ワンワンラボにご訪問いただき、ありがとうございます。
今日はクリンの20歳の誕生日。
クリンは2019年3月に19歳1ヶ月で旅立ちましたので、残念ながら成人式を迎えることは叶いませんでした。
この記事を書いた当初は、クリンは18歳を迎えたばかりで、食べムラ・食い渋りに悩んでいる真っ最中でした。ありがたいことに、この記事はたくさんの方にお読みいただき、2年前の記事にもかかわらず、今でもコメントをいただいております。
クリンを見送ってから思うこと、気づいたことなどを追記して、クリンの20歳の誕生日にリライトして公開させていただくことにいたしました。
どうか、食べムラ・食い渋り・食欲不振で悩んでおられる飼い主さんに届きますように。
シニア犬の「食欲不振」は特別ではない
我が家の愛犬クリンの食べムラは、15歳の時から始まりました。
食べムラを経験し、いろんなことを知りました。
食べることは決して当たり前のことではないこと、フードと薬は分けた方がいいこと、実は食べムラや食い渋りは一番精神的に堪える、ということなどです。
同じ悩みを持つ飼い主さんはたくさんいらっしゃると思います。食べムラ・食い渋りに約4年間悩んだ飼い主のひとりとして、経験と感じたことなどを書いていきます。
クリンの食べムラが始まって一番最初に思ったことは、「このままどんどん弱って衰弱していくのではないか」ということでした。若い頃は、お腹の調子が悪くなると1~2日食事抜きで様子を見るということもありましたが、この頃は普通に食欲があったので、さほど気になることはありませんでした。
そして「あること(飼い主の失敗)」がきっかけで、「食べること」そのもの、食べ物に対しての不信感を持たせてしまいました。今まで喜んで食べていたものですら、口にしなくなってしまいました。
ネットで「シニア犬 食べムラ」で検索すると、「食べないのは末期症状…」「最期は食べなくなって…」など、かなりネガティブな表現のものが多く、読めば読むほど余計に不安になっていきました。少しでも希望を持ちたくて検索するのに、出てくる結果がマイナスのものばかりだと、ただでさえ弱っている心がどんどん追い込まれてしまうんですよね。
歳を取ると、体調も常に万全ではありません。寝不足だったり、前日に胃の調子が悪いと、それだけで食べなくなることもあります。ですから、愛犬がシニアになって食欲が落ちることは、とても自然なことなのだとは思いますが、それでもやっぱりとても心配になります。
食べムラの原因を考えてみる
食べムラの原因として、元々食べることに執着がなかったり、単なるわがままであったりもしますが、何かしら「食べなくなった」きっかけがあったという場合もあります。いくつかの複数の問題が原因で食べない、ということもあると思います。
愛犬が食べないことは、飼い主にとってとても深刻です。食べないと体力の低下や体が冷えて代謝が低下することもありますので、少しでもいいから何か食べてほしいと願ってしまいます。
振り返ると、うちの場合は食欲不振の時には必ず原因がありました。
食べない時に考えられること
1.なんとなく食べたくない
2.胃腸の調子が芳しくない
3.噛む力が弱まって、または歯に問題があって食べにくいため食べない
4.体のどこかに痛みや不具合(病気)がある
5.食べることそのものへの不信感
1.なんとなく食べたくない
前日にたくさん食べた時などは、翌日なかなかご飯を食べないことがあります。シニアになると長時間寝ていることが多くなりますので、動く時間が少なくなり、胃腸の動きも悪くなっていることがあります。若い頃と違い、老犬になると消化にも時間がかかるため、お散歩などの適度な運動や気分転換は食欲を高めるきっかけになります。
また、鼻が利かなくなっていることも考えられます。犬にとって匂いはとても大切な情報。ところが年を重ねるごとに匂いもわからなくなっていきます。良い匂いにつられてキッチンに飛んでくるようであれば問題ないですが、無関心でいるようなら、もしかすると匂いがわからなくなっているのが原因のひとつかもしれません。
そしてこれはシニア犬あるあるですが、「単なるわがまま」ということも考えられます。人間同様、歳をとると犬もわがままになります。食べムラ・食い渋りが続いている時は、手を変え品を変えいろんなものを与えてしまいがちです。すると、「待っていたらもっといいものが出てくるかも」と、ドッグフードなどを食べなくなってしまうこともあります。
こんな時は、匂いの強いトッピングが有効です。多少の添加物もよしとして、かなり匂いが強い缶詰をトッピングしたり、ふりかけをレンジで温めて匂いを強くしたりすると食べてくれることもあります。
