【老犬の介護】大型犬を家族に迎える覚悟(2)~大型犬を介護すること

愛犬情報

犬種:ボルゾイ

病名・症状:褥瘡(床ずれ)、後肢不全、寝たきり

発症年齢:14歳、15歳

発症の経緯:老化

治療法:自宅ケア

 

 

辛く苦しい床ずれ

 

14歳の後半になると、完全に後肢が機能しなくなり、自力で立ち上がることが困難となりました。そしてとうとう床ずれを発症し、人間の補助なしでは全く歩けなくなりました。アスファルトでの散歩は、歩行補助に使用していたバスタオルで常時完全に吊るす状態になりました。しかしその体の重さをずっと支えることは難しく、腕がつらくて重くて地面に擦ってしまい流血してしまうことも。ここでアスファルトでの散歩は諦め、芝生の庭にしか出さなくなりました。

 

しかし、この段階ではまだ前肢は筋肉隆々で力強かったです。床ずれは横になった時に一番出っ張っている後肢の腰付近と、前肢の肩付近にできやすく、部分的にはげてきたら要注意です。

毛がはげてきた段階で、タオルをドーナツ状にして患部が床に擦れないよう保護するなど、配慮が必要だと感じました。保護する際固定できるようドーナツ状のタオルを患部の周りにあててテーピングするなどの工夫も必要です。

 

床ずれができる頃には、完全介護体制になりました。ボルゾイに合うおむつがなかったため、寝たまま糞尿を漏らすしかありませんでした。人間の介護用の使い捨てベッドシーツを敷いて対応しましたが、メープルは動けないストレスで、動く前肢で地面を蹴ってぐるぐると回転するので、シーツはすぐにボロボロになり、床ずれ保護のタオルも外れてしまい、どんどん床ずれが広がってしまいました。前肢だけで大きな体を動かそうとするので、指先は爪ごと擦れて血だらけ。毎日のように漏らしたうんちを体中にネリネリしていました。

 

【画像】ぐるぐる回った際に家具で鼻を何度も強打しできた傷

 

体中うんちまみれになった寝たきりのメープルを、一人で風呂で洗うこともできないため、お湯を汲んできて脱臭機2台を全開にし、少しずつ汚れた体を洗っていました。下痢の時は綺麗に掃除した瞬間にまた漏らしてしまい、再度掃除というのを数日間、深夜に4~5回繰り返したこともあります。汚れたトイレシートなどのごみの量もかなり増えました。このあたりで、人間の負担が精神的にも一気に重くなりました。

 

この頃は絶対に下痢をさせないこと、そして前肢が何とか動くうちは、男性なら担いででも外に出して排泄させる方がいいです。前肢は立つことができたので、片手でタオルを使用して腹部を持ち上げ、もう一方の手で腹部を刺激して排泄をさせていました。でも女性の場合は片手で腹部を持ち上げ、片手で排泄を促すというのは体力的に厳しいと思います。自分の力で立てない大きな犬を片手で制御するのは非常に困難でした。

 

 

精神的ストレスとの闘い

【画像】室内での洗浄仕上げの様子

 

メープルの寝床は、6畳1間を使用していました。人間用のほどよい反発のマットレスを2枚並べて敷き、マットレスが濡れないよう1畳タイプの大きい使い捨ての介護用防水シートを敷いていました。しかし防水シートは紙製で前足でひっかいてボロボロにしてしまうため、保護用にその上に薄めのじゅうたんやシーツを敷いていました。

 

おむつか使えないため、すぐに汚れてしまい毎日大量の洗濯物が出ました。メープルは床ずれの痛みか、寝たまま用を足すのが苦しいのか、または何かしら不快なのか、昼夜問わず鳴きわめくようになっていました。夜中に水を不定期に飲ませ、おしっこや下痢便を漏らすと床ずれ部分に当てている綿から患部に入り込んでしまうため、化膿しないよう念入りに患部の消毒をしていました。

 

ほとんど眠れない日々が延々と続き、疲労もピークに達していました。この頃は冷静になるよう、過去の楽しかった日々を振り返り、メープルに恩返ししたい、お別れするよりは今のままでいい、と考えるようにしていました。

