老犬の食べムラ・食い渋り ~老犬が食べない悩みをお持ちの飼い主さんへ伝えたいこと

ワンワンラボにご訪問いただき、ありがとうございます。

今日はクリンの20歳の誕生日。

クリンは2019年3月に19歳1ヶ月で旅立ちましたので、残念ながら成人式を迎えることは叶いませんでした。

この記事を書いた当初は、クリンは18歳を迎えたばかりで、食べムラ・食い渋りに悩んでいる真っ最中でした。ありがたいことに、この記事はたくさんの方にお読みいただき、2年前の記事にもかかわらず、今でもコメントをいただいております。

クリンを見送ってから思うこと、気づいたことなどを追記して、クリンの20歳の誕生日にリライトして公開させていただくことにいたしました。

どうか、食べムラ・食い渋り・食欲不振で悩んでおられる飼い主さんに届きますように。

 

 

シニア犬の「食欲不振」は特別ではない

 

 

我が家の愛犬クリンの食べムラは、15歳の時から始まりました。

食べムラを経験し、いろんなことを知りました。

食べることは決して当たり前のことではないこと、フードと薬は分けた方がいいこと、実は食べムラや食い渋りは一番精神的に堪える、ということなどです。

同じ悩みを持つ飼い主さんはたくさんいらっしゃると思います。食べムラ・食い渋りに約4年間悩んだ飼い主のひとりとして、経験と感じたことなどを書いていきます。

 

クリンの食べムラが始まって一番最初に思ったことは、「このままどんどん弱って衰弱していくのではないか」ということでした。若い頃は、お腹の調子が悪くなると1~2日食事抜きで様子を見るということもありましたが、この頃は普通に食欲があったので、さほど気になることはありませんでした。

 

そして「あること(飼い主の失敗)」がきっかけで、「食べること」そのもの、食べ物に対しての不信感を持たせてしまいました。今まで喜んで食べていたものですら、口にしなくなってしまいました。

ネットで「シニア犬 食べムラ」で検索すると、「食べないのは末期症状…」「最期は食べなくなって…」など、かなりネガティブな表現のものが多く、読めば読むほど余計に不安になっていきました。少しでも希望を持ちたくて検索するのに、出てくる結果がマイナスのものばかりだと、ただでさえ弱っている心がどんどん追い込まれてしまうんですよね。

歳を取ると、体調も常に万全ではありません。寝不足だったり、前日に胃の調子が悪いと、それだけで食べなくなることもあります。ですから、愛犬がシニアになって食欲が落ちることは、とても自然なことなのだとは思いますが、それでもやっぱりとても心配になります。

 

 

食べムラの原因を考えてみる

 

 

食べムラの原因として、元々食べることに執着がなかったり、単なるわがままであったりもしますが、何かしら「食べなくなった」きっかけがあったという場合もあります。いくつかの複数の問題が原因で食べない、ということもあると思います。

愛犬が食べないことは、飼い主にとってとても深刻です。食べないと体力の低下や体が冷えて代謝が低下することもありますので、少しでもいいから何か食べてほしいと願ってしまいます。

振り返ると、うちの場合は食欲不振の時には必ず原因がありました。

 

食べない時に考えられること

 

1.なんとなく食べたくない

2.胃腸の調子が芳しくない

3.噛む力が弱まって、または歯に問題があって食べにくいため食べない

4.体のどこかに痛みや不具合(病気)がある

5.食べることそのものへの不信感

 

1.なんとなく食べたくない

前日にたくさん食べた時などは、翌日なかなかご飯を食べないことがあります。シニアになると長時間寝ていることが多くなりますので、動く時間が少なくなり、胃腸の動きも悪くなっていることがあります。若い頃と違い、老犬になると消化にも時間がかかるため、お散歩などの適度な運動や気分転換は食欲を高めるきっかけになります。

また、鼻が利かなくなっていることも考えられます。犬にとって匂いはとても大切な情報。ところが年を重ねるごとに匂いもわからなくなっていきます。良い匂いにつられてキッチンに飛んでくるようであれば問題ないですが、無関心でいるようなら、もしかすると匂いがわからなくなっているのが原因のひとつかもしれません。

そしてこれはシニア犬あるあるですが、「単なるわがまま」ということも考えられます。人間同様、歳をとると犬もわがままになります。食べムラ・食い渋りが続いている時は、手を変え品を変えいろんなものを与えてしまいがちです。すると、「待っていたらもっといいものが出てくるかも」と、ドッグフードなどを食べなくなってしまうこともあります。

こんな時は、匂いの強いトッピングが有効です。多少の添加物もよしとして、かなり匂いが強い缶詰をトッピングしたり、ふりかけをレンジで温めて匂いを強くしたりすると食べてくれることもあります。

わがままかも、と思う場合は、少し様子を見るのもひとつです。病気や体調不良がない場合はドッグフードを下げてしまうのもひとつ。ただし、ハイシニアの場合は、好きなものをおいしく食べてもらうというのもありだと思っています。お腹を壊さないなら、人間用の牛乳もおススメです。クリンの晩年はテラカニスという缶詰と人間用の牛乳にとても助けられました。

 

2.胃腸の調子が芳しくない

歳と共に代謝が落ち、内臓の働きが悪くなります。消化の悪いものを食べたり、なかなか消化できない場合などは食欲が減退する原因になります。クリンは夜中にご飯を食べたがることが多く、ご飯を欲しがるのが嬉しくてついつい食べさせてしまうと、翌日はなかなかご飯を食べなかったということがありました。

胃腸の調子が悪い時は便の状態がいつもと違ったり、腸がキュルキュル鳴ったりします。そんな時は食欲が出るまでそっとしておきます。そんな時、牛乳はとても役立ちます。牛乳は犬に与えてはダメという意見もありますが、お腹を壊さなければ問題ないですし、牛乳だけで数ヶ月生きた犬もいると獣医さんに聞きました。牛乳は栄養もあるし液体で飲みやすいので、なんとなく食欲がない、という時にはとても助かります。ワンコは甘い味をおいしいと感じるそうなので、体に優しい砂糖やはちみつなどを混ぜて甘味をつけてあげると、より飲んでくれるかもしれません。

お腹の音が数日治まらなくて食欲がない場合は、胃腸炎・膵炎など、病気の可能性があります。数日続く場合は病院に行くことをおすすめします。こじらせてしまうと長引いてしまい、命を脅かす危険性があります。シニア犬の場合、こじらせると本当にやっかいなので、様子がおかしいと思ったら診察を受けることを強くおすすめします。

 

3.食べにくいから食べない

今まではパクパク食べていたフードも、歯の状態が悪くなったり、顎の力が弱まったりすることで、噛めなくなってしまったり、食べにくくなっていることが考えられます。

うちの場合、咥えたおやつをポロっと落としたり、それまで大好きだったキャベツの芯などを食べなくなったことで、顎の力がなくなったとわかりました。それ以来、食べやすい形状に小さくカットしたり、フードを砕いてやることで食べるようになりました。あまり大きな粒だと誤飲の危険もありますので、年齢と共にフードの大きさを変えてあげることをおすすめします。

犬って案外繊細で、「うまく食べられない」と食べなくなってしまうことがありますので、もし思い当たることがあれば、試してみてくださいね。

 

4.体のどこかに痛みがある

振り返ると、クリンが食べなかった原因は体の不具合が一番の原因だったと思います。食べムラ・食い渋りになったきっかけは投薬でしたが、食べない時には体のどこかに痛みがありました。

クリンの場合は子宮の鈍痛と歯の痛みでした。子宮摘出をしたのは18歳になる前でしたから、それまで約3年間も痛みがあったのだと思うと、もっと早く転院すればよかったと今でも思います。

術後摘出した子宮を見せてもらいましたが、片方が通常の2倍くらいに腫れあがっていました。ずっと気持ち悪いような痛いような状態だったから、食欲も出なかったんだと思うと言われたときは、気づいてあげられなかったことをものすごく悔みましたし、今でも後悔の念は消えません。

参考記事:避妊手術について考える ~老犬の子宮蓄膿症の治療について

 

体のどこかに痛みがある時は、何らかのサインがあります。食べムラ・食い渋りもそのサインのひとつです。

もしかしたら、なんとなく具合が悪いという感じで、検査では出てこないかもしれませんが、食欲不振が続くようでしたら、獣医さんに相談されることをおすすめします。

食べないことに以下のような症状が出始めたら、症状が悪化していたり、炎症数値が跳ね上がっていることも考えれ羅れます。

寝てばかりいる/失禁/軟便/腸から音がする/吐く/うずくまるなど

ワンコは我慢することが多いそうで、痛がったりするのはよほどの状態であることが多いそうです。特に老犬の場合は、たった1日処置が遅れただけで重篤な状態になることもあります。

