【ドッグフード】我が家のドッグフードの選び方

愛犬情報

犬種:ビーグル

病名・症状:持病なし 胃腸が弱くよく吐いたりえずくことが多い

発症年齢:診察を受けたのは2年前

対処法:2019年9月より消化酵素配合のフードに切替

 

 

食べるもので体の質は変わる

 

ドッグフードを選ぶ基準は飼い主さんによって違います。

我が家では、パピーの頃からプレミアムフードといわれるフードを選ぶようにしていました。それは、食事の質で体の質が変わるということを知っていたからでした。

クリンを迎えた約20年前はフードの種類は少なく、当初プレミアムフードといわれていたのはロイヤルカナンかヒルズくらいでした。

最近は多種多様のフードがたくさんのメーカーから出ています。アレルギーなどに配慮できるオーダーメイドのフードや、持病がある子用の療養食、手作りのフードに混ぜて使うたんぱく質や乾燥野菜など、どれを選んでいいか迷われている飼い主さんも多いのではないでしょうか。

添加物のことや原材料表示など、見方がわかると選択肢も変わります。参考までに、自分の経験と知識を元にした我が家のドッグフードの選び方を紹介させていただきたいと思います。

 

 

知らないと怖い!原材料表示の見方

 

フードを選ぶ時、必ずチェックするものがあります。それはパッケージ裏面に書いてある「原材料表示」です。

前職はメーカー勤務で食品やサプリメントを開発する業務に携わっていたこともあり、原材料や添加物等について多少知識を持ち合わせていたので、原材料表示は必ずチェックしています。

原材料表記の表現にはルールがあります。うちの子に与えている消化器サポートのフードの裏面表記を参考に説明をさせていただます。

表記は含まれている量が多い順から記載されています。一番多く含まれているのが「米」で、次に「魚粉」となります。(余談になりますが、加水分解されたものは体によくないと聞いたことがありますが、信頼している病院で聞いたところ問題ないといわれました。今のところえずきもかなり改善されています。)

それよりも絶対に避けた方がいいものがあります。それは「肉類」という表記のあるフードやおやつです。

ホームセンター等に大袋で売っているフードは、たいてい「肉類」が一番上に書いてあります。実はこの肉類というのは「畜肉」といわれるもので、人間は決して食べてはいけない肉だということです。

たとえば鶏肉の場合は鶏肉、豚の場合は豚肉と表記されます。しかしこの畜肉といわれるものは、何の肉か、どの部分の肉かもわからないんです。

そして畜肉の多くは、汚染されたものや加工してあるもの、ここに書くのもはばかるような肉も含まれるといわれています。もちろんすべてが悪いものではないと思いますし、人間が味見をして大丈夫であれば何の問題もないと考えています。
これも知っておいていただきたいのですが、加工された肉には添加物が含まれていても、無添加と謳えるそうです。
これ、ご存知ない方が多いのではないでしょうか。

肉類という表記そのものが加工されている肉であるという表記であるため、加工する過程で使用した添加物については表記する必要がないそうです。

そして怖いのは、この表記ルールを知らないとうっかり添加物の入ったものを食べさせてしまう危険性があることです。実は私も失敗したことがあります。ドライフードにかけて使用するパウチタイプのウェットフードがありました。その商品は表側にでかでかと「無添加」と謳ってありました。ところが裏面を見るとしっかり「肉類」と書いてありました。

食の細い子や食べムラ・食い渋りのある子の場合、食いつき改善のためにドライフードの上にこういったトッピングをされることもあると思いますが、もし無添加がいいという場合はぜひ裏面を確認してみてくださいね。
ただ、無添加のものは香りも弱く、食いつきや添加物を使用しているものの方がよかったりしますから、主食のドライフードは無添加のものにして、トッピングなどは食いつき重視されるものありだと思います。

ちなみに我が家の場合は食いつきを重視していたので、主食のドライフードは無添加でヒューマングレードのものを使い、トッピングは添加物を使用したトッピングを使用していました。

 

 

添加物は摂りすぎ注意

 

添加物には様々な種類があります。中には害が少ないものもあれば、体調に大きく影響するものや、摂りすぎた場合体に不調をきたしてしまうものもあります。決してすべての添加物を否定するつもりはありませんが、できるだけ避けた方がいいのは間違いありません。

わたしたちが毎日外食でハンバーガーばかりを食べ続けたらどうなるか…を想像していただくとわかりやすいと思います。実際に若くして亡くなってしまわれたケースもあるとニュースになったこともあります。

こういう話をすると、添加物は悪という話になってしまいそうですが、必要最低限であればさほど問題はないと考えます。

例えば上記画像。これはうちの子に与えているおやつですが、原材料表記のところには「豚耳」とだけ書かれています。商品名のところに保存料・酸化防止剤・保湿剤・着色料・発色剤・甘味料・香料不使用と謳っています。これは非常に安心できるおやつだといえます。

ただし、開封したら必ず冷蔵保存となりますし、賞味期限も短くなっていますので、早く食べさせてしまわないと酸化してしまう恐れがあります。

このように、添加物不使用のメリットもあれば、デメリットもあります。

ワンコのフードもおやつも選ぶのは飼い主であるわたしたちです。体の小さな子ならば、無添加のものならできるだけ小分けしてあるものにしたり、大袋なら保存料や酸化防止剤など、できるだけ天然由来のものを使用したものを使うとより安心できます。

そして非常に毒性の強い「危ない添加物」を避ける、量を減らすだけでも大切な我が子の健康を守ることができます。

 

 

これはクリンが食べない時、非常にお世話になったジャーキーの裏面表示です。

最初の砂肝以外はすべて添加物です。ソルビトール・グリセリンは保湿性の向上、プロピレングリコールは防腐剤として添加されており、これらは人間用でも使用されている比較的毒性の低いといわれる添加物です。
ここで見ていただきたいのは一番最後の「発色剤(亜硝酸ナトリウム)」。

実はこの亜硝酸ナトリウムは、食品添加物の中でも急性毒性が非常に強く、肉や魚に含まれるアミンと結合すると発ガン性物質になるといわれています。

 

我が家のクリンは19歳で大往生してくれましたが、16歳頃からずっと食べムラ・食い渋りに悩まされてきました。
ある時、クリンが全然食べてくれなった時がありました。病院で血液検査をしてもらってもどこも問題なし。困り果ててホームセンターに駆け込み、何か食べてくれそうなものを物色している時、このジャーキーが好きだったことを思い出しました。背に腹は変えられず、即購入。クリンは封を開けた瞬間から大興奮で、一気に3つほど食べたほどでした。そしてこの日と翌日の2日間、このジャーキーしか口にしなくなりました。

翌日、またクリンの様子がおかしいと感じ、病院に駆け込んで血液検査をしてもらったところ、GPTが1000オーバーになっていました。

たった1日でこれほどまで数値が上がったことに驚きましたし、他のものを一切食べないとかなり肝臓に負担がかかってしまうのだということが身に染みてわかりました。GPTが上がったのは、体力が落ちていたことや体調がすぐれなかったことも影響していると思いますが、数値が跳ね上がったことは事実です。

 

添加物の中にも、酸化を防ぐための酸化防止剤や食欲をそそるための香料など、ワンコのための添加物もあります。酸化した食べ物は体に非常に悪いですし、保存料の入っていないものは日持ちしないためすぐに使いきらないといけなくなります。また食欲を促進させてくれる香料などは、食べムラや食い渋りのある子には強い味方です。

でも発色剤は、飼い主さんに買ってもらうために使われているんですよね。

犬は色で食べ物を選びません。発色剤の使われているものは、たいていとても綺麗な色をしています。それは飼い主さんの購買意欲をそそるために色付けされていることが多く、決してワンコに必要なものではないんです。

犬に必要な添加物は仕方ないとしても、犬に必要のない添加物はできるだけ避ける方が、ワンコの体を守ることができますし、何より医療費の節約になります。

ちなみに肝臓や腎臓に問題ある子の場合は、できるだけ無添加のものを使用することをおススメします。

 

添加物は毒です。決して体にいいものではありません。

体内に入った毒素を代謝するのは肝臓と腎臓です。

肝臓は、栄養素を代謝したり解毒する働きがあります。腎臓は老廃物など体にいらないものを、尿と一緒に体外に出して体をきれいにしてくれます。どちらの臓器も、体に入った毒を分解したり排出してくれるのですが、肝臓や腎臓の働きが悪くなってしまうと老廃物が体内に残り、蓄積されていきます。これが病気の原因になってしまいます。

特に腎臓の細胞は再生しないため、一度悪くなってしまうと二度と戻ることはありません。

肝臓疾患や腎臓疾患のある子には、添加物はできるだけ避けてあげる方が安心です。

 

 

大切な我が子の健康を守るために

わたしが一番意識していること。それは「今、自分ができることをする」です。

過去を振り返ると、後悔はいっぱいあります。もっとこうすればよかった、ああすればよかったと、正直今でも思います。

でも、過去はどうすることもできません。なので、今できることをやる。一生懸命やって後悔のないようにする。

実際、どれだけ気をつけていても、絶対に病気にならないということはありません。どれだけ気をつけていても、どうすることもできない場合もあります。
でも神経質になって、あれはダメ、これもダメ!となってしまうと、食べるものが選べなくなってしまいます。
実際人間でも、すごく健康に気をつけていても病気になってしまわれる方もいらっしゃいますし、体に悪いことばかりしていても、健康で長生きされる方もいらっしゃいます。

大切なのは、バランスだと思っています。

添加物も多少は仕方ない。その代わり、できるだけ害のないものを選ぶようにする。
野菜や果物、たまには食べさせる。
手作りフード、できる時は作る。

そして何より、食べることはペットにとっては一番のお楽しみ!食事は幸せな時間、食べることを共に楽しむ!
うちの子はよく吐くんです。一通り検査をしてもらいましたがどこも異常なし。もしかしたら喉が弱いのかと思いましたが、それも問題なしでした。

なので消化酵素が配合されている今のフードを選びました。
このフードにしてから、確かに吐く回数はぐんと減りました。今のところ不具合もないので、当面このフードのお世話になろうと思っています。

飼い主さんによって考え方は様々だと思いますし、フードの選び方もそれぞれだと思います。

もし今どのフード・おやつにするか迷っておられたら、パッケージの裏面を見てみてくださいね
皆様のおうちの大切な子たちが、いつまでも元気で健康でありますように。

 

 

 

ライター:福井 惠子

 

 

【再生医療】ヘルニアの新しい治療、ステムセル(幹細胞)②

愛犬情報

犬種:ミニチュアダックスフンド

病名・症状:水頭症/椎間板ヘルニア/頸椎ヘルニア

発症年齢:17歳/17歳/18歳

発症の経緯:CT画像で発覚

治療法:再生細胞投与 アデクァン投与

 

 

関連記事:【再生医療】ヘルニアの新しい治療、ステムセル(幹細胞)①

 

 

また始まった食い渋り

 

1回目の再生医療から1ヶ月が経ち、クリンはとても元気に過ごしてくれていました。投与後は多少の食べムラや食い渋りはあったものの、体調を良好にキープできていたので、通院回数も減りました。

ちょうどその頃、我が家の次女ニコの調子が悪くなりました。その時はニコのことに集中できるほど、クリンの食欲や体調は安定していました。

ところが10月2日にニコが亡くなってほどなくして、それまでパクパク食べていたご飯を食い渋ることが出てきました。ちょうど季節の変わり目ということもあったので様子見していましたが、防寒用の服を着せ替える際、大きな声で「キャン!」と鳴いたんです。

首を触ると肩をすくめて嫌がる仕草があり、もしかして首に痛みがあるのかも、と病院に行きました。実は以前自宅でできるマッサージを教えてもらったことがあり、たまにマッサージをすることがあったのですが、その時も触られるのを嫌がるしぐさが見られることがありました。

CTとレントゲンの結果、頸椎ヘルニアであることがわかりました。

年をとると、食欲にムラはでることがあります。体の機能は年々衰え、匂いがわかりにくくなったり、固い物が食べにくくなったりします。老化は仕方のないことですが、まったく食べないとか食欲自体が減退してしまうことのは、体のどこかに痛みや不具合がある可能性が非常に高いです。

今回の食べムラ・食い渋りは首の痛み。食べる時に下を向くのが辛かったのだと思いました。

 

 

治療の選択

 

クリンの頸椎ヘルニアが確定したのは10月半ば。クリンはこの時18歳8ヶ月でした。

首を痛がることと同時に、クリンの歯の状態がかなり悪いこともわかりました。頬を触診してもらった時に大きな声を上げたんです。

ちょうど1年前の手術の時に歯の掃除と抜歯を1本してもらっていました。術後から口腔ケアができればよかったのですが、クリンは口を触られることをとても嫌がるため、まったくケアができていませんでした。少しでも歯の状態をキープするために歯のサプリは摂らせていましたが、若い頃よりも口を大きく開けることができなくなっているため、食べカスがたまりやすく、歯石がつきやすくなり、歯周病になったのだろうとの診断でした。

頸椎ヘルニアは治療が難しく、投薬治療は肝臓や腎臓に負担をかけてしまいます。特にクリンは肝臓の数値が高めで、何かあるとすぐに肝数値が上がってしまうため、痛み止めなどの対処療法はやめた方がいいといわれました。

できることは何でもしてあげたい。先生にそう伝えたところ、体のことを考えても再生医療の選択がベストだといわれました。

ただし、歯の状態が悪いこと、炎症数値が高いのは歯が原因と思われるため、今よりもっと状態が悪くなるかもしれないといわれました。

今のクリンの年齢で歯の治療はできるのか、麻酔に耐えられるのか。もしそれができそうなら、再生医療を受けた後に歯の治療もしてほしい。先生にそう伝えたところ、その時の体調と状態によるけれど、何とかできるようにしましょうといっていただきました。

 

 

ヘルニア治療3:2回目のステムセル投与

 

歯の炎症を抑える薬が効いて、何とか炎症数値が治まったので、10月23日に2回目のステムセルを投与しました。今回は頸椎と頭に4本、腰に2本、残りを静脈点滴したと記憶しています。

ステムセルは投与量によって費用がかわります。あまり少ないと効果が出にくい場合があるし、多すぎても意味がないとのことで、前回今回共に中量を選択しました。点滴は約1時間。点滴終了後、体調に問題がなければ終わりとなります。

帰宅してからはご飯をパクパク食べてくれました。その後の経過観察でも大きな問題はなし。治療後、多少の食い渋りはありましたが、自力で食べてくれることの方が多くなりました。

2回のステムセル投与で、初めての時はものすごく効果を実感したというより、調子がよさそうだなといった感じでしたが、今回は明らかにクリンの行動がかわりました。

それはこたつ布団。自分の頭でこたつ布団をまくり上げる行動をしだしたんです。これはステムセル投与前にはなかったことでした。我が家のこたつはサイズが大きく、布団もそれなりに重みがあるんですが、果敢にこたつ布団に挑戦するクリンの姿を見て、痛みが軽減したのだと実感でき、ものすごく嬉しかったです。

せっかくよくなったのに、調子に乗って布団をまくり上げていると頸椎ヘルニアが悪化してしまうかもしれないので、布団をまくりあげて行き来できるようにしました。このため我が家のこたつは、犬の寝床としての役割しか果たしてません(笑)

投与後の血液検査で炎症数値が上がりましたが、歯の影響であることはわかっていたので、体調が安定したら歯の処置をしましょうといわれました。再生医療は投与後約2ヶ月で効果を発揮するといわれていたので、抗生剤で炎症を抑え様子見ということになりました。

 

※歯の治療については、別記事で紹介させていただきます。

 

 

再生医療を受けての感想

2度目の再生医療を受けてから約2ヶ月経ちましたが、クリンは大きなトラブルなく元気に過ごしてくれています。

心臓の状態は改善しているといわれました。肝臓は相変わらず数値は高めですが、毎日のお散歩ではしっかり走ってくれています。腰の痛みも改善され、痛がる様子は見られませんし、首の痛みも今のところ治まっています。

 

クリンには感謝しかありません。わたしたち家族にたくさんの幸せを運んでくれ、そしてとても大切なことを教えてくれました。

わたしの唯一の願い。それは、元気に天寿を全うしてほしい。

いつもと変わらない毎日を過ごし、いつかその命が燃え尽きる時がくるまで、楽しく日々を過ごしてほしいと思っています。

今回、ステムセル治療を受けることができて、わたしは本当に救われました。

 


 

わたしたちの体は細胞でできています。細胞は年を重ねるごとに入れ替わるスピードが遅くなっていきます。下痢や嘔吐など、若い頃なら1日2日様子見できた症状も、シニアになるとあっという間に悪化し、弱ってしまうこともあります。

 

細胞がほとんど再生しない臓器(心臓・腎臓)は、根本治療するには今のところ臓器移植しか方法がありません。一度痛んでしまうと、投薬で進行を遅らせることはできても、治すことは不可能です。

 

ステムセル治療は、心臓や腎臓など、再生しない臓器の新しい治療法としてとても注目されているそうです。でも確実に病気が治る治療法ではなく、効果がほとんどない(効果があったとしても気づかないくらいの変化)ということもあるそうです。

 

10年先にはもっと医療が進歩し、再生医療は当たり前の治療法になっていると先生はおっしゃっていました。その頃には、治らない病気は少なくなっているかもしれません。まだまだ取扱も少なく、残念ながら気軽に受けることができないのが現状です。

 

いつの日か気軽にどこでも受けられる治療となり、大切な我が子の病で辛い思いをされている飼い主さんの救いとなる治療法になることを心より願います。

 

 

 

【再生医療】ヘルニアの新しい治療、ステムセル(幹細胞)①

愛犬情報

犬種:ミニチュアダックスフンド

病名・症状:水頭症/椎間板ヘルニア/頸椎ヘルニア

発症年齢:17歳/17歳/18歳

発症の経緯:CT画像で発覚

治療法:再生細胞投与 アデクァン投与

 

 

突然始まったヘルニアの痛み

 

我が家の愛犬クリンが再生医療を始めて受けたのは2018年8月。きっかけはヘルニアの痛みをとるためでした。

椎間板ヘルニアが見つかったのは15歳の時。前に通っていた病院で撮ったレントゲンで発覚しました。その時は歩行も普通にできていて、ソファーから飛び降りようとするくらいの状態で、痛みもないようでした。これ以上進行しないようにと、関節のサプリメントを色々試したりしました。

ところが投薬の失敗から食べムラ・食い渋りが始まり、サプリメントの匂いにも敏感に反応してしまうようになったため、サプリを継続することが困難になりました。

気にはなりながらも、特に何をするということもなく17歳を迎えました。

 

でも、とうとうその時はやってきました。

 

きっかけは、「子宮摘出手術」でした。

クリンが手術を受けたのは17歳9ヶ月の時でした。年齢的にも麻酔のリスクはとても高いことはわかっていましたが、それ以外にも「低体温」になることでのリスクもあると、手術を受ける前に先生から聞かされました。

クリンの場合、術後体温は35℃台にまで下がりました。

手術自体は成功し、子宮の不具合も痛みもなくなりましたが、傷をかばうように背中を丸める姿勢を続けていて、抜糸が済んでもその姿勢が戻ることはありませんでした。

 

 

ヘルニア治療1:アデクァン注射

 

術後の経過は良好で、傷自体は順調に治っていました。でも手術前はまっすぐだった背中が、術後には背中から腰にかけて曲がったような姿勢になっていました。最初は傷の痛みをかばっているのだと思っていましたが、背中の湾曲の他に、歩き方にも変化が出始めました。それまでしっかりとした足取りだったのが、後肢が絡まるようなもたつきが見られました。

病院には定期的に通っていたので、すぐに検査をお願いしたところ、ヘルニアの痛みが出始めたのだろうということでした。痛みをチェックするための触診で、大きな声でキャン!と鳴いたのです。

年齢を考え、できるだけ体に負担のない治療をすることになり、「アデクァン注射」を打つことになりました。アデクァンは「硫酸グリコサミノグリカン」を成分とし、ヘルニア治療には一般的な注射となります。

この注射は、最初は1週間に2回注射するのを1ヶ月、月に8回注射します。効果があるようならその後2週間に1回~1ヶ月に1回注射を続けます。クリンにも効果が見られ、足取りは軽やかになってきました。それから定期的に月1回のアデクァン注射と鍼治療で腰の痛みはかなり軽減されたようでした。

 

ところが、8月頃から、後肢のもつれやしりもちをつくことが増えました。診察の結果、また痛みが出始めたようでした。できる限り痛みは取ってやりたい。でも大掛かりな手術は年齢的に難しい。

主治医の先生に相談したところ、「再生医療」を勧められました。

 

クリンは水頭症もあるのですが、再生医療は水頭症にも効果が期待できるといわれました。そして体中の悪いところに効果が出る可能性があるそうです。特にヘルニアでは大きな効果が表れる子が多いということでした。

ちょうどその時に実際に再生医療を受けた飼い主さんがおられ、直接話を伺うことができました。その方の愛犬もダックスフンドで、ある日突然立てなくなったそうで、病院で再生医療を提案され、計2回投与されたそうです。

1回目の投与では、立てなかった子が数日で立って歩くようになり、2回目の投与では、走り回ってソファーに飛び乗ったりするようになったそうで、

 

 

ヘルニア治療2:ステムセル(幹細胞)

 

実は以前から再生医療にとても興味がありました。今の病院に転院したのは再生医療を取り入れているのも理由のひとつでした。でも幹細胞自体数に限りがあるため、状態の軽い子はどうしても後回しになってしまうと聞いていました。

再生医療は、薬のように必ず効果が出る治療法ではありません。人間の再生医療もES細胞やiPS細胞など、今まさに臨床研究されているものであり、これからその効果や病気ごとや臓器ごとに治療法が開発されれば、飛躍的に寿命を延ばすことができるかもしれない、といわれています。

副作用がほとんどなく、再生不能な臓器(心臓・腎臓など)にも効果が期待でき、新しい細胞が体の悪いところを修復してくれる治療法。「若返り治療」ともいわれており、体そのものを若返らせるということでした。

しかし、癌などの腫瘍がある子や、体に炎症が起こっている場合は使用できないそうです。なぜなら、癌細胞や腫瘍を育ててしまうことになってしまうからだそうです。

また、歯が悪い場合も注意が必要といわれました。炎症がひどくなってしまうことも考えられるとのことでした。

クリンが17歳9か月の時に受けた手術の際に、歯石を取ってもらい、1本抜歯をしてもらいました。それから歯の状態は治まっていましたが、1年経過して徐々に歯石が付き初めていました。以前に投薬で失敗してから口の中を触らせてくれなくなり、口腔ケアがほとんどできていなかったことが原因です。

わたしの望みは、クリンが毎日快適に楽しく過ごすこと。体に痛みがあると毎日の生活に支障が出てしまいます。たとえ歯の状態が悪くなっても、今は痛みを取ることを優先したいと考えました。

検査の結果問題なしで、クリンは8月24日にステムセルを投与することになりました。

 

ステムセルとは

ステムセル(さい帯血)とは、お母さんと赤ちゃんをつなぐへその緒や胎盤に含まれる血液のことで、さい帯血には「幹細胞」という、体のさまざまな種類の細胞のもとになる細胞が豊富に含まれています。
たとえば、赤血球・白血球・血小板などの「血液のもと」となる造血幹細胞は高い造血能があるので、白血病や再生不良性貧血などの難治性血液疾患の治療に役立ちます。
また、中枢神経・自己免疫・虚血性障害などの修復に役立つ可能性を持つ細胞など、多種多様な細胞に分化できる能力を持つ幹細胞を含んでいることから、さい帯血への医学的関心は近年急増し、臨床試験や研究段階にある再生医療・細胞治療への将来的な応用が期待されています。

参考:ステムセル研究所「さい帯血」ってどういうもの?

 

 

ステムセル、一度目の投与

 

そして、クリンがステムセルを投与する日がやってきました。

クリンは水頭症があるため、頭と腰数ヶ所に皮下注射をし、残り半分を静脈点滴しました。

効果がわかるのは投与から約2ヶ月後。早い子の場合は数日で変化があるとのことでした。また、食欲旺盛になる子もいるといわれました。クリンの食べムラ・食い渋りには数年悩んでいたので、これは大きく期待していました。

ステムセルは、静脈点滴と筋肉注射を気になる部分に直接摂取します。クリンは水頭症もあったため、頭付近と背中~腰に直接注射し、半分は静脈点滴をしました。処置時間はおおよそ1時間半くらいでした。

再生細胞は点滴投与なので、処置後はそのまま帰宅します。先生から、副作用はほとんどないけど、年齢もあるし一応様子を見ておいてくださいと言われましたが、いつも通りで特に変わった様子はなく、食欲も問題なし。

クリンの場合は、目で見て大きな変化というのはなかったですが、食べムラ・食い渋りが少しずつ改善されたように思います。それと投与前よりも調子がよさそうに感じました。

腰の痛みについては、後肢の力が強くなり、走るスピードも少し早くなったように感じましたので、改善されたように思います。触診でも腰の痛みは改善されているといわれました。

 

 

ステムセルの効果について

ステムセルの効果は個体により違います。そもそもステムセルとは、細胞の元となる赤ちゃんの状態。その細胞の赤ちゃんが、新しい細胞を必要としている臓器を修復する、という感じなんだそうです。

ただ必ずしも効果が約束されているわけではないですし、例えば腎臓と心臓が悪い子の場合、両方に効果が出る場合もあれば、どちらかの場合もあるし、ひょっとするとどちらでもないところに効果が出る可能性もあるということでした。

治療費は決して安価ではないため、効果がわからない治療は選択できない、という飼い主さんもおられるそうです。

 

 

【再生医療】ヘルニアの新しい治療、ステムセル(幹細胞)②に続く

 

 

ライター:福井 惠子

 

 

【ドッグフード】愛犬の「食」を考える(2)~添加物とうまく付き合おう

わたしたちの体は、細胞でできています。細胞は水分やタンパク質などで構成されています。細胞をつくるのは口から入れる栄養素で、細胞の質~体の質といえます。

質の良い(丈夫な)体をつくるには、質の良い栄養素を摂ることと、バランスの良い食事を摂ることががとても大切です。

摂れたての野菜や魚など新鮮なものをずっと摂れるならいいのですが、実際非常に難しいです。

そこで、生ものを腐りにくくしたり、そのままではおいしくないものをおいしく感じるようにするために、「添加物」を使用して食品を加工しています。

添加物=体に悪いもの、と思いますが、添加物にもいろんな種類があります。今回は自分がドッグフードや犬用おやつを選ぶ時に気をつけていることをお伝えしたいと思います。

 

 

食品表示法について

 

冒頭でもお話しましたが、口から入れるもので体の質は大きく変わります。これは人間も愛犬も同じ。ペットブームと共にフードの質は格段に上がり、中には人間が食べても問題ないヒューマングレードと言われるフードもあります。ペットフードの質が上がったことで、10年前と比べて犬の寿命は飛躍的に伸びています。

しかし、質の良いドッグフードや犬用おやつがある一方で、人間が食べることが禁じられていて、人用としては決して使用できない添加物を使った安価なフードもあります。

 

