1歳を迎えたら健康診断をしてみませんか?

 

愛犬の健康診断、してますかーー?

 

 

奥村家では、先代犬Mackの場合は10歳の頃から毎年受けておりました。

でも、健康診断って高いんでしょう……?
そんな不安が大きいでしょうか。

 

私がなぜ今回この題材で記事を書こうかと思ったのかというと、実はまだ1歳の愛犬Shakeに大変な持病が発覚したからなのです。
ですがまだ1歳と若く、元気なShakeには、病がすぐに猛威を振るうことはありません。

はじめこそ、病名を聞き困惑しましたが、今は1歳という年齢で発覚したことはとても幸運なことだったと思っています。
早く分かればそれだけ早く対策もしてあげられますからね。

 

 

一歳で健康診断なんていらないんじゃないの?

 

若いんだから、健康診断なんて要らないよ。
お金もかかるし、若いんだから病気なんてうちの子があるわけがないし。

なんて思ったりしませんか?
実は私自身が、先代犬Mackが若い頃病院にかかったことがなかったので、まだ若いShakeの内臓に持病があるなんて思いもしませんでした。

 

なんとShakeに持病が……

 

 

 

 

Shakeは生後三か月から膿皮症という皮膚疾患があり、定期的に病院に治療に通う必要があるのですが、そのため通院した際にかかりつけから「若干の心雑音が認められる」と診断されていたのでした。
その時にエコー検査をして、『大きな心配は無い』との事だったのであまり深く考えていなかったのですが……。

それから数か月、今年の厳しい夏のせいか、Shakeの膿皮症があちこちに猛威を振るい、帰省中に悪化してしまったため、地元の病院へ行くと、そこでも心雑音を指摘され、さらなる詳しい検査をした方がいいと強く勧められたので、帰省から帰ってすぐにかかりつけへ行き、ドッグドックをしてもらいました。

 

その結果、先天的に心臓の弁に奇形があることが判明したのでした。
そしてなんと更に、肝臓の大きさが通常の二分の一以下の大きさである、小肝症という症状があることが見つかりました。

その時に初めて知る症状と病名に、非常に困惑しましたが、1歳という若さでこのような大変な持病を発見できたということは、今からケアができるという事なので非常に幸運に感じました。

 

 

健康診断は何をするの?

 

 

まず、健康診断と言っても大きく二種類あります。
一つ目は血液検査。血液検査では肝臓・腎臓・膵臓・コレステロール・栄養状態・貧血の有無などを見ます。

そして二つ目はエコーや超音波検査など、かなり詳しく検査するドッグドック。
もし、通院時の触診や聴診で特に異常が認められなかった場合、血液検査のみの検査を進められるかと思います。

二つ目のドッグドックは、血液検査で異常が認められた場合や、触診や聴診で異常が認められた場合にこちらを受けることとなります。
どちらの検査についても前夜9時から絶食、お水も早朝までと指導されることが多いです。
ただし、ドッグドックの場合、お腹に食べ物が入った状態を見たい場合もあるので、朝ご飯を持参してくださいと言われる場合もあります。
ドッグドックに関しては、朝連れて行き、病院に半日預け、夕方のお迎えになります。

 

 

費用について

 

いくらかかるの?保険はきくの?
実際病院によって請求額は多少変動するのですが、MackとShakeの請求書を参考にお話して行こうと思います。

 

血液検査のみ

 

 

 

Mackの血液検査の請求です。
Mackの場合、検査当時18歳の高齢だったので検査項目も多く、1万円を超える請求がありましたが、もっと若い場合はもう少し安くなると思います。

また、春と秋には割引がされる医院も多く、年齢にもよりますが6,500円前後から受けられる場合もあります。

 

 

ドッグドックの場合

 

 

 

Shakeの場合、聴診で異常を認められた心臓を主に検査するメニューを組んだので請求が大きくなりました。
血液検査に関しては1項目600円、10項目なので6,000円との請求になっています。

この日Shakeは混合ワクチンも受けたので、ワクチンの代金8,000円を引いた額になります。
また、Shakeの場合は診断名が付いたので保険が適用され値引きされています。

