【老犬・シニア犬の食欲不振】年齢と共に変わる食い渋り・食欲低下の悩み②

愛犬情報

犬種:ミニチュアダックスフンド

病名・症状:食べムラ・食い渋り・食欲不振・食欲低下

発症年齢:15歳~

発症の経緯:投薬の失敗~加齢による食欲低下

治療法:自宅での工夫

 

関連記事:【老犬・シニア犬の食欲不振】年齢と共に変わる食い渋り・食欲低下の悩み①

 

「食べない」悩みから「食べられない」悩みへ

 

前回の記事では食べムラ・食い渋りの悩みから、体の機能が低下するのと同時に食べる機能の低下による「うまく食べることができない」悩みへと変化した過程についてお話させていただきました。

15歳の頃はクリン自身が食べたいと思うものしか食べなかったので、食べたいものが何かを探して当たりを見つけるといった感じでしたが、年を重ねるごとに、うまく食べられるように環境を整えることが必要になってきました。

最後の半年は、器の場所がわからなくなったため、どうやったらフードまで誘導できるか、また飲み込みが悪くなってきたことでフードの形状や大きさなども考えるようになりました。

今回は体の変化・老化に伴う「食べるもの・食べさせ方の変化」についてお話させていただきます。

 

関連記事:【老犬・シニア犬の食欲不振】年齢と共に変わる食い渋り・食欲低下の悩み①

 

15歳~17歳半:食べ物への不信感の払拭

 

クリンが食べなくなった最大の理由は投薬の失敗です。

好きな食べ物に苦い薬を隠して無理やり食べさせようとしたことで、食べることに対して恐怖を植え付けてしまったことが一番の原因でした。苦い薬は抗生剤と痛み止めで、投与は限られた日数しか投与していませんでしたが、薬をやめても食べることへの恐怖はなくなることはありませんでした。

当時常用薬だった利胆剤と強胆剤を1日2回服用していましたが、無味の薬でさえ嫌がるようになり、それまではフードの上に置いて一緒に食べてくれていたのが、薬やサプリメントの匂いがするだけで飛んで逃げるようになってしまいました。当時通っていた病院に確認したところ、1日くらい飲まなくても問題ないと言われていたので、投薬よりも食べることを優先しました。

今となっては15歳は若いと思えますが、当時は十分高齢だと思っていたため、食べないこと=体力が落ち弱ってしまう=もしかしたらこのまま衰弱してしまうのではないか…と考えていました。

今思い返すと、1日食べないことはあっても、丸2日何も食べないということはありませんでした。たいていお腹が空くと何かしら口にしてくれていました。無理やり投薬することをやめたことで薬への警戒心も少しずつ薄れていったのか、食べ始めの時に薬を入れなければ普通に食べてくれることもありました。

投薬については、当時はまだシリンジを使って投薬という知識はなかったため、薬をオブラートでくるんでジャーキーの匂いをこすりつけたり、おろし金ですったジャーキーをまわりにつけて、食べている時にトッピングをふりかけるフリをしてフードの下に隠し入れたりしてごまかして飲ませていました。

当時気に入っていたのは、砂肝ジャーキーでした。無添加のものや自宅でレンジで作ったジャーキーをはさみでカットしてふりかけたりフードに混ぜていました。

でも食欲が落ちている時は、匂いの弱い無添加だと食べないこともあったので、その時はホムセン等で売っている添加物たっぷりの砂肝ジャーキーを使うこともありました。クリンはこの体に悪そうなジャーキーが大好きで、食べないよりは食べた方がいいということで、結構お世話になりました。

 

【ご飯は食べないけど心配なかった時の状態】

  • ご飯を食べなくても水は飲んでいる
  • 好きなものには反応する(生クリームやバームクーヘン等)
  • 元気で動きもいい
  • 通常通り排泄ができている

 

 

17歳半~18歳半:体の機能が落ち始める

 

17歳の誕生日を迎えた頃は、まだまだ元気いっぱいでした。目も見えていましたし、アイコンタクトもしっかり取れていました。

ところが、17歳半を超えた頃だったと思いますが、初めて玄関前の段差のところで転んだんです。

その頃は、よく自宅前でノーリードで走らせていました。少し離れたところに連れて行き、地面に降ろしてそのまま自宅前に戻りクリンの名前を呼ぶと、嬉しそうに走ってきていました。

自宅前には少し段があり、2段の階段があります。それまでクリンは自分で階段を上っていました。腰が心配だったので、基本抱っこするんですが、ある時自分でいつものように上ろうとして、手前の段差でコロンと転んだんです。

以降、お散歩の時にしりもちをついたり、少し傾斜がついているところで転んでしまうといったことがありました。年を重ねるごとに転ぶ回数が増え、18歳半を迎える頃には、1日数回のお散歩の中で1回は転んだりしりもちをつくようになりました。

視力の低下もあったと思いますが、つまずいた時にふんばる力がどんどん衰えていたのだと思います。ちょうどこの頃、階段から落ちるということもありました。我が家のリビングは2階にあり、いつも帰宅したら3頭の子たちが階段前に集合して待ってくれていたのですが、その時にみのすけに押されて階段を落ちてしまいました。驚いてすぐに病院に連れていきましたが、どこも問題なくホッとしました。それ以来、階段前には柵を置くようになりました。

運動機能の低下と共に、食べる機能にも少しずつ衰えが見られました。

食べるスピードがそれまでよりもゆっくりになり、サイズの大きな野菜やおやつなどをくわえて落としてしまったりということが見られるようになりました。

その頃から、台の上に置いてご飯を食べさせるようになりました。それまでは床置きでしたが、すごく食べにくそうにしていたため、高さを変えてみたところ、それまでよりもスムーズに食べてくれるようになりました。

17歳9ヶ月の開腹手術後からシリンジを使うようになり、シリンジでの投薬となりました。この時に投薬の苦労から解放されることになりました。

シリンジを使えるようになると、食べない時には流動食や介護食をシリンジで与えられるようになりました。最初は嫌がりましたが、少しずつ慣れてくれて飲み込んでくれるようになりました。シリンジを使えるようになり、介護の時間がぐっと減りました。できるだけ自力で食べてほしいと思っていたので、シリンジ食はできるだけ控えるようにしていましたが、投薬のストレスから解放されただけでもかなり楽になりました。

 

 

【体の状態にあわせてご飯や薬の与え方を変える】

・ドライフードの粒の大きさはあっているか(飲み込みや咀嚼に問題はないか)

・以前より食べるスピードは落ちているようなら、フードの形状や大きさ・固さを変える

・食べにくそうにしていたら、食べる高さを変えてみる

・常用薬があり食べムラがある場合はシリンジ等で投薬コントロールすると安心できます

 

 

18歳半~19歳:顕著な機能低下~できないことが増えていく

 

クリンはとても元気な子でした。毎日のお散歩では楽しそうにピョンピョンと飛び跳ねるように走り、立ち止まるとわたしの周りをくるくると走るくらい足腰の丈夫な子でした。

ところが18歳半を過ぎた頃から、足腰に明らかな異変が出始めました。それまでは夜中に起き出して歩き回っていましたが、転んで起き上がれなくなるという状態になりました。

夜中に「ヒーン、ヒーン」と鳴く声が聞こえ、慌てて起きてクリンの元に行くと、倒れて起き上がれなくなっているということが度々起こるようになったのです。

病院では、とにかく体を冷やさないようにといわれていたので、この頃は服の重ね着+腹巻をしていました。軽い素材ではありましたが、動きが制限されているかもと思い、服を1枚にしました。そして毎日のお散歩+バランスディスクでのトレーニングをするようになりました。トレーニングの効果があったのか、転ぶ回数は少し減りました。

そして12月に歯石除去をしました。麻酔は笑気ガスのみで、挿管はせずに短時間で終了しました。年齢的に麻酔の負担はあったと思いますが、歯の状態がかなり悪くなっていたことと、ずっと炎症数値が下がらなかったことで投薬が続いていたため決断しました。

術後数日は食欲低下がみられましたが、食欲が戻ってからはよく食べてくれるようになりました。歯の状態が悪いと、食欲にかなり影響があると感じました。特に歯槽膿漏や歯のぐらつきで痛みがある場合は、食欲に直結するように思います。

食べない日はシリンジ食で与え、とにかく体重が減らないように気をつけていましたが、クリンの体重は3kgちょっとになっていました。ヘルニアもあったので、あまり体重が増えるのもよろしくないですが、体力が落ちないようにかなり気をつけていました。

19歳を迎える頃には、お散歩で転ぶようになり、リードを上に引っ張って転ばないようにしていました。そしてわたしの周りをグルグルと走り回ることもなくなっていました。

ほんの半年前までは台の上のフードを食べることができていましたが、この頃には口元まで手で持っていき、食べやすい角度をつけてご飯を与えるようになっていました。台の上に載せても、顔を下げることが難しくなっていたことと、口にうまく運ぶことができなくなっていたんです。

そして誕生日を迎える頃には、お水を飲みにいくこともなくなりました。最後に自力でお水を飲みにいったのは、確か19歳の誕生日を迎える前の1月だったと記憶しています。なので水分量を計って与えるようになりました。

クリンは水頭症があったため、その影響が大きかったように思います。認知症も多少あったかもしれませんが、夜鳴きもせず、撫でたり抱っこしりすると嬉しそうにしてくれていましたし、病院では先生に反抗もしていました(笑)

時系列で整理すると、足の衰えと食欲低下は比例していることがとてもよくわかりました。足の衰え=体力・筋力の低下なので、当たり前といえば当たり前なんですが、よく転ぶようになったのと同時に、お口の中に食べ残しが多くなっていました。大好きだったバームクーヘンも、食べようとするものの、口の水分をとられるためか飲み込めなくなり、口の中がバームクーヘンだらけになることもありました。

この時に、「食べない」のではなく、「うまく食べられなく(飲み込めなく)なっている」のだと認識しました。

 

 

【老犬・シニア犬の食欲不振】年齢と共に変わる食い渋り・食欲低下の悩み③に続く

 

ライター:福井 惠子

 

 

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください