【犬の投薬】薬嫌いの子でもこれなら簡単!薬の飲ませ方

愛犬情報

犬種:ミニチュアダックスフンド

病名・症状:病院で処方された薬を嫌がって飲まない

発症年齢:15歳

発症の経緯:苦い薬を無理やり飲ませたこと

治療法:自宅で対処

 

 

薬を飲ませる苦労

 

 

我が家のクリンは、14歳の時に足の不具合が出て、その時に苦い痛み止めを処方されました。その薬が苦いことに全く気付かず、無理やり飲ませようとしたことから薬に対する最初の不信感を持たせてしまいました。

15歳になり、炎症数値が上がった時に薬を処方されましたが、この抗生剤がとても苦いものでした。当時通っていた病院では「好きな食べ物に隠して薬とわからないようにして飲ませるといい」とアドバイスされたので、苦い苦い薬を当時好きだった食べ物に隠して無理やり飲ませようとしたことで、一切の薬を嫌がるようになってしまいました。

若い頃は食欲も普通にあり、ご飯の上に薬をトッピングしたらすんなり食べてくれていました。でもそれは、当たり前のことではなかったんです。

 

 

 

【失敗その1】食べ物に薬を仕込む

 

 

薬のことは過去に何度か記事にしています。これは、まさか「食べないこと」「薬を飲まないこと」で自分がこんなに悩むとは夢にも思っていなかったからです。愛犬が若いうちはさほど問題でないことも、ハイシニアになるとご飯を食べないこと・薬を飲まないことは、深い悩みになってしまいます。

特に持病がある場合の投薬は体調にも大きく関わるため、毎回きちんと飲ませたいですよね。

でも、絶対に絶対に絶対に!好きな食べ物に仕込むことだけは避けてください!!

 

好きな食べ物に大嫌いな薬と仕込むのは、食べることそのものが嫌になるきっかけになります。

 

時間になったらご飯を喜んで食べてくれるのは、決して当たり前のことではありません。そして、愛犬がご飯を食べないことは、飼い主の精神に大きなダメージを与えます。

これはわたしだけでなく、多くのハイシニア犬の飼い主さんから同様の話を聞きましたし、皆さん一様に精神的にとてつもないダメージをくらったとおっしゃっています。

 

 

【失敗その2】薬の味を確かめなかった

 

わたしが今通っている病院は、基本無味の薬しか出されません。中には苦みのあるものもあるようですが、その場合は必ず苦みがあるということを教えてくださいます。

でもすべての病院がそうではありません。苦い薬であっても、苦みがあることを教えてもらえないことの方がもしかしたら多いのかもしれません。

犬にも味覚があります。特に甘みをおいしく感じるそうです。でも苦みがわからないということではありません。

そしてとても優れた嗅覚を持っています。一度「苦い」と感じた匂いは決して忘れません。

 

犬の知能は幼児と同じくらい、といわれています。ということは、小さな子供が嫌がることは、犬が嫌がることでもある、と考えればわかりやすいかもしれません。

病院が嫌いな子供は、病院で泣き叫びます。病院が嫌いな犬は、病院で鳴き叫びます。

薬も同じで、一度嫌な思いをしてしまうと、もう二度と普通に飲んでくれなくなってしまうこともあります。我が家はまさにこれでした。

 

ではなぜ薬が苦いと気づいたか…

それは、あまりにクリンが嫌がるので、何が嫌なのかわからず、試しに薬を舐めてみたんです。その薬は、舌がしびれるくらいの苦みがありました…

わたしの場合は、ドッグフードも味見しますので全く抵抗はありませんでした。(自分が味見できない・したくないようなものは、基本与えないようにしています)

 

薬を舐める方法はあまりおすすめできませんが、もし薬を嫌がる子の場合は、薬の味について獣医さんに聞いてみるといいと思います。

 

 

どうやって投薬を克服したのか

 

 

大袈裟なようですが、わたしにとって投薬の悩みは一大事でした。そのくらい悩みまくっていました。

フードのトッピングに匂いの強い缶詰を使い、その中に薬を仕込み、食べたら小躍り、食べなかったら落ち込みまくり…を繰り返していた時でした。

 

クリンはロングヘア―なので、足裏の毛が伸びるんです。以前はバリカンで普通に刈らせてくれていましたが、おそらく振動で関節などに痛みを感じるのか、薬を嫌がるようになった同時期くらいから、カットもさせてもらえなくなりました。

足裏の毛が伸びてしまうと滑りやすくなってしまうので、腰にも負担がかかります。なので、病院で爪切りをお願いする時に一緒に足裏もカットしてもらっていました。

昨年、通信でトリマー2級の資格を取ったんですが、カットの練習をしている時にふと、トリミングをしてもらっている時のことを思い出しました。高いところにリードをくくりつけて落ちないようにしていますよね。

それまでは床でカットをしていましたが、ある時ハーネスをつけてキッチン台の上に乗せ、キッチン上の収納の取っ手にリードをくくりつけてみたんです。すると、クリンはほとんど抵抗することなく、足裏の毛をカットさせてくれました。

 

 

そして、今の病院に移り、手術を受ける前、クリンが薬を飲めないという話をしていたので、看護士さんが「シリンジ」を使って薬を飲ませてくださったんです。

 

目の前でシリンジで薬をいとも簡単に飲ませる看護士さんを見て、「これだ!」と思いました。

犬は高いところが苦手です。そしてトリミングを受けたことのある子なら、高いところに載せられてリードで固定されることに慣れています。

わたしは帰宅して、さっそく病院でいただいたシリンジを出し、薬をすりつぶし、ぬるま湯で溶いてシリンジにセットしました。そしてリードをつけたクリンをキッチン台に乗せ、リードを取っ手にくくりつけました。

そして、口の横の犬歯と奥歯の間の「歯のないところ」にシリンジの先を入れて、薬を少しずつ流し込んだら………

 

ほとんど抵抗せず、飲んでくれました!!!!

 

最初は多少嫌がりましたが、自分のお腹をクリンのお尻に当ててそれ以上後ろに行けないようにし、右手にシリンジ、左手はクリンの顎を持ち、顎を少し上げた状態で少しずつ少しずつ薬を飲ませました。

それまで薬を処方されることがストレスでしたが、この方法で飲ませることができるようになり、とても楽になりました。

もし今、愛犬が薬を飲んでくれないと悩んでいる方がおられたら、この方法は本当におススメです!

 

 

【図解】薬の飲ませ方とポイント

 

【準備するもの】

★シリンジ(小型犬の場合なら5mlのシリンジ) ※ネットで「シリンジ 5ml」で検索すると出てきます

★薬(錠剤は事前にすりつぶしておきましょう)

★薬をすりつぶすための乳鉢や錠剤クラッシャー ※錠剤クラッシャーは1000円弱でネットで買えます

 


 

①薬をティースプーン1杯弱(約4㏄)のぬるま湯でよく溶かします。苦みのある場合や、薬に抵抗のある子の場合は、少量の砂糖を混ぜると口に入った時に甘みがあるので抵抗を最小限にすることができます。溶かした薬をシリンジで吸います。空気が入った場合は、口を上にして本体部分を爪でたたくと薬液が下に落ちますので、空気を抜いてください。

 


 

②ハーネスとリードをつけた愛犬をキッチン台の上に載せます。リードはキッチン上の収納扉の取っ手などにくくりつけます。

【POINT1】犬は家ではわがままを通そうとする場合があります。床の場合だと逃げ場があり、嫌がって暴れることもあります。慣れるまでは、できるだけ作業のしやすい高さで、リードをくくりつけるところがあるキッチン台がおすすめです。

【POINT2】リードはピンと張った状態にすることも大切です。緩んでいると、暴れて下に落ちてしまう恐れもありますので、キッチンの上に載せたら、目を離さないようにしてください。

 


 

③マズル横のくちびるをめくり、犬歯と奥歯の間の歯のない部分を確認します。

【POINT】歯のない部分は、シリンジの先を差し込みやすく、もし噛もうとしても歯がない部分なので噛むことができません。

 


 

④シリンジの先を犬歯と奥歯の間に入れ、少しずつ薬液を流し込みます。もしむせてしまったら一旦手をとめて、落ち着いたらまた少量ずつ入れていきます。一気に入れるとむせてしまうので、少し入れて手を止め、ごくんと飲み込んだらまた次、という感じで入れていきます。

【POINT1】リードを固定しても動いてしまう子の場合は、飼い主さんは犬の若干後ろ側に立ち、飼い主さんのお腹を犬のお尻の部分に当たるようにすると、落ち着いてくれます。もし全然嫌がらないようであれば、前側からマズルをめくってシリンジを差し込んでも飲んでくれます。

【POINT2】犬の顎を少し持ち上げると、薬液がこぼれにくいです。うちの場合は、犬の後ろ側に立ち、お尻にお腹をつけ、左手は犬の顎、右手はシリンジを持っています。

 


 

本当は写真を撮りたかったのですが、1人でやっているのでなかなか撮れなかったため、イラストで紹介しました。ちなみにあだ名は画伯です。デッサン狂ってるのはどうかスルーでお願いします(笑)

 

 

 

ライター:福井 惠子

 

 

【シニア犬(老犬)の食べムラ】我が家の秘密兵器

愛犬情報

犬種:ミニチュアダックスフンド

病名・症状:食べムラ・食い渋り・食欲不振

発症年齢:15歳

発症の経緯:投薬の失敗・子宮の不具合(痛み)・歯石による食欲不振

治療法:飼い主の工夫

 

 

飼い主を悩ませる「食べムラ」

 

我が家の愛犬クリンは、15歳の時の体の不具合と投薬により、強烈な食欲不振に陥りました。

きっかけは足の痛みでしたが、その時の投薬(超苦い痛み止めと超苦い抗生剤)を食べ物(好物)に隠して与えようとしたことが原因で、食べ物に不信感を持ってしまいました。

飼い主の失敗により、「食べること=苦いものを無理やり口に入れられる」とインプットされてしまったことで、口さえ触らせてくれなくなってしまいました。

ご飯を食べないことは、重篤な病の宣告をされるのとはまた種類が違うのですが、シニアになってご飯を食べない=このまま衰弱してしまう、という風に考えてしまい、めちゃくちゃ精神的に堪えます。

我が家の場合は少しずつ信頼関係を作り直すところから始め、ご飯と薬を完全に分けて与えるようになり、今では食べることへの不信感は払拭できましたが、食べムラだけは残ってしまいました。

クリンが食べるかどうかは、ご飯の時間になってみないとわかりません。以前は起きてすぐにご飯を食べてくれましたが、今はクリンがご飯を食べるまでの時間を想定し、用事がある場合はでかける3時間前には起きないといけなくなりました。

 

飼い主の生活にも大きく影響してしまう食べムラですが、数年付き合ううちにこちらにも知恵がつき、様々な小道具を使って比較的すんなり食べてくれるようになりました。

今回は、我が家で使用している、食い渋る時に使っている小道具とトッピングを紹介させていただきます。

 

 

食欲をそそる「匂い」

 

クリンはおかあさんに丈夫に産んでもらったようで、昨年末の手術の時に歯石ケアをしてもらった時、抜歯は1本だけで済みました。その他の歯はぐらつきもなく問題ないとのことで、今でもドライフードを食べてくれています。(手術の記事はこちら

 

手作りフードがいいという話も聞きますが、うちの場合は食べてくれないということと、栄養バランスを考えるのが大変なので、食べてくれるうちはドライフードを使おうと思っています。ただ噛む力は弱くなっているので、超小粒サイズのドライフードを与えています。

元々ドライだけでは食いつきは悪かったので食べムラ以前からトッピングはしていましたが、今はドライフードだけでは絶対に食べません。なのでトッピングは必須なんです。

 

14歳までは市販の缶詰をフードにかけて、上に薬をおいても食べてくれていたんですが、ここ数ヶ月は市販の缶詰やレトルトパウチなどは全く食べなくなってしまいました。

なので、最近は手作り系(鶏肉・牛肉・豚肉等)のボイルやソテーにしたものをトッピングに使ったり、ジャーキー系のものをトッピングに使用しています。

 

ジャーキーはうまみが凝縮しているようで食いつきはとてもいいです。

最近はふりかけ系も充実していていろんな種類の商品があり、以前は使っていましたが、開封したてはものすごく強い香りでも日数が経つにつれどんどん香りが弱くなり、食いつきも悪くなっていくんですよね。

食欲を刺激するのに一番効果的なのは「匂い」。なので匂いが強くなる方法を色々考えてみました。

 

 

うちで使っているトッピングと秘密兵器①

 

これが今一番ホットなジャーキーです。鴨肉のジャーキーで、鶏肉よりも匂いが強く、開けた瞬間めっちゃ食いついてきました。これは鴨ささみ肉がカットしてあるタイプです。あまりに食いつくのでつい大人買いしてしまいました(笑)

 

 

 

こちらは砂肝ジャーキーです。これは砂肝がそのまま乾かしてあり、かなりハードタイプになります。

 

これらをトッピングに使用していますが、このままだと固いし大きいしでどちらも食べることはできません。大きなものも固いものも、食べようとはしますが、ポロっと落としてしまうんですよね。一度落としてしまうと、食べられなかったことにショックを受けるのか、それから食べてくれなくなってしまうこともあります。これは性格もあると思いますが、クリンにとっては「今までと同じように生活している」ということが大切なことのようなので、「できないこと」を増やさないようにするために、こちらで工夫してできることは先回りしてするようにしています。

 

 

そこで、1つ目の秘密兵器の登場です。

 

ニッパーです。ホムセンなどで100円くらいで売っているものです。ニッパーは固いものを簡単に切れるので、砂肝などはこれで小さくカットして食べさせています。

最初からカットしてあるものを買わないのは、ものが大きい方がカットしてあるものよりも匂いが強いように思うからです。いつも食べる直前にパチパチとカットして、フードの上にふりかけています。

カットすると、切り口は新鮮なので結構匂いが強くなります。なのでこれもかなり有効な方法です。

 

 

我が家の現在最強の秘密兵器

 

ずっとニッパーを使っていましたが、これでもやっぱり食い渋りが出てしまうことがありました。

そこで、匂い立たせるための方法を考えてみたんです。焼く・煮る・あぶる……そう、熱を加えれば匂いは強くなるぞ!という結論に達しました。

 

そして、我が家の最強の秘密兵器ができました。

 

 

それは、おろし金です。

これでジャーキーをすりおろすと、封を開けて多少時間が経っていても、すりおろす際の熱で瞬時に匂い立たせることができるんです。

ちなみに、最初は100均のプラスティックのおろしを使っていましたが、あまりに固いため、とんがっている部分が折れてフードの中に混ざってしまったんです。

すぐに見つけることができたので事なきを得ましたが、間違って食べてしまうと大変なことになるかもしれません。なので、強度のあるステンレスのおろし金を探して購入しました。

これは固い砂肝ジャーキーでも楽々すりおろすことができます。ありがとう、おろし金。

 

おろし金ですると、とても細かいふりかけになります。匂いは強いですが、もう少しジャーキーっぽさを出すことと、ザラっとした食感を混ぜることでドライフードを違和感なく食べてくれるように、ハサミでジャーキーをカットしてフードの上にふりかけるようにしています。フードだけになってしまうと残してしまうこともあるので、食べている途中でトッピングを追加して、フードを残さないように工夫しています。

 

 

【参考】簡単自家製ふりかけを使った食べさせ方

 

 

 

これが実際にすりおろし&カットしたジャーキーです。

うちの場合、最初からフードの上にかけても食べてくれません(涙)

長年の食べムラでどうも癖がついてしまったようで、すんなり食べてくれることはほとんどないため、まずはトッピング選びから。数種類あるトッピングを、ローテ―ションでくるくる回すようにしています。

鴨肉ジャーキーの場合は、まず小さな一口大にカットしたものを食べるか確認し、食べてくれたらふりかけを作ります。

ふりかけだけをまずは食べさせて、食べてる間に別のお皿に出したフードの上にジャーキーをシャカシャカとふりかけ、それをスプーンで少しずつ横から足していきます。

コツは、最初に入れるフードはトッピングたっぷりにすること。これでうやむやになるようで、結構フードをすんなり食べてくれるようになりました。

フードを食べたら、あとは残ったフードを追加していくだけで、普通に完食してくれるようになりました♪

 


 

かかりつけの獣医さんによると、ハイシニアの食べムラや食い渋りは当たり前に起こるそうです。人間も歳をとると食の嗜好が偏ってしまうことがありますが、それと全く同じだそうで、今までおいしいと感じていたものもおいしく感じなくなったり、嗅覚が衰えてくることでより匂いの強いものを好む傾向が出る場合もあるそうです。

誰でもいつかは歳をとります。歳をとるとわがままになってしまうのは人間も犬も同じ。なので、自分が付き合える範囲であれば、食べたいものを食べたい時に食べてもらうのが一番かなぁと考えています。以前は食べないといちいち落ち込んだりしていましたが、3年も付き合ってると耐性がつき、今は1食くらい抜いてもいいか、くらいに思っています。

ただ体重が減っている時やあまり体調が優れないような時などは、体力を維持するためにシリンジで与えるようにしています。シリンジを有効活用することで、わたしの生活もかなり楽になりました。

ちなみに薬もシリンジで与えています。シリンジを使った投薬と給餌方法はまたあらためて紹介させていただきますね。

 

食べムラで困っている方はとても多いようで、よく耳にします。どうか少しでも参考になりますように。

 

 

ライター:福井 惠子

 

 

【犬の留守番】共働きで犬を迎える覚悟

愛犬を迎えることって?

我が家にはトイプードルの女の子が1頭います。名前はプリンといいます。

家族はわたしと主人の2人暮らし。共にフルタイムで仕事をしています。

プリンは日中留守にする我が家で、ひとりでちゃんとお留守番をしてくれています。

留守が多い我が家でなぜ犬を迎えたのか。もしかしたら、愛犬に長時間お留守番させることを「虐待」と言われる方がいらっしゃるかもしれません。わたし自身、長時間のお留守番をさせていることに最初はとても抵抗がありましたし、罪悪感も感じていました。

でもプリンを迎え入れて本当によかったと心から思いますし、プリンも毎日楽しく過ごしてくれています。

我が家と同じように、お一人暮らしやフルタイムでお仕事をされていて、愛犬を迎え入れることを悩んでいる方、また愛犬に長時間お留守番をさせている方や、お留守番をさせることに罪悪感を感じている方がおられたら、ひとつの参考として我が家の話を聞いていただけたらと思います。

 

 

愛犬を迎え入れるまで

わたしは犬が好きで、結婚してからずっと飼いたいと思っていました。

でも我が家は共働きのため、日中は留守にします。長時間留守番させるのに犬を飼うなんて無責任なのではないか…そう思い、ずっと我慢していました。

でも諦めきれず、ペットショップに行っては小さな仔犬を見たり、ネットで仔犬情報を見たりしていました。(当時は保護犬のことをあまり知らなかったため、犬を飼うのはペットショップかブリーダーだと思っていました。)

 

我が家には子供がいません。

30代後半で大きな病気が見つかり、治療しないと不妊治療ができないといわれて、1年間治療に専念しました。病気が治ってから不妊治療を始め、6年ほど治療を続けましたがうまくいかず、状況的にも年齢的にも妊娠は難しいといわれました。

 

正直、わたしの心はボロボロになっていました。

周りの人たちの言葉にも敏感になり、「子供は?」という何気ない日常会話の中での一言にさえ傷ついていました。

ちょうどこの頃、主人が遠方に1ヶ月間単身赴任することになりました。年齢的にリミットのない中、辛い治療を何年も続けていたのに、たった1ヶ月のことではありますが、それまでの治療が台無しになってしまうと思ってしまったんです。

出張先から電話をかけてきた主人と話している時、それまで張りつめていた糸が切れ、大泣きしてしまいました。

その時に初めて、主人はわたしの心の状態に気付いてくれました。そして「もう子供は諦めて犬を飼おう。」そう言ってくれました。

 

 

運命の出会い

 

主人が出張から帰ってきてから、さっそく近くのブリーダーをされているペットショップに足を運びました。ちょうど生まれたばかりのトイプードルが5頭いるとのことで、見せていただきました。

