【チェックリスト】そのしぐさ、大丈夫? ~10のチェック項目でわかる、犬の老化のサイン~

いつまでも元気でいてほしい大切な愛犬。

愛犬もわたしたちと同じように歳を取ります。残念ながら、人間よりも愛犬の方が歳をとるスピードが早く、小型犬の場合は人間の約4倍のスピードで歳をとるといわれています。

毎日一緒に過ごしていると見過ごしてしまいがちですが、ある時ふと「ついこの間までできていたこと」が「できなくなってしまう」ということがあります。

 

まずは下のチェックリストで、日頃の愛犬の様子をチェックしてみましょう。

 

 

【チェックリスト】愛犬のできることは?

f:id:fukuichrin:20170914050033j:plain

 

▢ ご飯は1分くらいで完食する

▢ 固いガムやおやつなどを喜んで食べる

▢ 飼い主さんがいる間はほとんど起きている

▢ 飼い主さんが動くと、寝ていても必ず起きる

▢ ぼーっとしている時間はほとんどない

▢ 運動した後でも足がもつれたりすることはほとんどない

▢ お散歩は10分以上止まることなく歩く(走る)

▢ ソファーやテーブルの上に平気で飛び乗る(飛び下りる)

▢ 足を崩さずにお座りの姿勢がとれる

▢ 自分の体高くらいの段差でも躊躇することなく歩く

 


 

実はこれ、1~10歳頃までは、病気やケガなどがなければ、どの項目も問題なくチェックできる質問なんです。この10項目の中で1つでもチェックがつかない場合は、少しずつ老化が始まっているかも、ということなんです。

老化は一気に進むものではありません。日々少しずつ少しずつ衰えていきます。それまで当たり前にできていたことができなくなった時、飼い主さんは愛犬の老化を実感することが多いのではないかと思います。わたし自身はまさにそうでした。

では、各項目について解説させていただきます。

 

 

チェックリストを確認してみよう

 

▢ ご飯は1分くらいで完食する

犬はほとんど丸飲みでご飯を食べます。なのでご飯を食べるのにさほど時間はかからないのです。噛まずに飲み込めるというのは若い証拠で、年齢を重ねるにつれ、少しずつ飲み込む力が弱まります。一気に飲み込めなくなるため、食べるのに時間がかかってしまうのです。

 

▢ 固いガムなどを喜んで食べる

犬には虫歯はないそうですが、歯周病にはなります。固いガムを食べることができるのは、顎の力が強いことと、歯がしっかりしているから。噛む力は年々弱まってきますので、顎に力がなくなったり、歯に不具合が生じると、ガムを噛む時間が長くなったり、食べられなくなったりします。

 

▢ 飼い主さんがいる間はほとんど起きている

犬は飼い主さんが大好きです。大好きな飼い主さんと一緒の時間は至福の時。飼い主さんの一挙手一投足が気になり、飼い主さんの行くところを目で追ったり、後追いしたり。でも歳をとると、少しずつ睡眠時間が長くなってきます。飼い主さんがいるにもかかわらず、寝ている時間が長い場合は、それだけ睡眠時間が長くなった=老化が始まったといえます。

 

▢ 飼い主さんが動くと、寝ていても必ず起きる

犬は浅く眠ることが多く、ほとんど熟睡しないといわれています。飼い主さんが動くと気配を感じ、パッと顔を上げて飼い主さんを見たりしますが、これも若い証拠です。年齢と共に、眠りが深くなるのか、ぐっすりと寝ていることが多くなり、飼い主が動いても眠ったまま起きなくなることが多くなります。

 

▢ ぼーっとしている時間はほとんどない

飼い主さんと一緒に過ごしている時は、犬は飼い主さんのことで頭がいっぱいです。飼い主さんのことをまるで見張ってるかのようにじっと見つめていたり、飼い主さんにおもちゃで遊んでほしいとねだったり、落ち着きなく動いたりしていることが多いですが、耳が衰えてきて聞こえにくくなったりすると、今まで反応していたことに反応しなくなったり、ぼーっと宙を見つめたりする行動が出てきます。

 

▢ 運動した後でも足がもつれたりすることはほとんどない

犬は運動能力がとても高い動物です。ドッグランにいって散々運動した後も、平気な顔でお散歩に行くことができます。ところが足腰が弱くなってくると、足(特に後足)がもつれたり、しりもちをついたりすることも。後足がもつれたりするのはヘルニアの可能性もありますので、注意深く観察してあげた方がいいでしょう。

 

▢ お散歩は10分以上止まることなく歩く(走る)

犬は散歩が大好き。排泄や他の犬の匂いを嗅いだりする時間以外はほとんど動いています。ところがシニアになると、散歩の途中で急に立ち止まったり、歩くスピードが遅くなったりすることが出てきます。続けて長い時間歩くことができなくなったのは、足腰が衰えてきたサインといえます。

 

▢ ソファーやテーブルの上に跳び乗る

ソファーが大好きな犬は多いと思います。少し背が高くてふかふかのソファーは、家族みんなを見渡せるし寝心地はいいし、最高の場所ですよね。またいたずら好きな犬はテーブルの上に飛び乗ったりすることもあります。しかし足腰が弱ってくると、それまで平気で飛び乗ったり下りたりという行動がしづらくなってきます。最初は1回で飛び乗れていたのに、乗るまでに数回かかるようになったり、飛び降りた時に踏ん張る力が弱まり、前につんのめるようになったりします。

 

▢ 足を崩さずにお座りの姿勢がとれる

たまに横座りのくせがある犬もいますが、背筋をまっすぐにした体勢でお座りができるのは、背筋がしっかりしている証拠。足を崩してしまうのは、筋力の低下も原因のひとつ。今まで背筋をまっすぐにしてお座りできていた子が横座りするようになったら、筋力の低下が疑われます。

 

▢ 自分の体高くらいの段差でも躊躇することなく歩く

若い時は平気でひょいと飛べていた段差でも、歳と共に飛び越えるのが一苦労になり、自分の体高の半分くらいの段差でも躊躇するようになります。犬は後肢から衰えが始まります。段差を飛び越えるために後肢を踏ん張る体勢を取りますが、年齢と共に踏ん張れなくなり、足が上がらなくなってすり足のような歩き方になっていきます。更に老化が進むと、前足も上がりづらくなってきます。

 

 

少しでも長く身体機能を保つために

f:id:fukuichrin:20170914044107j:plain

 

この10項目は一般的に言われていることでもありますが、すべて自分自身が経験したことでもあります。

うちの愛犬は、13歳で散歩の途中急に立ち止まるようになり、14歳で持病持ちになり、15歳でソファーに飛び乗れなくなり、16歳で足がもつれるようになり、17歳でしりもちをつくようになりました。

18歳になり、視力も衰えてきたようで、壁などに激突してしまうことがあります。

以前は、寝ていてもわたしが動くとすぐに起き上がっていたので、「この子はわたしといると安心できないのだろうか」なんて思ったこともありましたが、今は先にわたしが起きても、熟睡していて起きる気配もありません。

 

犬は人の4倍ほど早く歳をとるため、わたしたちの時間の感覚よりもずっと早く犬の時間は過ぎています。老化を止めることはできませんが、少し気をつけて見てあげることで、身体機能を長く保つこともできます。

 

足腰が衰えてきたら、段差などに気をつける、フローリングなど滑りやすい床は滑りにくいようカーペットを敷く、ソファーは階段やスロープをつける。

我が家の場合は、若い頃よりもマメにお散歩に行くようになりました。多い時だと1日4回ほど、10~20分くらいですが、筋肉維持のためにも毎日続けています。雨が降った日はバランスディスクに乗せて、インナーマッスルを鍛えるようにしています。

足がふらついても自分の足で歩いてもらい、極力抱っこはしません。それと筋肉が固くならないようにマッサージをするようにしています。頭~首~背中にかけてと太もものあたりを上から下へ血やリンパを流すような感じでやっています。

 

ご飯が食べにくいようであれば、ご飯を食べやすくするため台の上に載せたり、小粒サイズにしてあげたり、お湯でふやかして柔らかくしてから与えてあげると食べやすくなります。また歯に不具合がないか、お口の中をチェックして、もし歯石などがついていたら、歯磨きをしたり、獣医さんに相談するのもひとつです。

我が家の場合は、ニッパーでフードをカットしたり、フードボウルを10㎝ほどの台の上に載せて食べさせています。手作りのトッピングをする場合は、自分で噛んで食べられるくらいの大きさにカットしています。

 

身体機能を長く保つには、日頃のケアが一番効果的だと思っています。

ケアといっても、自分でもできる簡単なことでいいんですよね。ちなみにマッサージはテレビを見ながらしています。テレビに夢中になると、たまに「ワン!」と怒られますがあまり気にしてません笑

 

大切な愛犬には、少しでも長く、元気で健康に過ごしてほしいもの。老化のサインに気付いたら、それは生活習慣を見直してあげるタイミングなのかもしれません。

 

犬の様子は日々変わります。愛犬の老化はあっという間にやってきて、昨日まで当たり前にしていたことが、今日はできなくなっているということもあります。

 