わがままかも、と思う場合は、少し様子を見るのもひとつです。病気や体調不良がない場合はドッグフードを下げてしまうのもひとつ。ただし、ハイシニアの場合は、好きなものをおいしく食べてもらうというのもありだと思っています。お腹を壊さないなら、人間用の牛乳もおススメです。クリンの晩年はテラカニスという缶詰と人間用の牛乳にとても助けられました。
2.胃腸の調子が芳しくない
歳と共に代謝が落ち、内臓の働きが悪くなります。消化の悪いものを食べたり、なかなか消化できない場合などは食欲が減退する原因になります。クリンは夜中にご飯を食べたがることが多く、ご飯を欲しがるのが嬉しくてついつい食べさせてしまうと、翌日はなかなかご飯を食べなかったということがありました。
胃腸の調子が悪い時は便の状態がいつもと違ったり、腸がキュルキュル鳴ったりします。そんな時は食欲が出るまでそっとしておきます。そんな時、牛乳はとても役立ちます。牛乳は犬に与えてはダメという意見もありますが、お腹を壊さなければ問題ないですし、牛乳だけで数ヶ月生きた犬もいると獣医さんに聞きました。牛乳は栄養もあるし液体で飲みやすいので、なんとなく食欲がない、という時にはとても助かります。ワンコは甘い味をおいしいと感じるそうなので、体に優しい砂糖やはちみつなどを混ぜて甘味をつけてあげると、より飲んでくれるかもしれません。
お腹の音が数日治まらなくて食欲がない場合は、胃腸炎・膵炎など、病気の可能性があります。数日続く場合は病院に行くことをおすすめします。こじらせてしまうと長引いてしまい、命を脅かす危険性があります。シニア犬の場合、こじらせると本当にやっかいなので、様子がおかしいと思ったら診察を受けることを強くおすすめします。
3.食べにくいから食べない
今まではパクパク食べていたフードも、歯の状態が悪くなったり、顎の力が弱まったりすることで、噛めなくなってしまったり、食べにくくなっていることが考えられます。
うちの場合、咥えたおやつをポロっと落としたり、それまで大好きだったキャベツの芯などを食べなくなったことで、顎の力がなくなったとわかりました。それ以来、食べやすい形状に小さくカットしたり、フードを砕いてやることで食べるようになりました。あまり大きな粒だと誤飲の危険もありますので、年齢と共にフードの大きさを変えてあげることをおすすめします。
犬って案外繊細で、「うまく食べられない」と食べなくなってしまうことがありますので、もし思い当たることがあれば、試してみてくださいね。
4.体のどこかに痛みがある
振り返ると、クリンが食べなかった原因は体の不具合が一番の原因だったと思います。食べムラ・食い渋りになったきっかけは投薬でしたが、食べない時には体のどこかに痛みがありました。
クリンの場合は子宮の鈍痛と歯の痛みでした。子宮摘出をしたのは18歳になる前でしたから、それまで約3年間も痛みがあったのだと思うと、もっと早く転院すればよかったと今でも思います。
術後摘出した子宮を見せてもらいましたが、片方が通常の2倍くらいに腫れあがっていました。ずっと気持ち悪いような痛いような状態だったから、食欲も出なかったんだと思うと言われたときは、気づいてあげられなかったことをものすごく悔みましたし、今でも後悔の念は消えません。
参考記事:避妊手術について考える ~老犬の子宮蓄膿症の治療について
体のどこかに痛みがある時は、何らかのサインがあります。食べムラ・食い渋りもそのサインのひとつです。
もしかしたら、なんとなく具合が悪いという感じで、検査では出てこないかもしれませんが、食欲不振が続くようでしたら、獣医さんに相談されることをおすすめします。
食べないことに以下のような症状が出始めたら、症状が悪化していたり、炎症数値が跳ね上がっていることも考えれ羅れます。
寝てばかりいる/失禁/軟便/腸から音がする/吐く/うずくまるなど
ワンコは我慢することが多いそうで、痛がったりするのはよほどの状態であることが多いそうです。特に老犬の場合は、たった1日処置が遅れただけで重篤な状態になることもあります。
ワンコは10歳を超えると体のあちこちに不具合が出始めることが多いそうです。どんな病気でも、早期発見できれば早く治療することができますし、心臓や腎臓などの再生しない臓器も、投薬により寿命を大きく伸ばすことができます。悪いところがないようでも、数ヶ月ごとの定期健診を受けておくと不具合に素早く対処できます。
5.食べることへの不信感
これは今でもずっと後悔していることで、クリンに申し訳ない気持ちでいっぱいです。
クリンの食べムラのきっかけは「投薬」です。
