【老犬の病気】高齢犬の積極的治療のメリット・デメリット(3)

愛犬情報

犬種:ミニチュアダックスフンド

病名・症状:歯周病・子宮の不具合・ヘルニア

発症年齢:14歳~・15歳~・18歳

発症の経緯:14歳の時突然右頬が腫れあがった

治療法:投薬~歯石除去&抜歯手術・再生医療

 

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【老犬の病気】高齢犬の積極的治療のメリット・デメリット(1)

【老犬の病気】高齢犬の積極的治療のメリット・デメリット(2)

 

 

ヘルニア治療スタート

 

クリンが手術を受けてから、それまでずっと悩んでいた食べムラ・食い渋りが少しずつ改善されていきました。

術後数日はほぼ食べませんでしたが、術後5日目にフードを食べてくれるようになってからは、ほぼ毎日フードを食べるようになりました。多少のムラはありましたが、術後2週間で抜糸してからは食欲も安定し、食べないという理由での強制給餌の回数も減りました。

ところが、抜糸しても曲がった腰はそのままの状態でした。最初は傷がつっぱるのかと思っていましたが、それがヘルニアの痛みが出始めたサインでした。手術後もお散歩は大好きでしたし、歩けなくなるということはありませんでしたが、腰の曲がりは一向に改善されませんでした。

検査の結果、椎間板ヘルニアの痛みが出始めたということがわかりました。

先生のお話では、術前にも腰の痛みがあったかもしれないが(レントゲンの画像診断では痛みが出ているレベルのヘルニアとの診断でした)、それよりも子宮と歯の方の痛みが強く、ヘルニアの痛みはさほど気にならなかったのだろう、とのことでした。

痛みはあるものの、生活に大きな支障はなかったことから、「アデクァン」という薬剤を筋肉注射する治療をすることになりました。

これは、痛みのある部位にクッションの役割となる物質を注射するという治療法で、最初の1ヶ月は週2回(月8回)の注射をし、その後少しずつ回数を減らしていき、月1~2回は継続して注射を打つという治療法でした。

初めてのヘルニア治療でしたが、注射が効いたようで痛みは随分軽減されたようでした。副作用も心配なかったので、この治療を継続することにしました。

治療を始めて3ヶ月は順調でしたが、注射を月1回にしたところ、腰の痛みが再発したようでした。クリンの場合は体に不具合や痛みがあると食い渋りが出るため、食欲が落ちたり食いつきが悪くなるとすぐに病院に行きました。

鍼治療とアデクァン注射の回数を増やして様子見していましたが、ほどなくしてまた食い渋りが出始めました。4月半ばのことでした。実は以前よりヘルニアと水頭症治療のために「再生医療をしてはどうか」と提案されていましたが、なかなか炎症が治まらなかったため、先送りになっていました。

再生医療をする方向で血液検査をしてもらったところ、なんとCRPが19という結果でした。原因はやはり歯の不具合でした。

クリンは投薬の失敗から口を触らせてくれなくなり、歯石を取ってもらってからも歯のケアはほとんどできず、手術からたった5ヶ月で結構な量の歯石が付いていました。

若い頃はしっかり噛んで食べられますし、お水もたくさん飲むことができるため、口の中に食べかすが残りにくいのですが、高齢になると飲み込む力が落ち、口の中に食べかすが残りやすくなるため、どうしても歯石が付きやすくなるようでした。

残念ながら、再生医療は一旦お預けとなり、歯の炎症を抑える治療をすることになりました。

 

 

再生医療~二度目の手術まで

 

歯の炎症を抑えるため、抗生剤を処方されました。高齢のため、できるだけ副作用が少なくて、体に負担のない薬を選んでいただきましたが、薬の耐性がついてしまっていたこともあり、長期にわたり薬を飲み続けることになりました。週に1~2回血液検査を受け、薬の効きを確かめ、数値が改善していないと薬の変更をするということを数度繰り返しました。

クリンは肝臓が弱く、転院した当初からGPT数値は100を超えていました。腎臓は大きな問題がなかったため、最初は肝臓に負担の少ない薬を選択しましたが、効きが悪かったので肝臓に負担のかかる薬に変更しました。なんとか炎症数値は治まりましたが、GPTが500を超えてしまったため、抗生剤をストップして再生医療も数値が落ち着くまで見送りとなりました。

※薬は肝臓に大きく負担のかかるタイプと腎臓に大きく負担のかかるタイプの2種類あるそうです。

 

それから約4ヶ月間投薬とヘルニア治療を続け、8月になりやっと再生医療を受けることができました。再生医療後はとても調子がよくなり、足取りも軽やかになりました。10月には頸椎ヘルニアの痛みが出始めたため、二度目の再生医療を受けました。

再生医療は副作用がほとんどないためリスクが低く、ヘルニアだけでなく脳疾患や心臓・腎臓など、治療が難しい病気にも効果が期待できる反面、癌や炎症などがある場合はそれを悪化させてしまうこともあるそうです。

クリンの場合は、問題のあった歯に影響があったように思います。歯石取りと抜歯してからも、歯の炎症が治まらず、1回目の歯の処置をしてから今年の3月までの1年4ヶ月の間で、抗生剤を飲まなかったのは3ヶ月あるかないかくらいでした。

もしクリンがもう少し若ければ、問題のあった奥歯を抜歯してもらっていたと思いますが、クリンの年齢を考えると長時間の麻酔は非常にリスクが高く、ぐらつきのある歯しか処置ができない状態でした。

再生医療の影響もあってか、抗生剤を止めると炎症数値が上がり、また薬を飲むということを繰り返していて、肝数値も少しずつ上がっていたため、いつかは歯の治療が必要になると考えていました。一度目の再生医療をした後の9月から、歯の状態をこれ以上悪くしないために「デンタルバイオ」という口内細菌の繁殖を抑えるサプリメントを使うようになりました。

 

わたしは過去に何度も「もっと早くやっておけばよかった」と後悔することがありました。もっと早く転院して子宮を取ってもらっていたら、こんなに食い渋りに悩むこともなかったかもしれませんし、高齢のクリンに痛い思いをさせずに済みました。投薬の失敗から口の中を触れなくなってしまったのも、最初からシリンジで飲ませることができていれば、こんなに歯の状態が悪くなることもなかったと思います。この後悔から、できるうちにやれることをやった方がいい、と考えるようになりました。

歯の菌の怖さについては、いつも病院で聞かされていました。歯が悪い場合は最優先で治療をした方がいいし、悪いまま放置すると他の臓器に影響を及ぼす可能性が高いといわれていたため、先生からストップがかからない限り、できる治療は何でもやろうと考えていました。

先生に歯の治療について相談したところ、調子がいいうちに処置をした方がいいだろうとのことで、2018年12月3日に2回目の抜歯と歯の掃除をしていただくことになりました。

 

 

2度目の手術~術後の変化

 

歯の処置をする時、クリンは18歳10ヶ月になっていました。病院でも麻酔をする最高齢だといわれました。もちろん不安はありましたが、先生を信頼していたこと、これが最後のチャンスであることから、迷っている時間がもったいないと考えました。

 

そして手術当日を迎え、オペ前検査すべて無事クリア。クリンは麻酔に耐え、無事帰ってきてくれました。抜きたかった奥歯はまったくぐらつきがなくて手付かずとなりましたが、小さな奥歯を1本だけ抜いてもらいました。トータルでかかった時間は、歯の掃除と合わせて20分弱でした。

麻酔はガスのみで挿管はしなかったそうです。管を喉に通そうとしたら、ガスで眠っているはずなのに全力で喉をしめて管を阻止したそうです。「この子は誤飲することはないと思うよ」といわれ、思わず笑顔になりました。

術後の経過は順調で、多少の食い渋りはみられましたが、1日1回はフードを食べてくれましたし、二度の再生医療の効果もあり、ヘルニアについては痛みもないようでした。相変わらず歯を触られるのは嫌がっていましたが、痛みが軽減したこともあり、以前よりは反応しなくなっていたので、食後に食べかすが残らないよう、シリンジで唇と歯の間を洗浄したり、指で食べかすを取ってできるだけ歯石がつかないようにケアすることができました。

二度目の麻酔は、時間が短かったため術後も平熱体温だったこと、その後の血液検査でも問題なしだったので、影響はほぼなかったと思います。計2回の手術はどちらもうまくいきました。ヘルニアという不具合は出ましたが、これも想定内。わたしはやってよかったと心から思います。

ただ、もう少し若い頃にしてあげればよかった、と思っています。

もっと早く積極的な治療を選択していれば、クリンはもっと楽に過ごせたし、人間でいうと90歳を過ぎた年齢でこんなに痛い思いをすることもなかったでしょう。

そして高齢になればなるほど慎重に事を進めるため、医療費もかさみます。若い頃の避妊手術なら数万円で済みますが、クリンの場合は数十万円かかりましたし、術後の通院も若い子なら数回で済むところを、十数回は通いました。

 

 

老犬の医療費は、楽に旅立つための保険料

 

