【お知らせ】グッズを作ってみました

こんにちは、ワンワンラボの福井です。

いつの間にか元号が平成から令和にかわり、あっという間にGWも終了。すっかり時代に取り残された感満載です。

ニコが旅立ち、続けざまにクリンもあっという間にいってしまい、以来時間が止まっているような感じが続いています。普段は元気ですが、ペットロスは一生続くのだろうと思っています。

 

 

グッズを作ってみました

 

 

先日、自分で好きにTシャツをデザインできるサイトを見つけ、いろいろと作ってみました。

Tシャツは好きで、ほぼTシャツを着て過ごしていますが、自分でほしいデザインがなかなかなくて、たいてい無地のものを選んでいました。このサイトは自分でデザインを作ることができて、しかもスマホでも操作できて、とても使い勝手がいいので、ライターの奥村さんと一緒にいろいろと作ってみました。

 

ワンワンラボショップ

 

自称犬バカの飼い主さん向けに作りました。

 

 

 

Mack&Shake

 

ダックスさんLOVEな方におススメです。もちろんモデルはMackくん♪

 

 

こんな風に、我が子をプリントしたりも簡単にできます。しかも1枚からプリントできるという、とても使い勝手のよいサイトです。

ご購入いただいた売上の一部は、ワンワンラボの運営費と、保護活動をされている個人様や団体様に寄付をさせていただきます。大きなことはできませんが、少しずつでも自分たちにできることをやっていこうと思っています。

 

パソコンが苦手という方でも簡単にできるので、ご興味のある方はぜひのぞいてみてくださいね!

 

 

 

 

【老犬の病気】高齢犬の積極的治療のメリット・デメリット(3)

愛犬情報

犬種:ミニチュアダックスフンド

病名・症状:歯周病・子宮の不具合・ヘルニア

発症年齢:14歳~・15歳~・18歳

発症の経緯:14歳の時突然右頬が腫れあがった

治療法:投薬~歯石除去&抜歯手術・再生医療

 

<関連記事>

【老犬の病気】高齢犬の積極的治療のメリット・デメリット(1)

【老犬の病気】高齢犬の積極的治療のメリット・デメリット(2)

 

 

ヘルニア治療スタート

 

クリンが手術を受けてから、それまでずっと悩んでいた食べムラ・食い渋りが少しずつ改善されていきました。

術後数日はほぼ食べませんでしたが、術後5日目にフードを食べてくれるようになってからは、ほぼ毎日フードを食べるようになりました。多少のムラはありましたが、術後2週間で抜糸してからは食欲も安定し、食べないという理由での強制給餌の回数も減りました。

ところが、抜糸しても曲がった腰はそのままの状態でした。最初は傷がつっぱるのかと思っていましたが、それがヘルニアの痛みが出始めたサインでした。手術後もお散歩は大好きでしたし、歩けなくなるということはありませんでしたが、腰の曲がりは一向に改善されませんでした。

検査の結果、椎間板ヘルニアの痛みが出始めたということがわかりました。

先生のお話では、術前にも腰の痛みがあったかもしれないが(レントゲンの画像診断では痛みが出ているレベルのヘルニアとの診断でした)、それよりも子宮と歯の方の痛みが強く、ヘルニアの痛みはさほど気にならなかったのだろう、とのことでした。

痛みはあるものの、生活に大きな支障はなかったことから、「アデクァン」という薬剤を筋肉注射する治療をすることになりました。

これは、痛みのある部位にクッションの役割となる物質を注射するという治療法で、最初の1ヶ月は週2回(月8回)の注射をし、その後少しずつ回数を減らしていき、月1~2回は継続して注射を打つという治療法でした。

初めてのヘルニア治療でしたが、注射が効いたようで痛みは随分軽減されたようでした。副作用も心配なかったので、この治療を継続することにしました。

治療を始めて3ヶ月は順調でしたが、注射を月1回にしたところ、腰の痛みが再発したようでした。クリンの場合は体に不具合や痛みがあると食い渋りが出るため、食欲が落ちたり食いつきが悪くなるとすぐに病院に行きました。

鍼治療とアデクァン注射の回数を増やして様子見していましたが、ほどなくしてまた食い渋りが出始めました。4月半ばのことでした。実は以前よりヘルニアと水頭症治療のために「再生医療をしてはどうか」と提案されていましたが、なかなか炎症が治まらなかったため、先送りになっていました。

再生医療をする方向で血液検査をしてもらったところ、なんとCRPが19という結果でした。原因はやはり歯の不具合でした。

クリンは投薬の失敗から口を触らせてくれなくなり、歯石を取ってもらってからも歯のケアはほとんどできず、手術からたった5ヶ月で結構な量の歯石が付いていました。

若い頃はしっかり噛んで食べられますし、お水もたくさん飲むことができるため、口の中に食べかすが残りにくいのですが、高齢になると飲み込む力が落ち、口の中に食べかすが残りやすくなるため、どうしても歯石が付きやすくなるようでした。

残念ながら、再生医療は一旦お預けとなり、歯の炎症を抑える治療をすることになりました。

 

 

再生医療~二度目の手術まで

 

歯の炎症を抑えるため、抗生剤を処方されました。高齢のため、できるだけ副作用が少なくて、体に負担のない薬を選んでいただきましたが、薬の耐性がついてしまっていたこともあり、長期にわたり薬を飲み続けることになりました。週に1~2回血液検査を受け、薬の効きを確かめ、数値が改善していないと薬の変更をするということを数度繰り返しました。

クリンは肝臓が弱く、転院した当初からGPT数値は100を超えていました。腎臓は大きな問題がなかったため、最初は肝臓に負担の少ない薬を選択しましたが、効きが悪かったので肝臓に負担のかかる薬に変更しました。なんとか炎症数値は治まりましたが、GPTが500を超えてしまったため、抗生剤をストップして再生医療も数値が落ち着くまで見送りとなりました。

※薬は肝臓に大きく負担のかかるタイプと腎臓に大きく負担のかかるタイプの2種類あるそうです。

 

それから約4ヶ月間投薬とヘルニア治療を続け、8月になりやっと再生医療を受けることができました。再生医療後はとても調子がよくなり、足取りも軽やかになりました。10月には頸椎ヘルニアの痛みが出始めたため、二度目の再生医療を受けました。

再生医療は副作用がほとんどないためリスクが低く、ヘルニアだけでなく脳疾患や心臓・腎臓など、治療が難しい病気にも効果が期待できる反面、癌や炎症などがある場合はそれを悪化させてしまうこともあるそうです。

クリンの場合は、問題のあった歯に影響があったように思います。歯石取りと抜歯してからも、歯の炎症が治まらず、1回目の歯の処置をしてから今年の3月までの1年4ヶ月の間で、抗生剤を飲まなかったのは3ヶ月あるかないかくらいでした。

もしクリンがもう少し若ければ、問題のあった奥歯を抜歯してもらっていたと思いますが、クリンの年齢を考えると長時間の麻酔は非常にリスクが高く、ぐらつきのある歯しか処置ができない状態でした。

再生医療の影響もあってか、抗生剤を止めると炎症数値が上がり、また薬を飲むということを繰り返していて、肝数値も少しずつ上がっていたため、いつかは歯の治療が必要になると考えていました。一度目の再生医療をした後の9月から、歯の状態をこれ以上悪くしないために「デンタルバイオ」という口内細菌の繁殖を抑えるサプリメントを使うようになりました。

 

わたしは過去に何度も「もっと早くやっておけばよかった」と後悔することがありました。もっと早く転院して子宮を取ってもらっていたら、こんなに食い渋りに悩むこともなかったかもしれませんし、高齢のクリンに痛い思いをさせずに済みました。投薬の失敗から口の中を触れなくなってしまったのも、最初からシリンジで飲ませることができていれば、こんなに歯の状態が悪くなることもなかったと思います。この後悔から、できるうちにやれることをやった方がいい、と考えるようになりました。

歯の菌の怖さについては、いつも病院で聞かされていました。歯が悪い場合は最優先で治療をした方がいいし、悪いまま放置すると他の臓器に影響を及ぼす可能性が高いといわれていたため、先生からストップがかからない限り、できる治療は何でもやろうと考えていました。

先生に歯の治療について相談したところ、調子がいいうちに処置をした方がいいだろうとのことで、2018年12月3日に2回目の抜歯と歯の掃除をしていただくことになりました。

 

 

2度目の手術~術後の変化

 

歯の処置をする時、クリンは18歳10ヶ月になっていました。病院でも麻酔をする最高齢だといわれました。もちろん不安はありましたが、先生を信頼していたこと、これが最後のチャンスであることから、迷っている時間がもったいないと考えました。

 

そして手術当日を迎え、オペ前検査すべて無事クリア。クリンは麻酔に耐え、無事帰ってきてくれました。抜きたかった奥歯はまったくぐらつきがなくて手付かずとなりましたが、小さな奥歯を1本だけ抜いてもらいました。トータルでかかった時間は、歯の掃除と合わせて20分弱でした。

麻酔はガスのみで挿管はしなかったそうです。管を喉に通そうとしたら、ガスで眠っているはずなのに全力で喉をしめて管を阻止したそうです。「この子は誤飲することはないと思うよ」といわれ、思わず笑顔になりました。

術後の経過は順調で、多少の食い渋りはみられましたが、1日1回はフードを食べてくれましたし、二度の再生医療の効果もあり、ヘルニアについては痛みもないようでした。相変わらず歯を触られるのは嫌がっていましたが、痛みが軽減したこともあり、以前よりは反応しなくなっていたので、食後に食べかすが残らないよう、シリンジで唇と歯の間を洗浄したり、指で食べかすを取ってできるだけ歯石がつかないようにケアすることができました。

二度目の麻酔は、時間が短かったため術後も平熱体温だったこと、その後の血液検査でも問題なしだったので、影響はほぼなかったと思います。計2回の手術はどちらもうまくいきました。ヘルニアという不具合は出ましたが、これも想定内。わたしはやってよかったと心から思います。

ただ、もう少し若い頃にしてあげればよかった、と思っています。

もっと早く積極的な治療を選択していれば、クリンはもっと楽に過ごせたし、人間でいうと90歳を過ぎた年齢でこんなに痛い思いをすることもなかったでしょう。

そして高齢になればなるほど慎重に事を進めるため、医療費もかさみます。若い頃の避妊手術なら数万円で済みますが、クリンの場合は数十万円かかりましたし、術後の通院も若い子なら数回で済むところを、十数回は通いました。

 

 

老犬の医療費は、楽に旅立つための保険料

 

老犬になってからの医療費は、眠るように旅立つための保険料だと思っています。

クリンは14歳までほとんど病院のお世話にならず、心臓の薬を飲み始めたのは16歳になってから。毎月かかる医療費は17歳になってからぐんと上がり、旅立つまでの約2年間でかなりの金額になりました。でも後悔はまったくありませんし、やってよかったと思っています。

クリンが18歳を超えてから、近い将来に必ずやってくるお別れの覚悟を少しずつしていました。いつか来るその時に、笑って見送ってやれるように、自分にできることはできる限りどんなことでもしよう、と心に決めていました。

もし昨年12月に歯の治療をしなければ、もう少し長生きしてくれたかもしれませんし、歯の不具合もさほど問題なかったかもしれません。でも治療をしなければ、抵抗力が落ちて体中に菌が回ってしまい、心臓が悪くなったり、他の臓器に不具合が出ていたかもしれません。

積極的治療を選択したからこそ、最後の血液検査・エコー検査でほぼ問題なしと診断され、治療を一旦終えることができ、「元気なままピンコロ」で旅立ってくれたのだと思っています。

何よりも大切なのは、飼い主自身が納得して決断しているかだと思います。先生に遠慮して質問できなかったり、セカンドオピニオンを受けたいけど言い出せなかったり、不安な気持ちのまま治療を続けることは、のちに後悔することになってしまうのではないでしょうか。

 

クリンは19歳の誕生日以降、目に見えて機能が落ちました。ご飯を食べても太れなくなり、食べる量が少ないとすぐに体重は減ってしまいました。お散歩では楽しそうに走っていましたが、リードを引っ張っていないと転んでしまうこともありました。後足がつっぱってうまく曲がらないことや、前足が脱力して転倒してしまうこともあり、車いすを使おうか考えていた矢先の旅立ちでした。

きっとクリンは、自由に動けなくなってしまう前に、自分の意志で旅立ったのだと思っています。

どんな困難にも立ち向かい、辛い治療に耐え、病気に負けず、天寿を全うしてくれた。そんなクリンを、わたしはとても誇りに思います。

 

 

積極的治療は良い面も悪い面もあります。

どんな治療法を選択するかは飼い主にゆだねられます。どの病院を選択するか、どの先生に診てもらうか、どの検査をしてもらうか、どの薬を使うかなど、すべてわたしたちが決めるほかありません。

そして、どれだけできることをしても、大切な我が子をなくす辛さは同じです。今まで当たり前に傍にいてくれた存在がいなくなってしまうことは、たとえ天寿を全うしてくれたとしても悲しいし寂しいし苦しいです。

でも、後悔や悔いがないだけで、心は救われます。

皆様の大切な我が子が、元気に長生きされますように。そしていつか訪れるその時に、笑顔でお見送りできますように。

 

 

高齢犬の積極的治療をして~飼い主としての感想まとめ

 

【良かったこと】

・食欲が増す/普通にご飯を食べてくれるようになった(食べムラ・食い渋りの改善)

・毎日元気に過ごせる/最期の時までお散歩に行くことができた

・日々の変化をそれまでよりも敏感に察知するようになり、体の不具合に早く気づけるようになった

・旅立つ直前まで元気に過ごしてくれた(元気あり、食欲旺盛、自力で排泄、穏やかな睡眠)

・天寿を全うしてくれたと思える最期を迎えることができた(飼い主の願い通り、元気なまま眠るように旅立ってくれた)

 

【良くなかったこと】

・麻酔で体温が下がることにより、別の症状(クリンの場合はヘルニア)が出始めた

・高齢で痛い思い(怖い思い)をさせてしまった

・高齢になればなるほど、医療費(治療費用)がかかった

 

 

 

 

 

ライター:福井 惠子

 

 

【老犬の病気】高齢犬の積極的治療のメリット・デメリット(2)

愛犬情報

犬種:ミニチュアダックスフンド

病名・症状:歯周病・子宮の不具合・ヘルニア

発症年齢:14歳~・15歳~・18歳

発症の経緯:14歳の時突然右頬が腫れあがった

治療法:投薬~歯石除去&抜歯手術・再生医療

 

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【老犬の病気】高齢犬の積極的治療のメリット・デメリット(1)

【老犬の病気】高齢犬の積極的治療のメリット・デメリット(3)

 

 

術前検査~手術当日

 

転院先の病院は、しっかりと検査をして状態をできるだけ正しく知る、という方針でした。

血液検査・エコー検査・心電図・血圧・CT・レントゲンなど、ありとあらゆる検査をしました。CTの結果、中度の水頭症であることがわかりましたが、当時は特に症状が出ていなかったため経過観察となりました。そして心電図で不整脈があることがわかりました。

歯の状態も悪かったのですが、何よりも子宮の方が問題がありましたので、今回は子宮摘出がメインで、心臓の状態によっては命優先で歯は治療できないかもしれない、といわれました。

そして麻酔に耐えうるかどうかの判断が必要となりました。ホルター心電図を装着して24時間の心臓の動きを確認することになりました。検査の結果、不整脈はあるものの、それ以外は大きな問題はないとの診断でした。

一通りの検査結果、現段階ではおそらく手術はできるであろう、との判断となりました。

とはいえクリンはまもなく18歳を迎える超高齢。年齢を考え、何かあった時にすぐに対処できるよう、他の手術の予定があまり入っていない日にしますとのことで、手術は2017年11月3日に決まりました。

 

早く手術を受けて楽にしてあげたいという気持ちと、もしかしたらそのままということもあるかもしれないという気持ちで、落ち着かないままいよいよ手術当日を迎えました。ワンワンラボライターの奥村さんが、わざわざお守りを送ってくださり、毎日手を合わせ、手術当日もポケットに忍ばせて持っていきました。

当日は血液検査と、麻酔で心臓が弱った際に使用する強心剤のテストと、血液凝固検査を受け、すべてパスしました。

麻酔が効くまでに30分、処置に最低30分はかかるだろうとのことで、早くて1時間くらいで出てくるといわれ、抱っこされて連れていかれました。

 

待っている間、ずっとお守りを握りしめ、無事を祈っていました。

病院の外で待っていたら、1時間立たずに看護士さんが呼びに来てくれました。看護士さんに抱えられて戻ってきたクリンは、まだ麻酔が効いて朦朧としていました。口は開いていて血を出していて、初めて見る姿にこのままどうにかなってしまうのでは…と思いました。この病院は基本飼い主がそばについているという方針でした。初めて見る術後すぐの朦朧としている状態は、本当に怖かったです。

体温が35℃台に下がっていたため、ヒーターと暖房と電気ストーブとドライヤーでクリンの体を温めてもらいました。ほどなくして声を上げ、顔を下に敷いていたバスタオルにこすりつけだしました。先生が降りてこられ、手術は問題なく無事終わったこと、歯石がかなりひどかったこと、歯自体の状態は思ったほど悪くなかったこと、1本だけ抜歯したこと、その他の歯はぐらつきなくしっかりしていたこと、時間の関係で歯石は取ったけど磨くまではしていないことなどを伝えられました。

子宮を見せてもらうと、片方の卵巣が大きくなっていました。「これが痛みの原因だったと思う」といわれ、もっと早くに転院していればこんなに痛い思いをしなくて済んだのに、と後悔しました。

 

 

術後の経過

 

術後30分くらいして、クリンは起き上がろうとしました。まだ朦朧としていたため、支えながらお座りの体勢にし、点滴をしながら体温が上がるのを待ちました。人間だと手術をした後にすぐに動けないと思いますが、犬はとても強いなと感じました。

昼からの手術で、術後は点滴、注射、投薬をしてもらい、そのまま様子見し、帰路についたのは夜10時を過ぎていました。

帰宅したら、さっそく部屋をうろうろと歩き出しました。傷が癒着しないよう、できるだけ動くようにといわれていたので、少しだけお散歩にも行きました。18歳目前といえば人間でいうと90前の年齢となりますが、足元のおぼつかないままクリンは走ろうとするんです。

クリンの生命力の強さに感動し、この子は大丈夫だと心から思えました。

翌日からは少しずつ食事をしてくださいといわれましたが、なかなかすんなりとは食べてくれませんでした。元々食べムラ・食い渋りがあったことと、今までべったりついていた歯石がなくなり、口の中がいつもと違うことに戸惑っているようでした。奥歯の頬側にもたくさんついていて、その違和感がなくなったことが、今までと違うためかえって違和感に感じたのだと思います。

