【老犬・シニア犬の食欲不振】年齢と共に変わる食い渋り・食欲低下の悩み②

愛犬情報

犬種:ミニチュアダックスフンド

病名・症状:食べムラ・食い渋り・食欲不振・食欲低下

発症年齢:15歳~

発症の経緯:投薬の失敗~加齢による食欲低下

治療法:自宅での工夫

 

関連記事:【老犬・シニア犬の食欲不振】年齢と共に変わる食い渋り・食欲低下の悩み①

 

「食べない」悩みから「食べられない」悩みへ

 

前回の記事では食べムラ・食い渋りの悩みから、体の機能が低下するのと同時に食べる機能の低下による「うまく食べることができない」悩みへと変化した過程についてお話させていただきました。

15歳の頃はクリン自身が食べたいと思うものしか食べなかったので、食べたいものが何かを探して当たりを見つけるといった感じでしたが、年を重ねるごとに、うまく食べられるように環境を整えることが必要になってきました。

最後の半年は、器の場所がわからなくなったため、どうやったらフードまで誘導できるか、また飲み込みが悪くなってきたことでフードの形状や大きさなども考えるようになりました。

今回は体の変化・老化に伴う「食べるもの・食べさせ方の変化」についてお話させていただきます。

 

関連記事:【老犬・シニア犬の食欲不振】年齢と共に変わる食い渋り・食欲低下の悩み①

 

15歳~17歳半:食べ物への不信感の払拭

 

クリンが食べなくなった最大の理由は投薬の失敗です。

好きな食べ物に苦い薬を隠して無理やり食べさせようとしたことで、食べることに対して恐怖を植え付けてしまったことが一番の原因でした。苦い薬は抗生剤と痛み止めで、投与は限られた日数しか投与していませんでしたが、薬をやめても食べることへの恐怖はなくなることはありませんでした。

当時常用薬だった利胆剤と強胆剤を1日2回服用していましたが、無味の薬でさえ嫌がるようになり、それまではフードの上に置いて一緒に食べてくれていたのが、薬やサプリメントの匂いがするだけで飛んで逃げるようになってしまいました。当時通っていた病院に確認したところ、1日くらい飲まなくても問題ないと言われていたので、投薬よりも食べることを優先しました。

今となっては15歳は若いと思えますが、当時は十分高齢だと思っていたため、食べないこと=体力が落ち弱ってしまう=もしかしたらこのまま衰弱してしまうのではないか…と考えていました。

今思い返すと、1日食べないことはあっても、丸2日何も食べないということはありませんでした。たいていお腹が空くと何かしら口にしてくれていました。無理やり投薬することをやめたことで薬への警戒心も少しずつ薄れていったのか、食べ始めの時に薬を入れなければ普通に食べてくれることもありました。

投薬については、当時はまだシリンジを使って投薬という知識はなかったため、薬をオブラートでくるんでジャーキーの匂いをこすりつけたり、おろし金ですったジャーキーをまわりにつけて、食べている時にトッピングをふりかけるフリをしてフードの下に隠し入れたりしてごまかして飲ませていました。

当時気に入っていたのは、砂肝ジャーキーでした。無添加のものや自宅でレンジで作ったジャーキーをはさみでカットしてふりかけたりフードに混ぜていました。

でも食欲が落ちている時は、匂いの弱い無添加だと食べないこともあったので、その時はホムセン等で売っている添加物たっぷりの砂肝ジャーキーを使うこともありました。クリンはこの体に悪そうなジャーキーが大好きで、食べないよりは食べた方がいいということで、結構お世話になりました。

 

【ご飯は食べないけど心配なかった時の状態】

  • ご飯を食べなくても水は飲んでいる
  • 好きなものには反応する(生クリームやバームクーヘン等)
  • 元気で動きもいい
  • 通常通り排泄ができている

 

 

17歳半~18歳半:体の機能が落ち始める

 

17歳の誕生日を迎えた頃は、まだまだ元気いっぱいでした。目も見えていましたし、アイコンタクトもしっかり取れていました。

ところが、17歳半を超えた頃だったと思いますが、初めて玄関前の段差のところで転んだんです。

その頃は、よく自宅前でノーリードで走らせていました。少し離れたところに連れて行き、地面に降ろしてそのまま自宅前に戻りクリンの名前を呼ぶと、嬉しそうに走ってきていました。

自宅前には少し段があり、2段の階段があります。それまでクリンは自分で階段を上っていました。腰が心配だったので、基本抱っこするんですが、ある時自分でいつものように上ろうとして、手前の段差でコロンと転んだんです。

以降、お散歩の時にしりもちをついたり、少し傾斜がついているところで転んでしまうといったことがありました。年を重ねるごとに転ぶ回数が増え、18歳半を迎える頃には、1日数回のお散歩の中で1回は転んだりしりもちをつくようになりました。

視力の低下もあったと思いますが、つまずいた時にふんばる力がどんどん衰えていたのだと思います。ちょうどこの頃、階段から落ちるということもありました。我が家のリビングは2階にあり、いつも帰宅したら3頭の子たちが階段前に集合して待ってくれていたのですが、その時にみのすけに押されて階段を落ちてしまいました。驚いてすぐに病院に連れていきましたが、どこも問題なくホッとしました。それ以来、階段前には柵を置くようになりました。

運動機能の低下と共に、食べる機能にも少しずつ衰えが見られました。

食べるスピードがそれまでよりもゆっくりになり、サイズの大きな野菜やおやつなどをくわえて落としてしまったりということが見られるようになりました。

その頃から、台の上に置いてご飯を食べさせるようになりました。それまでは床置きでしたが、すごく食べにくそうにしていたため、高さを変えてみたところ、それまでよりもスムーズに食べてくれるようになりました。

17歳9ヶ月の開腹手術後からシリンジを使うようになり、シリンジでの投薬となりました。この時に投薬の苦労から解放されることになりました。

シリンジを使えるようになると、食べない時には流動食や介護食をシリンジで与えられるようになりました。最初は嫌がりましたが、少しずつ慣れてくれて飲み込んでくれるようになりました。シリンジを使えるようになり、介護の時間がぐっと減りました。できるだけ自力で食べてほしいと思っていたので、シリンジ食はできるだけ控えるようにしていましたが、投薬のストレスから解放されただけでもかなり楽になりました。

 

 

【体の状態にあわせてご飯や薬の与え方を変える】

・ドライフードの粒の大きさはあっているか(飲み込みや咀嚼に問題はないか)

・以前より食べるスピードは落ちているようなら、フードの形状や大きさ・固さを変える

・食べにくそうにしていたら、食べる高さを変えてみる

・常用薬があり食べムラがある場合はシリンジ等で投薬コントロールすると安心できます

 

 

18歳半~19歳:顕著な機能低下~できないことが増えていく

 

クリンはとても元気な子でした。毎日のお散歩では楽しそうにピョンピョンと飛び跳ねるように走り、立ち止まるとわたしの周りをくるくると走るくらい足腰の丈夫な子でした。

ところが18歳半を過ぎた頃から、足腰に明らかな異変が出始めました。それまでは夜中に起き出して歩き回っていましたが、転んで起き上がれなくなるという状態になりました。

夜中に「ヒーン、ヒーン」と鳴く声が聞こえ、慌てて起きてクリンの元に行くと、倒れて起き上がれなくなっているということが度々起こるようになったのです。

病院では、とにかく体を冷やさないようにといわれていたので、この頃は服の重ね着+腹巻をしていました。軽い素材ではありましたが、動きが制限されているかもと思い、服を1枚にしました。そして毎日のお散歩+バランスディスクでのトレーニングをするようになりました。トレーニングの効果があったのか、転ぶ回数は少し減りました。

そして12月に歯石除去をしました。麻酔は笑気ガスのみで、挿管はせずに短時間で終了しました。年齢的に麻酔の負担はあったと思いますが、歯の状態がかなり悪くなっていたことと、ずっと炎症数値が下がらなかったことで投薬が続いていたため決断しました。

術後数日は食欲低下がみられましたが、食欲が戻ってからはよく食べてくれるようになりました。歯の状態が悪いと、食欲にかなり影響があると感じました。特に歯槽膿漏や歯のぐらつきで痛みがある場合は、食欲に直結するように思います。

食べない日はシリンジ食で与え、とにかく体重が減らないように気をつけていましたが、クリンの体重は3kgちょっとになっていました。ヘルニアもあったので、あまり体重が増えるのもよろしくないですが、体力が落ちないようにかなり気をつけていました。

19歳を迎える頃には、お散歩で転ぶようになり、リードを上に引っ張って転ばないようにしていました。そしてわたしの周りをグルグルと走り回ることもなくなっていました。

ほんの半年前までは台の上のフードを食べることができていましたが、この頃には口元まで手で持っていき、食べやすい角度をつけてご飯を与えるようになっていました。台の上に載せても、顔を下げることが難しくなっていたことと、口にうまく運ぶことができなくなっていたんです。

そして誕生日を迎える頃には、お水を飲みにいくこともなくなりました。最後に自力でお水を飲みにいったのは、確か19歳の誕生日を迎える前の1月だったと記憶しています。なので水分量を計って与えるようになりました。

クリンは水頭症があったため、その影響が大きかったように思います。認知症も多少あったかもしれませんが、夜鳴きもせず、撫でたり抱っこしりすると嬉しそうにしてくれていましたし、病院では先生に反抗もしていました(笑)

時系列で整理すると、足の衰えと食欲低下は比例していることがとてもよくわかりました。足の衰え=体力・筋力の低下なので、当たり前といえば当たり前なんですが、よく転ぶようになったのと同時に、お口の中に食べ残しが多くなっていました。大好きだったバームクーヘンも、食べようとするものの、口の水分をとられるためか飲み込めなくなり、口の中がバームクーヘンだらけになることもありました。

この時に、「食べない」のではなく、「うまく食べられなく(飲み込めなく)なっている」のだと認識しました。

 

 

【老犬・シニア犬の食欲不振】年齢と共に変わる食い渋り・食欲低下の悩み③に続く

 

ライター:福井 惠子

 

 

 

【老犬・シニア犬の食欲不振】年齢と共に変わる食い渋り・食欲低下の悩み①

愛犬情報

犬種:ミニチュアダックスフンド

病名・症状:食べムラ・食い渋り・食欲不振・食欲低下

発症年齢:15歳~

発症の経緯:投薬の失敗~加齢による食欲低下

治療法:自宅での工夫

 

 

飼い主の精神的負担が大きい愛犬の『食べない悩み』

2019年2月撮影 ご飯を食べさせていたキッチンにて。口の周りにいっぱいご飯をつけて冷蔵庫に激突していたのでたくさん跡がついています。

 

我が家の長女クリンの「食べない悩み」が出始めたのは、15歳の頃からでした。ある日突然前足の不具合が出始め、病院でもらった痛み止めの薬を食べ物に隠して無理やり飲ませようとしたことで、《食べること=苦い薬を隠されている=嫌なこと》と認識させたことがきっかけでした。

以来クリンが旅立つまでの約4年間、毎日食べムラ・食い渋り等の「食べない悩み」がありました。食事に関する悩みは歳を重ねるごとに少しずつ変化し、18歳を超えてからは「うまく食べられない悩み」が出始め、19歳を少し迎える前あたりからは、今度は「うまく口に入れられない悩み」になり、「うまく飲み込めない悩み」に変わっていきました。

うちの場合、食事に関する悩みにも段階がありました。今回は、時系列で実際に起こったことや、どのように対処したかをお話させていただきたいと思います。

 

 

その①:食べない悩み

2015年撮影。食べムラ・食い渋りがひどく痩せていた頃。

 

クリンが15歳の時に、食べ物に薬を隠したことがきっかけでご飯を食べることに対して躊躇するようになり、それからクリンが旅立つ19歳までずっと「ご飯を食べさせること」がわたしの毎日の悩みの種になりました。

 

関連記事:シニア犬(老犬)の食べムラ ~食べムラで悩んでいる飼い主さんへ伝えたいこと

 

クリンが14歳の頃から1日2回2種類の薬を飲むようになりました。最初はご飯の上に薬を載せて何の問題もなく完食してくれていましたが、15歳の時に痛み止めを無理やり口に入れて飲ませようとしたことで、薬は苦いものだとインプットされ、以降薬と口を触られることを拒否するようになりました。

