【ドッグフード】我が家のドッグフードの選び方

愛犬情報

犬種:ビーグル

病名・症状:持病なし 胃腸が弱くよく吐いたりえずくことが多い

発症年齢:診察を受けたのは2年前

対処法:2019年9月より消化酵素配合のフードに切替

 

 

食べるもので体の質は変わる

 

ドッグフードを選ぶ基準は飼い主さんによって違います。

我が家では、パピーの頃からプレミアムフードといわれるフードを選ぶようにしていました。それは、食事の質で体の質が変わるということを知っていたからでした。

クリンを迎えた約20年前はフードの種類は少なく、当初プレミアムフードといわれていたのはロイヤルカナンかヒルズくらいでした。

最近は多種多様のフードがたくさんのメーカーから出ています。アレルギーなどに配慮できるオーダーメイドのフードや、持病がある子用の療養食、手作りのフードに混ぜて使うたんぱく質や乾燥野菜など、どれを選んでいいか迷われている飼い主さんも多いのではないでしょうか。

添加物のことや原材料表示など、見方がわかると選択肢も変わります。参考までに、自分の経験と知識を元にした我が家のドッグフードの選び方を紹介させていただきたいと思います。

 

 

知らないと怖い!原材料表示の見方

 

フードを選ぶ時、必ずチェックするものがあります。それはパッケージ裏面に書いてある「原材料表示」です。

前職はメーカー勤務で食品やサプリメントを開発する業務に携わっていたこともあり、原材料や添加物等について多少知識を持ち合わせていたので、原材料表示は必ずチェックしています。

原材料表記の表現にはルールがあります。うちの子に与えている消化器サポートのフードの裏面表記を参考に説明をさせていただます。

表記は含まれている量が多い順から記載されています。一番多く含まれているのが「米」で、次に「魚粉」となります。(余談になりますが、加水分解されたものは体によくないと聞いたことがありますが、信頼している病院で聞いたところ問題ないといわれました。今のところえずきもかなり改善されています。)

それよりも絶対に避けた方がいいものがあります。それは「肉類」という表記のあるフードやおやつです。

ホームセンター等に大袋で売っているフードは、たいてい「肉類」が一番上に書いてあります。実はこの肉類というのは「畜肉」といわれるもので、人間は決して食べてはいけない肉だということです。

たとえば鶏肉の場合は鶏肉、豚の場合は豚肉と表記されます。しかしこの畜肉といわれるものは、何の肉か、どの部分の肉かもわからないんです。

そして畜肉の多くは、汚染されたものや加工してあるもの、ここに書くのもはばかるような肉も含まれるといわれています。もちろんすべてが悪いものではないと思いますし、人間が味見をして大丈夫であれば何の問題もないと考えています。
これも知っておいていただきたいのですが、加工された肉には添加物が含まれていても、無添加と謳えるそうです。
これ、ご存知ない方が多いのではないでしょうか。

肉類という表記そのものが加工されている肉であるという表記であるため、加工する過程で使用した添加物については表記する必要がないそうです。

そして怖いのは、この表記ルールを知らないとうっかり添加物の入ったものを食べさせてしまう危険性があることです。実は私も失敗したことがあります。ドライフードにかけて使用するパウチタイプのウェットフードがありました。その商品は表側にでかでかと「無添加」と謳ってありました。ところが裏面を見るとしっかり「肉類」と書いてありました。

食の細い子や食べムラ・食い渋りのある子の場合、食いつき改善のためにドライフードの上にこういったトッピングをされることもあると思いますが、もし無添加がいいという場合はぜひ裏面を確認してみてくださいね。
ただ、無添加のものは香りも弱く、食いつきや添加物を使用しているものの方がよかったりしますから、主食のドライフードは無添加のものにして、トッピングなどは食いつき重視されるものありだと思います。

ちなみに我が家の場合は食いつきを重視していたので、主食のドライフードは無添加でヒューマングレードのものを使い、トッピングは添加物を使用したトッピングを使用していました。

 

 

添加物は摂りすぎ注意

 

添加物には様々な種類があります。中には害が少ないものもあれば、体調に大きく影響するものや、摂りすぎた場合体に不調をきたしてしまうものもあります。決してすべての添加物を否定するつもりはありませんが、できるだけ避けた方がいいのは間違いありません。

わたしたちが毎日外食でハンバーガーばかりを食べ続けたらどうなるか…を想像していただくとわかりやすいと思います。実際に若くして亡くなってしまわれたケースもあるとニュースになったこともあります。

こういう話をすると、添加物は悪という話になってしまいそうですが、必要最低限であればさほど問題はないと考えます。

例えば上記画像。これはうちの子に与えているおやつですが、原材料表記のところには「豚耳」とだけ書かれています。商品名のところに保存料・酸化防止剤・保湿剤・着色料・発色剤・甘味料・香料不使用と謳っています。これは非常に安心できるおやつだといえます。

ただし、開封したら必ず冷蔵保存となりますし、賞味期限も短くなっていますので、早く食べさせてしまわないと酸化してしまう恐れがあります。

このように、添加物不使用のメリットもあれば、デメリットもあります。

ワンコのフードもおやつも選ぶのは飼い主であるわたしたちです。体の小さな子ならば、無添加のものならできるだけ小分けしてあるものにしたり、大袋なら保存料や酸化防止剤など、できるだけ天然由来のものを使用したものを使うとより安心できます。

そして非常に毒性の強い「危ない添加物」を避ける、量を減らすだけでも大切な我が子の健康を守ることができます。

 

 

これはクリンが食べない時、非常にお世話になったジャーキーの裏面表示です。

最初の砂肝以外はすべて添加物です。ソルビトール・グリセリンは保湿性の向上、プロピレングリコールは防腐剤として添加されており、これらは人間用でも使用されている比較的毒性の低いといわれる添加物です。
ここで見ていただきたいのは一番最後の「発色剤(亜硝酸ナトリウム)」。

実はこの亜硝酸ナトリウムは、食品添加物の中でも急性毒性が非常に強く、肉や魚に含まれるアミンと結合すると発ガン性物質になるといわれています。

 

我が家のクリンは19歳で大往生してくれましたが、16歳頃からずっと食べムラ・食い渋りに悩まされてきました。
ある時、クリンが全然食べてくれなった時がありました。病院で血液検査をしてもらってもどこも問題なし。困り果ててホームセンターに駆け込み、何か食べてくれそうなものを物色している時、このジャーキーが好きだったことを思い出しました。背に腹は変えられず、即購入。クリンは封を開けた瞬間から大興奮で、一気に3つほど食べたほどでした。そしてこの日と翌日の2日間、このジャーキーしか口にしなくなりました。

翌日、またクリンの様子がおかしいと感じ、病院に駆け込んで血液検査をしてもらったところ、GPTが1000オーバーになっていました。

たった1日でこれほどまで数値が上がったことに驚きましたし、他のものを一切食べないとかなり肝臓に負担がかかってしまうのだということが身に染みてわかりました。GPTが上がったのは、体力が落ちていたことや体調がすぐれなかったことも影響していると思いますが、数値が跳ね上がったことは事実です。

 

添加物の中にも、酸化を防ぐための酸化防止剤や食欲をそそるための香料など、ワンコのための添加物もあります。酸化した食べ物は体に非常に悪いですし、保存料の入っていないものは日持ちしないためすぐに使いきらないといけなくなります。また食欲を促進させてくれる香料などは、食べムラや食い渋りのある子には強い味方です。

でも発色剤は、飼い主さんに買ってもらうために使われているんですよね。

犬は色で食べ物を選びません。発色剤の使われているものは、たいていとても綺麗な色をしています。それは飼い主さんの購買意欲をそそるために色付けされていることが多く、決してワンコに必要なものではないんです。

犬に必要な添加物は仕方ないとしても、犬に必要のない添加物はできるだけ避ける方が、ワンコの体を守ることができますし、何より医療費の節約になります。

ちなみに肝臓や腎臓に問題ある子の場合は、できるだけ無添加のものを使用することをおススメします。

 

添加物は毒です。決して体にいいものではありません。

体内に入った毒素を代謝するのは肝臓と腎臓です。

肝臓は、栄養素を代謝したり解毒する働きがあります。腎臓は老廃物など体にいらないものを、尿と一緒に体外に出して体をきれいにしてくれます。どちらの臓器も、体に入った毒を分解したり排出してくれるのですが、肝臓や腎臓の働きが悪くなってしまうと老廃物が体内に残り、蓄積されていきます。これが病気の原因になってしまいます。

特に腎臓の細胞は再生しないため、一度悪くなってしまうと二度と戻ることはありません。

肝臓疾患や腎臓疾患のある子には、添加物はできるだけ避けてあげる方が安心です。

 

 

大切な我が子の健康を守るために

わたしが一番意識していること。それは「今、自分ができることをする」です。

過去を振り返ると、後悔はいっぱいあります。もっとこうすればよかった、ああすればよかったと、正直今でも思います。

でも、過去はどうすることもできません。なので、今できることをやる。一生懸命やって後悔のないようにする。

実際、どれだけ気をつけていても、絶対に病気にならないということはありません。どれだけ気をつけていても、どうすることもできない場合もあります。
でも神経質になって、あれはダメ、これもダメ!となってしまうと、食べるものが選べなくなってしまいます。
実際人間でも、すごく健康に気をつけていても病気になってしまわれる方もいらっしゃいますし、体に悪いことばかりしていても、健康で長生きされる方もいらっしゃいます。

大切なのは、バランスだと思っています。

添加物も多少は仕方ない。その代わり、できるだけ害のないものを選ぶようにする。
野菜や果物、たまには食べさせる。
手作りフード、できる時は作る。

そして何より、食べることはペットにとっては一番のお楽しみ!食事は幸せな時間、食べることを共に楽しむ!
うちの子はよく吐くんです。一通り検査をしてもらいましたがどこも異常なし。もしかしたら喉が弱いのかと思いましたが、それも問題なしでした。

なので消化酵素が配合されている今のフードを選びました。
このフードにしてから、確かに吐く回数はぐんと減りました。今のところ不具合もないので、当面このフードのお世話になろうと思っています。

飼い主さんによって考え方は様々だと思いますし、フードの選び方もそれぞれだと思います。

もし今どのフード・おやつにするか迷っておられたら、パッケージの裏面を見てみてくださいね
皆様のおうちの大切な子たちが、いつまでも元気で健康でありますように。

 

 

 

ライター:福井 惠子

 

 

【老犬・シニア犬の食欲不振】年齢と共に変わる食い渋り・食欲低下の悩み②

愛犬情報

犬種:ミニチュアダックスフンド

病名・症状:食べムラ・食い渋り・食欲不振・食欲低下

発症年齢:15歳~

発症の経緯:投薬の失敗~加齢による食欲低下

治療法:自宅での工夫

 

関連記事:【老犬・シニア犬の食欲不振】年齢と共に変わる食い渋り・食欲低下の悩み①

 

「食べない」悩みから「食べられない」悩みへ

 

前回の記事では食べムラ・食い渋りの悩みから、体の機能が低下するのと同時に食べる機能の低下による「うまく食べることができない」悩みへと変化した過程についてお話させていただきました。

15歳の頃はクリン自身が食べたいと思うものしか食べなかったので、食べたいものが何かを探して当たりを見つけるといった感じでしたが、年を重ねるごとに、うまく食べられるように環境を整えることが必要になってきました。

最後の半年は、器の場所がわからなくなったため、どうやったらフードまで誘導できるか、また飲み込みが悪くなってきたことでフードの形状や大きさなども考えるようになりました。

今回は体の変化・老化に伴う「食べるもの・食べさせ方の変化」についてお話させていただきます。

 

関連記事:【老犬・シニア犬の食欲不振】年齢と共に変わる食い渋り・食欲低下の悩み①

 

15歳~17歳半:食べ物への不信感の払拭

 

クリンが食べなくなった最大の理由は投薬の失敗です。

好きな食べ物に苦い薬を隠して無理やり食べさせようとしたことで、食べることに対して恐怖を植え付けてしまったことが一番の原因でした。苦い薬は抗生剤と痛み止めで、投与は限られた日数しか投与していませんでしたが、薬をやめても食べることへの恐怖はなくなることはありませんでした。

当時常用薬だった利胆剤と強胆剤を1日2回服用していましたが、無味の薬でさえ嫌がるようになり、それまではフードの上に置いて一緒に食べてくれていたのが、薬やサプリメントの匂いがするだけで飛んで逃げるようになってしまいました。当時通っていた病院に確認したところ、1日くらい飲まなくても問題ないと言われていたので、投薬よりも食べることを優先しました。

今となっては15歳は若いと思えますが、当時は十分高齢だと思っていたため、食べないこと=体力が落ち弱ってしまう=もしかしたらこのまま衰弱してしまうのではないか…と考えていました。

今思い返すと、1日食べないことはあっても、丸2日何も食べないということはありませんでした。たいていお腹が空くと何かしら口にしてくれていました。無理やり投薬することをやめたことで薬への警戒心も少しずつ薄れていったのか、食べ始めの時に薬を入れなければ普通に食べてくれることもありました。

投薬については、当時はまだシリンジを使って投薬という知識はなかったため、薬をオブラートでくるんでジャーキーの匂いをこすりつけたり、おろし金ですったジャーキーをまわりにつけて、食べている時にトッピングをふりかけるフリをしてフードの下に隠し入れたりしてごまかして飲ませていました。

当時気に入っていたのは、砂肝ジャーキーでした。無添加のものや自宅でレンジで作ったジャーキーをはさみでカットしてふりかけたりフードに混ぜていました。

でも食欲が落ちている時は、匂いの弱い無添加だと食べないこともあったので、その時はホムセン等で売っている添加物たっぷりの砂肝ジャーキーを使うこともありました。クリンはこの体に悪そうなジャーキーが大好きで、食べないよりは食べた方がいいということで、結構お世話になりました。

 

【ご飯は食べないけど心配なかった時の状態】

  • ご飯を食べなくても水は飲んでいる
  • 好きなものには反応する(生クリームやバームクーヘン等)
  • 元気で動きもいい
  • 通常通り排泄ができている

 

 

17歳半~18歳半:体の機能が落ち始める

 

17歳の誕生日を迎えた頃は、まだまだ元気いっぱいでした。目も見えていましたし、アイコンタクトもしっかり取れていました。

ところが、17歳半を超えた頃だったと思いますが、初めて玄関前の段差のところで転んだんです。

その頃は、よく自宅前でノーリードで走らせていました。少し離れたところに連れて行き、地面に降ろしてそのまま自宅前に戻りクリンの名前を呼ぶと、嬉しそうに走ってきていました。

自宅前には少し段があり、2段の階段があります。それまでクリンは自分で階段を上っていました。腰が心配だったので、基本抱っこするんですが、ある時自分でいつものように上ろうとして、手前の段差でコロンと転んだんです。

以降、お散歩の時にしりもちをついたり、少し傾斜がついているところで転んでしまうといったことがありました。年を重ねるごとに転ぶ回数が増え、18歳半を迎える頃には、1日数回のお散歩の中で1回は転んだりしりもちをつくようになりました。

視力の低下もあったと思いますが、つまずいた時にふんばる力がどんどん衰えていたのだと思います。ちょうどこの頃、階段から落ちるということもありました。我が家のリビングは2階にあり、いつも帰宅したら3頭の子たちが階段前に集合して待ってくれていたのですが、その時にみのすけに押されて階段を落ちてしまいました。驚いてすぐに病院に連れていきましたが、どこも問題なくホッとしました。それ以来、階段前には柵を置くようになりました。

運動機能の低下と共に、食べる機能にも少しずつ衰えが見られました。

食べるスピードがそれまでよりもゆっくりになり、サイズの大きな野菜やおやつなどをくわえて落としてしまったりということが見られるようになりました。

その頃から、台の上に置いてご飯を食べさせるようになりました。それまでは床置きでしたが、すごく食べにくそうにしていたため、高さを変えてみたところ、それまでよりもスムーズに食べてくれるようになりました。

17歳9ヶ月の開腹手術後からシリンジを使うようになり、シリンジでの投薬となりました。この時に投薬の苦労から解放されることになりました。

シリンジを使えるようになると、食べない時には流動食や介護食をシリンジで与えられるようになりました。最初は嫌がりましたが、少しずつ慣れてくれて飲み込んでくれるようになりました。シリンジを使えるようになり、介護の時間がぐっと減りました。できるだけ自力で食べてほしいと思っていたので、シリンジ食はできるだけ控えるようにしていましたが、投薬のストレスから解放されただけでもかなり楽になりました。

 

 

【体の状態にあわせてご飯や薬の与え方を変える】

・ドライフードの粒の大きさはあっているか(飲み込みや咀嚼に問題はないか)

・以前より食べるスピードは落ちているようなら、フードの形状や大きさ・固さを変える

・食べにくそうにしていたら、食べる高さを変えてみる

・常用薬があり食べムラがある場合はシリンジ等で投薬コントロールすると安心できます

 

 

18歳半~19歳:顕著な機能低下~できないことが増えていく

 

クリンはとても元気な子でした。毎日のお散歩では楽しそうにピョンピョンと飛び跳ねるように走り、立ち止まるとわたしの周りをくるくると走るくらい足腰の丈夫な子でした。

ところが18歳半を過ぎた頃から、足腰に明らかな異変が出始めました。それまでは夜中に起き出して歩き回っていましたが、転んで起き上がれなくなるという状態になりました。

夜中に「ヒーン、ヒーン」と鳴く声が聞こえ、慌てて起きてクリンの元に行くと、倒れて起き上がれなくなっているということが度々起こるようになったのです。

病院では、とにかく体を冷やさないようにといわれていたので、この頃は服の重ね着+腹巻をしていました。軽い素材ではありましたが、動きが制限されているかもと思い、服を1枚にしました。そして毎日のお散歩+バランスディスクでのトレーニングをするようになりました。トレーニングの効果があったのか、転ぶ回数は少し減りました。

そして12月に歯石除去をしました。麻酔は笑気ガスのみで、挿管はせずに短時間で終了しました。年齢的に麻酔の負担はあったと思いますが、歯の状態がかなり悪くなっていたことと、ずっと炎症数値が下がらなかったことで投薬が続いていたため決断しました。

術後数日は食欲低下がみられましたが、食欲が戻ってからはよく食べてくれるようになりました。歯の状態が悪いと、食欲にかなり影響があると感じました。特に歯槽膿漏や歯のぐらつきで痛みがある場合は、食欲に直結するように思います。

食べない日はシリンジ食で与え、とにかく体重が減らないように気をつけていましたが、クリンの体重は3kgちょっとになっていました。ヘルニアもあったので、あまり体重が増えるのもよろしくないですが、体力が落ちないようにかなり気をつけていました。

19歳を迎える頃には、お散歩で転ぶようになり、リードを上に引っ張って転ばないようにしていました。そしてわたしの周りをグルグルと走り回ることもなくなっていました。

ほんの半年前までは台の上のフードを食べることができていましたが、この頃には口元まで手で持っていき、食べやすい角度をつけてご飯を与えるようになっていました。台の上に載せても、顔を下げることが難しくなっていたことと、口にうまく運ぶことができなくなっていたんです。

そして誕生日を迎える頃には、お水を飲みにいくこともなくなりました。最後に自力でお水を飲みにいったのは、確か19歳の誕生日を迎える前の1月だったと記憶しています。なので水分量を計って与えるようになりました。

クリンは水頭症があったため、その影響が大きかったように思います。認知症も多少あったかもしれませんが、夜鳴きもせず、撫でたり抱っこしりすると嬉しそうにしてくれていましたし、病院では先生に反抗もしていました(笑)

時系列で整理すると、足の衰えと食欲低下は比例していることがとてもよくわかりました。足の衰え=体力・筋力の低下なので、当たり前といえば当たり前なんですが、よく転ぶようになったのと同時に、お口の中に食べ残しが多くなっていました。大好きだったバームクーヘンも、食べようとするものの、口の水分をとられるためか飲み込めなくなり、口の中がバームクーヘンだらけになることもありました。

この時に、「食べない」のではなく、「うまく食べられなく(飲み込めなく)なっている」のだと認識しました。

 

 

【老犬・シニア犬の食欲不振】年齢と共に変わる食い渋り・食欲低下の悩み③に続く

 

ライター:福井 惠子

 

 

 

【老犬・シニア犬の食欲不振】年齢と共に変わる食い渋り・食欲低下の悩み①

愛犬情報

犬種:ミニチュアダックスフンド

病名・症状:食べムラ・食い渋り・食欲不振・食欲低下

発症年齢:15歳~

発症の経緯:投薬の失敗~加齢による食欲低下

治療法:自宅での工夫

 

 

飼い主の精神的負担が大きい愛犬の『食べない悩み』

2019年2月撮影 ご飯を食べさせていたキッチンにて。口の周りにいっぱいご飯をつけて冷蔵庫に激突していたのでたくさん跡がついています。

 

我が家の長女クリンの「食べない悩み」が出始めたのは、15歳の頃からでした。ある日突然前足の不具合が出始め、病院でもらった痛み止めの薬を食べ物に隠して無理やり飲ませようとしたことで、《食べること=苦い薬を隠されている=嫌なこと》と認識させたことがきっかけでした。

以来クリンが旅立つまでの約4年間、毎日食べムラ・食い渋り等の「食べない悩み」がありました。食事に関する悩みは歳を重ねるごとに少しずつ変化し、18歳を超えてからは「うまく食べられない悩み」が出始め、19歳を少し迎える前あたりからは、今度は「うまく口に入れられない悩み」になり、「うまく飲み込めない悩み」に変わっていきました。

うちの場合、食事に関する悩みにも段階がありました。今回は、時系列で実際に起こったことや、どのように対処したかをお話させていただきたいと思います。

 

 

その①:食べない悩み

2015年撮影。食べムラ・食い渋りがひどく痩せていた頃。

 

クリンが15歳の時に、食べ物に薬を隠したことがきっかけでご飯を食べることに対して躊躇するようになり、それからクリンが旅立つ19歳までずっと「ご飯を食べさせること」がわたしの毎日の悩みの種になりました。

 

関連記事:シニア犬(老犬)の食べムラ ~食べムラで悩んでいる飼い主さんへ伝えたいこと

 

クリンが14歳の頃から1日2回2種類の薬を飲むようになりました。最初はご飯の上に薬を載せて何の問題もなく完食してくれていましたが、15歳の時に痛み止めを無理やり口に入れて飲ませようとしたことで、薬は苦いものだとインプットされ、以降薬と口を触られることを拒否するようになりました。

それでもトッピングの工夫で食欲を刺激したり、好きなものを探してそれを食欲の呼び水にすることで、何とか食べさせることができていました。

 

関連記事:【シニア犬(老犬)の食べムラ】我が家の秘密兵器

 

同じく15歳の頃に見つかった子宮の不具合により、子宮に慢性疼痛があり食欲が落ちてしまっていたことが転院して初めてわかりました。約2年間内科治療をしていたことが、結果こじらせてしまうことになりました。当時の主治医の先生に対処療法で逃げる治療を勧められたこと、年齢的に積極的治療はやめたほうがいいといわれたこと、わたし自身外科治療が怖かったことなどから、結果クリンも自分も苦しむ結果となってしまいました。

転院し、初めて診察してもらった時にすぐ子宮の痛みがあることがわかり、見つかった時にすぐに手術をしていたらもっと早く改善していたかもと言われた時、早く転院すればよかったととても後悔しました。年齢的に外科治療を選択できないと思い込んでいたんです。病院・先生によって治療の選択が違うということを、この時実感しました。

すぐに手術を決意し、子宮摘出手術を受けたのは17歳9ヶ月でした。

食べない原因がはっきりしている場合は、それを改善することで食べてくれることもありますが、病気が原因の食べムラ・食い渋りや食欲不振も考えられます。

また、わがままも考えられます。いつものフードを食べないからと、様々な種類の食べ物やフードを次から次へと出してしまうと、「今我慢したらもっとおいしい物が出てくる」と学習してしまい、食べなくなることもあります。

食べない原因が体のどこかにあるのか、ただのわがままなのか、食べなくなってしまった原因に心当たりがあるかなどを見極めることが、食欲不振・食い渋りを改善するために必要だと考えます。

 


食べない原因は何か

・食事で嫌な思いをしたことはないか

・食べない時に新しいフードや食べ物を次々と出したことはないか

・食べない時に病院で検査(血液検査・エコー等)を受けているか

・歯の痛みや歯石など、口の中に原因はないか

 

 

その②:うまく食べられない悩み

 

15歳になるまでは、毎日ではないものの口の中のケアはガーゼや専用の指サックなどで拭きとっていたので、歯石以外はさほど大きな問題を感じることはありませんでしたが、一切口を触らせてくれなくなってから、あっという間に歯石だらけとなってしまいました。特に上の奥歯がひどく、歯石が頬側に飛び出してずっと当たっている状態でした。

17歳9ヶ月で手術を受けましたが、その際歯石取りと抜歯も合わせてお願いしました。

優先順位は子宮摘出⇒歯石取りということでしたが、歯石除去とぐらつきのあった歯を1本抜歯してもらうことができました。

病院では子宮の痛みがなくなれば食欲も戻るだろうし、口の中がきれいになったら食べやすくなるだろうとのことでした。術後5日目にやっとドライフードを食べるようになり、食欲もどんどん戻ってきました。麻酔の影響でそれまで問題のなかったヘルニアの痛みが出始めましたが、手術前よりもクリンの食欲は安定しました。食べ始めの食い渋りはあるものの、まるまる1日何も食べないということはなくなりました。

 

 

その③:機能低下による嚥下・咀嚼の悩み

 

クリンは年齢の割には機能を長く保てていたと思います。18歳になっても自力で走っていましたし、ご飯も食い渋りはあるものの、パクパクと食べてくれていました。

ところが、18歳半を迎えた頃から、目に見えて機能が低下していきました。

まずは視力の低下でした。それまではうっすらと見えていたようで、アイコンタクトもできていましたが、少しずつできなくなり、いつのまにかできなくなっていました。

次に筋力の低下。最初はしりもちをつくようになり、次にコロンと転ぶようになりました。そして前足がガクンとなりつんのめって顎からこけることがありました。そして転んだ後になかなか起き上がれなくなりました。

そして嚥下障害。それまでは超小粒のフードをそのまま食べていましたが、術後からフードを半分~1/3くらいにカットして与えていました。ところがその粒を全部飲み込むことができず、口の中に残ってしまうようになりました。

この頃は食欲不振が見られたらシリンジ食を与えていたんですが、以前は嫌がりながらも飲み込んでくれていましたが、口の横から漏れてうまく飲み込めないということも見られました。

それまでは好きなトッピングを準備して、一度食べてくれたらその後は最後まで食べてくれていましたが、嚥下障害が出始めてからは、途中で食べることをやめてしまい、あとから確認すると口の中にフードが残っているということも見られました。

クリンはそれまでふやかしたフードを拒否していたので、ドライフードを砕いてジャーキー等をすりおろして上にふりかけて食べさせるのが定番でしたが、この頃からは牛乳や鶏ガラスープなどの水分を一緒に与えるようになりました。

フードはフードプロセッサーで粉状になる手前くらいのかなり細かく砕いた状態にして、できるだけ飲み込みやすい状態にし、ご飯を食べた後の投薬時にシリンジで頬側を水で流すようにして、口の中に食べかすが残らないように気をつけていました。

年齢と共に機能が低下するのは当たり前のことですが、クリンに関していえば、18歳半を境に一気に落ちていったように思います。筋力を維持できるよう、日に数回のお散歩とバランスディスクは欠かさず行っていましたが、足の筋力が落ちるのと同時に体の機能もどんどん落ちていきました。

 

 

【老犬・シニア犬の食欲不振】年齢と共に変わる食い渋り・食欲低下の悩み②に続く

 

 

ライター:福井 惠子

 

 

シニア犬(老犬)の食べムラ ~食べムラで悩んでいる飼い主さんへ伝えたいこと

我が家の愛犬クリンの食べムラは、15歳の時から始まりました。

食べムラを経験し、いろんなことを知りました。食べることは決して当たり前のことではないこと、フードと薬は分けた方がいいこと、実は食べムラや食い渋りは一番精神的に堪える、ということなどです。

同じ悩みを持つ飼い主さんはたくさんいらっしゃると思います。今回は、今でも食べムラで悩んでいる飼い主のひとりとして自分なりの考えを書いていきます。


 

 

シニア犬の「食欲不振」は特別ではない

 

クリンの食べムラが始まって一番最初に思ったことは、「このままどんどん弱って衰弱していくのではないか」ということでした。若い頃は、お腹の調子が悪くなると1~2日食事抜きで様子を見るということもありましたが、この頃は普通に食欲があったので、さほど気になることはありませんでした。

 

ところがあることがきっかけで、ご飯の時間になっても何も食べないということが続き、「食べること」への欲求がみるみるなくなっていきました。今まで喜んで食べていたものですら、口にしなくなってしまいました。

「シニア犬 食べムラ」で検索して調べると、「食べないのは末期症状…」「最期は食べなくなって…」など、かなりネガティブな表現のものが多く、読めば読むほどどんどん余計に不安になりました。愛犬仲間の方も、同じようなことを言われる方が多かったです。

 

わたしたち人間でも、年齢と共に脂っぽいものを敬遠したり、食べる量が減ったりします。少し食べ過ぎてしまうとすぐに胃もたれすることもあります。歳を重ねるごとにどんどん代謝は落ち、消化機能も落ちてきます。それは犬の場合も同じことなんですよね。

 

歳を取ると、体調も常に万全ではありません。寝不足だったり、前日に胃の調子が悪いと、それだけで食べなくなることもあります。ですから、愛犬がシニアになって食欲が落ちることは、とても自然なことなのだとは思いますが、それでもやっぱりとても心配になります。

 

 

食べムラの原因を考えてみる

 

食べムラの原因として、元々食べることに執着がなかったり、単なるわがままであったりもしますが、何かしら「食べなくなった」きっかけがあったという場合もあります。これら複数のことが原因で食べない、ということもあると思います。

愛犬が食べないことは、飼い主にとってとても深刻です。食べないと体力の低下や体が冷えて代謝が低下することもありますので、少しでもいいから何か食べてほしいと願ってしまいます。

振り返ると、うちの場合は食欲不振の時には必ず原因がありました。

 

 

食べない時に考えられること

 

1.なんとなく食べたくない

2.胃腸の調子が芳しくない

3.食べにくいから食べない

4.体のどこかに痛みがある

5.食べることへの不信感

 

1.なんとなく食べたくない

 

前日に、あまり運動することなくたくさん食べた時などは、翌日なかなかご飯を食べないことがあります。シニアになると長時間寝ていることが多くなりますので、動く時間が少なくなり、胃腸の動きも悪くなっていることがあるのです。

また、鼻が利かなくなっていることも考えられます。犬にとって匂いはとても大切な情報。料理をしていると、いい匂いに誘われ居ても立っても居られず、キッチンでお座りして待ったりしますが、シニアになると そういうこともなくなってきました。

そしてもうひとつ。これはシニア犬あるあるですが、単なるわがままということも考えられます。人間同様、歳をとると犬もわがままになります。食べムラが続いている時など、手を変え品を変えいろんなものを与えてしまうと、「待っていたらもっといいものが出てくるかも」とドッグフードなどを食べなくなってしまうこともあります。

こんな時は、匂いの強いトッピングが有効です。多少の添加物もよしとして、かなり匂いが強い缶詰をトッピングしたり、ふりかけをレンジで温めて匂いを強くしたりすると食べてくれることもあります。

わがままかも、と思う場合は、少し様子を見るのもひとつです。病気や体調不良がない場合はドッグフードを下げてしまうのもひとつ。ただし、ハイシニアの場合は、好きなものをおいしく食べてもらうというのもありだと思っています。

 

 

2.胃腸の調子が芳しくない

 

歳と共に代謝が落ち、内臓の働きも悪くなります。消化の悪いものを食べたり、なんとなく胃が気持ち悪かったりすると、食欲が減退する原因になります。うちの場合は、夜中にご飯を食べたがることが多く、ご飯を欲しがるのが嬉しくてついつい食べさせてしまいます。すると翌日はなかなかご飯を食べなかったりします。

胃腸の調子が悪い時は便の状態がいつもと違ったり、腸がキュルキュル鳴ったりします。そんな時は食欲が出るまでそっとしておきます。そんな時、牛乳はとても役立ちます。牛乳は犬に与えてはダメという意見もありますが、お腹を壊さなければ問題ないですし、実際牛乳だけで数ヶ月生きた犬もいると獣医さんに聞きました。牛乳は栄養もあるし液体で飲みやすいので、なんとなく食欲がない、という時にはとても助かります。

お腹の音が数日治まらなくて食欲がない場合は、胃腸炎・膵炎など、病気の可能性があります。数日続く場合は病院に行くことをおすすめします。こじらせてしまうと長引いてしまうこともあります。シニア犬の場合、こじらせると本当にやっかいですし、命に係わるような大事になる可能性もありますから、様子がおかしいと思ったら診察を受けることを強くおすすめします。

 

 

3.食べにくいから食べない

 

今まではパクパク食べていたフードも、歯の状態が悪くなったり、顎の力が弱まったりすることで、食べにくくなっていることも考えられます。

うちの場合、咥えたおやつをポロっと落としたり、それまで大好きだったキャベツの芯などを食べなくなったことで、顎の力がなくなったとわかりました。それ以来、食べやすい形状に小さくカットしたり、フードを砕いてやることで食べるようになりました。犬って案外繊細で、食べられないと食べなくなってしまうことがありますので、もし思い当たることがあれば、試してみてくださいね。

 

 

4.体のどこかに痛みがある

 

体のどこかに痛みがある場合は、明らかにいつもと違う行動をとります。うちのクリンは、15歳の時に膵炎の疑いで入院しました。入院する2日前、食欲が落ちたため血液検査を受けたところ、CRPが上がっていて抗生剤を投与しました。ところがその翌日から全く食べなくなり、お祈りのポーズといわれる、お座りの姿勢で頭を床につけてじっと動かなくなり、その場で失禁していました。朝になりすぐに病院に駆け込んだところ、すぐに入院になってしまいました。

また、クリンには子宮の痛みがあったようです。セカンドオピニオンを受けた病院で、子宮の痛みがあることを指摘されました。(触診で発覚しました)

手術後摘出した子宮を見せてもらいましたが、片方が通常の2倍くらいに腫れあがっていました。ずっと気持ち悪いような痛いような状態だったから、食欲も出なかったんだと思うと言われたときは、気づいてあげられなかったことを悔みました。

 

体のどこかに痛みがある時は、何らかのサインがあります。

寝てばかりいる・失禁・軟便・腸から音がする・吐く・うずくまるなど、いつもと違う様子なら、すぐに獣医さんに相談することをおすすめします。特にシニアの場合は、たった1日処置が遅れただけで重篤な状態になることもあります。

 

 

5.食べることへの不信感

 

とても耳が痛い話です。冒頭の「あること」=クリンの食べムラのきっかけは、薬を飲ませるためにフードに混ぜてしまったことでした。それまでは、どんな薬でもご飯の上に乗せて飲ませていました。

ご飯を食べない、ということがなかったので、この方法は有効でしたが、食べムラが始まり、ご飯を食べない時に、とにかく薬を飲ませることに必死になり、食べ物に隠して無理に食べさせようとしたんです。

結局隠していたことがばれてしまい、ただの食べムラが、食べること自体を嫌がるようになってしまいました。これは飼い主として最大の失敗であり、今でもクリンに申し訳ない気持ちでいっぱいです。

 
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