それともうひとつ。術後の点滴のため、前足には留置針が入っていました。クリンはとにかくこれが嫌なようでした。

結局手術当日と翌日の丸2日は何も口にしませんでした。食欲が戻るまでは朝晩の点滴で水分と栄養を補給してもらい、術後2日目の夜にやっと水と牛乳を少し飲み、当時お気に入りだったおやつを少し口にしました。

その翌日病院に行った時、留置針が嫌で食べないかもしれない、と伝えました。本当は食欲が戻るまではそのままの方がいいとのことでしたが、17年クリンと一緒に過ごしてクリンの性格はよくわかっていたので、食べない理由はこれもあるような気がしたんです。

無理を承知でお願いして留置針を抜いてもらい、皮下点滴と注射で対応してもらうことになりました。

飼い主の予想は見事的中し、帰宅後鶏肝の水煮を少しを食べ、薬を飲んだ後はスイッチが入ったように大量の牛肉をバクバク食べてくれました。

多少の食べムラはあったものの、その日を境に食欲は徐々に戻り、どんどん元気になっていきました。

 

 

手術大成功~想定内の弊害

 

子宮の痛みがなくなり、クリンはみるみる元気になりました。

17歳9ヶ月で一大決心して受けた手術は、大成功に終わりました。ちなみに病院の手術最高齢を更新しました。

この年齢で手術を勧めてくださった先生には感謝しかありません。転院していなければ、クリンは19歳を超えるまで長生きしてくれなかったと思います。

 

大好きなお散歩では走るスピードがアップし、まるでうさぎのように跳ねるように走っていました。

抜糸までは術後着を着ていたため、少し動きにくそうにしていました。お腹のつっぱりがあるようで、少し腰を浮かしたような姿勢でした。傷口も順調に治り、約2週間後には無事抜糸となりました。

やっと術後着を脱ぐことができましたが、クリンは腰を浮かしたような姿勢のままでした。

 

これは、ヘルニアの痛みが出始めたサインでした。

手術前に、麻酔の影響で体温が下がるため、その影響で他の部分に不具合が生じる可能性がある、と聞いていました。クリンはレントゲンで椎間板ヘルニアがあることがわかっていたため、もしかしたら痛みがでるかもといわれていました。

事前に知らされてはいたものの、ここで始めて手術を受けたことによるデメリットを感じました。

 

関連記事:【再生医療】ヘルニアの新しい治療、ステムセル(幹細胞)①

【再生医療】ヘルニアの新しい治療、ステムセル(幹細胞)②

 

 

 

【老犬の病気】高齢犬の積極的治療のメリット・デメリット(3)につづく

 

 

ライター:福井 惠子

 

 

【老犬の病気】高齢犬の積極的治療のメリット・デメリット(1)

愛犬情報

犬種:ミニチュアダックスフンド

病名・症状:歯周病・子宮の不具合・ヘルニア

発症年齢:14歳~・15歳~・18歳

発症の経緯:14歳の時突然右頬が腫れあがった

治療法:投薬~歯石除去&抜歯手術・再生医療

 

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【老犬の病気】高齢犬の積極的治療のメリット・デメリット(2)

【老犬の病気】高齢犬の積極的治療のメリット・デメリット(3)

 

 

積極的治療の選択

 

我が家の長女クリンは、17歳9ヶ月と18歳10ヶ月の時に積極的治療を選択しました。一度目は子宮摘出手術と抜歯と歯の掃除、二度目は抜歯と歯の掃除で、共に麻酔をしての処置となりました。

まもなく19歳を迎えるという年齢での全身麻酔はとてもリスクが高く、どんな影響があるかは、実際にやってみないとわからない、といわれました。

 

ではなぜリスクを背負ってまで積極的治療をしてもらったのか。

それは不具合を放置することで、他の臓器に悪い影響を与える可能性が高い、と考えたからでした。

高齢になってから体の不具合で悩まれている飼い主さんはたくさんいらっしゃると思います。特に大抵の老犬は歯が悪い子が多いと聞きます。犬の場合、歯の治療も全身麻酔となります。

年を重ねるほど麻酔のリスクは高まります。すぐに命に直結する病気などの場合は早めに処置を希望される飼い主さんが多いと思いますが、歯の治療になると投薬などで様子見される方がほとんどで、積極的な治療をするか悩んでおられる飼い主さんも多いのではないでしょうか。

今回はクリンが実際に17歳9ヶ月と18歳10ヶ月で積極的治療を選択した経緯と、自分自身が感じた積極的治療のメリットデメリットについて書かせていただきたいと思います。

 

 

不具合の始まり~右頬の腫れ

 

クリンが14歳のある日、突然頬が腫れあがりました。いきなり右目の下がぷっくりと腫れていて、驚いてすぐに当時通っていた病院で診察を受けたところ、歯が原因であるといわれ、数種類の薬を処方されました。

この薬、後でわかるのですが、実は「ステロイド」でした。

薬を飲むとすぐに腫れは治まりました。でも薬をやめるとまたすぐに腫れ出して、当時全く知識のなかったわたしは、その病院で出される薬がとても効果があるのだと思っていたんです。でもこれって、実はただステロイドで腫れを無理やり抑えているだけで、根本治療は全くしていないんですよね。

もしその時、今の病院に通っていたら、おそらく抜歯などの根本治療を選択していたと思います。

ちょうど同じくらいの時期に胆泥症が発覚し、胆のう摘出手術を強く勧められたことが病院に対する不信感となり、セカンドオピニオンを希望しました。そして投薬で治療してもらえる病院に転院しました。転院先の病院で、歯の腫れのことも相談し、その時は歯石はさほどひどくなかったため、麻酔なしで歯石を取ってもらいました。それ以降歯の腫れは一旦落ち着いたため、そのまま何もせずに過ごすことになりました。

この頃は、14歳でもかなりの年齢だと考えていました。今思うとめちゃくちゃ若いなぁと思いますが、当時は寿命は15歳くらいなんだろうと漠然と思っていました。なので14歳で手術なんて…と考えていました。

そして、この時強く勧められた胆のう摘出手術について、このままだと命の危険性があるとまで言われていましたが、転院先の病院では胆のう摘出については、する必要はないといわれました。

 

余談になりますが、この病院はニコの乳腺腫瘍を発見し手術をしてもらった病院でもあります。しかしこの病院を選択したことが、ニコの心臓病を発症したきっかけになったと思っています。あくまでも主観であり証拠などはありませんが、主治医の先生はオペ経験が少ない方で、恐らくニコの手術の際に長時間の麻酔をかけたことで心臓に負担がかかったことが心臓病発症の原因であったと考えています。飼い主の知識不足でニコの寿命を縮めてしまったことは、今でも大きな後悔として残っています。

病院選びは我が子の寿命に直結しますし、本当に心から信頼できる病院に出会うことはとても難しいことだと改めて思います。

 

 

ターニングポイントとなった15歳の出来事

 

2015年5月、クリンが15歳の時に突然前足を引きずりだしたことがありました。この時に処方された痛み止めの薬で胃が荒れたことでご飯を食べない日が出てきて、6月にヒートになった時から本格的に食べムラ・食い渋りが始まりました。

このヒートでは、いつもより経血量が多く、検査の結果子宮内に水があるといわれました。診断は子宮水腫。子宮蓄膿症の前段階のような病気です。

 

※当時、食欲について書いていたメモ

 

このまま3ヶ月ほど食べたり食べなかったりを続け、やっと落ち着いた10月に、またヒートが始まりました。ここでまた食べない日が続き、点滴を受けながら様子見していましたが、突然クリンの具合が悪くなり、膵炎の疑いで入院することになりました。

薬を飲まないと相談したところ、先生から「口を開けて喉の奥に入れるか、好きな食べ物に隠して食べさせて」といわれました。これこそが、この後約4年に渡って悩むことになる「食べムラ・食い渋り」の始まりであり、口腔ケアが一切できなくなった原因になりました。

先生にいわれた通り、無理やり口をこじ開けて飲ませようとし、何度も失敗しました。

「何とか薬を飲ませなきゃ!」という一心で、鬼の形相でクリンの口をこじ開け、薬を入れて口を閉じさせる。最初の何回かは飲ますことができましたが、その後は全く口を触らせてくれなくなってしまいました。

実はこの薬、めちゃくちゃ苦かったんです。

あまりに嫌がるため、ある時ふと「どんな味なんだろう」と思い、薬を少し舐めてみたんです。すると驚くほど苦いことがわかりました。焼いた牛肉に薬を巻きつけて隠していたため、薬が肉の水分で溶けて肉自体が苦くなっていたんです。

クリンはとても聞き分けのいい子でした。それまでは口の中をガーゼや指でこすったり、歯ブラシを噛ませたりしていました。全然嫌がることもありませんでしたし、ケアする時はとてもおとなしくしてくれていました。頻繁にしていたわけではありませんが、それだけのケアでも歯石は少ししかついていませんでした。

ところが投薬の失敗から、全く口を触れなくなりました。食べ物への不信感が生まれ、食べることを嫌がるようになり、食べムラ・食い渋りによりフードを食べてくれなくなったことなどから、口の中の状態はどんどん悪くなっていったように思います。

 

そしてクリンが15歳になり、今度は子宮の不具合が発覚しました。ヒートから陰部の腫れが引かず、食欲が落ちたため病院で検査をしてもらったところ、子宮内に水が溜まっているのがわかりました。恐らくこのあたりから子宮に痛みが出始めたのだと思います。

口腔ケアができなくなったことでの歯の不具合と子宮の痛み。これこそがクリンの食べムラ・食い渋りの原因でした。

 

関連記事:【備忘録】クリンの体調

 

 

投薬治療~手術の決心

 

口腔ケアができなくなってから約2年。その頃には目で見てわかるくらい歯石がひどくなっていました。特に奥歯はべったり歯石がついていて、口の中はかなり不快だったと思います。

17歳8ヶ月の時、口を痛がるようなしぐさが見られたため、最初の時にペンチのような器具で歯石を取ってほしいとお願いしたところ、クリンは口を触られるのを嫌がるため無理、といわれました。これがきっかけで転院することを決意しました。

 

転院先は、ブログで知り合った方が長い間通っておられた病院でした。

病院によって治療の選択は大きく変わります。クリンはすでに18歳目前。前の病院では、14歳の時に積極的治療はリスクが高いから内科治療をしましょうといわれていましたが、この病院は「治せるものは治す」という考えでした。

歯の状態がとてもひどいこと、そして初めての診察の時、触診で子宮の痛みがあることをすぐに指摘されました。

先生は、「歯の治療について、飼い主さんは割と軽く考えている人が多いけど、本当は歯は命取りになる」といわれました。

歯の菌はとても恐ろしく、それが原因で心臓が悪くなり、あっという間に旅立ってしまう子もいるとのことでした。

病院によっては投薬で抑える治療を選択されるところもあります。実際にクリンも最初に歯が腫れた時は、ステロイドで抑えるという根本治療とはかけ離れた治療をしていましたし、病院の選択次第で全然治療法が違うということを思い知りました。

年齢的には非常にリスクが高かったのですが、子宮に痛みがあること、このまま放置すると子宮蓄膿症が重篤化し、命にかかわる可能性があるため、もし治療するなら1日も早く取ってしまう方がいいこと、そして歯の不具合を放置したら、他の臓器に悪影響を及ぼす可能性があること。年齢を考えると、迷っている時間はありません。老犬になると、ほんの少しの時間も命取りになります。

わたしはクリンの生命力を信じ、すぐに手術することを決意しました。

 

 

【老犬の病気】高齢犬の積極的治療のメリット・デメリット(2)に続く

 

 

ライター:福井 惠子

 

 

【シニア犬の食事】老犬(高齢犬)の食べさせ方の工夫

愛犬情報

犬種:ミニチュアダックスフンド

病名・症状:老化によりご飯がうまく食べられなくなった

発症年齢:18歳半~

発症の経緯:老化による視力・嗅覚の低下

治療法:自宅ケア

 

 

目に見えて進む老化現象

 

我が家の愛犬クリンは、先日19歳1ヶ月の生涯を終えました。

クリンはとても丈夫で、14歳の時に胆泥症が発覚するまでは持病もありませんでした。

ところが、投薬の失敗がきっかけで「食べムラ」「食い渋り」に悩むようになりました。体調不良が重なり入院した時は、食べなさ過ぎてこのままだと危ない、とまでいわれたこともありました。

若い頃は1日食べなくても問題ありませんが、老犬にとっては一大事。食べないとすぐに痩せてしまい、体力が落ちてしまいます。

食事は毎日のこと。どうしたら食べてくれるか、日々悩み続けました。先輩飼い主さんからアドバイスをいただいたり、いろんなフードを試したりしながら、何とか食べてくれるようになりました。

体の不具合が治まり、かなり食欲も改善され、食べない悩みから少し開放された18歳半を超えた頃、新たな悩みが生まれました。

今までは「食べたくないから食べない」だったのが、「食べたいけどうまく食べられない」に変化していたのです。

今回は、クリンがご飯をうまく食べられなくなった時に実践していた「食べさせ方」を紹介させていただきます。

 

 

徐々に衰える機能

 

クリンは18歳を迎える前までは目が見えていました。当時は自宅前でノーリードで運動をさせていましたが、一目散に飼い主に向かって走ってきてくれていました。

毎日お散歩と自宅前での運動を続けていました。ヘルニア予防のため、大きな段差は避けていましたが、小さな段差はあまり気にしたことがありませんでした。

ところが、ある日いつものように自宅前を走っていた時、玄関前のほんの数センチの段差につまづいたことがありました。それまでは段差前で止まっていたんです。

それからどんどん視力は低下し、18歳半を迎える頃には、うっすら光を感じる程度にまで視力は低下していたようです。

視力と共に、嗅覚も低下していきました。今まではおやつなどを近づけると、鼻をクンクンする仕草を見せていましたが、この頃になると鼻先につけないと気づかなくなっていました。

視力・嗅覚が衰えると、食事をするのも大変になりました。

それまではお皿にフードを入れて、高さ調節してやればご飯を食べてくれましたが、目も鼻も利かなくなると、ご飯がどこにあるかがわからなくなり、同時にうまく距離感を測れなくなっているようでした。

ご飯を食べたくても、お皿に顔をうまく近づけることができなかったり、鼻をお皿で強打してしまうこともありました。

年齢と共にわがままに頑固になってきたこともあり、些細なことでもご機嫌を損ねると食べなくなりました。

このあたりから、うまく食べられるようにするにはどうすればいいかを考えるようになりました。

 

 

食べさせ方①:ご飯の場所を確認させる

 

食べムラ・食い渋りでご飯を食べさせることにとにかく苦労していたので、食事はまずは食いつきのいいトッピング用のジャーキーや肉などを先に食べさせるという方法をとっていました。

器を2つ用意し、1つの器に先にジャーキーなどをおろし金ですりおろします。もう1つの器に、ドライフードを準備し、その上にジャーキーをすりおろしたものをふりかけ、全体を混ぜ合わせておきます。

そして、食事台の前にクリンを座らせ、2つの器を床にセット。まずすりおろしジャーキーの器を手に取り、クリンの鼻に器の中にあるジャーキーを近づけます。その時に少し鼻先にジャーキーをつけると、たいていペロッと舐めてくれます。

クリンの場合、ペロッと舐める=今日はこのジャーキーを食べる、という合図だったので、すかさず器をクリンの口元に持っていき、今度は口先にすりおろしジャーキーを少しつけると、そのままペロペロと食べ始めてくれました。

そのまま少しずつ器を降ろしていき、食事台のところまで誘導します。この時クリンはずっとジャーキーを舐めています。

台の上にセットできたら、もうひとつの器に準備していたフードを、ティースプーンで横からそっと入れていきます。

フードに絡めるジャーキーを多めにしておくと、器のすりおろしジャーキーからジャーキーまみれのフードに変わった時に、比較的違和感なく食べてくれます。

ジャーキーを食べているつもりが、いつの間にかフードに変わるんですが、先にジャーキーの味がするからか、この方法だと比較的うまくフードを食べさせることができました。

ただしひどい食い渋りの時は、フードとわかったらすぐに逃げていました。逃げられた時はめちゃくちゃガッカリしたものです。

 

 

食べさせ方②:汁物を使う

 

最初は①の方法で問題なく食べることができていましたが、今度はうまく飲み込めないという悩みにぶち当たりました。人間でも固いものがうまく食べられなくなったり、喉に詰めてしまうことがありますが、犬もまったく同じでした。

特にドライフードは口の中の水気をとってしまうのか、もさもさしてとても食べにくそうにしていたので、鶏ガラ・ささみ等を水煮にしたスープや、牛乳(クリンは牛乳が大好きで、下痢もしなかったためずっと使っていました)を一緒に与えるようになりました。

これもやり方は①と同じで、先にスープまたは牛乳を入れた器を口先に近づけ、飲みだしたら少しずつ器を下げ、食事台にセットできたら、横からフードを少しずつ入れていきました。

この方法も結構うまくいきました。

 

 

食べさせ方③:スプーンを使う

 

クリンが18歳8ヶ月の時、頸椎ヘルニアが発覚しました。それまでは食事台の上に置いた食器に顔を近づけていましたが、ある時から器に顔を近づけなくなりました。食事台に誘導しようとしても、下を向かないため、フードに誘導するのが難しくなりました。

そして飲み込む力がさらに落ち、4mmほどの超小粒フードもうまく食べられなくなっていました。この頃からフードプロセッサーで細かく砕いたフードを与えていました。(クリンはお湯でふやかしたフードは食べませんでした)

器を顔に近づけたいのですが、下を向いてくれないため、器からこぼれてしまいます。

この時に使用したのがティースプーンでした。

この頃はスープか牛乳がマストだったので、ティースプーンでスープまたは牛乳をすくい、それを口元まで持っていきます。

クリンは水頭症があり、首を反らせる仕草が見られたため、最初の一口を飲ませるコツをつかむまでは結構大変でしたが、ペロッと舐めてくれると、その後は少しずつ首をおろして飲んでくれました。

最初は水分をティースプーン3~4杯くらい飲んでもらいます。そしてスープの器に砕いたフードを入れて、今度はスープ+ほんの少し砕いたフードが浮いた状態のものを飲ませるようにしました。

スープと思って飲んだものに、異物(フード)があるので、最初に口に入った時は少し拒否反応のような仕草がありましたが、そのままスープと共に口に入れてくれたら、少しずつスプーンですくうフードの量を増やしていきました。食事が進むとフードはスープと混ざってドロドロになりますが、水気があるため食べやすいようでした。

この方法は、クリンが旅立つ前日まで実践していました。同じものばかりだと飽きるので、牛乳・鶏ガラスープ・ミキサーでスープ状にしたウェットフードなどでアクセントをつけていました。ウェットフードは、お湯や温めた鶏ガラスープをフードプロセッサーで混ぜ合わせていました。温かいとより匂いが立ち、とても食いつきがよくなりました。

事前にドライフードを測っておけば、食べた量の把握ができるため、食事の管理をしたい場合に向いている方法だと思います。

 

 

若い頃は当たり前に食べてくれますが、高齢になってからは「食べてくれることがとてもありがたいこと」になりました。クリンは食欲にムラがあり、余計に食べてくれるありがたさを実感することができました。

19歳を超えてからは、食べても全く太れなくなりました。でも食べないとすぐに体重は落ちてしまうため、最後の2ヶ月は1日の食事の回数は4~5回になっていました。

1回の食事でかかる時間は、うまくいくと5分。なかなか食べ始めてくれない場合は30分を超えることもありました。

約4年食い渋りに悩んでいたので、当時は食べないことにイライラしたり、本気で怒ったこともありました。

でも、その悩みがあったからこそ、食べてくれるありがたさが身に沁みましたし、スプーンからとてもおいしそうにペロペロとご飯を舐めている姿は、もう可愛くて可愛くて、こんなに食べにくくなっているのに一生懸命食べてくれると思うと、嬉しくて泣いてしまうこともありました。

残念ながら、もうクリンはいません。「今日は食べてくれるかな」と毎日ドキドキでしたが、その悩みもありがたいことだったんだとつくづく思います。

 

 

皆様のおうちの大切な我が子が、今日もおいしくたくさんご飯を食べてくれますように。

 

 

 

 

 

ライター:福井 惠子

 

 

ご報告

我が家の愛犬クリンが、2019年3月17日の朝方、19歳1ヶ月16日の生涯を終えました。

飼い主が願っていた、元気にピンコロ。まさにこの通りに、ここ最近では一番いいというくらいの体調で、静かに旅立ちました。

 

1年前に不整脈が見つかり、主治医の先生からは「突然心臓が止まるかもしれない」といわれていました。それでも、2回の手術・麻酔に耐え、無事元気に戻ってきてくれました。

 

先週には、病院を一旦卒業できることになりました。血液検査・エコー検査共に大きな問題なしとのことで、健康維持のために鍼灸に通う約束で、次は2週間後に予定していました。

 

 

クリンは寝ている間に心停止を起こしたのだと思います。

ここ最近自力で起き上がることが難しくなっていましたが、寝ていた場所から自力で立ち上がり、布団の上に排泄し、いい状態の便も部屋に転がっていました。

そして、いつも飼い主が座っている指定席で、いつもの寝姿そのままで旅立っていました。

とても穏やかなお顔で、いつもの寝顔と全く変わりなく、寝ている間に心臓が静かに動きを止め、苦しむことなく最期を迎えることができたのだと感じました。主治医の先生に最期の状態を伝えたところ、寝ている間に心停止したのだろうとのことで、とても穏やかに旅立てただろうといわれました。

クリンはあえて飼い主がいない時に旅立ったのだと思いました。わたしがいる時だと、旅立つ邪魔をするかもしれないし、どんな選択をしてもきっとあとから後悔するだろうということを知っていたのだと思います。

 

 

クリンは旅立つ前日まで、ご飯を食べ、お散歩をしてくれました。そして旅立つ直前まで自力で立ち上がり、歩き、排泄してくれました。

元気に長生きし、元気なまま最期を迎える。ずっと飼い主が願っていたことを叶えてくれた、とても親孝行な自慢の娘でした。

 

わたしはクリンにたくさん助けられ、たくさんの愛情をもらい、たくさんの大切なことを教えてもらいました。

そして、クリンを通じてたくさんの愛犬家の皆様とつながることができました。

多くの方に愛され、応援いただき、クリンはとても幸せでした。

 

これからクリンとの新しい経験は残念ながら増えませんが、19年1ヶ月の生涯の中で、経験したこと、よかったと思うことなどを、不定期にはなりますが、このサイトで発信していきたいと思います。

 

今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

 

 

2019年3月18日

福井 惠子

 

 

関連記事:アメーバブログ「ありがとうございました」

 

 

【犬の老化】愛犬の機能を保つために飼い主ができること

愛犬情報

犬種:ミニチュアダックスフンド

病名・症状:老化による機能低下

発症年齢:17歳~

発症の経緯:年齢と共に徐々に衰える

治療法:自宅でのトレーニング

 

 

年齢を実感する時

 

我が家の長女クリンは明日19歳の誕生日を迎えます。今でも自力で排泄し、お散歩ではぴょこぴょこ走ってくれます。年齢から考えるとそれだけでもとてもありがたいことですが、ここ1年で目に見えて機能が落ちてきてしまいました。

年齢と共に衰えるのは当たり前のこと。加齢は止めることはできません。ですが少しでも長く機能を保てるよう、飼い主にできることはあると思っています。

今回は、クリンの機能が落ちていく過程と共に、できることを少しでも長く維持するために、我が家で実践していることを紹介させていただきます。

 

 

目に見えて衰えていく機能

 

クリンは個人宅で生まれ、約3ヶ月間おかあさんと一緒に過ごしていました。そのおかげでとても丈夫な体を持っているのだと思います。14歳になるまでは、毎年のワクチンと狂犬病・フィラリア予防以外で病院にかかることはほとんどありませんでした。

クリンが生活しているのは我が家のリビング。15歳まで40㎝はあるソファーに飛び乗ったり降りたりしていました。ソファーには階段を設置し、飛び下りそうなところにはクッションなどを置いていましたが、好きなところから平気で飛び下りるのでヒヤヒヤしたのを覚えています。ところが16歳になり、降りることはできても飛び乗ることが難しくなりました。

16歳後半になり、レントゲンで椎間板ヘルニアが見つかりましたが、日常生活に影響がなかったため経過観察となりました。

17歳になり、目の機能が落ちてきて、わずかな段差でつまずくようになりました。また後肢がもつれるようになり、しりもちをつくようになりました。

17歳9ヶ月の時に子宮摘出と抜歯の手術をした際に、麻酔の影響で体温が35℃台にまで下がり、その影響でヘルニアの痛みが出始めたようで、背骨に湾曲が出てきました。

この頃には目はうっすら光を感じるくらいしか見えていないような状態で、フリーで歩かせるといろんなところにぶつかるようになりました。そして突然しりもちをつくことが出てきました。排泄もそれまでほとんど失敗なくできていたのが、あちこちで粗相をするようになりました。

18歳半ばを過ぎた頃から、寝ている場所でおもらしをようになりました。おもらしは徐々に回数が増え、18歳9ヶ月頃からは2日に1回くらいはおもらしをするようになりました。

 

そして昨年の12月になり、おもらしの原因がわかりました。

 

 

起き上がれない原因

 

クリンは水頭症があり、ここ数ヶ月で深夜に徘徊をするようになりました。

徘徊の時にも転んでしまうことがあり、転んだ時にバランスがとれず起き上がれないと、鳴いて呼ぶようになりました。

夜中に何度も起こされ、倒れているクリンを起こす。そのまま寝かせようとするものの、また起きて徘徊する。転んで起き上がれずに鳴く。こんなことが続いていたので、飼い主も寝不足で、出かけることもままならない状態になりました。

ある日、クリンが転んで起き上がれずキュンキュン鳴いていた時、倒れた状態で粗相してしまいました。その時にやっと尿意を催してもすぐに起き上がれずに漏らしてしまっていたのだとわかりました。

獣医さんに相談したところ、老化による筋力の低下と、寒いため細い筋肉がつっている状態になり、うまく立てなくなっているのかもしれないという診断でした。もしかしたら水頭症が影響しているのではと思っていましたが、脳の場合は二度と起き上がれなくなることが多いとのことで、クリンの場合は水頭症が原因とは考えにくいとのことでした。

また、厚着により体のバランスが取れなくなって、うまく起き上がれないこともわかりました。体を冷やさないようにとマイクロファイバー素材の服を着て、厚手の腹巻と首巻をつけ、更に上から厚手の服を着せていたんです。ほんの数ヶ月前までは問題なかったことが、あっという間にできなくなってしまう。正直こんなに簡単にできなくなってしまうとは予想もしていませんでした。

 

 

機能を維持するために実践していること

 

クリンは昨年の12月3日に抜歯とスケーリングをしてもらったのですが、その後数日は食欲が落ちてしまい、それまで3.2㎏だった体重が2㎏台に落ちてしまいました。

老犬になると、ほんの少しの変化でも体に大きく影響します。クリンは元々食べムラ・食い渋りがあり、手術の影響で食欲が落ちてしまうことは覚悟していました。予想通り術後は食欲が落ち、体重は減ってしまいました。恐らく痩せたことも筋力低下に影響していると思います。

数日前、初めててんかん発作を起こした時は、足元もおぼつかず、このまま立てなくなってしまうのではないかと思いました。翌日には自力で立ち上がり、今まで通り歩けるようになりましたし、自力で起き上がれているのでとてもありがたいです。

 

また、加齢により筋肉や筋力は落ち、体力は低下します。栄養の吸収が悪くなってしまうことにより、どれだけ食べても太れなくなってしまいます。ですから食欲が落ちて食べなくなると、あっという間に体重は減ってしまいます。

