避妊手術について考える ~老犬の子宮蓄膿症の治療について

愛犬情報

犬種:ミニチュアダックスフンド

病名・症状:子宮蓄膿症

発症年齢:15歳

発症の経緯:ヒートの症状 食欲不振 陰部の腫れ エコー検査で子宮内に液体が映った

治療法:ホルモン注射(内科治療)⇒手術

 

 

避妊手術を受けなかった理由

 

我が家は雌2頭とも、不具合が出るまで手術を受けていませんでした。

手術を受けなかった理由は、一番は体にメスを入れることに抵抗があったからです。卵巣はホルモンを作りだし分泌する役割のある臓器。女の子にとってホルモンはとても大切なのに、病気にならないようにという理由で若いうちに取ってしまうことに抵抗がありました。

結果次女ニコは12歳で乳腺腫瘍が見つかり、その時に子宮と卵巣も取りました。クリンは15歳で子宮水腫になり、17歳9ヶ月で手術をすることになりました。

2頭とも、子宮に不具合があったため、避妊手術の適応にはならず、費用は十数万円かかりました。

 

一方、雄1頭は、1歳を迎える前に去勢手術をしました。理由は、いくつかあります。ひとつは、女の子たちの避妊手術をしていなかったこと。そしてもうひとつは、女の子よりもリスクが低いと考えたからです。

 

今振り返ってみて、我が家の3頭の去勢避妊手術について後悔しているかと聞かれると、うちはこれでよかったと思っています。

もしこれから新しく愛犬を迎えるとした場合、その子が女の子なら、おそらく今の2頭と同じように不具合が出たら手術をすると思います。ただクリンのように、かなりの高齢になってからだとリスクは高くなってしまうので、不具合が出なかったとしたら、おそらく15歳くらいまでにするのではないかと思います。

もし男の子の場合、1頭だけ飼うならもしかしたら手術は先送りにするかもしれません。ただ男の子は権勢症候群など毎日の生活に支障を来たしてしまうようなこともあるので、性格によっては早いうちにしてしまうかもしれません。

 

避妊手術の場合、抜糸まで約2週間かかるのに対し、去勢手術の場合はエリザベスカラーさえつけませんでした。去勢手術の方が簡単でオペ時間も短いです。

男の子も女の子も手術するということに変わりはありませんが、できるだけリスクの少ない方を選択すると思います。

 

でもこれは、あくまでもわたし個人の意見で、どんな選択でも飼い主さんが愛犬のことを思い決断されたことは、一番の選択だと思います。早く手術することでのメリットもあればデメリットもありますし、不具合が出てからの手術もメリットデメリットがあります。

今回は、高齢で子宮の不具合が出てしまった場合、避妊手術をしなかった「デメリット」についてお話をさせていただきます。

 

 

ハイシニア犬の子宮水腫の治療について

 

我が家の長女クリンの子宮の不具合が見つかったのは15歳の時。12歳を超えてからは年に一度くらいのヒートが、半年に一度ペースになり、食欲不振がさらに悪化した時に、病院の検査で発覚しました。エコーで確認すると、子宮内に血液ではない液体がありましたが、血液検査の結果と、陰部から膿が出ていなかったため、この時は子宮の中に水がたまる「子宮水腫」という診断でした。

子宮蓄膿症は、重篤化すると死亡するリスクも非常に高い病気です。避妊手術をすれば蓄膿症に罹患することもなく、また発症しても取ってしまえばすぐに完治するのですが、クリンの年齢的にも手術はリスクが高いということで、内科治療をすることになりました。これが後から大事になってしまうことになるのですが、この時はこれが最良の選択だと思っていました。

 

クリンの場合、何かあるとすぐに食欲に影響します。子宮水腫を発症した時も、食べムラから発覚しました。

当時通っていた病院の先生は、大学病院で長く研究をされていて外科治療の経験も豊富とのことでした。親切で飼い主がわかるように説明してくださる先生で、その時は絶大な信頼を寄せていました。

高齢で麻酔のリスクが高いということで、積極的治療ではなく、内科的治療をしようということになり、「アリジン」という黄体ホルモンを後退させる注射で様子を見ようと提案してくださいました。アリジンは大きな副作用もなく、老犬でも安心な治療法であるということでしたので、その治療法を選択することにしました。

 

 

犬の子宮蓄膿症

 

【原因】

発情後の黄体期(免疫力が低下します)に細菌が子宮内に、進入し増殖しておこります。卵巣のホルモン分泌バランスが悪いとおきやすい。今まで、しばらく生理がなかったのにしばらくぶりできた後は要注意です。原因菌は大腸菌、ブドウ球菌、サルモネラなど様々です。

 

【症状】

はじめは無症状。病態が悪化するにつれ元気、食欲の減退、吐き気などが現れる。陰部より膿がでてくる場合もあるが、まったくでない場合もあり。出ない方がより深刻。多量の膿がたまった場合腹部が膨らむこともあり。
多くの症例で多飲多尿がみられる。子宮が破れて、腹腔に細菌が漏れ出た場合、腹膜炎をおこし、短時間で死亡します。

出典:アイリスペットどっとコム


 

アリジンは1回目の接種の24時間後に2回目を接種します。(3回の場合もあります)

費用は1回の接種で約1万円。2回だと2万円になります。

初めて注射してもらった時、食欲も徐々に戻り、目に見えて効果を感じることができました。その後もヒートのような症状が出たり、食欲不振に陥ったりすると病院で検査を受け、エコーで子宮内に水があったり腫れが見られたらアリジンを注射する、ということが約2年続き、年2~3回くらいのペースで注射をしていました。

 

 

その後の経過

 

初回~2回目くらいは目に見えて効果を感じたアリジンですが、徐々にあまり変化を感じなくなりました。クリンは15歳8ヶ月の時に膵炎の疑いで入院したのですが、炎症数値が下がっても食欲が戻りませんでした。その時も少し陰部が腫れていたのでアリジン注射をしてもらいましたが、まったく食欲は戻りませんでした。約2週間の入院で、入院中はほぼ強制給餌で過ごし、先生からは「このまま食欲が戻らないと死んでしまうかもしれない」と宣告されるほどひどい食べムラが続きました。

元気はあるものの食べないという日が続いたため、炎症数値が一旦落ち着いたタイミングで退院し、帰宅したらご飯を食べるようになりましたが、その後もヒートのような症状と陰部の腫れは続き、食欲不振との闘いは続きました。

 

食べムラは続いていましたが、何とか元気に16歳の誕生日を迎えることができました。

陰部が腫れることはたびたびありましたが、原因はわからずでした。病院では抗生剤を注射してもらったり、点滴を受けたり、アリジンを注射してもらっていましたが、症状や状態が大きく改善することはありませんでした。

クリンは胆泥症と、16歳の後半くらいから心臓に雑音が出始めたので、肝臓と心臓の薬はずっと飲んでいました。退院後は大きく体調を崩すこともなく、クリンは17歳になりました。

原因がはっきりしないまま続く食べムラ、状態は変わらないのにかかる医療費。クリンは元気そうではありましたし、年齢を考えた時に維持できていることはとてもありがたいことでしたが、「いつ急変するかわからない」という漠然とした不安はずっとぬぐえないままでした。

クリンが17歳を迎えた頃から、ずっとセカンドオピニオンについて考えていました。このままだとクリンは良くならないのではないか、とずっとどこかで思っていたんです。でもそれまでお世話になっているし、救ってもらったから、となかなか決断できずにいました。

 

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転院先での診断

 

このままではダメだと思い、セカンドオピニオンを受けることにしたのは昨年の10月。強い食べムラが出て病院でアリジンと抗生剤を打ってもらった直後でした。

セカンドオピニオンを受けた病院で、まず最初にいわれたことが、

「なぜ発症した15歳の時にすぐに切らなかったの?」でした。

子宮の病気は、高齢であればあるほど拗らせやすく、完治することはほとんどないそうです。そして、気づいた時にすぐに手術をしてしまうのが一番リスクが低いといわれました。

確かにその通り、と思いました。もし15歳ですぐに手術していれば、こんなに長引かせずに済んだかもしれない。こんなに苦しい思いをさせなくてすんだかもしれない。こんなに悩まずにすんだかもしれない。

 

手術のリスクは何歳であってもありますが、悪性腫瘍など、すぐに切らないと命に関わるような大きな病気の場合と違い、慢性化して投薬で何とか逃げられるような病気の場合は、どうしても先延ばしにしてしまうことが多いと思います。

わたしもそうでしたし、もし病院を変わっていなければ、今も手術をしていないと思います。

 

これは選ぶ病院にもかかわることだと思いますが、老犬にとって子宮蓄膿症はとても怖い病気です。

冒頭でもお話しましたが、病院によっては最初のヒートが来る前に手術を勧めるところもありますし、もう少し大きくなってから手術した方がいいという獣医さんもおられると聞きます。

それぞれの考え方があるので、どれがいいと断言することはできませんが、うちの場合はもしかしたら避妊手術をしていなかったから元気に過ごせたのかもしれない、と思っています。ただ、ある一定の年齢になったら、子宮の不具合は命に関わる病気になってしまう恐れもあるため、何か不具合がでたらすぐに手術をした方がいいと考えます。

 

 

術後から現在まで

 

手術は無事成功しました。シニア犬の場合、術後の経過も怖いといわれていましたが、手術が終わって帰宅してすぐに元気に歩き回る姿を見て、とても嬉しかったです。食欲はなかなか戻りませんでしたが、術後初めて食べ物を口にした時はうれし泣きでした。

クリンの場合は子宮だけでなく、歯にも不具合があったんですが、無事18歳の誕生日を迎えることができました。

最近は少しお腹の調子を崩したりしていますが、転院する前と比べると、不具合がなくなったんだろうなと思えるほど元気に過ごしています。

 

犬は痛みに強い、とよく聞きます。その痛みに強い犬が痛がるというのは、かなりの痛いがあるのだと思います。クリンは子宮にずっと痛みがあったようで、転院先で触診してもらって初めてわかりました。

避妊手術を受けるタイミングはそれぞれ。かかりつけの病院にもよると思います。

ただ、手術を受けていなくて10歳を超えたら、具体的に考えた方がいいと思います。あとになればなるほどリスクは高まりますし、ただの避妊手術だと数万円ですが、病気を発症してしまうと手術代は数十万円に跳ね上がります。

そして年齢が高いほど、術後のケアも長引き、医療費はかなりの金額になってしまいます。

 

もしまだ避妊手術をしていないシニア犬の飼い主さんがおられたら、14歳を超えたらたとえ不具合がなくても定期的に獣医さんに診てもらうことをおすすめします。子宮蓄膿症は早期発見できれば、怖い病気ではありません。でも、あっという間に重篤化することもある病気でもあります。特にハイシニアの場合は、抵抗力の低下によりあっという間に悪くなってしまうこともあります。

 

 

 

ライター:福井 惠子

 

【ドッグフード】愛犬の「食」を考える(2)~添加物とうまく付き合おう

わたしたちの体は、細胞でできています。細胞は水分やタンパク質などで構成されています。細胞をつくるのは口から入れる栄養素で、細胞の質~体の質といえます。

質の良い(丈夫な)体をつくるには、質の良い栄養素を摂ることと、バランスの良い食事を摂ることががとても大切です。

摂れたての野菜や魚など新鮮なものをずっと摂れるならいいのですが、実際非常に難しいです。

そこで、生ものを腐りにくくしたり、そのままではおいしくないものをおいしく感じるようにするために、「添加物」を使用して食品を加工しています。

添加物=体に悪いもの、と思いますが、添加物にもいろんな種類があります。今回は自分がドッグフードや犬用おやつを選ぶ時に気をつけていることをお伝えしたいと思います。

 

 

食品表示法について

 

冒頭でもお話しましたが、口から入れるもので体の質は大きく変わります。これは人間も愛犬も同じ。ペットブームと共にフードの質は格段に上がり、中には人間が食べても問題ないヒューマングレードと言われるフードもあります。ペットフードの質が上がったことで、10年前と比べて犬の寿命は飛躍的に伸びています。

しかし、質の良いドッグフードや犬用おやつがある一方で、人間が食べることが禁じられていて、人用としては決して使用できない添加物を使った安価なフードもあります。

 

食べ物は、「食品表示法」という法律で守られています。食品表示法とは、消費者が食品を安全に選択し摂取できるよう決められた法律で、名称・アレルゲン・保存方法・消費期限・原材料・添加物など、食品を加工する際に使用したものを表示しなければならない、というものです。


食品の表示は、これまで複数の法律に定めがあり、非常に複雑なものになっていました。このたび、食品衛生法、JAS法(旧:農林物の規格化及び品質表示の適正化に関する法律)及び健康増進法の3法の食品の表示に係る規定を一元化し、事業者にも消費者にもわかりやすい制度を目指した「食品表示法」が平成27年4月1日から施行されました。

参考文献:食品表示法ができました! 東京都

 

ちなみにペット用フードは別に法律があります。それがペットフード安全法といわれるもので、管轄は環境庁になります。


愛がん動物用飼料(ペットフード)の製造等に関する規制を行うことにより、愛がん動物用飼料の安全性の確保を図り、もって愛がん動物(ペット)の健康を保護し、動物の愛護に寄与することを目的とする。

参考文献:ペットフード安全法の概要(環境庁)

 

昔と比較すると、ペットの位置づけはかなり向上していると思いますが、ペットフード=「飼料」なんですよね。これをみると、まだまだペット=家畜という感覚が強いと感じてしまいます。

 

 

食品表示と添加物

 

フードを選ぶ時、必ずチェックするものがあります。それはパッケージ裏面に書いてある「食品表示」です。

2009年6月に施行されたペットフード安全法は、ペットフードの製造に使用した添加物の記載が必要ですが、加工した肉などに含まれる添加物の表示は義務付けられていません。

言い方を変えれば、その商品の製造の段階で使った添加物しか表示しなくて良いということなので、加工肉を加工する過程でどれだけ添加物をつかっていても、それは一切表示しなくていいんです。

関連記事:【ドッグフード】愛犬の「食」を考える(1)~わたしのドッグフードの選び方

 

 

 

ペット用フードには、人用食品では使用が禁止されている添加物が使われていることがあります。

こちらは我が家の愛犬クリンが好んで食べる、ある大手メーカーの砂肝ジャーキーの表示です。

 

砂肝以外は添加物であることがわかります。

ソルビトールは甘味料として、グリセリンは保湿剤・軟化剤・保湿剤として、プロピレングリコールは保湿剤・乳化剤として、リン酸塩は結着剤・乳化・変色・沈澱・乾燥防止、味の調和、食感向上として、亜硝酸ナトリウムは発色剤として使用されています。

この中で毒性が強いといわれているのが、亜硫酸ナトリウムです。

亜硫酸ナトリウムは、「発色剤」です。発色剤とは、綺麗に発色させるための添加物です。では何のために綺麗に発色させているのでしょう?