14歳で胆泥症と診断され、以来毎日の投薬が始まりましたが、普通にご飯の上に薬を置いて一緒に食べさせていたため、問題なく薬を飲むことができていました。ところが15歳の時の足の炎症がきっかけでご飯を食べなくなってしまいました。その時に処方された「抗生剤」が非常に苦い薬で、それを無理やり飲ませようとしたことがきっかけで食べ物に対する不信感を持たせてしまいました。
それまで大好きだったお肉やささみ、ジャーキーなどにくるんで薬を飲ませようとしましたが、結局ばれてしまって口から吐き出してしまいました。そんなことを繰り返しているうちに、痛みがあって食べなかっただけなのに、食べ物自体に不信感をもってしまい、食べること自体を嫌がるようになってしまいました。
これは飼い主として最大の失敗であり、今でもクリンに申し訳ない気持ちでいっぱいです。正直、この失敗がなかったら、食べることが大好きなままであったら、もしかしたら成人式を迎えることができたのではないかとさえ思います。
食べムラを怖がらないで
クリンが15歳の時から始まった食べムラ・食い渋りは旅立つ日までほぼ毎日続きました。
体の痛みや不具合が取れた時は食欲も改善しましたし、お腹が空くとすごい勢いで食べてくれることもありましたが、すぐに食べないことが癖になってしまったように思います。
一度食べムラや食い渋りになってしまうと、何とか食べてほしいと「好きなおやつ」や「好物のお肉」など、犬にとってのごちそうを用意したり、毎回フードを変えてしまったり、新しい缶詰を次から次へと開けてしまったりすることで、どんどんわがままになってしまいました。当時冷蔵庫の中はクリンの食べなかったものでいっぱいになることもありました。
愛犬が食べないことって、飼い主の精神的なダメージが本当に大きいんですよね。このまま食べなかったらどうしようと落ち込み、実際わたしはノイローゼになってしまいました。毎日眠れずにいろいろ考えては泣いてみたり、ネットで検索しては落ち込んだり、今考えると本当におかしくなっていたと思います。
でも、どれだけ食べなくても、お腹が減ると必ず何かを口にします。病気が原因の食欲不振でない限り、食べムラはいつか治まります。クリンは食べない日もありましたし、痩せてしまったこともありましたが、それでも19歳を迎えることができました。
特に老犬は、食べるスイッチが入りにくいという場合もあります。若い頃より運動量が減り、代謝が落ち、なかなかお腹が空かないということもあります。そんな時は「もっと食べたい」「お腹が減った」というスイッチを入れてあげるのも手です。スイッチは、大好物のおやつや、人間の食べるもので甘いものも結構有効です。
カステラ、バームクーヘン、バニラアイスクリーム、加糖ヨーグルトなど、お腹が減っている時はものすごく食いつきます。これは奥の手としておすすめです。
クリンの場合は、先にカステラだけを与え、食いついてきたらフードの上にカステラを小さくちぎったものをトッピングして食べさせたりします。これを我が家では「呼び水」と呼んでいます。
トッピングだけ先に食べてしまい、フードだけ残ると食べなくなることもありますので、食べている最中にトッピングを横から追加したり牛乳を入れたりして、そのまま止まらず食べ続けるようにしています。
愛犬に食べムラや食い渋りが出た時に大切なこと
今、愛犬の食べムラで悩んでいる飼い主さんへ。
クリンの食べムラ・食い渋りに約4年向き合い、もし持病や体調不良などがないのであれば、あまり深刻に悩まないでください。1日2日食べなくても、お腹が減ったら必ず食べてくれます。我が家のわがままシニア犬は、15歳から3年食べたり食べなかったりを繰り返していますが、今でも元気に過ごしていますから。
何よりも愛犬にとって一番ダメージが大きいのは、飼い主さんの悲しい顔や、食べないことを叱られることです。
犬って飼い主の精神状態をよく理解しているんですよね。クリンが食べない時、イライラしたり怒ったりすると、元気がなくなったり余計に食べなくなったりしました。
でもご飯を食べた時に「すごいね~~!」と褒めると、食べるスピードがアップするんです。ああ、犬ってちゃんとわかってるんだな、とつくづく思いました。
犬にとっての一番の良薬は、飼い主さんの愛情であり、飼い主さんの笑顔です。
たとえ食べなくても、どうか怒らないであげてください。大丈夫大丈夫、お腹が減ったら食べようね!と笑顔で接してあげてください。
15歳から4年間、ずっと食べないことに悩んできましたが、19歳を元気に迎えることができました。そして旅立つ前日まで、いつも通り過ごすことができました。
多少食べなくても、たとえ食べない日があっても、どうかあまり深刻にならないでくださいね。
ライター:福井 惠子