このまま何もしないままだと体の機能はどんどん低下してしまいます。今ある機能をできる限り維持するために、これ以上筋肉を落とさないためのトレーニングと、食生活の見直しをすることにしました。

 

【筋トレ】バランスディスク

今から2年ほど前に、知人からの情報でバランスディスクを購入しました。バランスディスクで体幹を鍛えることで、体を支える筋肉を強化することができます。

今までは気が向いた時に乗せる程度でしたが、12月半ばから1日2~3回、1セット2~3分のトレーニングをスタートしました。

何も支えのない状態のディスクに乗せるのはとても危険なので、わたしの足でディスクを挟んで固定し、その上にクリンを乗せています。最初はバランスを崩して足を滑らせていましたが、今ではゆらゆらしながらも支えなしで立てるようになりました。あまり無理をすると筋肉を痛めてしまうこともあるため、最大3分・3回までにしています。

 

【運動能力維持】毎日のお散歩

クリンはお散歩が大好きです。獣医さんの話だと、お散歩はとても大切で、筋力維持という効果だけでなく、散歩に行く子と行かない子では、心臓の強度が全然違うそうです。

実は以前はあまりお散歩に連れて行ってなかったんです。クリンがまだ若い頃に「この子は心臓が弱いからあまり無理させない方がいい」といわれたことがあり、当時知識のなかったわたしはそれをそのままうのみにしてしまい、あまり外に出さなくなりました。その後心臓に問題ないということがわかり、14歳くらいから毎日お散歩に行くようになりました。

お散歩のおかげで心臓が強くなり、17歳9ヶ月の時に手術を受けることができ、18歳11ヶ月でも麻酔に耐えることができたのだと思っています。

また最近ナックリングが出てきたので、お散歩の時はソックスを履かせるようにしています。

 

【栄養補給】サプリメント投与

クリンがうまく起き上がれなくなった時、知人からサプリメントの情報をいただきました。そのサプリメントは血と骨を作ってくれるようで、知人の愛犬は足どりもおぼつかずヨタヨタ歩いていたのが、このサプリメントを摂るようになってから元気に走れるようになったとのことでした。

クリンもさっそくこのサプリメントを試すことにしました。それと数日前から足腰のためにコラーゲンを摂らせています。うまく立てない理由のひとつに、右前足の脱力が影響していると思っています。病院でも関節が弱ってきているといわれているので、サプリメントがうまく作用するといいなと思っています。

これ以外にも、数種類のサプリメントを与えています。サプリメントは、基本愛犬家の方からいいと聞いたものをチョイスしています。いろんな良い情報がいただけて、とても助かっています。

 

【食生活の改善】食べたいものを食べたいだけ、回数を増やして与える

老犬が痩せてしまう原因のひとつに、胃腸機能の低下があります。クリンが痩せてしまった一番の原因はこれだと考えています。

良質で高栄養の食事を摂らせたいと思いますが、クリンには食べムラがあります。ドライフードは栄養バランスはいいですが、フードだけでは食べてくれません。以前は何とかフードを食べさせようと必死になっていましたが、今では食べたいものを好きなだけ食べてくれたらいいと考えるようになりました。

またてんかん発作後は、一度の食事量が半分くらいに減ってしまいました。少し前から食べ物を飲み込まずに口の中に残してしまうということがたまにありましたが、発作を起こしてからはそれが毎回の食事でも見られるようになりました。

フードはフードプロセッサーで細かく砕いたものなら何とか食べてくれるので、クリンの好きな牛乳や鶏ガラスープと一緒に食べさせています。鶏ガラスープはとても食いつきがよく、調子があまりよくない時でもおいしそうに飲んでくれています。

また、栄養補助食品や介護食等を併用して与えています。肉類は好きでよく食べていましたが、うまく食べられないこともあるため、その場合はフードプロセッサーで液状にして、そこに栄養補助食品を混ぜてシリンジで与えることもあります。

食事の回数は1日4~6回に分け、少量ずつ食べさせるようにしています。今のところ食欲が安定しているので、とても助かっています。

 

 


 

犬の19歳は人間でいうと100歳近いといいます。この年まで長生きしてくれたこと、そして自分でできることがあること自体、とてもありがたいことだと思います。

できないことを嘆くよりも、できることがあることに感謝する。そして今使える機能をできるだけ長く保てるよう、飼い主としてできることを実践していきたいと思っています。

 

もし皆様が試されてよかったことがあれば、ぜひ教えてくださいね!

 

 

ライター:福井 惠子

 

 

【動物病院の選び方】獣医さんも使い分け時代

愛犬情報

犬種:ミニチュアダックスフンド

病名・症状:ヘルニア(誤診)⇒関節の不具合・骨粗しょう症

発症年齢:15歳

発症の経緯:歩行がおかしくなった、時々カックンとしりもちをつく

治療法:ステロイド注射⇒サプリメント投与、月1回の整体

 

 

チャッピーの異変とステロイド投与

 

我が家の愛犬チャッピーは、元繁殖犬です。11歳の時に我が家に迎えました。

うちに来た時、歯はボロボロ、おまけに乳腺腫瘍もありました。来てすぐに病院にて乳腺腫瘍摘出と顎の手術、しばらくして卵巣嚢腫が見つかり、そのとき避妊手術もしていただき、残った歯は左側に3本だけになりました。

来た当初は触られることすら慣れていないような状態でしたが、少しずつ人間に対する不信感が薄れ、初めてわたしが寝転んでいるお腹のところに来て、背中をくっつけて寝てくれた時はとても感動しました。

こんなに小さなこの子が、どれほど辛い思いをしてきたのだろう。そう思うと、より愛おしく感じました。このまま元気に長生きしてほしい。なので少しでもおかしいと思うとすぐに病院に駆け込んでいました。

 

ある日、チャッピーの歩く姿がおかしいことに気付きました。15歳という高齢であるため、脚が悪くなってしまったのかと思い、すぐに病院へ。診察の結果、おそらく椎間板ヘルニアであろうと診断されました。

痛みはさほどなさそうに見えましたが、週3回2日置きにステロイド注射をすることになりました。

治療が始まり、少しは改善されたようにも思いましたが、チャッピー自身は元気なさそうに見えるし、ステロイドを使い続けることへの不安もありました。ステロイドは根本治療ではないこと、副作用が怖いことなど、あまりいいものではないという認識でした。獣医さんへ「こんなに注射し続けて大丈夫ですか」と聞いたら「それほど多量ではないので」と言われましたが、疑問を持ちました。

 

 

セカンドオピニオンの選択

 

何度か治療のために病院に通っていましたが、ある日わたしがよく利用する犬の総合施設(トリミング・ホテル・カフェ・ドッグラン・しつけ教室などが併設されているところです)に行った際、そこのオーナーで犬のことにとても詳しい方に、自分の中にある不安や今のチャッピーの状態、治療内容などを相談しました。

すると、その方はチャッピーの背中や体を触られてこういわれました。

 

「この子はヘルニアには思えない。もしかしたら股関節とかではないの。背中シュッとしてるよ。」

 

その方がいわれるには、椎間板ヘルニアの場合、麻痺などが症状として現れたりすると言われていました。ヘルニアだと診断された時の話をすると、レントゲンを撮ったか聞かれたので、撮っていないと言ったところ、別の病院を紹介するとおっしゃってくださいました。

 

紹介先の病院の先生は、診断医としてはとても信頼できる先生だということで、電話をしていただきさっそくその病院に行くことにしました。電話はそばで聞いていましたがちょっと笑ってしまいました。

 

----------オーナーの電話での会話----------

「先生、よけいなことしなくていいから、レントゲンだけ撮って椎間板ヘルニアかどうか見て。私にはそう思えないのよね。背中シュッとしてるし、触っても痛がらないしね。結果は飼い主さんにちゃんと説明してね。理解できる人だから論理的にね。」

 

そして私に、

「別の先生に診てもらったら悪い、と思う人もいるけど、私は獣医さんってサービス業だと思うの。だからこちらが選べばいいし、疑問があったら別の病院へ行ってもいいのよ。自分の犬を守りたいでしょ。手術だって得意な人とそうでない人がいるんだから、大きな手術をまたすることになったら言ってね。紹介するから。」

といってくださいました。

 

 

全然違った診断結果

 

セカンドオピニオンの病院の先生は、飼い主に寄り添ってくださるようなとてもいい先生でした。レントゲンを撮り、わたしにもわかりやすいように、実際に重度のヘルニアを患っている子のレントゲンとチャッピーのレントゲンを並べて説明をしてくださいました。

 

「この子はヘルニアではありません。背骨の間に馬の頭のような形のところがあるでしょ。この子は皆きれいにその形になっているので大丈夫」

 

ヘルニアの子の場合は背骨の間の馬の頭型が潰れたり変形していました。チャッピーの背骨は全部同じ形できれいに並んでいて、ヘルニアの子とは全然違うことは、わたしの目でもわかりました。

 

先生の診断は以下のようなものでした。

・足のすべての関節のはまりが浅い

・この場合、股関節や膝を亜脱臼しやすい

・はまりが浅いことで、体をゆがめて歩くので足に負担がかかり影響が出やすい

・骨の色が真っ白ではない、これはカルシウム不足で骨粗しょう症気味である

 

