老犬の食べムラ・食い渋り ~老犬が食べない悩みをお持ちの飼い主さんへ伝えたいこと

ワンワンラボにご訪問いただき、ありがとうございます。

今日はクリンの20歳の誕生日。

クリンは2019年3月に19歳1ヶ月で旅立ちましたので、残念ながら成人式を迎えることは叶いませんでした。

この記事を書いた当初は、クリンは18歳を迎えたばかりで、食べムラ・食い渋りに悩んでいる真っ最中でした。ありがたいことに、この記事はたくさんの方にお読みいただき、2年前の記事にもかかわらず、今でもコメントをいただいております。

クリンを見送ってから思うこと、気づいたことなどを追記して、クリンの20歳の誕生日にリライトして公開させていただくことにいたしました。

どうか、食べムラ・食い渋り・食欲不振で悩んでおられる飼い主さんに届きますように。

 

 

シニア犬の「食欲不振」は特別ではない

 

 

我が家の愛犬クリンの食べムラは、15歳の時から始まりました。

食べムラを経験し、いろんなことを知りました。

食べることは決して当たり前のことではないこと、フードと薬は分けた方がいいこと、実は食べムラや食い渋りは一番精神的に堪える、ということなどです。

同じ悩みを持つ飼い主さんはたくさんいらっしゃると思います。食べムラ・食い渋りに約4年間悩んだ飼い主のひとりとして、経験と感じたことなどを書いていきます。

 

クリンの食べムラが始まって一番最初に思ったことは、「このままどんどん弱って衰弱していくのではないか」ということでした。若い頃は、お腹の調子が悪くなると1~2日食事抜きで様子を見るということもありましたが、この頃は普通に食欲があったので、さほど気になることはありませんでした。

 

そして「あること(飼い主の失敗)」がきっかけで、「食べること」そのもの、食べ物に対しての不信感を持たせてしまいました。今まで喜んで食べていたものですら、口にしなくなってしまいました。

ネットで「シニア犬 食べムラ」で検索すると、「食べないのは末期症状…」「最期は食べなくなって…」など、かなりネガティブな表現のものが多く、読めば読むほど余計に不安になっていきました。少しでも希望を持ちたくて検索するのに、出てくる結果がマイナスのものばかりだと、ただでさえ弱っている心がどんどん追い込まれてしまうんですよね。

歳を取ると、体調も常に万全ではありません。寝不足だったり、前日に胃の調子が悪いと、それだけで食べなくなることもあります。ですから、愛犬がシニアになって食欲が落ちることは、とても自然なことなのだとは思いますが、それでもやっぱりとても心配になります。

 

 

食べムラの原因を考えてみる

 

 

食べムラの原因として、元々食べることに執着がなかったり、単なるわがままであったりもしますが、何かしら「食べなくなった」きっかけがあったという場合もあります。いくつかの複数の問題が原因で食べない、ということもあると思います。

愛犬が食べないことは、飼い主にとってとても深刻です。食べないと体力の低下や体が冷えて代謝が低下することもありますので、少しでもいいから何か食べてほしいと願ってしまいます。

振り返ると、うちの場合は食欲不振の時には必ず原因がありました。

 

食べない時に考えられること

 

1.なんとなく食べたくない

2.胃腸の調子が芳しくない

3.噛む力が弱まって、または歯に問題があって食べにくいため食べない

4.体のどこかに痛みや不具合(病気)がある

5.食べることそのものへの不信感

 

1.なんとなく食べたくない

前日にたくさん食べた時などは、翌日なかなかご飯を食べないことがあります。シニアになると長時間寝ていることが多くなりますので、動く時間が少なくなり、胃腸の動きも悪くなっていることがあります。若い頃と違い、老犬になると消化にも時間がかかるため、お散歩などの適度な運動や気分転換は食欲を高めるきっかけになります。

また、鼻が利かなくなっていることも考えられます。犬にとって匂いはとても大切な情報。ところが年を重ねるごとに匂いもわからなくなっていきます。良い匂いにつられてキッチンに飛んでくるようであれば問題ないですが、無関心でいるようなら、もしかすると匂いがわからなくなっているのが原因のひとつかもしれません。

そしてこれはシニア犬あるあるですが、「単なるわがまま」ということも考えられます。人間同様、歳をとると犬もわがままになります。食べムラ・食い渋りが続いている時は、手を変え品を変えいろんなものを与えてしまいがちです。すると、「待っていたらもっといいものが出てくるかも」と、ドッグフードなどを食べなくなってしまうこともあります。

こんな時は、匂いの強いトッピングが有効です。多少の添加物もよしとして、かなり匂いが強い缶詰をトッピングしたり、ふりかけをレンジで温めて匂いを強くしたりすると食べてくれることもあります。

わがままかも、と思う場合は、少し様子を見るのもひとつです。病気や体調不良がない場合はドッグフードを下げてしまうのもひとつ。ただし、ハイシニアの場合は、好きなものをおいしく食べてもらうというのもありだと思っています。お腹を壊さないなら、人間用の牛乳もおススメです。クリンの晩年はテラカニスという缶詰と人間用の牛乳にとても助けられました。

 

2.胃腸の調子が芳しくない

歳と共に代謝が落ち、内臓の働きが悪くなります。消化の悪いものを食べたり、なかなか消化できない場合などは食欲が減退する原因になります。クリンは夜中にご飯を食べたがることが多く、ご飯を欲しがるのが嬉しくてついつい食べさせてしまうと、翌日はなかなかご飯を食べなかったということがありました。

胃腸の調子が悪い時は便の状態がいつもと違ったり、腸がキュルキュル鳴ったりします。そんな時は食欲が出るまでそっとしておきます。そんな時、牛乳はとても役立ちます。牛乳は犬に与えてはダメという意見もありますが、お腹を壊さなければ問題ないですし、牛乳だけで数ヶ月生きた犬もいると獣医さんに聞きました。牛乳は栄養もあるし液体で飲みやすいので、なんとなく食欲がない、という時にはとても助かります。ワンコは甘い味をおいしいと感じるそうなので、体に優しい砂糖やはちみつなどを混ぜて甘味をつけてあげると、より飲んでくれるかもしれません。

お腹の音が数日治まらなくて食欲がない場合は、胃腸炎・膵炎など、病気の可能性があります。数日続く場合は病院に行くことをおすすめします。こじらせてしまうと長引いてしまい、命を脅かす危険性があります。シニア犬の場合、こじらせると本当にやっかいなので、様子がおかしいと思ったら診察を受けることを強くおすすめします。

 

3.食べにくいから食べない

今まではパクパク食べていたフードも、歯の状態が悪くなったり、顎の力が弱まったりすることで、噛めなくなってしまったり、食べにくくなっていることが考えられます。

うちの場合、咥えたおやつをポロっと落としたり、それまで大好きだったキャベツの芯などを食べなくなったことで、顎の力がなくなったとわかりました。それ以来、食べやすい形状に小さくカットしたり、フードを砕いてやることで食べるようになりました。あまり大きな粒だと誤飲の危険もありますので、年齢と共にフードの大きさを変えてあげることをおすすめします。

犬って案外繊細で、「うまく食べられない」と食べなくなってしまうことがありますので、もし思い当たることがあれば、試してみてくださいね。

 

4.体のどこかに痛みがある

振り返ると、クリンが食べなかった原因は体の不具合が一番の原因だったと思います。食べムラ・食い渋りになったきっかけは投薬でしたが、食べない時には体のどこかに痛みがありました。

クリンの場合は子宮の鈍痛と歯の痛みでした。子宮摘出をしたのは18歳になる前でしたから、それまで約3年間も痛みがあったのだと思うと、もっと早く転院すればよかったと今でも思います。

術後摘出した子宮を見せてもらいましたが、片方が通常の2倍くらいに腫れあがっていました。ずっと気持ち悪いような痛いような状態だったから、食欲も出なかったんだと思うと言われたときは、気づいてあげられなかったことをものすごく悔みましたし、今でも後悔の念は消えません。