ワンコは10歳を超えると体のあちこちに不具合が出始めることが多いそうです。どんな病気でも、早期発見できれば早く治療することができますし、心臓や腎臓などの再生しない臓器も、投薬により寿命を大きく伸ばすことができます。悪いところがないようでも、数ヶ月ごとの定期健診を受けておくと不具合に素早く対処できます。

 

5.食べることへの不信感

これは今でもずっと後悔していることで、クリンに申し訳ない気持ちでいっぱいです。

クリンの食べムラのきっかけは「投薬」です。

14歳で胆泥症と診断され、以来毎日の投薬が始まりましたが、普通にご飯の上に薬を置いて一緒に食べさせていたため、問題なく薬を飲むことができていました。ところが15歳の時の足の炎症がきっかけでご飯を食べなくなってしまいました。その時に処方された「抗生剤」が非常に苦い薬で、それを無理やり飲ませようとしたことがきっかけで食べ物に対する不信感を持たせてしまいました。

それまで大好きだったお肉やささみ、ジャーキーなどにくるんで薬を飲ませようとしましたが、結局ばれてしまって口から吐き出してしまいました。そんなことを繰り返しているうちに、痛みがあって食べなかっただけなのに、食べ物自体に不信感をもってしまい、食べること自体を嫌がるようになってしまいました。

これは飼い主として最大の失敗であり、今でもクリンに申し訳ない気持ちでいっぱいです。正直、この失敗がなかったら、食べることが大好きなままであったら、もしかしたら成人式を迎えることができたのではないかとさえ思います。

 

 

食べムラを怖がらないで

 

 

クリンが15歳の時から始まった食べムラ・食い渋りは旅立つ日までほぼ毎日続きました。

体の痛みや不具合が取れた時は食欲も改善しましたし、お腹が空くとすごい勢いで食べてくれることもありましたが、すぐに食べないことが癖になってしまったように思います。

一度食べムラや食い渋りになってしまうと、何とか食べてほしいと「好きなおやつ」や「好物のお肉」など、犬にとってのごちそうを用意したり、毎回フードを変えてしまったり、新しい缶詰を次から次へと開けてしまったりすることで、どんどんわがままになってしまいました。当時冷蔵庫の中はクリンの食べなかったものでいっぱいになることもありました。

愛犬が食べないことって、飼い主の精神的なダメージが本当に大きいんですよね。このまま食べなかったらどうしようと落ち込み、実際わたしはノイローゼになってしまいました。毎日眠れずにいろいろ考えては泣いてみたり、ネットで検索しては落ち込んだり、今考えると本当におかしくなっていたと思います。

でも、どれだけ食べなくても、お腹が減ると必ず何かを口にします。病気が原因の食欲不振でない限り、食べムラはいつか治まります。クリンは食べない日もありましたし、痩せてしまったこともありましたが、それでも19歳を迎えることができました。

 

特に老犬は、食べるスイッチが入りにくいという場合もあります。若い頃より運動量が減り、代謝が落ち、なかなかお腹が空かないということもあります。そんな時は「もっと食べたい」「お腹が減った」というスイッチを入れてあげるのも手です。スイッチは、大好物のおやつや、人間の食べるもので甘いものも結構有効です。

カステラ、バームクーヘン、バニラアイスクリーム、加糖ヨーグルトなど、お腹が減っている時はものすごく食いつきます。これは奥の手としておすすめです。

クリンの場合は、先にカステラだけを与え、食いついてきたらフードの上にカステラを小さくちぎったものをトッピングして食べさせたりします。これを我が家では「呼び水」と呼んでいます。

トッピングだけ先に食べてしまい、フードだけ残ると食べなくなることもありますので、食べている最中にトッピングを横から追加したり牛乳を入れたりして、そのまま止まらず食べ続けるようにしています。

 

 

愛犬に食べムラや食い渋りが出た時に大切なこと

 

 

今、愛犬の食べムラで悩んでいる飼い主さんへ。

クリンの食べムラ・食い渋りに約4年向き合い、もし持病や体調不良などがないのであれば、あまり深刻に悩まないでください。1日2日食べなくても、お腹が減ったら必ず食べてくれます。我が家のわがままシニア犬は、15歳から3年食べたり食べなかったりを繰り返していますが、今でも元気に過ごしていますから。

 

何よりも愛犬にとって一番ダメージが大きいのは、飼い主さんの悲しい顔や、食べないことを叱られることです。

犬って飼い主の精神状態をよく理解しているんですよね。クリンが食べない時、イライラしたり怒ったりすると、元気がなくなったり余計に食べなくなったりしました。

でもご飯を食べた時に「すごいね~~!」と褒めると、食べるスピードがアップするんです。ああ、犬ってちゃんとわかってるんだな、とつくづく思いました。

 

犬にとっての一番の良薬は、飼い主さんの愛情であり、飼い主さんの笑顔です。

 

たとえ食べなくても、どうか怒らないであげてください。大丈夫大丈夫、お腹が減ったら食べようね!と笑顔で接してあげてください。

15歳から4年間、ずっと食べないことに悩んできましたが、19歳を元気に迎えることができました。そして旅立つ前日まで、いつも通り過ごすことができました。

多少食べなくても、たとえ食べない日があっても、どうかあまり深刻にならないでくださいね。

 

 

ライター:福井 惠子

 

 

【ドッグフード】我が家のドッグフードの選び方

愛犬情報

犬種:ビーグル

病名・症状:持病なし 胃腸が弱くよく吐いたりえずくことが多い

発症年齢:診察を受けたのは2年前

対処法:2019年9月より消化酵素配合のフードに切替

 

 

食べるもので体の質は変わる

 

ドッグフードを選ぶ基準は飼い主さんによって違います。

我が家では、パピーの頃からプレミアムフードといわれるフードを選ぶようにしていました。それは、食事の質で体の質が変わるということを知っていたからでした。

クリンを迎えた約20年前はフードの種類は少なく、当初プレミアムフードといわれていたのはロイヤルカナンかヒルズくらいでした。

最近は多種多様のフードがたくさんのメーカーから出ています。アレルギーなどに配慮できるオーダーメイドのフードや、持病がある子用の療養食、手作りのフードに混ぜて使うたんぱく質や乾燥野菜など、どれを選んでいいか迷われている飼い主さんも多いのではないでしょうか。

添加物のことや原材料表示など、見方がわかると選択肢も変わります。参考までに、自分の経験と知識を元にした我が家のドッグフードの選び方を紹介させていただきたいと思います。

 

 

知らないと怖い!原材料表示の見方

 

フードを選ぶ時、必ずチェックするものがあります。それはパッケージ裏面に書いてある「原材料表示」です。

前職はメーカー勤務で食品やサプリメントを開発する業務に携わっていたこともあり、原材料や添加物等について多少知識を持ち合わせていたので、原材料表示は必ずチェックしています。

原材料表記の表現にはルールがあります。うちの子に与えている消化器サポートのフードの裏面表記を参考に説明をさせていただます。

表記は含まれている量が多い順から記載されています。一番多く含まれているのが「米」で、次に「魚粉」となります。(余談になりますが、加水分解されたものは体によくないと聞いたことがありますが、信頼している病院で聞いたところ問題ないといわれました。今のところえずきもかなり改善されています。)

それよりも絶対に避けた方がいいものがあります。それは「肉類」という表記のあるフードやおやつです。

ホームセンター等に大袋で売っているフードは、たいてい「肉類」が一番上に書いてあります。実はこの肉類というのは「畜肉」といわれるもので、人間は決して食べてはいけない肉だということです。

たとえば鶏肉の場合は鶏肉、豚の場合は豚肉と表記されます。しかしこの畜肉といわれるものは、何の肉か、どの部分の肉かもわからないんです。

そして畜肉の多くは、汚染されたものや加工してあるもの、ここに書くのもはばかるような肉も含まれるといわれています。もちろんすべてが悪いものではないと思いますし、人間が味見をして大丈夫であれば何の問題もないと考えています。
これも知っておいていただきたいのですが、加工された肉には添加物が含まれていても、無添加と謳えるそうです。
これ、ご存知ない方が多いのではないでしょうか。

肉類という表記そのものが加工されている肉であるという表記であるため、加工する過程で使用した添加物については表記する必要がないそうです。

そして怖いのは、この表記ルールを知らないとうっかり添加物の入ったものを食べさせてしまう危険性があることです。実は私も失敗したことがあります。ドライフードにかけて使用するパウチタイプのウェットフードがありました。その商品は表側にでかでかと「無添加」と謳ってありました。ところが裏面を見るとしっかり「肉類」と書いてありました。

食の細い子や食べムラ・食い渋りのある子の場合、食いつき改善のためにドライフードの上にこういったトッピングをされることもあると思いますが、もし無添加がいいという場合はぜひ裏面を確認してみてくださいね。
ただ、無添加のものは香りも弱く、食いつきや添加物を使用しているものの方がよかったりしますから、主食のドライフードは無添加のものにして、トッピングなどは食いつき重視されるものありだと思います。

ちなみに我が家の場合は食いつきを重視していたので、主食のドライフードは無添加でヒューマングレードのものを使い、トッピングは添加物を使用したトッピングを使用していました。

 

 

添加物は摂りすぎ注意

 

添加物には様々な種類があります。中には害が少ないものもあれば、体調に大きく影響するものや、摂りすぎた場合体に不調をきたしてしまうものもあります。決してすべての添加物を否定するつもりはありませんが、できるだけ避けた方がいいのは間違いありません。

わたしたちが毎日外食でハンバーガーばかりを食べ続けたらどうなるか…を想像していただくとわかりやすいと思います。実際に若くして亡くなってしまわれたケースもあるとニュースになったこともあります。

こういう話をすると、添加物は悪という話になってしまいそうですが、必要最低限であればさほど問題はないと考えます。

例えば上記画像。これはうちの子に与えているおやつですが、原材料表記のところには「豚耳」とだけ書かれています。商品名のところに保存料・酸化防止剤・保湿剤・着色料・発色剤・甘味料・香料不使用と謳っています。これは非常に安心できるおやつだといえます。

ただし、開封したら必ず冷蔵保存となりますし、賞味期限も短くなっていますので、早く食べさせてしまわないと酸化してしまう恐れがあります。

このように、添加物不使用のメリットもあれば、デメリットもあります。

ワンコのフードもおやつも選ぶのは飼い主であるわたしたちです。体の小さな子ならば、無添加のものならできるだけ小分けしてあるものにしたり、大袋なら保存料や酸化防止剤など、できるだけ天然由来のものを使用したものを使うとより安心できます。

そして非常に毒性の強い「危ない添加物」を避ける、量を減らすだけでも大切な我が子の健康を守ることができます。

 

 

これはクリンが食べない時、非常にお世話になったジャーキーの裏面表示です。

最初の砂肝以外はすべて添加物です。ソルビトール・グリセリンは保湿性の向上、プロピレングリコールは防腐剤として添加されており、これらは人間用でも使用されている比較的毒性の低いといわれる添加物です。
ここで見ていただきたいのは一番最後の「発色剤(亜硝酸ナトリウム)」。

実はこの亜硝酸ナトリウムは、食品添加物の中でも急性毒性が非常に強く、肉や魚に含まれるアミンと結合すると発ガン性物質になるといわれています。

 

我が家のクリンは19歳で大往生してくれましたが、16歳頃からずっと食べムラ・食い渋りに悩まされてきました。
ある時、クリンが全然食べてくれなった時がありました。病院で血液検査をしてもらってもどこも問題なし。困り果ててホームセンターに駆け込み、何か食べてくれそうなものを物色している時、このジャーキーが好きだったことを思い出しました。背に腹は変えられず、即購入。クリンは封を開けた瞬間から大興奮で、一気に3つほど食べたほどでした。そしてこの日と翌日の2日間、このジャーキーしか口にしなくなりました。

翌日、またクリンの様子がおかしいと感じ、病院に駆け込んで血液検査をしてもらったところ、GPTが1000オーバーになっていました。

たった1日でこれほどまで数値が上がったことに驚きましたし、他のものを一切食べないとかなり肝臓に負担がかかってしまうのだということが身に染みてわかりました。GPTが上がったのは、体力が落ちていたことや体調がすぐれなかったことも影響していると思いますが、数値が跳ね上がったことは事実です。

 

添加物の中にも、酸化を防ぐための酸化防止剤や食欲をそそるための香料など、ワンコのための添加物もあります。酸化した食べ物は体に非常に悪いですし、保存料の入っていないものは日持ちしないためすぐに使いきらないといけなくなります。また食欲を促進させてくれる香料などは、食べムラや食い渋りのある子には強い味方です。

でも発色剤は、飼い主さんに買ってもらうために使われているんですよね。

犬は色で食べ物を選びません。発色剤の使われているものは、たいていとても綺麗な色をしています。それは飼い主さんの購買意欲をそそるために色付けされていることが多く、決してワンコに必要なものではないんです。

犬に必要な添加物は仕方ないとしても、犬に必要のない添加物はできるだけ避ける方が、ワンコの体を守ることができますし、何より医療費の節約になります。

ちなみに肝臓や腎臓に問題ある子の場合は、できるだけ無添加のものを使用することをおススメします。

 

添加物は毒です。決して体にいいものではありません。

体内に入った毒素を代謝するのは肝臓と腎臓です。

肝臓は、栄養素を代謝したり解毒する働きがあります。腎臓は老廃物など体にいらないものを、尿と一緒に体外に出して体をきれいにしてくれます。どちらの臓器も、体に入った毒を分解したり排出してくれるのですが、肝臓や腎臓の働きが悪くなってしまうと老廃物が体内に残り、蓄積されていきます。これが病気の原因になってしまいます。

特に腎臓の細胞は再生しないため、一度悪くなってしまうと二度と戻ることはありません。

肝臓疾患や腎臓疾患のある子には、添加物はできるだけ避けてあげる方が安心です。

 

 

大切な我が子の健康を守るために

わたしが一番意識していること。それは「今、自分ができることをする」です。

過去を振り返ると、後悔はいっぱいあります。もっとこうすればよかった、ああすればよかったと、正直今でも思います。

でも、過去はどうすることもできません。なので、今できることをやる。一生懸命やって後悔のないようにする。

実際、どれだけ気をつけていても、絶対に病気にならないということはありません。どれだけ気をつけていても、どうすることもできない場合もあります。
でも神経質になって、あれはダメ、これもダメ!となってしまうと、食べるものが選べなくなってしまいます。
実際人間でも、すごく健康に気をつけていても病気になってしまわれる方もいらっしゃいますし、体に悪いことばかりしていても、健康で長生きされる方もいらっしゃいます。

大切なのは、バランスだと思っています。

添加物も多少は仕方ない。その代わり、できるだけ害のないものを選ぶようにする。
野菜や果物、たまには食べさせる。
手作りフード、できる時は作る。

そして何より、食べることはペットにとっては一番のお楽しみ!食事は幸せな時間、食べることを共に楽しむ!
うちの子はよく吐くんです。一通り検査をしてもらいましたがどこも異常なし。もしかしたら喉が弱いのかと思いましたが、それも問題なしでした。

なので消化酵素が配合されている今のフードを選びました。
このフードにしてから、確かに吐く回数はぐんと減りました。今のところ不具合もないので、当面このフードのお世話になろうと思っています。

飼い主さんによって考え方は様々だと思いますし、フードの選び方もそれぞれだと思います。

もし今どのフード・おやつにするか迷っておられたら、パッケージの裏面を見てみてくださいね
皆様のおうちの大切な子たちが、いつまでも元気で健康でありますように。

 

 

 

ライター:福井 惠子

 

 

【老犬・シニア犬の食欲不振】年齢と共に変わる食い渋り・食欲低下の悩み②

愛犬情報

犬種:ミニチュアダックスフンド

病名・症状:食べムラ・食い渋り・食欲不振・食欲低下

発症年齢:15歳~

発症の経緯:投薬の失敗~加齢による食欲低下

治療法:自宅での工夫

 

関連記事:【老犬・シニア犬の食欲不振】年齢と共に変わる食い渋り・食欲低下の悩み①

 

「食べない」悩みから「食べられない」悩みへ

 

前回の記事では食べムラ・食い渋りの悩みから、体の機能が低下するのと同時に食べる機能の低下による「うまく食べることができない」悩みへと変化した過程についてお話させていただきました。

15歳の頃はクリン自身が食べたいと思うものしか食べなかったので、食べたいものが何かを探して当たりを見つけるといった感じでしたが、年を重ねるごとに、うまく食べられるように環境を整えることが必要になってきました。

最後の半年は、器の場所がわからなくなったため、どうやったらフードまで誘導できるか、また飲み込みが悪くなってきたことでフードの形状や大きさなども考えるようになりました。

今回は体の変化・老化に伴う「食べるもの・食べさせ方の変化」についてお話させていただきます。

 

関連記事:【老犬・シニア犬の食欲不振】年齢と共に変わる食い渋り・食欲低下の悩み①

 

15歳~17歳半:食べ物への不信感の払拭

 

クリンが食べなくなった最大の理由は投薬の失敗です。

好きな食べ物に苦い薬を隠して無理やり食べさせようとしたことで、食べることに対して恐怖を植え付けてしまったことが一番の原因でした。苦い薬は抗生剤と痛み止めで、投与は限られた日数しか投与していませんでしたが、薬をやめても食べることへの恐怖はなくなることはありませんでした。

当時常用薬だった利胆剤と強胆剤を1日2回服用していましたが、無味の薬でさえ嫌がるようになり、それまではフードの上に置いて一緒に食べてくれていたのが、薬やサプリメントの匂いがするだけで飛んで逃げるようになってしまいました。当時通っていた病院に確認したところ、1日くらい飲まなくても問題ないと言われていたので、投薬よりも食べることを優先しました。

今となっては15歳は若いと思えますが、当時は十分高齢だと思っていたため、食べないこと=体力が落ち弱ってしまう=もしかしたらこのまま衰弱してしまうのではないか…と考えていました。

今思い返すと、1日食べないことはあっても、丸2日何も食べないということはありませんでした。たいていお腹が空くと何かしら口にしてくれていました。無理やり投薬することをやめたことで薬への警戒心も少しずつ薄れていったのか、食べ始めの時に薬を入れなければ普通に食べてくれることもありました。

投薬については、当時はまだシリンジを使って投薬という知識はなかったため、薬をオブラートでくるんでジャーキーの匂いをこすりつけたり、おろし金ですったジャーキーをまわりにつけて、食べている時にトッピングをふりかけるフリをしてフードの下に隠し入れたりしてごまかして飲ませていました。

当時気に入っていたのは、砂肝ジャーキーでした。無添加のものや自宅でレンジで作ったジャーキーをはさみでカットしてふりかけたりフードに混ぜていました。

でも食欲が落ちている時は、匂いの弱い無添加だと食べないこともあったので、その時はホムセン等で売っている添加物たっぷりの砂肝ジャーキーを使うこともありました。クリンはこの体に悪そうなジャーキーが大好きで、食べないよりは食べた方がいいということで、結構お世話になりました。

 

【ご飯は食べないけど心配なかった時の状態】

  • ご飯を食べなくても水は飲んでいる
  • 好きなものには反応する(生クリームやバームクーヘン等)
  • 元気で動きもいい
  • 通常通り排泄ができている

 

 

17歳半~18歳半:体の機能が落ち始める

 

17歳の誕生日を迎えた頃は、まだまだ元気いっぱいでした。目も見えていましたし、アイコンタクトもしっかり取れていました。

ところが、17歳半を超えた頃だったと思いますが、初めて玄関前の段差のところで転んだんです。

その頃は、よく自宅前でノーリードで走らせていました。少し離れたところに連れて行き、地面に降ろしてそのまま自宅前に戻りクリンの名前を呼ぶと、嬉しそうに走ってきていました。

自宅前には少し段があり、2段の階段があります。それまでクリンは自分で階段を上っていました。腰が心配だったので、基本抱っこするんですが、ある時自分でいつものように上ろうとして、手前の段差でコロンと転んだんです。

以降、お散歩の時にしりもちをついたり、少し傾斜がついているところで転んでしまうといったことがありました。年を重ねるごとに転ぶ回数が増え、18歳半を迎える頃には、1日数回のお散歩の中で1回は転んだりしりもちをつくようになりました。

視力の低下もあったと思いますが、つまずいた時にふんばる力がどんどん衰えていたのだと思います。ちょうどこの頃、階段から落ちるということもありました。我が家のリビングは2階にあり、いつも帰宅したら3頭の子たちが階段前に集合して待ってくれていたのですが、その時にみのすけに押されて階段を落ちてしまいました。驚いてすぐに病院に連れていきましたが、どこも問題なくホッとしました。それ以来、階段前には柵を置くようになりました。

運動機能の低下と共に、食べる機能にも少しずつ衰えが見られました。

食べるスピードがそれまでよりもゆっくりになり、サイズの大きな野菜やおやつなどをくわえて落としてしまったりということが見られるようになりました。

その頃から、台の上に置いてご飯を食べさせるようになりました。それまでは床置きでしたが、すごく食べにくそうにしていたため、高さを変えてみたところ、それまでよりもスムーズに食べてくれるようになりました。

17歳9ヶ月の開腹手術後からシリンジを使うようになり、シリンジでの投薬となりました。この時に投薬の苦労から解放されることになりました。

シリンジを使えるようになると、食べない時には流動食や介護食をシリンジで与えられるようになりました。最初は嫌がりましたが、少しずつ慣れてくれて飲み込んでくれるようになりました。シリンジを使えるようになり、介護の時間がぐっと減りました。できるだけ自力で食べてほしいと思っていたので、シリンジ食はできるだけ控えるようにしていましたが、投薬のストレスから解放されただけでもかなり楽になりました。

 

 

【体の状態にあわせてご飯や薬の与え方を変える】

・ドライフードの粒の大きさはあっているか(飲み込みや咀嚼に問題はないか)

・以前より食べるスピードは落ちているようなら、フードの形状や大きさ・固さを変える

・食べにくそうにしていたら、食べる高さを変えてみる

・常用薬があり食べムラがある場合はシリンジ等で投薬コントロールすると安心できます

 

 

18歳半~19歳:顕著な機能低下~できないことが増えていく

 

クリンはとても元気な子でした。毎日のお散歩では楽しそうにピョンピョンと飛び跳ねるように走り、立ち止まるとわたしの周りをくるくると走るくらい足腰の丈夫な子でした。

ところが18歳半を過ぎた頃から、足腰に明らかな異変が出始めました。それまでは夜中に起き出して歩き回っていましたが、転んで起き上がれなくなるという状態になりました。

夜中に「ヒーン、ヒーン」と鳴く声が聞こえ、慌てて起きてクリンの元に行くと、倒れて起き上がれなくなっているということが度々起こるようになったのです。

病院では、とにかく体を冷やさないようにといわれていたので、この頃は服の重ね着+腹巻をしていました。軽い素材ではありましたが、動きが制限されているかもと思い、服を1枚にしました。そして毎日のお散歩+バランスディスクでのトレーニングをするようになりました。トレーニングの効果があったのか、転ぶ回数は少し減りました。

そして12月に歯石除去をしました。麻酔は笑気ガスのみで、挿管はせずに短時間で終了しました。年齢的に麻酔の負担はあったと思いますが、歯の状態がかなり悪くなっていたことと、ずっと炎症数値が下がらなかったことで投薬が続いていたため決断しました。

術後数日は食欲低下がみられましたが、食欲が戻ってからはよく食べてくれるようになりました。歯の状態が悪いと、食欲にかなり影響があると感じました。特に歯槽膿漏や歯のぐらつきで痛みがある場合は、食欲に直結するように思います。

食べない日はシリンジ食で与え、とにかく体重が減らないように気をつけていましたが、クリンの体重は3kgちょっとになっていました。ヘルニアもあったので、あまり体重が増えるのもよろしくないですが、体力が落ちないようにかなり気をつけていました。

19歳を迎える頃には、お散歩で転ぶようになり、リードを上に引っ張って転ばないようにしていました。そしてわたしの周りをグルグルと走り回ることもなくなっていました。

ほんの半年前までは台の上のフードを食べることができていましたが、この頃には口元まで手で持っていき、食べやすい角度をつけてご飯を与えるようになっていました。台の上に載せても、顔を下げることが難しくなっていたことと、口にうまく運ぶことができなくなっていたんです。

そして誕生日を迎える頃には、お水を飲みにいくこともなくなりました。最後に自力でお水を飲みにいったのは、確か19歳の誕生日を迎える前の1月だったと記憶しています。なので水分量を計って与えるようになりました。

クリンは水頭症があったため、その影響が大きかったように思います。認知症も多少あったかもしれませんが、夜鳴きもせず、撫でたり抱っこしりすると嬉しそうにしてくれていましたし、病院では先生に反抗もしていました(笑)

時系列で整理すると、足の衰えと食欲低下は比例していることがとてもよくわかりました。足の衰え=体力・筋力の低下なので、当たり前といえば当たり前なんですが、よく転ぶようになったのと同時に、お口の中に食べ残しが多くなっていました。大好きだったバームクーヘンも、食べようとするものの、口の水分をとられるためか飲み込めなくなり、口の中がバームクーヘンだらけになることもありました。

この時に、「食べない」のではなく、「うまく食べられなく(飲み込めなく)なっている」のだと認識しました。

 

 

【老犬・シニア犬の食欲不振】年齢と共に変わる食い渋り・食欲低下の悩み③に続く

 

ライター:福井 惠子