【椎間板ヘルニア】ミニチュアダックスに多い、「椎間板ヘルニア」

愛犬情報

犬種:ミニチュアダックス

病名・症状:椎間板ヘルニア

発症年齢:7、8歳

発症の経緯:散歩中突然鳴いて立てなくなった

治療法:痛み止め注射、レーザー

 

 

前兆がなく、突然の発症

 

我が家には私達姉妹が子供の頃から共に暮らし、弟として可愛がっていた愛犬ダックがいました。
ダックが7歳か8歳の頃でしょうか、父がいつものようにダックと散歩をしていたら、ダックが突然「ギャンッ」と大きな声で鳴き、そのままその場にへたり込み立つことが出来なくなりました。
ダックは小刻みにプルプルと震え、大きな瞳をウルウルとさせて父を見上げていたそうです。

父は驚き、すぐに帰宅し動物病院に駆け込みました。

結果は椎間板ヘルニア。
それは、今まで私たちが考えたこともない病だったのです。

 

 

 

内科的治療を受け、回復

 

 

それからは通院での治療をすることになりました。
当時私達は今ほど多くの知識を持っていなかったし、インターネットにも疎かったために情報収集する術がなく、かかりつけの先生の言うことに、何の疑問を持つこともなく言われるがままの治療を受けました。

ただ、手術だけは避けたいという気持ちは家族全員が一致で感じていました。
私達姉妹は当時東京に暮らしており、広島の両親とは離れて暮らしていたので、ただただ祈るばかりでした。

 

病院では痛み止めの注射と、レーザーのようなものを数回受け、歩けるまでに回復しました。

治ってからだいぶ経ってインターネットで調べると、五段階あるステージのうち三段階目のステージだったことを知り、当時あれ以上悪くなることが無かったことを感謝しました。

 

 

椎間板ヘルニアのステージ

LV1:神経に異常はないが、背骨に痛みがあり、触られるのを嫌がる。

Lv2:後脚の麻痺があるが、よろけながらも歩行はできる。

LV3:後脚の麻痺があり、後足を動かすことが出来ても脱力があり歩行できない。

LV4:後脚が完全に麻痺し、皮膚を強めにつねっても反応が無い。自力で排泄できず失禁する。

LV5:後脚が完全に麻痺し、皮膚をつねっても、骨に刺激を与えても反応が無い。痛みを全く感じなくなる。

 

 

予防でやっていたこと

 

ヘルニアは治りましたが、先生には散歩はしばらく最低限にしてほしいと言われたので、ダックは散歩が大好きだったのですが、排泄を外でしかできなかったため朝と夕方に排泄をかねて10分ほど散歩をするだけになりました。
階段や坂道は極力抱っこしていましたが、歩きたがるので行きは歩かせて帰りは抱っこして帰ってくるようにしていました。

ダックは当時8.6kgと、肥満ではないもののガタイが良かったので重くてすぐに腕が痺れたものでした。

歩くのはダメでも、自然のサラダバー(雑草食べ)を楽しんで貰ったりとなるべく外に居させてあげようとしていたのを覚えています。

 

そのほか、夜は一緒に寝ていたのですが、それまではベッドで一緒に寝ていたのを、段差のない敷布団に変更したりしました。

 

 

飼い主さんに伝えたい事

 

ダックは、私たちにとって初めてのワンコで、私も家族もとても無知でした。
階段や坂道も普通に歩かせていたし、家では高さのあるベッドで一緒に寝ていたために、ダックは夜中に目が覚めた時に一人でジャンプして乗り降りしていました。
抱っこも、お尻は支えていたものの縦に抱いていました。

そのすべてを今は後悔しています。

もっと犬のことについて、ミニチュアダックスのことについて勉強をしていたら、日常的に予防してあげることが出来ていれば、ダックはヘルニアの辛さを知らずに済んだかもしれません。

先天的なこともあるし、気を付けていてもなることもあるかもしれません。
……だけど、可能な限り原因となりうる事を予防してあげられたらよかったなと思います。

 

今はダックは亡くなり、新しく弟犬として、同じミニチュアダックスの「そら」を迎えましたが、ダックとのことを教訓にして、横抱き抱っこ・階段や坂道を登らせない・後脚を鍛えるためのバランスボールレッスン・滑りにくいマットを敷くなど、沢山の予防をしています。

 

皆さんの愛犬がなるべく長く最後まで自分の足で歩けますように、少しでも参考になればうれしいです。

 

 

 

ライター:加藤姉妹

 

 

膿皮症~長く根気のいる戦い~

愛犬情報

犬種:ミニチュアダックス

病名・症状:膿皮症

発症年齢:16歳

治療法:塗り薬

 

 

実は怖い?!皮膚疾患、膿皮症。

 

 

犬を飼っていて、「いつか病気を経験するかもしれない」とは思っていても、いつなるのか・どんなものなのかなんて想像するのは難しいもので、いざその時が来ると名前も聞いたことのないようなものであったり、全く想像のしていなかったものだったりしますよね。

愛犬Mackも、今回お話する病である膿皮症を経験するまで、椎間板ヘルニアは二度経験したものの、ほとんど病院にお世話になることはない、病気知らずなワンちゃんだったので、今のように「調子が良ければ通院は月一」なんて状況になるなんて、想像もしていなかったのです。

膿皮症は皮膚の病気ですが実はとっても怖い病気なので、今回Mackの当時の写真とともにお話していきたいと思います。

 

ちょっと辛いお写真もありますが、参考までにお付き合いいただけると嬉しいです。

 

 

気付いた時にはもう遅い

 

病気の発覚前日、寝る前におしっこをさせている時に「あれ?すこし背中の毛がバサバサしてる?」と思ったのがはじめの違和感でした。

寝癖のような感じで、首の付け根の少し下のあたりだけ毛が逆立っています。
その時は皮膚の疾患だとは思わなかったので、上から撫でるだけで、毛をかき分けて確認することはしなかったのです。

翌朝に昨日のバサバサしていたところを見ると、ヒトコブラクダのように盛り上がっていました。
つまんでみると、ブヨブヨしています。
なんだ?おかしいな?なんてつまんでいると、ピュッっと膿が飛び出してきたのです。

上の画像がその時の物です。
画像の真中付近とその少し向こうに二か所、膿が染み出ているのがわかって頂けますでしょうか?

