるでしょうから、一度かかりつけの医師に相談するといいと思います。

 

 

膵炎はどんな子もなる可能性がある

 

そんな膵炎ですが、うちの子は肥満じゃないとか、若いから大丈夫!なんてことはありません。
どんな子にも発症の恐れのある病です。

まだ膵炎になったことがない子も、一度経験してしまった子も、その苦しみは想像を絶するものですので、予防するに越したことはない病です。
想像してみてください。内側から内臓を焼かれる痛みを……それが膵炎です。

愛犬は、飼い主の与えるごはんで育ち、生きています。
そして愛犬はその愛くるしい見た目とは裏腹に、しっかりと切なくも老いていきます。
いつまでも子犬のように思えても、内臓は中年のそれそのものであったり、年寄であったり……
愛犬の年齢に合わせて都度生活を変えていくのも、愛犬のためを思えばこそですね。