犬は誇り高いため、できないと思った瞬間に諦めてしまい、そのままどんどんできなくなっていくということも考えられます。

 

愛犬の変化に気付いてあげられるのは飼い主さんだけです。できるだけ長く身体機能を保てるよう、共に頑張りましょう。

シニア犬(老犬)の食べムラ ~食べムラで悩んでいる飼い主さんへ伝えたいこと

我が家の愛犬クリンの食べムラは、15歳の時から始まりました。

食べムラを経験し、いろんなことを知りました。食べることは決して当たり前のことではないこと、フードと薬は分けた方がいいこと、実は食べムラや食い渋りは一番精神的に堪える、ということなどです。

同じ悩みを持つ飼い主さんはたくさんいらっしゃると思います。今回は、今でも食べムラで悩んでいる飼い主のひとりとして自分なりの考えを書いていきます。


 

 

シニア犬の「食欲不振」は特別ではない

 

クリンの食べムラが始まって一番最初に思ったことは、「このままどんどん弱って衰弱していくのではないか」ということでした。若い頃は、お腹の調子が悪くなると1~2日食事抜きで様子を見るということもありましたが、この頃は普通に食欲があったので、さほど気になることはありませんでした。

 

ところがあることがきっかけで、ご飯の時間になっても何も食べないということが続き、「食べること」への欲求がみるみるなくなっていきました。今まで喜んで食べていたものですら、口にしなくなってしまいました。

「シニア犬 食べムラ」で検索して調べると、「食べないのは末期症状…」「最期は食べなくなって…」など、かなりネガティブな表現のものが多く、読めば読むほどどんどん余計に不安になりました。愛犬仲間の方も、同じようなことを言われる方が多かったです。

 

わたしたち人間でも、年齢と共に脂っぽいものを敬遠したり、食べる量が減ったりします。少し食べ過ぎてしまうとすぐに胃もたれすることもあります。歳を重ねるごとにどんどん代謝は落ち、消化機能も落ちてきます。それは犬の場合も同じことなんですよね。

 

歳を取ると、体調も常に万全ではありません。寝不足だったり、前日に胃の調子が悪いと、それだけで食べなくなることもあります。ですから、愛犬がシニアになって食欲が落ちることは、とても自然なことなのだとは思いますが、それでもやっぱりとても心配になります。

 

 

食べムラの原因を考えてみる

 

食べムラの原因として、元々食べることに執着がなかったり、単なるわがままであったりもしますが、何かしら「食べなくなった」きっかけがあったという場合もあります。これら複数のことが原因で食べない、ということもあると思います。

愛犬が食べないことは、飼い主にとってとても深刻です。食べないと体力の低下や体が冷えて代謝が低下することもありますので、少しでもいいから何か食べてほしいと願ってしまいます。

振り返ると、うちの場合は食欲不振の時には必ず原因がありました。

 

 

食べない時に考えられること

 

1.なんとなく食べたくない

2.胃腸の調子が芳しくない

3.食べにくいから食べない

4.体のどこかに痛みがある

5.食べることへの不信感

 

1.なんとなく食べたくない

 

前日に、あまり運動することなくたくさん食べた時などは、翌日なかなかご飯を食べないことがあります。シニアになると長時間寝ていることが多くなりますので、動く時間が少なくなり、胃腸の動きも悪くなっていることがあるのです。

また、鼻が利かなくなっていることも考えられます。犬にとって匂いはとても大切な情報。料理をしていると、いい匂いに誘われ居ても立っても居られず、キッチンでお座りして待ったりしますが、シニアになると そういうこともなくなってきました。

そしてもうひとつ。これはシニア犬あるあるですが、単なるわがままということも考えられます。人間同様、歳をとると犬もわがままになります。食べムラが続いている時など、手を変え品を変えいろんなものを与えてしまうと、「待っていたらもっといいものが出てくるかも」とドッグフードなどを食べなくなってしまうこともあります。

こんな時は、匂いの強いトッピングが有効です。多少の添加物もよしとして、かなり匂いが強い缶詰をトッピングしたり、ふりかけをレンジで温めて匂いを強くしたりすると食べてくれることもあります。

わがままかも、と思う場合は、少し様子を見るのもひとつです。病気や体調不良がない場合はドッグフードを下げてしまうのもひとつ。ただし、ハイシニアの場合は、好きなものをおいしく食べてもらうというのもありだと思っています。

 

 

2.胃腸の調子が芳しくない

 

歳と共に代謝が落ち、内臓の働きも悪くなります。消化の悪いものを食べたり、なんとなく胃が気持ち悪かったりすると、食欲が減退する原因になります。うちの場合は、夜中にご飯を食べたがることが多く、ご飯を欲しがるのが嬉しくてついつい食べさせてしまいます。すると翌日はなかなかご飯を食べなかったりします。

胃腸の調子が悪い時は便の状態がいつもと違ったり、腸がキュルキュル鳴ったりします。そんな時は食欲が出るまでそっとしておきます。そんな時、牛乳はとても役立ちます。牛乳は犬に与えてはダメという意見もありますが、お腹を壊さなければ問題ないですし、実際牛乳だけで数ヶ月生きた犬もいると獣医さんに聞きました。牛乳は栄養もあるし液体で飲みやすいので、なんとなく食欲がない、という時にはとても助かります。

お腹の音が数日治まらなくて食欲がない場合は、胃腸炎・膵炎など、病気の可能性があります。数日続く場合は病院に行くことをおすすめします。こじらせてしまうと長引いてしまうこともあります。シニア犬の場合、こじらせると本当にやっかいですし、命に係わるような大事になる可能性もありますから、様子がおかしいと思ったら診察を受けることを強くおすすめします。

 

 

3.食べにくいから食べない

 

今まではパクパク食べていたフードも、歯の状態が悪くなったり、顎の力が弱まったりすることで、食べにくくなっていることも考えられます。

うちの場合、咥えたおやつをポロっと落としたり、それまで大好きだったキャベツの芯などを食べなくなったことで、顎の力がなくなったとわかりました。それ以来、食べやすい形状に小さくカットしたり、フードを砕いてやることで食べるようになりました。犬って案外繊細で、食べられないと食べなくなってしまうことがありますので、もし思い当たることがあれば、試してみてくださいね。

 

 

4.体のどこかに痛みがある

 

体のどこかに痛みがある場合は、明らかにいつもと違う行動をとります。うちのクリンは、15歳の時に膵炎の疑いで入院しました。入院する2日前、食欲が落ちたため血液検査を受けたところ、CRPが上がっていて抗生剤を投与しました。ところがその翌日から全く食べなくなり、お祈りのポーズといわれる、お座りの姿勢で頭を床につけてじっと動かなくなり、その場で失禁していました。朝になりすぐに病院に駆け込んだところ、すぐに入院になってしまいました。

また、クリンには子宮の痛みがあったようです。セカンドオピニオンを受けた病院で、子宮の痛みがあることを指摘されました。(触診で発覚しました)

手術後摘出した子宮を見せてもらいましたが、片方が通常の2倍くらいに腫れあがっていました。ずっと気持ち悪いような痛いような状態だったから、食欲も出なかったんだと思うと言われたときは、気づいてあげられなかったことを悔みました。

 

体のどこかに痛みがある時は、何らかのサインがあります。

寝てばかりいる・失禁・軟便・腸から音がする・吐く・うずくまるなど、いつもと違う様子なら、すぐに獣医さんに相談することをおすすめします。特にシニアの場合は、たった1日処置が遅れただけで重篤な状態になることもあります。

 

 

5.食べることへの不信感

 

とても耳が痛い話です。冒頭の「あること」=クリンの食べムラのきっかけは、薬を飲ませるためにフードに混ぜてしまったことでした。それまでは、どんな薬でもご飯の上に乗せて飲ませていました。

ご飯を食べない、ということがなかったので、この方法は有効でしたが、食べムラが始まり、ご飯を食べない時に、とにかく薬を飲ませることに必死になり、食べ物に隠して無理に食べさせようとしたんです。

結局隠していたことがばれてしまい、ただの食べムラが、食べること自体を嫌がるようになってしまいました。これは飼い主として最大の失敗であり、今でもクリンに申し訳ない気持ちでいっぱいです。

 
“シニア犬(老犬)の食べムラ ~食べムラで悩んでいる飼い主さんへ伝えたいこと” の続きを読む

【ヘルニア予防】専門家に聞く!愛犬のヘルニア予防のために飼い主がすぐに実践できること(2)

前回の記事では、ドッグケアのプロから、愛犬の足腰を守るためのお話を伺いました。今回の記事では、椎間板ヘルニアになってしまう原因と、愛犬の足腰に負担のない「抱き方」を紹介させていただきます。

 

 

どうして犬は椎間板ヘルニアになってしまうの?

 

獣医師の山路美晴先生にお話を伺いました。

山路 美晴 獣医師

滋賀ペット治療院代表。ペットの足腰ケアやヘルニアなど、鍼灸を主とした治療を行っている。飼い主が愛犬の体に毎日触れることはとても大切とのことで「自宅ケア」を推奨しており、全国各地で飼い主向けの鍼灸セミナーを開催している。

ペット鍼灸セラピー 滋賀ペット治療院

 


わたしの治療院は、ペットの足腰の不具合に悩む飼い主さんから相談を受けることがとても多いです。特に椎間板ヘルニアは、痛みを伴うことの多い疾患で、飼い主さんの悩みも深刻です。

椎間板ヘルニア(以下ヘルニア)は、軟骨の変性により椎間板が椎骨の間から飛び出すことによって脊髄の神経を圧迫し、痛みや麻痺を起こす疾患です。遺伝的に軟骨が変性しやすい犬種(ダックス、ペキニーズ、コーギー、フレンチブルドッグなど)がかかりやすい疾患です。この犬種は、比較的若い時期から発症することもあります。それ以外の犬種でも、加齢により椎間板の弾力性が失われ、発症しやすくなります。また、胴長短足という体型的な要素、肥満により筋肉が弱るなどの要素が加わると、さらに発症のリスクは高まります。

ヘルニアを発症しやすい犬種については、散歩や運動で筋肉をつける、肥満にしない、また体をねじるような抱き方をしないなど、日々の生活習慣を見直すことでもヘルニアのリスクを減らすことができます。犬は散歩が大好きで、運動することは楽しみのひとつです。歳をとっても愛犬が自分の足で歩けることは、長生きの秘訣だと思っています。


 

わたしたちが何気なくやっている普段の行動が、愛犬の足腰に負担をかけていることもあるのかもしれません。

 

 

ドッグケアのプロに聞く!愛犬の足腰を守るコツ

 

引き続き今井先生にお話を伺いました。

老犬訪問介護・犬のリンパマッサージ・リハビリケア やさしい手*リアゾン

老犬介護・犬のリハビリ・しつけ(犬のようちえん)レッツ(東京都江戸川区)

 

犬の姿勢は、足腰を守るためにはもちろんですが、犬の精神を安定させるためにもとても重要です。姿勢を正しくしてあげると、それだけで内面の変化があります。人間でも猫背でいる状態と、背筋をピンとして視線をまっすぐにしている時では、思考も気分も違います。

シニア期になると、足元がおぼつかないことも出てきます。「歩かせるのはかわいそう」といわれる飼い主さんもいらっしゃいますが、シニアになっても、できるだけ本来の姿勢をキープしてあげることはとても大切です。歩行ができなくなってしまった子も、補助しながら立たせてあげるだけで効果的です。たとえ短時間でも、自分の足で立たせて、歩かせてあげてください。

犬は歩くという行為をしなくなると、体を動かすこと自体が減っていきます。それが自信喪失につながることも。自信をなくしてしまうと、元気がなくなり、食欲は減退し、どんどん衰弱することもあります。それほど姿勢は大切であり、正しい姿勢をとるだけで、かなり違ってきます。病気などでたとえ歩けなくなったとしても、毎日立たせてあげたり、装具などを使って歩かせてあげることは、愛犬にとってはとても嬉しいことなのです。

 

 

ドッグケアのプロが勧める「愛犬の足腰を守る」抱き上げ方

 

引き続き今井先生に伺いました。

 

日々の生活の中で、抱き上げる動作があると思います。この「抱く」という行為自体、犬の体に負担のかかる体勢になりやすいので、特に注意が必要です。よく愛犬を抱っこされている飼い主さんを見かけますが、抱っこするということ自体、実はあまりおすすめできません。大事な愛犬の足腰を守るためにも、日々の生活の中では極力抱っこするのは控えるようにし、自分の足で立たせてあげてください。

 

 

抱き上げる時のポイント

愛犬を抱き上げる時・降ろす時には、四肢が地面に対して垂直になる体勢になるようにすると、愛犬の足腰に負担がかかりにくいです。今回は病院の診察時や車に乗せる時などの、愛犬抱き上げ方を紹介させていただきます。

 

①愛犬を地面に立たせて、前肢と後肢の付け根にそれぞれ右腕と左腕をいれます。手の平でなく、腕の面で支えるように手を入れます。

 

②腕の面に愛犬の体を載せながら立ち上がります。この時、内臓を圧迫しないように気をつけます。抱き上げた時の愛犬の体勢は、地面に立っている時とほとんど変わらない状態になります。抱き上げている時は、愛犬の体重は上半身にかける感じに載せてください。胸の部分には肋骨がありますので、内臓に負担がかかりません。

 

③降ろす時は、愛犬が地面にそのまま立てるようにそっと降ろしてください。この時も、お腹を圧迫しないよう気をつけてください。

このように、愛犬が自分の足で立っている時とほとんど同じ体勢で抱き上げると、愛犬の足腰への負担が少なくてすみます。

 

<ご注意ください>

・お腹の部分は、手のひら全体を使って面で支えるようにしてください。特に骨のない部分は力を入れないようにしましょう。

 

 

 

抱っこしたまま手を使いたい場合の抱き方

 

これからご紹介するのは、動物病院で教えてもらった抱き方です。ヘルニアを発症した子を抱きかかえる場合に、この抱き方を推奨しているとのことでした。

この抱き方は、背骨や後肢への負担がなく、犬が地面に立っているような体勢で抱くことができます。腕の上にうまく乗って安定している場合は、もう片方の手を使うこともできます。

 

小型犬の片手での抱き方

この抱き方は、獣医さんからヘルニアを発症した子を抱っこする方法として教えてもらいました。特に胴長の犬種(ダックスフンド等)は腰を痛めやすいため、ヘルニア予防のためにもこの抱き方にされることをおすすめします。

愛犬の後肢から腕を通し、胴体を腕の上に愛犬の胴体を載せます。手のひらで胸の部分を支え、もう片方の手は愛犬の体にそっと沿わせます。腕で体を支えるため、抱き上げた時に愛犬の体は安定しています。

 

※片手で抱く場合は、愛犬が落ちないようご注意ください。極力もう片方の手を愛犬に添えるようにしてください。

 

 

愛犬の足腰を守るために飼い主ができることまとめ

 

極力愛犬には自分の足で歩かせてあげること。これが一番重要です。

 

 

脇の下をすくい上げるような抱き方は、愛犬の体に負担がかかりますので、できるだけ控えましょう。

 

 

抱っこは極力控え、抱っこする場合は腰に負担のない体勢で抱っこするようにしましょう。

 

ほんの少し習慣を変えるだけで、大切な愛犬の機能を守ることができます。愛犬にはいつまでも元気で歩いてほしい!というのは飼い主共通の願いです。少しでも長く身体機能を保つためにも、今日からできることを共に実践しましょう!

 

 

 

 

【ヘルニア予防】専門家に聞く!愛犬のヘルニア予防のために飼い主がすぐに実践できること(1)

愛犬が若くて元気な頃は、まったく考えなかった「歳をとる」ということ。

歳をとると、いろんなところにいろんな不具合が出始めます。どれだけ気をつけていても、どこかしらに何か出てくるのが「老化」です。

中でも足腰に不具合が出ると、飼い主の負担はとても大きくなります。自分の足で歩けなくなった愛犬を見るのはとても辛いもの。

病気で歩けなくなってしまったのは仕方ないですが、予防できることもあります。

我が家の愛犬も、寝起きなど後足のふらつきがみられることがあります。楽しそうに走る姿を見ていると、少しでも機能を長く保ってあげたいと思います。

シニアになっても、自分の足で歩き、大好きなお散歩を続けられるよう、愛犬の足腰を守るためにできることを紹介させていただきます。

 

 

手術ってそんなにかかるの!?

 

足腰の不具合と聞いてまず思い浮かべるのが、椎間板ヘルニア(以下ヘルニアと表記)です。ダックスやコーギーは、胴長短足の体型により腰に負担がかかりやすいため、発症する率が高いそうです。

ヘルニアになる原因は、老化や太りすぎ、激しい運動で椎間板に負荷がかかってしまうことなどが挙げられます。

犬は運動が大好きな動物です。足腰が悪くなってしまうと、大好きなお散歩に行けなくなりますし、何より痛みが伴う傷病のため、辛そうにする愛犬をみるのは飼い主としてとても悲しいことです。

そして、医療費もかかってしまいます。大手ペット保険会社が、2016年に支払った事案を集計したペットの手術ランキングを発表されていたので紹介させていただきます。

出典:2017年ペットの傷病ランキング | ペット保険のアイペット損保

 

特筆すべきは金額です。ヘルニアは手術数では7位ですがトップ10中金額は1位です。手術費用が高額になるのは、医療機器の発達や技術の進歩などによるそうですが、もし手術で治るのなら何とかしてあげたいと思いますよね。

いくらヘルニアを予防したいと思っても、愛犬のすべての動きを飼い主さんがコントロールすることは不可能です。高いところから飛び降りたり階段を行き来したり、飼い主さんがどれだけ気をつけていても、どうすることもできないこともあります。

できれば最期の時まで自分の足で歩いてほしいというのは、どの飼い主さんも思うことだと思います。重度のヘルニアになってしまうと、歩くことができなくなってしまうことも。そして医療費も結構な額になります。ここでは手術費用だけをピックアップしていますが、実際は手術前後の診察など、もっと医療費がかかってしまいます。

大切な我が子をヘルニアから守るために、「ヘルニアの注意信号」と、飼い主さんがすぐに実践できる「愛犬のヘルニアを予防」するためにできることを紹介させていただきます。

 

 

こんな症状は要注意

 

症状1.抱っこを嫌がる

抱っこをすると嫌がる素ぶり(歯を剥く、キャンと鳴くなど)があると、ヘルニアの可能性が高いです。突然抱っこを嫌がったりすることがあれば、可能性大です。

症状2.歩き方がおかしい・足がもつれる

後足を引きずったり、足がもつれたり、腰がフラフラ揺らして歩いたりしている場合もヘルニアの可能性があります。痛みがあると、どうしてもかばってしまうため、動きが鈍くなったりすることも。

症状3.反応が遅い・すぐに立ち上がれない

強い痛みが出ていると、動くこと自体を躊躇するようになることも。その場合、腰回りを触られることや、少し体を動かそうとすることも嫌がります。

症状4.排泄がうまくできない

この場合、神経障害が出ている恐れもあります。下半身の感覚が麻痺していることもあるそうです。この症状が一番重症で、完治は難しい状態かもしれません。

ヘルニアは、痛みを伴う傷病です。言葉を離さない愛犬は痛いといえないため、普段の仕草や行動を見てあげることが大切になります。

 

 

その習慣、見直してみよう

 

日々の習慣で、愛犬の足腰に負担をかけていないか、確認することも大切です。飼い主さんが少し気をつけてあげることで、大切な愛犬の体を守ることができます。飼い主さんの日々の習慣をぜひチェックしてみてください。

☑抱き上げる時、脇の部分を持ち上げる

☑抱っこは縦抱きだ

☑出かける時はスリングを愛用している

☑縦型の抱っこ紐(おんぶ紐)を使っている

 


 

実は、これらすべて愛犬の腰に負担がかかるといわれています。

 

抱き上げる時に脇の部分を持ち上げる。これは抱き上げる時に、後足で立たせる体勢になります。これを続けることで、腰に大きな負担がかかってしまいます。

 

抱っこは縦抱き、これも腰に負担をかけてしまいます。腰が悪い愛犬を縦抱きされている方もよく見かけます。肩に上半身を載せる抱き方も、腰に負担がかかることと、犬に自分がえらいと勘違いさせるという理由でやめた方がいいといわれています。

 

出かける時はスリングを愛用している飼い主さんは多いと思います。うちでも買い物に行く時には便利でつい使いたくなりますが、スリングは体を包み込む形状で柔らかい布を使っているため、犬が上から顔を出すと、全体重が後足にかかる体勢になってしまいます。またその体勢のまま不安定になるため、余計に負担が大きくなります。

 

縦型のおんぶ紐、ビジュアル的には赤ちゃんみたいでとても可愛らしいですが、犬にとっては非常に負担のかかる体勢となるため、絶対にやめた方がいいです。

 

 

ドッグケアマネージャーから聞いた「犬の体を守るために大切なこと」

 

ドッグマッサージ・ペットケアマネージャーの講師であり、長年ドッグケアに携わっておられる今井先生に話を伺いました。

 

今井 みゆり先生

 

老犬訪問介護・ドッグマッサージ リアノン代表

2008年よりドッグマッサージセミナーを始め、2010年より4年間、ペットケアサービスレッツにてペットケアマネージャー養成講座の講師及びマッサージケアに従事。2012年、中部地方初のペットケアマネージャー認定を受ける。現在静岡・中部地方にて老犬訪問介護、病中病後ケア、リハビリ支援、ドッグマッサージなど、ペットケアマネージャーとして活動。

老犬訪問介護・犬のリンパマッサージ・リハビリケア やさしい手*リアゾン

老犬介護・犬のリハビリ・しつけ レッツ


 

わたしが一番初めにドッグマッサージを教えていただいた先生から、「犬の姿勢」「地に足をつける」ことの大切さを学びました。

犬は4本足です。その姿勢が一番自然で、体に負担のかからない体勢であるため、「犬にとって自然な姿勢をキープすること。それが愛犬の健康は勿論、気質にも大きな影響を与えている」と。

ですので、自然な体勢を保てる形で抱くことは、犬の足腰を守るためにとても大切です。飼い主さんからたまに聞かれることがありますが、スリングは体にかなり負担がかかるため、やめたほうがいいです。そして愛犬が歩ける場合は、極力抱っこせず、地に足をつけさせるのが一番効果的です。


 

今井先生に、愛犬の足腰に負担のかからない抱き方をご教授いただきました。こちらは ❝専門家に聞く!愛犬のヘルニア予防のために飼い主がすぐに実践できること(2)❞ にてご紹介させていただきます。

【ドッグフード】元ペットショップ店員のドッグフードの選び方

記事提供:たのしくいきたい子

ブログ:たのしくいきたい子の頭の中

Twitter:たのしくいきたい子、くだらない子eri

 


私は動物が好きで、ペット関係の専門学校を出てから、ペットショップで数年働いていました。その際、ペットの用品やフードの担当をだったので、色んなペットフードのメーカーさんと話す機会がありました。

今日はその時の知識を記事にしたいと思います

 

 

ペットフードは守られている

 

ペットフードはかつては法律の規制のかからない無法地帯でしたが、今では「愛がん動物用飼料の安全性の確保に関する法律」と「JAS規格」によって守られています。法律の中身に賛否両論あるものの、昔と較べればずっとよくなっています。

 

ペットフード安全法

2007年3月米国で、有害物質メラミンが混入した中国産ドッグフードにより、数千頭の犬、猫が死亡したことから、2008年の6月に『ペットフード安全法』(正しくは、愛がん動物用飼料の安全性の確保に関する法律)が施行されました。

 

愛がん動物用飼料の安全確保を図るため、平成21年6月1日から、農林水産省と環境省の共管で「愛がん動物用飼料の安全性の確保に関する法律」(ペットフード安全法)が施行されました。

出典:農林水産省

当初は微量成分に関して表示義務が無い、罰則規定が無いなどの欠点を指摘され、ザル法との悪評を受けた本法も、その後の改正で、より現実的にペットを守る方向に変化を遂げました。

 

JAS規格

f:id:fukuichrin:20170923191200j:plain

正式には日本農林規格といい、農・林・水・畜産物およびその加工品の品質保証の規格です。英語名称の(Japanese Agricultural Standard)を略して、JAS規格と称されます。

JAS規格について
JAS規格制度は、JAS規格を満たしていることを確認(格付といいます。)した製品にJASマークを付けることができる制度です。
JASマークが付けられている製品は、一定の品質や特色をもっていますので、消費者が買い物で商品を選んだり、事業者間で取引する際に、JASマークが付いていることを目印にすれば便利です。

出典:JAS規格について:農林水産省

 

 

ペットフードの原材料

f:id:fukuichrin:20170923191326j:plain

写真(著者撮影):ペットフード SOLVIDA

 

今回のお話は、原材料の話です。

みなさんは食料品を購入されるとき原材料の部分を見る事ってありますか?きっと見ても、何が何だか分からないと思われる方が多いと思います。

JAS法によれば、原材料は多い量の食品順から書くというルールがあります。上記は私が愛犬に与えている、ペットフード SOLVIDAの原材料です。これを使ってご説明させて頂きます。

原材料の一番初めに、オーガニックチキン生肉と書いてありますね。
つまりこの商品はオーガニックチキンが原材料の中で一番多いということになります。

犬、猫は主食が肉で穀物を消化するのが苦手といいます。なので良質な動物性タンパク質が原材料の一番前にきている商品がおすすめです。(ダイエット食やシニア食は除く)

よく「鶏」と書かれているから大丈夫と、安心される方もいますがよく見ると「鶏副産物(チキンミール)」と書いていませんか?これは鶏の内臓や骨などを粉砕した物で鶏の肉とは違います

 

 

安いペットフードと高いペットフード

 

ペットフードはものによって、大きく価格が異なります。

 

安いペットフード

穀物や鶏副産物など原価の安い物を使っているため値段は低くなります。犬や猫の食いつきをよくするためフードの周りに油をたっぷりぬっている商品もあります。

 

高いペットフード

オーガニックや無添加にこだわったりするので、どうしても値段が上がってしまいます。私がペットショップの現場で働いていたときによく安いフードを購入されるお客様に高いフードのサンプルを渡していたのですが、後日、高いフードに変える方が多い傾向にありました。

また犬も味の違いに気づくようで、高いペットフードの方が、食いつきがいいと言われたことが何度もありました。

 

 

フードは早めに消費しよう

f:id:fukuichrin:20170923192551j:plain

 

以前、友達から「犬がご飯を食べない」という相談をされたことがあります

話を聞くとどうやらその友達の飼っている犬は小型犬ですが、フードは10㎏ぐらいの商品を購入していたようです

ペットフードは脂分も多く袋を空けると酸化が始まってしまいます。小型犬の場合だと、1ヶ月に食べるフード量は多くても2㎏まで。10㎏のフードを消費するのに5ヶ月かかってしまいます。

酸化したペットフードは匂いがきつくなったりすることがありペットが食べなくなることがあります。ペットフードはなるべく密封容器などに入れ湿気の少ない涼しい場所に保管して3週間から1ヶ月以内に使い切りましょう。

 

 

正規品と並行輸入品って??