わたしは先生の診断内容を聞いて、とても納得できました。レントゲンを見ながら、ひとつひとつわたしにもわかるように問題の箇所を指さしながら説明をしてくださったことが大きいと思います。

チャッピーは元繁殖犬でもあったため、カルシウム不足もとても納得ができました。

そして、炎症を抑える効果や皮膚にもいいというアンチノールというサプリメントを処方されました。それ以来、骨粗しょう症改善のために緑イ貝のサプリメントと、アンチノールを続けて飲んでいます。

サプリメントを飲み始め、チャッピーは歩き方も少しずつよくなり、今では随分改善されて歩行も問題なくできています。チャッピーは薬も飲んでいますが、薬の時間になると足の悪い老犬と思えないほどの力で逃げていきます。それだけ回復したのはとてもありがいたいですが、これも悩みのひとつでもあります(笑)

そして施設のオーナーさんが第三金曜日にわんこ整体の先生来るからしてみる?と言われ、もう半年くらい整体もしてもらっています。

でも、もしあのまま同じ病院に通っていたら、もし2日に1回のステロイドを注射し続けていたら、今チャッピーはどうなっていたのか。そう思うととても怖くなります。

歯は、結局もう一本を抜いたので片側に2本だけになりました。いつも右側にベロが出ています。あまり固いものは食べられませんが、缶詰のドッグフードや水でやわらかくした乾燥肉などは問題なく食べます。時々一口で飲み込んでいます。

整体の先生からも、股関節が悪く、腰痛や足の動きが固くなることはあるけど椎間板は大丈夫と言われました。すごくうれしくて泣きそうになりました。

 

 

どうかひとりで悩まないで

 

わたしには相談する方がいるのでとても救われました。その方に転院について報告した際、もし手術が必要な場合は、とても上手な先生もおられると聞きました。

 

今回の経験でわたしが思ったこと。それは、目的別に獣医さんを選んでもいいんじゃないか、ということでした。

今まではどちらかというと、1つの病院に通うことが普通だと思っていました。ずっと通っていると、カルテがあるし、うちの子のことを一番知ってくださっているのではないか、と思っていましたが、人間の場合はかかった病気によって選ぶ病院が違いますが、犬の場合は専門の病院はほとんどありません。

 

残念ながら愛犬は話すことができません。どこかが痛くても、それを直接わたしたちに訴えることができないんです。愛犬の健康を守るのは、飼い主のわたしたちが日頃の様子と変わったことがないかを気づくこと以外に早期発見することは難しいんです。それにもし誤診であっても、セカンドオピニオンを受けなければ、それが誤診だと気づくこともないままかもしれません。

 

困った時に相談できる相手がいれば、いろんな選択肢を考えることができます。でも周りに相談相手がいない飼い主さんの場合、かかりつけの先生の意見を信じるしかないかもしれません。

 

もし今わたしと同じようなお悩みをお持ちの飼い主さんや、もし病気で通院しているけどなかなか改善しないという飼い主さんがおられたら、セカンドオピニオンを受けることと、SNSでもなんでもいいので、他の飼い主さんと意見交換する場をつくられることをお勧めします。

 

愛犬を我が子として愛する飼い主同士、助け合うことができたらと思っています。

 

 

ライター:Madam osada

 

 

【再生医療】ヘルニアの新しい治療、ステムセル(幹細胞)②

愛犬情報

犬種:ミニチュアダックスフンド

病名・症状:水頭症/椎間板ヘルニア/頸椎ヘルニア

発症年齢:17歳/17歳/18歳

発症の経緯:CT画像で発覚

治療法:再生細胞投与 アデクァン投与

 

 

関連記事:【再生医療】ヘルニアの新しい治療、ステムセル(幹細胞)①

 

 

また始まった食い渋り

 

1回目の再生医療から1ヶ月が経ち、クリンはとても元気に過ごしてくれていました。投与後は多少の食べムラや食い渋りはあったものの、体調を良好にキープできていたので、通院回数も減りました。

ちょうどその頃、我が家の次女ニコの調子が悪くなりました。その時はニコのことに集中できるほど、クリンの食欲や体調は安定していました。

ところが10月2日にニコが亡くなってほどなくして、それまでパクパク食べていたご飯を食い渋ることが出てきました。ちょうど季節の変わり目ということもあったので様子見していましたが、防寒用の服を着せ替える際、大きな声で「キャン!」と鳴いたんです。

首を触ると肩をすくめて嫌がる仕草があり、もしかして首に痛みがあるのかも、と病院に行きました。実は以前自宅でできるマッサージを教えてもらったことがあり、たまにマッサージをすることがあったのですが、その時も触られるのを嫌がるしぐさが見られることがありました。

CTとレントゲンの結果、頸椎ヘルニアであることがわかりました。

年をとると、食欲にムラはでることがあります。体の機能は年々衰え、匂いがわかりにくくなったり、固い物が食べにくくなったりします。老化は仕方のないことですが、まったく食べないとか食欲自体が減退してしまうことのは、体のどこかに痛みや不具合がある可能性が非常に高いです。

今回の食べムラ・食い渋りは首の痛み。食べる時に下を向くのが辛かったのだと思いました。

 

 

治療の選択

 

クリンの頸椎ヘルニアが確定したのは10月半ば。クリンはこの時18歳8ヶ月でした。

首を痛がることと同時に、クリンの歯の状態がかなり悪いこともわかりました。頬を触診してもらった時に大きな声を上げたんです。

ちょうど1年前の手術の時に歯の掃除と抜歯を1本してもらっていました。術後から口腔ケアができればよかったのですが、クリンは口を触られることをとても嫌がるため、まったくケアができていませんでした。少しでも歯の状態をキープするために歯のサプリは摂らせていましたが、若い頃よりも口を大きく開けることができなくなっているため、食べカスがたまりやすく、歯石がつきやすくなり、歯周病になったのだろうとの診断でした。

頸椎ヘルニアは治療が難しく、投薬治療は肝臓や腎臓に負担をかけてしまいます。特にクリンは肝臓の数値が高めで、何かあるとすぐに肝数値が上がってしまうため、痛み止めなどの対処療法はやめた方がいいといわれました。

できることは何でもしてあげたい。先生にそう伝えたところ、体のことを考えても再生医療の選択がベストだといわれました。

ただし、歯の状態が悪いこと、炎症数値が高いのは歯が原因と思われるため、今よりもっと状態が悪くなるかもしれないといわれました。

今のクリンの年齢で歯の治療はできるのか、麻酔に耐えられるのか。もしそれができそうなら、再生医療を受けた後に歯の治療もしてほしい。先生にそう伝えたところ、その時の体調と状態によるけれど、何とかできるようにしましょうといっていただきました。

 

 

ヘルニア治療3:2回目のステムセル投与

 

歯の炎症を抑える薬が効いて、何とか炎症数値が治まったので、10月23日に2回目のステムセルを投与しました。今回は頸椎と頭に4本、腰に2本、残りを静脈点滴したと記憶しています。

ステムセルは投与量によって費用がかわります。あまり少ないと効果が出にくい場合があるし、多すぎても意味がないとのことで、前回今回共に中量を選択しました。点滴は約1時間。点滴終了後、体調に問題がなければ終わりとなります。

帰宅してからはご飯をパクパク食べてくれました。その後の経過観察でも大きな問題はなし。治療後、多少の食い渋りはありましたが、自力で食べてくれることの方が多くなりました。

2回のステムセル投与で、初めての時はものすごく効果を実感したというより、調子がよさそうだなといった感じでしたが、今回は明らかにクリンの行動がかわりました。

それはこたつ布団。自分の頭でこたつ布団をまくり上げる行動をしだしたんです。これはステムセル投与前にはなかったことでした。我が家のこたつはサイズが大きく、布団もそれなりに重みがあるんですが、果敢にこたつ布団に挑戦するクリンの姿を見て、痛みが軽減したのだと実感でき、ものすごく嬉しかったです。

せっかくよくなったのに、調子に乗って布団をまくり上げていると頸椎ヘルニアが悪化してしまうかもしれないので、布団をまくりあげて行き来できるようにしました。このため我が家のこたつは、犬の寝床としての役割しか果たしてません(笑)

投与後の血液検査で炎症数値が上がりましたが、歯の影響であることはわかっていたので、体調が安定したら歯の処置をしましょうといわれました。再生医療は投与後約2ヶ月で効果を発揮するといわれていたので、抗生剤で炎症を抑え様子見ということになりました。

 

※歯の治療については、別記事で紹介させていただきます。

 

 

再生医療を受けての感想

2度目の再生医療を受けてから約2ヶ月経ちましたが、クリンは大きなトラブルなく元気に過ごしてくれています。

心臓の状態は改善しているといわれました。肝臓は相変わらず数値は高めですが、毎日のお散歩ではしっかり走ってくれています。腰の痛みも改善され、痛がる様子は見られませんし、首の痛みも今のところ治まっています。

 

クリンには感謝しかありません。わたしたち家族にたくさんの幸せを運んでくれ、そしてとても大切なことを教えてくれました。

わたしの唯一の願い。それは、元気に天寿を全うしてほしい。

いつもと変わらない毎日を過ごし、いつかその命が燃え尽きる時がくるまで、楽しく日々を過ごしてほしいと思っています。

今回、ステムセル治療を受けることができて、わたしは本当に救われました。

 


 

わたしたちの体は細胞でできています。細胞は年を重ねるごとに入れ替わるスピードが遅くなっていきます。下痢や嘔吐など、若い頃なら1日2日様子見できた症状も、シニアになるとあっという間に悪化し、弱ってしまうこともあります。