その中で、兄弟にもみくちゃにされて踏まれていた1頭の仔犬がいました。胸元に白い模様の入ったその子は、売り物にならないかもしれないということでした。ほかの兄弟たちに踏まれても怒ることなく、ただただじっと耐えている子。

出口のない不妊治療で心がボロボロになっていたわたしは、売り物にならないかもしれないその仔犬がまるで自分のように感じ、この子をうちへ迎えよう、と心に決めました。

11月末に我が家へ迎え入れることになり、それまでに名前を決めておいてくださいといわれました。

ちょうど年末にかかる時期ということもあり、バタバタと忙しい毎日を過ごし名前がなかなか決められずにいた中、我が家のプリンターがつぶれてしまいました。年賀状の印刷をしなければならず、急いで家電ショップに買いに行きましたが、欲しいプリンターは売り切れ。仕方なくお取り寄せで注文したのですが、プリンターの受取日が偶然にもプリンをお迎えに行く日と同日になってしまいました。

そしていよいよプリンを迎えに行く当日になり、主人が「そろそろ取りにいかないと」と言った時、「プリンターを取りにいくの?」というところを「プリンを取りにいくの?」と言い間違えてしまいました。

プリン?プリンター?と大笑いした時に、主人が「もう名前はプリンでいいやん」と言いました。

我が家の愛娘プリンの名前の由来は、スイーツのプリンではなく、プリンターのプリンです(笑)

 

 

留守番させることへの罪悪感と葛藤

 

プリンが我が家の一員になり、それまで鬱々と悩んでいたのがうそのように、毎日大騒ぎであっという間に時間が過ぎていきました。初めて迎えた愛犬に、わたしも主人も夢中になりました。プリンは愛らしくて可愛くて、まるで自分がお腹を痛めて産んだような感覚になるくらい愛おしい存在になりました。

でもここで大きな問題に直面しました。それが「お留守番」です。

犬を迎え入れる前に散々考えていたことではありましたが、プリンを迎えた時は勢いもあったので、実際にうちの子になってからとても悩みました。毎日ネットで調べたり、犬の本を購入して読み漁ったり…

プリンをひとりで長時間留守番させることに、大きな罪悪感を感じていました。

でも仕事を辞めることはできません。犬を飼うということは、お金もかかります。プリンと主人と一緒に楽しく生活をしていくためには、仕事を続けることは必要なことでした。

当時は犬を飼っている友達も周りにいなかったため、相談相手もいませんでした。そんな時、プリンのものを買いに近くのペットショップに行った時に、大きなトイプードルを連れた方がおられ、あまりに大きかったので声をかけて少しお話したんです。その方も夫婦2人暮らしで犬を飼っているとのことで、どのようにお留守番させておられるのかも聞いてみました。

その方は、子供部屋にしようと思っていた部屋があるので、そこをお留守番の部屋としているとのことでした。結構長い時間お留守番をさせているから、「帰宅すると部屋はむちゃくちゃになっているので、帰ったらまずは掃除からなんです」といわれてるのを聞きながら、皆さんいろんな工夫をされているのだと思いました。

「ひとりでゆっくりリラックスして過ごせる場所を自分なりに作ってみよう」

そう思い、自分なりに調べて、プリンが過ごす部屋を決めました。冷暖房完備でできるだけ静かな場所で、ベッドとトイレが設置できる大きめのサークルを購入しました。部屋で自由に過ごせるようにしようかとも思いましたが、犬はサークルなど落ち着ける場所があった方がいいと書いてあったのと、誤飲なども怖かったので、サークルを設置することにしたんです。

わたしが仕事に出る時は、エアコンフル稼働で居心地の良い居住空間を作り、さみしくないようにコングなどいろんなおもちゃを準備し、少しずつひとりの時間をつくるようにしました。

最初は30分、お利口にできていたら褒めて、次に1時間、3時間…と少しずつ少しずつ時間を延ばしていきました。

プリンにわたしの気持ちが通じたのか、静かにお留守番ができるようになりました。

 

 

生活のリズムをつくること

 

このように、少しずつ少しずつ時間をかけてひとりでいることに慣れてもらい、プリンはとてもお利口にお留守番ができるようになりました。サークルの中にいると安心するようで、わたしが仕事で出かけた後はぐっすり眠っているようです。そしてわたしが帰宅すると、とても嬉しそうにしっぽを振って出迎えてくれます。

プリンにお留守番させる日は、必ず1日1回30分以上のお散歩に行くこと。もし天候不良で行けない場合は、たっぷりと愛情をかけて遊んであげること。自分の体調が悪い時でも、これだけはするようにしています。

犬との生活は、いろんなことが起こります。プリンは体が弱く、小さな頃からいろんな病気にかかったりしていますし、毎日悩んだり困ったりすることもあります。

でもそれ以上に、たくさんの幸せとたくさんの愛情をくれる、とても大きな存在です。

 

お留守番をさせることについては、正直今でも罪悪感を感じることはあります。わたしはとても心配症で、本当はずっと一緒にいてあげたいと思ってるんですよね。でも思っていた以上に医療費がかかるため、今のところは仕事は続けていこうと思っています。

でもプリンが病気などの時はお休みをいただき、一緒に過ごすようにしています。これから先、プリンが歳をとったら仕事をやめようと思っています。

 


わたしがお留守番について書こうと思ったのは、自分自身が犬を飼うことについてとても悩んだからです。もしかしたらわたしと同じような悩みをお持ちの方もいらっしゃるかもしれないし、お1人暮らしで犬を家族として迎えたい、と悩んでおられる方もいらっしゃるかもしれません。

わたしと同じように、犬を飼うことで毎日の生活が豊かになり、「自分自身が救われる」という方もおられるかもしれません。

 

もし今、仕事をしていてずっと一緒に過ごせないからと犬を迎えることで悩んでいる方がおられたら…

もちろん理想はずっと一緒に過ごすことだと思いますが、きっとそれぞれの生活スタイルが出来上がってくると思います。案ずるより産むがやすしといいますが、うちもそうでしたが、何とかなるもんですよ。

ただし、ペット禁止のマンションなどの場合は、ペット可に引越してからにしてくださいね。もしばれてしまうと手放すことになりますから。

犬はとても愛情深く、惜しみなくたくさんの愛情をわたしたちにくれます。離れている時間があっても、お休みの日や一緒に過ごせる時間はたっぷり愛情をかけてあげることで、しっかりと絆をつくることができると感じています。

 

プリンを家族に迎えて、本当によかったです。

 

 

ブログ:京都アニマルコミュニケーション桜梅桃李~愛犬プリン~

 

ライター:HIROMI

 

 

 

【犬のセカンドピニオン】わたしが転院した理由(3)

愛犬情報

犬種:ミニチュアダックスフンド

病名・症状:胆泥症/子宮蓄膿症

発症年齢:14歳/15歳

発症の経緯:ヒート症状から食欲不振 陰部の腫れ

治療法:投薬治療(2年間)→17歳9ヶ月で手術

 

関連記事:

【セカンドオピニオン】わたしが転院した理由(1)

【セカンドオピニオン】わたしが転院した理由(2)

 

 

驚きの診断内容

【セカンドピニオン】わたしが転院した理由(3)

 

初めて訪れたその病院は、今まで行ったことのないような雰囲気でした。

待合とつながった診察室。間仕切りのない診察台がいくつも並び、複数人のドクターと忙しそうに走り回るたくさんのスタッフの方たち。その中で、ひときわ大きな声で指示を出されていたのが院長先生でした。

初診で見ていただいた先生に、抗生剤投与しても8ヶ月CRPが下がらないこと、心臓の薬を飲んでいること、胆泥症であること、子宮水腫の治療をしていること、胆管肝炎と診断されたこと、わたしは歯が悪いのではないかと思っていること、2年以上食べムラに悩んでいることなどをお伝えし、持参した前の病院の検査結果などをお渡ししました。

まずはきちんと診断した方がいいということで、CT(無麻酔)とレントゲン、血液検査・心電図・血圧・エコーでの検査をすることになりました。

血液採取してCTとレントゲンを撮った後、院長先生が来てくださり、先生から状態の説明をしていただいた後、ちょっと触らせてとクリンの体を触られました。

「この子、子宮に痛みがあるよ。だからご飯食べないんじゃない?」

なんと1分もかからず、食べムラの原因を究明してくださいました。そして検査の結果、子宮はすぐに取った方がいいといわれました。

心電図の結果、不整脈があることがわかりました。そして中度の水頭症であることもわかりました。胆泥症は軽度でこのまま投薬でいいとのこと、そして重度のヘルニアであることがわかりました。

前の病院に行った3日後だったのですが、その時に2週間効く抗生剤を注射してもらっていたため、CRPは高いけどクリンの負担になるから2週間経ってからでないと何もできないといわれました。

痛みがあること、アリジンでの治療が2年続いていることなどから、もしかしたら子宮が癒着しているかもしれないこと、エコーで診た限り少し腫れがあるようなので、これ以上アリジンでの治療は効果が期待できないかもしれないこと、歯の状態がかなり悪いため、炎症は歯の可能性もあること、きちんと治療したいなら手術しかないことなどの説明を受けました。年齢的にももう猶予はないため、決断するなら早い方がいいといわれました。

そして、ものすごく分厚い本を持ってきてくださいました。それは獣医さん用の薬の辞典のようなもので、今まで使っていた薬をひとつひとつ説明してくださいました。

 

 

炎症の原因と術前の準備

【セカンドピニオン】わたしが転院した理由(3)

 

抗生剤には種類があり、どういった炎症に効くか、どの臓器に負担がかかるのか、薬の種類により効果がない炎症があるため、どこで炎症が起こっているかを把握して薬を選ばないと、効果はないのに臓器に負担だけがかかる、ということを教えてもらいました。クリンが受けていた2週間タイプの抗生剤は、歯には効かないタイプの抗生剤とのことで、8ヶ月間も下がらないところをみると、炎症は歯で起こっている可能性が高い、といわれました。

それまで原因のわからなかった炎症の原因に見当がついたことと、食べムラの原因がわかったことで、わたしの決心は固まりました。この先生にクリンの命を預けよう、そう心に決めました。