 

答えは、商品を購入する「飼い主向け」なんです。犬にとって匂いは重要な情報ですが、色は犬にはあまり関係ありません。犬にとって必要な添加物ではなく、ただ人間が見て「おいしそう」に見えるために使われているんです。

このように、品質保持等の必要な添加物ではなく、犬にとって不必要な添加物はできるだけ避けた方がいいと考えます。

 

添加物すべてを否定してしまうと、市販されているフードやおやつなどから選択するのは非常に難しくなります。すべてを手作りフードでまかなうとなると、飼い主さんの負担はかなり大きくなります。必要な栄養素をすべて把握し、愛犬の体重に合わせて配合し…と考えただけで大変だとわかります。

愛犬に健康で長生きしてもらうためには、良いフードを選ぶことと、添加物とうまく付き合うことだと考えています。

そのためには添加物の危険性を知ること、それは本当に必要なものなのか、を考えることが重要だと思っています。

 

 

 

避けた方がいい添加物

 

高い発ガン性の添加物は、石油でできているものもあります。中には工業用機械に使う油が、ペット用食品の添加物として使われていることもあります。

最近のペット用食品は、無添加や添加物ゼロといったキャッチを売りにしている商品が増えています。これは以前の記事にも書きましたが、裏面の食品表示を確認し、肉類やミート・ミール系が使われていたら、やめた方が無難です。

 

添加物にも危険性が低いものから高いもの、また全く必要のないものもあります。ここでは、避けた方がいいといわれる、体に毒になってしまう添加物を紹介します。

 

亜硫酸ナトリウム(発色剤)

 

発色剤は、食品添加物の中でも急性毒性が非常に強く、肉や魚に含まれるアミンと結合すると、ニトロソアミンという発ガン性物質になる可能性が高いそうです。

少量をたまに摂るくらいならさほど問題はないと思いますが、摂り過ぎは病気の原因になることもあるので気をつけた方がいいです。

※現在は、人間用食品では使用を制限されているようです。

 

合成着色料

 

これは石油由来の「タール色素」といわれるもので、タバコの発ガン性物質のタールのことです。着色料は人が見ておいしそうな色にするために使われていて、これも犬には全く必要のない添加物です。

赤色〇号、黄色〇号、青色〇号などは、すべて合成着色料です。

 

ソルビン酸・ソルビン酸カリウム

 

これはよく使われている保存料ですが、ガンや免疫障害の原因になるともいわれています。亜硝酸ナトリウムと一緒にとると発ガン性のリスクが高まる疑いもあるといわれています。

保存料が入っていないと、日持ちしなくなります。しかし安価なおやつなどには、亜硫酸ナトリウムとソルビン酸どちらも添加されている場合があります。

 

 

質と値段

 

今回ご紹介したのはごく一部のもので、他にも毒性のあるといわれる添加物はたくさんあります。

こんなに危険性が高いのに、なぜ使われていのか。それは、原料の値段が安いからです。

無添加のジャーキーなども一時よりかなり安価になり、ホームセンターでもたまに見かけますが、圧倒的に安いのは有名ペットメーカーの肉類などを使ったおやつです。

本当は体に害の少ない、植物由来の酸化防止剤(ローズヒップなど)などを使っていると安心なのですが、ローズヒップという原料そのものが高い、成分を抽出したり精製するのに手間がかかる…このような理由から、原料の値段はグンと高くなってしまいます。

 

たまに食べるおやつに多少添加物が含まれているくらいなら、目くじらをたてる必要はないと思いますが、主食であるドッグフードは、ハイリスクな添加物が入っていないものを選ぶ方が、病気になるリスクが圧倒的に低いといえます。

一番安心できるのは手作りですが、犬に必要な栄養素を全て数値化し、それを食べ物に置き換えて量を算出し、それらをバランスよく配合して食べ切れる量にする…考えただけでものすごい手間と労力と時間がかかります。

そう思うと、やはりドッグフードはわたしたち飼い主にとって、とても便利なんですよね。

 

 

添加物とうまく付き合おう

 

体は毒を分解し、排泄物として体外に出すようにできています。

しかし毒性の高い添加物を毎日摂り続けると、毒素を分解・排出する肝臓や腎臓に負担がかかり、肝臓疾患や腎臓疾患になる可能性が高くなります。

おやつは毎日与えるわけではありませんが、主食となるドッグフードはできるだけ質の良いものを与える方が、シニア・ハイシニアになった時に変わってくると考えています。

病気になるのは、様々な要因があります。遺伝性は避けられませんし、シニアになれば様々な不具合が出ますす。どれだけ気をつけていても、絶対に病気にならないという保証はありません。食事だけが病気の原因ではないと思いますが、人間でも添加物まみれの食事をずっと続けていると病気になったりします。

 

我が家では食べるものはかなり気をつけていましたが、それでもクリンは14歳で胆泥症になりましたし、ニコは12歳で乳腺腫瘍の手術をしました。

 

口から入れるもので体の質は変わります。

毎日食べるフードを見直す、たったこれだけでも病気のリスクをかなり減らすことができると思っています。

あまり神経質になりすぎて、あれはダメこれもダメ…になると、食べるものがなくなってしまいます。うちのクリンも、食べムラが出ると、加工してあるおやつを食べたがりますし、食べムラが出た時のために亜硫酸ナトリウムや香料の入ったおやつを常備しています。

 

加工食品は、無添加のものより断然美味しいんですよね。なので用途に応じて使い分けるなど、バランスで考えるようにしています。
添加物も多少は仕方ない。その代わり、できるだけ害のないものを選ぶようにする。

食べムラのある時は、食べることを最優先し、添加物を使っていても嗜好性の高いものを使う。でも毎日食べるドッグフードは、極力添加物をを避け、害の少ないものを選ぶ。その時々の体調や状態により、うまく付き合っていこうと思っています。

 

体の質は食べるもので決まる。これはわたしたち人間も動物も、基本同じです。年齢と共に代謝は落ち、毒素や不要な老廃物がどんどん体内に蓄積されていき、それが病気の元になってしまうこともあります。わたしたち飼い主ができることの中でも、愛犬の食生活は健康に直結することです。

 

可愛い我が子に元気で長生きしてほしいのは、飼い主みんなの願いです。

 

よかったら、フードやおやつの裏面をチェックしてみてくださいね。

 

 

ライター:福井 惠子

 

関連記事:【ドッグフード】愛犬の「食」を考える(1)~わたしのドッグフードの選び方

 

 


【ドッグフード】愛犬の「食」を考える(1)~わたしのドッグフードの選び方

我が家の愛犬クリンは、14歳になるまで持病というものがありませんでした。また次女のニコも12歳で乳腺腫瘍がわかるまでは元気いっぱいでした。

「その歳まで大病していないなんて、いいね」「どんなことに気をつけていたの?」

そんな風に声をかけていただくことがあります。すごく特別なことをしているわけではないのですが、気をつけていたのは「食べるものを選ぶ」ということです。

とはいえ、すべて手作りで作っているとか、オリジナルで作ってもらっているとかそんな大げさな話ではなくて、自分の知る知識の中で、市販のドッグフードや犬用おやつの選ぶ基準を持っているだけなんです。

 

 

原材料表記は必ずチェック

 

前職で人間の体のしくみなどを勉強していて、そこでサプリメントや健康食品などの商品開発に少し関わることがありました。その際原料メーカーの方から、原材料や原材料表記などについて教えてもらいました。そこでそれまでほとんど知らなかったいろんなからくりがあるということがわかりました。

それ以来、ドッグフードやおやつなどを買う時には必ず「原材料表記」をチェックするようになりました。

 

この原材料ですが、知るととても恐ろしいものもあります。我が家でよく使っているドッグフードの原材料表記を参考にしてみます。

原材料は、多く含まれる順に記載されています。

このフードの場合、一番多く含まれているのが「子羊肉」、次いで「米」「玄米」となります。

このフードを選んだのは、食用肉が使われていること、原材料の中に毒となる添加物が含まれていなかったからです。ハイシニアでも食べやすい超小粒サイズだったのもありがたかったです。