 

細胞がほとんど再生しない臓器(心臓・腎臓)は、根本治療するには今のところ臓器移植しか方法がありません。一度痛んでしまうと、投薬で進行を遅らせることはできても、治すことは不可能です。

 

ステムセル治療は、心臓や腎臓など、再生しない臓器の新しい治療法としてとても注目されているそうです。でも確実に病気が治る治療法ではなく、効果がほとんどない(効果があったとしても気づかないくらいの変化)ということもあるそうです。

 

10年先にはもっと医療が進歩し、再生医療は当たり前の治療法になっていると先生はおっしゃっていました。その頃には、治らない病気は少なくなっているかもしれません。まだまだ取扱も少なく、残念ながら気軽に受けることができないのが現状です。

 

いつの日か気軽にどこでも受けられる治療となり、大切な我が子の病で辛い思いをされている飼い主さんの救いとなる治療法になることを心より願います。

 

 

 

【再生医療】ヘルニアの新しい治療、ステムセル(幹細胞)①

愛犬情報

犬種:ミニチュアダックスフンド

病名・症状:水頭症/椎間板ヘルニア/頸椎ヘルニア

発症年齢:17歳/17歳/18歳

発症の経緯:CT画像で発覚

治療法:再生細胞投与 アデクァン投与

 

 

突然始まったヘルニアの痛み

 

我が家の愛犬クリンが再生医療を始めて受けたのは2018年8月。きっかけはヘルニアの痛みをとるためでした。

椎間板ヘルニアが見つかったのは15歳の時。前に通っていた病院で撮ったレントゲンで発覚しました。その時は歩行も普通にできていて、ソファーから飛び降りようとするくらいの状態で、痛みもないようでした。これ以上進行しないようにと、関節のサプリメントを色々試したりしました。

ところが投薬の失敗から食べムラ・食い渋りが始まり、サプリメントの匂いにも敏感に反応してしまうようになったため、サプリを継続することが困難になりました。

気にはなりながらも、特に何をするということもなく17歳を迎えました。

 

でも、とうとうその時はやってきました。

 

きっかけは、「子宮摘出手術」でした。

クリンが手術を受けたのは17歳9ヶ月の時でした。年齢的にも麻酔のリスクはとても高いことはわかっていましたが、それ以外にも「低体温」になることでのリスクもあると、手術を受ける前に先生から聞かされました。

クリンの場合、術後体温は35℃台にまで下がりました。

手術自体は成功し、子宮の不具合も痛みもなくなりましたが、傷をかばうように背中を丸める姿勢を続けていて、抜糸が済んでもその姿勢が戻ることはありませんでした。

 

 

ヘルニア治療1:アデクァン注射

 

術後の経過は良好で、傷自体は順調に治っていました。でも手術前はまっすぐだった背中が、術後には背中から腰にかけて曲がったような姿勢になっていました。最初は傷の痛みをかばっているのだと思っていましたが、背中の湾曲の他に、歩き方にも変化が出始めました。それまでしっかりとした足取りだったのが、後肢が絡まるようなもたつきが見られました。

病院には定期的に通っていたので、すぐに検査をお願いしたところ、ヘルニアの痛みが出始めたのだろうということでした。痛みをチェックするための触診で、大きな声でキャン!と鳴いたのです。

年齢を考え、できるだけ体に負担のない治療をすることになり、「アデクァン注射」を打つことになりました。アデクァンは「硫酸グリコサミノグリカン」を成分とし、ヘルニア治療には一般的な注射となります。

この注射は、最初は1週間に2回注射するのを1ヶ月、月に8回注射します。効果があるようならその後2週間に1回~1ヶ月に1回注射を続けます。クリンにも効果が見られ、足取りは軽やかになってきました。それから定期的に月1回のアデクァン注射と鍼治療で腰の痛みはかなり軽減されたようでした。

 

ところが、8月頃から、後肢のもつれやしりもちをつくことが増えました。診察の結果、また痛みが出始めたようでした。できる限り痛みは取ってやりたい。でも大掛かりな手術は年齢的に難しい。

主治医の先生に相談したところ、「再生医療」を勧められました。

 

クリンは水頭症もあるのですが、再生医療は水頭症にも効果が期待できるといわれました。そして体中の悪いところに効果が出る可能性があるそうです。特にヘルニアでは大きな効果が表れる子が多いということでした。

ちょうどその時に実際に再生医療を受けた飼い主さんがおられ、直接話を伺うことができました。その方の愛犬もダックスフンドで、ある日突然立てなくなったそうで、病院で再生医療を提案され、計2回投与されたそうです。

1回目の投与では、立てなかった子が数日で立って歩くようになり、2回目の投与では、走り回ってソファーに飛び乗ったりするようになったそうで、

 

 

ヘルニア治療2:ステムセル(幹細胞)

 

実は以前から再生医療にとても興味がありました。今の病院に転院したのは再生医療を取り入れているのも理由のひとつでした。でも幹細胞自体数に限りがあるため、状態の軽い子はどうしても後回しになってしまうと聞いていました。

再生医療は、薬のように必ず効果が出る治療法ではありません。人間の再生医療もES細胞やiPS細胞など、今まさに臨床研究されているものであり、これからその効果や病気ごとや臓器ごとに治療法が開発されれば、飛躍的に寿命を延ばすことができるかもしれない、といわれています。

副作用がほとんどなく、再生不能な臓器(心臓・腎臓など)にも効果が期待でき、新しい細胞が体の悪いところを修復してくれる治療法。「若返り治療」ともいわれており、体そのものを若返らせるということでした。

しかし、癌などの腫瘍がある子や、体に炎症が起こっている場合は使用できないそうです。なぜなら、癌細胞や腫瘍を育ててしまうことになってしまうからだそうです。

また、歯が悪い場合も注意が必要といわれました。炎症がひどくなってしまうことも考えられるとのことでした。

クリンが17歳9か月の時に受けた手術の際に、歯石を取ってもらい、1本抜歯をしてもらいました。それから歯の状態は治まっていましたが、1年経過して徐々に歯石が付き初めていました。以前に投薬で失敗してから口の中を触らせてくれなくなり、口腔ケアがほとんどできていなかったことが原因です。

わたしの望みは、クリンが毎日快適に楽しく過ごすこと。体に痛みがあると毎日の生活に支障が出てしまいます。たとえ歯の状態が悪くなっても、今は痛みを取ることを優先したいと考えました。

検査の結果問題なしで、クリンは8月24日にステムセルを投与することになりました。

 

ステムセルとは

ステムセル(さい帯血)とは、お母さんと赤ちゃんをつなぐへその緒や胎盤に含まれる血液のことで、さい帯血には「幹細胞」という、体のさまざまな種類の細胞のもとになる細胞が豊富に含まれています。
たとえば、赤血球・白血球・血小板などの「血液のもと」となる造血幹細胞は高い造血能があるので、白血病や再生不良性貧血などの難治性血液疾患の治療に役立ちます。
また、中枢神経・自己免疫・虚血性障害などの修復に役立つ可能性を持つ細胞など、多種多様な細胞に分化できる能力を持つ幹細胞を含んでいることから、さい帯血への医学的関心は近年急増し、臨床試験や研究段階にある再生医療・細胞治療への将来的な応用が期待されています。

参考:ステムセル研究所「さい帯血」ってどういうもの?

 

 

ステムセル、一度目の投与

 

そして、クリンがステムセルを投与する日がやってきました。

クリンは水頭症があるため、頭と腰数ヶ所に皮下注射をし、残り半分を静脈点滴しました。

効果がわかるのは投与から約2ヶ月後。早い子の場合は数日で変化があるとのことでした。また、食欲旺盛になる子もいるといわれました。クリンの食べムラ・食い渋りには数年悩んでいたので、これは大きく期待していました。

ステムセルは、静脈点滴と筋肉注射を気になる部分に直接摂取します。クリンは水頭症もあったため、頭付近と背中~腰に直接注射し、半分は静脈点滴をしました。処置時間はおおよそ1時間半くらいでした。

再生細胞は点滴投与なので、処置後はそのまま帰宅します。先生から、副作用はほとんどないけど、年齢もあるし一応様子を見ておいてくださいと言われましたが、いつも通りで特に変わった様子はなく、食欲も問題なし。

クリンの場合は、目で見て大きな変化というのはなかったですが、食べムラ・食い渋りが少しずつ改善されたように思います。それと投与前よりも調子がよさそうに感じました。

腰の痛みについては、後肢の力が強くなり、走るスピードも少し早くなったように感じましたので、改善されたように思います。触診でも腰の痛みは改善されているといわれました。

 

 

ステムセルの効果について

ステムセルの効果は個体により違います。そもそもステムセルとは、細胞の元となる赤ちゃんの状態。その細胞の赤ちゃんが、新しい細胞を必要としている臓器を修復する、という感じなんだそうです。

ただ必ずしも効果が約束されているわけではないですし、例えば腎臓と心臓が悪い子の場合、両方に効果が出る場合もあれば、どちらかの場合もあるし、ひょっとするとどちらでもないところに効果が出る可能性もあるということでした。

治療費は決して安価ではないため、効果がわからない治療は選択できない、という飼い主さんもおられるそうです。

 

 

【再生医療】ヘルニアの新しい治療、ステムセル(幹細胞)②に続く

 

 

ライター:福井 惠子