それでもトッピングの工夫で食欲を刺激したり、好きなものを探してそれを食欲の呼び水にすることで、何とか食べさせることができていました。

 

関連記事:【シニア犬(老犬)の食べムラ】我が家の秘密兵器

 

同じく15歳の頃に見つかった子宮の不具合により、子宮に慢性疼痛があり食欲が落ちてしまっていたことが転院して初めてわかりました。約2年間内科治療をしていたことが、結果こじらせてしまうことになりました。当時の主治医の先生に対処療法で逃げる治療を勧められたこと、年齢的に積極的治療はやめたほうがいいといわれたこと、わたし自身外科治療が怖かったことなどから、結果クリンも自分も苦しむ結果となってしまいました。

転院し、初めて診察してもらった時にすぐ子宮の痛みがあることがわかり、見つかった時にすぐに手術をしていたらもっと早く改善していたかもと言われた時、早く転院すればよかったととても後悔しました。年齢的に外科治療を選択できないと思い込んでいたんです。病院・先生によって治療の選択が違うということを、この時実感しました。

すぐに手術を決意し、子宮摘出手術を受けたのは17歳9ヶ月でした。

食べない原因がはっきりしている場合は、それを改善することで食べてくれることもありますが、病気が原因の食べムラ・食い渋りや食欲不振も考えられます。

また、わがままも考えられます。いつものフードを食べないからと、様々な種類の食べ物やフードを次から次へと出してしまうと、「今我慢したらもっとおいしい物が出てくる」と学習してしまい、食べなくなることもあります。

食べない原因が体のどこかにあるのか、ただのわがままなのか、食べなくなってしまった原因に心当たりがあるかなどを見極めることが、食欲不振・食い渋りを改善するために必要だと考えます。

 


食べない原因は何か

・食事で嫌な思いをしたことはないか

・食べない時に新しいフードや食べ物を次々と出したことはないか

・食べない時に病院で検査(血液検査・エコー等)を受けているか

・歯の痛みや歯石など、口の中に原因はないか

 

 

その②:うまく食べられない悩み

 

15歳になるまでは、毎日ではないものの口の中のケアはガーゼや専用の指サックなどで拭きとっていたので、歯石以外はさほど大きな問題を感じることはありませんでしたが、一切口を触らせてくれなくなってから、あっという間に歯石だらけとなってしまいました。特に上の奥歯がひどく、歯石が頬側に飛び出してずっと当たっている状態でした。

17歳9ヶ月で手術を受けましたが、その際歯石取りと抜歯も合わせてお願いしました。

優先順位は子宮摘出⇒歯石取りということでしたが、歯石除去とぐらつきのあった歯を1本抜歯してもらうことができました。

病院では子宮の痛みがなくなれば食欲も戻るだろうし、口の中がきれいになったら食べやすくなるだろうとのことでした。術後5日目にやっとドライフードを食べるようになり、食欲もどんどん戻ってきました。麻酔の影響でそれまで問題のなかったヘルニアの痛みが出始めましたが、手術前よりもクリンの食欲は安定しました。食べ始めの食い渋りはあるものの、まるまる1日何も食べないということはなくなりました。

 

 

その③:機能低下による嚥下・咀嚼の悩み

 

クリンは年齢の割には機能を長く保てていたと思います。18歳になっても自力で走っていましたし、ご飯も食い渋りはあるものの、パクパクと食べてくれていました。

ところが、18歳半を迎えた頃から、目に見えて機能が低下していきました。

まずは視力の低下でした。それまではうっすらと見えていたようで、アイコンタクトもできていましたが、少しずつできなくなり、いつのまにかできなくなっていました。

次に筋力の低下。最初はしりもちをつくようになり、次にコロンと転ぶようになりました。そして前足がガクンとなりつんのめって顎からこけることがありました。そして転んだ後になかなか起き上がれなくなりました。

そして嚥下障害。それまでは超小粒のフードをそのまま食べていましたが、術後からフードを半分~1/3くらいにカットして与えていました。ところがその粒を全部飲み込むことができず、口の中に残ってしまうようになりました。

この頃は食欲不振が見られたらシリンジ食を与えていたんですが、以前は嫌がりながらも飲み込んでくれていましたが、口の横から漏れてうまく飲み込めないということも見られました。

それまでは好きなトッピングを準備して、一度食べてくれたらその後は最後まで食べてくれていましたが、嚥下障害が出始めてからは、途中で食べることをやめてしまい、あとから確認すると口の中にフードが残っているということも見られました。

クリンはそれまでふやかしたフードを拒否していたので、ドライフードを砕いてジャーキー等をすりおろして上にふりかけて食べさせるのが定番でしたが、この頃からは牛乳や鶏ガラスープなどの水分を一緒に与えるようになりました。

フードはフードプロセッサーで粉状になる手前くらいのかなり細かく砕いた状態にして、できるだけ飲み込みやすい状態にし、ご飯を食べた後の投薬時にシリンジで頬側を水で流すようにして、口の中に食べかすが残らないように気をつけていました。

年齢と共に機能が低下するのは当たり前のことですが、クリンに関していえば、18歳半を境に一気に落ちていったように思います。筋力を維持できるよう、日に数回のお散歩とバランスディスクは欠かさず行っていましたが、足の筋力が落ちるのと同時に体の機能もどんどん落ちていきました。

 

 

【老犬・シニア犬の食欲不振】年齢と共に変わる食い渋り・食欲低下の悩み②に続く

 

 

ライター:福井 惠子

 

 

【老犬の介護】大型犬を家族に迎える覚悟(2)~大型犬を介護すること

愛犬情報

犬種:ボルゾイ

病名・症状:褥瘡(床ずれ)、後肢不全、寝たきり

発症年齢:14歳、15歳

発症の経緯:老化

治療法:自宅ケア

 

 

辛く苦しい床ずれ

 

14歳の後半になると、完全に後肢が機能しなくなり、自力で立ち上がることが困難となりました。そしてとうとう床ずれを発症し、人間の補助なしでは全く歩けなくなりました。アスファルトでの散歩は、歩行補助に使用していたバスタオルで常時完全に吊るす状態になりました。しかしその体の重さをずっと支えることは難しく、腕がつらくて重くて地面に擦ってしまい流血してしまうことも。ここでアスファルトでの散歩は諦め、芝生の庭にしか出さなくなりました。

 

しかし、この段階ではまだ前肢は筋肉隆々で力強かったです。床ずれは横になった時に一番出っ張っている後肢の腰付近と、前肢の肩付近にできやすく、部分的にはげてきたら要注意です。

毛がはげてきた段階で、タオルをドーナツ状にして患部が床に擦れないよう保護するなど、配慮が必要だと感じました。保護する際固定できるようドーナツ状のタオルを患部の周りにあててテーピングするなどの工夫も必要です。

 

床ずれができる頃には、完全介護体制になりました。ボルゾイに合うおむつがなかったため、寝たまま糞尿を漏らすしかありませんでした。人間の介護用の使い捨てベッドシーツを敷いて対応しましたが、メープルは動けないストレスで、動く前肢で地面を蹴ってぐるぐると回転するので、シーツはすぐにボロボロになり、床ずれ保護のタオルも外れてしまい、どんどん床ずれが広がってしまいました。前肢だけで大きな体を動かそうとするので、指先は爪ごと擦れて血だらけ。毎日のように漏らしたうんちを体中にネリネリしていました。

 

【画像】ぐるぐる回った際に家具で鼻を何度も強打しできた傷

 

体中うんちまみれになった寝たきりのメープルを、一人で風呂で洗うこともできないため、お湯を汲んできて脱臭機2台を全開にし、少しずつ汚れた体を洗っていました。下痢の時は綺麗に掃除した瞬間にまた漏らしてしまい、再度掃除というのを数日間、深夜に4~5回繰り返したこともあります。汚れたトイレシートなどのごみの量もかなり増えました。このあたりで、人間の負担が精神的にも一気に重くなりました。

 

この頃は絶対に下痢をさせないこと、そして前肢が何とか動くうちは、男性なら担いででも外に出して排泄させる方がいいです。前肢は立つことができたので、片手でタオルを使用して腹部を持ち上げ、もう一方の手で腹部を刺激して排泄をさせていました。でも女性の場合は片手で腹部を持ち上げ、片手で排泄を促すというのは体力的に厳しいと思います。自分の力で立てない大きな犬を片手で制御するのは非常に困難でした。

 

 

精神的ストレスとの闘い

【画像】室内での洗浄仕上げの様子

 

メープルの寝床は、6畳1間を使用していました。人間用のほどよい反発のマットレスを2枚並べて敷き、マットレスが濡れないよう1畳タイプの大きい使い捨ての介護用防水シートを敷いていました。しかし防水シートは紙製で前足でひっかいてボロボロにしてしまうため、保護用にその上に薄めのじゅうたんやシーツを敷いていました。

 

おむつか使えないため、すぐに汚れてしまい毎日大量の洗濯物が出ました。メープルは床ずれの痛みか、寝たまま用を足すのが苦しいのか、または何かしら不快なのか、昼夜問わず鳴きわめくようになっていました。夜中に水を不定期に飲ませ、おしっこや下痢便を漏らすと床ずれ部分に当てている綿から患部に入り込んでしまうため、化膿しないよう念入りに患部の消毒をしていました。

 

ほとんど眠れない日々が延々と続き、疲労もピークに達していました。この頃は冷静になるよう、過去の楽しかった日々を振り返り、メープルに恩返ししたい、お別れするよりは今のままでいい、と考えるようにしていました。

 

ほどなくしてメープルは15歳を迎えました。メープルは昼夜問わず鳴きわめくため、考えられる不快な要因を取り除きましたが、それでも鳴くことをやめませんでした。

 

【画像】筋肉まで見えていた床ずれ

 

皮膚に大きな穴が開き、筋肉組織が完全に見えていて正直気持ち悪いし、メープルも痛くて鳴き叫ぶ。メープルが可哀想で可哀想で心が折れそうになるが、それでも介護は待ってくれません。心を鬼にして傷口に入った糞を取り除いたり消毒したりと介護をしている時、本当に本当に辛かった。「安楽死」という言葉がちらついた。介護をする前の自分では信じられない言葉でした。

 

 

カウントダウン

 

メープルは相変わらず前肢でくるくる回り、うんちネリネリが続いていました。鳴き止まない声と糞尿処理。近所迷惑になっていないかと気になり、病院の勧めもあり、夜は睡眠導入剤を与え始めました。寝る時間の増加に比例し、とうとう前肢も弱ってしまい動かなくなりました。

 

前肢が動かなくなり床ずれはそれ以上広がることはありませんでしたが、完全に動けなくなったため、一気に体力が低下しました。

 

この時点で、お別れのカウントダウンが始まったように思います。この状態は3ヶ月ほど続きました。やはりターニングポイントは床擦れだったのではと思います。どんなことをしてでも回避していればもう少し…と悔いが残ります。

 

ある日突然、水を飲んでも食道で止まってしまい、呼吸に合わせてうがいをしたような音が響きました。これは内臓の衰えの症状で、水を飲み込めなくなったということ。食欲がなくなると、目は虚ろで窪みだし、呼吸は苦しそうに全身でするようになりました。「メープル」と名前を呼んでも、目が合わなくなりました。

 

 

 

その2日後だった。

 

メープルは、お星様になった。

 

 

超大型犬を家族に迎えること

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

関連記事:【犬の介護】大型犬を家族に迎える覚悟(1)~介助が始まるまで

 

 

Twitter:サラメー★動物とマリノス

 

 

ライター:サラメー★

 

※この記事は、サラメー★さんのツイートを元に、サラメー★さん監修の元編集したものです。

 

 

 

【老犬の介護】大型犬を家族に迎える覚悟(1)~介助が始まるまで

愛犬情報

犬種:ボルゾイ

病名・症状:眼振、後肢不具合、ナックリング

発症年齢:8歳(眼振)、11歳(後肢不具合)、13歳(ナックリング)

発症の経緯:老化

治療法:自宅ケア

 


 

我が家に超大型犬ボルゾイのメープルが来たのは、2002年。

2018年、15歳でお星様になるまで、私達の大切な大切な家族でした。

 

犬を飼うことは簡単にできます。小型犬は女性でも片手で抱っこできますし、年老いて介護が必要になった時、精神的に苦しいことは同じだと思いますが、大型犬の場合は、肉体的・体力的にも非常に大変になります。人間と同じくらいの大きさ・重さの犬は、男手がないと動かすことも容易ではありません。私が出張などで不在の際は、妻が大苦戦し腰を痛めましたし、犬の床擦れもひどくなってしまいました。

 

若き日は若き日で大変なことはたくさんありますが、そこは可愛いので何とかなります。問題は要介護になってから。半端な気持ちでは絶対に無理です。

 

ここに、私達の大切な家族であったメープルの介護記録を記しました。私達が経験したことをそのままお伝えします。

 

今、超大型犬を家族に迎え入れる検討をされている方へ。

獣医療が進歩し、犬も長生きになり、晩年は人間と同じように介護が必要になります。

ボルゾイオーナーではなくなった今、実際に自分が経験した苦労や問題点を少しずつ思い出した都度、お伝えしていこうと思います。ボルゾイならではの苦労もありました。

 

「超大型犬を介護すること」とはどんなことなのか、それを知った上で家族として迎えるか検討してください。最期まで家族でいてあげる強い気持ちと環境があるかどうか、どうか慎重に考えてください。

 

 

楽しかった成犬時代

【画像】メープル3ヶ月の頃

 

1歳の時に肺気胸で瀕死になり、私達家族も早い別れを覚悟しました。何とか持ち直してくれてからは、肺の強化をやや意識し、イタズラ防止のため運動で疲れさせて寝かせたり、部屋の温度はメープルに合わせ夏でも人間が毛布にくるまっていたくらい、とても可愛がりました。

 

超大型犬であるボルゾイの平均寿命は8歳前後。メープルはピーク時体高86㎝、体重47㎏とボルゾイの中でも最大級の大きな子でした。共に過ごせる期間を精一杯楽しもうと、ドライブやイベントに行ったり、旅行に行ったり都心に繰り出したり、可能な限り家族として同伴させ、「今」を楽しみました。

 

散歩は私が早朝に出勤前にメープルが疲れ果てるまで土手で爆走を繰り返させ、夕方は妻が犬の集会に顔を出し遊ばせ、夜は寝る前の散歩。嵐でも必ず外で走らせました。

食事は1日2回、安いドッグフード主体でしたが留守番時は勝手に冷蔵庫を漁って人間の物も食べていました。ですので、フードへのこだわりもほとんどありませんでした。良く食べ良く動き良く寝るの若き日。

 

メープルが8歳の時、不定期に眼振が出るようになり、10日ほどで治まることが年に2回ほどありました。眼振がある時は、首を傾げた状態になり歩行や食事が困難になりました。原因はおそらく脳の老化。家族2人がかりでメープルを支えながら庭に出し、腹部を刺激しトイレをさせていました。

 

超大型犬は、1人ではなかなか介護が難しく、何とかメープルの足腰を支えて介護することもありましたが、この時は「介護靴」の存在も知らず、今思えばこのタイミングから履かせて慣れさせておけばよかったと思いました。

 

少しずつ不具合が出始めているものの、メープルは私達と共に過ごしてくれました。

 

 

できないことが増えていく

 

11歳くらいの時、散歩をしていると、まれに腰が抜けたように一瞬後肢側が沈むような状態になり、それ以降少しずつその頻度が増えていきました。そして、今までは軽々と飛び乗っていたワンボックスカーの後部貨物部に飛び乗ることができなくなりました。

ここで介護用品を本格的にそろえるつもりでしたが、ボルゾイの深い胸元とクビレ、長い足に合う介護用品は皆無でした。

超大型犬サイズのサポート用品は、胸から腹部を包んで持ち上げようとしても、胸元は届かず、届いたとしても腹部がスカスカになりました。お尻だけ包んで持ち上げるタイプのものは、今度は体が薄いため、腹部を上げる動作をすると股の付け根に食い込み、1点集中で負荷がかかり内出血してしまいました。

 

結局、バスタオルをお腹に巻いて、肩手で吊るしながら散歩することになりました。おかげで私たちの腕の筋肉は散歩後は毎回限界状態でムキムキになりました。このような状態でもまだ後肢が少しでも動くので外に連れ出すことは何とかなっていました。

 

一方のメープルは、どんどん筋力が弱まり、立ち上がるのも勢いをつけてでないと難しくなってきました。幸い食欲はあったので、運動量が減ってしまった分、肥満防止のため1日1回の食事とおやつ(豚耳など)となりました。

 

そして13歳くらいで、後肢にナックリングが出始め、足首が伸びた状態で地面に擦れるため指先から出血することがありました。ここで特大サイズの介護靴を買いました。しかし靴を履かせるタイミングが遅く、すでに足首の曲がりが甘くなってから履かせたため、ただでさえ不慣れで嫌がるのに、靴の型に力が負けてしまい、常時足首が伸びた状態になり、逆に危険を伴うことになりました。靴を履いていても爪先部分を引きずりながら歩くため、靴にすぐに穴が開いてしまい、消耗品として出費もかさみました。

 

この介護靴も、超大型犬でもピレネー犬などを想定しているのか、足が細く甲の長いボルゾイの足には全く合わず、横幅がスカスカ。また靴上部の固定バンドが関節まで届かずすぐ脱げてしまうこともありました。

もしボルゾイの飼い主さんがおられたら、健康な早いうちに合う靴を探すか、オリジナル品を制作するか、いずれにしても靴に慣れさせておく方がいいと強く思います。

 

 

体の不具合と介助

【画像】メープル14~15歳の頃

 

とうとう靴をフィットさせることができないままメープルは14歳を迎えました。

バスタオルで体を支えての散歩は相変わらず続けていましたが、長時間、足が浮くくらい持ち上げ続けることは困難で、メープルの指先は流血してしまいました。テーピングでカバーしようとしても、すぐにボロボロになってしまいました。

メープルの体力が弱まっていくと、長時間の散歩はどう尽力しても困難になりました。その頃は自力で起き上がるのも時間がかかり、前肢で上半身を起こし、後肢は引きずるようにして立ち上がっていました。

水を飲む際には脚が震えだし、この時点でかなり高額でありましたが、歩行補助機をオーダーメイドで製作しましたが、歩行補助機自体がメープルのサイズですので重いこと、足腰が弱り切ったメープルを一人で補助機ににセッティングすることは難しいこと、興奮すると必ず眼振が現れたため危険と判断。結局歩行補助機は使わずにボランティア団体に寄贈しました。

【画像】ほとんど使わなかった歩行補助機

 

◎歩行中にナックリングが出始めたら、また指先から出血していたら、歩行補助機を使用することをおすすめします。

◎自力で立ち上がれる最後の段階で、床ずれ防止策を真剣に考えた方がいいです。

 

床ずれは何より痛みがひどく、自分で動くことのできない愛犬を苦しめてしまいます。また、飼い主も床ずれがあると介護の難易度が高まります。床ずれを発症すると、人間も犬も精神的にも体力的にもとても大変になります。薬代も半端ではありません。

※床ずれについては(2)で詳しく記述します

 

この頃のメープルは、前足にはまだ力があったため立ち上がることができました。ただ、少しでも自力で動けることで、不在時などにひとりで移動して玄関の段差に転げ落ちてしまい、帰宅すると逆さまの状態で糞尿まみれになっていたこともありました。正直この頃が一番気疲れしました。

 

 

関連記事:【犬の介護】大型犬を家族に迎える覚悟(2)~大型犬を介護すること

 

 

ライター:サラメー★

 

※この記事は、サラメー★さんのツイートを元に、サラメー★さん監修の元編集したものです。

 

【チェックリスト】そのしぐさ、大丈夫? ~10のチェック項目でわかる、犬の老化のサイン~

いつまでも元気でいてほしい大切な愛犬。

愛犬もわたしたちと同じように歳を取ります。残念ながら、人間よりも愛犬の方が歳をとるスピードが早く、小型犬の場合は人間の約4倍のスピードで歳をとるといわれています。

毎日一緒に過ごしていると見過ごしてしまいがちですが、ある時ふと「ついこの間までできていたこと」が「できなくなってしまう」ということがあります。

 

まずは下のチェックリストで、日頃の愛犬の様子をチェックしてみましょう。

 

 

【チェックリスト】愛犬のできることは?

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▢ ご飯は1分くらいで完食する

▢ 固いガムやおやつなどを喜んで食べる

▢ 飼い主さんがいる間はほとんど起きている

▢ 飼い主さんが動くと、寝ていても必ず起きる

▢ ぼーっとしている時間はほとんどない

▢ 運動した後でも足がもつれたりすることはほとんどない

▢ お散歩は10分以上止まることなく歩く(走る)

▢ ソファーやテーブルの上に平気で飛び乗る(飛び下りる)

▢ 足を崩さずにお座りの姿勢がとれる

▢ 自分の体高くらいの段差でも躊躇することなく歩く

 


 

実はこれ、1~10歳頃までは、病気やケガなどがなければ、どの項目も問題なくチェックできる質問なんです。この10項目の中で1つでもチェックがつかない場合は、少しずつ老化が始まっているかも、ということなんです。

老化は一気に進むものではありません。日々少しずつ少しずつ衰えていきます。それまで当たり前にできていたことができなくなった時、飼い主さんは愛犬の老化を実感することが多いのではないかと思います。わたし自身はまさにそうでした。

では、各項目について解説させていただきます。

 

 

チェックリストを確認してみよう

 

▢ ご飯は1分くらいで完食する

犬はほとんど丸飲みでご飯を食べます。なのでご飯を食べるのにさほど時間はかからないのです。噛まずに飲み込めるというのは若い証拠で、年齢を重ねるにつれ、少しずつ飲み込む力が弱まります。一気に飲み込めなくなるため、食べるのに時間がかかってしまうのです。

 

▢ 固いガムなどを喜んで食べる

犬には虫歯はないそうですが、歯周病にはなります。固いガムを食べることができるのは、顎の力が強いことと、歯がしっかりしているから。噛む力は年々弱まってきますので、顎に力がなくなったり、歯に不具合が生じると、ガムを噛む時間が長くなったり、食べられなくなったりします。

 

▢ 飼い主さんがいる間はほとんど起きている

犬は飼い主さんが大好きです。大好きな飼い主さんと一緒の時間は至福の時。飼い主さんの一挙手一投足が気になり、飼い主さんの行くところを目で追ったり、後追いしたり。でも歳をとると、少しずつ睡眠時間が長くなってきます。飼い主さんがいるにもかかわらず、寝ている時間が長い場合は、それだけ睡眠時間が長くなった=老化が始まったといえます。

 

▢ 飼い主さんが動くと、寝ていても必ず起きる

犬は浅く眠ることが多く、ほとんど熟睡しないといわれています。飼い主さんが動くと気配を感じ、パッと顔を上げて飼い主さんを見たりしますが、これも若い証拠です。年齢と共に、眠りが深くなるのか、ぐっすりと寝ていることが多くなり、飼い主が動いても眠ったまま起きなくなることが多くなります。

 

▢ ぼーっとしている時間はほとんどない

飼い主さんと一緒に過ごしている時は、犬は飼い主さんのことで頭がいっぱいです。飼い主さんのことをまるで見張ってるかのようにじっと見つめていたり、飼い主さんにおもちゃで遊んでほしいとねだったり、落ち着きなく動いたりしていることが多いですが、耳が衰えてきて聞こえにくくなったりすると、今まで反応していたことに反応しなくなったり、ぼーっと宙を見つめたりする行動が出てきます。

 

▢ 運動した後でも足がもつれたりすることはほとんどない

犬は運動能力がとても高い動物です。ドッグランにいって散々運動した後も、平気な顔でお散歩に行くことができます。ところが足腰が弱くなってくると、足(特に後足)がもつれたり、しりもちをついたりすることも。後足がもつれたりするのはヘルニアの可能性もありますので、注意深く観察してあげた方がいいでしょう。

 

▢ お散歩は10分以上止まることなく歩く(走る)

犬は散歩が大好き。排泄や他の犬の匂いを嗅いだりする時間以外はほとんど動いています。ところがシニアになると、散歩の途中で急に立ち止まったり、歩くスピードが遅くなったりすることが出てきます。続けて長い時間歩くことができなくなったのは、足腰が衰えてきたサインといえます。

 

▢ ソファーやテーブルの上に跳び乗る

ソファーが大好きな犬は多いと思います。少し背が高くてふかふかのソファーは、家族みんなを見渡せるし寝心地はいいし、最高の場所ですよね。またいたずら好きな犬はテーブルの上に飛び乗ったりすることもあります。しかし足腰が弱ってくると、それまで平気で飛び乗ったり下りたりという行動がしづらくなってきます。最初は1回で飛び乗れていたのに、乗るまでに数回かかるようになったり、飛び降りた時に踏ん張る力が弱まり、前につんのめるようになったりします。

 

▢ 足を崩さずにお座りの姿勢がとれる

たまに横座りのくせがある犬もいますが、背筋をまっすぐにした体勢でお座りができるのは、背筋がしっかりしている証拠。足を崩してしまうのは、筋力の低下も原因のひとつ。今まで背筋をまっすぐにしてお座りできていた子が横座りするようになったら、筋力の低下が疑われます。

 

▢ 自分の体高くらいの段差でも躊躇することなく歩く

若い時は平気でひょいと飛べていた段差でも、歳と共に飛び越えるのが一苦労になり、自分の体高の半分くらいの段差でも躊躇するようになります。犬は後肢から衰えが始まります。段差を飛び越えるために後肢を踏ん張る体勢を取りますが、年齢と共に踏ん張れなくなり、足が上がらなくなってすり足のような歩き方になっていきます。更に老化が進むと、前足も上がりづらくなってきます。

 

 

少しでも長く身体機能を保つために

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この10項目は一般的に言われていることでもありますが、すべて自分自身が経験したことでもあります。

うちの愛犬は、13歳で散歩の途中急に立ち止まるようになり、14歳で持病持ちになり、15歳でソファーに飛び乗れなくなり、16歳で足がもつれるようになり、17歳でしりもちをつくようになりました。

18歳になり、視力も衰えてきたようで、壁などに激突してしまうことがあります。

以前は、寝ていてもわたしが動くとすぐに起き上がっていたので、「この子はわたしといると安心できないのだろうか」なんて思ったこともありましたが、今は先にわたしが起きても、熟睡していて起きる気配もありません。

 

犬は人の4倍ほど早く歳をとるため、わたしたちの時間の感覚よりもずっと早く犬の時間は過ぎています。老化を止めることはできませんが、少し気をつけて見てあげることで、身体機能を長く保つこともできます。

 

足腰が衰えてきたら、段差などに気をつける、フローリングなど滑りやすい床は滑りにくいようカーペットを敷く、ソファーは階段やスロープをつける。

我が家の場合は、若い頃よりもマメにお散歩に行くようになりました。多い時だと1日4回ほど、10~20分くらいですが、筋肉維持のためにも毎日続けています。雨が降った日はバランスディスクに乗せて、インナーマッスルを鍛えるようにしています。

足がふらついても自分の足で歩いてもらい、極力抱っこはしません。それと筋肉が固くならないようにマッサージをするようにしています。頭~首~背中にかけてと太もものあたりを上から下へ血やリンパを流すような感じでやっています。

 

ご飯が食べにくいようであれば、ご飯を食べやすくするため台の上に載せたり、小粒サイズにしてあげたり、お湯でふやかして柔らかくしてから与えてあげると食べやすくなります。また歯に不具合がないか、お口の中をチェックして、もし歯石などがついていたら、歯磨きをしたり、獣医さんに相談するのもひとつです。

我が家の場合は、ニッパーでフードをカットしたり、フードボウルを10㎝ほどの台の上に載せて食べさせています。手作りのトッピングをする場合は、自分で噛んで食べられるくらいの大きさにカットしています。

 

身体機能を長く保つには、日頃のケアが一番効果的だと思っています。

ケアといっても、自分でもできる簡単なことでいいんですよね。ちなみにマッサージはテレビを見ながらしています。テレビに夢中になると、たまに「ワン!」と怒られますがあまり気にしてません笑

 

大切な愛犬には、少しでも長く、元気で健康に過ごしてほしいもの。老化のサインに気付いたら、それは生活習慣を見直してあげるタイミングなのかもしれません。

 

犬の様子は日々変わります。愛犬の老化はあっという間にやってきて、昨日まで当たり前にしていたことが、今日はできなくなっているということもあります。

 

犬は誇り高いため、できないと思った瞬間に諦めてしまい、そのままどんどんできなくなっていくということも考えられます。

 

愛犬の変化に気付いてあげられるのは飼い主さんだけです。できるだけ長く身体機能を保てるよう、共に頑張りましょう。

【犬の老化チェックリスト】そのしぐさ、大丈夫? 10のチェック項目でわかる「犬の老化」のサイン

いつまでも元気でいてほしい大切な愛犬。

残念ながら、わたしたちと同じように愛犬も歳を取ります。老化は少しずつ進行するため、毎日一緒に過ごしていると見過ごしてしまい、ある時ふと「あれ?いつもと違う」と気づくことが多いと思います。

まずは下のチェックリストで、日頃の愛犬の様子をチェックしてみてください。

 

 

【チェックリスト】愛犬の老化度チェック

 

▢ ご飯は1分くらいで完食する

▢ 固いガムやおやつなどを喜んで食べる

▢ 飼い主さんがいる間はほとんど起きている

▢ 飼い主さんが動くと、寝ていても必ず起きる

▢ ぼーっとしている時間はほとんどない

▢ 運動した後でも足がもつれたりすることはほとんどない

▢ お散歩は10分以上止まることなく歩く(走る)

▢ ソファーやテーブルの上に平気で飛び乗る(飛び下りる)

▢ 足を崩さずにお座りの姿勢がとれる

▢ 自分の体高くらいの段差でも躊躇することなく歩く

 

 

実はこれ、1~10歳頃までは、病気やケガなどがなければ、どの項目も問題なくチェックできる質問なんです。ですからチェックがつかない場合=老化が始まっているかも、ということなんです。

老化は一気に進むものではありません。日々少しずつ少しずつ衰えていき、今まで当たり前にできていたことがある時できなくなり、その変化に気付いた時、飼い主さんは愛犬の老化を実感することが多いのではないでしょうか。

では、上記10項目について、1つずつ解説していきます。

 

 

各項目の解説

 

▢ ご飯は1分くらいで完食する

犬はほとんど丸飲みでご飯を食べます。なのでご飯を食べるのにさほど時間はかからないのです。噛まずに飲み込めるというのは若い証拠で、年齢を重ねるにつれ、少しずつ飲み込む力が弱まります。一気に飲み込めなくなるため、食べるのに時間がかかってしまうのです。

 

▢ 固いガムなどを喜んで食べる

犬には虫歯はないそうですが、歯周病にはなります。固いガムを食べることができるのは、顎の力が強いことと、歯がしっかりしているから。噛む力は年々弱まってきますので、顎に力がなくなったり、歯に不具合が生じると、ガムを噛む時間が長くなったり、食べられなくなったりします。

 

▢ 飼い主さんがいる間はほとんど起きている

犬は飼い主さんが大好きです。大好きな飼い主さんと一緒の時間は至福の時。飼い主さんの一挙手一投足が気になり、飼い主さんの行くところを目で追ったり、後追いしたり。でも歳をとると、少しずつ睡眠時間が長くなってきます。飼い主さんがいるにもかかわらず、寝ている時間が長い場合は、それだけ睡眠時間が長くなった=老化が始まったといえます。

 

▢ 飼い主さんが動くと、寝ていても必ず起きる

犬は浅く眠ることが多く、ほとんど熟睡しないといわれています。飼い主さんが動くと気配を感じ、パッと顔を上げて飼い主さんを見たりしますが、これも若い証拠です。年齢と共に、眠りが深くなるのか、ぐっすりと寝ていることが多くなり、飼い主が動いても眠ったまま起きなくなることが多くなります。

 

▢ ぼーっとしている時間はほとんどない

飼い主さんと一緒に過ごしている時は、犬は飼い主さんのことで頭がいっぱいです。飼い主さんのことをまるで見張ってるかのようにじっと見つめていたり、飼い主さんにおもちゃで遊んでほしいとねだったり、落ち着きなく動いたりしていることが多いですが、耳が衰えてきて聞こえにくくなったりすると、今まで反応していたことに反応しなくなったり、ぼーっと宙を見つめたりする行動が出てきます。

 

▢ 運動した後でも足がもつれたりすることはほとんどない

犬は運動能力がとても高い動物です。ドッグランにいって散々運動した後も、平気な顔でお散歩に行くことができます。ところが足腰が弱くなってくると、足(特に後足)がもつれたり、しりもちをついたりすることも。後足がもつれたりするのはヘルニアの可能性もありますので、注意深く観察してあげた方がいいでしょう。

 

▢ お散歩は10分以上止まることなく歩く(走る)

犬は散歩が大好き。排泄や他の犬の匂いを嗅いだりする時間以外はほとんど動いています。ところがシニアになると、散歩の途中で急に立ち止まったり、歩くスピードが遅くなったりすることが出てきます。続けて長い時間歩くことができなくなったのは、足腰が衰えてきたサインといえます。

 

▢ ソファーやテーブルの上に跳び乗る

ソファーが大好きな犬は多いと思います。少し背が高くてふかふかのソファーは、家族みんなを見渡せるし寝心地はいいし、最高の場所ですよね。またいたずら好きな犬はテーブルの上に飛び乗ったりすることもあります。しかし足腰が弱ってくると、それまで平気で飛び乗ったり下りたりという行動がしづらくなってきます。最初は1回で飛び乗れていたのに、乗るまでに数回かかるようになったり、飛び降りた時に踏ん張る力が弱まり、前につんのめるようになったりします。

 

▢ 足を崩さずにお座りの姿勢がとれる

たまに横座りのくせがある犬もいますが、背筋をまっすぐにした体勢でお座りができるのは、背筋がしっかりしている証拠。足を崩してしまうのは、筋力の低下も原因のひとつ。今まで背筋をまっすぐにしてお座りできていた子が横座りするようになったら、筋力の低下が疑われます。

 

▢ 自分の体高くらいの段差でも躊躇することなく歩く

若い時は平気でひょいと飛べていた段差でも、歳と共に飛び越えるのが一苦労になり、自分の体高の半分くらいの段差でも躊躇するようになります。犬は後肢から衰えが始まります。段差を飛び越えるために後肢を踏ん張る体勢を取りますが、年齢と共に踏ん張れなくなり、足が上がらなくなってすり足のような歩き方になっていきます。更に老化が進むと、前足も上がりづらくなってきます。

 

 

少しでも長く身体機能を保つために

 

これ、一般的に言われていることでもありますが、すべて自分自身が経験したことでもあります。

うちの愛犬クリンは、13歳で散歩の途中で急に立ち止まるようになり、14歳で持病持ちになり、15歳でソファーに飛び乗れなくなり、16歳で足がもつれるようになりました。

18歳の今は、部屋の中を歩いている途中でしりもちをつくこともあります。目もほとんど見えていないようで、壁にぶつかってしまうこともあります。

以前は、寝ていてもわたしが動くとすぐに起き上がっていたので、「この子はわたしといると安心できないのだろうか」なんて思ったこともありましたが、今は先にわたしが起きても熟睡しています。

犬は人の4倍ほど早く歳をとります。わたしたちの時間の感覚よりもずっと早く、犬の時間は過ぎています。老化を止めることはできませんが、少し気をつけて見てあげることで、身体機能を長く保つこともできます。

足腰が衰えてきたら、段差などに気をつける、フローリングなど滑りやすい床は滑りにくいようカーペットを敷く、ソファーは階段やスロープをつける。

ご飯が食べにくいようであれば、ご飯を食べやすくするため台の上に載せたり、小粒サイズにしてあげたり、お湯でふやかして柔らかくしてから与えてあげると食べやすくなります。また歯に不具合がないか、お口の中をチェックして、もし歯石などがついていたら、獣医さんに相談するのがおすすめです。獣医さん曰く、歯のケアをしている子は長生きするということでした。

身体機能を長く保つには、やはり日頃のケアが一番効果的だと思うのです。

大切な愛犬には、少しでも長く、元気で健康に過ごしてほしいもの。老化のサインに気付いたら、それは生活習慣を見直してあげるタイミングなのかもしれません。

犬の様子は日々変わります。愛犬の老化はあっという間にやってきます。昨日まで当たり前にしていたことが、今日はできなくなっているということもあります。

そして、犬は誇り高いため、できないと思った瞬間に諦めてしまい、そのままどんどんできなくなっていくということも考えられます。

愛犬の変化に気付いてあげられるのは飼い主さんだけです。できるだけ長く身体機能を保てるよう、共に頑張りましょう。