老犬になってからの医療費は、眠るように旅立つための保険料だと思っています。

クリンは14歳までほとんど病院のお世話にならず、心臓の薬を飲み始めたのは16歳になってから。毎月かかる医療費は17歳になってからぐんと上がり、旅立つまでの約2年間でかなりの金額になりました。でも後悔はまったくありませんし、やってよかったと思っています。

クリンが18歳を超えてから、近い将来に必ずやってくるお別れの覚悟を少しずつしていました。いつか来るその時に、笑って見送ってやれるように、自分にできることはできる限りどんなことでもしよう、と心に決めていました。

もし昨年12月に歯の治療をしなければ、もう少し長生きしてくれたかもしれませんし、歯の不具合もさほど問題なかったかもしれません。でも治療をしなければ、抵抗力が落ちて体中に菌が回ってしまい、心臓が悪くなったり、他の臓器に不具合が出ていたかもしれません。

積極的治療を選択したからこそ、最後の血液検査・エコー検査でほぼ問題なしと診断され、治療を一旦終えることができ、「元気なままピンコロ」で旅立ってくれたのだと思っています。

何よりも大切なのは、飼い主自身が納得して決断しているかだと思います。先生に遠慮して質問できなかったり、セカンドオピニオンを受けたいけど言い出せなかったり、不安な気持ちのまま治療を続けることは、のちに後悔することになってしまうのではないでしょうか。

 

クリンは19歳の誕生日以降、目に見えて機能が落ちました。ご飯を食べても太れなくなり、食べる量が少ないとすぐに体重は減ってしまいました。お散歩では楽しそうに走っていましたが、リードを引っ張っていないと転んでしまうこともありました。後足がつっぱってうまく曲がらないことや、前足が脱力して転倒してしまうこともあり、車いすを使おうか考えていた矢先の旅立ちでした。

きっとクリンは、自由に動けなくなってしまう前に、自分の意志で旅立ったのだと思っています。

どんな困難にも立ち向かい、辛い治療に耐え、病気に負けず、天寿を全うしてくれた。そんなクリンを、わたしはとても誇りに思います。

 

 

積極的治療は良い面も悪い面もあります。

どんな治療法を選択するかは飼い主にゆだねられます。どの病院を選択するか、どの先生に診てもらうか、どの検査をしてもらうか、どの薬を使うかなど、すべてわたしたちが決めるほかありません。

そして、どれだけできることをしても、大切な我が子をなくす辛さは同じです。今まで当たり前に傍にいてくれた存在がいなくなってしまうことは、たとえ天寿を全うしてくれたとしても悲しいし寂しいし苦しいです。

でも、後悔や悔いがないだけで、心は救われます。

皆様の大切な我が子が、元気に長生きされますように。そしていつか訪れるその時に、笑顔でお見送りできますように。

 

 

高齢犬の積極的治療をして~飼い主としての感想まとめ

 

【良かったこと】

・食欲が増す/普通にご飯を食べてくれるようになった(食べムラ・食い渋りの改善)

・毎日元気に過ごせる/最期の時までお散歩に行くことができた

・日々の変化をそれまでよりも敏感に察知するようになり、体の不具合に早く気づけるようになった

・旅立つ直前まで元気に過ごしてくれた(元気あり、食欲旺盛、自力で排泄、穏やかな睡眠)

・天寿を全うしてくれたと思える最期を迎えることができた(飼い主の願い通り、元気なまま眠るように旅立ってくれた)

 

【良くなかったこと】

・麻酔で体温が下がることにより、別の症状(クリンの場合はヘルニア)が出始めた

・高齢で痛い思い(怖い思い)をさせてしまった

・高齢になればなるほど、医療費(治療費用)がかかった

 

 

 

 

 

ライター:福井 惠子

 

 

【動物病院の選び方】獣医さんも使い分け時代

愛犬情報

犬種:ミニチュアダックスフンド

病名・症状:ヘルニア(誤診)⇒関節の不具合・骨粗しょう症

発症年齢:15歳

発症の経緯:歩行がおかしくなった、時々カックンとしりもちをつく

治療法:ステロイド注射⇒サプリメント投与、月1回の整体

 

 

チャッピーの異変とステロイド投与

 

我が家の愛犬チャッピーは、元繁殖犬です。11歳の時に我が家に迎えました。

うちに来た時、歯はボロボロ、おまけに乳腺腫瘍もありました。来てすぐに病院にて乳腺腫瘍摘出と顎の手術、しばらくして卵巣嚢腫が見つかり、そのとき避妊手術もしていただき、残った歯は左側に3本だけになりました。

来た当初は触られることすら慣れていないような状態でしたが、少しずつ人間に対する不信感が薄れ、初めてわたしが寝転んでいるお腹のところに来て、背中をくっつけて寝てくれた時はとても感動しました。

