【犬のセカンドピニオン】わたしが転院した理由(3)

愛犬情報

犬種:ミニチュアダックスフンド

病名・症状:胆泥症/子宮蓄膿症

発症年齢:14歳/15歳

発症の経緯:ヒート症状から食欲不振 陰部の腫れ

治療法:投薬治療(2年間)→17歳9ヶ月で手術

 

関連記事:

【セカンドオピニオン】わたしが転院した理由(1)

【セカンドオピニオン】わたしが転院した理由(2)

 

 

驚きの診断内容

【セカンドピニオン】わたしが転院した理由(3)

 

初めて訪れたその病院は、今まで行ったことのないような雰囲気でした。

待合とつながった診察室。間仕切りのない診察台がいくつも並び、複数人のドクターと忙しそうに走り回るたくさんのスタッフの方たち。その中で、ひときわ大きな声で指示を出されていたのが院長先生でした。

初診で見ていただいた先生に、抗生剤投与しても8ヶ月CRPが下がらないこと、心臓の薬を飲んでいること、胆泥症であること、子宮水腫の治療をしていること、胆管肝炎と診断されたこと、わたしは歯が悪いのではないかと思っていること、2年以上食べムラに悩んでいることなどをお伝えし、持参した前の病院の検査結果などをお渡ししました。

まずはきちんと診断した方がいいということで、CT(無麻酔)とレントゲン、血液検査・心電図・血圧・エコーでの検査をすることになりました。

血液採取してCTとレントゲンを撮った後、院長先生が来てくださり、先生から状態の説明をしていただいた後、ちょっと触らせてとクリンの体を触られました。

「この子、子宮に痛みがあるよ。だからご飯食べないんじゃない?」

なんと1分もかからず、食べムラの原因を究明してくださいました。そして検査の結果、子宮はすぐに取った方がいいといわれました。

心電図の結果、不整脈があることがわかりました。そして中度の水頭症であることもわかりました。胆泥症は軽度でこのまま投薬でいいとのこと、そして重度のヘルニアであることがわかりました。

前の病院に行った3日後だったのですが、その時に2週間効く抗生剤を注射してもらっていたため、CRPは高いけどクリンの負担になるから2週間経ってからでないと何もできないといわれました。

痛みがあること、アリジンでの治療が2年続いていることなどから、もしかしたら子宮が癒着しているかもしれないこと、エコーで診た限り少し腫れがあるようなので、これ以上アリジンでの治療は効果が期待できないかもしれないこと、歯の状態がかなり悪いため、炎症は歯の可能性もあること、きちんと治療したいなら手術しかないことなどの説明を受けました。年齢的にももう猶予はないため、決断するなら早い方がいいといわれました。

そして、ものすごく分厚い本を持ってきてくださいました。それは獣医さん用の薬の辞典のようなもので、今まで使っていた薬をひとつひとつ説明してくださいました。

 

 

炎症の原因と術前の準備

【セカンドピニオン】わたしが転院した理由(3)

 

抗生剤には種類があり、どういった炎症に効くか、どの臓器に負担がかかるのか、薬の種類により効果がない炎症があるため、どこで炎症が起こっているかを把握して薬を選ばないと、効果はないのに臓器に負担だけがかかる、ということを教えてもらいました。クリンが受けていた2週間タイプの抗生剤は、歯には効かないタイプの抗生剤とのことで、8ヶ月間も下がらないところをみると、炎症は歯で起こっている可能性が高い、といわれました。

それまで原因のわからなかった炎症の原因に見当がついたことと、食べムラの原因がわかったことで、わたしの決心は固まりました。この先生にクリンの命を預けよう、そう心に決めました。

手術を受けることを伝えると、まずは2週間の薬が切れるのを待つこと、不整脈があるため、寝ている時に不整脈が乱発していると麻酔のリスクが高まるため、24時間心電図で事前に調べておくこと、そしてもしもの時の場合の処置ができるかどうか、血液の流れをよくする薬を投与し、状態を確認しましょうといわれました。

 

心電図の結果、不整脈はあるものの、大きな問題はないということでした。血の検査も問題なし。あとは手術の日を待つばかりとなりました。

「15歳で子宮水腫がわかった時すぐに手術をしておけば、クリンはこんなにしんどい思いをしなかったのかもしれない。」

この時に、選ぶ病院でここまで差があるということを痛感しました。

前の病院も決して悪いところではありませんでした。わたしの友人も何人か紹介しましたが、転院して命を救われた子もいました。もしかしたら、14歳でセカンドオピニオンを受けた時に「手術を受けるのが怖い」という入口だったから、手術をしないという前提になってしまったのかもしれませんし、手術に自信があるからこそ、できるだけリスクを避けてギリギリまで待つという方針になったのかもしれません。

 

まもなく18歳を迎える高齢の子に積極的治療を提案するのはかなりリスクが高いと思います。でもその病院では、15歳16歳で手術する子はたくさんいて、高齢での手術がはそう珍しいことではないとのことでした。クリンの胆泥症がわかった14歳の時、子宮の異常がわかった15歳の時、もしこの病院を知っていたらきっと治療法は違ったと思うと、心の底から後悔しました。

クリンは、最初に病院を訪れてから約3週間後の11月3日に手術を受けることになりました。年齢的にも急変に備え、他に手術が入っていない日でドクター2人体勢で手術をしてくださるとのことでした。

