老犬の食べムラ・食い渋り ~老犬が食べない悩みをお持ちの飼い主さんへ伝えたいこと

ワンワンラボにご訪問いただき、ありがとうございます。

今日はクリンの20歳の誕生日。

クリンは2019年3月に19歳1ヶ月で旅立ちましたので、残念ながら成人式を迎えることは叶いませんでした。

この記事を書いた当初は、クリンは18歳を迎えたばかりで、食べムラ・食い渋りに悩んでいる真っ最中でした。ありがたいことに、この記事はたくさんの方にお読みいただき、2年前の記事にもかかわらず、今でもコメントをいただいております。

クリンを見送ってから思うこと、気づいたことなどを追記して、クリンの20歳の誕生日にリライトして公開させていただくことにいたしました。

どうか、食べムラ・食い渋り・食欲不振で悩んでおられる飼い主さんに届きますように。

 

 

シニア犬の「食欲不振」は特別ではない

 

 

我が家の愛犬クリンの食べムラは、15歳の時から始まりました。

食べムラを経験し、いろんなことを知りました。

食べることは決して当たり前のことではないこと、フードと薬は分けた方がいいこと、実は食べムラや食い渋りは一番精神的に堪える、ということなどです。

同じ悩みを持つ飼い主さんはたくさんいらっしゃると思います。食べムラ・食い渋りに約4年間悩んだ飼い主のひとりとして、経験と感じたことなどを書いていきます。

 

クリンの食べムラが始まって一番最初に思ったことは、「このままどんどん弱って衰弱していくのではないか」ということでした。若い頃は、お腹の調子が悪くなると1~2日食事抜きで様子を見るということもありましたが、この頃は普通に食欲があったので、さほど気になることはありませんでした。

 

そして「あること(飼い主の失敗)」がきっかけで、「食べること」そのもの、食べ物に対しての不信感を持たせてしまいました。今まで喜んで食べていたものですら、口にしなくなってしまいました。

ネットで「シニア犬 食べムラ」で検索すると、「食べないのは末期症状…」「最期は食べなくなって…」など、かなりネガティブな表現のものが多く、読めば読むほど余計に不安になっていきました。少しでも希望を持ちたくて検索するのに、出てくる結果がマイナスのものばかりだと、ただでさえ弱っている心がどんどん追い込まれてしまうんですよね。

歳を取ると、体調も常に万全ではありません。寝不足だったり、前日に胃の調子が悪いと、それだけで食べなくなることもあります。ですから、愛犬がシニアになって食欲が落ちることは、とても自然なことなのだとは思いますが、それでもやっぱりとても心配になります。

 

 

食べムラの原因を考えてみる

 

 

食べムラの原因として、元々食べることに執着がなかったり、単なるわがままであったりもしますが、何かしら「食べなくなった」きっかけがあったという場合もあります。いくつかの複数の問題が原因で食べない、ということもあると思います。

愛犬が食べないことは、飼い主にとってとても深刻です。食べないと体力の低下や体が冷えて代謝が低下することもありますので、少しでもいいから何か食べてほしいと願ってしまいます。

振り返ると、うちの場合は食欲不振の時には必ず原因がありました。

 

食べない時に考えられること

 

1.なんとなく食べたくない

2.胃腸の調子が芳しくない

3.噛む力が弱まって、または歯に問題があって食べにくいため食べない

4.体のどこかに痛みや不具合(病気)がある

5.食べることそのものへの不信感

 

1.なんとなく食べたくない

前日にたくさん食べた時などは、翌日なかなかご飯を食べないことがあります。シニアになると長時間寝ていることが多くなりますので、動く時間が少なくなり、胃腸の動きも悪くなっていることがあります。若い頃と違い、老犬になると消化にも時間がかかるため、お散歩などの適度な運動や気分転換は食欲を高めるきっかけになります。

また、鼻が利かなくなっていることも考えられます。犬にとって匂いはとても大切な情報。ところが年を重ねるごとに匂いもわからなくなっていきます。良い匂いにつられてキッチンに飛んでくるようであれば問題ないですが、無関心でいるようなら、もしかすると匂いがわからなくなっているのが原因のひとつかもしれません。

そしてこれはシニア犬あるあるですが、「単なるわがまま」ということも考えられます。人間同様、歳をとると犬もわがままになります。食べムラ・食い渋りが続いている時は、手を変え品を変えいろんなものを与えてしまいがちです。すると、「待っていたらもっといいものが出てくるかも」と、ドッグフードなどを食べなくなってしまうこともあります。

こんな時は、匂いの強いトッピングが有効です。多少の添加物もよしとして、かなり匂いが強い缶詰をトッピングしたり、ふりかけをレンジで温めて匂いを強くしたりすると食べてくれることもあります。

わがままかも、と思う場合は、少し様子を見るのもひとつです。病気や体調不良がない場合はドッグフードを下げてしまうのもひとつ。ただし、ハイシニアの場合は、好きなものをおいしく食べてもらうというのもありだと思っています。お腹を壊さないなら、人間用の牛乳もおススメです。クリンの晩年はテラカニスという缶詰と人間用の牛乳にとても助けられました。

 

2.胃腸の調子が芳しくない

歳と共に代謝が落ち、内臓の働きが悪くなります。消化の悪いものを食べたり、なかなか消化できない場合などは食欲が減退する原因になります。クリンは夜中にご飯を食べたがることが多く、ご飯を欲しがるのが嬉しくてついつい食べさせてしまうと、翌日はなかなかご飯を食べなかったということがありました。

胃腸の調子が悪い時は便の状態がいつもと違ったり、腸がキュルキュル鳴ったりします。そんな時は食欲が出るまでそっとしておきます。そんな時、牛乳はとても役立ちます。牛乳は犬に与えてはダメという意見もありますが、お腹を壊さなければ問題ないですし、牛乳だけで数ヶ月生きた犬もいると獣医さんに聞きました。牛乳は栄養もあるし液体で飲みやすいので、なんとなく食欲がない、という時にはとても助かります。ワンコは甘い味をおいしいと感じるそうなので、体に優しい砂糖やはちみつなどを混ぜて甘味をつけてあげると、より飲んでくれるかもしれません。

お腹の音が数日治まらなくて食欲がない場合は、胃腸炎・膵炎など、病気の可能性があります。数日続く場合は病院に行くことをおすすめします。こじらせてしまうと長引いてしまい、命を脅かす危険性があります。シニア犬の場合、こじらせると本当にやっかいなので、様子がおかしいと思ったら診察を受けることを強くおすすめします。

 

3.食べにくいから食べない

今まではパクパク食べていたフードも、歯の状態が悪くなったり、顎の力が弱まったりすることで、噛めなくなってしまったり、食べにくくなっていることが考えられます。

うちの場合、咥えたおやつをポロっと落としたり、それまで大好きだったキャベツの芯などを食べなくなったことで、顎の力がなくなったとわかりました。それ以来、食べやすい形状に小さくカットしたり、フードを砕いてやることで食べるようになりました。あまり大きな粒だと誤飲の危険もありますので、年齢と共にフードの大きさを変えてあげることをおすすめします。

犬って案外繊細で、「うまく食べられない」と食べなくなってしまうことがありますので、もし思い当たることがあれば、試してみてくださいね。

 

4.体のどこかに痛みがある

振り返ると、クリンが食べなかった原因は体の不具合が一番の原因だったと思います。食べムラ・食い渋りになったきっかけは投薬でしたが、食べない時には体のどこかに痛みがありました。

クリンの場合は子宮の鈍痛と歯の痛みでした。子宮摘出をしたのは18歳になる前でしたから、それまで約3年間も痛みがあったのだと思うと、もっと早く転院すればよかったと今でも思います。

術後摘出した子宮を見せてもらいましたが、片方が通常の2倍くらいに腫れあがっていました。ずっと気持ち悪いような痛いような状態だったから、食欲も出なかったんだと思うと言われたときは、気づいてあげられなかったことをものすごく悔みましたし、今でも後悔の念は消えません。

参考記事:避妊手術について考える ~老犬の子宮蓄膿症の治療について

 

体のどこかに痛みがある時は、何らかのサインがあります。食べムラ・食い渋りもそのサインのひとつです。

もしかしたら、なんとなく具合が悪いという感じで、検査では出てこないかもしれませんが、食欲不振が続くようでしたら、獣医さんに相談されることをおすすめします。

食べないことに以下のような症状が出始めたら、症状が悪化していたり、炎症数値が跳ね上がっていることも考えれ羅れます。

寝てばかりいる/失禁/軟便/腸から音がする/吐く/うずくまるなど

ワンコは我慢することが多いそうで、痛がったりするのはよほどの状態であることが多いそうです。特に老犬の場合は、たった1日処置が遅れただけで重篤な状態になることもあります。

ワンコは10歳を超えると体のあちこちに不具合が出始めることが多いそうです。どんな病気でも、早期発見できれば早く治療することができますし、心臓や腎臓などの再生しない臓器も、投薬により寿命を大きく伸ばすことができます。悪いところがないようでも、数ヶ月ごとの定期健診を受けておくと不具合に素早く対処できます。

 

5.食べることへの不信感

これは今でもずっと後悔していることで、クリンに申し訳ない気持ちでいっぱいです。

クリンの食べムラのきっかけは「投薬」です。

14歳で胆泥症と診断され、以来毎日の投薬が始まりましたが、普通にご飯の上に薬を置いて一緒に食べさせていたため、問題なく薬を飲むことができていました。ところが15歳の時の足の炎症がきっかけでご飯を食べなくなってしまいました。その時に処方された「抗生剤」が非常に苦い薬で、それを無理やり飲ませようとしたことがきっかけで食べ物に対する不信感を持たせてしまいました。

それまで大好きだったお肉やささみ、ジャーキーなどにくるんで薬を飲ませようとしましたが、結局ばれてしまって口から吐き出してしまいました。そんなことを繰り返しているうちに、痛みがあって食べなかっただけなのに、食べ物自体に不信感をもってしまい、食べること自体を嫌がるようになってしまいました。

これは飼い主として最大の失敗であり、今でもクリンに申し訳ない気持ちでいっぱいです。正直、この失敗がなかったら、食べることが大好きなままであったら、もしかしたら成人式を迎えることができたのではないかとさえ思います。

 

 

食べムラを怖がらないで

 

 

クリンが15歳の時から始まった食べムラ・食い渋りは旅立つ日までほぼ毎日続きました。

体の痛みや不具合が取れた時は食欲も改善しましたし、お腹が空くとすごい勢いで食べてくれることもありましたが、すぐに食べないことが癖になってしまったように思います。

一度食べムラや食い渋りになってしまうと、何とか食べてほしいと「好きなおやつ」や「好物のお肉」など、犬にとってのごちそうを用意したり、毎回フードを変えてしまったり、新しい缶詰を次から次へと開けてしまったりすることで、どんどんわがままになってしまいました。当時冷蔵庫の中はクリンの食べなかったものでいっぱいになることもありました。

愛犬が食べないことって、飼い主の精神的なダメージが本当に大きいんですよね。このまま食べなかったらどうしようと落ち込み、実際わたしはノイローゼになってしまいました。毎日眠れずにいろいろ考えては泣いてみたり、ネットで検索しては落ち込んだり、今考えると本当におかしくなっていたと思います。

でも、どれだけ食べなくても、お腹が減ると必ず何かを口にします。病気が原因の食欲不振でない限り、食べムラはいつか治まります。クリンは食べない日もありましたし、痩せてしまったこともありましたが、それでも19歳を迎えることができました。

 