こんなに小さなこの子が、どれほど辛い思いをしてきたのだろう。そう思うと、より愛おしく感じました。このまま元気に長生きしてほしい。なので少しでもおかしいと思うとすぐに病院に駆け込んでいました。

 

ある日、チャッピーの歩く姿がおかしいことに気付きました。15歳という高齢であるため、脚が悪くなってしまったのかと思い、すぐに病院へ。診察の結果、おそらく椎間板ヘルニアであろうと診断されました。

痛みはさほどなさそうに見えましたが、週3回2日置きにステロイド注射をすることになりました。

治療が始まり、少しは改善されたようにも思いましたが、チャッピー自身は元気なさそうに見えるし、ステロイドを使い続けることへの不安もありました。ステロイドは根本治療ではないこと、副作用が怖いことなど、あまりいいものではないという認識でした。獣医さんへ「こんなに注射し続けて大丈夫ですか」と聞いたら「それほど多量ではないので」と言われましたが、疑問を持ちました。

 

 

セカンドオピニオンの選択

 

何度か治療のために病院に通っていましたが、ある日わたしがよく利用する犬の総合施設(トリミング・ホテル・カフェ・ドッグラン・しつけ教室などが併設されているところです)に行った際、そこのオーナーで犬のことにとても詳しい方に、自分の中にある不安や今のチャッピーの状態、治療内容などを相談しました。

すると、その方はチャッピーの背中や体を触られてこういわれました。

 

「この子はヘルニアには思えない。もしかしたら股関節とかではないの。背中シュッとしてるよ。」

 

その方がいわれるには、椎間板ヘルニアの場合、麻痺などが症状として現れたりすると言われていました。ヘルニアだと診断された時の話をすると、レントゲンを撮ったか聞かれたので、撮っていないと言ったところ、別の病院を紹介するとおっしゃってくださいました。

 

紹介先の病院の先生は、診断医としてはとても信頼できる先生だということで、電話をしていただきさっそくその病院に行くことにしました。電話はそばで聞いていましたがちょっと笑ってしまいました。

 

----------オーナーの電話での会話----------

「先生、よけいなことしなくていいから、レントゲンだけ撮って椎間板ヘルニアかどうか見て。私にはそう思えないのよね。背中シュッとしてるし、触っても痛がらないしね。結果は飼い主さんにちゃんと説明してね。理解できる人だから論理的にね。」

 

そして私に、

「別の先生に診てもらったら悪い、と思う人もいるけど、私は獣医さんってサービス業だと思うの。だからこちらが選べばいいし、疑問があったら別の病院へ行ってもいいのよ。自分の犬を守りたいでしょ。手術だって得意な人とそうでない人がいるんだから、大きな手術をまたすることになったら言ってね。紹介するから。」

といってくださいました。

 

 

全然違った診断結果

 

セカンドオピニオンの病院の先生は、飼い主に寄り添ってくださるようなとてもいい先生でした。レントゲンを撮り、わたしにもわかりやすいように、実際に重度のヘルニアを患っている子のレントゲンとチャッピーのレントゲンを並べて説明をしてくださいました。

 

「この子はヘルニアではありません。背骨の間に馬の頭のような形のところがあるでしょ。この子は皆きれいにその形になっているので大丈夫」

 

ヘルニアの子の場合は背骨の間の馬の頭型が潰れたり変形していました。チャッピーの背骨は全部同じ形できれいに並んでいて、ヘルニアの子とは全然違うことは、わたしの目でもわかりました。

 

先生の診断は以下のようなものでした。

・足のすべての関節のはまりが浅い

・この場合、股関節や膝を亜脱臼しやすい

・はまりが浅いことで、体をゆがめて歩くので足に負担がかかり影響が出やすい

・骨の色が真っ白ではない、これはカルシウム不足で骨粗しょう症気味である

 

わたしは先生の診断内容を聞いて、とても納得できました。レントゲンを見ながら、ひとつひとつわたしにもわかるように問題の箇所を指さしながら説明をしてくださったことが大きいと思います。

チャッピーは元繁殖犬でもあったため、カルシウム不足もとても納得ができました。

そして、炎症を抑える効果や皮膚にもいいというアンチノールというサプリメントを処方されました。それ以来、骨粗しょう症改善のために緑イ貝のサプリメントと、アンチノールを続けて飲んでいます。

サプリメントを飲み始め、チャッピーは歩き方も少しずつよくなり、今では随分改善されて歩行も問題なくできています。チャッピーは薬も飲んでいますが、薬の時間になると足の悪い老犬と思えないほどの力で逃げていきます。それだけ回復したのはとてもありがいたいですが、これも悩みのひとつでもあります(笑)

そして施設のオーナーさんが第三金曜日にわんこ整体の先生来るからしてみる?と言われ、もう半年くらい整体もしてもらっています。

でも、もしあのまま同じ病院に通っていたら、もし2日に1回のステロイドを注射し続けていたら、今チャッピーはどうなっていたのか。そう思うととても怖くなります。

歯は、結局もう一本を抜いたので片側に2本だけになりました。いつも右側にベロが出ています。あまり固いものは食べられませんが、缶詰のドッグフードや水でやわらかくした乾燥肉などは問題なく食べます。時々一口で飲み込んでいます。

整体の先生からも、股関節が悪く、腰痛や足の動きが固くなることはあるけど椎間板は大丈夫と言われました。すごくうれしくて泣きそうになりました。

 

 

どうかひとりで悩まないで

 

わたしには相談する方がいるのでとても救われました。その方に転院について報告した際、もし手術が必要な場合は、とても上手な先生もおられると聞きました。

 

今回の経験でわたしが思ったこと。それは、目的別に獣医さんを選んでもいいんじゃないか、ということでした。

今まではどちらかというと、1つの病院に通うことが普通だと思っていました。ずっと通っていると、カルテがあるし、うちの子のことを一番知ってくださっているのではないか、と思っていましたが、人間の場合はかかった病気によって選ぶ病院が違いますが、犬の場合は専門の病院はほとんどありません。

 

残念ながら愛犬は話すことができません。どこかが痛くても、それを直接わたしたちに訴えることができないんです。愛犬の健康を守るのは、飼い主のわたしたちが日頃の様子と変わったことがないかを気づくこと以外に早期発見することは難しいんです。それにもし誤診であっても、セカンドオピニオンを受けなければ、それが誤診だと気づくこともないままかもしれません。

 

困った時に相談できる相手がいれば、いろんな選択肢を考えることができます。でも周りに相談相手がいない飼い主さんの場合、かかりつけの先生の意見を信じるしかないかもしれません。

 

もし今わたしと同じようなお悩みをお持ちの飼い主さんや、もし病気で通院しているけどなかなか改善しないという飼い主さんがおられたら、セカンドオピニオンを受けることと、SNSでもなんでもいいので、他の飼い主さんと意見交換する場をつくられることをお勧めします。

 

愛犬を我が子として愛する飼い主同士、助け合うことができたらと思っています。

 

 

ライター:Madam osada

 

 

【犬のセカンドオピニオン】わたしが転院した理由(2)

愛犬情報

犬種:ミニチュアダックスフンド

病名・症状:胆泥症/子宮蓄膿症

発症年齢:14歳/15歳

発症の経緯:ヒート症状から食欲不振 陰部の腫れ

治療法:投薬治療(2年間)→17歳9ヶ月で手術

 

関連記事:【セカンドオピニオン】わたしが転院した理由(1)

 

初めての入院

 

クリンは2015年10月24日に入院しました。点滴の針を刺されて、冷たいステンレスのケージの中に入ったクリンを見ているだけで悲しくて悲しくて、やりきれない思いでいっぱいでした。

当初膵炎の疑いといわれてましたが、血液検査でリパーゼの数値が上がることはなく、おそらく膵臓と胆のうが合流しているあたりが炎暑を起こしているのであろうとのお見立てでした。

その病院は、先生が年中寝泊まりされているとのことで、何かあれば連絡をくださるとのことで安心して預けることができました。入院中はほぼ1日2回病院にご飯を持って通いました。点滴の針は入院して2日後に抜いてもらいましたが、全く食欲がない状態で、先生が強制給餌でフードを食べさせてくれていました。嫌がって暴れるクリンを無理やり押さえて食べさせるため、胸元はウェットフードでガビガビになっていました。

当時の自分には押さえつけて食べさせることはできませんでしたので、食べさせてもらえるだけでありがたいと思っていました。毎日薬を飲んで血液検査をしていましたが、CRPはなかなか下がらず、体重はとうとう3㎏を切り、2㎏台になってしまいました。

その時に先生から「死の宣告」をされました。

面会に行くと嬉しそうにこっちに来てくれるし、顔を見ていると元気そうだったんですが、これほどまでに食べない子はなかなかいないし、何よりも食欲がないという状態はとても怖い状態だといわれました。

相変わらず食べない日が続いていましたが、入院して1週間が経った頃くらいからようやく炎症数値が下がり始め、エコー検査は問題なし、血液検査も特に悪い数値は出ておらず、CRPが2を切ったら一旦退院しましょうといわれました。