手術を受けることを伝えると、まずは2週間の薬が切れるのを待つこと、不整脈があるため、寝ている時に不整脈が乱発していると麻酔のリスクが高まるため、24時間心電図で事前に調べておくこと、そしてもしもの時の場合の処置ができるかどうか、血液の流れをよくする薬を投与し、状態を確認しましょうといわれました。

 

心電図の結果、不整脈はあるものの、大きな問題はないということでした。血の検査も問題なし。あとは手術の日を待つばかりとなりました。

「15歳で子宮水腫がわかった時すぐに手術をしておけば、クリンはこんなにしんどい思いをしなかったのかもしれない。」

この時に、選ぶ病院でここまで差があるということを痛感しました。

前の病院も決して悪いところではありませんでした。わたしの友人も何人か紹介しましたが、転院して命を救われた子もいました。もしかしたら、14歳でセカンドオピニオンを受けた時に「手術を受けるのが怖い」という入口だったから、手術をしないという前提になってしまったのかもしれませんし、手術に自信があるからこそ、できるだけリスクを避けてギリギリまで待つという方針になったのかもしれません。

 

まもなく18歳を迎える高齢の子に積極的治療を提案するのはかなりリスクが高いと思います。でもその病院では、15歳16歳で手術する子はたくさんいて、高齢での手術がはそう珍しいことではないとのことでした。クリンの胆泥症がわかった14歳の時、子宮の異常がわかった15歳の時、もしこの病院を知っていたらきっと治療法は違ったと思うと、心の底から後悔しました。

クリンは、最初に病院を訪れてから約3週間後の11月3日に手術を受けることになりました。年齢的にも急変に備え、他に手術が入っていない日でドクター2人体勢で手術をしてくださるとのことでした。

この日から、手術前日までは祈るような気持ちで過ごしていましたが、一方で転院してから食欲も旺盛になり、元気に過ごしているクリンを見て、「きっと大丈夫」そう思えました。

 

 

手術を受けてからの変化

【セカンドピニオン】わたしが転院した理由(3)

 

手術当日、抱っこされて手術室に向かうクリンを祈るような気持ちで送り出し、待つこと1時間。

先生からは「心臓の様子によって、歯の治療はできないかもしれない」と言われていましたが、無事歯石を取り、1本抜歯をしていただくことができました。

摘出した子宮も見せてもらいました。1ヶ所腫れている部分がありそこに痛みがあったのではないかということ、癒着はしていなかったこと、歯の状態は思ったほど悪くなかったけど歯石はかなりひどい状態でおそらく痛みもあったであろうこと、そして年齢的にも術後の急変も考えられる状況であるため、今日は終日病院で様子をみましょうといわれました。

 

クリンは麻酔の影響でぐったりしていましたが、1時間後には自力で起き上がりました。

【セカンドピニオン】わたしが転院した理由(3)

 

長い1日が終わり帰宅すると、足元はおぼつかないながらよたよたと歩いてくれて、クリンの生命力にとても感動しました。傷口が癒着してしまうためできるだけ動くようにといわれてたので、翌日からお散歩再開。傷口が突っ張るのか本調子ではないものの、クリンは走ろうとするくらい元気でした。食欲はなかなか戻りませんでしたが、術後4日目でやっとご飯を完食してくれました。術後初めてご飯を食べた時、「あれ?」という顔をしたんですよね。大きな歯石がべったりついていて、それが歯茎に食い込んで痛みがあったようだといわれていたので、きっといつもの痛みや引っかかりがないことに気付いたのだと思いました。歯石も食べムラの原因であったのだと思いました。

 

病院を変わってから、クリンに良い変化がありました。まずは食べムラ。それまでよりも明らかに食欲が戻りました。特に通院から帰宅した後はなぜか食欲が増していて、帰るなりガツガツと食べてくれることもありました。もしかしたら今の病院で痛みがあることを最初にわかってもらえて安心したのかもしれない。そう思いました。

実はクリンが下痢をしたので昨日も病院に行ったんですが、少し食べムラがあると伝えたところ、体を触ってすぐに❝ヘルニアの痛みが原因だと思うから、ヘルニアの注射と鍼治療をして痛みを取ったら食欲は戻ると思いますよ❞といわれ、治療を受けたところ、昨夜はしっかり食欲が戻りました。

 

犬は話ができませんので、飼い主は愛犬のしぐさや表情から推測するしかありません。前の病院はクリンにとって良い思い出がないのかもしれませんが、同じようなに嫌なことをされても痛い思いをしても、それでも震えたり嫌がったりすることはなくなりました。クリンはわたしに自分なりに伝えていてくれていたのだと思うと、本当に申し訳ない気持ちでいっぱいになりました。

 

 

飼い主だからこそできること

【セカンドピニオン】わたしが転院した理由(3)

 

手術を受け、クリンは今まで以上に元気になりました。今でも食べムラは多少ありますが、以前と比べるとかなりご飯を食べるまでの時間は短くなりました。体の悪いところをしっかりとわかってくださっていて、飼い主のわたしにもわかるように伝えてくださるので、本当に安心してお任せすることができます。

 

今の病院に移り、薬によって負担がかかる臓器が違うことや、症状に合わない薬を投与しても効果は全くないということを知りました。誤診で間違った治療を続けていても、症状は全く改善されず、ただ体に負担がかかるだけということも痛感しました。

そして、高齢であっても積極的治療ができるということを知りました。

 

わたしの友人は、愛犬の不具合である病院を訪れ、きちんと検査を受けないままに手術を受けました。そして開腹して何もできないまま閉じたそうです。手術を受ける前にはCTを撮るなど、病変をもっと詳しくみてからというのが一般的ですが、その病院ではエコーだけで手術に踏み切ったそうです。そして「うちでできることはない」と退院させられたそうです。

その病院はとても綺麗で、結構流行っているとのことでした。

 

今回の件で、わたしは知人からの口コミにとても救われました。もし情報がなければ、きっと病院を変わることはなかったと思いますし、今クリンと一緒に過ごせていなかったかもしれません。

 

ネットは情報が溢れています。口コミサイトもありますがほとんどは匿名で、中には自作自演のものもあると聞きます。リアルな情報かどうかも正直わかりません。そしてどの情報をチョイスするのかにより、結果は大きく変わってしまいますが、もちろんそれは自己責任。ネットは手軽ではありますが、発信されている情報がすべて正しいとはいえないんですよね。

だからこそ、愛犬家同士のリアルなつながりは大切だと考えています。

 

もし今、セカンドオピニオンを考えておられる飼い主さんがおられたら。

近所のドッグランに行って他の飼い主さんと動物病院の情報を交換したり、周りに犬を飼っている方がいない場合は、ネットで愛犬ブログをやっておられる飼い主さんを探し、コンタクトを取ってみるといいかもしれません。闘病を経験している飼い主さんは、情報の宝庫です。いろんなことを試されたり工夫されているので、お話を伺うだけでも参考になります。

なにより、愛犬家の皆さんはとても優しくて、とても親身になってくださいます。

 

どうかお一人で悩まないでください。必ず手を差し伸べてくれる優しい飼い主さんがおられますから。

 

 

ライター:福井 惠子

【犬のセカンドオピニオン】わたしが転院した理由(2)

愛犬情報

犬種:ミニチュアダックスフンド

病名・症状:胆泥症/子宮蓄膿症

発症年齢:14歳/15歳

発症の経緯:ヒート症状から食欲不振 陰部の腫れ

治療法:投薬治療(2年間)→17歳9ヶ月で手術

 

関連記事:【セカンドオピニオン】わたしが転院した理由(1)

 

初めての入院

 

クリンは2015年10月24日に入院しました。点滴の針を刺されて、冷たいステンレスのケージの中に入ったクリンを見ているだけで悲しくて悲しくて、やりきれない思いでいっぱいでした。

当初膵炎の疑いといわれてましたが、血液検査でリパーゼの数値が上がることはなく、おそらく膵臓と胆のうが合流しているあたりが炎暑を起こしているのであろうとのお見立てでした。

その病院は、先生が年中寝泊まりされているとのことで、何かあれば連絡をくださるとのことで安心して預けることができました。入院中はほぼ1日2回病院にご飯を持って通いました。点滴の針は入院して2日後に抜いてもらいましたが、全く食欲がない状態で、先生が強制給餌でフードを食べさせてくれていました。嫌がって暴れるクリンを無理やり押さえて食べさせるため、胸元はウェットフードでガビガビになっていました。

当時の自分には押さえつけて食べさせることはできませんでしたので、食べさせてもらえるだけでありがたいと思っていました。毎日薬を飲んで血液検査をしていましたが、CRPはなかなか下がらず、体重はとうとう3㎏を切り、2㎏台になってしまいました。

その時に先生から「死の宣告」をされました。

面会に行くと嬉しそうにこっちに来てくれるし、顔を見ていると元気そうだったんですが、これほどまでに食べない子はなかなかいないし、何よりも食欲がないという状態はとても怖い状態だといわれました。

相変わらず食べない日が続いていましたが、入院して1週間が経った頃くらいからようやく炎症数値が下がり始め、エコー検査は問題なし、血液検査も特に悪い数値は出ておらず、CRPが2を切ったら一旦退院しましょうといわれました。

 

ちょうど入院して2週間経った頃、病院のスタッフの方が「退院した方が食べるようになるのでは」と言ってくださり、CRPはまだ少し高めではありましたが、11月4日に一旦退院することになりました。

帰ってきたらびっくりするくらい元気になり、帰宅後はなんと2食もりもり食べてくれました。

とはいえ年齢的には決して楽観できないと思い、食べないと病院に行って点滴をしてもらう日々は続きました。ムラはあるものの、ご飯も食べてくれるようになり、ホッと一安心でした。

 

 

ヒートと陰部の腫れ

退院後は食欲も戻り、16歳の誕生日を元気に迎えることができました。体重も3㎏台になりました。

ところが5月になり、また強い食べムラが出始めました。ここから現在までの約2年近く、ご飯の時間になったら普通に食べに来てくれるということはなくなりました。そして、ヒートではないのに陰部が付いている部分が腫れるという症状が出てきました。(陰部が垂れ下がる感じ)

病院に行って診てもらいましたが、子宮の腫れはなく、点滴と抗生剤の注射をするだけで、なぜ陰部が腫れているかなどの話はありませんでした。その頃から少しずつ不信感が芽生えていましたが、ずっとお世話になっていることもあり、自分の気持ちにフタをするようになりました。

それからも陰部が腫れることはありましたが、時間と共に治まることもあり、それからはヒートのような症状が出たらアリジンを打って、食欲が落ちたら点滴をするという治療が続きました。

アリジンは、最初の時は目に見える効果がありましたが、2回目・3回目と回数を重ねていくごとに効果を感じることはありませんでした。ただ子宮蓄膿症を発症することもなく、なんとなく状態が安定していたので、その治療を維持していました。

そして2017年、17歳の誕生日月にワクチン注射と検診に訪れた時、血液検査でCRPが上がっていることがわかりました。

 

 

理由のわからない炎症

当時、食べムラと陰部の腫れ以外に気になることがひとつありました。それは「歯」です。

ご飯を食べた後などに、クッションなどにマズルをこすりつけるようなしぐさをよく見せていました。実際クリンの歯は歯石だらけで、奥歯の頬側には大きな歯石が固まりとなってべったりついていました。歯のケアをしたかったのですが、投薬の失敗からクリンは一切口周りを触らせてくれなくなっていたので、隙を見て唇をめくって状態を見るくらいしかできませんでした。

もう少し若ければ歯石除去をお願いしたかったのですが、年齢的に難しいと思っていたので、取れそうなところだけ取ってもらえないか病院で頼んだことがあるのですが、なかなかやってもらえませんでした。

 

CRPが上がっている原因は「子宮」だろうとのことで、アリジンと炎症を下げる薬を注射してもらいました。この時点で約3年通っていたのですが、最初の頃に比べて診療が雑になっているように感じていました。

「本当に子宮なのだろうか」と思っていましたが、言い切られてしまうとなかなかそれ以上聞けなくて、2週間効くタイプの抗生剤と点滴を打ってもらっていました。

ここから10月まで、ずっとこの治療が続きました。いつまでも下がらない炎症数値。血液検査をしても特に異常はなく、ただCRPが高いだけ。たまにこちらから子宮と胆のうの状態を見てほしいとお願いしてエコーで確認してもらうことはありましたが、大きな変化もなく、ヒートっぽい症状が出たりきつい食べムラが出たりするとアリジンを打って様子見していました。

 

 

8ヶ月間続く不調

 

8ヶ月にも及ぶ抗生剤投与と点滴。でも炎症数値は改善されず、下がっても1を切ることはなく、食べムラや食い渋りがひどくなることもありました。2月から数えると通院は20回を超えていました。

9月半ばに改めて炎症の原因について、先生に聞いてみました。エコー検査と血液検査を受け、先生の答えは子宮と胆のう炎ではないか、ということでした。そして自宅で皮下注射をする方法を提案されました。

もしかしたら歯が原因ではないかと思っていたので、歯を診てほしいということ、そして歯石もできる範囲でいいので何とかしてもらえないか、とお願いしました。

しかし、歯は診てもらえませんでした。理由は、「噛むから」でした。

実は転院してきてすぐの頃、クリンの歯石を麻酔なしでペンチのような器具で割って取ってくださったことがあったんです。それを見ていたので、簡単に取ってもらえるのでは、と考えていました。

長い治療の中でいろんな「嫌なこと」が積み重なり、クリンにとって病院そのものがストレスになっていたのだと思います。病院に行くととても嫌がるようになってしまっていました。

この時、これ以上クリンを診てもらうのは難しいと感じました。

実はずっと心のどこかで「このままではクリンは治らないかもしれない」と感じてはいました。でもそれまでの経緯や、入院した時にお世話になったから…重篤な状態の場合深夜でも連絡がとれるから…もし手術をすることになったらほかの病院では受けてもらえないかもしれないから…と、転院しない理由を考えていたんです。うちから車で10分かからない距離であったのも大きかったです。

 

この時のセカンドオピニオンは、わたしにとってはとても大きな決断でした。約3年間、ほぼ毎月のように通っていた病院で、クリンの状態を一番わかってくださっている先生だと思っていたので、気持ちの上でもかなり依存していたのだと思います。

でも今できることがあるならなんとかしてやりたい。病気でなく、自然に心臓が止まるその日までは元気に過ごしてほしい。そのためには、クリンの不調の原因を調べてくれる病院を探さなければ。

 

そして、SNSを通じて知り合った犬友さんが通われていたという、隣の市の病院に行ってみることにしました。

 

 

(3)に続く

 

ライター:福井 惠子

 

【犬のセカンドオピニオン】わたしが転院した理由(1)

愛犬情報

犬種:ミニチュアダックスフンド

病名・症状:胆泥症/子宮蓄膿症

発症年齢:14歳/15歳

発症の経緯:ヒート症状から食欲不振 陰部の腫れ

治療法:投薬治療(2年間)→17歳9ヶ月で手術

 

 

動物病院を選ぶ基準って?

 

我が家の長女クリンは、14歳の時に胆泥症と診断されました。病気を見つけていただいた病院では、手術を強く勧められましたが、その時に違和感を感じ、自らセカンドオピニオンを申し出、違う病院で投薬治療でもいけるといわれ転院しました。

その病院に1年ほど通った時に、今度は子宮の不具合が見つかりました。約2年間、子宮の治療も投薬で行っていましたが症状は改善されず、別の病院で診察を受けたところ、手術をした方がいいといわれ、転院して手術を受けました。

今回は転院の経緯と、飼い主として思ったことを書きたいと思います。

 

 

胆泥症発覚!その時の心境と感じたこと

 

我が家の愛犬クリンは、14歳になるまで病気もなく、動物病院には毎年のワクチン及び狂犬病接種とフィラリア予防のお薬をもらう以外にはほとんどお世話になることがありませんでした。

なので病院を選ぶ基準は、利便性が一番で、自宅から近くて駐車場があって、待合室が広くてそこそこキレイな病院を選んでいました。

13歳を過ぎたあたりから、フィラリア検査で血液を採取してもらった時に健康診断として血液検査を受けるようになりました。2014年の6月に、当時通っていた病院で血液検査を受けたところ、GPT(肝臓に異常がある時に基準とする数値)が高かったので、エコー検査とレントゲンをしてもらい、胆泥症であることがわかりました。

 

※胆泥症とは → 何らかの原因で胆汁が濃縮して変質し泥状になったもの(胆泥)が胆嚢に貯留した状態

 

クリンの胆泥症が発覚する数ヶ月前に、我が家の次女ニコの乳腺腫瘍が見つかりました。腫瘍は3つあり、避妊手術と合わせて手術をすることになりました。初めての手術でどのくらいの費用がかかるのか心配で確認しましたが、実際に請求されたのは最初に聞いていた額の3倍以上の金額でした。

事前に費用は変動すると聞いていましたが、高くてもこのくらい、といわれた額よりも2倍以上の金額だったため非常に驚きましたが、この時は無事手術が終わったことと、良性腫瘍でホッとしていたので、あまり深く考えていませんでした。

 

クリンの胆泥症がわかった時、担当医から「手術しないと助からないかもしれない」と聞き、目の前が真っ暗になりました。しかし、その先生は胆泥症の手術をした経験がないとのことで、院長に相談するといわれました。

 

そして提案されたのは、

「他の病院から手術のできる先生を呼んであげる」

「今の状態であれば、死んでしまうかもしれない。でも麻酔リスクもあり、年齢を考えると半々の確率で亡くなるかもしれない」

「でも手術しないと助からない」

ということでした。

 

初めての大きな病気ということだけでもショックなのに、いきなり「死」という言葉を突きつけられ、しかも半々の確率で死んでしまうかもしれない「手術」という治療しかできないということで、その場ですぐに決めることができませんでした。目の前のクリンはとても元気で、こんなに元気でピンピンしているのにわざわざリスクを冒す必要があるのか…

ニコの手術のこともありましたし、先生と話をしていても、「クリンの命を助けたい」というより「手術をさせたい」という印象を受けました。麻酔のリスクの話なんて、めちゃくちゃ雑な感じだったんですよね。半々で死んでしまうかもしれないのに。とにかく手術、手術しかないという感じだったので、正直「手術したらお金になるからじゃないのか」と思ってしまいました。

 

 

初めてのセカンドオピニオン~転院まで

 

 

手術以外の治療方法はあるのか、また手術のリスクについて別の先生の意見を聞きたいと思い、以前友人から教えてもらった病院にセカンドオピニオンに行きたい、と申し出ました。申し出るのはものすごく勇気がいりましたが、大切な我が子の命がかかっているためこちらも必死でした。

診断書を書いてもらい、セカンドオピニオンの病院で診察と検査をしてもらいました。その先生のお見立ては、「今とても元気だから、わざわざリスクの高い手術はしないで内科治療で様子を見て、状態が悪化した時に手術は考えればいいのでは」ということでした。

ただ、肝臓に何か影のようなものも見えるから、一度CTを撮った方がいいといわれ、CTの撮れる病院にてサードオピニオンを受けることになりました。

3つめの病院で血液検査とエコー検査してもらった結果、胆泥症はあるけどその他は問題ないので、CTを撮る必要はないといわれました。3つの病院で検査を受け、うち2つの病院から手術しなくても治す方法があるといわれ、とてもホッとしたことを覚えています。

そしてわたしは、迷わずセカンドオピニオンを受けた病院に転院することを決めました。

手術を勧められた病院で、手術を受ける意思はないことと、内科治療をしてくれる病院に転院することを伝えました。するとそこの院長に、びっくりするくらい感じの悪い態度を取られました。確かに転院するというのは病院にとってはいい話ではないですが、それまで長い間通っていたこともあり、とても残念な気持ちになりました。

 

 

胆泥症治療~子宮水腫発覚まで

 

転院してから胆泥症の投薬治療が始まりました。「ウルソ」と「ニチファーゲン」という薬が使われましたが、どちらも肝機能の改善のための薬で、大きな副作用はないとのことでした。14歳当時のクリンは、薬をフ―ドの上に乗せても普通に食べてくれていました。