特に老犬は、食べるスイッチが入りにくいという場合もあります。若い頃より運動量が減り、代謝が落ち、なかなかお腹が空かないということもあります。そんな時は「もっと食べたい」「お腹が減った」というスイッチを入れてあげるのも手です。スイッチは、大好物のおやつや、人間の食べるもので甘いものも結構有効です。

カステラ、バームクーヘン、バニラアイスクリーム、加糖ヨーグルトなど、お腹が減っている時はものすごく食いつきます。これは奥の手としておすすめです。

クリンの場合は、先にカステラだけを与え、食いついてきたらフードの上にカステラを小さくちぎったものをトッピングして食べさせたりします。これを我が家では「呼び水」と呼んでいます。

トッピングだけ先に食べてしまい、フードだけ残ると食べなくなることもありますので、食べている最中にトッピングを横から追加したり牛乳を入れたりして、そのまま止まらず食べ続けるようにしています。

 

 

愛犬に食べムラや食い渋りが出た時に大切なこと

 

 

今、愛犬の食べムラで悩んでいる飼い主さんへ。

クリンの食べムラ・食い渋りに約4年向き合い、もし持病や体調不良などがないのであれば、あまり深刻に悩まないでください。1日2日食べなくても、お腹が減ったら必ず食べてくれます。我が家のわがままシニア犬は、15歳から3年食べたり食べなかったりを繰り返していますが、今でも元気に過ごしていますから。

 

何よりも愛犬にとって一番ダメージが大きいのは、飼い主さんの悲しい顔や、食べないことを叱られることです。

犬って飼い主の精神状態をよく理解しているんですよね。クリンが食べない時、イライラしたり怒ったりすると、元気がなくなったり余計に食べなくなったりしました。

でもご飯を食べた時に「すごいね~~!」と褒めると、食べるスピードがアップするんです。ああ、犬ってちゃんとわかってるんだな、とつくづく思いました。

 

犬にとっての一番の良薬は、飼い主さんの愛情であり、飼い主さんの笑顔です。

 

たとえ食べなくても、どうか怒らないであげてください。大丈夫大丈夫、お腹が減ったら食べようね!と笑顔で接してあげてください。

15歳から4年間、ずっと食べないことに悩んできましたが、19歳を元気に迎えることができました。そして旅立つ前日まで、いつも通り過ごすことができました。

多少食べなくても、たとえ食べない日があっても、どうかあまり深刻にならないでくださいね。

 

 

ライター:福井 惠子

 

 

【老犬の病気】高齢犬の積極的治療のメリット・デメリット(3)

愛犬情報

犬種:ミニチュアダックスフンド

病名・症状:歯周病・子宮の不具合・ヘルニア

発症年齢:14歳~・15歳~・18歳

発症の経緯:14歳の時突然右頬が腫れあがった

治療法:投薬~歯石除去&抜歯手術・再生医療

 

<関連記事>

【老犬の病気】高齢犬の積極的治療のメリット・デメリット(1)

【老犬の病気】高齢犬の積極的治療のメリット・デメリット(2)

 

 

ヘルニア治療スタート

 

クリンが手術を受けてから、それまでずっと悩んでいた食べムラ・食い渋りが少しずつ改善されていきました。

術後数日はほぼ食べませんでしたが、術後5日目にフードを食べてくれるようになってからは、ほぼ毎日フードを食べるようになりました。多少のムラはありましたが、術後2週間で抜糸してからは食欲も安定し、食べないという理由での強制給餌の回数も減りました。

ところが、抜糸しても曲がった腰はそのままの状態でした。最初は傷がつっぱるのかと思っていましたが、それがヘルニアの痛みが出始めたサインでした。手術後もお散歩は大好きでしたし、歩けなくなるということはありませんでしたが、腰の曲がりは一向に改善されませんでした。

検査の結果、椎間板ヘルニアの痛みが出始めたということがわかりました。

先生のお話では、術前にも腰の痛みがあったかもしれないが(レントゲンの画像診断では痛みが出ているレベルのヘルニアとの診断でした)、それよりも子宮と歯の方の痛みが強く、ヘルニアの痛みはさほど気にならなかったのだろう、とのことでした。

痛みはあるものの、生活に大きな支障はなかったことから、「アデクァン」という薬剤を筋肉注射する治療をすることになりました。

これは、痛みのある部位にクッションの役割となる物質を注射するという治療法で、最初の1ヶ月は週2回(月8回)の注射をし、その後少しずつ回数を減らしていき、月1~2回は継続して注射を打つという治療法でした。

初めてのヘルニア治療でしたが、注射が効いたようで痛みは随分軽減されたようでした。副作用も心配なかったので、この治療を継続することにしました。

治療を始めて3ヶ月は順調でしたが、注射を月1回にしたところ、腰の痛みが再発したようでした。クリンの場合は体に不具合や痛みがあると食い渋りが出るため、食欲が落ちたり食いつきが悪くなるとすぐに病院に行きました。

鍼治療とアデクァン注射の回数を増やして様子見していましたが、ほどなくしてまた食い渋りが出始めました。4月半ばのことでした。実は以前よりヘルニアと水頭症治療のために「再生医療をしてはどうか」と提案されていましたが、なかなか炎症が治まらなかったため、先送りになっていました。

再生医療をする方向で血液検査をしてもらったところ、なんとCRPが19という結果でした。原因はやはり歯の不具合でした。

クリンは投薬の失敗から口を触らせてくれなくなり、歯石を取ってもらってからも歯のケアはほとんどできず、手術からたった5ヶ月で結構な量の歯石が付いていました。

若い頃はしっかり噛んで食べられますし、お水もたくさん飲むことができるため、口の中に食べかすが残りにくいのですが、高齢になると飲み込む力が落ち、口の中に食べかすが残りやすくなるため、どうしても歯石が付きやすくなるようでした。

残念ながら、再生医療は一旦お預けとなり、歯の炎症を抑える治療をすることになりました。

 

 

再生医療~二度目の手術まで

 

歯の炎症を抑えるため、抗生剤を処方されました。高齢のため、できるだけ副作用が少なくて、体に負担のない薬を選んでいただきましたが、薬の耐性がついてしまっていたこともあり、長期にわたり薬を飲み続けることになりました。週に1~2回血液検査を受け、薬の効きを確かめ、数値が改善していないと薬の変更をするということを数度繰り返しました。

クリンは肝臓が弱く、転院した当初からGPT数値は100を超えていました。腎臓は大きな問題がなかったため、最初は肝臓に負担の少ない薬を選択しましたが、効きが悪かったので肝臓に負担のかかる薬に変更しました。なんとか炎症数値は治まりましたが、GPTが500を超えてしまったため、抗生剤をストップして再生医療も数値が落ち着くまで見送りとなりました。

※薬は肝臓に大きく負担のかかるタイプと腎臓に大きく負担のかかるタイプの2種類あるそうです。

 

それから約4ヶ月間投薬とヘルニア治療を続け、8月になりやっと再生医療を受けることができました。再生医療後はとても調子がよくなり、足取りも軽やかになりました。10月には頸椎ヘルニアの痛みが出始めたため、二度目の再生医療を受けました。

再生医療は副作用がほとんどないためリスクが低く、ヘルニアだけでなく脳疾患や心臓・腎臓など、治療が難しい病気にも効果が期待できる反面、癌や炎症などがある場合はそれを悪化させてしまうこともあるそうです。

クリンの場合は、問題のあった歯に影響があったように思います。歯石取りと抜歯してからも、歯の炎症が治まらず、1回目の歯の処置をしてから今年の3月までの1年4ヶ月の間で、抗生剤を飲まなかったのは3ヶ月あるかないかくらいでした。

もしクリンがもう少し若ければ、問題のあった奥歯を抜歯してもらっていたと思いますが、クリンの年齢を考えると長時間の麻酔は非常にリスクが高く、ぐらつきのある歯しか処置ができない状態でした。

再生医療の影響もあってか、抗生剤を止めると炎症数値が上がり、また薬を飲むということを繰り返していて、肝数値も少しずつ上がっていたため、いつかは歯の治療が必要になると考えていました。一度目の再生医療をした後の9月から、歯の状態をこれ以上悪くしないために「デンタルバイオ」という口内細菌の繁殖を抑えるサプリメントを使うようになりました。

 

わたしは過去に何度も「もっと早くやっておけばよかった」と後悔することがありました。もっと早く転院して子宮を取ってもらっていたら、こんなに食い渋りに悩むこともなかったかもしれませんし、高齢のクリンに痛い思いをさせずに済みました。投薬の失敗から口の中を触れなくなってしまったのも、最初からシリンジで飲ませることができていれば、こんなに歯の状態が悪くなることもなかったと思います。この後悔から、できるうちにやれることをやった方がいい、と考えるようになりました。

歯の菌の怖さについては、いつも病院で聞かされていました。歯が悪い場合は最優先で治療をした方がいいし、悪いまま放置すると他の臓器に影響を及ぼす可能性が高いといわれていたため、先生からストップがかからない限り、できる治療は何でもやろうと考えていました。

先生に歯の治療について相談したところ、調子がいいうちに処置をした方がいいだろうとのことで、2018年12月3日に2回目の抜歯と歯の掃除をしていただくことになりました。

 

 

2度目の手術~術後の変化

 

歯の処置をする時、クリンは18歳10ヶ月になっていました。病院でも麻酔をする最高齢だといわれました。もちろん不安はありましたが、先生を信頼していたこと、これが最後のチャンスであることから、迷っている時間がもったいないと考えました。

 

そして手術当日を迎え、オペ前検査すべて無事クリア。クリンは麻酔に耐え、無事帰ってきてくれました。抜きたかった奥歯はまったくぐらつきがなくて手付かずとなりましたが、小さな奥歯を1本だけ抜いてもらいました。トータルでかかった時間は、歯の掃除と合わせて20分弱でした。

麻酔はガスのみで挿管はしなかったそうです。管を喉に通そうとしたら、ガスで眠っているはずなのに全力で喉をしめて管を阻止したそうです。「この子は誤飲することはないと思うよ」といわれ、思わず笑顔になりました。

術後の経過は順調で、多少の食い渋りはみられましたが、1日1回はフードを食べてくれましたし、二度の再生医療の効果もあり、ヘルニアについては痛みもないようでした。相変わらず歯を触られるのは嫌がっていましたが、痛みが軽減したこともあり、以前よりは反応しなくなっていたので、食後に食べかすが残らないよう、シリンジで唇と歯の間を洗浄したり、指で食べかすを取ってできるだけ歯石がつかないようにケアすることができました。

二度目の麻酔は、時間が短かったため術後も平熱体温だったこと、その後の血液検査でも問題なしだったので、影響はほぼなかったと思います。計2回の手術はどちらもうまくいきました。ヘルニアという不具合は出ましたが、これも想定内。わたしはやってよかったと心から思います。

ただ、もう少し若い頃にしてあげればよかった、と思っています。

もっと早く積極的な治療を選択していれば、クリンはもっと楽に過ごせたし、人間でいうと90歳を過ぎた年齢でこんなに痛い思いをすることもなかったでしょう。

そして高齢になればなるほど慎重に事を進めるため、医療費もかさみます。若い頃の避妊手術なら数万円で済みますが、クリンの場合は数十万円かかりましたし、術後の通院も若い子なら数回で済むところを、十数回は通いました。

 

 

老犬の医療費は、楽に旅立つための保険料

 

老犬になってからの医療費は、眠るように旅立つための保険料だと思っています。

クリンは14歳までほとんど病院のお世話にならず、心臓の薬を飲み始めたのは16歳になってから。毎月かかる医療費は17歳になってからぐんと上がり、旅立つまでの約2年間でかなりの金額になりました。でも後悔はまったくありませんし、やってよかったと思っています。