 

ちょうど入院して2週間経った頃、病院のスタッフの方が「退院した方が食べるようになるのでは」と言ってくださり、CRPはまだ少し高めではありましたが、11月4日に一旦退院することになりました。

帰ってきたらびっくりするくらい元気になり、帰宅後はなんと2食もりもり食べてくれました。

とはいえ年齢的には決して楽観できないと思い、食べないと病院に行って点滴をしてもらう日々は続きました。ムラはあるものの、ご飯も食べてくれるようになり、ホッと一安心でした。

 

 

ヒートと陰部の腫れ

退院後は食欲も戻り、16歳の誕生日を元気に迎えることができました。体重も3㎏台になりました。

ところが5月になり、また強い食べムラが出始めました。ここから現在までの約2年近く、ご飯の時間になったら普通に食べに来てくれるということはなくなりました。そして、ヒートではないのに陰部が付いている部分が腫れるという症状が出てきました。(陰部が垂れ下がる感じ)

病院に行って診てもらいましたが、子宮の腫れはなく、点滴と抗生剤の注射をするだけで、なぜ陰部が腫れているかなどの話はありませんでした。その頃から少しずつ不信感が芽生えていましたが、ずっとお世話になっていることもあり、自分の気持ちにフタをするようになりました。

それからも陰部が腫れることはありましたが、時間と共に治まることもあり、それからはヒートのような症状が出たらアリジンを打って、食欲が落ちたら点滴をするという治療が続きました。

アリジンは、最初の時は目に見える効果がありましたが、2回目・3回目と回数を重ねていくごとに効果を感じることはありませんでした。ただ子宮蓄膿症を発症することもなく、なんとなく状態が安定していたので、その治療を維持していました。

そして2017年、17歳の誕生日月にワクチン注射と検診に訪れた時、血液検査でCRPが上がっていることがわかりました。

 

 

理由のわからない炎症

当時、食べムラと陰部の腫れ以外に気になることがひとつありました。それは「歯」です。

ご飯を食べた後などに、クッションなどにマズルをこすりつけるようなしぐさをよく見せていました。実際クリンの歯は歯石だらけで、奥歯の頬側には大きな歯石が固まりとなってべったりついていました。歯のケアをしたかったのですが、投薬の失敗からクリンは一切口周りを触らせてくれなくなっていたので、隙を見て唇をめくって状態を見るくらいしかできませんでした。

もう少し若ければ歯石除去をお願いしたかったのですが、年齢的に難しいと思っていたので、取れそうなところだけ取ってもらえないか病院で頼んだことがあるのですが、なかなかやってもらえませんでした。

 

CRPが上がっている原因は「子宮」だろうとのことで、アリジンと炎症を下げる薬を注射してもらいました。この時点で約3年通っていたのですが、最初の頃に比べて診療が雑になっているように感じていました。

「本当に子宮なのだろうか」と思っていましたが、言い切られてしまうとなかなかそれ以上聞けなくて、2週間効くタイプの抗生剤と点滴を打ってもらっていました。

ここから10月まで、ずっとこの治療が続きました。いつまでも下がらない炎症数値。血液検査をしても特に異常はなく、ただCRPが高いだけ。たまにこちらから子宮と胆のうの状態を見てほしいとお願いしてエコーで確認してもらうことはありましたが、大きな変化もなく、ヒートっぽい症状が出たりきつい食べムラが出たりするとアリジンを打って様子見していました。

 

 

8ヶ月間続く不調

 

8ヶ月にも及ぶ抗生剤投与と点滴。でも炎症数値は改善されず、下がっても1を切ることはなく、食べムラや食い渋りがひどくなることもありました。2月から数えると通院は20回を超えていました。

9月半ばに改めて炎症の原因について、先生に聞いてみました。エコー検査と血液検査を受け、先生の答えは子宮と胆のう炎ではないか、ということでした。そして自宅で皮下注射をする方法を提案されました。

もしかしたら歯が原因ではないかと思っていたので、歯を診てほしいということ、そして歯石もできる範囲でいいので何とかしてもらえないか、とお願いしました。

しかし、歯は診てもらえませんでした。理由は、「噛むから」でした。

実は転院してきてすぐの頃、クリンの歯石を麻酔なしでペンチのような器具で割って取ってくださったことがあったんです。それを見ていたので、簡単に取ってもらえるのでは、と考えていました。

長い治療の中でいろんな「嫌なこと」が積み重なり、クリンにとって病院そのものがストレスになっていたのだと思います。病院に行くととても嫌がるようになってしまっていました。

この時、これ以上クリンを診てもらうのは難しいと感じました。

実はずっと心のどこかで「このままではクリンは治らないかもしれない」と感じてはいました。でもそれまでの経緯や、入院した時にお世話になったから…重篤な状態の場合深夜でも連絡がとれるから…もし手術をすることになったらほかの病院では受けてもらえないかもしれないから…と、転院しない理由を考えていたんです。うちから車で10分かからない距離であったのも大きかったです。

 

この時のセカンドオピニオンは、わたしにとってはとても大きな決断でした。約3年間、ほぼ毎月のように通っていた病院で、クリンの状態を一番わかってくださっている先生だと思っていたので、気持ちの上でもかなり依存していたのだと思います。

でも今できることがあるならなんとかしてやりたい。病気でなく、自然に心臓が止まるその日までは元気に過ごしてほしい。そのためには、クリンの不調の原因を調べてくれる病院を探さなければ。

 

そして、SNSを通じて知り合った犬友さんが通われていたという、隣の市の病院に行ってみることにしました。

 

 

(3)に続く

 

ライター:福井 惠子

 

ハイシニア犬(老犬)の飼い主が思う、犬が病気になった時に大切な「3つのこと」

 

犬と暮らす人にとって、パートナーが病気になってしまうのは本当に悲しくて辛いことです。できることなら自分が変わってやりたい、と思う飼い主さんも多いのではないでしょうか。

愛犬は、10歳を超えた頃から、目に見えて体の衰えを感じたり、病院のお世話になることが増えてきます。そして歳を重ねるごとに病気になってしまうリスクは高まります。

わたしはSNSを通じて、たくさんの飼い主さんと知り合うことができました。その中には、愛犬と共に大変な病気と闘う飼い主さんもたくさんいらっしゃいました。

今回は、そんな愛犬の病気と闘う飼い主さんたちが共通して感じている《愛犬が病気になってしまった時大切だと思う3つのこと》を書こうと思います。

 

 

自分が信頼できるかかりつけ病院を見つけること

 

愛犬のための病院選びは、とても重要なことです。

わたしはこれまでに病院を数回変わっています。今通っている病院の先生はたくさんの経験をお持ちで、最新医療を取り入れておられるとても進んだ病院です。その前に通っていた病院は、大学病院で長年経験を積まれた外科治療に定評のある方でした。

しかし、それ以前に通っていた病院は、根本治療でなく症状を抑えるだけ(歯が腫れている時にステロイドで腫れを抑える等)の処置がメインでした。その頃はまだ愛犬も若く、命に関わるような病気でなかったので、不安になることはありませんでした。

4年前、当時14歳の愛犬クリンが胆泥症と診断された時、「手術しないと助からないかもしれない」といわれました。担当の先生はこの手術の経験がないため、「他の病院からわざわざ先生を呼んで、この子の手術をしてもらうから大丈夫。でも麻酔のリスクは半々なので命の保障はないし、麻酔に耐えられなかったら仕方がない」といわれたんです。

実はこの少し前に、我が家の次女、ニコの乳腺腫瘍の手術をしていました。その際に避妊手術も同時に受けたのですが、手術後に請求された手術費用は、当初聞いていた金額のおよそ3倍でした。理由は、子宮に水がたまっていて避妊手術ではなくなったから、というものでした。それならそうと費用についてもう少し詳しく話をしておいて欲しかったと、思っていた矢先の出来事でした。

手術をしないといけない。でも麻酔のリスクは半々なので、ダメだった時は仕方ない。自分はこの手術をしたことがないから、他の先生をあなたのためにわざわざ呼んであげるのだから、手術しましょう…と。

正直その時、ものすごく違和感を感じました。難しい手術で、麻酔で命を落とすかもしれない。それでも手術しないと助かりませんから、わざわざあなたのために先生を呼んであげるんだから、手術するしか手はないですよ。あなたのためにわざわざ他からこの手術ができる先生を呼んであげるんだから、という部分を強調した話だったんです。

 

愛犬が何かしらの病気であると宣告されると、多くの飼い主は大きなショックを受けます。だからこそ、どうすれば治るのか、またどんな治療法があるのかを聞き、その上で納得して選択したい。それなのにこの先生は、こちらの意向を考えず、とにかく手術を受けさせようとしているとしか思えなかったのです。

大事な我が子が病気の宣告をされ、しかも死ぬかもしれないといわれてるのに、他から先生を呼んで手術するから大丈夫という話をされても、ぜんぜんありがたくないし、手術以外に治療法はないのか、と思いました。

 