まさか膿が出てくるとは思っても居なかったので、すぐに病院へ行くことにしました。
しかしその日はかかりつけの定休日。

やむなく近くの動物病院へ駆け込みました。

これはその病院で処置を受けた後の様子です。
(赤く見えるのが患部で、白く見えるのは膿皮症の白い粉の塗り薬です。)
毛に覆われているとわからなかったけど、患部はこんなにも大きかったのです。

診断結果は膿皮症。
膿皮症とは、皮膚上で菌が異常繁殖し、化膿して膿を排出してしまった状態なのだそうです。

 

 

 

膿皮症(のうひしょう)のステージと予兆

 

膿皮症にはステージが3段階あります。

1.表面性膿皮症(表皮の最上部にある角質層に発生した膿皮症)

2.表在性膿皮症(毛包とそれに連なる表皮に発生した膿皮症)

3.深在性膿皮症(毛包全体、真皮、皮下組織に発生した膿皮症)

 

Mackの膿皮症は、初診では二番目に重い表在性と診察されましたが、翌日あらためて行ったかかりつけでは、最も重いステージ3:深在性であると診断されました。

この写真は翌日、かかりつけでの処置を受けた後の様子です。
患部がさらに広がっています。

悲しいことに、ここから暫くトビヒのようにして、頬、肘、顎と、あちこちに発症していきます。

 

膿皮症になると上の写真のように、まるで筆のようにして毛が抜けるようになります。
皮膚に毛がくっついたまま剥落してしまうので、このような抜け方をするようなのです。

こんな毛がもしもお部屋で見つかったら、赤信号。
愛犬の毛をあちこちくまなくかき分けて、見てあげる必要があります。

Mackの場合特に気にする様子がなかったのですが、膿皮症は発症するまでは激しいかゆみが伴う事があるようなので、しきりにどこかを痒がる時もくまなく見てあげるといいとおもいます。

 

中期~快方に向かうまでと、予防法

 

これは膿皮症中期の頃の写真です。

瘡蓋(かさぶた)を剥がし、サランラップを巻いて皮膚の再生を促します。
清潔を保つために膿がたまればふき取り、一日に二度アルコール消毒をして、その都度サランラップを新しくする生活がしばらく続きました。

状態が改善をし始めると、徐々に皮膚が黒くなってきます。
でも、まだグジュグジュしていたり、血が止まらないような患部もあります。

この写真は快方に向かってサランラップが取れた頃の様子です。
それでもまだまだ、完治の時期は見えてきません。

まだあちこちに小さな新しい患部ができるので、見つける度にクリーム状の薬を塗っていました。

 

その後Mackの膿皮症が治るまでには、なんと6月の発症から5か月ほどかかりました。

Mackが当時16歳と高齢だったこともあるとは思いますが、梅雨から夏のジメジメで、どんどん患部が広がってしまい、なかなか収まってくれなかったのです。

これは18歳になってからの写真です。
完治と先生に言われてから、いつまでたっても膿皮症だった場所に完全に毛が生え戻ることはありませんでした。

膿皮症は6月から10月くらいの今の時期が発症しやすい時期です。
Mackの発症も、2015年6月18日でした。

膿皮症になる原因としては、抵抗力の衰えや皮膚と毛の間に湿気がたまることで菌が繁殖してしまうことなどがあります。
梅雨の時期、雨の中から散歩に帰って来た時・お風呂に入った時など、しっかりと毛の中まで乾かしてあげることで予防することができます。

また、ヒバ水を使う事でも予防することが出来ます。
ヒバの木から抽出された”ひば油”を水4:エタノール1で割った液体にお好みの量入れることで完成します。
私は3,4滴入れて使用していましたが、ヒノキのような香りで殺菌・防虫の効果があり、Mackだけではなく娘や自分自身も愛用していました。

他にも、薬用シャンプーで洗い、薬浴をするなどの予防方法があります。

膿皮症は一度なると何度も繰り返しやすい上に、完治までに時間と根気を要する皮膚疾患です。
Mackも小さな疾患を、完治と言われてからもあちこち作っていましたが、ひば油とアイプクリーム(通販で購入可能)で対応し、大きくなる前に治していました。

それは、Mackが2017年10月に亡くなるまで続いていました。

愛犬も飼い主も長く苦しい戦いを始めないためにも、日頃から毛をかき分けて赤みがないか?ブツブツしてないか?よく見てあげると、スキンシップも出来て一石二鳥ですね。

 

 

ライター:奥村 來未

 

 

【シニア犬(老犬)の食べムラ】我が家の秘密兵器

愛犬情報

犬種:ミニチュアダックスフンド

病名・症状:食べムラ・食い渋り・食欲不振

発症年齢:15歳

発症の経緯:投薬の失敗・子宮の不具合(痛み)・歯石による食欲不振

治療法:飼い主の工夫

 

 

飼い主を悩ませる「食べムラ」

 