健康の基本は「食べること」「出すこと」「運動すること」です。これに気を付けるだけで、体の状態はかなり変わると考えています。

 

我が家の長女クリンは15歳から強い食べムラがあり、食べてくれるドライフードがなかなかありませんでした。嗜好性の高いフードは大抵添加物が入っていて、それでもなかなか食べない状況だったので、無添加のプレミアムフードはまったくといっていいほど食べてくれませんでした。

お菓子等と一緒で、無添加の味付けの薄いものより、味のしっかりした強い香りのお菓子の方がおいしく感じます。クリンの場合もそうで、シニアになって匂いにも鈍感になっていたこともあり、好んで食べるのはいわゆるジャンクフード的なジャーキーなどで、一時ドライフードはほど食べませんでしたが、このフードは奇跡的に食べてくれましたので、とても安心したことを記憶しています。

 

 

原材料表記のルールを知ろう

 

「添加物は体に悪い」と言います。

できれば摂りたくない添加物ですが、全く使わないとなるとそれはそれで結構大変です。例えば保存料が入っていないと日持ちしませんし、酸化防止剤が入っていないとすぐに酸化してしまいます。

我が家のクリンは肝臓が弱く、何かあるとすぐに肝臓に影響が出てしまいます。食べムラが絶好調の時は、かなり偏った食生活で、その頃は「食べるものなら何でもいい」と思っていました。

実際クリンが好んで食べたのは、添加物たっぷりのジャーキーでした。

 

愛犬用のフードやおやつなどには、添加物が使われているものがたくさんあります。

ホームセンターやスーパーで売っているフードやおやつは添加物が入ったものが多いですが、これはおそらく価格の問題だと思います。ペットショップなどでは「こだわりのフード」や「プレミアムフード」などをコーナーを設けて置いているところも増えてきていますが、一般に売っているフードの2倍以上の値段のものがほとんどです。

 

ホームセンターにも「無添加」を謳っている商品はありますが、原料に加工食品が入っている場合、加工の際に使用した添加物は、「表記しなくていい」ということになっています。わたし調べですが、無添加とパッケージに記載してある商品も、裏面を見るとほとんど加工食品が入っていました。

 

 

加工食品とは?

 

では加工食品について少しお話します。

たとえば「肉類」。これは肉そのものではありません。臓器・副産物なども使用した加工食品です。そして発色剤や着色料や香料など、加工する際に様々な添加物が使われているといわれています。

上の画像は、無添加を大きく謳っているドッグフードです。裏面表記を見てみると、肉類(鶏胸肉・ささみ・砂肝)となっています。

胸肉とささみと砂肝がミックスされているから肉類、と思ってしまいますが、これらを加工する際に使用している添加物は表記しなくてよい、ということなんです。もし添加物を使用していない場合は、肉類という表記にせずに、鶏胸肉・ささみ・砂肝、という表記になります。ということは、肉類に添加物を使用している可能性が非常に高く、全くの無添加であるとはいえないんです。

 

〇〇ミール〇〇ミート〇〇〇〇類調味料なども同じで、これらはすべて加工品であるため、残念ながらどんな添加物が入っているのかわかりません。(上の画像にも油脂類、とあります)

安いペット用食品の中には、工業用の油などを使用していることもあるそうですが、これも加工した原料に入っている場合、表記しなくても良いとされています。

 

わたしたち人間が、添加物が多量に使われている食べ物を長期間食べ続けると想像してみてください。ファーストフードや加工肉、コンビニ弁当やカップラーメンを食べ続けたらどうなるでしょうか。

忙しい時など、手軽に摂れる食べ物はとても重宝しますし、添加物が入った食べ物は嗜好性が高いものが多く、とてもおいしいんです。正直わたしも大好きです。

でもそればかりを食べ続けると、栄養バランスが悪くなります。吹き出物ができたり、下痢になったり、病気になることもあります。

 

これをドッグフードに置き換えて考えてみます。

先述した肉類・ミート・ミール等、よくわからない添加物が使われているドッグフードを与えるということは、知らずに加工食品を食べ続けるということになります。

ちなみに、人間用で使用禁止されている添加物が約300種類あるのに対し、ペットフードで使用禁止されているのは10数種類だといわれています。

使用禁止になるのは、発がん性などの強い健康被害の恐れがあるからです。

すべての添加物が悪いということではありませんが、健康被害の恐れがある強い毒性の添加物を避ける、また不必要な添加物は排除するだけでも、その後は大きく変わると考えています。

 

 

どんなドッグフードがいいの?

 

ドッグフードで一番安全なのは、「ヒューマングレード」のフードです。ヒューマングレードとは、人間が食べることのできる品質が保証されているものです。これは、裏面の注意書きを見るとすぐにわかります。

 

「これはペット用フードです」

「子供の手の届くところに置かないでください」

「子供がペットに与える時は必ず保護者監視の元で与えてください」

「ペット以外に絶対に与えないでください」

 

表現がどんどん強くなっています。表現が強い=人間が食べてはいけないものが多く入っている、というこで、人間に使用してはいけない添加物が使われているということがいえます。

注意書きにこのような表記がないものは、ヒューマングレードであるといえます。実際に犬用で販売されている商品の中にも、全くこれらの注意書きが入っていないものもあります。できるだけ品質の高いものを選ぶ、また表現が弱いものを選ぶ方がより安全性は高いといえます。

 

 

毎日食べるドッグフードは、できるだけ良いものを選ぶ方が先々病気になりにくい、と考えています。

我が家の愛犬は、ドッグフードはできるだけ安全性の高いものを選ぶようにしていました。クリンを我が家に迎えた頃は、プレミアムフードといわれるドッグフードは2~3種類しかありませんでしたが、その中で選んで食べさせていました。

 

とはいえ、我が家でも体に良いものばかりを与えていたわけではありません。

クリンの食べムラで毒性の強い添加物の入ったジャーキーしか食べなかった時のことです。丸2日そのジャーキーしか口にしないことがあったんですが、様子がおかしかったので病院に行ったところ、血液検査で肝数値が1000オーバーとなっていました。

今でもそのジャーキーは好きなようで、食いつきの悪い時などはお世話になることがありますが、そればかり食べるとどうなるかわかっているので、できるだけ使わなくて済むように気をつけています。

 

今ではたくさんの種類のプレミアムフードが出ています。ネット通販などが主流ですが、先述したように最近ではペットショップなどでも取り扱いが増えてきました。

もしフード選びに悩んでいるという飼い主さんがおられたら、一度ペットショップのドッグフードコーナーで、裏面の原材料表示を確認してみてください。肉類・ミート・ミール、~粉・調味料などの加工食品は、実に多くのフードで使われているということがわかります。

そして、表記順もぜひご確認ください。「肉類」が一番に書いてあるドッグフードは、極力避けた方がいいと思います。

 

 

日々の食生活で体の質は変わる

 

わたしたち人間は、食べるもので体を作っています。食べ物の質で体の質は変わります。それは犬もまったく同じです。

毎日家で作ったご飯を食べている人と、コンビニ弁当やファーストフード・お菓子ばかりを食べている人とでは、体の質は大きく変わります。ヒューマングレードのドッグフードを主食とする犬と、添加物が含まれるドッグフードを主食とする犬とでは、歳を重ねるにつれ体の質は大きく変わると考えています。

 

ドッグフードを選ぶ基準は人それぞれですが、多少値が張ったとしても、良いドッグフードを与えていると医療費はかなり軽減できると思います。少なくとも我が家の場合はそうでした。

プレミアムフードといわれるフードは、1㎏ 2000円~くらいの金額で、一般的なドッグフードはキロあたり数百円くらいのものもあります。これを食肉で考えてみてください。

プレミアムフードでも100g 200円です。一般的なフードだと、100g 数十円ということになります。肉の含有量は100%ではありませんし、加工する費用も入っているとしたら、どんな肉を使っているのか想像できると思います。

 

高いドッグフードは抵抗がある、といわれる方もおられますが、コンビニでお弁当を買っても500円くらいします。外食したら1000円はかかります。ドッグフードは小型犬の場合だと1ヶ月 5000円程度、1日に換算すると200円弱で病気になりにくくなると思えば、病院で1回の診察で5000円払うことを思えば、決して高くはないと考えています。

値段がすべてではありませんが、人間の食べるものを選ぶ時と同じ感覚で見てみてください。ある程度値段が高くても、食べるもので体の質が決まるとなれば、絶対に高い買い物にはなりませんし、医療費や体の不具合を鑑みても、トータルで考えれば結果安くつくと考えています。

高いドッグフードを食べていたら絶対に病気にならない、ということではありません。もちろん運動も必要ですし、シニア期に入ったら健康診断を受けて不具合をいち早く見つけることも大切です。ただ自分の経験上、良いフードを選んでいる方が病気になりにくい、と感じています。

 

愛犬が若くて元気なうちはトラブルも起こりにくいですが、シニア期になると、途端に様々な不具合が出始めます。できれば若いうちから良いものを与える方が、後々の結果は大きく変わると思っています。

 

ドッグフードも、今はたくさんのメーカーからいろんなものが出ています。犬種や体質、持病や体調によっても選べるので、うちの子にあったフードを選んであげてくださいね。

 

次回は、添加物についてもう少しお話させていただきます。

 

【ドッグフード】愛犬の「食」を考える(2)につづく

 

 

ライター:福井 惠子

 

 

 

 


【犬の十戒】老犬の飼い主がつくった「老犬の十戒」

わたしはアメブロを通じ、ライターの奥村さんと知り合いました。

奥村さん家には、我が家の愛犬クリンよりも1歳年上のMackくんがいました。Mackくんと奥村さんは、幾度も襲ってくる恐ろしい病魔と闘い、わたしがブログの読者になった時は、ちょうどMackくんが前庭疾患を患い、ほどなくして膵炎を発症し、奇跡的に復活した後に歩行困難になった頃だったと記憶しています。

 

膵炎で入院している時に座ることも立つこともできなくなり、無事退院した頃には完全寝たきりになってしまったMackくん。そんなMackくんに約1年間ずっと付き添い、昨年の10月に18歳4ヶ月で見送られました。

 

 

Mackくんとの絆

 

犬の十戒

 

奥村さんは、小学生の頃にMackくんを家族に迎え、弟としてMackくんを可愛がっていました。

一時家庭の事情により、Mackくんと離れて暮らしていたそうですが、結婚し妊娠中に里帰りをした時にMackくんを迎えにいき、それからずっと一緒に過ごしていたそうです。

Mackくんと共に過ごすようになり、ほどなくして奥村さんは母になりました。赤ちゃんだった娘さんはどんどん成長し、それまではMackくんが娘さんのことを見守っていたのが、立場は逆転していったそうです。

成長していく娘さんと、年老いていくMackくん。できることがどんどん増えていく娘さんと、少しずつ少しずつ体に変化が出てくるMackくん。Mackくんが小さなパピーの頃からずっと一緒に過ごしていた奥村さんは、とても切なかったそうです。

 

みんな平等に歳をとり、平等に老いていく。当たり前のことですが、奥村さんは、家庭の事情とはいえ、一時Mackくんと離れていた時期があったため、Mackくんの体に不具合が出ると、自分のせいかもしれない、と自分自身を責めたそうです。

 

 

不眠不休の介護生活

 

犬の十戒

 

少しずつ少しずつ、Mackくんの体を蝕む病。

前庭疾患を発症してからのMackくんは、それまで自由に動けたはずの体が不自由になり、とても辛そうだったそうです。そして、辛そうなMackくんを見ている奥村さんは、どうすることもできない自分を責めたそうです。

当時のブログには、何もできない自分を責め、不自由な体で排泄さえも自分でできなくなってしまったMackくんを受け入れることに必死な奥村さんの心の叫びが書かれていました。

認知症のような症状も出始め、夜鳴きをするようになってしまったため、ご近所に迷惑にならないよう、夜もほとんど不眠でドライブに連れ出したり、抱っこしてなだめてみたり…

小さな子供がいながら、夜は眠れない生活をずっと続けている中、それでもなんとかMackくんが気持ちよく快適に過ごせるようにと様々な工夫をされていました。

まだ20代の奥村さんが、子育てと介護を両立している姿に、こちらまで心が締め付けられるような思いでした。

 

 

愛犬と共に病と闘う飼い主の心の声

 

犬の十戒

 

寝不足で疲労困憊の中、それでも介護は休めません。ワンワンと鳴き続けるMackさんを前に、泣いてしまうこともあったそうです。そんな中、娘さんとの会話の中で、「犬の十戒」のことを、今のMackくんの気持ちになって考えたそうです。

 

その時にできたのが、「老犬の十戒」です。

 

犬の十戒は、作者不明です。今ではいろんなサイトなどで紹介されていて、たくさんの方がご存知だと思います。

奥村さんは、介護が必要になった愛犬を前に、自分自身が日頃感じている「介護する側の辛さ」ではなく、本当は今まで通り自分の足で歩きたいであろう、自分の力で排泄したいであろうMackくんの気持ちになり、そこで改めてMackくんの辛さを実感したそうです。

 

我が家にも老犬がいます。老犬は、今まで当たり前にできていたことが、気づいた時にはできなくなっていたりします。

正直、我が子同然の愛犬が年老いていく姿はとても辛いですし、現実逃避したくなることもあります。でも、介護は待ってくれません。だから、この「老犬の十戒」をブログに書かれていたのを読んだ時、心が締め付けられるようでした。

 

老犬の介護をしている飼い主さん、また愛犬の病気と共に闘っている飼い主さんに、ぜひ知っていただきたいと思い、紹介させていただきました。

 

辛いのは、介護しているわたしたちよりも、きっと介護されている愛犬の方なのかもしれません。

 

奥村來未さんのブログ記事:老犬の十戒

 

 

 

ライター:福井 惠子

 

 

【犬の投薬】薬嫌いの子でもこれなら簡単!薬の飲ませ方

愛犬情報

犬種:ミニチュアダックスフンド

病名・症状:病院で処方された薬を嫌がって飲まない

発症年齢:15歳

発症の経緯:苦い薬を無理やり飲ませたこと

治療法:自宅で対処

 

 

薬を飲ませる苦労

 

 

我が家のクリンは、14歳の時に足の不具合が出て、その時に苦い痛み止めを処方されました。その薬が苦いことに全く気付かず、無理やり飲ませようとしたことから薬に対する最初の不信感を持たせてしまいました。

15歳になり、炎症数値が上がった時に薬を処方されましたが、この抗生剤がとても苦いものでした。当時通っていた病院では「好きな食べ物に隠して薬とわからないようにして飲ませるといい」とアドバイスされたので、苦い苦い薬を当時好きだった食べ物に隠して無理やり飲ませようとしたことで、一切の薬を嫌がるようになってしまいました。

若い頃は食欲も普通にあり、ご飯の上に薬をトッピングしたらすんなり食べてくれていました。でもそれは、当たり前のことではなかったんです。

 

 

 

【失敗その1】食べ物に薬を仕込む

 

 

薬のことは過去に何度か記事にしています。これは、まさか「食べないこと」「薬を飲まないこと」で自分がこんなに悩むとは夢にも思っていなかったからです。愛犬が若いうちはさほど問題でないことも、ハイシニアになるとご飯を食べないこと・薬を飲まないことは、深い悩みになってしまいます。

特に持病がある場合の投薬は体調にも大きく関わるため、毎回きちんと飲ませたいですよね。

でも、絶対に絶対に絶対に!好きな食べ物に仕込むことだけは避けてください!!