 

ペットショップに行くと、ペットフードに書かれている「正規品」と「並行輸入品」の表示が気になったことありませんか?

○正規品
海外のペットフードメーカーに販売許可をもらい日本で販売するためのパッケージや輸出、輸入などを海外のメーカーと日本の代理店がきちんと管理しているため値段が高めになる

○並行輸入品
海外のペットフードメーカーに許可無く輸出、輸入し、間にいくつかの問屋などが入る並行輸入品は品質管理などはどのようにされて日本に入ってきたのか分からず何かあってもペットフードメーカーは保証してくれない

〇値段は正規品より安い
並行輸入品は安いけど管理がどうされているか分からないため正規品の方が安全のような気がします

 

 

私のペットフード選びに対する考え方

 

ここまでは高いフードが良くて、安いフードは悪いという書き方になっていますが、そうとばかりは言えません。

ペットショップの現場では、安いフードしか与えてなくても長生きしているという飼い主さんと、何人も出会ってきました。なので、一概に安いフード=短命とも言えないようです。

しかし私は自分のペットに少しでも長生きしてほしい為なるべく安心で安全な物を与えたいという思いがあります。

そのため私はペットショップに行くとフード選びに30分以上かかることがあります。最近はグルテンフリーなどのフードが発売されたりでペットフード業界も次から次と新しいフードを発売しています。

食べるということは身体を作るということ。
自分たちが健康の為に身体にいい食品を取るのと同じように、ペットちゃんにもその時その時の身体の調子に合うご飯を選んでいただければと思います。

 

 

 

【犬の誤飲】誤飲したかも!?その時、飼い主はどうする?

愛犬情報

犬種:ビーグル

病名・症状:誤飲

発症年齢:8歳

発症の経緯:サランラップを誤飲(疑惑)

治療法:自宅で対処

 

少し気をつけるだけで防げる「愛犬の誤飲」

 

昨年、我が家で誤飲騒動がありました。我が家の末っ子、ビーグル犬みのすけです。

ほんの少し目を離したすきに、テーブルの上に置いてあったはずのおにぎりを包んでいたラップがなくなっていて、いろんな人を巻き込んでの大騒動になりました。

ふとした不注意で起こってしまった誤飲騒動と、そこでわたしが実際に感じたことを書いてみようと思います。

 

 

誤飲騒動のあらまし

 

それは、夜中の4時に起こりました。いつも遅い時間に作業することが多く、小腹が空くとお菓子を食べたりするのですが、この日は余ったご飯でおにぎりを作っていたので、それをつまみながら作業をしていました。

テーブルの上に食べ終わったおにぎりのラップを置き、そのまま作業をしているうちにおにぎりを食べたことなど忘れてしまい、飲み物を入れるためキッチンに立ちました。そのままキッチンであれこれしていて、ふとラップのことを思い出しました。

「そういえばさっきのラップ、まだ捨ててなかったから捨てないと」とテーブルに取りにいくと…

ラ、ラップがない…!

ここから、吉本新喜劇ばりのドタバタが始まるのでした。

 

 

自宅でできる応急処置って?

 

実は過去に一度だけ誤飲騒動がありました。

それは我が家の次女ニコが、気に入ったおもちゃを咥えて離さず、捕まえて口から出そうとした時に、無理やり飲み込んでしまったんです。その時はすぐに病院に走り、事なきを得ました。

いつも気をつけているのに、まさか自分がやらかしてしまうとは、と心臓バクバクでした。しかし先ほどのラップをどうしたのかをいくら考えても、ほんの少し前のことなのに思い出せない。ゴミ箱を見ると、たくさんの使用済みのラップが捨ててあり、おにぎりを包んでいたラップを捨てたという確証が持てません。というより、捨てた記憶が全くなかった、といった方が正しいかもしれません。

次に、飲み込むとしたら誰なのかを考えました。そこそこ大きなラップだったので、体の小さなニコは一瞬では飲み込めないはず。そうなると、考えられるのはビーグル犬みのすけしかいません。

みのすけを見ると、まさにその時舌なめずりをしていたんです。ああ、もう絶対みのすけに違いない。わたしはそう確信しました。

 

朝方の4時は救急の時間外。とにかくどうにかしなければ、と思い急いでパソコンで「犬 誤飲」とググってみました。

「オキシドールを飲ませる」

「塩水は体に負担がかかるからNG」

少し前までは塩水を飲ませるのが普通でしたが、今はオキシドールが主流のようでした。

 

吐かせる前提として、誤飲してから約1時間以内が効果がある目安とされ、それ以上時間が経つと、誤飲物が胃を通過してしまうため、もし誤飲していたとしても、吐かせることが出来なくなります。

☆3%溶液のオキシドールを使う

☆犬の体重1kgあたり1~2ml飲ませる

☆異物を吐くまで2~3回程度続ける

オキシドールを犬に飲ませることで、胃酸に反応して胃の中にブクブクと酸素ガスが大量に溜まり、それによって嘔吐が誘発されて胃の内容物を吐き出します。

出典:http://wando.xyz/archives/1039.html

 

 

オキシドールとマキロンって違うの?

 

調べてみて、オキシドールを飲ませ吐かせることはわかりました。ところが、家にはオキシドールがありません。

オキシドールはありませんが、マキロンならある、ということでまたまたググりました。

オキシドールの主成分は2.5~3.5%の「過酸化水素水」。
マキロンは「ベンゼトニウム塩化物」「アラントイン」、「クロルフェニラミンマレイン酸塩」で構成されています。

実はこの2つ、まったくの別物でした。


多くの生物種は過酸化水素分解酵素のカタラーゼを持つため、生体内での過酸化水素の寿命は極めて短い。 つまり、(傷の内面を含む)体内に過酸化水素が侵入すると速やかに酸素に分解される。

引用元: wikipedia 過酸化水素オキシドール

 

オキシドールは体の中にある成分と同じ過酸化水素水でできているため、体にあまり害がないのですが、マキロンは完全に毒だったんです。マキロンもオキシドールも同じ「消毒液」という認識だったのですが、間違っていたら大変なことになるところでした。

 

 

オキシドールを求めて

 

「今すぐオキシドールを手に入れなければ」

わたしの家の周りには、スーパーやドラッグストア、コンビニが乱立しています。自転車で5分圏内に24時間スーパーが2軒、コンビニが10軒以上、ドンキホーテも車で10分のところにあります。

まずは自転車で24時間スーパーへ行きましたが、オキシドールは置いてませんでした。そこからコンビニを3軒回りましたが、残念なが見つからず。

「このままではどんどん時間が経ってしまう…っ」

追い込まれたわたしは、自宅に戻り、頼みの綱のドンキへ行くことに。この時4時40分。ドンキにはあるだろうと何となく自信がありました。が、マキロンみたいなものしかなかったのです。

そして、どこの店でも共通していたことが1つあります。それは「オキシドールはありますか?」と尋ねているのに、「ああ、マキロンですね」と店員さんに言われてしまうことでした。

 

そうなんです、これ、実はわたしも思っていたことでした。オキシドール=消毒液=マキロン。それぞれの違いがよくわからなかったんです。

気が動転して焦っている時には、その違いを確かめずに買ってしまうこともあるかもしれないですよね、ああ怖い怖い。

ドンキを出て時計を見ると、すでに5時を少し過ぎていました。もはや心が折れそうになっていましたが、この近くに友人が住んでいることをふと思い出しました。友人の家にならあるかもしれない、とわたしはすぐにその場から電話。しかし友人の答えはNOでした。

東の空は白々と明けてきていました。誤飲疑惑から約1時間。とりあえず遅くまでやってるかもしれないドラッグストアに行ってみようと、移動を始めた時、先ほどの友人から電話が入りました。

「1軒だけ24時間やってる薬局がある」

その店は、その時わたしのいた場所から15分ほどのところにあります。すぐに針路変更してその店へ向かいました。そして、無事オキシドールを手に入れたのです。友人、グッジョブ!

 

 

誤飲騒動、結末

 

急いで自宅に戻り、買ってきたオキシドールをみのすけに飲ませました。この時すでに6時前。誤飲騒動から、2時間が経過していました。誤飲したものを吐かせるには1時間以内が効果的と書いてありましたが、調べた中には2~3時間という記述もありましたので、ギリギリだなと思いつつ試すことに。オキシドールの飲ませ方については、「スポイトなどで口に入れる」とありましたが、わたしは牛乳に適量をまぜて与えることにしました。まずいものを無理やり口に入れると、今後薬を飲ませたりする際に拒否される恐れがあるからです。(嫌というほど経験済み)

牛乳に混ざったオキシドールを、とても嬉しそうに飲むみのすけ。心の中で(ごめん、ほんまごめん涙)と謝りつつ、無事完飲。ほどなくしてオエオエいいはじめ、胃の中のものを吐き出しました。

 

吐しゃ物を確認すると……、ラップがない。

もしかしてどこかに引っかかっているのかもしれない、ともう一度吐かせることにしました。再度オキシドール牛乳を飲ませたのです。そして、胃の中のものはほぼ吐き出したのですが、ラップはありませんでした。

 

どうやらわたしは、無意識のうちにラップを自分でゴミ箱に捨てていたようです………

日頃、うちの主人には「ラップだけは絶対にすぐにゴミ箱に捨てて!間違って飲み込んだらこわいから!」と口を酸っぱくして言っていました。それなのにこの日は、自分が食べ終わってから、すぐにゴミ箱に捨てなかったことに罪悪感を感じていたため、ラップを(すぐに)捨てていないことだけが鮮明に記憶に残っていたのだと思います。

ああ…ごめんよ、みのすけ。こんなおかあさんを許してちょうだい。

 

 

愛犬が誤飲したかもしれない時のために

 

「犬 誤飲」と検索してみて、自分が一番強く感じたのは、「オキシドール」と「オキシドール以外の消毒液」の違いがわかりにくい、ということでした。わたしだけかもしれませんが、そもそもオキシドールというものについての知識があまりにもなく、ただ「消毒液」だと思っていたからです。冷静な時ならこれほど混乱しないのだと思いますが、焦っている時にはその違いを検索するのがかなり大変だったのです。

 

今回の誤飲騒動で、学んだことをまとめました。

☆もしもの時のためにオキシドールは常備しておく

☆ラップなど軟らかいものの場合は1時間以内だと吐き出す確率が高い

〔※ただし尖ったものや内臓を傷つける可能性のある固いものの場合は獣医師に相談〕

☆誤飲したかもと思ったら、できれば獣医師にすぐに相談する

☆とにかく飲み込みそうなごみはすぐに捨てる!!!(猛省)

 

たった100円で買えるオキシドールで、これほど苦労することになるとは思ってもみませんでした。オキシドールは、どこにでも売っているというイメージでしたが、2009年施行の改正薬事法で「第三類医薬品」に分類されたため、薬剤師又は登録販売者が常駐する店舗のみでしか販売できなくなったそうです。コンビニやスーパーなどでは取扱できなくなっていたんですね。
昼間の誤飲ならすぐに動物病院に連絡するなどの対処ができますが、夜中だと病院は終わっているし、薬局やドラッグストアはほとんどやっていません。

場合によっては、手術になることもある誤飲。うちは、大事に至らず本当に良かったのですが、同じような経験をされた方はきっと多いだろうと思います。

猛省と共に、備えあれば憂いなしということで、オキシドールを用意しておくことをオススメします。

【愛犬の健康】体の質は食べ物でかわる

愛犬の散歩に行った公園で、太った柴犬を連れた高齢の男性と話す機会がありました。

その男性は愛犬をとても可愛がっているようで、まるまると太った愛犬を優しいまなざしで見つめながら、男性は言いました。

「この子はちくわが大好きで、毎日ちくわを食べさせてるんや」

その柴犬は腎臓が悪く、病院にかかっているそうです。男性は愛犬が喜ぶからと、今でも毎日ちくわを食べさせているとのことでした。

柴犬も男性もとても幸せそうで、わたしは「腎臓に悪いから、ちくわをやめた方がいいですよ」とは言えませんでした。

 

 

体の質を作るのは「食べ物」

 

すべての生物は、細胞でできています。

人間は約60兆個の細胞でできているといわれています。この60兆個の細胞が、命が絶えるまで生まれ変わりを続けます。これが「新陳代謝」です。

細胞が若いと生まれ変わりのスピードが早く、細胞が古くなるとスピードは遅くなります。子供が怪我をしてもあっという間に治るのに、大人になると青あざがなかなか消えないのはまさしくこのことです。

わたしたちの体は、食べるもので大きく変わります。細胞は水分・タンパク質・脂質・炭水化物・ミネラルなどでできています。うち水分は60%以上といわれています。

毎日水を飲みましょうというのは、この水分を入れ替えるためです。流れている川の水はいつもキレイですが、貯水池の水は濁っています。体の中の水分をいつもキレイな状態にするために、毎日水を飲むのです。

水分以外の成分を見てみると、わたしたちが毎日食べている食事に含まれる成分であることがわかります。

食べ物で体を作ることがわかりやすく図で説明してある記事を見つけたので、引用させていただきます。

 

 

ねずみにチーズを与えます。

 

 

原子レベルのミクロ視点で見ると、ねずみもチーズも炭素や窒素などの集合体です。

 

 

ねずみに食べられて、体の一部となったチーズ。

出典:isao’s blog雑学File:24 – 命の定義

 

目に見える形では全く別物ですが、ミクロ視点で見ると同じです。このように食べ物が体の一部になると考えると、できるだけ質の良いものを食べたほうがいいと思えます。

 

 

細胞の質=体の質

 

細胞は200種類以上あります。それぞれ生まれ変わりの周期は違い、一番早いのは胃腸の表面を覆っている上皮細胞で、1~5日で生まれ変わるといわれています。一方、再生しない細胞もあります。心筋や神経細胞です。軽い胃腸炎は1日で治るのに、心臓病は移植などの治療が必要になるのはそのためです。

腎臓や心臓は、一度悪くなるとよくなることはないといいます。再生しない臓器はできるだけ大切にして、長く使えるようにしたいものです。

ではわたしたちの体を作る細胞の質を上げるためにはどうすればいいのでしょうか。

細胞の質を上げるには、細胞を作る栄養素の質を上げることが重要です。口から摂る食べ物で、わたしたちの体は作られていて、食べる物で体の質は変わるということです。これは人間だけに限らず、経口で栄養を摂る生き物すべてにいえることで、もちろん愛犬も同じです。

良質の栄養素は、良い細胞を作り出し、体は元気に健康になる、ということです。

 

 

なにより楽しい毎日を送ること

 

ところが病気は、食べるものにさえ気をつけていれば絶対にならない、というものではありません。細菌や遺伝、ストレスなどが原因でなってしまうこともあります。

とはいえ、加工食品は高塩分のものが多く、人間でも塩分過多になります。体の小さな犬にはもっと負担になります。愛犬の体を守るためにも、たとえ少量でも人間用の加工食品は愛犬には与えない方がいいです。

前述の柴犬は、10歳を超えているとのことでした。毎日おとうさんにちくわをもらうのが楽しみで、おとうさんのことが大好きなのが伝わってきました。

本当はちくわを食べない方が長生きできるかもしれません。すでに腎臓に症状が出ているのであればなおさらです。

でも、もう10年もの間この生活を続けてきて、柴犬もおとうさんもとても幸せそうで、これはこれでありなんだろうなと思いました。

 

もちろん体に不具合のない若くて健康な状態の愛犬には、ちくわは絶対にやめた方がいいです。

 

 

ハイシニア犬(老犬)の飼い主が思う、犬が病気になった時に大切な「3つのこと」

 

犬と暮らす人にとって、パートナーが病気になってしまうのは本当に悲しくて辛いことです。できることなら自分が変わってやりたい、と思う飼い主さんも多いのではないでしょうか。

愛犬は、10歳を超えた頃から、目に見えて体の衰えを感じたり、病院のお世話になることが増えてきます。そして歳を重ねるごとに病気になってしまうリスクは高まります。

わたしはSNSを通じて、たくさんの飼い主さんと知り合うことができました。その中には、愛犬と共に大変な病気と闘う飼い主さんもたくさんいらっしゃいました。

今回は、そんな愛犬の病気と闘う飼い主さんたちが共通して感じている《愛犬が病気になってしまった時大切だと思う3つのこと》を書こうと思います。

 

 

自分が信頼できるかかりつけ病院を見つけること

 

愛犬のための病院選びは、とても重要なことです。

わたしはこれまでに病院を数回変わっています。今通っている病院の先生はたくさんの経験をお持ちで、最新医療を取り入れておられるとても進んだ病院です。その前に通っていた病院は、大学病院で長年経験を積まれた外科治療に定評のある方でした。

しかし、それ以前に通っていた病院は、根本治療でなく症状を抑えるだけ(歯が腫れている時にステロイドで腫れを抑える等)の処置がメインでした。その頃はまだ愛犬も若く、命に関わるような病気でなかったので、不安になることはありませんでした。

4年前、当時14歳の愛犬クリンが胆泥症と診断された時、「手術しないと助からないかもしれない」といわれました。担当の先生はこの手術の経験がないため、「他の病院からわざわざ先生を呼んで、この子の手術をしてもらうから大丈夫。でも麻酔のリスクは半々なので命の保障はないし、麻酔に耐えられなかったら仕方がない」といわれたんです。

実はこの少し前に、我が家の次女、ニコの乳腺腫瘍の手術をしていました。その際に避妊手術も同時に受けたのですが、手術後に請求された手術費用は、当初聞いていた金額のおよそ3倍でした。理由は、子宮に水がたまっていて避妊手術ではなくなったから、というものでした。それならそうと費用についてもう少し詳しく話をしておいて欲しかったと、思っていた矢先の出来事でした。

手術をしないといけない。でも麻酔のリスクは半々なので、ダメだった時は仕方ない。自分はこの手術をしたことがないから、他の先生をあなたのためにわざわざ呼んであげるのだから、手術しましょう…と。

正直その時、ものすごく違和感を感じました。難しい手術で、麻酔で命を落とすかもしれない。それでも手術しないと助かりませんから、わざわざあなたのために先生を呼んであげるんだから、手術するしか手はないですよ。あなたのためにわざわざ他からこの手術ができる先生を呼んであげるんだから、という部分を強調した話だったんです。

 

愛犬が何かしらの病気であると宣告されると、多くの飼い主は大きなショックを受けます。だからこそ、どうすれば治るのか、またどんな治療法があるのかを聞き、その上で納得して選択したい。それなのにこの先生は、こちらの意向を考えず、とにかく手術を受けさせようとしているとしか思えなかったのです。

大事な我が子が病気の宣告をされ、しかも死ぬかもしれないといわれてるのに、他から先生を呼んで手術するから大丈夫という話をされても、ぜんぜんありがたくないし、手術以外に治療法はないのか、と思いました。

 

不信感を持ったわたしは、自らセカンドオピニオンを申し出て、他の病院で診てもらいました。そこでは、図解で今の状態を説明してくださり、治療法についてもいくつか提案してくださいました。

胆泥症を見つけてくださったのはとても感謝しています。でもやたらと手術を勧めてくるところに「助けたい手術」というよりも「商売としての手術」ではないのかと感じてしまったのは事実です。

 

獣医さん選びについては、多くのベテラン飼い主さんから同様の話を聞きました。飼い主と相談しながら治療方針を決めてくれる、質問や不安に思うことについてきちんと説明してくれる病院でないと、何よりも大切な愛犬の命を預けることはできないと考えています。

 

 

 

薬はご飯と分けて与える

 

愛犬が元気なうちは、ご飯もパクパク食べてくれるし、薬を処方されてもご飯の上に乗せてしまえば大抵普通に食べてくれます。ところが、これがずっと続くとは限りません。

薬の中にはとても苦いものもあります。最近はペットも人間と同じ薬を処方されることがありますが、その場合体重に合わせて錠剤をカットして与えたりします。苦い薬は甘いコーティングの糖衣錠タイプが主流ですが、カットされていると断面図は薬がむき出しになり、その部分を舐めてしまった時かなりの苦味を感じます。

薬=苦いことが一度インプットされてしまうと、薬を嫌がるだけでなく、薬が仕込んであるご飯そのものを嫌がってしまうことにもなりかねません。

これは我が家でもそうですが、多くのシニア犬の飼い主さんからも同様の話をいくつも伺いました。

投薬の際には、投薬専用のおやつ投薬補助食品等を使うことを強くお勧めします。たとえ食いしん坊の子であっても、年齢と共に食べムラや食い渋りが出ることがあります。ほんのささいなきっかけであっても、それで食べなくなってしまうと、それこそ投薬も一苦労になります。うちはこれで本当に苦労しましたし、今でも薬に対する不信感をぬぐうことはできません。

 

病気を治すために薬は必要なもの。でも薬を与えることより、薬を混ぜたせいでご飯を食べなくなってしまい、結果体力を失い、危険な状態になることの方が大問題なのです。薬で大きな失敗をしてしまった経験者として、薬とご飯を分けて与えることを強く強くお勧めします。

 

 

「笑顔」と「言葉」は最高の治療薬

 

わたしの知っているハイシニア犬の飼い主さんたちが口をそろえて言うこと、それは、飼い主の「笑顔」と「言葉」は、愛犬にとって何よりも大切だということです。

愛犬の病気を嘆いてずっと泣いていると、愛犬は飼い主さんのことが心配で不安になってしまいます。犬ってわたしたちが思う以上にいろんなことを感じ取っているものなんですよね。

愛犬にとって一番安心できるのは、飼い主さんの笑顔です。大好きな飼い主さんが笑顔でいるだけで、愛犬には生きる力がみなぎります。それほど笑顔には、とてつもない力があると実感しています。

 

そしてもうひとつ、とても大切なことがあります。
愛犬にたくさん「声」をかけてあげることです。

「大丈夫だよ」「心配ないからね」「ずっとそばにいるからね」

優しく触れながら声をかけると、愛犬はとても安心した表情になります。

飼い主は愛犬が病気になると、心配で夜も眠れなくなったり、元気のない姿を見て涙を流すことも多いと思います。犬は口がきけないため、どうしてほしいのか確認することもできません。痛いのかもしれない、辛いのかもしれない…そう思うと悲しくてやりきれない気持ちになってしまいます。

ですが、そんな時こそ、笑顔で優しく愛犬に語りかけてあげて、愛犬の不安を取り除いてあげることが大切だと思うのです。

 

犬は素直で賢くて、とても勘がいい生き物です。だから飼い主の気持ちはすぐにばれてしまうんですよね。焦ったり不安になったりイライラしたりすると、それはそのまま愛犬に影響してしまうことがあります。

わたしも愛犬クリンが食べムラでなかなか食べられない時、薬を飲んでくれないことで病状が悪化するのではないか、と気が気でなく、無理に食べさせようとしていました。その結果、クリンはご飯の時間そのものがストレスになってしまい、余計に食べなくなってしまったという経験があります。飼い主に気持ちの余裕がなくなってしまうと、愛犬に大きなストレスを与えることになりかねません。

 

もし愛犬が病気になってしまったら、わたしはこの3つのことを気をつけるようにしています。特に3つめはとても効果があります。クリンが元気のない時は、いつも耳元でこう囁いています。

 

「クリンは絶対に大丈夫。もっともっと元気になるし、ご飯もいっぱい食べられるよ。」

 

 

 

 

犬の飼い主の「困った」は飼い主同士で情報交換

初めまして、福井惠子です。

我が家には3頭の愛犬がいます。一番上の長女はクリン、本日18歳の誕生日を迎えました。次女はニコ、今年の7月で16歳になります。末っ子のみのすけは今年9歳。年の離れたおねえちゃんと一緒に暮らしているからか、とてもおとなしい子ですが、食い意地だけはものすごいです。

 

わたしには子供がいないので、愛犬が我が子のように愛おしく、自分の命をあげてもいいと思えるくらい愛しています。

特にクリンは、初めて自分の意志で迎えた子なので、3頭の中でも特別な存在です。以前は会社員をしていましたが、毎日とても忙しく、疲弊しきっている時に癒してくれる存在で、クリンがいたから今のわたしがあると思っています。

そんな大切な存在のクリンが14歳の時に、胆泥症が見つかり、そこからずっと病院のお世話になることになりました。それまでは大きな病気もなく過ごしていたので、ずっと元気で健康でいてくれることが当たり前のように思っていたんです。本当は、病気にならずに過ごしてくれていること自体がとてもありがたいことなのですが、実際に持病ができて初めてそれを実感しました。

手術が必要といわれ、ネットで病名を検索し、悪いことが書いてあると絶望し、さらに検索しても同じようなことが書いてあるばかりで、ほとんど参考になりませんでした。

そして、そこから少しずついろいろな不具合が出てきて、投薬の失敗から食べムラになり、今でも食べムラに悩まされています。

食べムラが原因で、病院から死の宣告をされたこともあります。毎日いろんな缶詰やトッピング、また手作りで肉や魚を焼いてみたり野菜と煮込んでみたりしながら食べてくれることを期待するものの、見事に裏切られ、冷蔵庫の中はクリンが食べなかった食材でパンパンになっていました。

自分の周りには犬を飼っている人はいるものの、みんなうちの子よりも年下で、相談できる相手は残念ながらいませんでした。毎日夜になると不安が押し寄せてきて、眠れない日々を過ごしていた時に、気分転換にとブログを始めました。

すると、そこにはたくさんの先輩飼い主さんがおられました。そして少しずつ輪が広がり、コメントをくださるようになり、たくさんの方からためになるアドバイスをいただいたり、食いつきの良いフード情報を教えてもらったりしました。

1人で悩んでいた時と違い、実際に経験している方からの助言はとても参考になりましたし、何よりも自分の心がとても救われました。

「悩んでいるのはわたし1人じゃない」

そう思うだけで、本当に気持ちが楽になりました。

ブログを通じて仲良くなった方たちと、リアルにお会いすることで愛犬つながりの友達もたくさんできました。

価値観が似ている飼い主同士の情報交換は、わたしには一番参考になりましたし、動物病院では教えてもらえないような工夫や情報も聞くことができ、おかげでクリンも18歳の誕生日を元気に迎えることができたと思っています。