我が家の愛犬クリンは、15歳の時の体の不具合と投薬により、強烈な食欲不振に陥りました。

きっかけは足の痛みでしたが、その時の投薬(超苦い痛み止めと超苦い抗生剤)を食べ物(好物)に隠して与えようとしたことが原因で、食べ物に不信感を持ってしまいました。

飼い主の失敗により、「食べること=苦いものを無理やり口に入れられる」とインプットされてしまったことで、口さえ触らせてくれなくなってしまいました。

ご飯を食べないことは、重篤な病の宣告をされるのとはまた種類が違うのですが、シニアになってご飯を食べない=このまま衰弱してしまう、という風に考えてしまい、めちゃくちゃ精神的に堪えます。

我が家の場合は少しずつ信頼関係を作り直すところから始め、ご飯と薬を完全に分けて与えるようになり、今では食べることへの不信感は払拭できましたが、食べムラだけは残ってしまいました。

クリンが食べるかどうかは、ご飯の時間になってみないとわかりません。以前は起きてすぐにご飯を食べてくれましたが、今はクリンがご飯を食べるまでの時間を想定し、用事がある場合はでかける3時間前には起きないといけなくなりました。

 

飼い主の生活にも大きく影響してしまう食べムラですが、数年付き合ううちにこちらにも知恵がつき、様々な小道具を使って比較的すんなり食べてくれるようになりました。

今回は、我が家で使用している、食い渋る時に使っている小道具とトッピングを紹介させていただきます。

 

 

食欲をそそる「匂い」

 

クリンはおかあさんに丈夫に産んでもらったようで、昨年末の手術の時に歯石ケアをしてもらった時、抜歯は1本だけで済みました。その他の歯はぐらつきもなく問題ないとのことで、今でもドライフードを食べてくれています。(手術の記事はこちら

 

手作りフードがいいという話も聞きますが、うちの場合は食べてくれないということと、栄養バランスを考えるのが大変なので、食べてくれるうちはドライフードを使おうと思っています。ただ噛む力は弱くなっているので、超小粒サイズのドライフードを与えています。

元々ドライだけでは食いつきは悪かったので食べムラ以前からトッピングはしていましたが、今はドライフードだけでは絶対に食べません。なのでトッピングは必須なんです。

 

14歳までは市販の缶詰をフードにかけて、上に薬をおいても食べてくれていたんですが、ここ数ヶ月は市販の缶詰やレトルトパウチなどは全く食べなくなってしまいました。

なので、最近は手作り系(鶏肉・牛肉・豚肉等)のボイルやソテーにしたものをトッピングに使ったり、ジャーキー系のものをトッピングに使用しています。

 

ジャーキーはうまみが凝縮しているようで食いつきはとてもいいです。

最近はふりかけ系も充実していていろんな種類の商品があり、以前は使っていましたが、開封したてはものすごく強い香りでも日数が経つにつれどんどん香りが弱くなり、食いつきも悪くなっていくんですよね。

食欲を刺激するのに一番効果的なのは「匂い」。なので匂いが強くなる方法を色々考えてみました。

 

 

うちで使っているトッピングと秘密兵器①

 

これが今一番ホットなジャーキーです。鴨肉のジャーキーで、鶏肉よりも匂いが強く、開けた瞬間めっちゃ食いついてきました。これは鴨ささみ肉がカットしてあるタイプです。あまりに食いつくのでつい大人買いしてしまいました(笑)

 

 

 

こちらは砂肝ジャーキーです。これは砂肝がそのまま乾かしてあり、かなりハードタイプになります。

 

これらをトッピングに使用していますが、このままだと固いし大きいしでどちらも食べることはできません。大きなものも固いものも、食べようとはしますが、ポロっと落としてしまうんですよね。一度落としてしまうと、食べられなかったことにショックを受けるのか、それから食べてくれなくなってしまうこともあります。これは性格もあると思いますが、クリンにとっては「今までと同じように生活している」ということが大切なことのようなので、「できないこと」を増やさないようにするために、こちらで工夫してできることは先回りしてするようにしています。

 

 

そこで、1つ目の秘密兵器の登場です。

 

ニッパーです。ホムセンなどで100円くらいで売っているものです。ニッパーは固いものを簡単に切れるので、砂肝などはこれで小さくカットして食べさせています。

最初からカットしてあるものを買わないのは、ものが大きい方がカットしてあるものよりも匂いが強いように思うからです。いつも食べる直前にパチパチとカットして、フードの上にふりかけています。

カットすると、切り口は新鮮なので結構匂いが強くなります。なのでこれもかなり有効な方法です。

 

 

我が家の現在最強の秘密兵器

 

ずっとニッパーを使っていましたが、これでもやっぱり食い渋りが出てしまうことがありました。

そこで、匂い立たせるための方法を考えてみたんです。焼く・煮る・あぶる……そう、熱を加えれば匂いは強くなるぞ!という結論に達しました。

 

そして、我が家の最強の秘密兵器ができました。

 

 

それは、おろし金です。

これでジャーキーをすりおろすと、封を開けて多少時間が経っていても、すりおろす際の熱で瞬時に匂い立たせることができるんです。

ちなみに、最初は100均のプラスティックのおろしを使っていましたが、あまりに固いため、とんがっている部分が折れてフードの中に混ざってしまったんです。

すぐに見つけることができたので事なきを得ましたが、間違って食べてしまうと大変なことになるかもしれません。なので、強度のあるステンレスのおろし金を探して購入しました。

これは固い砂肝ジャーキーでも楽々すりおろすことができます。ありがとう、おろし金。

 

おろし金ですると、とても細かいふりかけになります。匂いは強いですが、もう少しジャーキーっぽさを出すことと、ザラっとした食感を混ぜることでドライフードを違和感なく食べてくれるように、ハサミでジャーキーをカットしてフードの上にふりかけるようにしています。フードだけになってしまうと残してしまうこともあるので、食べている途中でトッピングを追加して、フードを残さないように工夫しています。

 

 

【参考】簡単自家製ふりかけを使った食べさせ方

 