 

好きな食べ物に大嫌いな薬と仕込むのは、食べることそのものが嫌になるきっかけになります。

 

時間になったらご飯を喜んで食べてくれるのは、決して当たり前のことではありません。そして、愛犬がご飯を食べないことは、飼い主の精神に大きなダメージを与えます。

これはわたしだけでなく、多くのハイシニア犬の飼い主さんから同様の話を聞きましたし、皆さん一様に精神的にとてつもないダメージをくらったとおっしゃっています。

 

 

【失敗その2】薬の味を確かめなかった

 

わたしが今通っている病院は、基本無味の薬しか出されません。中には苦みのあるものもあるようですが、その場合は必ず苦みがあるということを教えてくださいます。

でもすべての病院がそうではありません。苦い薬であっても、苦みがあることを教えてもらえないことの方がもしかしたら多いのかもしれません。

犬にも味覚があります。特に甘みをおいしく感じるそうです。でも苦みがわからないということではありません。

そしてとても優れた嗅覚を持っています。一度「苦い」と感じた匂いは決して忘れません。

 

犬の知能は幼児と同じくらい、といわれています。ということは、小さな子供が嫌がることは、犬が嫌がることでもある、と考えればわかりやすいかもしれません。

病院が嫌いな子供は、病院で泣き叫びます。病院が嫌いな犬は、病院で鳴き叫びます。

薬も同じで、一度嫌な思いをしてしまうと、もう二度と普通に飲んでくれなくなってしまうこともあります。我が家はまさにこれでした。

 

ではなぜ薬が苦いと気づいたか…

それは、あまりにクリンが嫌がるので、何が嫌なのかわからず、試しに薬を舐めてみたんです。その薬は、舌がしびれるくらいの苦みがありました…

わたしの場合は、ドッグフードも味見しますので全く抵抗はありませんでした。(自分が味見できない・したくないようなものは、基本与えないようにしています)

 

薬を舐める方法はあまりおすすめできませんが、もし薬を嫌がる子の場合は、薬の味について獣医さんに聞いてみるといいと思います。

 

 

どうやって投薬を克服したのか

 

 

大袈裟なようですが、わたしにとって投薬の悩みは一大事でした。そのくらい悩みまくっていました。

フードのトッピングに匂いの強い缶詰を使い、その中に薬を仕込み、食べたら小躍り、食べなかったら落ち込みまくり…を繰り返していた時でした。

 

クリンはロングヘア―なので、足裏の毛が伸びるんです。以前はバリカンで普通に刈らせてくれていましたが、おそらく振動で関節などに痛みを感じるのか、薬を嫌がるようになった同時期くらいから、カットもさせてもらえなくなりました。

足裏の毛が伸びてしまうと滑りやすくなってしまうので、腰にも負担がかかります。なので、病院で爪切りをお願いする時に一緒に足裏もカットしてもらっていました。

昨年、通信でトリマー2級の資格を取ったんですが、カットの練習をしている時にふと、トリミングをしてもらっている時のことを思い出しました。高いところにリードをくくりつけて落ちないようにしていますよね。

それまでは床でカットをしていましたが、ある時ハーネスをつけてキッチン台の上に乗せ、キッチン上の収納の取っ手にリードをくくりつけてみたんです。すると、クリンはほとんど抵抗することなく、足裏の毛をカットさせてくれました。

 

 

そして、今の病院に移り、手術を受ける前、クリンが薬を飲めないという話をしていたので、看護士さんが「シリンジ」を使って薬を飲ませてくださったんです。

 

目の前でシリンジで薬をいとも簡単に飲ませる看護士さんを見て、「これだ!」と思いました。

犬は高いところが苦手です。そしてトリミングを受けたことのある子なら、高いところに載せられてリードで固定されることに慣れています。

わたしは帰宅して、さっそく病院でいただいたシリンジを出し、薬をすりつぶし、ぬるま湯で溶いてシリンジにセットしました。そしてリードをつけたクリンをキッチン台に乗せ、リードを取っ手にくくりつけました。

そして、口の横の犬歯と奥歯の間の「歯のないところ」にシリンジの先を入れて、薬を少しずつ流し込んだら………

 

ほとんど抵抗せず、飲んでくれました!!!!

 

最初は多少嫌がりましたが、自分のお腹をクリンのお尻に当ててそれ以上後ろに行けないようにし、右手にシリンジ、左手はクリンの顎を持ち、顎を少し上げた状態で少しずつ少しずつ薬を飲ませました。

それまで薬を処方されることがストレスでしたが、この方法で飲ませることができるようになり、とても楽になりました。

もし今、愛犬が薬を飲んでくれないと悩んでいる方がおられたら、この方法は本当におススメです!

 

 

【図解】薬の飲ませ方とポイント

 

【準備するもの】

★シリンジ(小型犬の場合なら5mlのシリンジ) ※ネットで「シリンジ 5ml」で検索すると出てきます

★薬(錠剤は事前にすりつぶしておきましょう)

★薬をすりつぶすための乳鉢や錠剤クラッシャー ※錠剤クラッシャーは1000円弱でネットで買えます

 


 

①薬をティースプーン1杯弱(約4㏄)のぬるま湯でよく溶かします。苦みのある場合や、薬に抵抗のある子の場合は、少量の砂糖を混ぜると口に入った時に甘みがあるので抵抗を最小限にすることができます。溶かした薬をシリンジで吸います。空気が入った場合は、口を上にして本体部分を爪でたたくと薬液が下に落ちますので、空気を抜いてください。

 


 

②ハーネスとリードをつけた愛犬をキッチン台の上に載せます。リードはキッチン上の収納扉の取っ手などにくくりつけます。

【POINT1】犬は家ではわがままを通そうとする場合があります。床の場合だと逃げ場があり、嫌がって暴れることもあります。慣れるまでは、できるだけ作業のしやすい高さで、リードをくくりつけるところがあるキッチン台がおすすめです。

【POINT2】リードはピンと張った状態にすることも大切です。緩んでいると、暴れて下に落ちてしまう恐れもありますので、キッチンの上に載せたら、目を離さないようにしてください。

 


 

③マズル横のくちびるをめくり、犬歯と奥歯の間の歯のない部分を確認します。

【POINT】歯のない部分は、シリンジの先を差し込みやすく、もし噛もうとしても歯がない部分なので噛むことができません。

 


 

④シリンジの先を犬歯と奥歯の間に入れ、少しずつ薬液を流し込みます。もしむせてしまったら一旦手をとめて、落ち着いたらまた少量ずつ入れていきます。一気に入れるとむせてしまうので、少し入れて手を止め、ごくんと飲み込んだらまた次、という感じで入れていきます。

【POINT1】リードを固定しても動いてしまう子の場合は、飼い主さんは犬の若干後ろ側に立ち、飼い主さんのお腹を犬のお尻の部分に当たるようにすると、落ち着いてくれます。もし全然嫌がらないようであれば、前側からマズルをめくってシリンジを差し込んでも飲んでくれます。

【POINT2】犬の顎を少し持ち上げると、薬液がこぼれにくいです。うちの場合は、犬の後ろ側に立ち、お尻にお腹をつけ、左手は犬の顎、右手はシリンジを持っています。

 