そのまま投薬治療を続け、胆泥はあるものの初めてエコーで確認した時よりも改善されていってたので、このまま問題なく行けると思っていました。

ところが2015年5月に、突然前足を引きずりだし、その時にもらった痛み止めがきっかけで食べムラが始まりました。

※食べムラについての記事 シニア犬の食べムラ ~食べムラで悩んでいる飼い主さんへ伝えたいこと

 

足を引きずるのは3日ほどで治まりましたが、レントゲンで見る限り関節の状態はよくないといわれていたので、通院は続けていました。食べムラは多少ありましたが、それでも何かは口にしてくれていました。

ところが翌月になり、ヒートのような症状が出始め、クリンが全然食べなくなってしまったんです。それまでの食べムラや食い渋りよりもひどい状態で、匂いすら嗅ぐのを嫌がりました。これはどこかに不具合があるのかもしれないと思い、血液検査とエコー検査をしてもらった結果、子宮内に水が溜まっていることがわかりました。

 

この時クリンは15歳4ヶ月。主治医の先生からは、

「今の年齢と状態を考えると、このまま積極的治療はせずに投薬で逃げましょう。もし命にかかわる重篤な状態になったら、子宮と胆のうを同時に摘出する手術をすればいいから大丈夫です」といわれました。

主治医は有名な大学病院に長年勤務され、数多くの手術の経験がある先生だったので、「大丈夫」という言葉でとても安心し、先生の言う通りにしようと思いました。

子宮水腫の治療は、「アリジン」という注射で水腫が悪くならないようにする方法でした。まだあまりメジャーではないとのことで、ネットで調べても全然出てきませんでしたが、副作用があまりなくて効果は結構出るという話で、試してみることにしました。

1回目の注射の24時間後に2回目の注射を打つとのことで、初回は注射の後に食欲が戻りました。子宮内の炎症はあったようで、CRPが少し高かったので抗生剤を飲んだ方がいいといわれましたが、薬を嫌がることも十分ご存知だったので、2週間効くタイプの抗生剤を注射してもらいました。

 

とにかく一番困っていたのは「投薬」でした。それまではご飯の上に乗せてフードと一緒に薬を食べる方法しかとってなかったので、ご飯を食べないと薬も飲めないことになります。でも体に不具合が出ると薬を処方されます。薬が出ても、飲ませることができないので、八方ふさがりの状態でした。

 

薬を飲ませることがどうしてもできない、と先生に相談したところ、

「薬は必ず飲ませてください」

「好きな食べ物に薬を包んで食べさせてください」

「口を開けて舌の奥に薬を入れて口を閉じさせれば飲み込みます」

「甘いガムシロップに溶かして飲ませてください」

 

そこで好物に隠して食べさせたり、ガムシロップに薬を溶かして舐めさせようとしたり、とにかく言われたことはそのまま実行してみましたが、ものすごく苦い薬だったため、クリンは薬そのものが恐怖になりました。そして口すら触らせてくれなくなり、全く投薬ができなくなってしまいました。

 

 

食べムラと投薬

 

投薬の失敗から強い食べムラや食い渋りが出始め、精神的にかなり参っていたわたしは、すがる思いで主治医の先生に食べムラについて相談しました。

先生からは、食べなかったら病院に来て、といわれてたので、丸1日食べない時は翌日病院で点滴を受けていました。輸液の中に食欲増進作用のある薬(ステロイドの副作用を利用する方法)を少量入れてもらったり、別の薬をもらったりしました。

 

その頃には「好物」はすっかりなくなってしまっている状態で、薬も苦みのあるものは一切ダメ。ウルソとニチファーゲンは無味だったので、匂いの強いトッピングで何とかごまかして食べさせたりしていましたが、薬を飲まない子に薬を飲ませるのって本当に大変なんですよね。病院では「薬を飲ませてください」しかいわれないし、どの方法も失敗しているから、どうしていいかわからない。もはや口すら触らせてくれないクリンを前に、泣いたりわめいたりしていました。

 

当時は精神的にかなり追い詰められた状態で、ご飯を食べなかったら弱ってしまうかもしれない、薬が飲めなかったら状態が悪化するかもしれない、どうしようどうしよう……と焦りと不安で押しつぶされそうでした。(※投薬と食べムラについては別記事にまとめます)

この時の経験が、サイトを始めるきっかけにもなりましたが、本当につらくて苦しくて、思い出しただけでも吐きそうなくらいしんどくなってきます。そのくらい参っていました。

 

不思議なもので、飼い主の精神状態が悪くなると、愛犬の調子も悪くなるんですよね。毎日、今日はご飯を食べるだろうか…ばかり考えていました。多い時では缶詰やジャーキー類、ふりかけや肉や魚など5~6種類くらいの食べ物を用意し、クリンの前に差し出しましたが、あれもこれもいらないといわれて、食べ物を放り投げたこともあります。冷蔵庫の中はクリンが食べなかったウェットフードや調理したものが入ったタッパーでいっぱいになっていました。ドライフードも、おそらく30~40種類試したと思いますが、なかなか食べてくれるものに当たらず、置き場所のないような状態でした。

 

そんなこんなでクリンの食べムラはひどくなり、徐々に体重が減ってきました。子宮水腫が発覚した時は3.6㎏あった体重が、10月半ばには3.3㎏になりました。そして全く食べなくなってしまったため病院に駆け込んだところ、炎症数値が1.2に上がっていました。エコー検査の結果、子宮の腫れはありませんでしたが、膵臓がエコーに写っていました。もしかしたら膵臓に炎症があるかも、とのことでしたが、この日の血液検査では数値としては出ておらず、抗生剤を点滴してもらい様子見といわれました。

翌日は何とか少しは食べたものの、その日の夜は全く食べなくなったため、翌朝に病院に行くとCRPは6.7に跳ね上がっていました。点滴をしてもらいましたが、その日の深夜にぐったりとして動かなくなり、うずくまるような体勢で尿を垂れ流しているような状態になりました。

夜が明けるのを待って朝一で病院に駆け込んだところ、CRPがさらに上がっていて、即入院となりました。

 

 

(2)に続く

 

ライター:福井 惠子

 

 

【ペットロス】だいじょうぶだよ!(絵ブログ)

作:奥村 來未

 


 

 

身体が重いよ…

なんだかご飯も、お水も、欲しくないんだ。
ああ、疲れた…
どうしたの?姉ちゃん、泣いてるの?
だいじょうぶだよ、僕がいるよ

ありがとう?大好き?よく頑張ったね?
そう…?僕えらい…?
そうでしょう。うふふ。
姉ちゃん、僕眠い…姉ちゃんの腕の中、安心するなあ。
ああ、眠い、すごく眠い。
もう僕寝るよ…おやすみ…姉ちゃん…。

姉ちゃん泣いてたなあ。
どうしたんだろう。
姉ちゃんは泣き虫だからなあ、何かあったのかな。
だいじょうぶだよ、僕がついてるから。

……あれ?
僕寝てたんじゃないっけ?
あ、あれ?なんだろうこの感じ?
んん??

ん?身体が軽いなあ?
お腹も辛くないし、気持ち悪いのも無いぞ?
あれ!僕目が見える!立てる!
なんで?何でだ?!
……………………………

うわぁーい!
なんかすごいぞお!走れるぞお!
どこも痛くない、辛くない!
景色もよく見える!楽しいなあ!
全然疲れないぞ!こんなに早く走れるぞお!
わぁーい!!
……ん?
誰か泣いてる?誰だろう?
あれ?これ、姉ちゃんの声だ!
どうしたの!姉ちゃん!大丈夫?!

ねえ姉ちゃん!何で泣いてるの?!

僕ここにいるよ!ねえ!
だいじょうぶだよ、僕いるって!
ほら見てよ!僕こんなに走れるんだよ?!
目だって見えるよ!ねえ!ねえ!
姉ちゃん!姉ちゃん!
お願いだよ姉ちゃん!笑ってよ!

姉ちゃん…どうして笑ってくれないの?
僕…僕……
うわぁぁん!!

わおおーん!わおおおーーん!
…姉ちゃん…僕の大好きな姉ちゃん…
笑ってくれないよお…
あれ…また…身体が重いよ…辛いよ…
姉ちゃん…姉ちゃん…
僕また、どうしたんだろう…
姉ちゃんが悲しいと、僕も悲しくて…
身体がどんどん重くなっていくよ…
どれくらいこうしていたんだっけ
ずっと身体が重い…僕の声も姉ちゃんに届かない…
だいじょうぶだよって、姉ちゃんにペロペロしてあげたいのに、動けないよお…
………………………?!
あれ?
最初の頃程じゃないけど、身体が軽くなってきた
目も少し見えるぞ?
あっ…
姉ちゃんとパパ兄ちゃんが、僕の写真の前で、僕のお話して笑ってる!
なになに?何のお話?!
あはは!なつかしいね!そうだね!そうだね!
あれ!姉ちゃんが笑うと身体がまた、どんどん軽くなってきたよ!
目もよく見えるようになってきた!
ふふっ、やっぱり僕、姉ちゃんが笑ってるの大好きだなあ!
幸せだなあ!
僕の話をしながら笑ってくれてるこの空気、とっても心地がいいなあ
姉ちゃんに抱っこされてるときみたいに落ち着くな♪
「また生まれ変わって戻っておいで」
ん?姉ちゃん何?戻ってこい?
だいじょうぶだよ!
僕、昔も今も…これからも!ずっと姉ちゃんのそばにいるよ!
あれ?
僕なんか、行かないといけないみたい?
なんだろう?姉ちゃん、ちょっと待ってて!
すぐ戻ってくるね!
だいじょうぶだよ!
僕、ちゃんと戻ってくるから!

わあ!僕こんな高いところまできたんだ!

なんだろう?ここは不思議なニオイがするなあ?
なんだか懐かしいニオイもする気がするなあ?
しっかし綺麗なところだなあ!
なんだか今まで見たことがない景色だあ!
あ!!!
お父さん!お母さん!
そうでしょう、ねえ!
うわあ!嬉しいな!ひさしぶりだね!
二人で何してたの?!
え!僕を待ってたの?!
そっか、僕が最後だったんだ!
え?僕?
あのねえ、姉ちゃんと、毎日楽しく暮らしてたよ!姉ちゃんねえ、すごく泣き虫なの!
だから僕が、いつも「だいじょうぶだよ!」ってしてあげるの!
え?何?どこにいくの?
何?うまれかわり?なにそれえ?
お父さんとお母さんは、また夫婦になれるように神様にお願いしたんだ!
神様はどこにいるの?僕も、姉ちゃんのところにはやく戻らないとなんだ!
戻れるように、お願いしてくる!
お父さん、お母さん、少しだけ待ってて!
おまたせ!
ちゃんと、お願いしてきたよ!
あの光の中に入るの?
じゃあ、お父さんお母さん、一緒に、せーの!っていこう!
せーの!
姉ちゃんっ…
だいじょうぶだよ
僕、ちゃんと、姉ちゃんのところに戻るからね
もう少し待っていてね
おわり

シニア犬(老犬)の食べムラ ~食べムラで悩んでいる飼い主さんへ伝えたいこと

我が家の愛犬クリンの食べムラは、15歳の時から始まりました。

食べムラを経験し、いろんなことを知りました。食べることは決して当たり前のことではないこと、フードと薬は分けた方がいいこと、実は食べムラや食い渋りは一番精神的に堪える、ということなどです。

同じ悩みを持つ飼い主さんはたくさんいらっしゃると思います。今回は、今でも食べムラで悩んでいる飼い主のひとりとして自分なりの考えを書いていきます。


 

 

シニア犬の「食欲不振」は特別ではない

 

クリンの食べムラが始まって一番最初に思ったことは、「このままどんどん弱って衰弱していくのではないか」ということでした。若い頃は、お腹の調子が悪くなると1~2日食事抜きで様子を見るということもありましたが、この頃は普通に食欲があったので、さほど気になることはありませんでした。

 

ところがあることがきっかけで、ご飯の時間になっても何も食べないということが続き、「食べること」への欲求がみるみるなくなっていきました。今まで喜んで食べていたものですら、口にしなくなってしまいました。

「シニア犬 食べムラ」で検索して調べると、「食べないのは末期症状…」「最期は食べなくなって…」など、かなりネガティブな表現のものが多く、読めば読むほどどんどん余計に不安になりました。愛犬仲間の方も、同じようなことを言われる方が多かったです。

 

わたしたち人間でも、年齢と共に脂っぽいものを敬遠したり、食べる量が減ったりします。少し食べ過ぎてしまうとすぐに胃もたれすることもあります。歳を重ねるごとにどんどん代謝は落ち、消化機能も落ちてきます。それは犬の場合も同じことなんですよね。

 

歳を取ると、体調も常に万全ではありません。寝不足だったり、前日に胃の調子が悪いと、それだけで食べなくなることもあります。ですから、愛犬がシニアになって食欲が落ちることは、とても自然なことなのだとは思いますが、それでもやっぱりとても心配になります。

 

 

食べムラの原因を考えてみる

 

食べムラの原因として、元々食べることに執着がなかったり、単なるわがままであったりもしますが、何かしら「食べなくなった」きっかけがあったという場合もあります。これら複数のことが原因で食べない、ということもあると思います。

愛犬が食べないことは、飼い主にとってとても深刻です。食べないと体力の低下や体が冷えて代謝が低下することもありますので、少しでもいいから何か食べてほしいと願ってしまいます。

振り返ると、うちの場合は食欲不振の時には必ず原因がありました。

 

 

食べない時に考えられること

 

1.なんとなく食べたくない

2.胃腸の調子が芳しくない

3.食べにくいから食べない

4.体のどこかに痛みがある

5.食べることへの不信感

 

1.なんとなく食べたくない

 

前日に、あまり運動することなくたくさん食べた時などは、翌日なかなかご飯を食べないことがあります。シニアになると長時間寝ていることが多くなりますので、動く時間が少なくなり、胃腸の動きも悪くなっていることがあるのです。

また、鼻が利かなくなっていることも考えられます。犬にとって匂いはとても大切な情報。料理をしていると、いい匂いに誘われ居ても立っても居られず、キッチンでお座りして待ったりしますが、シニアになると そういうこともなくなってきました。

そしてもうひとつ。これはシニア犬あるあるですが、単なるわがままということも考えられます。人間同様、歳をとると犬もわがままになります。食べムラが続いている時など、手を変え品を変えいろんなものを与えてしまうと、「待っていたらもっといいものが出てくるかも」とドッグフードなどを食べなくなってしまうこともあります。

こんな時は、匂いの強いトッピングが有効です。多少の添加物もよしとして、かなり匂いが強い缶詰をトッピングしたり、ふりかけをレンジで温めて匂いを強くしたりすると食べてくれることもあります。

わがままかも、と思う場合は、少し様子を見るのもひとつです。病気や体調不良がない場合はドッグフードを下げてしまうのもひとつ。ただし、ハイシニアの場合は、好きなものをおいしく食べてもらうというのもありだと思っています。

 

 

2.胃腸の調子が芳しくない

 

歳と共に代謝が落ち、内臓の働きも悪くなります。消化の悪いものを食べたり、なんとなく胃が気持ち悪かったりすると、食欲が減退する原因になります。うちの場合は、夜中にご飯を食べたがることが多く、ご飯を欲しがるのが嬉しくてついつい食べさせてしまいます。すると翌日はなかなかご飯を食べなかったりします。

胃腸の調子が悪い時は便の状態がいつもと違ったり、腸がキュルキュル鳴ったりします。そんな時は食欲が出るまでそっとしておきます。そんな時、牛乳はとても役立ちます。牛乳は犬に与えてはダメという意見もありますが、お腹を壊さなければ問題ないですし、実際牛乳だけで数ヶ月生きた犬もいると獣医さんに聞きました。牛乳は栄養もあるし液体で飲みやすいので、なんとなく食欲がない、という時にはとても助かります。

お腹の音が数日治まらなくて食欲がない場合は、胃腸炎・膵炎など、病気の可能性があります。数日続く場合は病院に行くことをおすすめします。こじらせてしまうと長引いてしまうこともあります。シニア犬の場合、こじらせると本当にやっかいですし、命に係わるような大事になる可能性もありますから、様子がおかしいと思ったら診察を受けることを強くおすすめします。

 

 

3.食べにくいから食べない

 

今まではパクパク食べていたフードも、歯の状態が悪くなったり、顎の力が弱まったりすることで、食べにくくなっていることも考えられます。

うちの場合、咥えたおやつをポロっと落としたり、それまで大好きだったキャベツの芯などを食べなくなったことで、顎の力がなくなったとわかりました。それ以来、食べやすい形状に小さくカットしたり、フードを砕いてやることで食べるようになりました。犬って案外繊細で、食べられないと食べなくなってしまうことがありますので、もし思い当たることがあれば、試してみてくださいね。

 

 

4.体のどこかに痛みがある

 

体のどこかに痛みがある場合は、明らかにいつもと違う行動をとります。うちのクリンは、15歳の時に膵炎の疑いで入院しました。入院する2日前、食欲が落ちたため血液検査を受けたところ、CRPが上がっていて抗生剤を投与しました。ところがその翌日から全く食べなくなり、お祈りのポーズといわれる、お座りの姿勢で頭を床につけてじっと動かなくなり、その場で失禁していました。朝になりすぐに病院に駆け込んだところ、すぐに入院になってしまいました。

また、クリンには子宮の痛みがあったようです。セカンドオピニオンを受けた病院で、子宮の痛みがあることを指摘されました。(触診で発覚しました)

手術後摘出した子宮を見せてもらいましたが、片方が通常の2倍くらいに腫れあがっていました。ずっと気持ち悪いような痛いような状態だったから、食欲も出なかったんだと思うと言われたときは、気づいてあげられなかったことを悔みました。

 

体のどこかに痛みがある時は、何らかのサインがあります。

寝てばかりいる・失禁・軟便・腸から音がする・吐く・うずくまるなど、いつもと違う様子なら、すぐに獣医さんに相談することをおすすめします。特にシニアの場合は、たった1日処置が遅れただけで重篤な状態になることもあります。

 

 

5.食べることへの不信感

 

とても耳が痛い話です。冒頭の「あること」=クリンの食べムラのきっかけは、薬を飲ませるためにフードに混ぜてしまったことでした。それまでは、どんな薬でもご飯の上に乗せて飲ませていました。

ご飯を食べない、ということがなかったので、この方法は有効でしたが、食べムラが始まり、ご飯を食べない時に、とにかく薬を飲ませることに必死になり、食べ物に隠して無理に食べさせようとしたんです。

結局隠していたことがばれてしまい、ただの食べムラが、食べること自体を嫌がるようになってしまいました。これは飼い主として最大の失敗であり、今でもクリンに申し訳ない気持ちでいっぱいです。

 
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ハイシニア犬(老犬)の飼い主が思う、犬が病気になった時に大切な「3つのこと」

 

犬と暮らす人にとって、パートナーが病気になってしまうのは本当に悲しくて辛いことです。できることなら自分が変わってやりたい、と思う飼い主さんも多いのではないでしょうか。

愛犬は、10歳を超えた頃から、目に見えて体の衰えを感じたり、病院のお世話になることが増えてきます。そして歳を重ねるごとに病気になってしまうリスクは高まります。

わたしはSNSを通じて、たくさんの飼い主さんと知り合うことができました。その中には、愛犬と共に大変な病気と闘う飼い主さんもたくさんいらっしゃいました。

今回は、そんな愛犬の病気と闘う飼い主さんたちが共通して感じている《愛犬が病気になってしまった時大切だと思う3つのこと》を書こうと思います。

 

 

自分が信頼できるかかりつけ病院を見つけること

 

愛犬のための病院選びは、とても重要なことです。

わたしはこれまでに病院を数回変わっています。今通っている病院の先生はたくさんの経験をお持ちで、最新医療を取り入れておられるとても進んだ病院です。その前に通っていた病院は、大学病院で長年経験を積まれた外科治療に定評のある方でした。

しかし、それ以前に通っていた病院は、根本治療でなく症状を抑えるだけ(歯が腫れている時にステロイドで腫れを抑える等)の処置がメインでした。その頃はまだ愛犬も若く、命に関わるような病気でなかったので、不安になることはありませんでした。

4年前、当時14歳の愛犬クリンが胆泥症と診断された時、「手術しないと助からないかもしれない」といわれました。担当の先生はこの手術の経験がないため、「他の病院からわざわざ先生を呼んで、この子の手術をしてもらうから大丈夫。でも麻酔のリスクは半々なので命の保障はないし、麻酔に耐えられなかったら仕方がない」といわれたんです。

実はこの少し前に、我が家の次女、ニコの乳腺腫瘍の手術をしていました。その際に避妊手術も同時に受けたのですが、手術後に請求された手術費用は、当初聞いていた金額のおよそ3倍でした。理由は、子宮に水がたまっていて避妊手術ではなくなったから、というものでした。それならそうと費用についてもう少し詳しく話をしておいて欲しかったと、思っていた矢先の出来事でした。

手術をしないといけない。でも麻酔のリスクは半々なので、ダメだった時は仕方ない。自分はこの手術をしたことがないから、他の先生をあなたのためにわざわざ呼んであげるのだから、手術しましょう…と。

正直その時、ものすごく違和感を感じました。難しい手術で、麻酔で命を落とすかもしれない。それでも手術しないと助かりませんから、わざわざあなたのために先生を呼んであげるんだから、手術するしか手はないですよ。あなたのためにわざわざ他からこの手術ができる先生を呼んであげるんだから、という部分を強調した話だったんです。

 

愛犬が何かしらの病気であると宣告されると、多くの飼い主は大きなショックを受けます。だからこそ、どうすれば治るのか、またどんな治療法があるのかを聞き、その上で納得して選択したい。それなのにこの先生は、こちらの意向を考えず、とにかく手術を受けさせようとしているとしか思えなかったのです。

大事な我が子が病気の宣告をされ、しかも死ぬかもしれないといわれてるのに、他から先生を呼んで手術するから大丈夫という話をされても、ぜんぜんありがたくないし、手術以外に治療法はないのか、と思いました。

 

不信感を持ったわたしは、自らセカンドオピニオンを申し出て、他の病院で診てもらいました。そこでは、図解で今の状態を説明してくださり、治療法についてもいくつか提案してくださいました。

胆泥症を見つけてくださったのはとても感謝しています。でもやたらと手術を勧めてくるところに「助けたい手術」というよりも「商売としての手術」ではないのかと感じてしまったのは事実です。

 

獣医さん選びについては、多くのベテラン飼い主さんから同様の話を聞きました。飼い主と相談しながら治療方針を決めてくれる、質問や不安に思うことについてきちんと説明してくれる病院でないと、何よりも大切な愛犬の命を預けることはできないと考えています。

 

 

 

薬はご飯と分けて与える

 

愛犬が元気なうちは、ご飯もパクパク食べてくれるし、薬を処方されてもご飯の上に乗せてしまえば大抵普通に食べてくれます。ところが、これがずっと続くとは限りません。

薬の中にはとても苦いものもあります。最近はペットも人間と同じ薬を処方されることがありますが、その場合体重に合わせて錠剤をカットして与えたりします。苦い薬は甘いコーティングの糖衣錠タイプが主流ですが、カットされていると断面図は薬がむき出しになり、その部分を舐めてしまった時かなりの苦味を感じます。

薬=苦いことが一度インプットされてしまうと、薬を嫌がるだけでなく、薬が仕込んであるご飯そのものを嫌がってしまうことにもなりかねません。

これは我が家でもそうですが、多くのシニア犬の飼い主さんからも同様の話をいくつも伺いました。

投薬の際には、投薬専用のおやつ投薬補助食品等を使うことを強くお勧めします。たとえ食いしん坊の子であっても、年齢と共に食べムラや食い渋りが出ることがあります。ほんのささいなきっかけであっても、それで食べなくなってしまうと、それこそ投薬も一苦労になります。うちはこれで本当に苦労しましたし、今でも薬に対する不信感をぬぐうことはできません。

 

病気を治すために薬は必要なもの。でも薬を与えることより、薬を混ぜたせいでご飯を食べなくなってしまい、結果体力を失い、危険な状態になることの方が大問題なのです。薬で大きな失敗をしてしまった経験者として、薬とご飯を分けて与えることを強く強くお勧めします。

 

 

「笑顔」と「言葉」は最高の治療薬

 

わたしの知っているハイシニア犬の飼い主さんたちが口をそろえて言うこと、それは、飼い主の「笑顔」と「言葉」は、愛犬にとって何よりも大切だということです。

愛犬の病気を嘆いてずっと泣いていると、愛犬は飼い主さんのことが心配で不安になってしまいます。犬ってわたしたちが思う以上にいろんなことを感じ取っているものなんですよね。

愛犬にとって一番安心できるのは、飼い主さんの笑顔です。大好きな飼い主さんが笑顔でいるだけで、愛犬には生きる力がみなぎります。それほど笑顔には、とてつもない力があると実感しています。

 

そしてもうひとつ、とても大切なことがあります。
愛犬にたくさん「声」をかけてあげることです。

「大丈夫だよ」「心配ないからね」「ずっとそばにいるからね」

優しく触れながら声をかけると、愛犬はとても安心した表情になります。

飼い主は愛犬が病気になると、心配で夜も眠れなくなったり、元気のない姿を見て涙を流すことも多いと思います。犬は口がきけないため、どうしてほしいのか確認することもできません。痛いのかもしれない、辛いのかもしれない…そう思うと悲しくてやりきれない気持ちになってしまいます。

ですが、そんな時こそ、笑顔で優しく愛犬に語りかけてあげて、愛犬の不安を取り除いてあげることが大切だと思うのです。

 

犬は素直で賢くて、とても勘がいい生き物です。だから飼い主の気持ちはすぐにばれてしまうんですよね。焦ったり不安になったりイライラしたりすると、それはそのまま愛犬に影響してしまうことがあります。

わたしも愛犬クリンが食べムラでなかなか食べられない時、薬を飲んでくれないことで病状が悪化するのではないか、と気が気でなく、無理に食べさせようとしていました。その結果、クリンはご飯の時間そのものがストレスになってしまい、余計に食べなくなってしまったという経験があります。飼い主に気持ちの余裕がなくなってしまうと、愛犬に大きなストレスを与えることになりかねません。

 

もし愛犬が病気になってしまったら、わたしはこの3つのことを気をつけるようにしています。特に3つめはとても効果があります。クリンが元気のない時は、いつも耳元でこう囁いています。

 

「クリンは絶対に大丈夫。もっともっと元気になるし、ご飯もいっぱい食べられるよ。」

 

 

 

 

犬の飼い主の「困った」は飼い主同士で情報交換

初めまして、福井惠子です。

我が家には3頭の愛犬がいます。一番上の長女はクリン、本日18歳の誕生日を迎えました。次女はニコ、今年の7月で16歳になります。末っ子のみのすけは今年9歳。年の離れたおねえちゃんと一緒に暮らしているからか、とてもおとなしい子ですが、食い意地だけはものすごいです。

 

わたしには子供がいないので、愛犬が我が子のように愛おしく、自分の命をあげてもいいと思えるくらい愛しています。

特にクリンは、初めて自分の意志で迎えた子なので、3頭の中でも特別な存在です。以前は会社員をしていましたが、毎日とても忙しく、疲弊しきっている時に癒してくれる存在で、クリンがいたから今のわたしがあると思っています。

そんな大切な存在のクリンが14歳の時に、胆泥症が見つかり、そこからずっと病院のお世話になることになりました。それまでは大きな病気もなく過ごしていたので、ずっと元気で健康でいてくれることが当たり前のように思っていたんです。本当は、病気にならずに過ごしてくれていること自体がとてもありがたいことなのですが、実際に持病ができて初めてそれを実感しました。

手術が必要といわれ、ネットで病名を検索し、悪いことが書いてあると絶望し、さらに検索しても同じようなことが書いてあるばかりで、ほとんど参考になりませんでした。

そして、そこから少しずついろいろな不具合が出てきて、投薬の失敗から食べムラになり、今でも食べムラに悩まされています。

食べムラが原因で、病院から死の宣告をされたこともあります。毎日いろんな缶詰やトッピング、また手作りで肉や魚を焼いてみたり野菜と煮込んでみたりしながら食べてくれることを期待するものの、見事に裏切られ、冷蔵庫の中はクリンが食べなかった食材でパンパンになっていました。

自分の周りには犬を飼っている人はいるものの、みんなうちの子よりも年下で、相談できる相手は残念ながらいませんでした。毎日夜になると不安が押し寄せてきて、眠れない日々を過ごしていた時に、気分転換にとブログを始めました。

すると、そこにはたくさんの先輩飼い主さんがおられました。そして少しずつ輪が広がり、コメントをくださるようになり、たくさんの方からためになるアドバイスをいただいたり、食いつきの良いフード情報を教えてもらったりしました。

1人で悩んでいた時と違い、実際に経験している方からの助言はとても参考になりましたし、何よりも自分の心がとても救われました。

「悩んでいるのはわたし1人じゃない」

そう思うだけで、本当に気持ちが楽になりました。

ブログを通じて仲良くなった方たちと、リアルにお会いすることで愛犬つながりの友達もたくさんできました。

価値観が似ている飼い主同士の情報交換は、わたしには一番参考になりましたし、動物病院では教えてもらえないような工夫や情報も聞くことができ、おかげでクリンも18歳の誕生日を元気に迎えることができたと思っています。

ネットではたくさんの情報が溢れています。もちろん参考になることもたくさんありますが、様々な事情により「書けないこと」も多いように思います。

でも、本当に困っている時って、知りたいのは一般的な話よりも、もっと突っ込んだ話だったり、実際の経験談だったりするんですよね。

だから、実際に飼い主が経験したことや、良かったことや失敗談など、包み隠さずに話せる場を作りたいと思いました。

まだスタートしたばかりですが、これからたくさんの愛犬家の方と、この場で交流できればと考えています。またリアルに会うことのできるイベントや、いずれは掲示板などでチャットができるようにしていきたいと思っています。

このサイトのライターさんは、ほとんどがSNSを通じて知り合った方ばかりです。訪問してくださった方も、もしよろしければご自身の経験されたことを教えてくださいね。

みんなの経験が、今1人で悩んだり困っている飼い主さんに届きますように。

 

2018年2月1日

福井 惠子