作:奥村 來未
身体が重いよ…
なんだかご飯も、お水も、欲しくないんだ。
ああ、疲れた…
どうしたの?姉ちゃん、泣いてるの?
だいじょうぶだよ、僕がいるよ
ありがとう?大好き?よく頑張ったね?
そう…?僕えらい…?
そうでしょう。うふふ。
姉ちゃん、僕眠い…姉ちゃんの腕の中、安心するなあ。
ああ、眠い、すごく眠い。
もう僕寝るよ…おやすみ…姉ちゃん…。
姉ちゃん泣いてたなあ。
どうしたんだろう。
姉ちゃんは泣き虫だからなあ、何かあったのかな。
だいじょうぶだよ、僕がついてるから。
……あれ?
僕寝てたんじゃないっけ?
あ、あれ?なんだろうこの感じ?
んん??
ん?身体が軽いなあ?
お腹も辛くないし、気持ち悪いのも無いぞ?
あれ!僕目が見える!立てる!
なんで?何でだ?!
……………………………
うわぁーい!
なんかすごいぞお!走れるぞお!
どこも痛くない、辛くない!
景色もよく見える!楽しいなあ!
全然疲れないぞ!こんなに早く走れるぞお!
わぁーい!!
……ん?
誰か泣いてる?誰だろう?
あれ?これ、姉ちゃんの声だ!
どうしたの!姉ちゃん!大丈夫?!
僕また、どうしたんだろう…
姉ちゃんが悲しいと、僕も悲しくて…
身体がどんどん重くなっていくよ…
どれくらいこうしていたんだっけ
ずっと身体が重い…僕の声も姉ちゃんに届かない…
だいじょうぶだよって、姉ちゃんにペロペロしてあげたいのに、動けないよお…
………………………?!
あれ?
最初の頃程じゃないけど、身体が軽くなってきた
目も少し見えるぞ?
あっ…
姉ちゃんとパパ兄ちゃんが、僕の写真の前で、僕のお話して笑ってる!
なになに?何のお話?!
あはは!なつかしいね!そうだね!そうだね!
あれ!姉ちゃんが笑うと身体がまた、どんどん軽くなってきたよ!
目もよく見えるようになってきた!
ふふっ、やっぱり僕、姉ちゃんが笑ってるの大好きだなあ!
幸せだなあ!
僕の話をしながら笑ってくれてるこの空気、とっても心地がいいなあ
姉ちゃんに抱っこされてるときみたいに落ち着くな♪
「また生まれ変わって戻っておいで」
ん?姉ちゃん何?戻ってこい?
だいじょうぶだよ!
僕、昔も今も…これからも!ずっと姉ちゃんのそばにいるよ!
あれ?
僕なんか、行かないといけないみたい?
なんだろう?姉ちゃん、ちょっと待ってて!
すぐ戻ってくるね!
…
だいじょうぶだよ!
僕、ちゃんと戻ってくるから!
わあ!僕こんな高いところまできたんだ!
なんだろう?ここは不思議なニオイがするなあ?
なんだか懐かしいニオイもする気がするなあ?
しっかし綺麗なところだなあ!
なんだか今まで見たことがない景色だあ!
…
うわあ!嬉しいな!ひさしぶりだね!
二人で何してたの?!
え!僕を待ってたの?!
そっか、僕が最後だったんだ!
え?僕?
あのねえ、姉ちゃんと、毎日楽しく暮らしてたよ!姉ちゃんねえ、すごく泣き虫なの!
だから僕が、いつも「だいじょうぶだよ!」ってしてあげるの!
え?何?どこにいくの?
何?うまれかわり?なにそれえ?
お父さんとお母さんは、また夫婦になれるように神様にお願いしたんだ!
神様はどこにいるの?僕も、姉ちゃんのところにはやく戻らないとなんだ!
戻れるように、お願いしてくる!
お父さん、お母さん、少しだけ待ってて!
おまたせ!
ちゃんと、お願いしてきたよ!
あの光の中に入るの?
じゃあ、お父さんお母さん、一緒に、せーの!っていこう!
せーの!
…
…
姉ちゃんっ…
だいじょうぶだよ
僕、ちゃんと、姉ちゃんのところに戻るからね
もう少し待っていてね
おわり