 

本当は写真を撮りたかったのですが、1人でやっているのでなかなか撮れなかったため、イラストで紹介しました。ちなみにあだ名は画伯です。デッサン狂ってるのはどうかスルーでお願いします(笑)

 

 

 

ライター:福井 惠子

 

 

【シニア犬(老犬)の食べムラ】我が家の秘密兵器

愛犬情報

犬種:ミニチュアダックスフンド

病名・症状:食べムラ・食い渋り・食欲不振

発症年齢:15歳

発症の経緯:投薬の失敗・子宮の不具合(痛み)・歯石による食欲不振

治療法:飼い主の工夫

 

 

飼い主を悩ませる「食べムラ」

 

我が家の愛犬クリンは、15歳の時の体の不具合と投薬により、強烈な食欲不振に陥りました。

きっかけは足の痛みでしたが、その時の投薬(超苦い痛み止めと超苦い抗生剤)を食べ物(好物)に隠して与えようとしたことが原因で、食べ物に不信感を持ってしまいました。

飼い主の失敗により、「食べること=苦いものを無理やり口に入れられる」とインプットされてしまったことで、口さえ触らせてくれなくなってしまいました。

ご飯を食べないことは、重篤な病の宣告をされるのとはまた種類が違うのですが、シニアになってご飯を食べない=このまま衰弱してしまう、という風に考えてしまい、めちゃくちゃ精神的に堪えます。

我が家の場合は少しずつ信頼関係を作り直すところから始め、ご飯と薬を完全に分けて与えるようになり、今では食べることへの不信感は払拭できましたが、食べムラだけは残ってしまいました。

クリンが食べるかどうかは、ご飯の時間になってみないとわかりません。以前は起きてすぐにご飯を食べてくれましたが、今はクリンがご飯を食べるまでの時間を想定し、用事がある場合はでかける3時間前には起きないといけなくなりました。

 

飼い主の生活にも大きく影響してしまう食べムラですが、数年付き合ううちにこちらにも知恵がつき、様々な小道具を使って比較的すんなり食べてくれるようになりました。

今回は、我が家で使用している、食い渋る時に使っている小道具とトッピングを紹介させていただきます。

 

 

食欲をそそる「匂い」

 

クリンはおかあさんに丈夫に産んでもらったようで、昨年末の手術の時に歯石ケアをしてもらった時、抜歯は1本だけで済みました。その他の歯はぐらつきもなく問題ないとのことで、今でもドライフードを食べてくれています。(手術の記事はこちら

 

手作りフードがいいという話も聞きますが、うちの場合は食べてくれないということと、栄養バランスを考えるのが大変なので、食べてくれるうちはドライフードを使おうと思っています。ただ噛む力は弱くなっているので、超小粒サイズのドライフードを与えています。

元々ドライだけでは食いつきは悪かったので食べムラ以前からトッピングはしていましたが、今はドライフードだけでは絶対に食べません。なのでトッピングは必須なんです。

 

14歳までは市販の缶詰をフードにかけて、上に薬をおいても食べてくれていたんですが、ここ数ヶ月は市販の缶詰やレトルトパウチなどは全く食べなくなってしまいました。

なので、最近は手作り系(鶏肉・牛肉・豚肉等)のボイルやソテーにしたものをトッピングに使ったり、ジャーキー系のものをトッピングに使用しています。

 

ジャーキーはうまみが凝縮しているようで食いつきはとてもいいです。

最近はふりかけ系も充実していていろんな種類の商品があり、以前は使っていましたが、開封したてはものすごく強い香りでも日数が経つにつれどんどん香りが弱くなり、食いつきも悪くなっていくんですよね。

食欲を刺激するのに一番効果的なのは「匂い」。なので匂いが強くなる方法を色々考えてみました。

 

 

うちで使っているトッピングと秘密兵器①

 

これが今一番ホットなジャーキーです。鴨肉のジャーキーで、鶏肉よりも匂いが強く、開けた瞬間めっちゃ食いついてきました。これは鴨ささみ肉がカットしてあるタイプです。あまりに食いつくのでつい大人買いしてしまいました(笑)

 

 

 

こちらは砂肝ジャーキーです。これは砂肝がそのまま乾かしてあり、かなりハードタイプになります。

 

これらをトッピングに使用していますが、このままだと固いし大きいしでどちらも食べることはできません。大きなものも固いものも、食べようとはしますが、ポロっと落としてしまうんですよね。一度落としてしまうと、食べられなかったことにショックを受けるのか、それから食べてくれなくなってしまうこともあります。これは性格もあると思いますが、クリンにとっては「今までと同じように生活している」ということが大切なことのようなので、「できないこと」を増やさないようにするために、こちらで工夫してできることは先回りしてするようにしています。

 

 

そこで、1つ目の秘密兵器の登場です。

 

ニッパーです。ホムセンなどで100円くらいで売っているものです。ニッパーは固いものを簡単に切れるので、砂肝などはこれで小さくカットして食べさせています。

最初からカットしてあるものを買わないのは、ものが大きい方がカットしてあるものよりも匂いが強いように思うからです。いつも食べる直前にパチパチとカットして、フードの上にふりかけています。

カットすると、切り口は新鮮なので結構匂いが強くなります。なのでこれもかなり有効な方法です。

 

 

我が家の現在最強の秘密兵器

 

ずっとニッパーを使っていましたが、これでもやっぱり食い渋りが出てしまうことがありました。

そこで、匂い立たせるための方法を考えてみたんです。焼く・煮る・あぶる……そう、熱を加えれば匂いは強くなるぞ!という結論に達しました。

 

そして、我が家の最強の秘密兵器ができました。

 

 

それは、おろし金です。

これでジャーキーをすりおろすと、封を開けて多少時間が経っていても、すりおろす際の熱で瞬時に匂い立たせることができるんです。

ちなみに、最初は100均のプラスティックのおろしを使っていましたが、あまりに固いため、とんがっている部分が折れてフードの中に混ざってしまったんです。

すぐに見つけることができたので事なきを得ましたが、間違って食べてしまうと大変なことになるかもしれません。なので、強度のあるステンレスのおろし金を探して購入しました。

これは固い砂肝ジャーキーでも楽々すりおろすことができます。ありがとう、おろし金。

 

おろし金ですると、とても細かいふりかけになります。匂いは強いですが、もう少しジャーキーっぽさを出すことと、ザラっとした食感を混ぜることでドライフードを違和感なく食べてくれるように、ハサミでジャーキーをカットしてフードの上にふりかけるようにしています。フードだけになってしまうと残してしまうこともあるので、食べている途中でトッピングを追加して、フードを残さないように工夫しています。

 

 

【参考】簡単自家製ふりかけを使った食べさせ方

 

 

 

これが実際にすりおろし&カットしたジャーキーです。

うちの場合、最初からフードの上にかけても食べてくれません(涙)

長年の食べムラでどうも癖がついてしまったようで、すんなり食べてくれることはほとんどないため、まずはトッピング選びから。数種類あるトッピングを、ローテ―ションでくるくる回すようにしています。

鴨肉ジャーキーの場合は、まず小さな一口大にカットしたものを食べるか確認し、食べてくれたらふりかけを作ります。

ふりかけだけをまずは食べさせて、食べてる間に別のお皿に出したフードの上にジャーキーをシャカシャカとふりかけ、それをスプーンで少しずつ横から足していきます。

コツは、最初に入れるフードはトッピングたっぷりにすること。これでうやむやになるようで、結構フードをすんなり食べてくれるようになりました。

フードを食べたら、あとは残ったフードを追加していくだけで、普通に完食してくれるようになりました♪

 


 