参考記事:避妊手術について考える ~老犬の子宮蓄膿症の治療について

 

体のどこかに痛みがある時は、何らかのサインがあります。食べムラ・食い渋りもそのサインのひとつです。

もしかしたら、なんとなく具合が悪いという感じで、検査では出てこないかもしれませんが、食欲不振が続くようでしたら、獣医さんに相談されることをおすすめします。

食べないことに以下のような症状が出始めたら、症状が悪化していたり、炎症数値が跳ね上がっていることも考えれ羅れます。

寝てばかりいる/失禁/軟便/腸から音がする/吐く/うずくまるなど

ワンコは我慢することが多いそうで、痛がったりするのはよほどの状態であることが多いそうです。特に老犬の場合は、たった1日処置が遅れただけで重篤な状態になることもあります。

ワンコは10歳を超えると体のあちこちに不具合が出始めることが多いそうです。どんな病気でも、早期発見できれば早く治療することができますし、心臓や腎臓などの再生しない臓器も、投薬により寿命を大きく伸ばすことができます。悪いところがないようでも、数ヶ月ごとの定期健診を受けておくと不具合に素早く対処できます。

 

5.食べることへの不信感

これは今でもずっと後悔していることで、クリンに申し訳ない気持ちでいっぱいです。

クリンの食べムラのきっかけは「投薬」です。

14歳で胆泥症と診断され、以来毎日の投薬が始まりましたが、普通にご飯の上に薬を置いて一緒に食べさせていたため、問題なく薬を飲むことができていました。ところが15歳の時の足の炎症がきっかけでご飯を食べなくなってしまいました。その時に処方された「抗生剤」が非常に苦い薬で、それを無理やり飲ませようとしたことがきっかけで食べ物に対する不信感を持たせてしまいました。

それまで大好きだったお肉やささみ、ジャーキーなどにくるんで薬を飲ませようとしましたが、結局ばれてしまって口から吐き出してしまいました。そんなことを繰り返しているうちに、痛みがあって食べなかっただけなのに、食べ物自体に不信感をもってしまい、食べること自体を嫌がるようになってしまいました。

これは飼い主として最大の失敗であり、今でもクリンに申し訳ない気持ちでいっぱいです。正直、この失敗がなかったら、食べることが大好きなままであったら、もしかしたら成人式を迎えることができたのではないかとさえ思います。

 

 

食べムラを怖がらないで

 

 

クリンが15歳の時から始まった食べムラ・食い渋りは旅立つ日までほぼ毎日続きました。

体の痛みや不具合が取れた時は食欲も改善しましたし、お腹が空くとすごい勢いで食べてくれることもありましたが、すぐに食べないことが癖になってしまったように思います。

一度食べムラや食い渋りになってしまうと、何とか食べてほしいと「好きなおやつ」や「好物のお肉」など、犬にとってのごちそうを用意したり、毎回フードを変えてしまったり、新しい缶詰を次から次へと開けてしまったりすることで、どんどんわがままになってしまいました。当時冷蔵庫の中はクリンの食べなかったものでいっぱいになることもありました。

愛犬が食べないことって、飼い主の精神的なダメージが本当に大きいんですよね。このまま食べなかったらどうしようと落ち込み、実際わたしはノイローゼになってしまいました。毎日眠れずにいろいろ考えては泣いてみたり、ネットで検索しては落ち込んだり、今考えると本当におかしくなっていたと思います。

でも、どれだけ食べなくても、お腹が減ると必ず何かを口にします。病気が原因の食欲不振でない限り、食べムラはいつか治まります。クリンは食べない日もありましたし、痩せてしまったこともありましたが、それでも19歳を迎えることができました。

 

特に老犬は、食べるスイッチが入りにくいという場合もあります。若い頃より運動量が減り、代謝が落ち、なかなかお腹が空かないということもあります。そんな時は「もっと食べたい」「お腹が減った」というスイッチを入れてあげるのも手です。スイッチは、大好物のおやつや、人間の食べるもので甘いものも結構有効です。