 

ほどなくしてメープルは15歳を迎えました。メープルは昼夜問わず鳴きわめくため、考えられる不快な要因を取り除きましたが、それでも鳴くことをやめませんでした。

 

【画像】筋肉まで見えていた床ずれ

 

皮膚に大きな穴が開き、筋肉組織が完全に見えていて正直気持ち悪いし、メープルも痛くて鳴き叫ぶ。メープルが可哀想で可哀想で心が折れそうになるが、それでも介護は待ってくれません。心を鬼にして傷口に入った糞を取り除いたり消毒したりと介護をしている時、本当に本当に辛かった。「安楽死」という言葉がちらついた。介護をする前の自分では信じられない言葉でした。

 

 

カウントダウン

 

メープルは相変わらず前肢でくるくる回り、うんちネリネリが続いていました。鳴き止まない声と糞尿処理。近所迷惑になっていないかと気になり、病院の勧めもあり、夜は睡眠導入剤を与え始めました。寝る時間の増加に比例し、とうとう前肢も弱ってしまい動かなくなりました。

 

前肢が動かなくなり床ずれはそれ以上広がることはありませんでしたが、完全に動けなくなったため、一気に体力が低下しました。

 

この時点で、お別れのカウントダウンが始まったように思います。この状態は3ヶ月ほど続きました。やはりターニングポイントは床擦れだったのではと思います。どんなことをしてでも回避していればもう少し…と悔いが残ります。

 

ある日突然、水を飲んでも食道で止まってしまい、呼吸に合わせてうがいをしたような音が響きました。これは内臓の衰えの症状で、水を飲み込めなくなったということ。食欲がなくなると、目は虚ろで窪みだし、呼吸は苦しそうに全身でするようになりました。「メープル」と名前を呼んでも、目が合わなくなりました。

 

 

 

その2日後だった。

 

メープルは、お星様になった。

 

 

超大型犬を家族に迎えること

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

関連記事:【犬の介護】大型犬を家族に迎える覚悟(1)~介助が始まるまで

 

 

Twitter:サラメー★動物とマリノス

 

 

ライター:サラメー★

 

※この記事は、サラメー★さんのツイートを元に、サラメー★さん監修の元編集したものです。

 

 

 

“【老犬の介護】大型犬を家族に迎える覚悟(2)~大型犬を介護すること” への6件の返信

  1. 我が家も13歳のボルゾイが居ます。
    全く同様に、現在は寝たきりの状態で、両側の腰骨に床ずれができて痛々しいです。
    幸い、食欲は十分あり、便もしっかりしています。尿の方は、おおよそ10時間隔で排出しますが、出す量が多いのでおむつでしっかり受けないと体まで濡らしてしまいます。
    機嫌の良い時は、鼻を曲げて笑ってきます。いつまで一緒に過ごせるかわかりませんが、
    楽しい日々を過ごさせてもらった家族ですので、出来るだけ生き延びて欲しいです。
    この子の前には、バーニーズ(11歳)、アフガンハウンド(18歳)と大型犬を看取ってきました。前2頭は、死ぬ直前まで介助をしながらですが自力歩行ができました。
    寝たきり状態の介護が続くことは大変ですが、この記事を読んで励まされました。

    1. チャロパパさん、初めまして😊サラメーです。
      過去にも老犬の介助のご経験があるということで、老犬との向き合い方は私よりもご苦労されてきたことと思います。特にアフガンの18歳は素晴らしいですね!

      床擦れに関しては、大穴が開いてしまったあとは、ガーゼや布でドーナツを作って極度に殺菌効果が強くないようなユースキンのようなものでとにかく乾燥させないようにし、包帯とテーピング等で固定をしました。その際にどうしても腰高になるので体がフラットになるように座布団などで上半身を浮かしてました。
      前肢を使ってグルグル回ってズレてしまうと思いますので、壁などを背にさせるなど工夫が必要ですよね。
      オシッコは一定時間ごとに膀胱付近を押して強制的に排出させて、ペットボトルの上を切ったものを尿瓶代わりにしてました。
      うんちはオムツ内でしましたが、グルグルをしてしまうとオムツもテーピングもずれて、床擦れの傷穴に入ってしまい、そこを洗浄することが可哀想すぎて精神的に一番きつかったです。
      夜鳴きはまだ大丈夫ですか?
      一番つらいのは寝たきりになってしまった子ですよね。思い通りにならない体を不安に思って夜中もずっと大声で鳴いていました。
      これから先、そういう状態になるかもしれません。パパさんも睡眠時間だけはどこかで必ず確保してくださいね。場合によっては獣医師さんと相談して介護犬の睡眠を助けるお薬を頂いたり、絶対にパパさんの心が折れる前に早め早めに行動してくださいね!

      現在、我が家は新たにボルゾイ含む2頭がおります。正直、将来に対する不安はありますが今を楽しみながら対策はしていこうと思っています(^_^)

      今まで癒してくれたワンコへの感謝の気持ちを示す最終段階ですよね。
      本当に一言では表せないくらい大変だと思いますが、1日でも幸せな日々が続きますように…。

      1. とうとうチャロは星になりました。
        食事が徐々に細くなり、ミルクを注射器で口に含ませるまで体力が落ち始めて、いよいよの覚悟をしました。
        しかし、何とか生き続けて欲しいの願いもかなわず、なくなりました。
        最後は、苦しまずにスッと息を引き取ったのがせめてもの救いです。
        家族の一員になってから、本当に楽しい日々を共有してくれました。
        ありがとう。

        1. あれから3ヶ月。パパさんも本当に大変な日々だったとお察しします。
          どんなに大変だったとしても、チャロさんがいなくなると心底寂しくなりますね。
          ずっと一緒に癒してくれたチャロさんは、こんなにも愛されたのだからどんなに幸せだったことでしょうか。
          パパさん自身もどれだけ頑張っていたとしても『もっとやれたんじゃないか』と少なからず後悔や反省をしてしまうと思います。私もいまだにその気持ちは消えません。
          でも、この気持ちはとても大切だなって思います。
          お互いのいつの日か遠い将来、虹の橋のたもとで楽しく過ごしている愛する子達と再会できます様に…。

  2. 幼稚園の頃初めて触った犬がボルゾイでした
    こんなに大きくて優しい犬がいるのかと
    いつか私もと憧れ続けました
    25才の時に縁あってミニチュアダックスを
    飼いました
    その子も16才になり歩けなくて
    オムツしています
    小型犬なので介護を出来ていますが
    ふと憧れたボルゾイは老犬介護になったら
    どうなのだろうと🔍てみて
    詳しく書かれた物が有り
    とても参考になりました
    ありがとうございますm(__)m

    1. カズママ様

      初めまして。福井と申します。
      記事をお読みいただきありがとうございます。

      この記事は、Twitterで知り合ったサラメーさんにご提供いただきました。
      そして、サラメーさんの記事を通して、大型犬の介護の現実を知ることができました。
      読み進めるほど、サラメーさんのメープルさんに対する愛情の深さと、介護の現実、そして命を預かる責任についてとても考えさせられました。
      サラメーさんはメープルさんを見送られた後、シルケンハウンドのかえでまるさんを、そしてボルゾイの守楓(もか)さんを迎えられ、元気いっぱいのふたりと共に楽しい毎日を送っておられるとのことです。

      カズママ様のおうちにもダックスさんがいらっしゃるのですね。
      老犬はとても可愛いですよね。うとは今年の3月にダックスのクリンを19歳で見送りましたが、本当に可愛くて可愛くて、よちよち歩く姿が愛おしくて、姿は見えなくなりましたが今でも最高に可愛いうちの長女です。

      パピーの頃は毎日できることが少しずつ増えていき、大人になったら当たり前にできていたことが、年を重ねるにつれトイレを失敗するようになり、うまく歩けなくなり、日々できないことが増えてっても、それでも一生懸命に生きる姿にたくさんの勇気と希望をもらえ、たとえ不自由になったとしても、それでも少しでも長く傍にいてほしいと願ってしまいます。
      きっとカズママ様も同じようなお気持ちでいらっしゃると思います。

      カズママ様のおうちの子がずっと元気で長生きされますように。

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