ネットではたくさんの情報が溢れています。もちろん参考になることもたくさんありますが、様々な事情により「書けないこと」も多いように思います。

でも、本当に困っている時って、知りたいのは一般的な話よりも、もっと突っ込んだ話だったり、実際の経験談だったりするんですよね。

だから、実際に飼い主が経験したことや、良かったことや失敗談など、包み隠さずに話せる場を作りたいと思いました。

まだスタートしたばかりですが、これからたくさんの愛犬家の方と、この場で交流できればと考えています。またリアルに会うことのできるイベントや、いずれは掲示板などでチャットができるようにしていきたいと思っています。

このサイトのライターさんは、ほとんどがSNSを通じて知り合った方ばかりです。訪問してくださった方も、もしよろしければご自身の経験されたことを教えてくださいね。

みんなの経験が、今1人で悩んだり困っている飼い主さんに届きますように。

 

2018年2月1日

福井 惠子

【犬の老化チェックリスト】そのしぐさ、大丈夫? 10のチェック項目でわかる「犬の老化」のサイン

いつまでも元気でいてほしい大切な愛犬。

残念ながら、わたしたちと同じように愛犬も歳を取ります。老化は少しずつ進行するため、毎日一緒に過ごしていると見過ごしてしまい、ある時ふと「あれ?いつもと違う」と気づくことが多いと思います。

まずは下のチェックリストで、日頃の愛犬の様子をチェックしてみてください。

 

 

【チェックリスト】愛犬の老化度チェック

 

▢ ご飯は1分くらいで完食する

▢ 固いガムやおやつなどを喜んで食べる

▢ 飼い主さんがいる間はほとんど起きている

▢ 飼い主さんが動くと、寝ていても必ず起きる

▢ ぼーっとしている時間はほとんどない

▢ 運動した後でも足がもつれたりすることはほとんどない

▢ お散歩は10分以上止まることなく歩く(走る)

▢ ソファーやテーブルの上に平気で飛び乗る(飛び下りる)

▢ 足を崩さずにお座りの姿勢がとれる

▢ 自分の体高くらいの段差でも躊躇することなく歩く

 

 

実はこれ、1~10歳頃までは、病気やケガなどがなければ、どの項目も問題なくチェックできる質問なんです。ですからチェックがつかない場合=老化が始まっているかも、ということなんです。

老化は一気に進むものではありません。日々少しずつ少しずつ衰えていき、今まで当たり前にできていたことがある時できなくなり、その変化に気付いた時、飼い主さんは愛犬の老化を実感することが多いのではないでしょうか。

では、上記10項目について、1つずつ解説していきます。

 

 

各項目の解説

 

▢ ご飯は1分くらいで完食する

犬はほとんど丸飲みでご飯を食べます。なのでご飯を食べるのにさほど時間はかからないのです。噛まずに飲み込めるというのは若い証拠で、年齢を重ねるにつれ、少しずつ飲み込む力が弱まります。一気に飲み込めなくなるため、食べるのに時間がかかってしまうのです。

 

▢ 固いガムなどを喜んで食べる

犬には虫歯はないそうですが、歯周病にはなります。固いガムを食べることができるのは、顎の力が強いことと、歯がしっかりしているから。噛む力は年々弱まってきますので、顎に力がなくなったり、歯に不具合が生じると、ガムを噛む時間が長くなったり、食べられなくなったりします。

 

▢ 飼い主さんがいる間はほとんど起きている

犬は飼い主さんが大好きです。大好きな飼い主さんと一緒の時間は至福の時。飼い主さんの一挙手一投足が気になり、飼い主さんの行くところを目で追ったり、後追いしたり。でも歳をとると、少しずつ睡眠時間が長くなってきます。飼い主さんがいるにもかかわらず、寝ている時間が長い場合は、それだけ睡眠時間が長くなった=老化が始まったといえます。

 

▢ 飼い主さんが動くと、寝ていても必ず起きる

犬は浅く眠ることが多く、ほとんど熟睡しないといわれています。飼い主さんが動くと気配を感じ、パッと顔を上げて飼い主さんを見たりしますが、これも若い証拠です。年齢と共に、眠りが深くなるのか、ぐっすりと寝ていることが多くなり、飼い主が動いても眠ったまま起きなくなることが多くなります。

 

▢ ぼーっとしている時間はほとんどない

飼い主さんと一緒に過ごしている時は、犬は飼い主さんのことで頭がいっぱいです。飼い主さんのことをまるで見張ってるかのようにじっと見つめていたり、飼い主さんにおもちゃで遊んでほしいとねだったり、落ち着きなく動いたりしていることが多いですが、耳が衰えてきて聞こえにくくなったりすると、今まで反応していたことに反応しなくなったり、ぼーっと宙を見つめたりする行動が出てきます。

 

▢ 運動した後でも足がもつれたりすることはほとんどない

犬は運動能力がとても高い動物です。ドッグランにいって散々運動した後も、平気な顔でお散歩に行くことができます。ところが足腰が弱くなってくると、足(特に後足)がもつれたり、しりもちをついたりすることも。後足がもつれたりするのはヘルニアの可能性もありますので、注意深く観察してあげた方がいいでしょう。

 

▢ お散歩は10分以上止まることなく歩く(走る)

犬は散歩が大好き。排泄や他の犬の匂いを嗅いだりする時間以外はほとんど動いています。ところがシニアになると、散歩の途中で急に立ち止まったり、歩くスピードが遅くなったりすることが出てきます。続けて長い時間歩くことができなくなったのは、足腰が衰えてきたサインといえます。

 

▢ ソファーやテーブルの上に跳び乗る

ソファーが大好きな犬は多いと思います。少し背が高くてふかふかのソファーは、家族みんなを見渡せるし寝心地はいいし、最高の場所ですよね。またいたずら好きな犬はテーブルの上に飛び乗ったりすることもあります。しかし足腰が弱ってくると、それまで平気で飛び乗ったり下りたりという行動がしづらくなってきます。最初は1回で飛び乗れていたのに、乗るまでに数回かかるようになったり、飛び降りた時に踏ん張る力が弱まり、前につんのめるようになったりします。

 

▢ 足を崩さずにお座りの姿勢がとれる

たまに横座りのくせがある犬もいますが、背筋をまっすぐにした体勢でお座りができるのは、背筋がしっかりしている証拠。足を崩してしまうのは、筋力の低下も原因のひとつ。今まで背筋をまっすぐにしてお座りできていた子が横座りするようになったら、筋力の低下が疑われます。

 

▢ 自分の体高くらいの段差でも躊躇することなく歩く

若い時は平気でひょいと飛べていた段差でも、歳と共に飛び越えるのが一苦労になり、自分の体高の半分くらいの段差でも躊躇するようになります。犬は後肢から衰えが始まります。段差を飛び越えるために後肢を踏ん張る体勢を取りますが、年齢と共に踏ん張れなくなり、足が上がらなくなってすり足のような歩き方になっていきます。更に老化が進むと、前足も上がりづらくなってきます。

 

 

少しでも長く身体機能を保つために

 

これ、一般的に言われていることでもありますが、すべて自分自身が経験したことでもあります。

うちの愛犬クリンは、13歳で散歩の途中で急に立ち止まるようになり、14歳で持病持ちになり、15歳でソファーに飛び乗れなくなり、16歳で足がもつれるようになりました。

18歳の今は、部屋の中を歩いている途中でしりもちをつくこともあります。目もほとんど見えていないようで、壁にぶつかってしまうこともあります。

以前は、寝ていてもわたしが動くとすぐに起き上がっていたので、「この子はわたしといると安心できないのだろうか」なんて思ったこともありましたが、今は先にわたしが起きても熟睡しています。

犬は人の4倍ほど早く歳をとります。わたしたちの時間の感覚よりもずっと早く、犬の時間は過ぎています。老化を止めることはできませんが、少し気をつけて見てあげることで、身体機能を長く保つこともできます。

足腰が衰えてきたら、段差などに気をつける、フローリングなど滑りやすい床は滑りにくいようカーペットを敷く、ソファーは階段やスロープをつける。

ご飯が食べにくいようであれば、ご飯を食べやすくするため台の上に載せたり、小粒サイズにしてあげたり、お湯でふやかして柔らかくしてから与えてあげると食べやすくなります。また歯に不具合がないか、お口の中をチェックして、もし歯石などがついていたら、獣医さんに相談するのがおすすめです。獣医さん曰く、歯のケアをしている子は長生きするということでした。

身体機能を長く保つには、やはり日頃のケアが一番効果的だと思うのです。

大切な愛犬には、少しでも長く、元気で健康に過ごしてほしいもの。老化のサインに気付いたら、それは生活習慣を見直してあげるタイミングなのかもしれません。

犬の様子は日々変わります。愛犬の老化はあっという間にやってきます。昨日まで当たり前にしていたことが、今日はできなくなっているということもあります。

そして、犬は誇り高いため、できないと思った瞬間に諦めてしまい、そのままどんどんできなくなっていくということも考えられます。

愛犬の変化に気付いてあげられるのは飼い主さんだけです。できるだけ長く身体機能を保てるよう、共に頑張りましょう。