食べ物は、「食品表示法」という法律で守られています。食品表示法とは、消費者が食品を安全に選択し摂取できるよう決められた法律で、名称・アレルゲン・保存方法・消費期限・原材料・添加物など、食品を加工する際に使用したものを表示しなければならない、というものです。


食品の表示は、これまで複数の法律に定めがあり、非常に複雑なものになっていました。このたび、食品衛生法、JAS法(旧:農林物の規格化及び品質表示の適正化に関する法律)及び健康増進法の3法の食品の表示に係る規定を一元化し、事業者にも消費者にもわかりやすい制度を目指した「食品表示法」が平成27年4月1日から施行されました。

参考文献:食品表示法ができました! 東京都

 

ちなみにペット用フードは別に法律があります。それがペットフード安全法といわれるもので、管轄は環境庁になります。


愛がん動物用飼料(ペットフード)の製造等に関する規制を行うことにより、愛がん動物用飼料の安全性の確保を図り、もって愛がん動物(ペット)の健康を保護し、動物の愛護に寄与することを目的とする。

参考文献:ペットフード安全法の概要(環境庁)

 

昔と比較すると、ペットの位置づけはかなり向上していると思いますが、ペットフード=「飼料」なんですよね。これをみると、まだまだペット=家畜という感覚が強いと感じてしまいます。

 

 

食品表示と添加物

 

フードを選ぶ時、必ずチェックするものがあります。それはパッケージ裏面に書いてある「食品表示」です。

2009年6月に施行されたペットフード安全法は、ペットフードの製造に使用した添加物の記載が必要ですが、加工した肉などに含まれる添加物の表示は義務付けられていません。

言い方を変えれば、その商品の製造の段階で使った添加物しか表示しなくて良いということなので、加工肉を加工する過程でどれだけ添加物をつかっていても、それは一切表示しなくていいんです。

関連記事:【ドッグフード】愛犬の「食」を考える(1)~わたしのドッグフードの選び方

 

 

 

ペット用フードには、人用食品では使用が禁止されている添加物が使われていることがあります。

こちらは我が家の愛犬クリンが好んで食べる、ある大手メーカーの砂肝ジャーキーの表示です。

 

砂肝以外は添加物であることがわかります。

ソルビトールは甘味料として、グリセリンは保湿剤・軟化剤・保湿剤として、プロピレングリコールは保湿剤・乳化剤として、リン酸塩は結着剤・乳化・変色・沈澱・乾燥防止、味の調和、食感向上として、亜硝酸ナトリウムは発色剤として使用されています。

この中で毒性が強いといわれているのが、亜硫酸ナトリウムです。

亜硫酸ナトリウムは、「発色剤」です。発色剤とは、綺麗に発色させるための添加物です。では何のために綺麗に発色させているのでしょう?

 

答えは、商品を購入する「飼い主向け」なんです。犬にとって匂いは重要な情報ですが、色は犬にはあまり関係ありません。犬にとって必要な添加物ではなく、ただ人間が見て「おいしそう」に見えるために使われているんです。

このように、品質保持等の必要な添加物ではなく、犬にとって不必要な添加物はできるだけ避けた方がいいと考えます。

 

添加物すべてを否定してしまうと、市販されているフードやおやつなどから選択するのは非常に難しくなります。すべてを手作りフードでまかなうとなると、飼い主さんの負担はかなり大きくなります。必要な栄養素をすべて把握し、愛犬の体重に合わせて配合し…と考えただけで大変だとわかります。

愛犬に健康で長生きしてもらうためには、良いフードを選ぶことと、添加物とうまく付き合うことだと考えています。

そのためには添加物の危険性を知ること、それは本当に必要なものなのか、を考えることが重要だと思っています。

 

 

 

避けた方がいい添加物

 

高い発ガン性の添加物は、石油でできているものもあります。中には工業用機械に使う油が、ペット用食品の添加物として使われていることもあります。

最近のペット用食品は、無添加や添加物ゼロといったキャッチを売りにしている商品が増えています。これは以前の記事にも書きましたが、裏面の食品表示を確認し、肉類やミート・ミール系が使われていたら、やめた方が無難です。

 

添加物にも危険性が低いものから高いもの、また全く必要のないものもあります。ここでは、避けた方がいいといわれる、体に毒になってしまう添加物を紹介します。

 

亜硫酸ナトリウム(発色剤)

 

発色剤は、食品添加物の中でも急性毒性が非常に強く、肉や魚に含まれるアミンと結合すると、ニトロソアミンという発ガン性物質になる可能性が高いそうです。

少量をたまに摂るくらいならさほど問題はないと思いますが、摂り過ぎは病気の原因になることもあるので気をつけた方がいいです。

※現在は、人間用食品では使用を制限されているようです。

 

