ペットロスは治さなくてもいい

 

愛犬を亡くし、深い深いペットロスの穴の底へ落ちてしまったあなたに、まわりの人がかける言葉。
相手に悪意はないとわかっていても、その一つ一つが深く刺さってしまいますよね。

私もそうでした。いっそ、何にも言葉をかけてくれないほうがいい!と思うほど、相手の言葉がさらに深い穴へおとします。

そんなあなたへ、私から処方箋を。
私と同じように、大切な愛犬を亡くした方にこそ、読んでいただきたいです。

 

 

私が愛犬Mackを亡くした時

 

 

小学校6年の時から姉弟のように育った愛犬Mack。
結婚してから私と共に夫に嫁入りし、今度は娘の成長を見守りながら老いていきました。
亡くなるまでの約一年間、介護生活を送った結果に老衰で私に抱かれて旅立ちました。

心の支えだったMackが、生活の中に大きく食い込んでいたMackの存在が、突然消えてなくなってしまい、私は眠ることも食べることも約1週間出来なくなってしまいました。

落ち込む私に周りがかけた言葉は、「元気出して」が一番多かったと思います。
おそらく相手の方たちは一生懸命考え、励まそうとやっと出した一言が「元気出して」だったのだと思います。
全く悪意のない、私の事を思っての言葉です。
ですが、その時の私には「元気出して」も辛かったのです。
その時の私の気持ちは『Mackが居ないのに元気なんか出せるわけないじゃん!』でした。

 

また、困った言葉が「大往生だったね」です。
Mackは18歳5か月前まで生きてくれました。大往生です。
それはわかっているのですが、私の気持ちとしては『それでももう少し一緒に居たかった』です。
同じ「大往生だったね」でも、後ろに「でももう少し生きてほしかったね」と言ってもらえたら嬉しかったのかもしれませんね。

 

 

 

ペットロスは「いいこと」

 

私の母も、夫の母も、「いつまでも落ち込んでいてはダメ。飼った時に死別があるのは当たり前と解ってたでしょう。それに娘もいるんだから。」と言います。
彼女たちの言うこともわかります。
だけどペットロスでいることはそんなにもいけないことなのでしょうか?

私は一生ペットロスでいたっていいと思います。
だって、ペットロスの深さの分だけ、あの子を大切に思い愛していたということじゃないですか?
これを書いている今現在、Mackを亡くして8か月が経ちましたが、今もペットロスですし、これを泣きながら書いています。

だけど悲しくなるたび思うのです。
「私はMackのことこんなにも愛してるんだ。」って。

 

ペットロスは付き合うもの

 

 

そんなペットロスは、無くす・治すものではなく、うまく付き合っていくものだと思います。
私は今、このMackを想い寂しくなる気持ちを大切にしています。
他人にはたまに「まだペットロスなの?」と言われます。
でも、他人は他人。わからない人にわかってもらおうとなんて思っていません。

私はこの気持ちとずっと付き合いながら、死ぬまでMackへの気持ちを忘れずにいるつもりです。

 

 

うまく付き合うにはどうしたらいいか

 

では、どうしたらペットロスとうまく付き合えるかですが。
まずはTwitter・インスタグラム・ブログ・Facebookなどのアカウントを持っていたら、そこに愛犬の写真を載せたり、思い出を綴ってみてください。
同じ境遇の人と繋がれたら尚いいと思います。

また普段の生活のなかでも、家族や親密な友人と愛犬の話をしてください。
私はほぼ毎日夫と、「Mackのこんなところ、面白いよね!可愛いよね!」と話しています。
Mackの話をした後はMackに会いたい気持ちになり寂しくなります。
ですがその気持ちが来ると、「Mackの事をこんなに愛している」と感じます。

 

ですからペットロスを抱えている人が近くに居るという人は、なるべく話を沢山聞いてあげてください。
「共有・共感」してくれることが、ペットロスの大きな支えになります。

 

最後に、ペットロスのあなたへ

 

「ペットロスを早く治さないと」と仰っている方に出会ったことがあります。
だけど、治さなくていいんです。ペットロスの深さはあの子への愛の深さ。
うまく付き合っていってくださいね。

ペットロスでいるあなたは、とっても愛情深い人です。
同じように、ペットロスの海に浮かぶあなたへ。

 

 

ライター:奥村 來未

 

 

【ペット保険】保険って入った方がいいの?

ワンワンラボにご訪問いただいている愛犬家の皆様へ

 

随分とご無沙汰してしまい、大変申し訳ございません。

このサイトは2名で運営しておりますため、毎日更新が難しくなっております。

また我が家の愛犬の調子が悪く、そちらを優先させていただいていたため、長期に渡り手付かずの状況でした。

これからも不定期での更新となる可能性が高いですが、良いと思ったことや共有させていただきたい情報などは都度配信していきたいと考えております。

これからもどうぞよろしくお願いいたします。

 

―ワンワンラボ

 

 

愛犬情報

犬種:ミニチュアダックスフンド

病名・症状:胆泥症、子宮疾患、心臓疾患

発症年齢:14歳、15歳、16歳

発症の経緯:病院の検査で発覚

治療法:通院、入院、外科手術

 

 

今更ながら思う、保険の大切さ

 

我が家は3頭の愛犬がいますが、一番年長の子が16歳を迎えるまではさほど保険の必要性は感じていませんでした。

クリンを我が家に迎えたのは18年前。保険はありましたが、当時はペット保険が普及しておらず、知っていたのは1社だけでしたし、病院で保険取扱というのも一般的ではありませんでした。

その頃は「犬も老化する」ということなど全く考えておらず、いつまでも当たり前に元気に傍にいてくれると思い込んでいました。

クリンが1歳を迎える前くらいの頃、誤飲騒動で一度だけ救急病院にお世話になったことがありましたが、それ以来14歳になるまで、年1回のワクチンとフィラリア予防、狂犬病の注射くらいしか病院に行くことはありませんでした。

 

クリンが14歳の時に胆泥症が発覚してから定期的に病院にかかるようになり、15歳の後半で入院を経験してから、体のあちこちに不具合が出始め、結構医療費がかかるようになりました。

 

今では保険もいろんな種類のものがあります。保障も手厚いものから軽いものまで。掛け金も様々です。

ただ、いろんな種類の中から選べるのは大抵7歳まで。8歳になると途端に選べるものが少なくなってしまいます。

 

今回は、自分なりに保険について感じたことを書いてみたいと思います。

 

 

掛け捨て保険の元はとれる?

 

保険は、何かあった時のために掛けるもの。掛けるのは元気なうちで、慢性疾患などがあると保険適応外になったり、中には加入できないものもあります。

保険は人間とほとんど同じ運用です。人間の場合は自分の意志で加入できますが、犬の場合は飼い主の意思によります。

クリンが我が家に来た時は、年をとってしまうことなど全く考えもしませんでした。人間の約4倍ものスピードで年老いてしまうことも、人間と同じように老化することも、全く頭にありませんでした。

 

クリンが定期的に病院のお世話になりだしたのは14歳。胆泥症が見つかり、当時かかっていた病院で手術を勧められたことでサードオピニオンまで受けました。それでも3つの病院での検査費用の合計は10万円程度のものでした。

この時も、「保険に入っているよりも医療費は安いし、うちは保険は必要なかったなぁ」なんてのんきに考えていました。

 

15歳になり、子宮の不具合が出始め、食べムラや食い渋りに悩むようになりました。そのあたりから医療費がかさむようになり始めました。そして2015年10月に初めての入院。この時に初めてひと月で医療費が10万円を超えました。

16歳になり、心臓の不具合が出始め、薬の量が増えました。定期的に検査をするための費用もかかってきます。

17歳になり、些細なことでも病院に行くようになり、更に医療費がかかるようになりました。そして17歳8ヶ月を迎えた頃に転院し、手術を受けました。

17歳の1年間で、医療費は余裕で7桁を超えました。

そして18歳になった現在、下痢をしただけでも病院のお世話になるようになりました。

 

そうなんです。なんと17歳からのたった1年ちょっとで、保険料は十分元がとれる計算になりました。

今ではワンコもとても長生きになりました。15歳を超えるハイシニアもたくさんいます。愛犬が長生きしてくれるのはとても嬉しいことですが、その分費用はかかります。

 

自分の経験でいえること、それは「保険は絶対にかけておいた方がいい」ということでした。

 

 

気をつけよう!保険加入の年齢制限

 

我が家のクリンは18歳、そして次女ニコは今年16歳。もはや保険に入れる年齢ではありません。

15歳でも入れる保険はありますが、内容は決して充実しているとはいえません。

末っ子みのすけは現在8歳。8月で9歳になります。

クリンの経験を踏まえ、みのすけだけは保険に入れようと調べたところ、いいなと思う保険は年齢制限で引っかかってしまいました。保険加入の年齢は、ほとんどが7歳まででした。

 

もう少し気づくのが早ければ選ぶことができましたが、8歳になってしまった今、選べるものは数少なくなってしまいました。

保険にはいろんな種類があります。怪我や事故など突発的なものについては大抵の保険でカバーできますが、実際医療費のほとんどは「慢性疾患」にかかります。我が家でも医療費はほぼ慢性疾患に対しての出費です。

動物病院は自由診療のため、毎月のお薬代・検査費用などは病院によって様々です。うちでも過去にいくつかの病院を渡り歩きましたが、症状から病気を特定し、しっかりと治療してくれる病院はなかなかありません。

今かかっている病院は本当に素晴らしい病院です。しっかりと原因を特定してくれて、治療をしていただけます。ですが病気を特定するということはそれだけ検査も必要となり、医療費はどうしても高額になってしまいます。

クリンはこの病院に転院したからこそ今でも元気でいてくれていると思っていますが、毎月の医療費が家計を圧迫しているのは事実です。

 

 

使用限度や条件も注意しよう

 

実際に慢性疾患に罹患して初めて、保険の必要性を実感しました。この経験から、みのすけは9歳を迎える前に駆け込みで保険に加入しましたし、今後もし新しい子を迎える時には、必ず保険に入ろうと思っています。

我が家のクリンとニコでかかった医療費で考えてみると、毎年のワクチンやフィラリアなどの薬代は除いて、医療費の9割は慢性疾患によるものでした。薬代だけでも月に数万円かかりますし、定期的に検査が必要となります。また若い頃なら様子見していたような小さな変化でも、高齢になれば命取りになることもあります。ですから病院のお世話になる頻度はどんどん増えていきます。

うちの場合はクリンとニコがハイシニアに同時になってしまったため、医療費が二重でかかってしまいます。

こんなことなら保険に入っておけばよかった…と思っても後の祭り。今更ながら保険について調べてみて、いろんな種類があることを知りましたし、長生きしてくれることはとても嬉しいことですが、医療費も右肩上がりにふえていくことを実感しています。

 

保険を選ぶ時に気をつけてください!

・加入年齢に上限がある

・慢性疾患と認定されたら使用できない場合がある(※このタイプが多い)

・年齢とともに掛け金が高くなる(※驚くほど高くなるものもあります)

・保険適応外の病気が保険ごとに設定されている場合がある

 

もちろんどの保険も規約にしっかりと記載されていますが、細かい字で書いてあることと、結構難しい言い回しだったりするので、もし加入を考えておられるなら、電話で問い合わせしてみるのが一番手っ取り早いと思います。

ネットで検索すると、ペット保険の商品比較サイトなども多くあります。掛け金だけでなく、保険適応外の病名なども書いてあったりと、飼い主さんにわかりやすく説明してあるサイトもあるので、一度検索されることをおすすめします。

 

愛犬の病気は、飼い主にとってとても辛いものです。ただでさえ精神的に辛い状況の中、医療費という金銭的負担が大きくのしかかります。

愛犬には長生きしてほしいですし、もし病気が見つかったらしっかり治療してあげたいと思いますよね。若い頃はどれだけ元気であっても、それが一生続くわけではありません。「うちの子は元気だから大丈夫」、そんな保障は全くないのです。

 

もしまだ保険に入っておられないなら、一度保険加入について真剣に考えていただけたらと思います。

 

 

 

ライター:福井 惠子

 

 

【介護】男の子の圧迫排尿

寝たきり・半身不随になると自力で排尿が出来なくなります。
そんな時に必要になる「圧迫排尿」。
圧迫排尿とは、”膀胱を圧迫し、排尿を強制的にさせること”を言います。

愛犬Mackも歩行できなくなると自分でおしっこを出すことが出来なくなり、圧迫排尿を必要としました。

 

 

とっても大事な排尿

 

 

それまでは当たり前に自分でしていた排尿も、老いや病で自分でコントロールが出来なくなる場合があります。
おしっこを出さずに体の中に溜めておくと、尿の中に細菌が増え、膀胱炎を引き起こします。
膀胱炎は一度なると何度も繰り返しやすいので、飼い主さんが排尿をコントロールしてあげるのはとっても大切な事なのです。

一日に少なくとも一度は排尿をさせなくてはいけません。

 

 

圧迫排尿の方法

 

あくまで私がやりやすかった方法ですが、まずは横に寝かせてあげてください。
飼い主さんが右利きであれば顔を左側に、左利きであれば顔を右側にしてあげてください。

おちんちんの上あたりのお腹を軽く押してみると、茹でたまごのような感触のものがあるのがわかります。
それが膀胱なのですが、触ってみてわからないようでしたら、おしっこがいっぱい溜まっていそうなときに触ってみてください。

膀胱を見つけたら、少しづつ手のひらを押し付けていきます。
むやみに力を加えると、ワンちゃんは痛がりますし、膀胱が破裂する恐れがあります。

 

初めの頃はうまくいかないことが多いと思いますが、毎日の事なのですぐに上達します。

 

 

回数と注意点

 

 

健康な時の愛犬は、一日に何度排尿をしていましたか?
その回数を参考に、おおよそのタイミングや時間を決めましょう。

Mackの場合の排尿スケジュール
一回目:朝起床後(うまく眠れないこともあり時間はまちまち)
二回目:お昼前後
三回目:夕食後(食べた直後はお腹を押すと痛がることがあるので避けます)
四回目:就寝前(こちらも時間はまちまち)

お水を沢山飲んだ時や、水分の多いものを食べた時はだいたい飲食の1~2時間後におしっこが溜まるようなので、お腹を触ってみて、おしっこが溜まっていそうなら排尿させます。

 

注意!

 

上でも書いたように、力を込めすぎると膀胱が破裂する恐れがあります。
初めて自分で圧迫排尿をさせる場合は膀胱の位置が探りやすく、また少ない力で排尿ができるため、おしっこがたくさん溜まっている時をオススメします。

必ず初めて自分で圧迫排尿をさせてみる前に、かかりつけの獣医さんから圧迫排尿の指導を受けましょう。

 

 

実際に見てみましょう

 

以下は昨年5月にMackの圧迫排尿の様子を撮ったものです。
撮りながら排尿させたので少々見にくいですが、圧迫するとおしっこが勢いよく飛び出る様子がお分かりいただけると思います。

 

 

 

力はほとんど入れていません。
膀胱を的確に捉え、圧を加えることでおしっこがスムーズに出てきます。

愛犬の健康を維持するためにも、「圧迫排尿」頑張ってみましょう。

 

 

ライター:奥村 來未

 

 

愛犬との出会い~私がお姉ちゃんになった日~

 

スタートは”犬嫌い”。

 

 

私は幼児時代、動物に対して好奇心旺盛な子供だったようで、ホームビデオにはモルモットに物怖じせず掴んで自分の所へ何度も引き寄せる様子や、ヨチヨチ歩きながらハトを追いかける様子が残っています。
そのせいでしょうか、三歳頃にお邪魔したお宅で飼われていた大きなラブラドールを触ろうとして指を噛まれてしまい、私はそれから「犬は怖いから嫌い」と思うようになりました。

しかし、母の友人でシーズーを10匹近く飼っているMという人がいたのですが、Mさんの所へ遊びに行くとシーズーが一気に駆け寄ってきて、ソファに座れば膝に上ってくる。
どの子もとても人懐こくいい子達ばかりで、初めの頃は怖かったけど、徐々に犬というものに慣れることができたのです。

でもやはり知らない犬は怖く、自分から近寄ることは絶対にしませんでした。

 

 

転機

 

 

私が小学校5年生の頃、近所のコンビニに家族で立ち寄った時に、今では安全面からほとんど見ることはありませんが、ロングのダックスフンドがガードレールに繋がれお留守番をさせられていました。
今では「飼い主さんに確認せず勝手にダメだよ~」と思うのですが、両親がそのダックスフンドの前にしゃがみ、撫で始めたのです。
私は少し離れて見ていましたが、両親が「噛まないから撫でてごらん」と何度も言ってくるので、Mさんの所の子たちも噛まないしと、その子に近づきしゃがみました。

その子は私が手を出すと、耳が見えなくなるほど倒し、尻尾をお尻ごと振り、そしてお腹まで見せたのです。
私が撫でると、嬉しそうに目を細めながら可愛い声を上げます。
私はその時に初めて心の奥底から犬を可愛いと感じました。

 

コンビニから自宅までの帰り道、両親に「ダックスフンドなら私、好きになれるかもしれない。飼ってみたい。」と話していました。

両親はそれまで私がそんな事を言ったことが無かったのでビックリしたのか、家に着くまでの間はずっと「どんなところが可愛かった?」「触ってみてどうだった?」と色々なことを私に質問してきました。

私はその日の夜、眠りにつくまでコンビニ前にいたダックスのことを考えていました。

 

 

 

気に入った子は「先約有」

 

 

 

小学六年生のある日、私は突然母に「Mさんのご近所にダックスが生まれたから見に行こう」と言われました。
突然のことに驚いたものの、「子犬が抱っこできる!」とウキウキで向かいました。

 

お宅にお邪魔すると、スムース・ブラックタンのお父さんと、ロング・レッドのお母さんが出迎えてくれました。

ーーそれと、レッドの男の子が1匹とブラックタンの女の子が二匹。
ブラックタンの女の子同士は、揉みくちゃになって遊んでいます。
一方、レッドの男の子はずっとお母さんを呼んでいて、お母さんが来るとすぐにくっついて離れずに甘えていました。

母はすぐにレッドの男の子が気になったようで抱っこさせて貰っていましたが、母曰く、その時に上目遣いで母を見上げるその子に一目惚れしてしまったんだそうです。
ところがその子は、他に貰い手が決まっているとのことで、少し話をしてそのお宅を後にしました。

 

ところが……!!!

 

それは今でも忘れない、夏の暑い日でした。
夏休みも終盤に差し掛かり、遊びに行く気も起きず家で冷房を満喫し、私は一人でダラダラしていました。
その時、「ちょっと出かけてくるね」と言って出かけていた両親の車が止まる音がしました。
私は玄関の方を向いて両親が入ってくるのを待っていました。

 

ドアが開き、そこには両親と……犬?……犬だ!!
ーーそれはあの時母が抱いた、レッドの男の子でした。
私はその時両親と、その腕の中に居る小さな子をリビングから見た光景を、今でも鮮明に覚えています。

私はリビングから玄関までの廊下を走って行きました。
口から出る言葉は、「なんで?!」「どうして?!」ばかり。
両親は私の反応が想像通りだったのでしょう、ご満悦の様子でした。

どうやら先約がキャンセルになり、我が家に来ることになったその子は、家族会議の結果、名前を決める時にテーブルにマクドナルドの袋が置いてあったのがキッカケになり、「マック」と名付けられました。

 

 

 

それからの暮らし

 

 

 

Mackが来てから両親は末っ子だった私を「お姉ちゃん」と呼ぶようになりました。
するとなんだか嬉しくて、”弟”であるMackの世話は”お姉ちゃん”である私が率先してやっていました。

夜眠るのも、初めて来た日から私と一緒。ご飯も私、ワクチンが終わってからの初散歩も、私と二人でした。
公園に友達と遊びに行く時も、通っていた塾にも、自転車のカゴにMackを乗せて連れて行ったり、先生や友達に自慢して歩きました。

両親に怒られたとき、学校でいじめられた時、私はMackに当たってしまうこともあったのに、Mackはいつも私のそばに居てくれました。

 

それでも中学・高校になると、一緒に寝るのは毎日していても、部活で夜ご飯をあげられなかったり、隣町まで友達と遊びに行ったりすることが増え、Mackとの時間は減っていきました。
高校を卒業する前に、家庭の事情で私は兄と二人、Mackを両親の元へ残して家を出てしまい、それから両親は離婚……私はMackと約二年間離れて暮らしました。

Mackと離れている間に夫と入籍し、妊娠。出産のために里帰りをした際に、当時父がMackの面倒を見ていたので、父宅へ会いに行くことにしました。
父は不在だったので持っていた合鍵で中に入ると、Mackはネグレクトされ、二年前とは全く違う姿に。

私はそのまま父には何も告げずにMackを連れて帰り、私の名前で登録しなおしてMackと再び暮らし始めました。

 

連れ帰ってから

 

私と暮らし始めてからMackは娘の誕生と成長・東日本大震災・数々の疾病を経験し、18歳と5か月になる前に亡くなりました。
離れていた二年間、人間の都合で振り回してしまい申し訳ない気持ちでいっぱいでしたが、最期は私の腕の中で老衰で亡くなり、私はMackのことを幸せな気持ちで旅立たせることができたと思っています。

 

最近、Mackはもうそろそろ生まれ変わる!そろそろまた帰ってくる!と感じています。
今度はずっと離れません。当時と違い私はもう大人です。全ての責任を自分で負うことができます。

今度は姉ちゃんはMackのママ。そしてMackの次の姉ちゃんは私の娘。
私とMackが歩いたような道を、娘とMackが歩いていくかと思うと、なんだか不思議な気持ちですが、楽しみでなりません。

 

 

ライター:奥村 來未

 

 

【老犬介護】強い味方はベビー用品?!

 

介護用品は少ない上に・・・

 

17歳になってから、本格的に介護が必要になっていた愛犬Mack。
日々お世話に追われつつ感じていたのは「介護用品って少ないし、高いし……ダサい!」でした。
最愛の愛犬だとしても、辛いことも多い老犬介護。
高くてダサい介護用品は、見ているだけで暗い気持ちになってしまうような気になりました。

どうして介護用品じゃなければいろんなものがあるのに、こんなに種類が無いの?!
いつも、そう感じていました。

 

キッカケは大好きなフリーマーケット

 

私はフリーマーケットが大好きで、暖かい時期は毎週のように開催されるフリーマーケットに、Mackとの散歩もかねてよく連れて行っていました。
フリーマーケットの中で一番私が大好きなのが、「つめ放題」(笑)
出店者が決めた大きさの袋を100円~500円で買い、好きなだけ服や小物をつめ込むというものなのですが、その時は新生児~140cmサイズまでの子供服のつめ放題をやっていて、娘の学校用に汚されてもいい服をつめようと、興奮気味に参加することにしたのです。

ある程度娘のものを詰めおわると、少しまだスペースがある様子だったのですが、もう娘のものでほしいものが無かったので、なんとなく他のサイズも見ていました。

そこで、ふと見つけたのが赤ちゃん用のロンパース。
「娘もこんなに小さかったんだな。今のMackくらいの大きさかな?」と私の後ろのバギーの中でウトウトしていたMackに合せてみたのです。

 

閃いちゃった!

 

「これ、Mack着れるんじゃない?!」
そう思った瞬間、色々な種類のロンパースをつめ込んでいました。
小さなロンパースは、その時10枚ほどつめ込んで帰ってくることが出来ました。

家に帰ってすぐに洗濯。薄い素材の上に初夏だったのですぐに乾き、着せてみると少し横幅が大きいようなのでミシンを引っ張り出して横を少し縫って横幅を狭めてみました。

すると、何と思った以上にピッタリだったのです。

 

 

 

どんなロンパースがいいの?

 

 

一口にロンパースと言っても、実はロンパースには色々な種類があるのです。
画像のものは購入当時の夏のものです。冬のロンパースだと、長袖長裾だったり、長袖半裾だったりします。

私が色々な種類のロンパースをMackに着せてお世話してみた結果、使いやすかったロンパースの種類は画像の一番左にある”前開きのロンパース”でした。

 

 

寝たきりのMackでしたので、寝ながら着せる必要があるのですが、広げたロンパースの上に寝かせて、手を通して背中を閉じるだけのこのタイプのロンパースは非常に使い勝手がよかったです。
食事や排泄で汚れてしまいやすい老犬介護ですが、ロンパースは新品で買ってもとても安く種類も豊富で、オムツ交換の時には下半身だけを開きやすく、おまけに抱っこしていてもオムツがズレにくいなど、いいことばかりだったのです。

それに、画像をみてお気づきかもしれませんが、尻尾もちゃんと出ます!

 

どうやって着せるの?

 

基本的に、子供服等の人間の服をリメイクして犬に着せる場合、前後逆にして着せることが多いのですが、ロンパースも前後逆に着せます。
股の部分のスナップボタンの数は2~4個のことが多いのですが、尻尾の太さに合わせてボタンの数を選んだり、留める数を変えたりしてください。

 

 

もしも買ってきて大きかった場合、縦に大きかったときは肩の部分を。横に大きかったときは横幅を縫って詰めるといいですよ。

子供服のサイズは、女児50cm→男児50cm→女児60cm→男児60cmという感じで大きくなっていきます。
直すときに何度か失敗したりすることもありますし、私のようにフリーマーケットで合うサイズや直し方がわかってからお店で可愛いロンパースを探すのもアリですよ!

 

 

他にも使える赤ちゃん用品

 

 

ここまでさんざんロンパースについて書いてきましたが、お尻ふきは勿論、他にも使える赤ちゃん用品は沢山あります。

・スタイ
→目ヤニやよだれ、食べこぼしをふく

・服
→ロンパース同様直して着せる(私は甚平や、上の画像のように腹巻付きの寝間着の下を直してかぼちゃパンツにしたりしました)

・おねしょシーツ・カバー
→嘔吐や下痢があっても周りが汚れません。

・ガーゼハンカチ
→赤ちゃん同様、色々なシーンで使います!

・ベビーバス
→老犬に限らず、入浴であるといいとおもいます。

・腹巻
→老犬はお腹が冷えやすいので必要。

横抱き紐
→小型犬しかできませんが、長い時間抱っこしてあげられます。

バウンサー
→窓際、ベランダなどでの日光浴などに。

 

楽しかった、お買い物

Mackが元気だった間、赤ちゃん用品店や赤ちゃんコーナーを見るのが日課になっていて、Mackを思いながら色々な商品を見ているのは本当に楽しかったです。
Mackが亡くなった日も、私は赤ちゃん用品店に寄り、購入していました。

ロンパースは赤ちゃん用なので、小型犬にしか使えないですが、赤ちゃん用品店には沢山使える可能性のあるものが並んでいます。
一度、近所の赤ちゃん用品店をチラッと覗いてみてくださいね!

 

 

ライター:奥村 來未

 

 

楽しく老犬介護。寝相アートの中は自由な世界。

愛犬の介護……それは綺麗事だけでは出来ない、大変なことです。
小型犬か大型犬かで、肉体的な負担の違いはあると思いますが、夜鳴きや愛犬の体調不良が続き飼い主が眠れなくなることや、介護をしながら生まれる不安や困惑はどの飼い主さんも同じだと思います。

私も約1年間愛犬の介護をしていました。
沢山の不安・困惑・悩みに泣きながらお世話をしたこともありました。

 

 

誰でも介護の始まりはマイナスから

 

パピーの頃から過ごした愛犬が成長していく様子は微笑ましく嬉しいものですが、成犬から老いていく様子は切ないものです。
私自身も、愛犬Mackが家族になった時に小学六年生だったので、共に「子供」から「大人」へ”成長”した弟のようなMackが、あっという間に私を追い越して老いていき、できなくなることが増えていく様子を見るのはとても切なく胸が苦しくなりました。

 

2016年9月頃から、Mackは前庭疾患という脳の疾患により、歩行に異常が出始めました。
症状が酷くなってきた頃の同年11月、急性膵炎による約二週間の入院の末、完全寝たきりになりました。
私はそれからMackが2017年10月20日に亡くなるまでの約一年間介護をしていましたが、介護が始まったばかりの頃は精神的に辛い日が続きました。

 

 

キッカケは年賀状

 

Mackの介護が始まった2017年の12月、それまでの年賀状は娘とMackに干支の被り物をさせて、並ばせて撮った写真を印刷していたのですが、Mackは寝たきりになってしまったので、「並んで撮るのは難しいな……どうしようかな?今年は娘だけにするかな?」と考えていました。

娘だけの写真にするならどんなものかと考えていた時に、「娘が赤ちゃんなら寝相アートができたな。娘が赤ちゃんの時は、まだ寝相アートなんて聞いたことが無かったから撮ったことがなかったな。」と思った瞬間に”今のMackで寝相アートを撮ったらどうだろう!”と閃き、思い立ったら吉日!とすぐに材料を探しに車を走らせていました。

そして気づいた時にはカゴのなかにカラフルなバスタオルや画用紙、テーマに沿った使えそうな雑貨をつめ込み、ワクワクしながらレジに並んでいました。

 

 

悩みやイライラを忘れられる

 

 

Mackを寝相アートで可愛く撮ろう!と思い立ってから、小道具を作っている間も、セッティングしている間も、撮影・編集している間も、それまでの介護でのイライラや悩みはすっかり忘れ、頭の中は「あ~Mack可愛い!」ばかり。ーーそれはとっても嬉しい誤算でした。

そして、一つのテーマで撮影が終わっても、次は何のテーマで撮ろうか?どんなものを用意するかな?と寝相アートのことを考えるのが優先になり、介護での悩みやイライラしてしまう時間は大幅に減りました。

 

 

明るく前向きに

 

それからの私は、「決して永遠ではない限られた時間の介護生活なんだから、楽しくやってかなきゃ!」と考えるようになりました。
介護生活は大変だけど、こんなにも愛おしいMackと過ごす時間は、なにものにも変えられない、物凄く貴重なものなんだな。」と思えるようにもなりました。

これはMackを亡くした今だからこそ強く思うことですが、前向きに明るく考えて介護できたことによって、私もMackも今までより遥かに幸せで濃厚な時間が過ごせたと思います。

私が前向きに考えるようになってから、私の気持ちの落ち着きがMackにも伝わったのか、若い頃では考えられませんが、お腹の上で大人しくしていたり、そのままぐっすり眠ってしまったり。
日中も機嫌のいい時間が増えたりと、Mackにもいい影響があるようでした。

 

 

寝相アートへの「こだわり」

 

 

私には寝相アートを撮るうえで、絶対に譲れないこだわりがありました。

ーーそれは、「完璧に撮ろうとしないこと」。
Mackの寝相アートはどれも、影になってしまっているものや、ズレてしまった小道具、そして敷いているタオルにシワがあったりと、完璧に撮れたものは一つもありません。

勿論、セッティングの段階では綺麗にセッティングされています。
しかしMackを寝かせる際、Mackが唯一動く首を動かしたりすることで、どうしてもズレたり、シワが寄ったりしてしまいます。
ですが、Mackに協力してもらって完成させるこの寝相アートは、完璧に撮りたくて撮っているわけではありません。
純粋に、Mackとのこの時間を楽しみながら、Mackの負担にならないように、ズレようがシワが寄ろうが、光がうまく差さなくても、とにかく一番大事なのは”手早く終わらせる事”なのです。

 

いつもテーマを決めてから小道具の調達や作成に一か月近くかかりますが、撮影にかける時間はわずか1分。
そんな風に作り上げた完璧ではない作品たち。ブログで公開する度に「可愛い!」と褒めてもらえるのが、とっても嬉しかったです。

 

 

寝相アートの世界では、自由だった

 

寝たきりだったMack。
動くのは首だけで、起きることも立つこともできなかった。

だけど、寝相アートの世界では、Mackは立つこともできるし、走ることもできます。
花見でお酒を飲んだって、空を飛んだって、何をしたって自由です。
そんな姿を寝相アートで表現する度、私はその画の中のストーリーを想像し、笑みがこぼれました。

 

Mackは今は居ないけど、残ったこの寝相アートたちは楽しかった老犬介護の思い出がたくさん詰まった宝物です。
画の中のMackは今でも自由に動き回っています。

 

 

ライター:奥村來未

 

 

【老犬の介護】大型犬を家族に迎える覚悟(2)~大型犬を介護すること

愛犬情報

犬種:ボルゾイ

病名・症状:褥瘡(床ずれ)、後肢不全、寝たきり

発症年齢:14歳、15歳

発症の経緯:老化

治療法:自宅ケア

 

 

辛く苦しい床ずれ

 

14歳の後半になると、完全に後肢が機能しなくなり、自力で立ち上がることが困難となりました。そしてとうとう床ずれを発症し、人間の補助なしでは全く歩けなくなりました。アスファルトでの散歩は、歩行補助に使用していたバスタオルで常時完全に吊るす状態になりました。しかしその体の重さをずっと支えることは難しく、腕がつらくて重くて地面に擦ってしまい流血してしまうことも。ここでアスファルトでの散歩は諦め、芝生の庭にしか出さなくなりました。

 

しかし、この段階ではまだ前肢は筋肉隆々で力強かったです。床ずれは横になった時に一番出っ張っている後肢の腰付近と、前肢の肩付近にできやすく、部分的にはげてきたら要注意です。

毛がはげてきた段階で、タオルをドーナツ状にして患部が床に擦れないよう保護するなど、配慮が必要だと感じました。保護する際固定できるようドーナツ状のタオルを患部の周りにあててテーピングするなどの工夫も必要です。

 

床ずれができる頃には、完全介護体制になりました。ボルゾイに合うおむつがなかったため、寝たまま糞尿を漏らすしかありませんでした。人間の介護用の使い捨てベッドシーツを敷いて対応しましたが、メープルは動けないストレスで、動く前肢で地面を蹴ってぐるぐると回転するので、シーツはすぐにボロボロになり、床ずれ保護のタオルも外れてしまい、どんどん床ずれが広がってしまいました。前肢だけで大きな体を動かそうとするので、指先は爪ごと擦れて血だらけ。毎日のように漏らしたうんちを体中にネリネリしていました。

 

【画像】ぐるぐる回った際に家具で鼻を何度も強打しできた傷

 

体中うんちまみれになった寝たきりのメープルを、一人で風呂で洗うこともできないため、お湯を汲んできて脱臭機2台を全開にし、少しずつ汚れた体を洗っていました。下痢の時は綺麗に掃除した瞬間にまた漏らしてしまい、再度掃除というのを数日間、深夜に4~5回繰り返したこともあります。汚れたトイレシートなどのごみの量もかなり増えました。このあたりで、人間の負担が精神的にも一気に重くなりました。

 

この頃は絶対に下痢をさせないこと、そして前肢が何とか動くうちは、男性なら担いででも外に出して排泄させる方がいいです。前肢は立つことができたので、片手でタオルを使用して腹部を持ち上げ、もう一方の手で腹部を刺激して排泄をさせていました。でも女性の場合は片手で腹部を持ち上げ、片手で排泄を促すというのは体力的に厳しいと思います。自分の力で立てない大きな犬を片手で制御するのは非常に困難でした。

 

 

精神的ストレスとの闘い

【画像】室内での洗浄仕上げの様子

 

メープルの寝床は、6畳1間を使用していました。人間用のほどよい反発のマットレスを2枚並べて敷き、マットレスが濡れないよう1畳タイプの大きい使い捨ての介護用防水シートを敷いていました。しかし防水シートは紙製で前足でひっかいてボロボロにしてしまうため、保護用にその上に薄めのじゅうたんやシーツを敷いていました。

 

おむつか使えないため、すぐに汚れてしまい毎日大量の洗濯物が出ました。メープルは床ずれの痛みか、寝たまま用を足すのが苦しいのか、または何かしら不快なのか、昼夜問わず鳴きわめくようになっていました。夜中に水を不定期に飲ませ、おしっこや下痢便を漏らすと床ずれ部分に当てている綿から患部に入り込んでしまうため、化膿しないよう念入りに患部の消毒をしていました。

 

ほとんど眠れない日々が延々と続き、疲労もピークに達していました。この頃は冷静になるよう、過去の楽しかった日々を振り返り、メープルに恩返ししたい、お別れするよりは今のままでいい、と考えるようにしていました。

 

ほどなくしてメープルは15歳を迎えました。メープルは昼夜問わず鳴きわめくため、考えられる不快な要因を取り除きましたが、それでも鳴くことをやめませんでした。

 

【画像】筋肉まで見えていた床ずれ

 

皮膚に大きな穴が開き、筋肉組織が完全に見えていて正直気持ち悪いし、メープルも痛くて鳴き叫ぶ。メープルが可哀想で可哀想で心が折れそうになるが、それでも介護は待ってくれません。心を鬼にして傷口に入った糞を取り除いたり消毒したりと介護をしている時、本当に本当に辛かった。「安楽死」という言葉がちらついた。介護をする前の自分では信じられない言葉でした。

 

 

カウントダウン

 

メープルは相変わらず前肢でくるくる回り、うんちネリネリが続いていました。鳴き止まない声と糞尿処理。近所迷惑になっていないかと気になり、病院の勧めもあり、夜は睡眠導入剤を与え始めました。寝る時間の増加に比例し、とうとう前肢も弱ってしまい動かなくなりました。

 

前肢が動かなくなり床ずれはそれ以上広がることはありませんでしたが、完全に動けなくなったため、一気に体力が低下しました。

 

この時点で、お別れのカウントダウンが始まったように思います。この状態は3ヶ月ほど続きました。やはりターニングポイントは床擦れだったのではと思います。どんなことをしてでも回避していればもう少し…と悔いが残ります。

 

ある日突然、水を飲んでも食道で止まってしまい、呼吸に合わせてうがいをしたような音が響きました。これは内臓の衰えの症状で、水を飲み込めなくなったということ。食欲がなくなると、目は虚ろで窪みだし、呼吸は苦しそうに全身でするようになりました。「メープル」と名前を呼んでも、目が合わなくなりました。

 

 

 

その2日後だった。

 

メープルは、お星様になった。

 

 

超大型犬を家族に迎えること

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

関連記事:【犬の介護】大型犬を家族に迎える覚悟(1)~介助が始まるまで

 

 

Twitter:サラメー★動物とマリノス

 

 

ライター:サラメー★

 

※この記事は、サラメー★さんのツイートを元に、サラメー★さん監修の元編集したものです。

 

 

 

【老犬の介護】大型犬を家族に迎える覚悟(1)~介助が始まるまで

愛犬情報

犬種:ボルゾイ

病名・症状:眼振、後肢不具合、ナックリング

発症年齢:8歳(眼振)、11歳(後肢不具合)、13歳(ナックリング)

発症の経緯:老化

治療法:自宅ケア

 


 

我が家に超大型犬ボルゾイのメープルが来たのは、2002年。

2018年、15歳でお星様になるまで、私達の大切な大切な家族でした。

 

犬を飼うことは簡単にできます。小型犬は女性でも片手で抱っこできますし、年老いて介護が必要になった時、精神的に苦しいことは同じだと思いますが、大型犬の場合は、肉体的・体力的にも非常に大変になります。人間と同じくらいの大きさ・重さの犬は、男手がないと動かすことも容易ではありません。私が出張などで不在の際は、妻が大苦戦し腰を痛めましたし、犬の床擦れもひどくなってしまいました。

 

若き日は若き日で大変なことはたくさんありますが、そこは可愛いので何とかなります。問題は要介護になってから。半端な気持ちでは絶対に無理です。

 

ここに、私達の大切な家族であったメープルの介護記録を記しました。私達が経験したことをそのままお伝えします。

 

今、超大型犬を家族に迎え入れる検討をされている方へ。

獣医療が進歩し、犬も長生きになり、晩年は人間と同じように介護が必要になります。

ボルゾイオーナーではなくなった今、実際に自分が経験した苦労や問題点を少しずつ思い出した都度、お伝えしていこうと思います。ボルゾイならではの苦労もありました。

 

「超大型犬を介護すること」とはどんなことなのか、それを知った上で家族として迎えるか検討してください。最期まで家族でいてあげる強い気持ちと環境があるかどうか、どうか慎重に考えてください。

 

 

楽しかった成犬時代

【画像】メープル3ヶ月の頃

 

1歳の時に肺気胸で瀕死になり、私達家族も早い別れを覚悟しました。何とか持ち直してくれてからは、肺の強化をやや意識し、イタズラ防止のため運動で疲れさせて寝かせたり、部屋の温度はメープルに合わせ夏でも人間が毛布にくるまっていたくらい、とても可愛がりました。

 

超大型犬であるボルゾイの平均寿命は8歳前後。メープルはピーク時体高86㎝、体重47㎏とボルゾイの中でも最大級の大きな子でした。共に過ごせる期間を精一杯楽しもうと、ドライブやイベントに行ったり、旅行に行ったり都心に繰り出したり、可能な限り家族として同伴させ、「今」を楽しみました。

 

散歩は私が早朝に出勤前にメープルが疲れ果てるまで土手で爆走を繰り返させ、夕方は妻が犬の集会に顔を出し遊ばせ、夜は寝る前の散歩。嵐でも必ず外で走らせました。

食事は1日2回、安いドッグフード主体でしたが留守番時は勝手に冷蔵庫を漁って人間の物も食べていました。ですので、フードへのこだわりもほとんどありませんでした。良く食べ良く動き良く寝るの若き日。

 

メープルが8歳の時、不定期に眼振が出るようになり、10日ほどで治まることが年に2回ほどありました。眼振がある時は、首を傾げた状態になり歩行や食事が困難になりました。原因はおそらく脳の老化。家族2人がかりでメープルを支えながら庭に出し、腹部を刺激しトイレをさせていました。

 

超大型犬は、1人ではなかなか介護が難しく、何とかメープルの足腰を支えて介護することもありましたが、この時は「介護靴」の存在も知らず、今思えばこのタイミングから履かせて慣れさせておけばよかったと思いました。

 

少しずつ不具合が出始めているものの、メープルは私達と共に過ごしてくれました。

 

 

できないことが増えていく

 

11歳くらいの時、散歩をしていると、まれに腰が抜けたように一瞬後肢側が沈むような状態になり、それ以降少しずつその頻度が増えていきました。そして、今までは軽々と飛び乗っていたワンボックスカーの後部貨物部に飛び乗ることができなくなりました。

ここで介護用品を本格的にそろえるつもりでしたが、ボルゾイの深い胸元とクビレ、長い足に合う介護用品は皆無でした。

超大型犬サイズのサポート用品は、胸から腹部を包んで持ち上げようとしても、胸元は届かず、届いたとしても腹部がスカスカになりました。お尻だけ包んで持ち上げるタイプのものは、今度は体が薄いため、腹部を上げる動作をすると股の付け根に食い込み、1点集中で負荷がかかり内出血してしまいました。

 

結局、バスタオルをお腹に巻いて、肩手で吊るしながら散歩することになりました。おかげで私たちの腕の筋肉は散歩後は毎回限界状態でムキムキになりました。このような状態でもまだ後肢が少しでも動くので外に連れ出すことは何とかなっていました。

 

一方のメープルは、どんどん筋力が弱まり、立ち上がるのも勢いをつけてでないと難しくなってきました。幸い食欲はあったので、運動量が減ってしまった分、肥満防止のため1日1回の食事とおやつ(豚耳など)となりました。

 

そして13歳くらいで、後肢にナックリングが出始め、足首が伸びた状態で地面に擦れるため指先から出血することがありました。ここで特大サイズの介護靴を買いました。しかし靴を履かせるタイミングが遅く、すでに足首の曲がりが甘くなってから履かせたため、ただでさえ不慣れで嫌がるのに、靴の型に力が負けてしまい、常時足首が伸びた状態になり、逆に危険を伴うことになりました。靴を履いていても爪先部分を引きずりながら歩くため、靴にすぐに穴が開いてしまい、消耗品として出費もかさみました。

 

この介護靴も、超大型犬でもピレネー犬などを想定しているのか、足が細く甲の長いボルゾイの足には全く合わず、横幅がスカスカ。また靴上部の固定バンドが関節まで届かずすぐ脱げてしまうこともありました。

もしボルゾイの飼い主さんがおられたら、健康な早いうちに合う靴を探すか、オリジナル品を制作するか、いずれにしても靴に慣れさせておく方がいいと強く思います。

 

 

体の不具合と介助

【画像】メープル14~15歳の頃

 

とうとう靴をフィットさせることができないままメープルは14歳を迎えました。

バスタオルで体を支えての散歩は相変わらず続けていましたが、長時間、足が浮くくらい持ち上げ続けることは困難で、メープルの指先は流血してしまいました。テーピングでカバーしようとしても、すぐにボロボロになってしまいました。

メープルの体力が弱まっていくと、長時間の散歩はどう尽力しても困難になりました。その頃は自力で起き上がるのも時間がかかり、前肢で上半身を起こし、後肢は引きずるようにして立ち上がっていました。

水を飲む際には脚が震えだし、この時点でかなり高額でありましたが、歩行補助機をオーダーメイドで製作しましたが、歩行補助機自体がメープルのサイズですので重いこと、足腰が弱り切ったメープルを一人で補助機ににセッティングすることは難しいこと、興奮すると必ず眼振が現れたため危険と判断。結局歩行補助機は使わずにボランティア団体に寄贈しました。

【画像】ほとんど使わなかった歩行補助機

 

◎歩行中にナックリングが出始めたら、また指先から出血していたら、歩行補助機を使用することをおすすめします。

◎自力で立ち上がれる最後の段階で、床ずれ防止策を真剣に考えた方がいいです。

 

床ずれは何より痛みがひどく、自分で動くことのできない愛犬を苦しめてしまいます。また、飼い主も床ずれがあると介護の難易度が高まります。床ずれを発症すると、人間も犬も精神的にも体力的にもとても大変になります。薬代も半端ではありません。

※床ずれについては(2)で詳しく記述します

 

この頃のメープルは、前足にはまだ力があったため立ち上がることができました。ただ、少しでも自力で動けることで、不在時などにひとりで移動して玄関の段差に転げ落ちてしまい、帰宅すると逆さまの状態で糞尿まみれになっていたこともありました。正直この頃が一番気疲れしました。

 

 

関連記事:【犬の介護】大型犬を家族に迎える覚悟(2)~大型犬を介護すること

 

 

ライター:サラメー★

 

※この記事は、サラメー★さんのツイートを元に、サラメー★さん監修の元編集したものです。

 

避妊手術について考える ~老犬の子宮蓄膿症の治療について

愛犬情報

犬種:ミニチュアダックスフンド

病名・症状:子宮蓄膿症

発症年齢:15歳

発症の経緯:ヒートの症状 食欲不振 陰部の腫れ エコー検査で子宮内に液体が映った

治療法:ホルモン注射(内科治療)⇒手術

 

 

避妊手術を受けなかった理由

 

我が家は雌2頭とも、不具合が出るまで手術を受けていませんでした。

手術を受けなかった理由は、一番は体にメスを入れることに抵抗があったからです。卵巣はホルモンを作りだし分泌する役割のある臓器。女の子にとってホルモンはとても大切なのに、病気にならないようにという理由で若いうちに取ってしまうことに抵抗がありました。

結果次女ニコは12歳で乳腺腫瘍が見つかり、その時に子宮と卵巣も取りました。クリンは15歳で子宮水腫になり、17歳9ヶ月で手術をすることになりました。

2頭とも、子宮に不具合があったため、避妊手術の適応にはならず、費用は十数万円かかりました。

 

一方、雄1頭は、1歳を迎える前に去勢手術をしました。理由は、いくつかあります。ひとつは、女の子たちの避妊手術をしていなかったこと。そしてもうひとつは、女の子よりもリスクが低いと考えたからです。

 

今振り返ってみて、我が家の3頭の去勢避妊手術について後悔しているかと聞かれると、うちはこれでよかったと思っています。

もしこれから新しく愛犬を迎えるとした場合、その子が女の子なら、おそらく今の2頭と同じように不具合が出たら手術をすると思います。ただクリンのように、かなりの高齢になってからだとリスクは高くなってしまうので、不具合が出なかったとしたら、おそらく15歳くらいまでにするのではないかと思います。

もし男の子の場合、1頭だけ飼うならもしかしたら手術は先送りにするかもしれません。ただ男の子は権勢症候群など毎日の生活に支障を来たしてしまうようなこともあるので、性格によっては早いうちにしてしまうかもしれません。

 

避妊手術の場合、抜糸まで約2週間かかるのに対し、去勢手術の場合はエリザベスカラーさえつけませんでした。去勢手術の方が簡単でオペ時間も短いです。

男の子も女の子も手術するということに変わりはありませんが、できるだけリスクの少ない方を選択すると思います。

 

でもこれは、あくまでもわたし個人の意見で、どんな選択でも飼い主さんが愛犬のことを思い決断されたことは、一番の選択だと思います。早く手術することでのメリットもあればデメリットもありますし、不具合が出てからの手術もメリットデメリットがあります。

今回は、高齢で子宮の不具合が出てしまった場合、避妊手術をしなかった「デメリット」についてお話をさせていただきます。

 

 

ハイシニア犬の子宮水腫の治療について

 

我が家の長女クリンの子宮の不具合が見つかったのは15歳の時。12歳を超えてからは年に一度くらいのヒートが、半年に一度ペースになり、食欲不振がさらに悪化した時に、病院の検査で発覚しました。エコーで確認すると、子宮内に血液ではない液体がありましたが、血液検査の結果と、陰部から膿が出ていなかったため、この時は子宮の中に水がたまる「子宮水腫」という診断でした。

子宮蓄膿症は、重篤化すると死亡するリスクも非常に高い病気です。避妊手術をすれば蓄膿症に罹患することもなく、また発症しても取ってしまえばすぐに完治するのですが、クリンの年齢的にも手術はリスクが高いということで、内科治療をすることになりました。これが後から大事になってしまうことになるのですが、この時はこれが最良の選択だと思っていました。

 

クリンの場合、何かあるとすぐに食欲に影響します。子宮水腫を発症した時も、食べムラから発覚しました。

当時通っていた病院の先生は、大学病院で長く研究をされていて外科治療の経験も豊富とのことでした。親切で飼い主がわかるように説明してくださる先生で、その時は絶大な信頼を寄せていました。

高齢で麻酔のリスクが高いということで、積極的治療ではなく、内科的治療をしようということになり、「アリジン」という黄体ホルモンを後退させる注射で様子を見ようと提案してくださいました。アリジンは大きな副作用もなく、老犬でも安心な治療法であるということでしたので、その治療法を選択することにしました。

 

 

犬の子宮蓄膿症

 

【原因】

発情後の黄体期(免疫力が低下します)に細菌が子宮内に、進入し増殖しておこります。卵巣のホルモン分泌バランスが悪いとおきやすい。今まで、しばらく生理がなかったのにしばらくぶりできた後は要注意です。原因菌は大腸菌、ブドウ球菌、サルモネラなど様々です。

 

【症状】

はじめは無症状。病態が悪化するにつれ元気、食欲の減退、吐き気などが現れる。陰部より膿がでてくる場合もあるが、まったくでない場合もあり。出ない方がより深刻。多量の膿がたまった場合腹部が膨らむこともあり。
多くの症例で多飲多尿がみられる。子宮が破れて、腹腔に細菌が漏れ出た場合、腹膜炎をおこし、短時間で死亡します。

出典:アイリスペットどっとコム


 

アリジンは1回目の接種の24時間後に2回目を接種します。(3回の場合もあります)

費用は1回の接種で約1万円。2回だと2万円になります。

初めて注射してもらった時、食欲も徐々に戻り、目に見えて効果を感じることができました。その後もヒートのような症状が出たり、食欲不振に陥ったりすると病院で検査を受け、エコーで子宮内に水があったり腫れが見られたらアリジンを注射する、ということが約2年続き、年2~3回くらいのペースで注射をしていました。

 

 

その後の経過

 

初回~2回目くらいは目に見えて効果を感じたアリジンですが、徐々にあまり変化を感じなくなりました。クリンは15歳8ヶ月の時に膵炎の疑いで入院したのですが、炎症数値が下がっても食欲が戻りませんでした。その時も少し陰部が腫れていたのでアリジン注射をしてもらいましたが、まったく食欲は戻りませんでした。約2週間の入院で、入院中はほぼ強制給餌で過ごし、先生からは「このまま食欲が戻らないと死んでしまうかもしれない」と宣告されるほどひどい食べムラが続きました。

元気はあるものの食べないという日が続いたため、炎症数値が一旦落ち着いたタイミングで退院し、帰宅したらご飯を食べるようになりましたが、その後もヒートのような症状と陰部の腫れは続き、食欲不振との闘いは続きました。

 

食べムラは続いていましたが、何とか元気に16歳の誕生日を迎えることができました。

陰部が腫れることはたびたびありましたが、原因はわからずでした。病院では抗生剤を注射してもらったり、点滴を受けたり、アリジンを注射してもらっていましたが、症状や状態が大きく改善することはありませんでした。

クリンは胆泥症と、16歳の後半くらいから心臓に雑音が出始めたので、肝臓と心臓の薬はずっと飲んでいました。退院後は大きく体調を崩すこともなく、クリンは17歳になりました。

原因がはっきりしないまま続く食べムラ、状態は変わらないのにかかる医療費。クリンは元気そうではありましたし、年齢を考えた時に維持できていることはとてもありがたいことでしたが、「いつ急変するかわからない」という漠然とした不安はずっとぬぐえないままでした。

クリンが17歳を迎えた頃から、ずっとセカンドオピニオンについて考えていました。このままだとクリンは良くならないのではないか、とずっとどこかで思っていたんです。でもそれまでお世話になっているし、救ってもらったから、となかなか決断できずにいました。

 

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【セカンドオピニオン】わたしが転院した理由(1)

【セカンドオピニオン】わたしが転院した理由(2)

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転院先での診断

 

このままではダメだと思い、セカンドオピニオンを受けることにしたのは昨年の10月。強い食べムラが出て病院でアリジンと抗生剤を打ってもらった直後でした。

セカンドオピニオンを受けた病院で、まず最初にいわれたことが、

「なぜ発症した15歳の時にすぐに切らなかったの?」でした。

子宮の病気は、高齢であればあるほど拗らせやすく、完治することはほとんどないそうです。そして、気づいた時にすぐに手術をしてしまうのが一番リスクが低いといわれました。

確かにその通り、と思いました。もし15歳ですぐに手術していれば、こんなに長引かせずに済んだかもしれない。こんなに苦しい思いをさせなくてすんだかもしれない。こんなに悩まずにすんだかもしれない。

 

手術のリスクは何歳であってもありますが、悪性腫瘍など、すぐに切らないと命に関わるような大きな病気の場合と違い、慢性化して投薬で何とか逃げられるような病気の場合は、どうしても先延ばしにしてしまうことが多いと思います。

わたしもそうでしたし、もし病院を変わっていなければ、今も手術をしていないと思います。

 

これは選ぶ病院にもかかわることだと思いますが、老犬にとって子宮蓄膿症はとても怖い病気です。

冒頭でもお話しましたが、病院によっては最初のヒートが来る前に手術を勧めるところもありますし、もう少し大きくなってから手術した方がいいという獣医さんもおられると聞きます。

それぞれの考え方があるので、どれがいいと断言することはできませんが、うちの場合はもしかしたら避妊手術をしていなかったから元気に過ごせたのかもしれない、と思っています。ただ、ある一定の年齢になったら、子宮の不具合は命に関わる病気になってしまう恐れもあるため、何か不具合がでたらすぐに手術をした方がいいと考えます。

 

 

術後から現在まで

 

手術は無事成功しました。シニア犬の場合、術後の経過も怖いといわれていましたが、手術が終わって帰宅してすぐに元気に歩き回る姿を見て、とても嬉しかったです。食欲はなかなか戻りませんでしたが、術後初めて食べ物を口にした時はうれし泣きでした。

クリンの場合は子宮だけでなく、歯にも不具合があったんですが、無事18歳の誕生日を迎えることができました。

最近は少しお腹の調子を崩したりしていますが、転院する前と比べると、不具合がなくなったんだろうなと思えるほど元気に過ごしています。

 

犬は痛みに強い、とよく聞きます。その痛みに強い犬が痛がるというのは、かなりの痛いがあるのだと思います。クリンは子宮にずっと痛みがあったようで、転院先で触診してもらって初めてわかりました。

避妊手術を受けるタイミングはそれぞれ。かかりつけの病院にもよると思います。

ただ、手術を受けていなくて10歳を超えたら、具体的に考えた方がいいと思います。あとになればなるほどリスクは高まりますし、ただの避妊手術だと数万円ですが、病気を発症してしまうと手術代は数十万円に跳ね上がります。

そして年齢が高いほど、術後のケアも長引き、医療費はかなりの金額になってしまいます。

 

もしまだ避妊手術をしていないシニア犬の飼い主さんがおられたら、14歳を超えたらたとえ不具合がなくても定期的に獣医さんに診てもらうことをおすすめします。子宮蓄膿症は早期発見できれば、怖い病気ではありません。でも、あっという間に重篤化することもある病気でもあります。特にハイシニアの場合は、抵抗力の低下によりあっという間に悪くなってしまうこともあります。

 

 

 

ライター:福井 惠子

 

【避妊・去勢】どちらが正解?

 

私の愛犬は未去勢でした

 

愛犬の避妊・去勢について、悩んだことは無いですか?
私は愛犬Mackと暮らし始めた頃、まだ小学六年生だったので全く考えたことが無いのですが、大人になるにつれて何度も去勢について悩んでいました。

入籍してから、私がMackの保護者になったのですが、その時Mackは10歳。
Mackと暮らし始めたとき「6歳から老犬」と飼育本に記載してあり、平均寿命も12~14歳ほどと記載してあった記憶が強く、10歳での全身麻酔は恐ろしくて、知識が増えた頃には正真正銘立派な老犬。

結局亡くなるまで去勢させることはありませんでした。

 

今思えば10歳の頃のMackなら全然去勢可能であったと思うし、その後に何度も前立腺肥大になり血尿が出たりしたので、Mackが15,6歳になる頃には「やればよかった」と思っていました。

 

 

何故決断できなかったのか

 

先に少し触れたように、10歳はかなりの高齢であると思っていたことと、Mackは15歳くらいまで特別大きな病気をしたことが無かったので手術の経験もなく、私の祖父が全身麻酔での手術ののち、完全覚醒できずボケていってしまったのを幼い頃に見ていたのもあり、全身麻酔に大きな恐怖感を持っていたのでした。
勿論獣医にも何度か相談したことはありますが、Mackは停留睾丸であったこともあり「リスクが全くないというわけではない」という言葉に、踏ん切りがつかなかったのです。

 

停留睾丸

 

 

停留睾丸(潜在精巣とも言う)とは、子犬の頃お腹の辺りにある睾丸が成長と共に股の間に降りてくるはずが、両方・または片方しか降りきていない状態の事。生後六か月ごろに気づくことが多い。
(Mackは片方しか降りてきていなかった。)

 

 

メリット・デメリットを考察してみる

 

避妊・去勢をした場合の一番わかりやすいメリットはやはり病気のリスクが減るという事でしょう。
女の子の場合は子宮の病気が。男の子の場合は前立腺や睾丸の病気を予防することが出来ます。

そして、やはり女の子の場合はヒートが無くなります。望まない妊娠を防ぐこともできます。
ヒート中はお店やドッグランに連れていけない、病院の待合室で待つのは好ましくないなどの不便があります。
男の子がヒートの臭いを嗅ぎつけて興奮してしまうからです。
未去勢のMackも、目が見えなくなってからもヒートの臭いを見つけるとグングン進み、ヒート中の子の家の前まで行ってしまうこともありました。

男の子は去勢をしたらヒートの子に過激に反応することもなくなり、その子によりますがマーキングも減るでしょう。

メリットを考察してみると、男の子よりも女の子のほうが多いように感じますね。

 

ではデメリットは?
繁殖が不可能になり、太りやすくなる。
手術自体に耐えられない・手術に伴う不調を起こす場合がある。
性格が大きく変わることがある。

こんなところでしょうか。
メリット・デメリットを考えると、メリットの方が多いようですね。

 

 

「どちらが正しい」は無い

 

 

結局、どちらが正しいかというのは決まっているわけではありません。
愛犬のことを決めるのは飼い主さんですから、他の方が自分の意見を押し付けるのも私は違うと思います。

ただ、避妊去勢をすると特定の病気のリスクが無くなるのは事実。
子宮の病気といって一番浮かびやすい子宮蓄膿症は死亡することもある病で、それは避妊することで避けることが出来ます。

本には「避妊・去勢をした犬は寿命が一年伸びる」と書いてあることもありますが、Mackは18歳まで頑張ってくれました。
去勢していたら19歳まで生きることができたかもしれないけど、同じ結果かもしれません。

 

ただ、「したほうが良かった」と後で少しでも思う可能性があるのなら、したほうがいいと思います。
私はこれから犬を迎える時は避妊・去勢は受けさせるつもりでいます。
なぜかというと、高齢になって前立腺肥大を何度も繰り返した結果、去勢が二度できるほどの費用がかかったことと、去勢しておけば前立腺肥大で何度も嫌な思いをさせる必要が無かったと思うからです。

2,3万ほどで愛犬の老後の安心を買えるのなら、個人的には安いのかなと感じます。
ですが、先程も言ったように正解はないし、飼い主さんが決めることで、他人が口を出すことでは無いです。

愛犬の性格や様子を加味しながら、その子にとって一番の答えを出してあげられたらそれでいいのかなと感じます。

 

 

ライター:奥村 來未