カステラ、バームクーヘン、バニラアイスクリーム、加糖ヨーグルトなど、お腹が減っている時はものすごく食いつきます。これは奥の手としておすすめです。

クリンの場合は、先にカステラだけを与え、食いついてきたらフードの上にカステラを小さくちぎったものをトッピングして食べさせたりします。これを我が家では「呼び水」と呼んでいます。

トッピングだけ先に食べてしまい、フードだけ残ると食べなくなることもありますので、食べている最中にトッピングを横から追加したり牛乳を入れたりして、そのまま止まらず食べ続けるようにしています。

 

 

愛犬に食べムラや食い渋りが出た時に大切なこと

 

 

今、愛犬の食べムラで悩んでいる飼い主さんへ。

クリンの食べムラ・食い渋りに約4年向き合い、もし持病や体調不良などがないのであれば、あまり深刻に悩まないでください。1日2日食べなくても、お腹が減ったら必ず食べてくれます。我が家のわがままシニア犬は、15歳から3年食べたり食べなかったりを繰り返していますが、今でも元気に過ごしていますから。

 

何よりも愛犬にとって一番ダメージが大きいのは、飼い主さんの悲しい顔や、食べないことを叱られることです。

犬って飼い主の精神状態をよく理解しているんですよね。クリンが食べない時、イライラしたり怒ったりすると、元気がなくなったり余計に食べなくなったりしました。

でもご飯を食べた時に「すごいね~~!」と褒めると、食べるスピードがアップするんです。ああ、犬ってちゃんとわかってるんだな、とつくづく思いました。

 

犬にとっての一番の良薬は、飼い主さんの愛情であり、飼い主さんの笑顔です。

 

たとえ食べなくても、どうか怒らないであげてください。大丈夫大丈夫、お腹が減ったら食べようね!と笑顔で接してあげてください。

15歳から4年間、ずっと食べないことに悩んできましたが、19歳を元気に迎えることができました。そして旅立つ前日まで、いつも通り過ごすことができました。

多少食べなくても、たとえ食べない日があっても、どうかあまり深刻にならないでくださいね。

 

 

ライター:福井 惠子

 

 

【老犬・シニア犬の食欲不振】年齢と共に変わる食い渋り・食欲低下の悩み②

愛犬情報

犬種:ミニチュアダックスフンド

病名・症状:食べムラ・食い渋り・食欲不振・食欲低下

発症年齢:15歳~

発症の経緯:投薬の失敗~加齢による食欲低下

治療法:自宅での工夫

 

関連記事:【老犬・シニア犬の食欲不振】年齢と共に変わる食い渋り・食欲低下の悩み①

 

「食べない」悩みから「食べられない」悩みへ

 

前回の記事では食べムラ・食い渋りの悩みから、体の機能が低下するのと同時に食べる機能の低下による「うまく食べることができない」悩みへと変化した過程についてお話させていただきました。

15歳の頃はクリン自身が食べたいと思うものしか食べなかったので、食べたいものが何かを探して当たりを見つけるといった感じでしたが、年を重ねるごとに、うまく食べられるように環境を整えることが必要になってきました。

最後の半年は、器の場所がわからなくなったため、どうやったらフードまで誘導できるか、また飲み込みが悪くなってきたことでフードの形状や大きさなども考えるようになりました。

今回は体の変化・老化に伴う「食べるもの・食べさせ方の変化」についてお話させていただきます。

 

関連記事:【老犬・シニア犬の食欲不振】年齢と共に変わる食い渋り・食欲低下の悩み①

 

15歳~17歳半:食べ物への不信感の払拭

 

クリンが食べなくなった最大の理由は投薬の失敗です。

好きな食べ物に苦い薬を隠して無理やり食べさせようとしたことで、食べることに対して恐怖を植え付けてしまったことが一番の原因でした。苦い薬は抗生剤と痛み止めで、投与は限られた日数しか投与していませんでしたが、薬をやめても食べることへの恐怖はなくなることはありませんでした。

当時常用薬だった利胆剤と強胆剤を1日2回服用していましたが、無味の薬でさえ嫌がるようになり、それまではフードの上に置いて一緒に食べてくれていたのが、薬やサプリメントの匂いがするだけで飛んで逃げるようになってしまいました。当時通っていた病院に確認したところ、1日くらい飲まなくても問題ないと言われていたので、投薬よりも食べることを優先しました。

今となっては15歳は若いと思えますが、当時は十分高齢だと思っていたため、食べないこと=体力が落ち弱ってしまう=もしかしたらこのまま衰弱してしまうのではないか…と考えていました。

今思い返すと、1日食べないことはあっても、丸2日何も食べないということはありませんでした。たいていお腹が空くと何かしら口にしてくれていました。無理やり投薬することをやめたことで薬への警戒心も少しずつ薄れていったのか、食べ始めの時に薬を入れなければ普通に食べてくれることもありました。

投薬については、当時はまだシリンジを使って投薬という知識はなかったため、薬をオブラートでくるんでジャーキーの匂いをこすりつけたり、おろし金ですったジャーキーをまわりにつけて、食べている時にトッピングをふりかけるフリをしてフードの下に隠し入れたりしてごまかして飲ませていました。

当時気に入っていたのは、砂肝ジャーキーでした。無添加のものや自宅でレンジで作ったジャーキーをはさみでカットしてふりかけたりフードに混ぜていました。

でも食欲が落ちている時は、匂いの弱い無添加だと食べないこともあったので、その時はホムセン等で売っている添加物たっぷりの砂肝ジャーキーを使うこともありました。クリンはこの体に悪そうなジャーキーが大好きで、食べないよりは食べた方がいいということで、結構お世話になりました。

 

【ご飯は食べないけど心配なかった時の状態】

  • ご飯を食べなくても水は飲んでいる
  • 好きなものには反応する(生クリームやバームクーヘン等)
  • 元気で動きもいい
  • 通常通り排泄ができている

 

 

17歳半~18歳半:体の機能が落ち始める

 

17歳の誕生日を迎えた頃は、まだまだ元気いっぱいでした。目も見えていましたし、アイコンタクトもしっかり取れていました。

ところが、17歳半を超えた頃だったと思いますが、初めて玄関前の段差のところで転んだんです。

その頃は、よく自宅前でノーリードで走らせていました。少し離れたところに連れて行き、地面に降ろしてそのまま自宅前に戻りクリンの名前を呼ぶと、嬉しそうに走ってきていました。

自宅前には少し段があり、2段の階段があります。それまでクリンは自分で階段を上っていました。腰が心配だったので、基本抱っこするんですが、ある時自分でいつものように上ろうとして、手前の段差でコロンと転んだんです。

以降、お散歩の時にしりもちをついたり、少し傾斜がついているところで転んでしまうといったことがありました。年を重ねるごとに転ぶ回数が増え、18歳半を迎える頃には、1日数回のお散歩の中で1回は転んだりしりもちをつくようになりました。

視力の低下もあったと思いますが、つまずいた時にふんばる力がどんどん衰えていたのだと思います。ちょうどこの頃、階段から落ちるということもありました。我が家のリビングは2階にあり、いつも帰宅したら3頭の子たちが階段前に集合して待ってくれていたのですが、その時にみのすけに押されて階段を落ちてしまいました。驚いてすぐに病院に連れていきましたが、どこも問題なくホッとしました。それ以来、階段前には柵を置くようになりました。

運動機能の低下と共に、食べる機能にも少しずつ衰えが見られました。

食べるスピードがそれまでよりもゆっくりになり、サイズの大きな野菜やおやつなどをくわえて落としてしまったりということが見られるようになりました。

その頃から、台の上に置いてご飯を食べさせるようになりました。それまでは床置きでしたが、すごく食べにくそうにしていたため、高さを変えてみたところ、それまでよりもスムーズに食べてくれるようになりました。

17歳9ヶ月の開腹手術後からシリンジを使うようになり、シリンジでの投薬となりました。この時に投薬の苦労から解放されることになりました。

シリンジを使えるようになると、食べない時には流動食や介護食をシリンジで与えられるようになりました。最初は嫌がりましたが、少しずつ慣れてくれて飲み込んでくれるようになりました。シリンジを使えるようになり、介護の時間がぐっと減りました。できるだけ自力で食べてほしいと思っていたので、シリンジ食はできるだけ控えるようにしていましたが、投薬のストレスから解放されただけでもかなり楽になりました。

 

 

【体の状態にあわせてご飯や薬の与え方を変える】

・ドライフードの粒の大きさはあっているか(飲み込みや咀嚼に問題はないか)

・以前より食べるスピードは落ちているようなら、フードの形状や大きさ・固さを変える

・食べにくそうにしていたら、食べる高さを変えてみる

・常用薬があり食べムラがある場合はシリンジ等で投薬コントロールすると安心できます

 

 

18歳半~19歳:顕著な機能低下~できないことが増えていく

 

クリンはとても元気な子でした。毎日のお散歩では楽しそうにピョンピョンと飛び跳ねるように走り、立ち止まるとわたしの周りをくるくると走るくらい足腰の丈夫な子でした。

ところが18歳半を過ぎた頃から、足腰に明らかな異変が出始めました。それまでは夜中に起き出して歩き回っていましたが、転んで起き上がれなくなるという状態になりました。

夜中に「ヒーン、ヒーン」と鳴く声が聞こえ、慌てて起きてクリンの元に行くと、倒れて起き上がれなくなっているということが度々起こるようになったのです。

病院では、とにかく体を冷やさないようにといわれていたので、この頃は服の重ね着+腹巻をしていました。軽い素材ではありましたが、動きが制限されているかもと思い、服を1枚にしました。そして毎日のお散歩+バランスディスクでのトレーニングをするようになりました。トレーニングの効果があったのか、転ぶ回数は少し減りました。

そして12月に歯石除去をしました。麻酔は笑気ガスのみで、挿管はせずに短時間で終了しました。年齢的に麻酔の負担はあったと思いますが、歯の状態がかなり悪くなっていたことと、ずっと炎症数値が下がらなかったことで投薬が続いていたため決断しました。

術後数日は食欲低下がみられましたが、食欲が戻ってからはよく食べてくれるようになりました。歯の状態が悪いと、食欲にかなり影響があると感じました。特に歯槽膿漏や歯のぐらつきで痛みがある場合は、食欲に直結するように思います。

食べない日はシリンジ食で与え、とにかく体重が減らないように気をつけていましたが、クリンの体重は3kgちょっとになっていました。ヘルニアもあったので、あまり体重が増えるのもよろしくないですが、体力が落ちないようにかなり気をつけていました。

19歳を迎える頃には、お散歩で転ぶようになり、リードを上に引っ張って転ばないようにしていました。そしてわたしの周りをグルグルと走り回ることもなくなっていました。

ほんの半年前までは台の上のフードを食べることができていましたが、この頃には口元まで手で持っていき、食べやすい角度をつけてご飯を与えるようになっていました。台の上に載せても、顔を下げることが難しくなっていたことと、口にうまく運ぶことができなくなっていたんです。

そして誕生日を迎える頃には、お水を飲みにいくこともなくなりました。最後に自力でお水を飲みにいったのは、確か19歳の誕生日を迎える前の1月だったと記憶しています。なので水分量を計って与えるようになりました。

クリンは水頭症があったため、その影響が大きかったように思います。認知症も多少あったかもしれませんが、夜鳴きもせず、撫でたり抱っこしりすると嬉しそうにしてくれていましたし、病院では先生に反抗もしていました(笑)

時系列で整理すると、足の衰えと食欲低下は比例していることがとてもよくわかりました。足の衰え=体力・筋力の低下なので、当たり前といえば当たり前なんですが、よく転ぶようになったのと同時に、お口の中に食べ残しが多くなっていました。大好きだったバームクーヘンも、食べようとするものの、口の水分をとられるためか飲み込めなくなり、口の中がバームクーヘンだらけになることもありました。

この時に、「食べない」のではなく、「うまく食べられなく(飲み込めなく)なっている」のだと認識しました。

 

 

【老犬・シニア犬の食欲不振】年齢と共に変わる食い渋り・食欲低下の悩み③に続く

 

ライター:福井 惠子

 

 

 

【老犬・シニア犬の食欲不振】年齢と共に変わる食い渋り・食欲低下の悩み①

愛犬情報

犬種:ミニチュアダックスフンド

病名・症状:食べムラ・食い渋り・食欲不振・食欲低下

発症年齢:15歳~

発症の経緯:投薬の失敗~加齢による食欲低下

治療法:自宅での工夫

 

 

飼い主の精神的負担が大きい愛犬の『食べない悩み』

2019年2月撮影 ご飯を食べさせていたキッチンにて。口の周りにいっぱいご飯をつけて冷蔵庫に激突していたのでたくさん跡がついています。

 

我が家の長女クリンの「食べない悩み」が出始めたのは、15歳の頃からでした。ある日突然前足の不具合が出始め、病院でもらった痛み止めの薬を食べ物に隠して無理やり飲ませようとしたことで、《食べること=苦い薬を隠されている=嫌なこと》と認識させたことがきっかけでした。

以来クリンが旅立つまでの約4年間、毎日食べムラ・食い渋り等の「食べない悩み」がありました。食事に関する悩みは歳を重ねるごとに少しずつ変化し、18歳を超えてからは「うまく食べられない悩み」が出始め、19歳を少し迎える前あたりからは、今度は「うまく口に入れられない悩み」になり、「うまく飲み込めない悩み」に変わっていきました。

うちの場合、食事に関する悩みにも段階がありました。今回は、時系列で実際に起こったことや、どのように対処したかをお話させていただきたいと思います。

 

 

その①:食べない悩み

2015年撮影。食べムラ・食い渋りがひどく痩せていた頃。

 

クリンが15歳の時に、食べ物に薬を隠したことがきっかけでご飯を食べることに対して躊躇するようになり、それからクリンが旅立つ19歳までずっと「ご飯を食べさせること」がわたしの毎日の悩みの種になりました。

 

関連記事:シニア犬(老犬)の食べムラ ~食べムラで悩んでいる飼い主さんへ伝えたいこと

 

クリンが14歳の頃から1日2回2種類の薬を飲むようになりました。最初はご飯の上に薬を載せて何の問題もなく完食してくれていましたが、15歳の時に痛み止めを無理やり口に入れて飲ませようとしたことで、薬は苦いものだとインプットされ、以降薬と口を触られることを拒否するようになりました。

それでもトッピングの工夫で食欲を刺激したり、好きなものを探してそれを食欲の呼び水にすることで、何とか食べさせることができていました。

 

関連記事:【シニア犬(老犬)の食べムラ】我が家の秘密兵器

 

同じく15歳の頃に見つかった子宮の不具合により、子宮に慢性疼痛があり食欲が落ちてしまっていたことが転院して初めてわかりました。約2年間内科治療をしていたことが、結果こじらせてしまうことになりました。当時の主治医の先生に対処療法で逃げる治療を勧められたこと、年齢的に積極的治療はやめたほうがいいといわれたこと、わたし自身外科治療が怖かったことなどから、結果クリンも自分も苦しむ結果となってしまいました。

転院し、初めて診察してもらった時にすぐ子宮の痛みがあることがわかり、見つかった時にすぐに手術をしていたらもっと早く改善していたかもと言われた時、早く転院すればよかったととても後悔しました。年齢的に外科治療を選択できないと思い込んでいたんです。病院・先生によって治療の選択が違うということを、この時実感しました。

すぐに手術を決意し、子宮摘出手術を受けたのは17歳9ヶ月でした。

食べない原因がはっきりしている場合は、それを改善することで食べてくれることもありますが、病気が原因の食べムラ・食い渋りや食欲不振も考えられます。

また、わがままも考えられます。いつものフードを食べないからと、様々な種類の食べ物やフードを次から次へと出してしまうと、「今我慢したらもっとおいしい物が出てくる」と学習してしまい、食べなくなることもあります。

食べない原因が体のどこかにあるのか、ただのわがままなのか、食べなくなってしまった原因に心当たりがあるかなどを見極めることが、食欲不振・食い渋りを改善するために必要だと考えます。

 


食べない原因は何か

・食事で嫌な思いをしたことはないか

・食べない時に新しいフードや食べ物を次々と出したことはないか

・食べない時に病院で検査(血液検査・エコー等)を受けているか

・歯の痛みや歯石など、口の中に原因はないか

 

 

その②:うまく食べられない悩み

 

15歳になるまでは、毎日ではないものの口の中のケアはガーゼや専用の指サックなどで拭きとっていたので、歯石以外はさほど大きな問題を感じることはありませんでしたが、一切口を触らせてくれなくなってから、あっという間に歯石だらけとなってしまいました。特に上の奥歯がひどく、歯石が頬側に飛び出してずっと当たっている状態でした。

17歳9ヶ月で手術を受けましたが、その際歯石取りと抜歯も合わせてお願いしました。

優先順位は子宮摘出⇒歯石取りということでしたが、歯石除去とぐらつきのあった歯を1本抜歯してもらうことができました。

病院では子宮の痛みがなくなれば食欲も戻るだろうし、口の中がきれいになったら食べやすくなるだろうとのことでした。術後5日目にやっとドライフードを食べるようになり、食欲もどんどん戻ってきました。麻酔の影響でそれまで問題のなかったヘルニアの痛みが出始めましたが、手術前よりもクリンの食欲は安定しました。食べ始めの食い渋りはあるものの、まるまる1日何も食べないということはなくなりました。

 

 

その③:機能低下による嚥下・咀嚼の悩み

 

クリンは年齢の割には機能を長く保てていたと思います。18歳になっても自力で走っていましたし、ご飯も食い渋りはあるものの、パクパクと食べてくれていました。

ところが、18歳半を迎えた頃から、目に見えて機能が低下していきました。

まずは視力の低下でした。それまではうっすらと見えていたようで、アイコンタクトもできていましたが、少しずつできなくなり、いつのまにかできなくなっていました。

次に筋力の低下。最初はしりもちをつくようになり、次にコロンと転ぶようになりました。そして前足がガクンとなりつんのめって顎からこけることがありました。そして転んだ後になかなか起き上がれなくなりました。

そして嚥下障害。それまでは超小粒のフードをそのまま食べていましたが、術後からフードを半分~1/3くらいにカットして与えていました。ところがその粒を全部飲み込むことができず、口の中に残ってしまうようになりました。

この頃は食欲不振が見られたらシリンジ食を与えていたんですが、以前は嫌がりながらも飲み込んでくれていましたが、口の横から漏れてうまく飲み込めないということも見られました。

それまでは好きなトッピングを準備して、一度食べてくれたらその後は最後まで食べてくれていましたが、嚥下障害が出始めてからは、途中で食べることをやめてしまい、あとから確認すると口の中にフードが残っているということも見られました。

クリンはそれまでふやかしたフードを拒否していたので、ドライフードを砕いてジャーキー等をすりおろして上にふりかけて食べさせるのが定番でしたが、この頃からは牛乳や鶏ガラスープなどの水分を一緒に与えるようになりました。

フードはフードプロセッサーで粉状になる手前くらいのかなり細かく砕いた状態にして、できるだけ飲み込みやすい状態にし、ご飯を食べた後の投薬時にシリンジで頬側を水で流すようにして、口の中に食べかすが残らないように気をつけていました。

年齢と共に機能が低下するのは当たり前のことですが、クリンに関していえば、18歳半を境に一気に落ちていったように思います。筋力を維持できるよう、日に数回のお散歩とバランスディスクは欠かさず行っていましたが、足の筋力が落ちるのと同時に体の機能もどんどん落ちていきました。

 

 

【老犬・シニア犬の食欲不振】年齢と共に変わる食い渋り・食欲低下の悩み②に続く

 

 

ライター:福井 惠子