クリンが18歳を超えてから、近い将来に必ずやってくるお別れの覚悟を少しずつしていました。いつか来るその時に、笑って見送ってやれるように、自分にできることはできる限りどんなことでもしよう、と心に決めていました。

もし昨年12月に歯の治療をしなければ、もう少し長生きしてくれたかもしれませんし、歯の不具合もさほど問題なかったかもしれません。でも治療をしなければ、抵抗力が落ちて体中に菌が回ってしまい、心臓が悪くなったり、他の臓器に不具合が出ていたかもしれません。

積極的治療を選択したからこそ、最後の血液検査・エコー検査でほぼ問題なしと診断され、治療を一旦終えることができ、「元気なままピンコロ」で旅立ってくれたのだと思っています。

何よりも大切なのは、飼い主自身が納得して決断しているかだと思います。先生に遠慮して質問できなかったり、セカンドオピニオンを受けたいけど言い出せなかったり、不安な気持ちのまま治療を続けることは、のちに後悔することになってしまうのではないでしょうか。

 

クリンは19歳の誕生日以降、目に見えて機能が落ちました。ご飯を食べても太れなくなり、食べる量が少ないとすぐに体重は減ってしまいました。お散歩では楽しそうに走っていましたが、リードを引っ張っていないと転んでしまうこともありました。後足がつっぱってうまく曲がらないことや、前足が脱力して転倒してしまうこともあり、車いすを使おうか考えていた矢先の旅立ちでした。

きっとクリンは、自由に動けなくなってしまう前に、自分の意志で旅立ったのだと思っています。

どんな困難にも立ち向かい、辛い治療に耐え、病気に負けず、天寿を全うしてくれた。そんなクリンを、わたしはとても誇りに思います。

 

 

積極的治療は良い面も悪い面もあります。

どんな治療法を選択するかは飼い主にゆだねられます。どの病院を選択するか、どの先生に診てもらうか、どの検査をしてもらうか、どの薬を使うかなど、すべてわたしたちが決めるほかありません。

そして、どれだけできることをしても、大切な我が子をなくす辛さは同じです。今まで当たり前に傍にいてくれた存在がいなくなってしまうことは、たとえ天寿を全うしてくれたとしても悲しいし寂しいし苦しいです。

でも、後悔や悔いがないだけで、心は救われます。

皆様の大切な我が子が、元気に長生きされますように。そしていつか訪れるその時に、笑顔でお見送りできますように。

 

 

高齢犬の積極的治療をして~飼い主としての感想まとめ

 

【良かったこと】

・食欲が増す/普通にご飯を食べてくれるようになった(食べムラ・食い渋りの改善)

・毎日元気に過ごせる/最期の時までお散歩に行くことができた

・日々の変化をそれまでよりも敏感に察知するようになり、体の不具合に早く気づけるようになった

・旅立つ直前まで元気に過ごしてくれた(元気あり、食欲旺盛、自力で排泄、穏やかな睡眠)

・天寿を全うしてくれたと思える最期を迎えることができた(飼い主の願い通り、元気なまま眠るように旅立ってくれた)

 

【良くなかったこと】

・麻酔で体温が下がることにより、別の症状(クリンの場合はヘルニア)が出始めた

・高齢で痛い思い(怖い思い)をさせてしまった

・高齢になればなるほど、医療費(治療費用)がかかった

 

 

 

 

 

ライター:福井 惠子

 

 

【再生医療】ヘルニアの新しい治療、ステムセル(幹細胞)②

愛犬情報

犬種:ミニチュアダックスフンド

病名・症状:水頭症/椎間板ヘルニア/頸椎ヘルニア

発症年齢:17歳/17歳/18歳

発症の経緯:CT画像で発覚

治療法:再生細胞投与 アデクァン投与

 

 

関連記事:【再生医療】ヘルニアの新しい治療、ステムセル(幹細胞)①

 

 

また始まった食い渋り

 

1回目の再生医療から1ヶ月が経ち、クリンはとても元気に過ごしてくれていました。投与後は多少の食べムラや食い渋りはあったものの、体調を良好にキープできていたので、通院回数も減りました。

ちょうどその頃、我が家の次女ニコの調子が悪くなりました。その時はニコのことに集中できるほど、クリンの食欲や体調は安定していました。

ところが10月2日にニコが亡くなってほどなくして、それまでパクパク食べていたご飯を食い渋ることが出てきました。ちょうど季節の変わり目ということもあったので様子見していましたが、防寒用の服を着せ替える際、大きな声で「キャン!」と鳴いたんです。

首を触ると肩をすくめて嫌がる仕草があり、もしかして首に痛みがあるのかも、と病院に行きました。実は以前自宅でできるマッサージを教えてもらったことがあり、たまにマッサージをすることがあったのですが、その時も触られるのを嫌がるしぐさが見られることがありました。

CTとレントゲンの結果、頸椎ヘルニアであることがわかりました。

年をとると、食欲にムラはでることがあります。体の機能は年々衰え、匂いがわかりにくくなったり、固い物が食べにくくなったりします。老化は仕方のないことですが、まったく食べないとか食欲自体が減退してしまうことのは、体のどこかに痛みや不具合がある可能性が非常に高いです。

今回の食べムラ・食い渋りは首の痛み。食べる時に下を向くのが辛かったのだと思いました。

 

 

治療の選択

 

クリンの頸椎ヘルニアが確定したのは10月半ば。クリンはこの時18歳8ヶ月でした。

首を痛がることと同時に、クリンの歯の状態がかなり悪いこともわかりました。頬を触診してもらった時に大きな声を上げたんです。

ちょうど1年前の手術の時に歯の掃除と抜歯を1本してもらっていました。術後から口腔ケアができればよかったのですが、クリンは口を触られることをとても嫌がるため、まったくケアができていませんでした。少しでも歯の状態をキープするために歯のサプリは摂らせていましたが、若い頃よりも口を大きく開けることができなくなっているため、食べカスがたまりやすく、歯石がつきやすくなり、歯周病になったのだろうとの診断でした。

頸椎ヘルニアは治療が難しく、投薬治療は肝臓や腎臓に負担をかけてしまいます。特にクリンは肝臓の数値が高めで、何かあるとすぐに肝数値が上がってしまうため、痛み止めなどの対処療法はやめた方がいいといわれました。

できることは何でもしてあげたい。先生にそう伝えたところ、体のことを考えても再生医療の選択がベストだといわれました。

ただし、歯の状態が悪いこと、炎症数値が高いのは歯が原因と思われるため、今よりもっと状態が悪くなるかもしれないといわれました。

今のクリンの年齢で歯の治療はできるのか、麻酔に耐えられるのか。もしそれができそうなら、再生医療を受けた後に歯の治療もしてほしい。先生にそう伝えたところ、その時の体調と状態によるけれど、何とかできるようにしましょうといっていただきました。

 

 

ヘルニア治療3:2回目のステムセル投与

 

歯の炎症を抑える薬が効いて、何とか炎症数値が治まったので、10月23日に2回目のステムセルを投与しました。今回は頸椎と頭に4本、腰に2本、残りを静脈点滴したと記憶しています。

ステムセルは投与量によって費用がかわります。あまり少ないと効果が出にくい場合があるし、多すぎても意味がないとのことで、前回今回共に中量を選択しました。点滴は約1時間。点滴終了後、体調に問題がなければ終わりとなります。

帰宅してからはご飯をパクパク食べてくれました。その後の経過観察でも大きな問題はなし。治療後、多少の食い渋りはありましたが、自力で食べてくれることの方が多くなりました。

2回のステムセル投与で、初めての時はものすごく効果を実感したというより、調子がよさそうだなといった感じでしたが、今回は明らかにクリンの行動がかわりました。

それはこたつ布団。自分の頭でこたつ布団をまくり上げる行動をしだしたんです。これはステムセル投与前にはなかったことでした。我が家のこたつはサイズが大きく、布団もそれなりに重みがあるんですが、果敢にこたつ布団に挑戦するクリンの姿を見て、痛みが軽減したのだと実感でき、ものすごく嬉しかったです。

せっかくよくなったのに、調子に乗って布団をまくり上げていると頸椎ヘルニアが悪化してしまうかもしれないので、布団をまくりあげて行き来できるようにしました。このため我が家のこたつは、犬の寝床としての役割しか果たしてません(笑)

投与後の血液検査で炎症数値が上がりましたが、歯の影響であることはわかっていたので、体調が安定したら歯の処置をしましょうといわれました。再生医療は投与後約2ヶ月で効果を発揮するといわれていたので、抗生剤で炎症を抑え様子見ということになりました。

 

※歯の治療については、別記事で紹介させていただきます。

 

 

再生医療を受けての感想

2度目の再生医療を受けてから約2ヶ月経ちましたが、クリンは大きなトラブルなく元気に過ごしてくれています。

心臓の状態は改善しているといわれました。肝臓は相変わらず数値は高めですが、毎日のお散歩ではしっかり走ってくれています。腰の痛みも改善され、痛がる様子は見られませんし、首の痛みも今のところ治まっています。

 

クリンには感謝しかありません。わたしたち家族にたくさんの幸せを運んでくれ、そしてとても大切なことを教えてくれました。

わたしの唯一の願い。それは、元気に天寿を全うしてほしい。

いつもと変わらない毎日を過ごし、いつかその命が燃え尽きる時がくるまで、楽しく日々を過ごしてほしいと思っています。

今回、ステムセル治療を受けることができて、わたしは本当に救われました。

 


 

わたしたちの体は細胞でできています。細胞は年を重ねるごとに入れ替わるスピードが遅くなっていきます。下痢や嘔吐など、若い頃なら1日2日様子見できた症状も、シニアになるとあっという間に悪化し、弱ってしまうこともあります。

 

細胞がほとんど再生しない臓器(心臓・腎臓)は、根本治療するには今のところ臓器移植しか方法がありません。一度痛んでしまうと、投薬で進行を遅らせることはできても、治すことは不可能です。

 

ステムセル治療は、心臓や腎臓など、再生しない臓器の新しい治療法としてとても注目されているそうです。でも確実に病気が治る治療法ではなく、効果がほとんどない(効果があったとしても気づかないくらいの変化)ということもあるそうです。

 

10年先にはもっと医療が進歩し、再生医療は当たり前の治療法になっていると先生はおっしゃっていました。その頃には、治らない病気は少なくなっているかもしれません。まだまだ取扱も少なく、残念ながら気軽に受けることができないのが現状です。

 

いつの日か気軽にどこでも受けられる治療となり、大切な我が子の病で辛い思いをされている飼い主さんの救いとなる治療法になることを心より願います。

 

 

 

【ペット保険】保険って入った方がいいの?

ワンワンラボにご訪問いただいている愛犬家の皆様へ

 

随分とご無沙汰してしまい、大変申し訳ございません。

このサイトは2名で運営しておりますため、毎日更新が難しくなっております。

また我が家の愛犬の調子が悪く、そちらを優先させていただいていたため、長期に渡り手付かずの状況でした。

これからも不定期での更新となる可能性が高いですが、良いと思ったことや共有させていただきたい情報などは都度配信していきたいと考えております。

これからもどうぞよろしくお願いいたします。

 

―ワンワンラボ

 

 

愛犬情報

犬種:ミニチュアダックスフンド

病名・症状:胆泥症、子宮疾患、心臓疾患

発症年齢:14歳、15歳、16歳

発症の経緯:病院の検査で発覚

治療法:通院、入院、外科手術

 

 

今更ながら思う、保険の大切さ

 

我が家は3頭の愛犬がいますが、一番年長の子が16歳を迎えるまではさほど保険の必要性は感じていませんでした。

クリンを我が家に迎えたのは18年前。保険はありましたが、当時はペット保険が普及しておらず、知っていたのは1社だけでしたし、病院で保険取扱というのも一般的ではありませんでした。

その頃は「犬も老化する」ということなど全く考えておらず、いつまでも当たり前に元気に傍にいてくれると思い込んでいました。

クリンが1歳を迎える前くらいの頃、誤飲騒動で一度だけ救急病院にお世話になったことがありましたが、それ以来14歳になるまで、年1回のワクチンとフィラリア予防、狂犬病の注射くらいしか病院に行くことはありませんでした。

 

クリンが14歳の時に胆泥症が発覚してから定期的に病院にかかるようになり、15歳の後半で入院を経験してから、体のあちこちに不具合が出始め、結構医療費がかかるようになりました。

 

今では保険もいろんな種類のものがあります。保障も手厚いものから軽いものまで。掛け金も様々です。

ただ、いろんな種類の中から選べるのは大抵7歳まで。8歳になると途端に選べるものが少なくなってしまいます。

 

今回は、自分なりに保険について感じたことを書いてみたいと思います。

 

 

掛け捨て保険の元はとれる?

 

保険は、何かあった時のために掛けるもの。掛けるのは元気なうちで、慢性疾患などがあると保険適応外になったり、中には加入できないものもあります。

保険は人間とほとんど同じ運用です。人間の場合は自分の意志で加入できますが、犬の場合は飼い主の意思によります。

クリンが我が家に来た時は、年をとってしまうことなど全く考えもしませんでした。人間の約4倍ものスピードで年老いてしまうことも、人間と同じように老化することも、全く頭にありませんでした。

 

クリンが定期的に病院のお世話になりだしたのは14歳。胆泥症が見つかり、当時かかっていた病院で手術を勧められたことでサードオピニオンまで受けました。それでも3つの病院での検査費用の合計は10万円程度のものでした。

この時も、「保険に入っているよりも医療費は安いし、うちは保険は必要なかったなぁ」なんてのんきに考えていました。

 

15歳になり、子宮の不具合が出始め、食べムラや食い渋りに悩むようになりました。そのあたりから医療費がかさむようになり始めました。そして2015年10月に初めての入院。この時に初めてひと月で医療費が10万円を超えました。

16歳になり、心臓の不具合が出始め、薬の量が増えました。定期的に検査をするための費用もかかってきます。

17歳になり、些細なことでも病院に行くようになり、更に医療費がかかるようになりました。そして17歳8ヶ月を迎えた頃に転院し、手術を受けました。

17歳の1年間で、医療費は余裕で7桁を超えました。

そして18歳になった現在、下痢をしただけでも病院のお世話になるようになりました。

 

そうなんです。なんと17歳からのたった1年ちょっとで、保険料は十分元がとれる計算になりました。

今ではワンコもとても長生きになりました。15歳を超えるハイシニアもたくさんいます。愛犬が長生きしてくれるのはとても嬉しいことですが、その分費用はかかります。

 

自分の経験でいえること、それは「保険は絶対にかけておいた方がいい」ということでした。

 

 

気をつけよう!保険加入の年齢制限

 

我が家のクリンは18歳、そして次女ニコは今年16歳。もはや保険に入れる年齢ではありません。

15歳でも入れる保険はありますが、内容は決して充実しているとはいえません。

末っ子みのすけは現在8歳。8月で9歳になります。

クリンの経験を踏まえ、みのすけだけは保険に入れようと調べたところ、いいなと思う保険は年齢制限で引っかかってしまいました。保険加入の年齢は、ほとんどが7歳まででした。

 

もう少し気づくのが早ければ選ぶことができましたが、8歳になってしまった今、選べるものは数少なくなってしまいました。

保険にはいろんな種類があります。怪我や事故など突発的なものについては大抵の保険でカバーできますが、実際医療費のほとんどは「慢性疾患」にかかります。我が家でも医療費はほぼ慢性疾患に対しての出費です。

動物病院は自由診療のため、毎月のお薬代・検査費用などは病院によって様々です。うちでも過去にいくつかの病院を渡り歩きましたが、症状から病気を特定し、しっかりと治療してくれる病院はなかなかありません。

今かかっている病院は本当に素晴らしい病院です。しっかりと原因を特定してくれて、治療をしていただけます。ですが病気を特定するということはそれだけ検査も必要となり、医療費はどうしても高額になってしまいます。

クリンはこの病院に転院したからこそ今でも元気でいてくれていると思っていますが、毎月の医療費が家計を圧迫しているのは事実です。

 

 

使用限度や条件も注意しよう

 

実際に慢性疾患に罹患して初めて、保険の必要性を実感しました。この経験から、みのすけは9歳を迎える前に駆け込みで保険に加入しましたし、今後もし新しい子を迎える時には、必ず保険に入ろうと思っています。

我が家のクリンとニコでかかった医療費で考えてみると、毎年のワクチンやフィラリアなどの薬代は除いて、医療費の9割は慢性疾患によるものでした。薬代だけでも月に数万円かかりますし、定期的に検査が必要となります。また若い頃なら様子見していたような小さな変化でも、高齢になれば命取りになることもあります。ですから病院のお世話になる頻度はどんどん増えていきます。

うちの場合はクリンとニコがハイシニアに同時になってしまったため、医療費が二重でかかってしまいます。

こんなことなら保険に入っておけばよかった…と思っても後の祭り。今更ながら保険について調べてみて、いろんな種類があることを知りましたし、長生きしてくれることはとても嬉しいことですが、医療費も右肩上がりにふえていくことを実感しています。

 

保険を選ぶ時に気をつけてください!

・加入年齢に上限がある

・慢性疾患と認定されたら使用できない場合がある(※このタイプが多い)

・年齢とともに掛け金が高くなる(※驚くほど高くなるものもあります)

・保険適応外の病気が保険ごとに設定されている場合がある

 

もちろんどの保険も規約にしっかりと記載されていますが、細かい字で書いてあることと、結構難しい言い回しだったりするので、もし加入を考えておられるなら、電話で問い合わせしてみるのが一番手っ取り早いと思います。

ネットで検索すると、ペット保険の商品比較サイトなども多くあります。掛け金だけでなく、保険適応外の病名なども書いてあったりと、飼い主さんにわかりやすく説明してあるサイトもあるので、一度検索されることをおすすめします。

 

愛犬の病気は、飼い主にとってとても辛いものです。ただでさえ精神的に辛い状況の中、医療費という金銭的負担が大きくのしかかります。

愛犬には長生きしてほしいですし、もし病気が見つかったらしっかり治療してあげたいと思いますよね。若い頃はどれだけ元気であっても、それが一生続くわけではありません。「うちの子は元気だから大丈夫」、そんな保障は全くないのです。

 

もしまだ保険に入っておられないなら、一度保険加入について真剣に考えていただけたらと思います。

 

 

 

ライター:福井 惠子

 

 

【犬の十戒】老犬の飼い主がつくった「老犬の十戒」

わたしはアメブロを通じ、ライターの奥村さんと知り合いました。

奥村さん家には、我が家の愛犬クリンよりも1歳年上のMackくんがいました。Mackくんと奥村さんは、幾度も襲ってくる恐ろしい病魔と闘い、わたしがブログの読者になった時は、ちょうどMackくんが前庭疾患を患い、ほどなくして膵炎を発症し、奇跡的に復活した後に歩行困難になった頃だったと記憶しています。

 

膵炎で入院している時に座ることも立つこともできなくなり、無事退院した頃には完全寝たきりになってしまったMackくん。そんなMackくんに約1年間ずっと付き添い、昨年の10月に18歳4ヶ月で見送られました。

 

 

Mackくんとの絆

 

犬の十戒

 

奥村さんは、小学生の頃にMackくんを家族に迎え、弟としてMackくんを可愛がっていました。

一時家庭の事情により、Mackくんと離れて暮らしていたそうですが、結婚し妊娠中に里帰りをした時にMackくんを迎えにいき、それからずっと一緒に過ごしていたそうです。

Mackくんと共に過ごすようになり、ほどなくして奥村さんは母になりました。赤ちゃんだった娘さんはどんどん成長し、それまではMackくんが娘さんのことを見守っていたのが、立場は逆転していったそうです。

成長していく娘さんと、年老いていくMackくん。できることがどんどん増えていく娘さんと、少しずつ少しずつ体に変化が出てくるMackくん。Mackくんが小さなパピーの頃からずっと一緒に過ごしていた奥村さんは、とても切なかったそうです。

 

みんな平等に歳をとり、平等に老いていく。当たり前のことですが、奥村さんは、家庭の事情とはいえ、一時Mackくんと離れていた時期があったため、Mackくんの体に不具合が出ると、自分のせいかもしれない、と自分自身を責めたそうです。

 

 

不眠不休の介護生活

 

犬の十戒

 

少しずつ少しずつ、Mackくんの体を蝕む病。

前庭疾患を発症してからのMackくんは、それまで自由に動けたはずの体が不自由になり、とても辛そうだったそうです。そして、辛そうなMackくんを見ている奥村さんは、どうすることもできない自分を責めたそうです。

当時のブログには、何もできない自分を責め、不自由な体で排泄さえも自分でできなくなってしまったMackくんを受け入れることに必死な奥村さんの心の叫びが書かれていました。

認知症のような症状も出始め、夜鳴きをするようになってしまったため、ご近所に迷惑にならないよう、夜もほとんど不眠でドライブに連れ出したり、抱っこしてなだめてみたり…

小さな子供がいながら、夜は眠れない生活をずっと続けている中、それでもなんとかMackくんが気持ちよく快適に過ごせるようにと様々な工夫をされていました。

まだ20代の奥村さんが、子育てと介護を両立している姿に、こちらまで心が締め付けられるような思いでした。

 

 

愛犬と共に病と闘う飼い主の心の声

 

犬の十戒

 

寝不足で疲労困憊の中、それでも介護は休めません。ワンワンと鳴き続けるMackさんを前に、泣いてしまうこともあったそうです。そんな中、娘さんとの会話の中で、「犬の十戒」のことを、今のMackくんの気持ちになって考えたそうです。

 

その時にできたのが、「老犬の十戒」です。

 

犬の十戒は、作者不明です。今ではいろんなサイトなどで紹介されていて、たくさんの方がご存知だと思います。

奥村さんは、介護が必要になった愛犬を前に、自分自身が日頃感じている「介護する側の辛さ」ではなく、本当は今まで通り自分の足で歩きたいであろう、自分の力で排泄したいであろうMackくんの気持ちになり、そこで改めてMackくんの辛さを実感したそうです。

 

我が家にも老犬がいます。老犬は、今まで当たり前にできていたことが、気づいた時にはできなくなっていたりします。

正直、我が子同然の愛犬が年老いていく姿はとても辛いですし、現実逃避したくなることもあります。でも、介護は待ってくれません。だから、この「老犬の十戒」をブログに書かれていたのを読んだ時、心が締め付けられるようでした。

 

老犬の介護をしている飼い主さん、また愛犬の病気と共に闘っている飼い主さんに、ぜひ知っていただきたいと思い、紹介させていただきました。

 

辛いのは、介護しているわたしたちよりも、きっと介護されている愛犬の方なのかもしれません。

 

奥村來未さんのブログ記事:老犬の十戒

 

 

 

ライター:福井 惠子