 

保険未加入の場合は(ワクチンを引いた額)約34,000円が請求されるはずでしたが、適用になったので(ワクチンを引いた額)約25,000円の請求になりました。

 

 

共に長く歩いていくために

 

 

 

 

大切な大切な愛犬には長生きしてもらいたい!
その為には病気の有無を早めに知っておく必要があります。

もし検査をして、何も無かったら「よかったね」でいいのです。
1歳になって検査をして、その後も診察で何もなければ次は6歳~7歳頃の健康診断をお勧めします。

10歳になってからは毎年。15歳を超えてからは半年に一度の健康診断をお勧めします。
Mackは晩年、毎月のように身体を壊したので、結果毎月のように血液検査をして、毎月のようにエコーを受けていました。

愛犬と長く永く歩いていくために、飼い主さんがしっかりと内臓のことも把握してあげる必要があると思っています。

 

 

ライター:奥村 來未

 

 

避妊手術について考える ~老犬の子宮蓄膿症の治療について

愛犬情報

犬種:ミニチュアダックスフンド

病名・症状:子宮蓄膿症

発症年齢:15歳

発症の経緯:ヒートの症状 食欲不振 陰部の腫れ エコー検査で子宮内に液体が映った

治療法:ホルモン注射(内科治療)⇒手術

 

 

避妊手術を受けなかった理由

 

我が家は雌2頭とも、不具合が出るまで手術を受けていませんでした。

手術を受けなかった理由は、一番は体にメスを入れることに抵抗があったからです。卵巣はホルモンを作りだし分泌する役割のある臓器。女の子にとってホルモンはとても大切なのに、病気にならないようにという理由で若いうちに取ってしまうことに抵抗がありました。

結果次女ニコは12歳で乳腺腫瘍が見つかり、その時に子宮と卵巣も取りました。クリンは15歳で子宮水腫になり、17歳9ヶ月で手術をすることになりました。

2頭とも、子宮に不具合があったため、避妊手術の適応にはならず、費用は十数万円かかりました。

 

一方、雄1頭は、1歳を迎える前に去勢手術をしました。理由は、いくつかあります。ひとつは、女の子たちの避妊手術をしていなかったこと。そしてもうひとつは、女の子よりもリスクが低いと考えたからです。

 

今振り返ってみて、我が家の3頭の去勢避妊手術について後悔しているかと聞かれると、うちはこれでよかったと思っています。

もしこれから新しく愛犬を迎えるとした場合、その子が女の子なら、おそらく今の2頭と同じように不具合が出たら手術をすると思います。ただクリンのように、かなりの高齢になってからだとリスクは高くなってしまうので、不具合が出なかったとしたら、おそらく15歳くらいまでにするのではないかと思います。

もし男の子の場合、1頭だけ飼うならもしかしたら手術は先送りにするかもしれません。ただ男の子は権勢症候群など毎日の生活に支障を来たしてしまうようなこともあるので、性格によっては早いうちにしてしまうかもしれません。

 

避妊手術の場合、抜糸まで約2週間かかるのに対し、去勢手術の場合はエリザベスカラーさえつけませんでした。去勢手術の方が簡単でオペ時間も短いです。

男の子も女の子も手術するということに変わりはありませんが、できるだけリスクの少ない方を選択すると思います。

 

でもこれは、あくまでもわたし個人の意見で、どんな選択でも飼い主さんが愛犬のことを思い決断されたことは、一番の選択だと思います。早く手術することでのメリットもあればデメリットもありますし、不具合が出てからの手術もメリットデメリットがあります。

今回は、高齢で子宮の不具合が出てしまった場合、避妊手術をしなかった「デメリット」についてお話をさせていただきます。

 

 

ハイシニア犬の子宮水腫の治療について

 

我が家の長女クリンの子宮の不具合が見つかったのは15歳の時。12歳を超えてからは年に一度くらいのヒートが、半年に一度ペースになり、食欲不振がさらに悪化した時に、病院の検査で発覚しました。エコーで確認すると、子宮内に血液ではない液体がありましたが、血液検査の結果と、陰部から膿が出ていなかったため、この時は子宮の中に水がたまる「子宮水腫」という診断でした。

子宮蓄膿症は、重篤化すると死亡するリスクも非常に高い病気です。避妊手術をすれば蓄膿症に罹患することもなく、また発症しても取ってしまえばすぐに完治するのですが、クリンの年齢的にも手術はリスクが高いということで、内科治療をすることになりました。これが後から大事になってしまうことになるのですが、この時はこれが最良の選択だと思っていました。

 

クリンの場合、何かあるとすぐに食欲に影響します。子宮水腫を発症した時も、食べムラから発覚しました。

当時通っていた病院の先生は、大学病院で長く研究をされていて外科治療の経験も豊富とのことでした。親切で飼い主がわかるように説明してくださる先生で、その時は絶大な信頼を寄せていました。

高齢で麻酔のリスクが高いということで、積極的治療ではなく、内科的治療をしようということになり、「アリジン」という黄体ホルモンを後退させる注射で様子を見ようと提案してくださいました。アリジンは大きな副作用もなく、老犬でも安心な治療法であるということでしたので、その治療法を選択することにしました。

 

 

犬の子宮蓄膿症

 

【原因】

発情後の黄体期(免疫力が低下します)に細菌が子宮内に、進入し増殖しておこります。卵巣のホルモン分泌バランスが悪いとおきやすい。今まで、しばらく生理がなかったのにしばらくぶりできた後は要注意です。原因菌は大腸菌、ブドウ球菌、サルモネラなど様々です。

 

【症状】

はじめは無症状。病態が悪化するにつれ元気、食欲の減退、吐き気などが現れる。陰部より膿がでてくる場合もあるが、まったくでない場合もあり。出ない方がより深刻。多量の膿がたまった場合腹部が膨らむこともあり。
多くの症例で多飲多尿がみられる。子宮が破れて、腹腔に細菌が漏れ出た場合、腹膜炎をおこし、短時間で死亡します。

出典:アイリスペットどっとコム


 

アリジンは1回目の接種の24時間後に2回目を接種します。(3回の場合もあります)

費用は1回の接種で約1万円。2回だと2万円になります。

初めて注射してもらった時、食欲も徐々に戻り、目に見えて効果を感じることができました。その後もヒートのような症状が出たり、食欲不振に陥ったりすると病院で検査を受け、エコーで子宮内に水があったり腫れが見られたらアリジンを注射する、ということが約2年続き、年2~3回くらいのペースで注射をしていました。

 

 

その後の経過

 

初回~2回目くらいは目に見えて効果を感じたアリジンですが、徐々にあまり変化を感じなくなりました。クリンは15歳8ヶ月の時に膵炎の疑いで入院したのですが、炎症数値が下がっても食欲が戻りませんでした。その時も少し陰部が腫れていたのでアリジン注射をしてもらいましたが、まったく食欲は戻りませんでした。約2週間の入院で、入院中はほぼ強制給餌で過ごし、先生からは「このまま食欲が戻らないと死んでしまうかもしれない」と宣告されるほどひどい食べムラが続きました。

元気はあるものの食べないという日が続いたため、炎症数値が一旦落ち着いたタイミングで退院し、帰宅したらご飯を食べるようになりましたが、その後もヒートのような症状と陰部の腫れは続き、食欲不振との闘いは続きました。

 

食べムラは続いていましたが、何とか元気に16歳の誕生日を迎えることができました。

陰部が腫れることはたびたびありましたが、原因はわからずでした。病院では抗生剤を注射してもらったり、点滴を受けたり、アリジンを注射してもらっていましたが、症状や状態が大きく改善することはありませんでした。

クリンは胆泥症と、16歳の後半くらいから心臓に雑音が出始めたので、肝臓と心臓の薬はずっと飲んでいました。退院後は大きく体調を崩すこともなく、クリンは17歳になりました。

原因がはっきりしないまま続く食べムラ、状態は変わらないのにかかる医療費。クリンは元気そうではありましたし、年齢を考えた時に維持できていることはとてもありがたいことでしたが、「いつ急変するかわからない」という漠然とした不安はずっとぬぐえないままでした。

クリンが17歳を迎えた頃から、ずっとセカンドオピニオンについて考えていました。このままだとクリンは良くならないのではないか、とずっとどこかで思っていたんです。でもそれまでお世話になっているし、救ってもらったから、となかなか決断できずにいました。

 

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転院先での診断

 

このままではダメだと思い、セカンドオピニオンを受けることにしたのは昨年の10月。強い食べムラが出て病院でアリジンと抗生剤を打ってもらった直後でした。

セカンドオピニオンを受けた病院で、まず最初にいわれたことが、

「なぜ発症した15歳の時にすぐに切らなかったの?」でした。

子宮の病気は、高齢であればあるほど拗らせやすく、完治することはほとんどないそうです。そして、気づいた時にすぐに手術をしてしまうのが一番リスクが低いといわれました。

確かにその通り、と思いました。もし15歳ですぐに手術していれば、こんなに長引かせずに済んだかもしれない。こんなに苦しい思いをさせなくてすんだかもしれない。こんなに悩まずにすんだかもしれない。

 

手術のリスクは何歳であってもありますが、悪性腫瘍など、すぐに切らないと命に関わるような大きな病気の場合と違い、慢性化して投薬で何とか逃げられるような病気の場合は、どうしても先延ばしにしてしまうことが多いと思います。

わたしもそうでしたし、もし病院を変わっていなければ、今も手術をしていないと思います。

 

これは選ぶ病院にもかかわることだと思いますが、老犬にとって子宮蓄膿症はとても怖い病気です。

冒頭でもお話しましたが、病院によっては最初のヒートが来る前に手術を勧めるところもありますし、もう少し大きくなってから手術した方がいいという獣医さんもおられると聞きます。

それぞれの考え方があるので、どれがいいと断言することはできませんが、うちの場合はもしかしたら避妊手術をしていなかったから元気に過ごせたのかもしれない、と思っています。ただ、ある一定の年齢になったら、子宮の不具合は命に関わる病気になってしまう恐れもあるため、何か不具合がでたらすぐに手術をした方がいいと考えます。

 

 

術後から現在まで

 

手術は無事成功しました。シニア犬の場合、術後の経過も怖いといわれていましたが、手術が終わって帰宅してすぐに元気に歩き回る姿を見て、とても嬉しかったです。食欲はなかなか戻りませんでしたが、術後初めて食べ物を口にした時はうれし泣きでした。

クリンの場合は子宮だけでなく、歯にも不具合があったんですが、無事18歳の誕生日を迎えることができました。

最近は少しお腹の調子を崩したりしていますが、転院する前と比べると、不具合がなくなったんだろうなと思えるほど元気に過ごしています。

 

犬は痛みに強い、とよく聞きます。その痛みに強い犬が痛がるというのは、かなりの痛いがあるのだと思います。クリンは子宮にずっと痛みがあったようで、転院先で触診してもらって初めてわかりました。

避妊手術を受けるタイミングはそれぞれ。かかりつけの病院にもよると思います。

ただ、手術を受けていなくて10歳を超えたら、具体的に考えた方がいいと思います。あとになればなるほどリスクは高まりますし、ただの避妊手術だと数万円ですが、病気を発症してしまうと手術代は数十万円に跳ね上がります。

そして年齢が高いほど、術後のケアも長引き、医療費はかなりの金額になってしまいます。

 

もしまだ避妊手術をしていないシニア犬の飼い主さんがおられたら、14歳を超えたらたとえ不具合がなくても定期的に獣医さんに診てもらうことをおすすめします。子宮蓄膿症は早期発見できれば、怖い病気ではありません。でも、あっという間に重篤化することもある病気でもあります。特にハイシニアの場合は、抵抗力の低下によりあっという間に悪くなってしまうこともあります。

 

 

 

ライター:福井 惠子