不信感を持ったわたしは、自らセカンドオピニオンを申し出て、他の病院で診てもらいました。そこでは、図解で今の状態を説明してくださり、治療法についてもいくつか提案してくださいました。

胆泥症を見つけてくださったのはとても感謝しています。でもやたらと手術を勧めてくるところに「助けたい手術」というよりも「商売としての手術」ではないのかと感じてしまったのは事実です。

 

獣医さん選びについては、多くのベテラン飼い主さんから同様の話を聞きました。飼い主と相談しながら治療方針を決めてくれる、質問や不安に思うことについてきちんと説明してくれる病院でないと、何よりも大切な愛犬の命を預けることはできないと考えています。

 

 

 

薬はご飯と分けて与える

 

愛犬が元気なうちは、ご飯もパクパク食べてくれるし、薬を処方されてもご飯の上に乗せてしまえば大抵普通に食べてくれます。ところが、これがずっと続くとは限りません。

薬の中にはとても苦いものもあります。最近はペットも人間と同じ薬を処方されることがありますが、その場合体重に合わせて錠剤をカットして与えたりします。苦い薬は甘いコーティングの糖衣錠タイプが主流ですが、カットされていると断面図は薬がむき出しになり、その部分を舐めてしまった時かなりの苦味を感じます。

薬=苦いことが一度インプットされてしまうと、薬を嫌がるだけでなく、薬が仕込んであるご飯そのものを嫌がってしまうことにもなりかねません。

これは我が家でもそうですが、多くのシニア犬の飼い主さんからも同様の話をいくつも伺いました。

投薬の際には、投薬専用のおやつ投薬補助食品等を使うことを強くお勧めします。たとえ食いしん坊の子であっても、年齢と共に食べムラや食い渋りが出ることがあります。ほんのささいなきっかけであっても、それで食べなくなってしまうと、それこそ投薬も一苦労になります。うちはこれで本当に苦労しましたし、今でも薬に対する不信感をぬぐうことはできません。

 

病気を治すために薬は必要なもの。でも薬を与えることより、薬を混ぜたせいでご飯を食べなくなってしまい、結果体力を失い、危険な状態になることの方が大問題なのです。薬で大きな失敗をしてしまった経験者として、薬とご飯を分けて与えることを強く強くお勧めします。

 

 

「笑顔」と「言葉」は最高の治療薬

 

わたしの知っているハイシニア犬の飼い主さんたちが口をそろえて言うこと、それは、飼い主の「笑顔」と「言葉」は、愛犬にとって何よりも大切だということです。

愛犬の病気を嘆いてずっと泣いていると、愛犬は飼い主さんのことが心配で不安になってしまいます。犬ってわたしたちが思う以上にいろんなことを感じ取っているものなんですよね。

愛犬にとって一番安心できるのは、飼い主さんの笑顔です。大好きな飼い主さんが笑顔でいるだけで、愛犬には生きる力がみなぎります。それほど笑顔には、とてつもない力があると実感しています。

 

そしてもうひとつ、とても大切なことがあります。
愛犬にたくさん「声」をかけてあげることです。

「大丈夫だよ」「心配ないからね」「ずっとそばにいるからね」

優しく触れながら声をかけると、愛犬はとても安心した表情になります。

飼い主は愛犬が病気になると、心配で夜も眠れなくなったり、元気のない姿を見て涙を流すことも多いと思います。犬は口がきけないため、どうしてほしいのか確認することもできません。痛いのかもしれない、辛いのかもしれない…そう思うと悲しくてやりきれない気持ちになってしまいます。

ですが、そんな時こそ、笑顔で優しく愛犬に語りかけてあげて、愛犬の不安を取り除いてあげることが大切だと思うのです。

 

犬は素直で賢くて、とても勘がいい生き物です。だから飼い主の気持ちはすぐにばれてしまうんですよね。焦ったり不安になったりイライラしたりすると、それはそのまま愛犬に影響してしまうことがあります。

わたしも愛犬クリンが食べムラでなかなか食べられない時、薬を飲んでくれないことで病状が悪化するのではないか、と気が気でなく、無理に食べさせようとしていました。その結果、クリンはご飯の時間そのものがストレスになってしまい、余計に食べなくなってしまったという経験があります。飼い主に気持ちの余裕がなくなってしまうと、愛犬に大きなストレスを与えることになりかねません。

 

もし愛犬が病気になってしまったら、わたしはこの3つのことを気をつけるようにしています。特に3つめはとても効果があります。クリンが元気のない時は、いつも耳元でこう囁いています。

 

「クリンは絶対に大丈夫。もっともっと元気になるし、ご飯もいっぱい食べられるよ。」