合成着色料

 

これは石油由来の「タール色素」といわれるもので、タバコの発ガン性物質のタールのことです。着色料は人が見ておいしそうな色にするために使われていて、これも犬には全く必要のない添加物です。

赤色〇号、黄色〇号、青色〇号などは、すべて合成着色料です。

 

ソルビン酸・ソルビン酸カリウム

 

これはよく使われている保存料ですが、ガンや免疫障害の原因になるともいわれています。亜硝酸ナトリウムと一緒にとると発ガン性のリスクが高まる疑いもあるといわれています。

保存料が入っていないと、日持ちしなくなります。しかし安価なおやつなどには、亜硫酸ナトリウムとソルビン酸どちらも添加されている場合があります。

 

 

質と値段

 

今回ご紹介したのはごく一部のもので、他にも毒性のあるといわれる添加物はたくさんあります。

こんなに危険性が高いのに、なぜ使われていのか。それは、原料の値段が安いからです。

無添加のジャーキーなども一時よりかなり安価になり、ホームセンターでもたまに見かけますが、圧倒的に安いのは有名ペットメーカーの肉類などを使ったおやつです。

本当は体に害の少ない、植物由来の酸化防止剤(ローズヒップなど)などを使っていると安心なのですが、ローズヒップという原料そのものが高い、成分を抽出したり精製するのに手間がかかる…このような理由から、原料の値段はグンと高くなってしまいます。

 

たまに食べるおやつに多少添加物が含まれているくらいなら、目くじらをたてる必要はないと思いますが、主食であるドッグフードは、ハイリスクな添加物が入っていないものを選ぶ方が、病気になるリスクが圧倒的に低いといえます。

一番安心できるのは手作りですが、犬に必要な栄養素を全て数値化し、それを食べ物に置き換えて量を算出し、それらをバランスよく配合して食べ切れる量にする…考えただけでものすごい手間と労力と時間がかかります。

そう思うと、やはりドッグフードはわたしたち飼い主にとって、とても便利なんですよね。

 

 

添加物とうまく付き合おう

 

体は毒を分解し、排泄物として体外に出すようにできています。

しかし毒性の高い添加物を毎日摂り続けると、毒素を分解・排出する肝臓や腎臓に負担がかかり、肝臓疾患や腎臓疾患になる可能性が高くなります。

おやつは毎日与えるわけではありませんが、主食となるドッグフードはできるだけ質の良いものを与える方が、シニア・ハイシニアになった時に変わってくると考えています。

病気になるのは、様々な要因があります。遺伝性は避けられませんし、シニアになれば様々な不具合が出ますす。どれだけ気をつけていても、絶対に病気にならないという保証はありません。食事だけが病気の原因ではないと思いますが、人間でも添加物まみれの食事をずっと続けていると病気になったりします。

 

我が家では食べるものはかなり気をつけていましたが、それでもクリンは14歳で胆泥症になりましたし、ニコは12歳で乳腺腫瘍の手術をしました。

 

口から入れるもので体の質は変わります。

毎日食べるフードを見直す、たったこれだけでも病気のリスクをかなり減らすことができると思っています。

あまり神経質になりすぎて、あれはダメこれもダメ…になると、食べるものがなくなってしまいます。うちのクリンも、食べムラが出ると、加工してあるおやつを食べたがりますし、食べムラが出た時のために亜硫酸ナトリウムや香料の入ったおやつを常備しています。

 

加工食品は、無添加のものより断然美味しいんですよね。なので用途に応じて使い分けるなど、バランスで考えるようにしています。
添加物も多少は仕方ない。その代わり、できるだけ害のないものを選ぶようにする。

食べムラのある時は、食べることを最優先し、添加物を使っていても嗜好性の高いものを使う。でも毎日食べるドッグフードは、極力添加物をを避け、害の少ないものを選ぶ。その時々の体調や状態により、うまく付き合っていこうと思っています。

 

体の質は食べるもので決まる。これはわたしたち人間も動物も、基本同じです。年齢と共に代謝は落ち、毒素や不要な老廃物がどんどん体内に蓄積されていき、それが病気の元になってしまうこともあります。わたしたち飼い主ができることの中でも、愛犬の食生活は健康に直結することです。

 

可愛い我が子に元気で長生きしてほしいのは、飼い主みんなの願いです。

 

よかったら、フードやおやつの裏面をチェックしてみてくださいね。

 

 

ライター:福井 惠子

 

関連記事:【ドッグフード】愛犬の「食」を考える(1)~わたしのドッグフードの選び方