この日から、手術前日までは祈るような気持ちで過ごしていましたが、一方で転院してから食欲も旺盛になり、元気に過ごしているクリンを見て、「きっと大丈夫」そう思えました。

 

 

手術を受けてからの変化

【セカンドピニオン】わたしが転院した理由(3)

 

手術当日、抱っこされて手術室に向かうクリンを祈るような気持ちで送り出し、待つこと1時間。

先生からは「心臓の様子によって、歯の治療はできないかもしれない」と言われていましたが、無事歯石を取り、1本抜歯をしていただくことができました。

摘出した子宮も見せてもらいました。1ヶ所腫れている部分がありそこに痛みがあったのではないかということ、癒着はしていなかったこと、歯の状態は思ったほど悪くなかったけど歯石はかなりひどい状態でおそらく痛みもあったであろうこと、そして年齢的にも術後の急変も考えられる状況であるため、今日は終日病院で様子をみましょうといわれました。

 

クリンは麻酔の影響でぐったりしていましたが、1時間後には自力で起き上がりました。

【セカンドピニオン】わたしが転院した理由(3)

 

長い1日が終わり帰宅すると、足元はおぼつかないながらよたよたと歩いてくれて、クリンの生命力にとても感動しました。傷口が癒着してしまうためできるだけ動くようにといわれてたので、翌日からお散歩再開。傷口が突っ張るのか本調子ではないものの、クリンは走ろうとするくらい元気でした。食欲はなかなか戻りませんでしたが、術後4日目でやっとご飯を完食してくれました。術後初めてご飯を食べた時、「あれ?」という顔をしたんですよね。大きな歯石がべったりついていて、それが歯茎に食い込んで痛みがあったようだといわれていたので、きっといつもの痛みや引っかかりがないことに気付いたのだと思いました。歯石も食べムラの原因であったのだと思いました。

 

病院を変わってから、クリンに良い変化がありました。まずは食べムラ。それまでよりも明らかに食欲が戻りました。特に通院から帰宅した後はなぜか食欲が増していて、帰るなりガツガツと食べてくれることもありました。もしかしたら今の病院で痛みがあることを最初にわかってもらえて安心したのかもしれない。そう思いました。

実はクリンが下痢をしたので昨日も病院に行ったんですが、少し食べムラがあると伝えたところ、体を触ってすぐに❝ヘルニアの痛みが原因だと思うから、ヘルニアの注射と鍼治療をして痛みを取ったら食欲は戻ると思いますよ❞といわれ、治療を受けたところ、昨夜はしっかり食欲が戻りました。

 

犬は話ができませんので、飼い主は愛犬のしぐさや表情から推測するしかありません。前の病院はクリンにとって良い思い出がないのかもしれませんが、同じようなに嫌なことをされても痛い思いをしても、それでも震えたり嫌がったりすることはなくなりました。クリンはわたしに自分なりに伝えていてくれていたのだと思うと、本当に申し訳ない気持ちでいっぱいになりました。

 

 

飼い主だからこそできること

【セカンドピニオン】わたしが転院した理由(3)

 

手術を受け、クリンは今まで以上に元気になりました。今でも食べムラは多少ありますが、以前と比べるとかなりご飯を食べるまでの時間は短くなりました。体の悪いところをしっかりとわかってくださっていて、飼い主のわたしにもわかるように伝えてくださるので、本当に安心してお任せすることができます。

 

今の病院に移り、薬によって負担がかかる臓器が違うことや、症状に合わない薬を投与しても効果は全くないということを知りました。誤診で間違った治療を続けていても、症状は全く改善されず、ただ体に負担がかかるだけということも痛感しました。

そして、高齢であっても積極的治療ができるということを知りました。

 

わたしの友人は、愛犬の不具合である病院を訪れ、きちんと検査を受けないままに手術を受けました。そして開腹して何もできないまま閉じたそうです。手術を受ける前にはCTを撮るなど、病変をもっと詳しくみてからというのが一般的ですが、その病院ではエコーだけで手術に踏み切ったそうです。そして「うちでできることはない」と退院させられたそうです。

その病院はとても綺麗で、結構流行っているとのことでした。

 

今回の件で、わたしは知人からの口コミにとても救われました。もし情報がなければ、きっと病院を変わることはなかったと思いますし、今クリンと一緒に過ごせていなかったかもしれません。

 

ネットは情報が溢れています。口コミサイトもありますがほとんどは匿名で、中には自作自演のものもあると聞きます。リアルな情報かどうかも正直わかりません。そしてどの情報をチョイスするのかにより、結果は大きく変わってしまいますが、もちろんそれは自己責任。ネットは手軽ではありますが、発信されている情報がすべて正しいとはいえないんですよね。

だからこそ、愛犬家同士のリアルなつながりは大切だと考えています。

 

もし今、セカンドオピニオンを考えておられる飼い主さんがおられたら。

近所のドッグランに行って他の飼い主さんと動物病院の情報を交換したり、周りに犬を飼っている方がいない場合は、ネットで愛犬ブログをやっておられる飼い主さんを探し、コンタクトを取ってみるといいかもしれません。闘病を経験している飼い主さんは、情報の宝庫です。いろんなことを試されたり工夫されているので、お話を伺うだけでも参考になります。

なにより、愛犬家の皆さんはとても優しくて、とても親身になってくださいます。

 

どうかお一人で悩まないでください。必ず手を差し伸べてくれる優しい飼い主さんがおられますから。

 

 

ライター:福井 惠子

Follow me!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください