【同行避難】愛犬と災害に備えよう!

 

いつ・なにがあるか……予測出来ればいいのだけど、地震・災害はいつ起こるか予測することはできません。
東日本大震災も、突然私達を襲いました。

今回は311での自分の経験や、その後のセミナーで学んだ事、個人的に必要だと思ったものを私の視点からお伝えしていこうと思います。

 

同行避難ってなんだろう

 

同行避難……
ペットと暮らす方ならだれもが一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。
読んで字のごとく、同行避難とは災害発生時にペットを連れて避難することを言います。

避難所で実際にペットと人とが共に暮らすことを”同伴避難”といい、同行避難とは意味がやや異なります。

 

311・奥村さんの場合

 

311発生時、私は同行避難を困難と考え、屋内は荒れていたので亡き愛犬Mackと当時1歳7か月の娘と共に車中泊の準備をしていました。
そこへ「犬も連れてきてる人居ますよ!」と声をかけていただき、”同行避難”することが出来ました。

避難所へ行くと、あまりに大きな揺れだったので避難所が大混乱していました。しばらくすると、ペット連れは一か所に集まってくださいとのアナウンスがあり、移動。
その晩は共に身を寄せ夜を越すことが出来ました。
幸いにも翌日、義父母が迎えに来てくれ、義実家に避難したので、翌日からの避難所の様子は後々知ったのですが、あの寒さの中、犬は玄関にてクレートに入れられ、共に居ることが出来なくなったという事でした。

もうすでに当時Mackはシニア期に突入していたし、とても寒がりな子だったので、迎えに来てくれた義父母には今もとても感謝しています。
もしも翌日も避難所に居て、共に居られない事実に直面した時、私はどうしただろう……やっぱり車中泊したかもしれません。

 

愛犬のための備え

 

愛犬の”非常持ち出し袋”……作ってますか?
自分の事は二の次にしてでも、愛犬の持ち出し袋を作ってあげてください。
明日は何があるか分かりません。地震・水害・大規模火災。自分には降りかからないと思ったら大間違いです。

先日も大きな地震があったので、我が家では愛犬の持ち出し袋の中のフードを新しい物に変えました。
その時に写真を撮ったので、参考にして頂ければと思います。

 

 

非常持ち出し袋の中身

 

 

上の写真では水が入っていませんが、Shake用の非常持ち出し袋は娘でも持っていけるようにしてあるので、我が家では人間用の方に一緒に入っています。ご自身で持ち出す場合はペット用のお水を入れてください。
※ペット用水も水道水も無い場合、愛犬には軟水を飲ませてください。

災害時、自身の経験でドッグフードは1週間は新しく入手することはできませんでした。
なのでいつも食べているドッグフードを約一週間分入れておいてあげてください。

 

ドッグフードはこのように、スーパーなどでよく見るポリ袋に一日の量を計って入れ、一度縛ります。
5.8KgのShakeの場合、一枚のポリ袋に三回分のフードが入ります。
傘用の袋を使えば、一枚で更に多い日数分のフードが入るでしょう。

避難所に同行避難しても、同伴避難ができるかはわかりませんが、もしも同伴避難が出来た場合は周りへの配慮が必要となります。
上の写真のオムツ・マナーベルトは排泄で不快感を与えないため。
そして愛犬用着衣は防寒もありますが、抜け毛防止です。

その他にも、無駄吠えの躾やクレートに大人しく入っていられるようにする躾はとっても大切になってくるでしょう。

 

 

愛犬手帳を書きましょう

 

 

愛犬手帳は、犬籍登録の際・イベント・防災訓練などで配っていることがありますね。
勿論、ご自分のお好きなノートで作っても構いませんが、なるべく健康な子でも書くようにしましょう。

 

 

手帳の書き方

 

 

我が家の健康手帳は無料配布されたものですが、中身はカスタムしています。
これは最初の1ページ目。
左側には迷子に万が一なってしまった時も使える、Shakeの全体の写真を貼っています。
特徴欄にはShakeの身体的特徴・性格・持病・マイクロチップの有無を書き込んであります。

右側は本当は手帳の目次なのですが、家族全員が写った写真・家族全員の名前と年齢を書いて貼っています。
年齢は変わってくので、変わるごとに貼り替えます。

中のページにはフィラリア薬を飲ませた日やワクチン接種の日、通院の内容などを記入します。

 

鑑札・注射済み票を身につけさせよう

 

愛犬がいつ迷子になるか。
リードが無くても私のそばを離れない!という人もいるかもしれませんが、近くで大きな音があってビックリして・他のワンちゃんが向かってきたのに驚いてどこかへ逃げてしまったら?

「絶対」なんてことはありません。
必ずリードを付け、鑑札と注射済み票をつけましょう。

 

 

我が家では鑑札・注射済み票・迷子札は簡単に付け替えられるようにしています。
ですから胴輪でも、首輪でも簡単に付け替えられます。
この鑑札・注射済み票入れはお恥ずかしながら自作ですが、通販でも革製のしっかりしたカッコイイものや、可愛いものなど色んな種類のものがあるのでお勧めです。

地震大国といわれる日本ですが、人生80年あれば、ほぼ必ず一度は地震以外にも多くの災害に見舞われるでしょう。
「自分には関係ない」と思わずに、せめてペットや子供たちの備えはしてあげて欲しいというのが、実際に311で避難した私の考えです。

手帳や袋の中身など、少しでも参考になったのなら幸いに思います。

 

 

ライター:奥村 來未

 

 

 

 

【シニア犬】7歳を過ぎたら定期的な健康診断を

愛犬情報

犬種:ビーグル

病名・症状:なし

発症年齢:8歳

発症の経緯:加齢

治療法:なし

 

 

7歳過ぎたらシニア犬

 

我が家の愛犬みのすけは2009年生まれ。今年の8月に10歳になります。昨年10月と今年3月に続けざまにおねえちゃんたちがお空に旅立ち、ひとりっ子になって3ヶ月経ちました。

今まではおねえちゃんたちに手をとられていたので、若くて元気なみのすけにあまり手をかけてやることはできませんでしたが、みのすけだけになって改めて歳をとったなぁと感じます。

命は永遠ではありません。今は元気でも、いつ何があるかわからないからこそ、備えておくことが重要だと考えています。

今回は、病気の早期発見のために実践している「健康診断」について書きたいと思います。

 

 

健康診断①:血液検査

 

みのすけは1歳になる前に去勢手術を受けました。それから病院でお世話になるのは、フィラリア検査とワクチン接種の年2回くらい。あとは爪切り・肛門しぼりと、よく吐くということがあったので、数回検査をしてもらったことと、一度救急病院にお世話になったことがあります。突然頭をブルブルしだして、ずっと振っているような状態が続いたため、慌てて夜間救急に駆け込みましたが、外耳炎(常在菌であるマラセチアが増えてしまったことによる炎症)で点耳薬で治りました。

9歳になる今まで大きな病気をすることもなくこれたことはとてもありがたいと思います。元気とはいえ、いつどんな不具合が出るかわかりませんので、5歳を超えた頃からフィラリア検査で採血してもらったついでに、血液検査をお願いしていました。

 

血液検査にはいくつか種類があります。

CBCは一般検査といわれ、これは赤血球・白血球・血小板について調べる検査です。画像の「血液検査」がこれに当たります。白血球が高いと体のどこかで炎症が起こっていたり、ガンなどの腫瘍がどこかにある可能性が高いことがわかります。一方赤血球の数が増加していると脱水症状が出ていることがわかったりします。

血液生化学検査は、臓器の状態がわかる検査です。主に腎臓・肝臓・膵臓などの状態がわかります。画像の「血清検査」の部分です。

クリンの晩年は、多い時は毎日血液検査をしていたのでどの数値が問題かは結構詳しくなりましたが、体のどこかで異変がある場合、どの臓器が問題なのかがこの検査でわかります。

費用は病院によってまちまちですが、CBCだけだと3~4千円くらいで、CBC+生化学検査だと6~7千円でした。検査項目が増えるほど値段は高くなります。

血液検査で異常数値があれば、エコーやレントゲン、場合によってはCTやMRI、細胞診などの検査をすることになります。血液検査はたいてい具合が悪くなって病院に行った時にしてもらいますが、飼い主からの申し出でしていただくことができますので、フィラリア検査のついでに生化学検査を受けておかれるのはとてもおススメです。

みのすけも5歳の頃から毎年1回は血液検査をお願いしていました。元気食欲ありで全く問題なさそうでしたが、毎年の血液検査を受けておくだけで心から安心できました。

 

 

健康診断②:犬ドック

 

病院によっては、犬ドックをしておられるところがあります。昨年は、フィラリア検査の時に血液検査をお願いし、ワクチン接種の際にエコー検査をしてくださいましたが、今年は10歳になることもあり、ちゃんと検査をお願いしたいと思い、フィラリア検査で病院に行った時に合わせて健康診断をお願いしました。

ちなみにわたしの通っている病院では非常に安価で、3千円弱でエコー・心電図・血圧・尿検査をしてくださいます。今回はおしっこを持参しなかったので尿検査は見送りましたが、血液検査と合わせてしっかり診ていただくことができました。

そして今回の検査で、右心房に少し肥大が見られる、ということがわかりました。雑音はないのですが、聴診で少しこもった音がするといわれ、エコーで調べたところ、少しだけ肥大しているといわれました。

要経過観察で、2ヶ月後に心エコー検査をすることになりました。

 

今の病院は、とてもしっかりと検査をしてくださいます。過去他の病院で二度手術を経験しましたが、手術の日が決まって当日お預けして、終わったら引き取りにいく、というのが当たり前だと思っていました。

でも今の病院は、手術前に数回通い、血液検査と麻酔時に心停止になった際に投与する血管拡張剤が効くかどうかの検査、年齢によってはホルター心電図で手術に耐えうる心臓なのかまでしっかりと調べてもらえます。

正直お金はかかります。検査が増えれば増えるほど費用はかさみますし、治療費と薬代だけで月十数万円を支払うということも普通にありました。ネットで「愛犬にこのような症状がみられるが問題ないか」と相談されているのを見かけることがありました。言葉は悪いですが、「のんきにネットで聞いてないで、とっとと病院いって検査すればいいのに」と思いました。

飼い主さんの中には、犬にお金を使いたくないという方もおられます。たった数千円でも嫌なのでしょう。でもそういう人は犬や猫を飼わない方がいいのでは、と思っています。

ペットはお店で購入できるし、法律ではいまだに器物扱いです。でも物ではなく、命です。命を預かる以上、預かり主=飼い主には責任があると思っています。子供にお金がかかるように、犬や猫も同じくらいお金がかかります。無理する必要はないと思いますが、できる範囲でできることをした方が、後から後悔が少ないと考えています。

 

 

あとで後悔しないために

 

我が家には3頭の愛犬がいました。長女クリンは今年3月に老衰で旅立ちましたが、次女ニコは、重度の心臓疾患が原因で16歳3ヶ月で旅立ってしまいました。

ニコは心臓とアレルギー以外持病はなく、食欲も旺盛でとても元気な子でしたが、14歳で心臓疾患が見つかった時にはすでに中度まで進行していました。そして心臓病と診断されてからたった2年で旅立ってしまいました。

ニコはアレルギーがひどかったので、病院には定期的に通っていました。年1回の健康診断も受けていましたが、当時通っていた病院は、毎回聴診をしない先生だったため、症状が出てからの発見となってしまいました。もちろん早期で見つけられなかったのは先生のせいではなく、飼い主であるわたしの責任です。病院の選択が違っていれば、もっと早くに投薬治療を始められたかもしれないし、何よりももっと注意深くみていれば、体調の変化に気付けたのに、という後悔がとても大きいです。

寿命だから仕方ない、といわれるかもしれません。でも飼い主としては、やっぱり老衰で天寿を全うしてほしかった。

元気に天寿を全うしてもらうためには、異変に少しでも早く気づいてあげることしかないと思っています。

健康診断は、異変があるかないかを見極めるための方法です。シニアといわれる年齢になったら、異常が見られなくても毎年の検査を受けて、大切な愛犬の命を守ってあげてくださいね。

 

 

ライター:福井 惠子

 

 

【犬の健康】気をつけよう、公園のお散歩

愛犬情報

犬種:ビーグル

病名・症状:吐き気・嘔吐

発症年齢:9歳

発症の経緯:散歩時~帰宅後に吐き気を催す

治療法:胃薬等

 

 

胃腸の不調?それとも…

 

我が家の末っ子みのすけは、今年10歳になります。

年の離れたおねえちゃんがふたりいたこと、今まで大きな病気もなく過ごしてこれたことなどから、まだまだ若いと思い込んでいましたが、実際は十分シニアの年齢。

みのすけは胃腸が弱く、ご飯の後に吐き気を催したり、食糞して吐いたりというのはよくあります。嘔吐やえずくといった行為は若い頃から見られ、病院で調べてもらいましたがどこも異常なし。早食い防止の器に変えたり、台の上に載せて食べさせるようにしたら治まったことから、胃腸が弱いのだろうという結論になりました。

1年前に今の病院に転院してから再度調べてもらいましたが、そこでも異常なし。心配はいらないだろうとのことで、胃壁を保護する薬を頓服としてもらっている他は特に治療はしていません。

今までは吐き気を催すのは室内だけで、たいてい早食いなど原因がある程度わかるものでした。

ところが、先日お散歩の最中に突然吐き気を催すということがありました。

最初は解体中の家の前を通りかかった時に突然咳をしてえずいたため、埃っぽかったのかなと思いましたが、翌日になり今度は公園で吐き気を催したんです。嘔吐はしませんでしたが、帰宅するまでの歩いている間も咳をしたりえずくという行為が続き、帰宅してからもなかなか治まりませんでした。

その後も公園でクン活している時に、突然えずくことが数回ありました。

 

 

吐き気の原因

 

みのすけのお散歩は、たいてい自宅から一番近い公園に行きます。その公園の外周は一段高くなっていて、数メートルごとに大きな木が植わっています。みのすけの排泄は基本室内のトイレですが、お散歩に行くとマーキングしたがるため、できるだけ他の方の迷惑にならないよう公園の周りに植わっている木のところでだけ数回マーキングをさせてもらうようにしています。

木の間には雑草が生えていて、みのすけは草が生い茂っているところに行こうとします。いかにもノミやマダニがいそうな雰囲気なので、できるだけ草むらは避けるようにしていますが、すべての草むらを避けることは難しい状態です。

今年は5月でも初夏のような日が続き、公園でも雑草が一気に増えました。あまりの雑草の量に、お散歩コースを変えようかと思っていた矢先、雑草がきれいに刈り取られていました。

以前ご高齢の方たちが、ゴミ袋を持って落ち葉を掃除されているのを見かけたことがあったので、おそらくご近所の有志の方々が掃除してくださったのだと思います。

キレイになったのでこれで安心だ、と思っていたら、クン活していたみのすけがまた吐き気を催しました。さすがにおかしいと思い、もしかしたら公園に何かあるのか、とよく観察して見たところ、この時期なのに刈り取られた後の少しだけ残った草が枯れてました。

 

そこでやっと、除草剤が撒かれているかもしれない、ということに気付きました。

 

 

除草剤の影響

 

みのすけの散歩は、たいてい夜に行きます。夜だと公園で遊ぶちびっこもいないので、遠慮せずにお散歩できるからなんですが、暗いと目があまり見えないので、草が枯れていることに全然気づきませんでした。

帰宅後すぐに除草剤の影響についてググってみました。

除草剤中毒は、犬が除草剤が散布された植物を舐めたり、除草剤が散布された地面を歩いて足の裏や体についた除草剤を舐めたりすることで発生する可能性があるそうです。

 

除草剤の影響で起こる症状

  • 下痢
  • ふらつき
  • 嘔吐
  • 血尿、血便
  • 食欲不振
  • 脱水症状
  • 呼吸困難
  • 沈鬱
  • 痙攣

 

みのすけは草の匂いを嗅いだだけで吐き気を催しました。幸い少し匂いだだけで、すぐに引っ張って離れたことと、お散歩後は必ず足を洗って体を濡れタオルで拭くので大きな影響はなかったと思いますが、もし草を食べていたら…と考えると震えあがりました。

公園をきれいにしてくださっていることはとてもありがたいですし、お散歩できる場所が近くにあるのは嬉しいことです。

誰もが心地よいと思える公共の場所をきれいに保つ、ということはとても難しいです。そこを使う全員が、きれいに使うことは当たり前ですが、草木などは手入れをしないと伸び放題になります。特に雑草を抜くのは人の手を使いますから、とても労力がいりますし、除草剤を使用するのは仕方のないことです。実際この公園で除草剤を散布しているかどうかはわかりませんが、みのすけの吐き気や枯れている草を見る限り、散布されている可能性が高いと思います。

我が家には庭がないので、雑草の手入れなどをすることがなく、除草剤という存在自体に縁がありませんでした。知らないって本当に恐ろしいなと思いましたし、今回の一件で、お散歩中も気をつけないといけないと改めて感じました。

先日病院で健康診断を受け、除草剤の件を伝えて検査してもらいましたが、特に大きな問題はなかったのでホッとしました。

 

 

世の中の方全員犬や猫が好きではありません。中には怖い思いをして苦手になった方もいるでしょう。Twitterでは、近所の公園に毒団子が撒かれていて被害にあった、という投稿を見かけることもあります。

実際、うちの近くの公園では、近所の方が公園内で猫を飼っておられるようで、フードの器がベンチに置きっぱなしになっています。またノーリードのワンコを公園内で散歩させている方もおられ、みのすけを連れていった時にすごい勢いで吠えながら威嚇されたこともあります。いまだに犬の糞がそのままになっていたり、個人宅の壁などにおしっこをさせている方も見かけます。

こういう飼い主さんがいる限り、犬猫が嫌いな方の憎悪は弱い犬猫に向くこともあるでしょう。許しがたいことではありますが、我慢の限界を超えてしまった時に、毒団子を撒くというような悲しい結末を迎えてしまうこともあるのかもしれません。

また公園の除草剤のように、大切な愛犬の健康に害を及ぼす危険性の高い毒が身近なところにある可能性もあります。今回の公園での出来事は、除草剤と決まったわけではありませんが、多少なりとも体に悪影響があったと思えることが実際に起こってしまいました。

 

わたしのように、知らず知らずのうちに大切な愛犬を危険な目に合わせていることもあります。公園などにお散歩に行かれる飼い主さんは、どうかお気をつけくださいね。

 

 

ライター:福井 惠子

 

 

【お知らせ】グッズを作ってみました

こんにちは、ワンワンラボの福井です。

いつの間にか元号が平成から令和にかわり、あっという間にGWも終了。すっかり時代に取り残された感満載です。

ニコが旅立ち、続けざまにクリンもあっという間にいってしまい、以来時間が止まっているような感じが続いています。普段は元気ですが、ペットロスは一生続くのだろうと思っています。

 

 

グッズを作ってみました

 

 

先日、自分で好きにTシャツをデザインできるサイトを見つけ、いろいろと作ってみました。

Tシャツは好きで、ほぼTシャツを着て過ごしていますが、自分でほしいデザインがなかなかなくて、たいてい無地のものを選んでいました。このサイトは自分でデザインを作ることができて、しかもスマホでも操作できて、とても使い勝手がいいので、ライターの奥村さんと一緒にいろいろと作ってみました。

 

ワンワンラボショップ

 

自称犬バカの飼い主さん向けに作りました。

 

 

 

Mack&Shake

 

ダックスさんLOVEな方におススメです。もちろんモデルはMackくん♪

 

 

こんな風に、我が子をプリントしたりも簡単にできます。しかも1枚からプリントできるという、とても使い勝手のよいサイトです。

ご購入いただいた売上の一部は、ワンワンラボの運営費と、保護活動をされている個人様や団体様に寄付をさせていただきます。大きなことはできませんが、少しずつでも自分たちにできることをやっていこうと思っています。

 

パソコンが苦手という方でも簡単にできるので、ご興味のある方はぜひのぞいてみてくださいね!

 

 

 

 

【老犬の病気】高齢犬の積極的治療のメリット・デメリット(3)

愛犬情報

犬種:ミニチュアダックスフンド

病名・症状:歯周病・子宮の不具合・ヘルニア

発症年齢:14歳~・15歳~・18歳

発症の経緯:14歳の時突然右頬が腫れあがった

治療法:投薬~歯石除去&抜歯手術・再生医療

 

<関連記事>

【老犬の病気】高齢犬の積極的治療のメリット・デメリット(1)

【老犬の病気】高齢犬の積極的治療のメリット・デメリット(2)

 

 

ヘルニア治療スタート

 

クリンが手術を受けてから、それまでずっと悩んでいた食べムラ・食い渋りが少しずつ改善されていきました。

術後数日はほぼ食べませんでしたが、術後5日目にフードを食べてくれるようになってからは、ほぼ毎日フードを食べるようになりました。多少のムラはありましたが、術後2週間で抜糸してからは食欲も安定し、食べないという理由での強制給餌の回数も減りました。

ところが、抜糸しても曲がった腰はそのままの状態でした。最初は傷がつっぱるのかと思っていましたが、それがヘルニアの痛みが出始めたサインでした。手術後もお散歩は大好きでしたし、歩けなくなるということはありませんでしたが、腰の曲がりは一向に改善されませんでした。

検査の結果、椎間板ヘルニアの痛みが出始めたということがわかりました。

先生のお話では、術前にも腰の痛みがあったかもしれないが(レントゲンの画像診断では痛みが出ているレベルのヘルニアとの診断でした)、それよりも子宮と歯の方の痛みが強く、ヘルニアの痛みはさほど気にならなかったのだろう、とのことでした。

痛みはあるものの、生活に大きな支障はなかったことから、「アデクァン」という薬剤を筋肉注射する治療をすることになりました。

これは、痛みのある部位にクッションの役割となる物質を注射するという治療法で、最初の1ヶ月は週2回(月8回)の注射をし、その後少しずつ回数を減らしていき、月1~2回は継続して注射を打つという治療法でした。

初めてのヘルニア治療でしたが、注射が効いたようで痛みは随分軽減されたようでした。副作用も心配なかったので、この治療を継続することにしました。

治療を始めて3ヶ月は順調でしたが、注射を月1回にしたところ、腰の痛みが再発したようでした。クリンの場合は体に不具合や痛みがあると食い渋りが出るため、食欲が落ちたり食いつきが悪くなるとすぐに病院に行きました。

鍼治療とアデクァン注射の回数を増やして様子見していましたが、ほどなくしてまた食い渋りが出始めました。4月半ばのことでした。実は以前よりヘルニアと水頭症治療のために「再生医療をしてはどうか」と提案されていましたが、なかなか炎症が治まらなかったため、先送りになっていました。

再生医療をする方向で血液検査をしてもらったところ、なんとCRPが19という結果でした。原因はやはり歯の不具合でした。

クリンは投薬の失敗から口を触らせてくれなくなり、歯石を取ってもらってからも歯のケアはほとんどできず、手術からたった5ヶ月で結構な量の歯石が付いていました。

若い頃はしっかり噛んで食べられますし、お水もたくさん飲むことができるため、口の中に食べかすが残りにくいのですが、高齢になると飲み込む力が落ち、口の中に食べかすが残りやすくなるため、どうしても歯石が付きやすくなるようでした。

残念ながら、再生医療は一旦お預けとなり、歯の炎症を抑える治療をすることになりました。

 

 

再生医療~二度目の手術まで

 

歯の炎症を抑えるため、抗生剤を処方されました。高齢のため、できるだけ副作用が少なくて、体に負担のない薬を選んでいただきましたが、薬の耐性がついてしまっていたこともあり、長期にわたり薬を飲み続けることになりました。週に1~2回血液検査を受け、薬の効きを確かめ、数値が改善していないと薬の変更をするということを数度繰り返しました。

クリンは肝臓が弱く、転院した当初からGPT数値は100を超えていました。腎臓は大きな問題がなかったため、最初は肝臓に負担の少ない薬を選択しましたが、効きが悪かったので肝臓に負担のかかる薬に変更しました。なんとか炎症数値は治まりましたが、GPTが500を超えてしまったため、抗生剤をストップして再生医療も数値が落ち着くまで見送りとなりました。

※薬は肝臓に大きく負担のかかるタイプと腎臓に大きく負担のかかるタイプの2種類あるそうです。

 

それから約4ヶ月間投薬とヘルニア治療を続け、8月になりやっと再生医療を受けることができました。再生医療後はとても調子がよくなり、足取りも軽やかになりました。10月には頸椎ヘルニアの痛みが出始めたため、二度目の再生医療を受けました。

再生医療は副作用がほとんどないためリスクが低く、ヘルニアだけでなく脳疾患や心臓・腎臓など、治療が難しい病気にも効果が期待できる反面、癌や炎症などがある場合はそれを悪化させてしまうこともあるそうです。

クリンの場合は、問題のあった歯に影響があったように思います。歯石取りと抜歯してからも、歯の炎症が治まらず、1回目の歯の処置をしてから今年の3月までの1年4ヶ月の間で、抗生剤を飲まなかったのは3ヶ月あるかないかくらいでした。

もしクリンがもう少し若ければ、問題のあった奥歯を抜歯してもらっていたと思いますが、クリンの年齢を考えると長時間の麻酔は非常にリスクが高く、ぐらつきのある歯しか処置ができない状態でした。

再生医療の影響もあってか、抗生剤を止めると炎症数値が上がり、また薬を飲むということを繰り返していて、肝数値も少しずつ上がっていたため、いつかは歯の治療が必要になると考えていました。一度目の再生医療をした後の9月から、歯の状態をこれ以上悪くしないために「デンタルバイオ」という口内細菌の繁殖を抑えるサプリメントを使うようになりました。

 

わたしは過去に何度も「もっと早くやっておけばよかった」と後悔することがありました。もっと早く転院して子宮を取ってもらっていたら、こんなに食い渋りに悩むこともなかったかもしれませんし、高齢のクリンに痛い思いをさせずに済みました。投薬の失敗から口の中を触れなくなってしまったのも、最初からシリンジで飲ませることができていれば、こんなに歯の状態が悪くなることもなかったと思います。この後悔から、できるうちにやれることをやった方がいい、と考えるようになりました。

歯の菌の怖さについては、いつも病院で聞かされていました。歯が悪い場合は最優先で治療をした方がいいし、悪いまま放置すると他の臓器に影響を及ぼす可能性が高いといわれていたため、先生からストップがかからない限り、できる治療は何でもやろうと考えていました。

先生に歯の治療について相談したところ、調子がいいうちに処置をした方がいいだろうとのことで、2018年12月3日に2回目の抜歯と歯の掃除をしていただくことになりました。

 

 

2度目の手術~術後の変化

 

歯の処置をする時、クリンは18歳10ヶ月になっていました。病院でも麻酔をする最高齢だといわれました。もちろん不安はありましたが、先生を信頼していたこと、これが最後のチャンスであることから、迷っている時間がもったいないと考えました。

 

そして手術当日を迎え、オペ前検査すべて無事クリア。クリンは麻酔に耐え、無事帰ってきてくれました。抜きたかった奥歯はまったくぐらつきがなくて手付かずとなりましたが、小さな奥歯を1本だけ抜いてもらいました。トータルでかかった時間は、歯の掃除と合わせて20分弱でした。

麻酔はガスのみで挿管はしなかったそうです。管を喉に通そうとしたら、ガスで眠っているはずなのに全力で喉をしめて管を阻止したそうです。「この子は誤飲することはないと思うよ」といわれ、思わず笑顔になりました。

術後の経過は順調で、多少の食い渋りはみられましたが、1日1回はフードを食べてくれましたし、二度の再生医療の効果もあり、ヘルニアについては痛みもないようでした。相変わらず歯を触られるのは嫌がっていましたが、痛みが軽減したこともあり、以前よりは反応しなくなっていたので、食後に食べかすが残らないよう、シリンジで唇と歯の間を洗浄したり、指で食べかすを取ってできるだけ歯石がつかないようにケアすることができました。

二度目の麻酔は、時間が短かったため術後も平熱体温だったこと、その後の血液検査でも問題なしだったので、影響はほぼなかったと思います。計2回の手術はどちらもうまくいきました。ヘルニアという不具合は出ましたが、これも想定内。わたしはやってよかったと心から思います。

ただ、もう少し若い頃にしてあげればよかった、と思っています。

もっと早く積極的な治療を選択していれば、クリンはもっと楽に過ごせたし、人間でいうと90歳を過ぎた年齢でこんなに痛い思いをすることもなかったでしょう。

そして高齢になればなるほど慎重に事を進めるため、医療費もかさみます。若い頃の避妊手術なら数万円で済みますが、クリンの場合は数十万円かかりましたし、術後の通院も若い子なら数回で済むところを、十数回は通いました。

 

 

老犬の医療費は、楽に旅立つための保険料

 

老犬になってからの医療費は、眠るように旅立つための保険料だと思っています。

クリンは14歳までほとんど病院のお世話にならず、心臓の薬を飲み始めたのは16歳になってから。毎月かかる医療費は17歳になってからぐんと上がり、旅立つまでの約2年間でかなりの金額になりました。でも後悔はまったくありませんし、やってよかったと思っています。

クリンが18歳を超えてから、近い将来に必ずやってくるお別れの覚悟を少しずつしていました。いつか来るその時に、笑って見送ってやれるように、自分にできることはできる限りどんなことでもしよう、と心に決めていました。

もし昨年12月に歯の治療をしなければ、もう少し長生きしてくれたかもしれませんし、歯の不具合もさほど問題なかったかもしれません。でも治療をしなければ、抵抗力が落ちて体中に菌が回ってしまい、心臓が悪くなったり、他の臓器に不具合が出ていたかもしれません。

積極的治療を選択したからこそ、最後の血液検査・エコー検査でほぼ問題なしと診断され、治療を一旦終えることができ、「元気なままピンコロ」で旅立ってくれたのだと思っています。

何よりも大切なのは、飼い主自身が納得して決断しているかだと思います。先生に遠慮して質問できなかったり、セカンドオピニオンを受けたいけど言い出せなかったり、不安な気持ちのまま治療を続けることは、のちに後悔することになってしまうのではないでしょうか。

 

クリンは19歳の誕生日以降、目に見えて機能が落ちました。ご飯を食べても太れなくなり、食べる量が少ないとすぐに体重は減ってしまいました。お散歩では楽しそうに走っていましたが、リードを引っ張っていないと転んでしまうこともありました。後足がつっぱってうまく曲がらないことや、前足が脱力して転倒してしまうこともあり、車いすを使おうか考えていた矢先の旅立ちでした。

きっとクリンは、自由に動けなくなってしまう前に、自分の意志で旅立ったのだと思っています。

どんな困難にも立ち向かい、辛い治療に耐え、病気に負けず、天寿を全うしてくれた。そんなクリンを、わたしはとても誇りに思います。

 

 

積極的治療は良い面も悪い面もあります。

どんな治療法を選択するかは飼い主にゆだねられます。どの病院を選択するか、どの先生に診てもらうか、どの検査をしてもらうか、どの薬を使うかなど、すべてわたしたちが決めるほかありません。

そして、どれだけできることをしても、大切な我が子をなくす辛さは同じです。今まで当たり前に傍にいてくれた存在がいなくなってしまうことは、たとえ天寿を全うしてくれたとしても悲しいし寂しいし苦しいです。

でも、後悔や悔いがないだけで、心は救われます。

皆様の大切な我が子が、元気に長生きされますように。そしていつか訪れるその時に、笑顔でお見送りできますように。

 

 

高齢犬の積極的治療をして~飼い主としての感想まとめ

 

【良かったこと】

・食欲が増す/普通にご飯を食べてくれるようになった(食べムラ・食い渋りの改善)

・毎日元気に過ごせる/最期の時までお散歩に行くことができた

・日々の変化をそれまでよりも敏感に察知するようになり、体の不具合に早く気づけるようになった

・旅立つ直前まで元気に過ごしてくれた(元気あり、食欲旺盛、自力で排泄、穏やかな睡眠)

・天寿を全うしてくれたと思える最期を迎えることができた(飼い主の願い通り、元気なまま眠るように旅立ってくれた)

 

【良くなかったこと】

・麻酔で体温が下がることにより、別の症状(クリンの場合はヘルニア)が出始めた

・高齢で痛い思い(怖い思い)をさせてしまった

・高齢になればなるほど、医療費(治療費用)がかかった

 

 

 

 

 

ライター:福井 惠子

 

 

【老犬の病気】高齢犬の積極的治療のメリット・デメリット(2)

愛犬情報

犬種:ミニチュアダックスフンド

病名・症状:歯周病・子宮の不具合・ヘルニア

発症年齢:14歳~・15歳~・18歳

発症の経緯:14歳の時突然右頬が腫れあがった

治療法:投薬~歯石除去&抜歯手術・再生医療

 

【関連記事】

【老犬の病気】高齢犬の積極的治療のメリット・デメリット(1)

【老犬の病気】高齢犬の積極的治療のメリット・デメリット(3)

 

 

術前検査~手術当日

 

転院先の病院は、しっかりと検査をして状態をできるだけ正しく知る、という方針でした。

血液検査・エコー検査・心電図・血圧・CT・レントゲンなど、ありとあらゆる検査をしました。CTの結果、中度の水頭症であることがわかりましたが、当時は特に症状が出ていなかったため経過観察となりました。そして心電図で不整脈があることがわかりました。

歯の状態も悪かったのですが、何よりも子宮の方が問題がありましたので、今回は子宮摘出がメインで、心臓の状態によっては命優先で歯は治療できないかもしれない、といわれました。

そして麻酔に耐えうるかどうかの判断が必要となりました。ホルター心電図を装着して24時間の心臓の動きを確認することになりました。検査の結果、不整脈はあるものの、それ以外は大きな問題はないとの診断でした。

一通りの検査結果、現段階ではおそらく手術はできるであろう、との判断となりました。

とはいえクリンはまもなく18歳を迎える超高齢。年齢を考え、何かあった時にすぐに対処できるよう、他の手術の予定があまり入っていない日にしますとのことで、手術は2017年11月3日に決まりました。

 

早く手術を受けて楽にしてあげたいという気持ちと、もしかしたらそのままということもあるかもしれないという気持ちで、落ち着かないままいよいよ手術当日を迎えました。ワンワンラボライターの奥村さんが、わざわざお守りを送ってくださり、毎日手を合わせ、手術当日もポケットに忍ばせて持っていきました。

当日は血液検査と、麻酔で心臓が弱った際に使用する強心剤のテストと、血液凝固検査を受け、すべてパスしました。

麻酔が効くまでに30分、処置に最低30分はかかるだろうとのことで、早くて1時間くらいで出てくるといわれ、抱っこされて連れていかれました。

 

待っている間、ずっとお守りを握りしめ、無事を祈っていました。

病院の外で待っていたら、1時間立たずに看護士さんが呼びに来てくれました。看護士さんに抱えられて戻ってきたクリンは、まだ麻酔が効いて朦朧としていました。口は開いていて血を出していて、初めて見る姿にこのままどうにかなってしまうのでは…と思いました。この病院は基本飼い主がそばについているという方針でした。初めて見る術後すぐの朦朧としている状態は、本当に怖かったです。

体温が35℃台に下がっていたため、ヒーターと暖房と電気ストーブとドライヤーでクリンの体を温めてもらいました。ほどなくして声を上げ、顔を下に敷いていたバスタオルにこすりつけだしました。先生が降りてこられ、手術は問題なく無事終わったこと、歯石がかなりひどかったこと、歯自体の状態は思ったほど悪くなかったこと、1本だけ抜歯したこと、その他の歯はぐらつきなくしっかりしていたこと、時間の関係で歯石は取ったけど磨くまではしていないことなどを伝えられました。

子宮を見せてもらうと、片方の卵巣が大きくなっていました。「これが痛みの原因だったと思う」といわれ、もっと早くに転院していればこんなに痛い思いをしなくて済んだのに、と後悔しました。

 

 

術後の経過

 

術後30分くらいして、クリンは起き上がろうとしました。まだ朦朧としていたため、支えながらお座りの体勢にし、点滴をしながら体温が上がるのを待ちました。人間だと手術をした後にすぐに動けないと思いますが、犬はとても強いなと感じました。

昼からの手術で、術後は点滴、注射、投薬をしてもらい、そのまま様子見し、帰路についたのは夜10時を過ぎていました。

帰宅したら、さっそく部屋をうろうろと歩き出しました。傷が癒着しないよう、できるだけ動くようにといわれていたので、少しだけお散歩にも行きました。18歳目前といえば人間でいうと90前の年齢となりますが、足元のおぼつかないままクリンは走ろうとするんです。

クリンの生命力の強さに感動し、この子は大丈夫だと心から思えました。

翌日からは少しずつ食事をしてくださいといわれましたが、なかなかすんなりとは食べてくれませんでした。元々食べムラ・食い渋りがあったことと、今までべったりついていた歯石がなくなり、口の中がいつもと違うことに戸惑っているようでした。奥歯の頬側にもたくさんついていて、その違和感がなくなったことが、今までと違うためかえって違和感に感じたのだと思います。

それともうひとつ。術後の点滴のため、前足には留置針が入っていました。クリンはとにかくこれが嫌なようでした。

結局手術当日と翌日の丸2日は何も口にしませんでした。食欲が戻るまでは朝晩の点滴で水分と栄養を補給してもらい、術後2日目の夜にやっと水と牛乳を少し飲み、当時お気に入りだったおやつを少し口にしました。

その翌日病院に行った時、留置針が嫌で食べないかもしれない、と伝えました。本当は食欲が戻るまではそのままの方がいいとのことでしたが、17年クリンと一緒に過ごしてクリンの性格はよくわかっていたので、食べない理由はこれもあるような気がしたんです。

無理を承知でお願いして留置針を抜いてもらい、皮下点滴と注射で対応してもらうことになりました。

飼い主の予想は見事的中し、帰宅後鶏肝の水煮を少しを食べ、薬を飲んだ後はスイッチが入ったように大量の牛肉をバクバク食べてくれました。

多少の食べムラはあったものの、その日を境に食欲は徐々に戻り、どんどん元気になっていきました。

 

 

手術大成功~想定内の弊害

 

子宮の痛みがなくなり、クリンはみるみる元気になりました。

17歳9ヶ月で一大決心して受けた手術は、大成功に終わりました。ちなみに病院の手術最高齢を更新しました。

この年齢で手術を勧めてくださった先生には感謝しかありません。転院していなければ、クリンは19歳を超えるまで長生きしてくれなかったと思います。

 

大好きなお散歩では走るスピードがアップし、まるでうさぎのように跳ねるように走っていました。

抜糸までは術後着を着ていたため、少し動きにくそうにしていました。お腹のつっぱりがあるようで、少し腰を浮かしたような姿勢でした。傷口も順調に治り、約2週間後には無事抜糸となりました。

やっと術後着を脱ぐことができましたが、クリンは腰を浮かしたような姿勢のままでした。

 

これは、ヘルニアの痛みが出始めたサインでした。

手術前に、麻酔の影響で体温が下がるため、その影響で他の部分に不具合が生じる可能性がある、と聞いていました。クリンはレントゲンで椎間板ヘルニアがあることがわかっていたため、もしかしたら痛みがでるかもといわれていました。

事前に知らされてはいたものの、ここで始めて手術を受けたことによるデメリットを感じました。

 

関連記事:【再生医療】ヘルニアの新しい治療、ステムセル(幹細胞)①

【再生医療】ヘルニアの新しい治療、ステムセル(幹細胞)②

 

 

 

【老犬の病気】高齢犬の積極的治療のメリット・デメリット(3)につづく

 

 

ライター:福井 惠子

 

 

【老犬の病気】高齢犬の積極的治療のメリット・デメリット(1)

愛犬情報

犬種:ミニチュアダックスフンド

病名・症状:歯周病・子宮の不具合・ヘルニア

発症年齢:14歳~・15歳~・18歳

発症の経緯:14歳の時突然右頬が腫れあがった

治療法:投薬~歯石除去&抜歯手術・再生医療

 

【関連記事】

【老犬の病気】高齢犬の積極的治療のメリット・デメリット(2)

【老犬の病気】高齢犬の積極的治療のメリット・デメリット(3)

 

 

積極的治療の選択

 

我が家の長女クリンは、17歳9ヶ月と18歳10ヶ月の時に積極的治療を選択しました。一度目は子宮摘出手術と抜歯と歯の掃除、二度目は抜歯と歯の掃除で、共に麻酔をしての処置となりました。

まもなく19歳を迎えるという年齢での全身麻酔はとてもリスクが高く、どんな影響があるかは、実際にやってみないとわからない、といわれました。

 

ではなぜリスクを背負ってまで積極的治療をしてもらったのか。

それは不具合を放置することで、他の臓器に悪い影響を与える可能性が高い、と考えたからでした。

高齢になってから体の不具合で悩まれている飼い主さんはたくさんいらっしゃると思います。特に大抵の老犬は歯が悪い子が多いと聞きます。犬の場合、歯の治療も全身麻酔となります。

年を重ねるほど麻酔のリスクは高まります。すぐに命に直結する病気などの場合は早めに処置を希望される飼い主さんが多いと思いますが、歯の治療になると投薬などで様子見される方がほとんどで、積極的な治療をするか悩んでおられる飼い主さんも多いのではないでしょうか。

今回はクリンが実際に17歳9ヶ月と18歳10ヶ月で積極的治療を選択した経緯と、自分自身が感じた積極的治療のメリットデメリットについて書かせていただきたいと思います。

 

 

不具合の始まり~右頬の腫れ

 

クリンが14歳のある日、突然頬が腫れあがりました。いきなり右目の下がぷっくりと腫れていて、驚いてすぐに当時通っていた病院で診察を受けたところ、歯が原因であるといわれ、数種類の薬を処方されました。

この薬、後でわかるのですが、実は「ステロイド」でした。

薬を飲むとすぐに腫れは治まりました。でも薬をやめるとまたすぐに腫れ出して、当時全く知識のなかったわたしは、その病院で出される薬がとても効果があるのだと思っていたんです。でもこれって、実はただステロイドで腫れを無理やり抑えているだけで、根本治療は全くしていないんですよね。

もしその時、今の病院に通っていたら、おそらく抜歯などの根本治療を選択していたと思います。

ちょうど同じくらいの時期に胆泥症が発覚し、胆のう摘出手術を強く勧められたことが病院に対する不信感となり、セカンドオピニオンを希望しました。そして投薬で治療してもらえる病院に転院しました。転院先の病院で、歯の腫れのことも相談し、その時は歯石はさほどひどくなかったため、麻酔なしで歯石を取ってもらいました。それ以降歯の腫れは一旦落ち着いたため、そのまま何もせずに過ごすことになりました。

この頃は、14歳でもかなりの年齢だと考えていました。今思うとめちゃくちゃ若いなぁと思いますが、当時は寿命は15歳くらいなんだろうと漠然と思っていました。なので14歳で手術なんて…と考えていました。

そして、この時強く勧められた胆のう摘出手術について、このままだと命の危険性があるとまで言われていましたが、転院先の病院では胆のう摘出については、する必要はないといわれました。

 

余談になりますが、この病院はニコの乳腺腫瘍を発見し手術をしてもらった病院でもあります。しかしこの病院を選択したことが、ニコの心臓病を発症したきっかけになったと思っています。あくまでも主観であり証拠などはありませんが、主治医の先生はオペ経験が少ない方で、恐らくニコの手術の際に長時間の麻酔をかけたことで心臓に負担がかかったことが心臓病発症の原因であったと考えています。飼い主の知識不足でニコの寿命を縮めてしまったことは、今でも大きな後悔として残っています。

病院選びは我が子の寿命に直結しますし、本当に心から信頼できる病院に出会うことはとても難しいことだと改めて思います。

 

 

ターニングポイントとなった15歳の出来事

 

2015年5月、クリンが15歳の時に突然前足を引きずりだしたことがありました。この時に処方された痛み止めの薬で胃が荒れたことでご飯を食べない日が出てきて、6月にヒートになった時から本格的に食べムラ・食い渋りが始まりました。

このヒートでは、いつもより経血量が多く、検査の結果子宮内に水があるといわれました。診断は子宮水腫。子宮蓄膿症の前段階のような病気です。

 

※当時、食欲について書いていたメモ

 

このまま3ヶ月ほど食べたり食べなかったりを続け、やっと落ち着いた10月に、またヒートが始まりました。ここでまた食べない日が続き、点滴を受けながら様子見していましたが、突然クリンの具合が悪くなり、膵炎の疑いで入院することになりました。

薬を飲まないと相談したところ、先生から「口を開けて喉の奥に入れるか、好きな食べ物に隠して食べさせて」といわれました。これこそが、この後約4年に渡って悩むことになる「食べムラ・食い渋り」の始まりであり、口腔ケアが一切できなくなった原因になりました。

先生にいわれた通り、無理やり口をこじ開けて飲ませようとし、何度も失敗しました。

「何とか薬を飲ませなきゃ!」という一心で、鬼の形相でクリンの口をこじ開け、薬を入れて口を閉じさせる。最初の何回かは飲ますことができましたが、その後は全く口を触らせてくれなくなってしまいました。

実はこの薬、めちゃくちゃ苦かったんです。

あまりに嫌がるため、ある時ふと「どんな味なんだろう」と思い、薬を少し舐めてみたんです。すると驚くほど苦いことがわかりました。焼いた牛肉に薬を巻きつけて隠していたため、薬が肉の水分で溶けて肉自体が苦くなっていたんです。

クリンはとても聞き分けのいい子でした。それまでは口の中をガーゼや指でこすったり、歯ブラシを噛ませたりしていました。全然嫌がることもありませんでしたし、ケアする時はとてもおとなしくしてくれていました。頻繁にしていたわけではありませんが、それだけのケアでも歯石は少ししかついていませんでした。

ところが投薬の失敗から、全く口を触れなくなりました。食べ物への不信感が生まれ、食べることを嫌がるようになり、食べムラ・食い渋りによりフードを食べてくれなくなったことなどから、口の中の状態はどんどん悪くなっていったように思います。

 

そしてクリンが15歳になり、今度は子宮の不具合が発覚しました。ヒートから陰部の腫れが引かず、食欲が落ちたため病院で検査をしてもらったところ、子宮内に水が溜まっているのがわかりました。恐らくこのあたりから子宮に痛みが出始めたのだと思います。

口腔ケアができなくなったことでの歯の不具合と子宮の痛み。これこそがクリンの食べムラ・食い渋りの原因でした。

 

関連記事:【備忘録】クリンの体調

 

 

投薬治療~手術の決心

 

口腔ケアができなくなってから約2年。その頃には目で見てわかるくらい歯石がひどくなっていました。特に奥歯はべったり歯石がついていて、口の中はかなり不快だったと思います。

17歳8ヶ月の時、口を痛がるようなしぐさが見られたため、最初の時にペンチのような器具で歯石を取ってほしいとお願いしたところ、クリンは口を触られるのを嫌がるため無理、といわれました。これがきっかけで転院することを決意しました。

 

転院先は、ブログで知り合った方が長い間通っておられた病院でした。

病院によって治療の選択は大きく変わります。クリンはすでに18歳目前。前の病院では、14歳の時に積極的治療はリスクが高いから内科治療をしましょうといわれていましたが、この病院は「治せるものは治す」という考えでした。

歯の状態がとてもひどいこと、そして初めての診察の時、触診で子宮の痛みがあることをすぐに指摘されました。

先生は、「歯の治療について、飼い主さんは割と軽く考えている人が多いけど、本当は歯は命取りになる」といわれました。

歯の菌はとても恐ろしく、それが原因で心臓が悪くなり、あっという間に旅立ってしまう子もいるとのことでした。

病院によっては投薬で抑える治療を選択されるところもあります。実際にクリンも最初に歯が腫れた時は、ステロイドで抑えるという根本治療とはかけ離れた治療をしていましたし、病院の選択次第で全然治療法が違うということを思い知りました。

年齢的には非常にリスクが高かったのですが、子宮に痛みがあること、このまま放置すると子宮蓄膿症が重篤化し、命にかかわる可能性があるため、もし治療するなら1日も早く取ってしまう方がいいこと、そして歯の不具合を放置したら、他の臓器に悪影響を及ぼす可能性があること。年齢を考えると、迷っている時間はありません。老犬になると、ほんの少しの時間も命取りになります。

わたしはクリンの生命力を信じ、すぐに手術することを決意しました。

 

 

【老犬の病気】高齢犬の積極的治療のメリット・デメリット(2)に続く

 

 

ライター:福井 惠子

 

 

【シニア犬の食事】老犬(高齢犬)の食べさせ方の工夫

愛犬情報

犬種:ミニチュアダックスフンド

病名・症状:老化によりご飯がうまく食べられなくなった

発症年齢:18歳半~

発症の経緯:老化による視力・嗅覚の低下

治療法:自宅ケア

 

 

目に見えて進む老化現象

 

我が家の愛犬クリンは、先日19歳1ヶ月の生涯を終えました。

クリンはとても丈夫で、14歳の時に胆泥症が発覚するまでは持病もありませんでした。

ところが、投薬の失敗がきっかけで「食べムラ」「食い渋り」に悩むようになりました。体調不良が重なり入院した時は、食べなさ過ぎてこのままだと危ない、とまでいわれたこともありました。

若い頃は1日食べなくても問題ありませんが、老犬にとっては一大事。食べないとすぐに痩せてしまい、体力が落ちてしまいます。

食事は毎日のこと。どうしたら食べてくれるか、日々悩み続けました。先輩飼い主さんからアドバイスをいただいたり、いろんなフードを試したりしながら、何とか食べてくれるようになりました。

体の不具合が治まり、かなり食欲も改善され、食べない悩みから少し開放された18歳半を超えた頃、新たな悩みが生まれました。

今までは「食べたくないから食べない」だったのが、「食べたいけどうまく食べられない」に変化していたのです。

今回は、クリンがご飯をうまく食べられなくなった時に実践していた「食べさせ方」を紹介させていただきます。

 

 

徐々に衰える機能

 

クリンは18歳を迎える前までは目が見えていました。当時は自宅前でノーリードで運動をさせていましたが、一目散に飼い主に向かって走ってきてくれていました。

毎日お散歩と自宅前での運動を続けていました。ヘルニア予防のため、大きな段差は避けていましたが、小さな段差はあまり気にしたことがありませんでした。

ところが、ある日いつものように自宅前を走っていた時、玄関前のほんの数センチの段差につまづいたことがありました。それまでは段差前で止まっていたんです。

それからどんどん視力は低下し、18歳半を迎える頃には、うっすら光を感じる程度にまで視力は低下していたようです。

視力と共に、嗅覚も低下していきました。今まではおやつなどを近づけると、鼻をクンクンする仕草を見せていましたが、この頃になると鼻先につけないと気づかなくなっていました。

視力・嗅覚が衰えると、食事をするのも大変になりました。

それまではお皿にフードを入れて、高さ調節してやればご飯を食べてくれましたが、目も鼻も利かなくなると、ご飯がどこにあるかがわからなくなり、同時にうまく距離感を測れなくなっているようでした。

ご飯を食べたくても、お皿に顔をうまく近づけることができなかったり、鼻をお皿で強打してしまうこともありました。

年齢と共にわがままに頑固になってきたこともあり、些細なことでもご機嫌を損ねると食べなくなりました。

このあたりから、うまく食べられるようにするにはどうすればいいかを考えるようになりました。

 

 

食べさせ方①:ご飯の場所を確認させる

 

食べムラ・食い渋りでご飯を食べさせることにとにかく苦労していたので、食事はまずは食いつきのいいトッピング用のジャーキーや肉などを先に食べさせるという方法をとっていました。

器を2つ用意し、1つの器に先にジャーキーなどをおろし金ですりおろします。もう1つの器に、ドライフードを準備し、その上にジャーキーをすりおろしたものをふりかけ、全体を混ぜ合わせておきます。

そして、食事台の前にクリンを座らせ、2つの器を床にセット。まずすりおろしジャーキーの器を手に取り、クリンの鼻に器の中にあるジャーキーを近づけます。その時に少し鼻先にジャーキーをつけると、たいていペロッと舐めてくれます。

クリンの場合、ペロッと舐める=今日はこのジャーキーを食べる、という合図だったので、すかさず器をクリンの口元に持っていき、今度は口先にすりおろしジャーキーを少しつけると、そのままペロペロと食べ始めてくれました。

そのまま少しずつ器を降ろしていき、食事台のところまで誘導します。この時クリンはずっとジャーキーを舐めています。

台の上にセットできたら、もうひとつの器に準備していたフードを、ティースプーンで横からそっと入れていきます。

フードに絡めるジャーキーを多めにしておくと、器のすりおろしジャーキーからジャーキーまみれのフードに変わった時に、比較的違和感なく食べてくれます。

ジャーキーを食べているつもりが、いつの間にかフードに変わるんですが、先にジャーキーの味がするからか、この方法だと比較的うまくフードを食べさせることができました。

ただしひどい食い渋りの時は、フードとわかったらすぐに逃げていました。逃げられた時はめちゃくちゃガッカリしたものです。

 

 

食べさせ方②:汁物を使う

 

最初は①の方法で問題なく食べることができていましたが、今度はうまく飲み込めないという悩みにぶち当たりました。人間でも固いものがうまく食べられなくなったり、喉に詰めてしまうことがありますが、犬もまったく同じでした。

特にドライフードは口の中の水気をとってしまうのか、もさもさしてとても食べにくそうにしていたので、鶏ガラ・ささみ等を水煮にしたスープや、牛乳(クリンは牛乳が大好きで、下痢もしなかったためずっと使っていました)を一緒に与えるようになりました。

これもやり方は①と同じで、先にスープまたは牛乳を入れた器を口先に近づけ、飲みだしたら少しずつ器を下げ、食事台にセットできたら、横からフードを少しずつ入れていきました。

この方法も結構うまくいきました。

 

 

食べさせ方③:スプーンを使う

 

クリンが18歳8ヶ月の時、頸椎ヘルニアが発覚しました。それまでは食事台の上に置いた食器に顔を近づけていましたが、ある時から器に顔を近づけなくなりました。食事台に誘導しようとしても、下を向かないため、フードに誘導するのが難しくなりました。

そして飲み込む力がさらに落ち、4mmほどの超小粒フードもうまく食べられなくなっていました。この頃からフードプロセッサーで細かく砕いたフードを与えていました。(クリンはお湯でふやかしたフードは食べませんでした)

器を顔に近づけたいのですが、下を向いてくれないため、器からこぼれてしまいます。

この時に使用したのがティースプーンでした。

この頃はスープか牛乳がマストだったので、ティースプーンでスープまたは牛乳をすくい、それを口元まで持っていきます。

クリンは水頭症があり、首を反らせる仕草が見られたため、最初の一口を飲ませるコツをつかむまでは結構大変でしたが、ペロッと舐めてくれると、その後は少しずつ首をおろして飲んでくれました。

最初は水分をティースプーン3~4杯くらい飲んでもらいます。そしてスープの器に砕いたフードを入れて、今度はスープ+ほんの少し砕いたフードが浮いた状態のものを飲ませるようにしました。

スープと思って飲んだものに、異物(フード)があるので、最初に口に入った時は少し拒否反応のような仕草がありましたが、そのままスープと共に口に入れてくれたら、少しずつスプーンですくうフードの量を増やしていきました。食事が進むとフードはスープと混ざってドロドロになりますが、水気があるため食べやすいようでした。

この方法は、クリンが旅立つ前日まで実践していました。同じものばかりだと飽きるので、牛乳・鶏ガラスープ・ミキサーでスープ状にしたウェットフードなどでアクセントをつけていました。ウェットフードは、お湯や温めた鶏ガラスープをフードプロセッサーで混ぜ合わせていました。温かいとより匂いが立ち、とても食いつきがよくなりました。

事前にドライフードを測っておけば、食べた量の把握ができるため、食事の管理をしたい場合に向いている方法だと思います。

 

 

若い頃は当たり前に食べてくれますが、高齢になってからは「食べてくれることがとてもありがたいこと」になりました。クリンは食欲にムラがあり、余計に食べてくれるありがたさを実感することができました。

19歳を超えてからは、食べても全く太れなくなりました。でも食べないとすぐに体重は落ちてしまうため、最後の2ヶ月は1日の食事の回数は4~5回になっていました。

1回の食事でかかる時間は、うまくいくと5分。なかなか食べ始めてくれない場合は30分を超えることもありました。

約4年食い渋りに悩んでいたので、当時は食べないことにイライラしたり、本気で怒ったこともありました。

でも、その悩みがあったからこそ、食べてくれるありがたさが身に沁みましたし、スプーンからとてもおいしそうにペロペロとご飯を舐めている姿は、もう可愛くて可愛くて、こんなに食べにくくなっているのに一生懸命食べてくれると思うと、嬉しくて泣いてしまうこともありました。

残念ながら、もうクリンはいません。「今日は食べてくれるかな」と毎日ドキドキでしたが、その悩みもありがたいことだったんだとつくづく思います。

 

 

皆様のおうちの大切な我が子が、今日もおいしくたくさんご飯を食べてくれますように。

 

 

 

 

 

ライター:福井 惠子

 

 

ご報告

我が家の愛犬クリンが、2019年3月17日の朝方、19歳1ヶ月16日の生涯を終えました。

飼い主が願っていた、元気にピンコロ。まさにこの通りに、ここ最近では一番いいというくらいの体調で、静かに旅立ちました。

 

1年前に不整脈が見つかり、主治医の先生からは「突然心臓が止まるかもしれない」といわれていました。それでも、2回の手術・麻酔に耐え、無事元気に戻ってきてくれました。

 

先週には、病院を一旦卒業できることになりました。血液検査・エコー検査共に大きな問題なしとのことで、健康維持のために鍼灸に通う約束で、次は2週間後に予定していました。

 

 

クリンは寝ている間に心停止を起こしたのだと思います。

ここ最近自力で起き上がることが難しくなっていましたが、寝ていた場所から自力で立ち上がり、布団の上に排泄し、いい状態の便も部屋に転がっていました。

そして、いつも飼い主が座っている指定席で、いつもの寝姿そのままで旅立っていました。

とても穏やかなお顔で、いつもの寝顔と全く変わりなく、寝ている間に心臓が静かに動きを止め、苦しむことなく最期を迎えることができたのだと感じました。主治医の先生に最期の状態を伝えたところ、寝ている間に心停止したのだろうとのことで、とても穏やかに旅立てただろうといわれました。

クリンはあえて飼い主がいない時に旅立ったのだと思いました。わたしがいる時だと、旅立つ邪魔をするかもしれないし、どんな選択をしてもきっとあとから後悔するだろうということを知っていたのだと思います。

 

 

クリンは旅立つ前日まで、ご飯を食べ、お散歩をしてくれました。そして旅立つ直前まで自力で立ち上がり、歩き、排泄してくれました。

元気に長生きし、元気なまま最期を迎える。ずっと飼い主が願っていたことを叶えてくれた、とても親孝行な自慢の娘でした。

 

わたしはクリンにたくさん助けられ、たくさんの愛情をもらい、たくさんの大切なことを教えてもらいました。

そして、クリンを通じてたくさんの愛犬家の皆様とつながることができました。

多くの方に愛され、応援いただき、クリンはとても幸せでした。

 

これからクリンとの新しい経験は残念ながら増えませんが、19年1ヶ月の生涯の中で、経験したこと、よかったと思うことなどを、不定期にはなりますが、このサイトで発信していきたいと思います。

 

今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

 

 

2019年3月18日

福井 惠子

 

 

関連記事:アメーバブログ「ありがとうございました」

 

 

【犬の老化】愛犬の機能を保つために飼い主ができること

愛犬情報

犬種:ミニチュアダックスフンド

病名・症状:老化による機能低下

発症年齢:17歳~

発症の経緯:年齢と共に徐々に衰える

治療法:自宅でのトレーニング

 

 

年齢を実感する時

 

我が家の長女クリンは明日19歳の誕生日を迎えます。今でも自力で排泄し、お散歩ではぴょこぴょこ走ってくれます。年齢から考えるとそれだけでもとてもありがたいことですが、ここ1年で目に見えて機能が落ちてきてしまいました。

年齢と共に衰えるのは当たり前のこと。加齢は止めることはできません。ですが少しでも長く機能を保てるよう、飼い主にできることはあると思っています。

今回は、クリンの機能が落ちていく過程と共に、できることを少しでも長く維持するために、我が家で実践していることを紹介させていただきます。

 

 

目に見えて衰えていく機能

 

クリンは個人宅で生まれ、約3ヶ月間おかあさんと一緒に過ごしていました。そのおかげでとても丈夫な体を持っているのだと思います。14歳になるまでは、毎年のワクチンと狂犬病・フィラリア予防以外で病院にかかることはほとんどありませんでした。

クリンが生活しているのは我が家のリビング。15歳まで40㎝はあるソファーに飛び乗ったり降りたりしていました。ソファーには階段を設置し、飛び下りそうなところにはクッションなどを置いていましたが、好きなところから平気で飛び下りるのでヒヤヒヤしたのを覚えています。ところが16歳になり、降りることはできても飛び乗ることが難しくなりました。

16歳後半になり、レントゲンで椎間板ヘルニアが見つかりましたが、日常生活に影響がなかったため経過観察となりました。

17歳になり、目の機能が落ちてきて、わずかな段差でつまずくようになりました。また後肢がもつれるようになり、しりもちをつくようになりました。

17歳9ヶ月の時に子宮摘出と抜歯の手術をした際に、麻酔の影響で体温が35℃台にまで下がり、その影響でヘルニアの痛みが出始めたようで、背骨に湾曲が出てきました。

この頃には目はうっすら光を感じるくらいしか見えていないような状態で、フリーで歩かせるといろんなところにぶつかるようになりました。そして突然しりもちをつくことが出てきました。排泄もそれまでほとんど失敗なくできていたのが、あちこちで粗相をするようになりました。

18歳半ばを過ぎた頃から、寝ている場所でおもらしをようになりました。おもらしは徐々に回数が増え、18歳9ヶ月頃からは2日に1回くらいはおもらしをするようになりました。

 

そして昨年の12月になり、おもらしの原因がわかりました。

 

 

起き上がれない原因

 

クリンは水頭症があり、ここ数ヶ月で深夜に徘徊をするようになりました。

徘徊の時にも転んでしまうことがあり、転んだ時にバランスがとれず起き上がれないと、鳴いて呼ぶようになりました。

夜中に何度も起こされ、倒れているクリンを起こす。そのまま寝かせようとするものの、また起きて徘徊する。転んで起き上がれずに鳴く。こんなことが続いていたので、飼い主も寝不足で、出かけることもままならない状態になりました。

ある日、クリンが転んで起き上がれずキュンキュン鳴いていた時、倒れた状態で粗相してしまいました。その時にやっと尿意を催してもすぐに起き上がれずに漏らしてしまっていたのだとわかりました。

獣医さんに相談したところ、老化による筋力の低下と、寒いため細い筋肉がつっている状態になり、うまく立てなくなっているのかもしれないという診断でした。もしかしたら水頭症が影響しているのではと思っていましたが、脳の場合は二度と起き上がれなくなることが多いとのことで、クリンの場合は水頭症が原因とは考えにくいとのことでした。

また、厚着により体のバランスが取れなくなって、うまく起き上がれないこともわかりました。体を冷やさないようにとマイクロファイバー素材の服を着て、厚手の腹巻と首巻をつけ、更に上から厚手の服を着せていたんです。ほんの数ヶ月前までは問題なかったことが、あっという間にできなくなってしまう。正直こんなに簡単にできなくなってしまうとは予想もしていませんでした。

 

 

機能を維持するために実践していること

 

クリンは昨年の12月3日に抜歯とスケーリングをしてもらったのですが、その後数日は食欲が落ちてしまい、それまで3.2㎏だった体重が2㎏台に落ちてしまいました。

老犬になると、ほんの少しの変化でも体に大きく影響します。クリンは元々食べムラ・食い渋りがあり、手術の影響で食欲が落ちてしまうことは覚悟していました。予想通り術後は食欲が落ち、体重は減ってしまいました。恐らく痩せたことも筋力低下に影響していると思います。

数日前、初めててんかん発作を起こした時は、足元もおぼつかず、このまま立てなくなってしまうのではないかと思いました。翌日には自力で立ち上がり、今まで通り歩けるようになりましたし、自力で起き上がれているのでとてもありがたいです。

 

また、加齢により筋肉や筋力は落ち、体力は低下します。栄養の吸収が悪くなってしまうことにより、どれだけ食べても太れなくなってしまいます。ですから食欲が落ちて食べなくなると、あっという間に体重は減ってしまいます。

このまま何もしないままだと体の機能はどんどん低下してしまいます。今ある機能をできる限り維持するために、これ以上筋肉を落とさないためのトレーニングと、食生活の見直しをすることにしました。

 

【筋トレ】バランスディスク

今から2年ほど前に、知人からの情報でバランスディスクを購入しました。バランスディスクで体幹を鍛えることで、体を支える筋肉を強化することができます。

今までは気が向いた時に乗せる程度でしたが、12月半ばから1日2~3回、1セット2~3分のトレーニングをスタートしました。

何も支えのない状態のディスクに乗せるのはとても危険なので、わたしの足でディスクを挟んで固定し、その上にクリンを乗せています。最初はバランスを崩して足を滑らせていましたが、今ではゆらゆらしながらも支えなしで立てるようになりました。あまり無理をすると筋肉を痛めてしまうこともあるため、最大3分・3回までにしています。

 

【運動能力維持】毎日のお散歩

クリンはお散歩が大好きです。獣医さんの話だと、お散歩はとても大切で、筋力維持という効果だけでなく、散歩に行く子と行かない子では、心臓の強度が全然違うそうです。

実は以前はあまりお散歩に連れて行ってなかったんです。クリンがまだ若い頃に「この子は心臓が弱いからあまり無理させない方がいい」といわれたことがあり、当時知識のなかったわたしはそれをそのままうのみにしてしまい、あまり外に出さなくなりました。その後心臓に問題ないということがわかり、14歳くらいから毎日お散歩に行くようになりました。

お散歩のおかげで心臓が強くなり、17歳9ヶ月の時に手術を受けることができ、18歳11ヶ月でも麻酔に耐えることができたのだと思っています。

また最近ナックリングが出てきたので、お散歩の時はソックスを履かせるようにしています。

 

【栄養補給】サプリメント投与

クリンがうまく起き上がれなくなった時、知人からサプリメントの情報をいただきました。そのサプリメントは血と骨を作ってくれるようで、知人の愛犬は足どりもおぼつかずヨタヨタ歩いていたのが、このサプリメントを摂るようになってから元気に走れるようになったとのことでした。

クリンもさっそくこのサプリメントを試すことにしました。それと数日前から足腰のためにコラーゲンを摂らせています。うまく立てない理由のひとつに、右前足の脱力が影響していると思っています。病院でも関節が弱ってきているといわれているので、サプリメントがうまく作用するといいなと思っています。

これ以外にも、数種類のサプリメントを与えています。サプリメントは、基本愛犬家の方からいいと聞いたものをチョイスしています。いろんな良い情報がいただけて、とても助かっています。

 

【食生活の改善】食べたいものを食べたいだけ、回数を増やして与える

老犬が痩せてしまう原因のひとつに、胃腸機能の低下があります。クリンが痩せてしまった一番の原因はこれだと考えています。

良質で高栄養の食事を摂らせたいと思いますが、クリンには食べムラがあります。ドライフードは栄養バランスはいいですが、フードだけでは食べてくれません。以前は何とかフードを食べさせようと必死になっていましたが、今では食べたいものを好きなだけ食べてくれたらいいと考えるようになりました。

またてんかん発作後は、一度の食事量が半分くらいに減ってしまいました。少し前から食べ物を飲み込まずに口の中に残してしまうということがたまにありましたが、発作を起こしてからはそれが毎回の食事でも見られるようになりました。

フードはフードプロセッサーで細かく砕いたものなら何とか食べてくれるので、クリンの好きな牛乳や鶏ガラスープと一緒に食べさせています。鶏ガラスープはとても食いつきがよく、調子があまりよくない時でもおいしそうに飲んでくれています。

また、栄養補助食品や介護食等を併用して与えています。肉類は好きでよく食べていましたが、うまく食べられないこともあるため、その場合はフードプロセッサーで液状にして、そこに栄養補助食品を混ぜてシリンジで与えることもあります。

食事の回数は1日4~6回に分け、少量ずつ食べさせるようにしています。今のところ食欲が安定しているので、とても助かっています。

 

 


 

犬の19歳は人間でいうと100歳近いといいます。この年まで長生きしてくれたこと、そして自分でできることがあること自体、とてもありがたいことだと思います。

できないことを嘆くよりも、できることがあることに感謝する。そして今使える機能をできるだけ長く保てるよう、飼い主としてできることを実践していきたいと思っています。

 

もし皆様が試されてよかったことがあれば、ぜひ教えてくださいね!

 

 

ライター:福井 惠子