老犬の食べムラ・食い渋り ~老犬が食べない悩みをお持ちの飼い主さんへ伝えたいこと

ワンワンラボにご訪問いただき、ありがとうございます。

今日はクリンの20歳の誕生日。

クリンは2019年3月に19歳1ヶ月で旅立ちましたので、残念ながら成人式を迎えることは叶いませんでした。

この記事を書いた当初は、クリンは18歳を迎えたばかりで、食べムラ・食い渋りに悩んでいる真っ最中でした。ありがたいことに、この記事はたくさんの方にお読みいただき、2年前の記事にもかかわらず、今でもコメントをいただいております。

クリンを見送ってから思うこと、気づいたことなどを追記して、クリンの20歳の誕生日にリライトして公開させていただくことにいたしました。

どうか、食べムラ・食い渋り・食欲不振で悩んでおられる飼い主さんに届きますように。

 

 

シニア犬の「食欲不振」は特別ではない

 

 

我が家の愛犬クリンの食べムラは、15歳の時から始まりました。

食べムラを経験し、いろんなことを知りました。

食べることは決して当たり前のことではないこと、フードと薬は分けた方がいいこと、実は食べムラや食い渋りは一番精神的に堪える、ということなどです。

同じ悩みを持つ飼い主さんはたくさんいらっしゃると思います。食べムラ・食い渋りに約4年間悩んだ飼い主のひとりとして、経験と感じたことなどを書いていきます。

 

クリンの食べムラが始まって一番最初に思ったことは、「このままどんどん弱って衰弱していくのではないか」ということでした。若い頃は、お腹の調子が悪くなると1~2日食事抜きで様子を見るということもありましたが、この頃は普通に食欲があったので、さほど気になることはありませんでした。

 

そして「あること(飼い主の失敗)」がきっかけで、「食べること」そのもの、食べ物に対しての不信感を持たせてしまいました。今まで喜んで食べていたものですら、口にしなくなってしまいました。

ネットで「シニア犬 食べムラ」で検索すると、「食べないのは末期症状…」「最期は食べなくなって…」など、かなりネガティブな表現のものが多く、読めば読むほど余計に不安になっていきました。少しでも希望を持ちたくて検索するのに、出てくる結果がマイナスのものばかりだと、ただでさえ弱っている心がどんどん追い込まれてしまうんですよね。

歳を取ると、体調も常に万全ではありません。寝不足だったり、前日に胃の調子が悪いと、それだけで食べなくなることもあります。ですから、愛犬がシニアになって食欲が落ちることは、とても自然なことなのだとは思いますが、それでもやっぱりとても心配になります。

 

 

食べムラの原因を考えてみる

 

 

食べムラの原因として、元々食べることに執着がなかったり、単なるわがままであったりもしますが、何かしら「食べなくなった」きっかけがあったという場合もあります。いくつかの複数の問題が原因で食べない、ということもあると思います。

愛犬が食べないことは、飼い主にとってとても深刻です。食べないと体力の低下や体が冷えて代謝が低下することもありますので、少しでもいいから何か食べてほしいと願ってしまいます。

振り返ると、うちの場合は食欲不振の時には必ず原因がありました。

 

食べない時に考えられること

 

1.なんとなく食べたくない

2.胃腸の調子が芳しくない

3.噛む力が弱まって、または歯に問題があって食べにくいため食べない

4.体のどこかに痛みや不具合(病気)がある

5.食べることそのものへの不信感

 

1.なんとなく食べたくない

前日にたくさん食べた時などは、翌日なかなかご飯を食べないことがあります。シニアになると長時間寝ていることが多くなりますので、動く時間が少なくなり、胃腸の動きも悪くなっていることがあります。若い頃と違い、老犬になると消化にも時間がかかるため、お散歩などの適度な運動や気分転換は食欲を高めるきっかけになります。

また、鼻が利かなくなっていることも考えられます。犬にとって匂いはとても大切な情報。ところが年を重ねるごとに匂いもわからなくなっていきます。良い匂いにつられてキッチンに飛んでくるようであれば問題ないですが、無関心でいるようなら、もしかすると匂いがわからなくなっているのが原因のひとつかもしれません。

そしてこれはシニア犬あるあるですが、「単なるわがまま」ということも考えられます。人間同様、歳をとると犬もわがままになります。食べムラ・食い渋りが続いている時は、手を変え品を変えいろんなものを与えてしまいがちです。すると、「待っていたらもっといいものが出てくるかも」と、ドッグフードなどを食べなくなってしまうこともあります。

こんな時は、匂いの強いトッピングが有効です。多少の添加物もよしとして、かなり匂いが強い缶詰をトッピングしたり、ふりかけをレンジで温めて匂いを強くしたりすると食べてくれることもあります。

わがままかも、と思う場合は、少し様子を見るのもひとつです。病気や体調不良がない場合はドッグフードを下げてしまうのもひとつ。ただし、ハイシニアの場合は、好きなものをおいしく食べてもらうというのもありだと思っています。お腹を壊さないなら、人間用の牛乳もおススメです。クリンの晩年はテラカニスという缶詰と人間用の牛乳にとても助けられました。

 

2.胃腸の調子が芳しくない

歳と共に代謝が落ち、内臓の働きが悪くなります。消化の悪いものを食べたり、なかなか消化できない場合などは食欲が減退する原因になります。クリンは夜中にご飯を食べたがることが多く、ご飯を欲しがるのが嬉しくてついつい食べさせてしまうと、翌日はなかなかご飯を食べなかったということがありました。

胃腸の調子が悪い時は便の状態がいつもと違ったり、腸がキュルキュル鳴ったりします。そんな時は食欲が出るまでそっとしておきます。そんな時、牛乳はとても役立ちます。牛乳は犬に与えてはダメという意見もありますが、お腹を壊さなければ問題ないですし、牛乳だけで数ヶ月生きた犬もいると獣医さんに聞きました。牛乳は栄養もあるし液体で飲みやすいので、なんとなく食欲がない、という時にはとても助かります。ワンコは甘い味をおいしいと感じるそうなので、体に優しい砂糖やはちみつなどを混ぜて甘味をつけてあげると、より飲んでくれるかもしれません。

お腹の音が数日治まらなくて食欲がない場合は、胃腸炎・膵炎など、病気の可能性があります。数日続く場合は病院に行くことをおすすめします。こじらせてしまうと長引いてしまい、命を脅かす危険性があります。シニア犬の場合、こじらせると本当にやっかいなので、様子がおかしいと思ったら診察を受けることを強くおすすめします。

 

3.食べにくいから食べない

今まではパクパク食べていたフードも、歯の状態が悪くなったり、顎の力が弱まったりすることで、噛めなくなってしまったり、食べにくくなっていることが考えられます。

うちの場合、咥えたおやつをポロっと落としたり、それまで大好きだったキャベツの芯などを食べなくなったことで、顎の力がなくなったとわかりました。それ以来、食べやすい形状に小さくカットしたり、フードを砕いてやることで食べるようになりました。あまり大きな粒だと誤飲の危険もありますので、年齢と共にフードの大きさを変えてあげることをおすすめします。

犬って案外繊細で、「うまく食べられない」と食べなくなってしまうことがありますので、もし思い当たることがあれば、試してみてくださいね。

 

4.体のどこかに痛みがある

振り返ると、クリンが食べなかった原因は体の不具合が一番の原因だったと思います。食べムラ・食い渋りになったきっかけは投薬でしたが、食べない時には体のどこかに痛みがありました。

クリンの場合は子宮の鈍痛と歯の痛みでした。子宮摘出をしたのは18歳になる前でしたから、それまで約3年間も痛みがあったのだと思うと、もっと早く転院すればよかったと今でも思います。

術後摘出した子宮を見せてもらいましたが、片方が通常の2倍くらいに腫れあがっていました。ずっと気持ち悪いような痛いような状態だったから、食欲も出なかったんだと思うと言われたときは、気づいてあげられなかったことをものすごく悔みましたし、今でも後悔の念は消えません。

参考記事:避妊手術について考える ~老犬の子宮蓄膿症の治療について

 

体のどこかに痛みがある時は、何らかのサインがあります。食べムラ・食い渋りもそのサインのひとつです。

もしかしたら、なんとなく具合が悪いという感じで、検査では出てこないかもしれませんが、食欲不振が続くようでしたら、獣医さんに相談されることをおすすめします。

食べないことに以下のような症状が出始めたら、症状が悪化していたり、炎症数値が跳ね上がっていることも考えれ羅れます。

寝てばかりいる/失禁/軟便/腸から音がする/吐く/うずくまるなど

ワンコは我慢することが多いそうで、痛がったりするのはよほどの状態であることが多いそうです。特に老犬の場合は、たった1日処置が遅れただけで重篤な状態になることもあります。

ワンコは10歳を超えると体のあちこちに不具合が出始めることが多いそうです。どんな病気でも、早期発見できれば早く治療することができますし、心臓や腎臓などの再生しない臓器も、投薬により寿命を大きく伸ばすことができます。悪いところがないようでも、数ヶ月ごとの定期健診を受けておくと不具合に素早く対処できます。

 

5.食べることへの不信感

これは今でもずっと後悔していることで、クリンに申し訳ない気持ちでいっぱいです。

クリンの食べムラのきっかけは「投薬」です。

14歳で胆泥症と診断され、以来毎日の投薬が始まりましたが、普通にご飯の上に薬を置いて一緒に食べさせていたため、問題なく薬を飲むことができていました。ところが15歳の時の足の炎症がきっかけでご飯を食べなくなってしまいました。その時に処方された「抗生剤」が非常に苦い薬で、それを無理やり飲ませようとしたことがきっかけで食べ物に対する不信感を持たせてしまいました。

それまで大好きだったお肉やささみ、ジャーキーなどにくるんで薬を飲ませようとしましたが、結局ばれてしまって口から吐き出してしまいました。そんなことを繰り返しているうちに、痛みがあって食べなかっただけなのに、食べ物自体に不信感をもってしまい、食べること自体を嫌がるようになってしまいました。

これは飼い主として最大の失敗であり、今でもクリンに申し訳ない気持ちでいっぱいです。正直、この失敗がなかったら、食べることが大好きなままであったら、もしかしたら成人式を迎えることができたのではないかとさえ思います。

 

 

食べムラを怖がらないで

 

 

クリンが15歳の時から始まった食べムラ・食い渋りは旅立つ日までほぼ毎日続きました。

体の痛みや不具合が取れた時は食欲も改善しましたし、お腹が空くとすごい勢いで食べてくれることもありましたが、すぐに食べないことが癖になってしまったように思います。

一度食べムラや食い渋りになってしまうと、何とか食べてほしいと「好きなおやつ」や「好物のお肉」など、犬にとってのごちそうを用意したり、毎回フードを変えてしまったり、新しい缶詰を次から次へと開けてしまったりすることで、どんどんわがままになってしまいました。当時冷蔵庫の中はクリンの食べなかったものでいっぱいになることもありました。

愛犬が食べないことって、飼い主の精神的なダメージが本当に大きいんですよね。このまま食べなかったらどうしようと落ち込み、実際わたしはノイローゼになってしまいました。毎日眠れずにいろいろ考えては泣いてみたり、ネットで検索しては落ち込んだり、今考えると本当におかしくなっていたと思います。

でも、どれだけ食べなくても、お腹が減ると必ず何かを口にします。病気が原因の食欲不振でない限り、食べムラはいつか治まります。クリンは食べない日もありましたし、痩せてしまったこともありましたが、それでも19歳を迎えることができました。

 

特に老犬は、食べるスイッチが入りにくいという場合もあります。若い頃より運動量が減り、代謝が落ち、なかなかお腹が空かないということもあります。そんな時は「もっと食べたい」「お腹が減った」というスイッチを入れてあげるのも手です。スイッチは、大好物のおやつや、人間の食べるもので甘いものも結構有効です。

カステラ、バームクーヘン、バニラアイスクリーム、加糖ヨーグルトなど、お腹が減っている時はものすごく食いつきます。これは奥の手としておすすめです。

クリンの場合は、先にカステラだけを与え、食いついてきたらフードの上にカステラを小さくちぎったものをトッピングして食べさせたりします。これを我が家では「呼び水」と呼んでいます。