 

 

これが実際にすりおろし&カットしたジャーキーです。

うちの場合、最初からフードの上にかけても食べてくれません(涙)

長年の食べムラでどうも癖がついてしまったようで、すんなり食べてくれることはほとんどないため、まずはトッピング選びから。数種類あるトッピングを、ローテ―ションでくるくる回すようにしています。

鴨肉ジャーキーの場合は、まず小さな一口大にカットしたものを食べるか確認し、食べてくれたらふりかけを作ります。

ふりかけだけをまずは食べさせて、食べてる間に別のお皿に出したフードの上にジャーキーをシャカシャカとふりかけ、それをスプーンで少しずつ横から足していきます。

コツは、最初に入れるフードはトッピングたっぷりにすること。これでうやむやになるようで、結構フードをすんなり食べてくれるようになりました。

フードを食べたら、あとは残ったフードを追加していくだけで、普通に完食してくれるようになりました♪

 


 

かかりつけの獣医さんによると、ハイシニアの食べムラや食い渋りは当たり前に起こるそうです。人間も歳をとると食の嗜好が偏ってしまうことがありますが、それと全く同じだそうで、今までおいしいと感じていたものもおいしく感じなくなったり、嗅覚が衰えてくることでより匂いの強いものを好む傾向が出る場合もあるそうです。

誰でもいつかは歳をとります。歳をとるとわがままになってしまうのは人間も犬も同じ。なので、自分が付き合える範囲であれば、食べたいものを食べたい時に食べてもらうのが一番かなぁと考えています。以前は食べないといちいち落ち込んだりしていましたが、3年も付き合ってると耐性がつき、今は1食くらい抜いてもいいか、くらいに思っています。

ただ体重が減っている時やあまり体調が優れないような時などは、体力を維持するためにシリンジで与えるようにしています。シリンジを有効活用することで、わたしの生活もかなり楽になりました。

ちなみに薬もシリンジで与えています。シリンジを使った投薬と給餌方法はまたあらためて紹介させていただきますね。

 

食べムラで困っている方はとても多いようで、よく耳にします。どうか少しでも参考になりますように。

 

 

ライター:福井 惠子

 

 

【犬の留守番】共働きで犬を迎える覚悟

愛犬を迎えることって?

我が家にはトイプードルの女の子が1頭います。名前はプリンといいます。

家族はわたしと主人の2人暮らし。共にフルタイムで仕事をしています。

プリンは日中留守にする我が家で、ひとりでちゃんとお留守番をしてくれています。

留守が多い我が家でなぜ犬を迎えたのか。もしかしたら、愛犬に長時間お留守番させることを「虐待」と言われる方がいらっしゃるかもしれません。わたし自身、長時間のお留守番をさせていることに最初はとても抵抗がありましたし、罪悪感も感じていました。

でもプリンを迎え入れて本当によかったと心から思いますし、プリンも毎日楽しく過ごしてくれています。

我が家と同じように、お一人暮らしやフルタイムでお仕事をされていて、愛犬を迎え入れることを悩んでいる方、また愛犬に長時間お留守番をさせている方や、お留守番をさせることに罪悪感を感じている方がおられたら、ひとつの参考として我が家の話を聞いていただけたらと思います。

 

 

愛犬を迎え入れるまで

わたしは犬が好きで、結婚してからずっと飼いたいと思っていました。

でも我が家は共働きのため、日中は留守にします。長時間留守番させるのに犬を飼うなんて無責任なのではないか…そう思い、ずっと我慢していました。

でも諦めきれず、ペットショップに行っては小さな仔犬を見たり、ネットで仔犬情報を見たりしていました。(当時は保護犬のことをあまり知らなかったため、犬を飼うのはペットショップかブリーダーだと思っていました。)

 

我が家には子供がいません。

30代後半で大きな病気が見つかり、治療しないと不妊治療ができないといわれて、1年間治療に専念しました。病気が治ってから不妊治療を始め、6年ほど治療を続けましたがうまくいかず、状況的にも年齢的にも妊娠は難しいといわれました。

 

正直、わたしの心はボロボロになっていました。

周りの人たちの言葉にも敏感になり、「子供は?」という何気ない日常会話の中での一言にさえ傷ついていました。

ちょうどこの頃、主人が遠方に1ヶ月間単身赴任することになりました。年齢的にリミットのない中、辛い治療を何年も続けていたのに、たった1ヶ月のことではありますが、それまでの治療が台無しになってしまうと思ってしまったんです。

出張先から電話をかけてきた主人と話している時、それまで張りつめていた糸が切れ、大泣きしてしまいました。

その時に初めて、主人はわたしの心の状態に気付いてくれました。そして「もう子供は諦めて犬を飼おう。」そう言ってくれました。

 

 

運命の出会い

 

主人が出張から帰ってきてから、さっそく近くのブリーダーをされているペットショップに足を運びました。ちょうど生まれたばかりのトイプードルが5頭いるとのことで、見せていただきました。

その中で、兄弟にもみくちゃにされて踏まれていた1頭の仔犬がいました。胸元に白い模様の入ったその子は、売り物にならないかもしれないということでした。ほかの兄弟たちに踏まれても怒ることなく、ただただじっと耐えている子。

出口のない不妊治療で心がボロボロになっていたわたしは、売り物にならないかもしれないその仔犬がまるで自分のように感じ、この子をうちへ迎えよう、と心に決めました。

11月末に我が家へ迎え入れることになり、それまでに名前を決めておいてくださいといわれました。

ちょうど年末にかかる時期ということもあり、バタバタと忙しい毎日を過ごし名前がなかなか決められずにいた中、我が家のプリンターがつぶれてしまいました。年賀状の印刷をしなければならず、急いで家電ショップに買いに行きましたが、欲しいプリンターは売り切れ。仕方なくお取り寄せで注文したのですが、プリンターの受取日が偶然にもプリンをお迎えに行く日と同日になってしまいました。

そしていよいよプリンを迎えに行く当日になり、主人が「そろそろ取りにいかないと」と言った時、「プリンターを取りにいくの?」というところを「プリンを取りにいくの?」と言い間違えてしまいました。

プリン?プリンター?と大笑いした時に、主人が「もう名前はプリンでいいやん」と言いました。

我が家の愛娘プリンの名前の由来は、スイーツのプリンではなく、プリンターのプリンです(笑)

 

 

留守番させることへの罪悪感と葛藤

 

プリンが我が家の一員になり、それまで鬱々と悩んでいたのがうそのように、毎日大騒ぎであっという間に時間が過ぎていきました。初めて迎えた愛犬に、わたしも主人も夢中になりました。プリンは愛らしくて可愛くて、まるで自分がお腹を痛めて産んだような感覚になるくらい愛おしい存在になりました。

でもここで大きな問題に直面しました。それが「お留守番」です。

犬を迎え入れる前に散々考えていたことではありましたが、プリンを迎えた時は勢いもあったので、実際にうちの子になってからとても悩みました。毎日ネットで調べたり、犬の本を購入して読み漁ったり…

プリンをひとりで長時間留守番させることに、大きな罪悪感を感じていました。

でも仕事を辞めることはできません。犬を飼うということは、お金もかかります。プリンと主人と一緒に楽しく生活をしていくためには、仕事を続けることは必要なことでした。

当時は犬を飼っている友達も周りにいなかったため、相談相手もいませんでした。そんな時、プリンのものを買いに近くのペットショップに行った時に、大きなトイプードルを連れた方がおられ、あまりに大きかったので声をかけて少しお話したんです。その方も夫婦2人暮らしで犬を飼っているとのことで、どのようにお留守番させておられるのかも聞いてみました。

その方は、子供部屋にしようと思っていた部屋があるので、そこをお留守番の部屋としているとのことでした。結構長い時間お留守番をさせているから、「帰宅すると部屋はむちゃくちゃになっているので、帰ったらまずは掃除からなんです」といわれてるのを聞きながら、皆さんいろんな工夫をされているのだと思いました。

「ひとりでゆっくりリラックスして過ごせる場所を自分なりに作ってみよう」

そう思い、自分なりに調べて、プリンが過ごす部屋を決めました。冷暖房完備でできるだけ静かな場所で、ベッドとトイレが設置できる大きめのサークルを購入しました。部屋で自由に過ごせるようにしようかとも思いましたが、犬はサークルなど落ち着ける場所があった方がいいと書いてあったのと、誤飲なども怖かったので、サークルを設置することにしたんです。

わたしが仕事に出る時は、エアコンフル稼働で居心地の良い居住空間を作り、さみしくないようにコングなどいろんなおもちゃを準備し、少しずつひとりの時間をつくるようにしました。

最初は30分、お利口にできていたら褒めて、次に1時間、3時間…と少しずつ少しずつ時間を延ばしていきました。

プリンにわたしの気持ちが通じたのか、静かにお留守番ができるようになりました。

 

 

生活のリズムをつくること

 

このように、少しずつ少しずつ時間をかけてひとりでいることに慣れてもらい、プリンはとてもお利口にお留守番ができるようになりました。サークルの中にいると安心するようで、わたしが仕事で出かけた後はぐっすり眠っているようです。そしてわたしが帰宅すると、とても嬉しそうにしっぽを振って出迎えてくれます。

プリンにお留守番させる日は、必ず1日1回30分以上のお散歩に行くこと。もし天候不良で行けない場合は、たっぷりと愛情をかけて遊んであげること。自分の体調が悪い時でも、これだけはするようにしています。

犬との生活は、いろんなことが起こります。プリンは体が弱く、小さな頃からいろんな病気にかかったりしていますし、毎日悩んだり困ったりすることもあります。

でもそれ以上に、たくさんの幸せとたくさんの愛情をくれる、とても大きな存在です。

 

お留守番をさせることについては、正直今でも罪悪感を感じることはあります。わたしはとても心配症で、本当はずっと一緒にいてあげたいと思ってるんですよね。でも思っていた以上に医療費がかかるため、今のところは仕事は続けていこうと思っています。

でもプリンが病気などの時はお休みをいただき、一緒に過ごすようにしています。これから先、プリンが歳をとったら仕事をやめようと思っています。

 


わたしがお留守番について書こうと思ったのは、自分自身が犬を飼うことについてとても悩んだからです。もしかしたらわたしと同じような悩みをお持ちの方もいらっしゃるかもしれないし、お1人暮らしで犬を家族として迎えたい、と悩んでおられる方もいらっしゃるかもしれません。

わたしと同じように、犬を飼うことで毎日の生活が豊かになり、「自分自身が救われる」という方もおられるかもしれません。

 

もし今、仕事をしていてずっと一緒に過ごせないからと犬を迎えることで悩んでいる方がおられたら…

もちろん理想はずっと一緒に過ごすことだと思いますが、きっとそれぞれの生活スタイルが出来上がってくると思います。案ずるより産むがやすしといいますが、うちもそうでしたが、何とかなるもんですよ。

ただし、ペット禁止のマンションなどの場合は、ペット可に引越してからにしてくださいね。もしばれてしまうと手放すことになりますから。

犬はとても愛情深く、惜しみなくたくさんの愛情をわたしたちにくれます。離れている時間があっても、お休みの日や一緒に過ごせる時間はたっぷり愛情をかけてあげることで、しっかりと絆をつくることができると感じています。

 

プリンを家族に迎えて、本当によかったです。

 

 

ブログ:京都アニマルコミュニケーション桜梅桃李~愛犬プリン~

 

ライター:HIROMI

 

 

 

【犬の心臓病】咳をしたら要注意

愛犬情報

犬種:ミニチュアダックスフンド

病名・症状:僧帽弁閉鎖不全症

発症年齢:14歳

発症の経緯:咳やくしゃみが頻繁になる

治療法:投薬

 

 

これってただの風邪?

