急性膵炎 ~発症後の食事~

突然襲う、急性膵炎。
そんな急性膵炎は、飼い主・愛犬双方で大変な思いをし、やっと完治しても、慢性化し再発しやすい病です。
特に老犬に発症しやすく、発症してしまうと絶食しながら膵臓を休ませ、抗生剤・鎮痛剤で炎症を抑えてあげることしかできません。
また、何度も膵炎を再発していると、インシュリンの分泌に異常をきたし糖尿病を併発することもあります。

別名・お腹の火傷というほどの辛い痛みに襲われる膵炎を起こさないようにするには、生活習慣の見直ししか方法はありません。

 

 

膵炎を起こさせないようにするためには

 

老犬ではなくても、肥満状態の子にも膵炎は起きやすいので、適正体重を確認し、運動量を増やす・食事内容を見直す・獣医に相談するなどしてください。
運動量に関しては体重1kgに対し、適正といわれている散歩距離は700mですので、愛犬の体重×700mの距離を一日で歩くようにしてあげてください。

例:体重5kgの場合……
5(kg)×700(m)=3,500(m)ですから、朝晩散歩するとして、一度の散歩で1,750mを目安に散歩してあげるといいでしょう。
もちろん、老犬なら足腰が悪くなかなか長距離を歩くことは難しい子もいると思うので、愛犬の様子を見ながら可能な限りお散歩してあげてください。

 

 

食事の見直し

 

食事については愛犬Mackの場合、主に低脂肪なものを与えるように心がけ、高脂肪のものはなるべく避けるようにしました。
成分表示に必ず目を通し、脂肪分や粗脂肪と表示されている所に注目し、5.0%以下のものを選ぶように。
チーズは禁止し、あげたいときにはカッテージチーズを小さじ1~2あげました。
手作り食を作る場合、ささみ・じゃがいも・さつまいもを中心として、他には茹でて火を通したマグロ・葛粉・おかゆ・豆腐・ブロッコリーなど、繊維質を多めに、脂肪・糖を少なめにしていました。

アレルギーで摂れない食事もあるでしょうから、一度かかりつけの医師に相談するといいと思います。

 

 

膵炎はどんな子もなる可能性がある

 

そんな膵炎ですが、うちの子は肥満じゃないとか、若いから大丈夫!なんてことはありません。
どんな子にも発症の恐れのある病です。

まだ膵炎になったことがない子も、一度経験してしまった子も、その苦しみは想像を絶するものですので、予防するに越したことはない病です。
想像してみてください。内側から内臓を焼かれる痛みを……それが膵炎です。

愛犬は、飼い主の与えるごはんで育ち、生きています。
そして愛犬はその愛くるしい見た目とは裏腹に、しっかりと切なくも老いていきます。
いつまでも子犬のように思えても、内臓は中年のそれそのものであったり、年寄であったり……
愛犬の年齢に合わせて都度生活を変えていくのも、愛犬のためを思えばこそですね。

 

急性膵炎 ~突然愛犬を襲う、大きな痛み~

愛犬情報

犬種:ミニチュアダックス スムース

病名・症状:急性膵炎・嘔吐を繰り返す

発症年齢:17歳5ヶ月

発症の経緯:いつも通りの生活の中突然発症

治療法:ICU入院→点滴・投薬

 

 

自分で自分の内臓を消化しようとする怖い病気

 

ある日突然愛犬が嘔吐を繰り返し、明らかに異常な見た事のない様子を見せる。
あなたが目の前でその様子を見たら、ただただ困惑するばかりでしょう。
私もそうでした。

それは、本当に突然の事でした。
愛犬のMackが、1時間に3度4度と嘔吐を繰り返し、それまで聞いたことのない、悲痛な力無い声で鳴き続けました。
何の前触れもなく、本当に突然の出来事でした。
見た事のないMackの様子に異常を感じた私はすぐに救命救急へ駆け込みました。

救急へついてもなお悲痛な鳴き声は収まりません。
すぐに検査室へ呼ばれ、血液検査とレントゲンを受けました。

結果は「急性膵炎」……それまで聞いたことのない、未知の病名でした。
別名、「お腹の火傷」とも呼ばれるその病は、激しい痛みを伴う恐ろしい病でした。

 

【急性膵炎】きゅうせいすいえん

 

膵臓の中の膵液が様々な理由で過剰に活性化。
自分で自分を消化しようとすることとそれに伴う炎症反応により、激しい腹痛を起こす。
重篤な場合多臓器不全に発展したり、痛みによるショック症状を起こす。
また心臓や血圧に負担がかかり、そのまま心停止することもある。

 

 

Mackの場合

 

脂肪分を多くとりすぎたなどの起因がありますが、Mackの場合、救急の担当医師は「断言はできないが、甲状腺異常が起因だろう」と言われました。
Mackは甲状腺機能低下症により、薬を服用していました。

そして、この時のMackの膵炎はというと、急変してすぐに病院へ駆け込んだことが功を奏し、異常はあるが炎症値は低いとのことで、担当医からは「今はこれしかできることがない」と注射と点滴を受け、一度帰宅しました。

夫からは「まずは無事に帰宅できたことを喜ぼう」と言われましたが、その時の私は「Mackが死んじゃったらどうしよう!私があげたご飯のせいかもしれない!居なくなったらどうしよう!」ということばかり考えてしまい、動転して泣くばかりでした。

 

帰宅してから、しばらく落ち着いていましたが午前3時を過ぎた頃、薬が切れたのでしょう、また悲痛な鳴き声をあげ始めたので、再び救急へ駆け込みました。
その時は痛み止めの注射のみを受け、朝一番にかかりつけ病院へ向かいました。

 

 

跳ね上がる炎症値・・・即入院

 

かかりつけに着くと、救急から話が来ていたので、すぐに血液検査を受けることになり、結果は炎症値がとても悪いとのことで、即入院となりました。

 

入院時血液検査結果

 

 

家へ帰る道中、夫の運転する車の中、私は子供のように泣きじゃくりました。
「Mackが居なくなったらどうしよう」……頭の中は、昨夜調べた膵炎の中の記述”死亡することもある”という一文が頭の中に大きく現れ私の思考を支配していました。
入院当日から最初に面接に行くその日まで、私は何をするにも手がつかずひたすら泣き続けていました。

面会したその時、Mackは力強い目で私を見上げ、力を振り絞り吠えました。
「姉ちゃん僕を連れて帰って。僕治すから!」
そう言っている気がして、私はその日以来泣くのをやめました。

愛犬の頑張りを目の当たりにして、死を恐れて泣くことは、その頑張りを否定してしまうような気持ちになったからです。

その後、約二週間点滴と投薬を受けながら入院。
入院した晩は徐脈になり、先生が「危険な状態」と電話をしようと悩んだほどだったそうですが、なんとか帰宅することができました。

 

退院後血液検査結果

 

膵炎は、想像を絶するほどの腹痛を伴うと言われている病です。
慢性になることもありますから、特に老犬期に入った愛犬には、食事を見直す、人間の食べ物は与えないなど、気を付けてあげてください。

Mackの場合、成分表示をかならず確認するようになりました。
脂肪分表記を必ず確認、5,0%以下のもののみを与え、手作り食の際には笹身・サツマイモ・ジャガイモなど、消化にやさしい低脂肪なものを主に与えていました。

愛犬の食の安全を守ってあげられるのは、飼い主さんだけですからね。