トッピングだけ先に食べてしまい、フードだけ残ると食べなくなることもありますので、食べている最中にトッピングを横から追加したり牛乳を入れたりして、そのまま止まらず食べ続けるようにしています。

 

 

愛犬に食べムラや食い渋りが出た時に大切なこと

 

 

今、愛犬の食べムラで悩んでいる飼い主さんへ。

クリンの食べムラ・食い渋りに約4年向き合い、もし持病や体調不良などがないのであれば、あまり深刻に悩まないでください。1日2日食べなくても、お腹が減ったら必ず食べてくれます。我が家のわがままシニア犬は、15歳から3年食べたり食べなかったりを繰り返していますが、今でも元気に過ごしていますから。

 

何よりも愛犬にとって一番ダメージが大きいのは、飼い主さんの悲しい顔や、食べないことを叱られることです。

犬って飼い主の精神状態をよく理解しているんですよね。クリンが食べない時、イライラしたり怒ったりすると、元気がなくなったり余計に食べなくなったりしました。

でもご飯を食べた時に「すごいね~~!」と褒めると、食べるスピードがアップするんです。ああ、犬ってちゃんとわかってるんだな、とつくづく思いました。

 

犬にとっての一番の良薬は、飼い主さんの愛情であり、飼い主さんの笑顔です。

 

たとえ食べなくても、どうか怒らないであげてください。大丈夫大丈夫、お腹が減ったら食べようね!と笑顔で接してあげてください。

15歳から4年間、ずっと食べないことに悩んできましたが、19歳を元気に迎えることができました。そして旅立つ前日まで、いつも通り過ごすことができました。

多少食べなくても、たとえ食べない日があっても、どうかあまり深刻にならないでくださいね。

 

 

ライター:福井 惠子

 

 

【多頭飼い】我が家が円満に過ごせるコツ

愛犬情報

犬種:ミニチュアダックスフンド2頭、ビーグル1頭

飼い主の悩み:多頭飼い

年齢:18歳・15歳・8歳(2018年3月現在)

 

 

 

我が家が2頭目を迎えた理由

 

うちにはミニチュアダックスフンドのクリンを筆頭に、3頭の犬がいます。みんなとても仲良しで、寒い時期は犬団子(みんな団子のように固まっていること)になって寝ています。

 

2頭目のニコを迎えたのはクリンが2歳半の頃でした。

当時フルタイムで仕事をしていて長時間お留守番をさせることが多く、クリンが寂しくないよう2頭目を迎えるか考えていた時にニコと出会い、我が家の多頭飼いが始まりました。

最近多頭飼いで悩んでおられる方がとても多くおられる、という話を知人から伺ったので、我が家の多頭飼いについてお話させていただくことにしました。

 

 

【2頭目を迎える前】まずは相性からチェック

 

我が家の次女ニコと出会ったのは、クリンのフードを買いにいったペットショップでした。そこは1階がフードや雑貨、2階が生体を販売していて、いつもなら1階で終わるのですが、その日はたまたま2階まで足を延ばしました。

ちょうどど真ん中にアクリルケースが置いてあり、そこにいたのがニコでした。まだ来たばかりというその子を見た瞬間、なぜか目が離せなくなり、生まれて初めて店員さんに「抱っこさせてください」とお願いしました。

抱いてしまうと、もうダメですよね(笑)

とりあえずクリンとの相性を確認してから、ということですぐに帰宅し、クリンと共にショップに向かいました。

そしてご対面。クリンもニコも、特に何も変わらない感じで、鼻先であいさつをしてからは普通でした。相性はまずまずな感じだったので、その日にニコはうちの子になりました。

ニコがうちに来てすぐは、サークルの中に入れてクリンに観察させました。もちろんクリンは外で自由に動き回れます。そして、外に出したらクリンがさっそく小さなニコの上に乗っかりました。それは、クリンが「自分の方が上だ」とニコに教えてるんですよね。だから静かに見守り、ニコが嫌がるようなら、ニコを怒りました。わたしは絶対にクリンの味方で、クリンがやりたいようにさせていました。

当時わたしはフルタイムで働いていて、平日はふたりでお留守番することになります。なのでニコはサークルに入れたまま、クリンだけフリーにして部屋の中で自由に過ごせるようにしていました。

ところがお留守番初日、帰宅するとニコは高さ1m近くあるサークルから出ていました。びっくりしましたが、クリンもさほど嫌がってなかったのと、ふたりが寄り添って寝ていたので、その日からニコをフリーにするようになりました。

 

3頭目のみのすけを迎えた時も同じです。みのすけはペットショップで売れ残っていた子で、ほとんど衝動的に迎え入れることになりましたが、もしクリンとニコとの相性が合わなかったら見送っていました。迎え入れる前に、自宅からクリンとニコを連れてきて対面させ、お互い特に問題がないようだったので、そのまま一緒に家に帰りました。

クリンもニコも小型犬で雌、みのすけは中型犬の雄だったので、最初は少し心配でしたが、我が家に来た当日からおねえちゃんたちの洗礼を受けていました。

みのすけが我が家に来たのは5ヶ月になる少し前だったので、体はおねえちゃんたちよりも大きかったですが、みのすけはおねえちゃんに逆らうことはありません。それは8年経った今でも変わらないです。

我が家の一員になった当時のみのすけはとてもやんちゃで、我が家も結構破壊されましたが、暴れるみのすけを怒るとクリンが間に入ってわたしを止めるんですよね。クリンなりにみのすけを守っていたのだと思います。順位付けがしっかりできていると、犬同士の関係もとても良好になります。

 

ショップにいる仔犬はとても人懐っこくて、小さい体で一生懸命しっぽを振っている姿を見ると、「きっとこの子は人懐っこいから大丈夫」と思いがちですが、それは対人間であり、犬同士の相性はまた別だと考えています。

犬は家族ですが、決して人間ではありません。

わたしたち人間の社会のルールがあるように、犬の社会にもルールがあります。

これから10数年一緒に暮らすのに、もし相性が合わない子同士だと、喧嘩が絶えなかったり、犬だけでお留守番させることはとても難しくなります。

最初に会った時点で唸ったり吠えたりする場合は、相性が悪いのかもしれません。新しい子を迎え入れる前に、必ず相性を見ておくほうが、あとあと安心であると考えます。

 

 

新しい子を迎える時に気をつけたいこと

 

多頭飼いで失敗している複数の方にお話を伺った際、共通していわれていたことがあります。

 

それは、「新しく来た子に家族の注目が集まる」ということです。

 

パピーはとても可愛いです。よたよたと走る姿、純真無垢なその姿・しぐさのひとつひとつがとても愛らしく、どうしても新しく来た子に注目が集まってしまうと思います。特に家族に子供さんがいると、子犬の取り合いになる、なんて話も耳にしました。

でも、実はこれが多頭飼いが失敗してしまうこと原因のひとつなんです。

先住犬は、家族が増えたことを喜んでいるとは限りません。むしろ、戸惑ったり怒ったりする子が圧倒的に多いと思います。

 

人間の子供で考えるとわかりやすいと思います。

それまで一人っ子だったのが、突然兄弟ができて家族みんなが赤ちゃんに気をとられてしまうと、きっと面白くないと思います。中にはものわかりの良い子もいると思いますが、もし上の子が「寂しい」と思うようなことがあれば、きっと下の子にはあまり良い感情を持てないと思います。

犬は人間社会に順応するようにしつけをしているため、つい人間と同じように考えてしまいがちですが、動物としての習性がなくなったわけではありません。犬は順位付けをして、家族の中で順位を決めます。自分より上位であるリーダーには決して逆らいませんが、自分より下位だと思ったら、その人のいうことは絶対に聞きません。気に入らないと噛むこともあります。

それは犬が生まれつき持っている習性であり、人と共生するためにリーダーを決めてしつけをする必要があります。

 

話を元に戻すと、新しく来た仔犬にばかり気をとられてしまい、先住犬が自分の方が上だと新しい子に教えることを、いじめていると捉えて先住犬を怒ったりすると、犬社会の中で仔犬を先住犬より優位に立たせてしまいます。

こうなると、仲良くするのはとても難しいことになります。

先住犬が新しい子を受け入れることは難しくなり、新しい子は自分の方が優位に立ったと勘違いし、もしかすると先住犬を制圧しようとするかもしれません。そうなると先住犬に居場所がなくなってしまう場合もあります。

 

男の子同士の場合、たとえ飼い主さんが順位付けをしていても、喧嘩が絶えなくなることもあります。その場合は去勢したり、居場所を分ける等の工夫が必要になるかもしれません。

保護活動をされている知人に話を聞く機会があり、多頭飼いで失敗して持ち込みをされる子も結構いるとのことでした。特に大型犬の場合、喧嘩したら大事になりますし、家の中もぐちゃぐちゃになってしまいます。

その方は、しつけに関して自信があるか、または飼育する場所を分けられる場所のある家でない限り、多頭飼いはやめた方が無難だとお話されていました。もし相性が合わなかったら、険悪な関係が10年以上続いてしまいますので、家族はとても大変になりますもんね。

 

 

我が家で徹底した順位付けの方法

 

犬にも感情があります。それまで家族の中心だったのに、家族の注目が新しい子ばかりになると、楽しいはずはありません。

我が家では、ずっと長女のクリンが最優先です。何をするのも絶対にクリンから。その順番が変わることはありません。

抱っこも、ご飯も、頭をなでるのも、話しかけるのも、お散歩も、おもちゃも、何もかも最初はクリンからにしています。他の子が横取りしようとするとたとえパピーの頃であっても、その子を怒っていました。そしてクリンが飽きてから次の子に遊ばせるようにしていました。すると、他の子たちは「この中ではクリンが一番である」ということを理解し、クリンが食べていても横取りすることはなくなりましたし、クリンを抱っこしていても、怒ったりすることはありません。それは今も変わりません。

 

友人が多頭飼いを始める時に、2頭が仲良く過ごせるコツはないのかと相談されたので、「絶対に先住犬を優先すること」と話しました。友人は家族にもそれを伝え、徹底して先住犬を優先したそうです。それまでひとりっ子だった先住犬はすっかりおねえちゃんになり、妹の面倒を見るしっかり者になったそうです。

 

もし新しい子を家族に迎えられたら、何をするにも必ず先住犬を優先させてください。

名前を呼ぶ順番、ご飯を出す順番、おやつをあげる順番、おもちゃを与える順番、抱っこをする順番、リードをつける順番など、どんな小さなことでも、よほど特別な事情がない限り、必ず先住犬を優先することが犬同士の関係をうまく作れると考えます。

 


 

 

もし多頭飼いがうまくいっていないと悩んでおられる方がおられたら、またワンコ同士の相性が悪いという場合は、思い当たることがないかぜひ考えてみてください。

犬の間で順位付けが確定していたら、関係を修復するのは時間がかかるかもしれません。中型犬以上の大きな子で手に負えない場合は、きちんとしたしつけを再度し直すことになるかもしれません。

犬はとても純粋で、まっすぐな愛情をわたしたち人間に惜しみなくくれる生き物です。たとえ捨てられても、それでも一途に飼い主さんを待っている動物です。

 

どうか最後まで諦めず、愛犬と向き合ってあげてくださいね。

 

 

 

ライター:福井 惠子

 

 

 

 


【犬の留守番】共働きで犬を迎える覚悟

愛犬を迎えることって?

我が家にはトイプードルの女の子が1頭います。名前はプリンといいます。

家族はわたしと主人の2人暮らし。共にフルタイムで仕事をしています。

プリンは日中留守にする我が家で、ひとりでちゃんとお留守番をしてくれています。

留守が多い我が家でなぜ犬を迎えたのか。もしかしたら、愛犬に長時間お留守番させることを「虐待」と言われる方がいらっしゃるかもしれません。わたし自身、長時間のお留守番をさせていることに最初はとても抵抗がありましたし、罪悪感も感じていました。

でもプリンを迎え入れて本当によかったと心から思いますし、プリンも毎日楽しく過ごしてくれています。

我が家と同じように、お一人暮らしやフルタイムでお仕事をされていて、愛犬を迎え入れることを悩んでいる方、また愛犬に長時間お留守番をさせている方や、お留守番をさせることに罪悪感を感じている方がおられたら、ひとつの参考として我が家の話を聞いていただけたらと思います。

 

 

愛犬を迎え入れるまで

わたしは犬が好きで、結婚してからずっと飼いたいと思っていました。

でも我が家は共働きのため、日中は留守にします。長時間留守番させるのに犬を飼うなんて無責任なのではないか…そう思い、ずっと我慢していました。

でも諦めきれず、ペットショップに行っては小さな仔犬を見たり、ネットで仔犬情報を見たりしていました。(当時は保護犬のことをあまり知らなかったため、犬を飼うのはペットショップかブリーダーだと思っていました。)

 

我が家には子供がいません。

30代後半で大きな病気が見つかり、治療しないと不妊治療ができないといわれて、1年間治療に専念しました。病気が治ってから不妊治療を始め、6年ほど治療を続けましたがうまくいかず、状況的にも年齢的にも妊娠は難しいといわれました。

 

正直、わたしの心はボロボロになっていました。

周りの人たちの言葉にも敏感になり、「子供は?」という何気ない日常会話の中での一言にさえ傷ついていました。

ちょうどこの頃、主人が遠方に1ヶ月間単身赴任することになりました。年齢的にリミットのない中、辛い治療を何年も続けていたのに、たった1ヶ月のことではありますが、それまでの治療が台無しになってしまうと思ってしまったんです。

出張先から電話をかけてきた主人と話している時、それまで張りつめていた糸が切れ、大泣きしてしまいました。

その時に初めて、主人はわたしの心の状態に気付いてくれました。そして「もう子供は諦めて犬を飼おう。」そう言ってくれました。

 

 

運命の出会い

 

主人が出張から帰ってきてから、さっそく近くのブリーダーをされているペットショップに足を運びました。ちょうど生まれたばかりのトイプードルが5頭いるとのことで、見せていただきました。

その中で、兄弟にもみくちゃにされて踏まれていた1頭の仔犬がいました。胸元に白い模様の入ったその子は、売り物にならないかもしれないということでした。ほかの兄弟たちに踏まれても怒ることなく、ただただじっと耐えている子。

出口のない不妊治療で心がボロボロになっていたわたしは、売り物にならないかもしれないその仔犬がまるで自分のように感じ、この子をうちへ迎えよう、と心に決めました。

11月末に我が家へ迎え入れることになり、それまでに名前を決めておいてくださいといわれました。

ちょうど年末にかかる時期ということもあり、バタバタと忙しい毎日を過ごし名前がなかなか決められずにいた中、我が家のプリンターがつぶれてしまいました。年賀状の印刷をしなければならず、急いで家電ショップに買いに行きましたが、欲しいプリンターは売り切れ。仕方なくお取り寄せで注文したのですが、プリンターの受取日が偶然にもプリンをお迎えに行く日と同日になってしまいました。

そしていよいよプリンを迎えに行く当日になり、主人が「そろそろ取りにいかないと」と言った時、「プリンターを取りにいくの?」というところを「プリンを取りにいくの?」と言い間違えてしまいました。

プリン?プリンター?と大笑いした時に、主人が「もう名前はプリンでいいやん」と言いました。

我が家の愛娘プリンの名前の由来は、スイーツのプリンではなく、プリンターのプリンです(笑)

 

 

留守番させることへの罪悪感と葛藤

 

プリンが我が家の一員になり、それまで鬱々と悩んでいたのがうそのように、毎日大騒ぎであっという間に時間が過ぎていきました。初めて迎えた愛犬に、わたしも主人も夢中になりました。プリンは愛らしくて可愛くて、まるで自分がお腹を痛めて産んだような感覚になるくらい愛おしい存在になりました。

でもここで大きな問題に直面しました。それが「お留守番」です。

犬を迎え入れる前に散々考えていたことではありましたが、プリンを迎えた時は勢いもあったので、実際にうちの子になってからとても悩みました。毎日ネットで調べたり、犬の本を購入して読み漁ったり…

プリンをひとりで長時間留守番させることに、大きな罪悪感を感じていました。

でも仕事を辞めることはできません。犬を飼うということは、お金もかかります。プリンと主人と一緒に楽しく生活をしていくためには、仕事を続けることは必要なことでした。

当時は犬を飼っている友達も周りにいなかったため、相談相手もいませんでした。そんな時、プリンのものを買いに近くのペットショップに行った時に、大きなトイプードルを連れた方がおられ、あまりに大きかったので声をかけて少しお話したんです。その方も夫婦2人暮らしで犬を飼っているとのことで、どのようにお留守番させておられるのかも聞いてみました。

その方は、子供部屋にしようと思っていた部屋があるので、そこをお留守番の部屋としているとのことでした。結構長い時間お留守番をさせているから、「帰宅すると部屋はむちゃくちゃになっているので、帰ったらまずは掃除からなんです」といわれてるのを聞きながら、皆さんいろんな工夫をされているのだと思いました。

「ひとりでゆっくりリラックスして過ごせる場所を自分なりに作ってみよう」

そう思い、自分なりに調べて、プリンが過ごす部屋を決めました。冷暖房完備でできるだけ静かな場所で、ベッドとトイレが設置できる大きめのサークルを購入しました。部屋で自由に過ごせるようにしようかとも思いましたが、犬はサークルなど落ち着ける場所があった方がいいと書いてあったのと、誤飲なども怖かったので、サークルを設置することにしたんです。

わたしが仕事に出る時は、エアコンフル稼働で居心地の良い居住空間を作り、さみしくないようにコングなどいろんなおもちゃを準備し、少しずつひとりの時間をつくるようにしました。

最初は30分、お利口にできていたら褒めて、次に1時間、3時間…と少しずつ少しずつ時間を延ばしていきました。

プリンにわたしの気持ちが通じたのか、静かにお留守番ができるようになりました。

 

 

生活のリズムをつくること

 

このように、少しずつ少しずつ時間をかけてひとりでいることに慣れてもらい、プリンはとてもお利口にお留守番ができるようになりました。サークルの中にいると安心するようで、わたしが仕事で出かけた後はぐっすり眠っているようです。そしてわたしが帰宅すると、とても嬉しそうにしっぽを振って出迎えてくれます。

プリンにお留守番させる日は、必ず1日1回30分以上のお散歩に行くこと。もし天候不良で行けない場合は、たっぷりと愛情をかけて遊んであげること。自分の体調が悪い時でも、これだけはするようにしています。

犬との生活は、いろんなことが起こります。プリンは体が弱く、小さな頃からいろんな病気にかかったりしていますし、毎日悩んだり困ったりすることもあります。

でもそれ以上に、たくさんの幸せとたくさんの愛情をくれる、とても大きな存在です。

 

お留守番をさせることについては、正直今でも罪悪感を感じることはあります。わたしはとても心配症で、本当はずっと一緒にいてあげたいと思ってるんですよね。でも思っていた以上に医療費がかかるため、今のところは仕事は続けていこうと思っています。

でもプリンが病気などの時はお休みをいただき、一緒に過ごすようにしています。これから先、プリンが歳をとったら仕事をやめようと思っています。

 


わたしがお留守番について書こうと思ったのは、自分自身が犬を飼うことについてとても悩んだからです。もしかしたらわたしと同じような悩みをお持ちの方もいらっしゃるかもしれないし、お1人暮らしで犬を家族として迎えたい、と悩んでおられる方もいらっしゃるかもしれません。

わたしと同じように、犬を飼うことで毎日の生活が豊かになり、「自分自身が救われる」という方もおられるかもしれません。

 

もし今、仕事をしていてずっと一緒に過ごせないからと犬を迎えることで悩んでいる方がおられたら…

もちろん理想はずっと一緒に過ごすことだと思いますが、きっとそれぞれの生活スタイルが出来上がってくると思います。案ずるより産むがやすしといいますが、うちもそうでしたが、何とかなるもんですよ。

ただし、ペット禁止のマンションなどの場合は、ペット可に引越してからにしてくださいね。もしばれてしまうと手放すことになりますから。

犬はとても愛情深く、惜しみなくたくさんの愛情をわたしたちにくれます。離れている時間があっても、お休みの日や一緒に過ごせる時間はたっぷり愛情をかけてあげることで、しっかりと絆をつくることができると感じています。

 

プリンを家族に迎えて、本当によかったです。

 

 

ブログ:京都アニマルコミュニケーション桜梅桃李~愛犬プリン~

 

ライター:HIROMI