 

我が家の次女ニコは、14歳の時に僧帽弁閉鎖不全症と診断されました。

ニコは12歳の時に乳腺腫瘍が見つかり、腫瘍摘出と子宮摘出手術を受けました。それまで大きな病気をすることもなく過ごしていたので、初めて診断された時はとても驚きましたが、手術以降は大きな変化もなく過ごしていました。

ニコが14歳になった時、ちょうどクリンの体調不良の時期でクリンに時間をとられていていた時です。よくニコが咳(おじさんが痰を吐くような咳)をしていることに気付きました。

最初は何か変なものでも食べたのかなと思って気にしていませんでしたが、あまりに頻繁にするので、クリンの通院の時に病院に一緒に連れて行きました。

 

症状を伝え、聴診器とエコー検査と血液検査を受けました。ただの風邪だろうと思っていたわたしは、その病名を告げられて驚きました。

 

 

僧帽弁閉鎖不全症とは

 

僧帽弁閉鎖不全症について、他サイトの記事を引用させていただきます。

 

加齢で起こる弁の閉鎖不全

今回の病名で出てくる僧帽弁とは、左心房と左心室の間にある弁の名前です。心臓内には血液が逆流しないように、各部屋の間と動脈に行く前に大きな弁が四つ存在します。僧帽弁はその一つです。僧帽弁閉鎖不全症は、名前の通り僧帽弁が閉鎖せず、血液が左心室から左心房に逆流してしまう病態です。

僧帽弁閉鎖不全症の原因として最も多いのは加齢による弁の粘液腫様変性で(※1)、簡単に言うと弁同士の噛み合わせが悪くなって弁の役目を果たせず、血液が行ってはいけない方向に流れるということです。

出典元:PETOKOTO 犬の僧帽弁閉鎖不全症の症状やステージ、手術・治療法など認定医が解説


 

歳をとると、体の機能も低下します。内臓の働きも悪くなるため、様々な機能障害や病気を発病してしまうこともあります。

心臓は、心筋(心臓筋)といわれる筋肉で心臓壁の大部分を構成しています。心臓は、心筋が収縮して血液を送り出していますが、年齢と共に動きは悪くなっていきます。

特に高齢の小型犬に多く発症するようで、発症してすぐはほとんど症状がないため、全くわからないこともあるそうです。まさに我が家の場合もそうでした。

咳のような症状が出始めていると、かなり症状が進んだ状態である場合が多いようです。

ニコの場合も、聴診器を当てて聞いただけでかなり大きな雑音だったそうです。

 

 

症状の見逃しは多頭飼いで起こりやすいかも

 

ニコが発症した時、ちょうどクリンの食べムラで悩んでいた時と重なっていました。言い訳になるのですが、この時はクリンの食べムラで半分ノイローゼのようになっている時で、ニコの変化にすぐに気づいてあげることができませんでした。

健康診断は受けていましたが、血液検査で異常がみられなかったので見逃していました。病院ではこちらから申し出ないとエコーやレントゲンまでは撮らないと思います。費用もかさみますし、基本は飼い主の申告で検査をするからです。

うちの場合は、咳をしていることが多くて、なんでこんなに咳をするのだろうと思ってからだったので、もしかしたら数ヶ月は気づいていなかったかもしれません。クリンの方にかなり手がかかっていたこともあり、気がついた時には結構進行していたのだと思います。

我が家は3頭の愛犬がいますが、一番上のクリンは一番高齢でもあるのでどちらかといえば過保護になっています。そして一番下のみのすけは、虐待されていたという過去もあり、ついつい甘やかしてしまいます。

ニコはいわゆる中間子。真ん中でしかも全然手のかからない子なので、どこかで「この子は大丈夫」という考えがあったように思います。12歳で手術した時はめちゃくちゃ焦りましたが、喉元過ぎればなんとやらで、ご飯も毎日しっかり食べてくれるし、出すものもしっかり出してくれていて、一見何も問題ないように見えたのも、見逃した原因のひとつだったと思います。

それとニコはアレルギーも持っていて、埃などでも結構咳をすることは珍しくなかったことも原因のひとつでした。今となってはすべて言い訳ですが。

診断を受けてからは投薬で咳も治まり、進行をゆっくりにはできていると思います。でももっと早く気づいてあげることができたら、もしかしたらもっと軽くで済んだかもしれない、と考えてしまいます。

 

 

早期発見が寿命と医療費を安くするコツ

 

自分の実体験と後悔があるので、咳をしている子を見かけると「病院で検査した方がいいですよ」とつい言いたくなります。ホームセンターなどでワンちゃん連れでお買い物をしている方の会話が漏れ聞こえてきたことがあったのですが、ワンちゃんが咳をしていても、この子よく咳するのよねぇ、なんて話をされていたらもう言いたくて言いたくて仕方なくなります。でもいきなり知らない人から「心臓病かもしれません」なんていわれたら失礼だと思われるかと思ってなかなか行動に移せません…

 

僧帽弁閉鎖不全症は特別な病気ではありません。高齢の小型犬は特に罹りやすい病気であるといわれています。早い子であれば7歳を過ぎた頃から、10歳を超えると罹患率は大幅に増加します。

 

もし愛犬が咳をしていたら、その咳が数日続いているようであれば、一度獣医さんで診察を受けてみてください。

病院によっては毎回聴診器をあてないところもあると思いますが、雑音は聴診器で聞くとすぐにわかるそうです。

早めに治療すれば、進行を抑えることができます。心臓は一度悪くなってしまうと元に戻らない臓器。心疾患は「ガン」に次いで死亡率の高い病気です。

そしてこれはどの病気にも言えることですが、悪化すればそれだけ検査費用も薬代も高くついてしまいます。

心臓の病気は、初期の場合はほとんど症状がないため、特に見逃しやすいと思います。アレルギーなどを持っている子や、喉や胃腸が弱くて結構咳をする子の場合は特に見逃しやすいと思います。

 

おじさんが痰を吐くような咳は、大きなサインのひとつです。もし思い当たることがあれば、早めに病院で検査を受けることをおすすめします。

 

 

ライター:福井 惠子

 

 

【犬のセカンドピニオン】わたしが転院した理由(3)

愛犬情報

犬種:ミニチュアダックスフンド

病名・症状:胆泥症/子宮蓄膿症

発症年齢:14歳/15歳

発症の経緯:ヒート症状から食欲不振 陰部の腫れ

治療法:投薬治療(2年間)→17歳9ヶ月で手術

 

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驚きの診断内容

【セカンドピニオン】わたしが転院した理由(3)

 

初めて訪れたその病院は、今まで行ったことのないような雰囲気でした。

待合とつながった診察室。間仕切りのない診察台がいくつも並び、複数人のドクターと忙しそうに走り回るたくさんのスタッフの方たち。その中で、ひときわ大きな声で指示を出されていたのが院長先生でした。

初診で見ていただいた先生に、抗生剤投与しても8ヶ月CRPが下がらないこと、心臓の薬を飲んでいること、胆泥症であること、子宮水腫の治療をしていること、胆管肝炎と診断されたこと、わたしは歯が悪いのではないかと思っていること、2年以上食べムラに悩んでいることなどをお伝えし、持参した前の病院の検査結果などをお渡ししました。

まずはきちんと診断した方がいいということで、CT(無麻酔)とレントゲン、血液検査・心電図・血圧・エコーでの検査をすることになりました。

血液採取してCTとレントゲンを撮った後、院長先生が来てくださり、先生から状態の説明をしていただいた後、ちょっと触らせてとクリンの体を触られました。

「この子、子宮に痛みがあるよ。だからご飯食べないんじゃない?」

なんと1分もかからず、食べムラの原因を究明してくださいました。そして検査の結果、子宮はすぐに取った方がいいといわれました。

心電図の結果、不整脈があることがわかりました。そして中度の水頭症であることもわかりました。胆泥症は軽度でこのまま投薬でいいとのこと、そして重度のヘルニアであることがわかりました。

前の病院に行った3日後だったのですが、その時に2週間効く抗生剤を注射してもらっていたため、CRPは高いけどクリンの負担になるから2週間経ってからでないと何もできないといわれました。

痛みがあること、アリジンでの治療が2年続いていることなどから、もしかしたら子宮が癒着しているかもしれないこと、エコーで診た限り少し腫れがあるようなので、これ以上アリジンでの治療は効果が期待できないかもしれないこと、歯の状態がかなり悪いため、炎症は歯の可能性もあること、きちんと治療したいなら手術しかないことなどの説明を受けました。年齢的にももう猶予はないため、決断するなら早い方がいいといわれました。

そして、ものすごく分厚い本を持ってきてくださいました。それは獣医さん用の薬の辞典のようなもので、今まで使っていた薬をひとつひとつ説明してくださいました。

 

 

炎症の原因と術前の準備

【セカンドピニオン】わたしが転院した理由(3)

 

抗生剤には種類があり、どういった炎症に効くか、どの臓器に負担がかかるのか、薬の種類により効果がない炎症があるため、どこで炎症が起こっているかを把握して薬を選ばないと、効果はないのに臓器に負担だけがかかる、ということを教えてもらいました。クリンが受けていた2週間タイプの抗生剤は、歯には効かないタイプの抗生剤とのことで、8ヶ月間も下がらないところをみると、炎症は歯で起こっている可能性が高い、といわれました。

それまで原因のわからなかった炎症の原因に見当がついたことと、食べムラの原因がわかったことで、わたしの決心は固まりました。この先生にクリンの命を預けよう、そう心に決めました。

手術を受けることを伝えると、まずは2週間の薬が切れるのを待つこと、不整脈があるため、寝ている時に不整脈が乱発していると麻酔のリスクが高まるため、24時間心電図で事前に調べておくこと、そしてもしもの時の場合の処置ができるかどうか、血液の流れをよくする薬を投与し、状態を確認しましょうといわれました。

 

心電図の結果、不整脈はあるものの、大きな問題はないということでした。血の検査も問題なし。あとは手術の日を待つばかりとなりました。

「15歳で子宮水腫がわかった時すぐに手術をしておけば、クリンはこんなにしんどい思いをしなかったのかもしれない。」

この時に、選ぶ病院でここまで差があるということを痛感しました。

前の病院も決して悪いところではありませんでした。わたしの友人も何人か紹介しましたが、転院して命を救われた子もいました。もしかしたら、14歳でセカンドオピニオンを受けた時に「手術を受けるのが怖い」という入口だったから、手術をしないという前提になってしまったのかもしれませんし、手術に自信があるからこそ、できるだけリスクを避けてギリギリまで待つという方針になったのかもしれません。

 

まもなく18歳を迎える高齢の子に積極的治療を提案するのはかなりリスクが高いと思います。でもその病院では、15歳16歳で手術する子はたくさんいて、高齢での手術がはそう珍しいことではないとのことでした。クリンの胆泥症がわかった14歳の時、子宮の異常がわかった15歳の時、もしこの病院を知っていたらきっと治療法は違ったと思うと、心の底から後悔しました。

クリンは、最初に病院を訪れてから約3週間後の11月3日に手術を受けることになりました。年齢的にも急変に備え、他に手術が入っていない日でドクター2人体勢で手術をしてくださるとのことでした。

この日から、手術前日までは祈るような気持ちで過ごしていましたが、一方で転院してから食欲も旺盛になり、元気に過ごしているクリンを見て、「きっと大丈夫」そう思えました。

 

 

手術を受けてからの変化

【セカンドピニオン】わたしが転院した理由(3)

 

手術当日、抱っこされて手術室に向かうクリンを祈るような気持ちで送り出し、待つこと1時間。

先生からは「心臓の様子によって、歯の治療はできないかもしれない」と言われていましたが、無事歯石を取り、1本抜歯をしていただくことができました。

摘出した子宮も見せてもらいました。1ヶ所腫れている部分がありそこに痛みがあったのではないかということ、癒着はしていなかったこと、歯の状態は思ったほど悪くなかったけど歯石はかなりひどい状態でおそらく痛みもあったであろうこと、そして年齢的にも術後の急変も考えられる状況であるため、今日は終日病院で様子をみましょうといわれました。

 

クリンは麻酔の影響でぐったりしていましたが、1時間後には自力で起き上がりました。

【セカンドピニオン】わたしが転院した理由(3)

 

長い1日が終わり帰宅すると、足元はおぼつかないながらよたよたと歩いてくれて、クリンの生命力にとても感動しました。傷口が癒着してしまうためできるだけ動くようにといわれてたので、翌日からお散歩再開。傷口が突っ張るのか本調子ではないものの、クリンは走ろうとするくらい元気でした。食欲はなかなか戻りませんでしたが、術後4日目でやっとご飯を完食してくれました。術後初めてご飯を食べた時、「あれ?」という顔をしたんですよね。大きな歯石がべったりついていて、それが歯茎に食い込んで痛みがあったようだといわれていたので、きっといつもの痛みや引っかかりがないことに気付いたのだと思いました。歯石も食べムラの原因であったのだと思いました。

 

病院を変わってから、クリンに良い変化がありました。まずは食べムラ。それまでよりも明らかに食欲が戻りました。特に通院から帰宅した後はなぜか食欲が増していて、帰るなりガツガツと食べてくれることもありました。もしかしたら今の病院で痛みがあることを最初にわかってもらえて安心したのかもしれない。そう思いました。

実はクリンが下痢をしたので昨日も病院に行ったんですが、少し食べムラがあると伝えたところ、体を触ってすぐに❝ヘルニアの痛みが原因だと思うから、ヘルニアの注射と鍼治療をして痛みを取ったら食欲は戻ると思いますよ❞といわれ、治療を受けたところ、昨夜はしっかり食欲が戻りました。

 

犬は話ができませんので、飼い主は愛犬のしぐさや表情から推測するしかありません。前の病院はクリンにとって良い思い出がないのかもしれませんが、同じようなに嫌なことをされても痛い思いをしても、それでも震えたり嫌がったりすることはなくなりました。クリンはわたしに自分なりに伝えていてくれていたのだと思うと、本当に申し訳ない気持ちでいっぱいになりました。

 

 

飼い主だからこそできること

【セカンドピニオン】わたしが転院した理由(3)

 

手術を受け、クリンは今まで以上に元気になりました。今でも食べムラは多少ありますが、以前と比べるとかなりご飯を食べるまでの時間は短くなりました。体の悪いところをしっかりとわかってくださっていて、飼い主のわたしにもわかるように伝えてくださるので、本当に安心してお任せすることができます。

 

今の病院に移り、薬によって負担がかかる臓器が違うことや、症状に合わない薬を投与しても効果は全くないということを知りました。誤診で間違った治療を続けていても、症状は全く改善されず、ただ体に負担がかかるだけということも痛感しました。

そして、高齢であっても積極的治療ができるということを知りました。

 

わたしの友人は、愛犬の不具合である病院を訪れ、きちんと検査を受けないままに手術を受けました。そして開腹して何もできないまま閉じたそうです。手術を受ける前にはCTを撮るなど、病変をもっと詳しくみてからというのが一般的ですが、その病院ではエコーだけで手術に踏み切ったそうです。そして「うちでできることはない」と退院させられたそうです。

その病院はとても綺麗で、結構流行っているとのことでした。

 

今回の件で、わたしは知人からの口コミにとても救われました。もし情報がなければ、きっと病院を変わることはなかったと思いますし、今クリンと一緒に過ごせていなかったかもしれません。

 

ネットは情報が溢れています。口コミサイトもありますがほとんどは匿名で、中には自作自演のものもあると聞きます。リアルな情報かどうかも正直わかりません。そしてどの情報をチョイスするのかにより、結果は大きく変わってしまいますが、もちろんそれは自己責任。ネットは手軽ではありますが、発信されている情報がすべて正しいとはいえないんですよね。

だからこそ、愛犬家同士のリアルなつながりは大切だと考えています。

 

もし今、セカンドオピニオンを考えておられる飼い主さんがおられたら。

近所のドッグランに行って他の飼い主さんと動物病院の情報を交換したり、周りに犬を飼っている方がいない場合は、ネットで愛犬ブログをやっておられる飼い主さんを探し、コンタクトを取ってみるといいかもしれません。闘病を経験している飼い主さんは、情報の宝庫です。いろんなことを試されたり工夫されているので、お話を伺うだけでも参考になります。

なにより、愛犬家の皆さんはとても優しくて、とても親身になってくださいます。

 

どうかお一人で悩まないでください。必ず手を差し伸べてくれる優しい飼い主さんがおられますから。

 

 

ライター:福井 惠子