かかりつけの獣医さんによると、ハイシニアの食べムラや食い渋りは当たり前に起こるそうです。人間も歳をとると食の嗜好が偏ってしまうことがありますが、それと全く同じだそうで、今までおいしいと感じていたものもおいしく感じなくなったり、嗅覚が衰えてくることでより匂いの強いものを好む傾向が出る場合もあるそうです。

誰でもいつかは歳をとります。歳をとるとわがままになってしまうのは人間も犬も同じ。なので、自分が付き合える範囲であれば、食べたいものを食べたい時に食べてもらうのが一番かなぁと考えています。以前は食べないといちいち落ち込んだりしていましたが、3年も付き合ってると耐性がつき、今は1食くらい抜いてもいいか、くらいに思っています。

ただ体重が減っている時やあまり体調が優れないような時などは、体力を維持するためにシリンジで与えるようにしています。シリンジを有効活用することで、わたしの生活もかなり楽になりました。

ちなみに薬もシリンジで与えています。シリンジを使った投薬と給餌方法はまたあらためて紹介させていただきますね。

 

食べムラで困っている方はとても多いようで、よく耳にします。どうか少しでも参考になりますように。

 

 

ライター:福井 惠子

 

 

【犬の心臓病】咳をしたら要注意

愛犬情報

犬種:ミニチュアダックスフンド

病名・症状:僧帽弁閉鎖不全症

発症年齢:14歳

発症の経緯:咳やくしゃみが頻繁になる

治療法:投薬

 

 

これってただの風邪?

 

我が家の次女ニコは、14歳の時に僧帽弁閉鎖不全症と診断されました。

ニコは12歳の時に乳腺腫瘍が見つかり、腫瘍摘出と子宮摘出手術を受けました。それまで大きな病気をすることもなく過ごしていたので、初めて診断された時はとても驚きましたが、手術以降は大きな変化もなく過ごしていました。

ニコが14歳になった時、ちょうどクリンの体調不良の時期でクリンに時間をとられていていた時です。よくニコが咳(おじさんが痰を吐くような咳)をしていることに気付きました。

最初は何か変なものでも食べたのかなと思って気にしていませんでしたが、あまりに頻繁にするので、クリンの通院の時に病院に一緒に連れて行きました。

 

症状を伝え、聴診器とエコー検査と血液検査を受けました。ただの風邪だろうと思っていたわたしは、その病名を告げられて驚きました。

 

 

僧帽弁閉鎖不全症とは

 

僧帽弁閉鎖不全症について、他サイトの記事を引用させていただきます。

 

加齢で起こる弁の閉鎖不全

今回の病名で出てくる僧帽弁とは、左心房と左心室の間にある弁の名前です。心臓内には血液が逆流しないように、各部屋の間と動脈に行く前に大きな弁が四つ存在します。僧帽弁はその一つです。僧帽弁閉鎖不全症は、名前の通り僧帽弁が閉鎖せず、血液が左心室から左心房に逆流してしまう病態です。

僧帽弁閉鎖不全症の原因として最も多いのは加齢による弁の粘液腫様変性で(※1)、簡単に言うと弁同士の噛み合わせが悪くなって弁の役目を果たせず、血液が行ってはいけない方向に流れるということです。

出典元:PETOKOTO 犬の僧帽弁閉鎖不全症の症状やステージ、手術・治療法など認定医が解説


 

歳をとると、体の機能も低下します。内臓の働きも悪くなるため、様々な機能障害や病気を発病してしまうこともあります。

心臓は、心筋(心臓筋)といわれる筋肉で心臓壁の大部分を構成しています。心臓は、心筋が収縮して血液を送り出していますが、年齢と共に動きは悪くなっていきます。

特に高齢の小型犬に多く発症するようで、発症してすぐはほとんど症状がないため、全くわからないこともあるそうです。まさに我が家の場合もそうでした。

咳のような症状が出始めていると、かなり症状が進んだ状態である場合が多いようです。

ニコの場合も、聴診器を当てて聞いただけでかなり大きな雑音だったそうです。

 

 

症状の見逃しは多頭飼いで起こりやすいかも

 

ニコが発症した時、ちょうどクリンの食べムラで悩んでいた時と重なっていました。言い訳になるのですが、この時はクリンの食べムラで半分ノイローゼのようになっている時で、ニコの変化にすぐに気づいてあげることができませんでした。

健康診断は受けていましたが、血液検査で異常がみられなかったので見逃していました。病院ではこちらから申し出ないとエコーやレントゲンまでは撮らないと思います。費用もかさみますし、基本は飼い主の申告で検査をするからです。

うちの場合は、咳をしていることが多くて、なんでこんなに咳をするのだろうと思ってからだったので、もしかしたら数ヶ月は気づいていなかったかもしれません。クリンの方にかなり手がかかっていたこともあり、気がついた時には結構進行していたのだと思います。

我が家は3頭の愛犬がいますが、一番上のクリンは一番高齢でもあるのでどちらかといえば過保護になっています。そして一番下のみのすけは、虐待されていたという過去もあり、ついつい甘やかしてしまいます。

ニコはいわゆる中間子。真ん中でしかも全然手のかからない子なので、どこかで「この子は大丈夫」という考えがあったように思います。12歳で手術した時はめちゃくちゃ焦りましたが、喉元過ぎればなんとやらで、ご飯も毎日しっかり食べてくれるし、出すものもしっかり出してくれていて、一見何も問題ないように見えたのも、見逃した原因のひとつだったと思います。

それとニコはアレルギーも持っていて、埃などでも結構咳をすることは珍しくなかったことも原因のひとつでした。今となってはすべて言い訳ですが。

診断を受けてからは投薬で咳も治まり、進行をゆっくりにはできていると思います。でももっと早く気づいてあげることができたら、もしかしたらもっと軽くで済んだかもしれない、と考えてしまいます。

 

 

早期発見が寿命と医療費を安くするコツ

 

自分の実体験と後悔があるので、咳をしている子を見かけると「病院で検査した方がいいですよ」とつい言いたくなります。ホームセンターなどでワンちゃん連れでお買い物をしている方の会話が漏れ聞こえてきたことがあったのですが、ワンちゃんが咳をしていても、この子よく咳するのよねぇ、なんて話をされていたらもう言いたくて言いたくて仕方なくなります。でもいきなり知らない人から「心臓病かもしれません」なんていわれたら失礼だと思われるかと思ってなかなか行動に移せません…

 

僧帽弁閉鎖不全症は特別な病気ではありません。高齢の小型犬は特に罹りやすい病気であるといわれています。早い子であれば7歳を過ぎた頃から、10歳を超えると罹患率は大幅に増加します。

 

もし愛犬が咳をしていたら、その咳が数日続いているようであれば、一度獣医さんで診察を受けてみてください。

病院によっては毎回聴診器をあてないところもあると思いますが、雑音は聴診器で聞くとすぐにわかるそうです。

早めに治療すれば、進行を抑えることができます。心臓は一度悪くなってしまうと元に戻らない臓器。心疾患は「ガン」に次いで死亡率の高い病気です。

そしてこれはどの病気にも言えることですが、悪化すればそれだけ検査費用も薬代も高くついてしまいます。

心臓の病気は、初期の場合はほとんど症状がないため、特に見逃しやすいと思います。アレルギーなどを持っている子や、喉や胃腸が弱くて結構咳をする子の場合は特に見逃しやすいと思います。

 

おじさんが痰を吐くような咳は、大きなサインのひとつです。もし思い当たることがあれば、早めに病院で検査を受けることをおすすめします。

 

 

ライター:福井 惠子

 

 

【犬のセカンドピニオン】わたしが転院した理由(3)

愛犬情報

犬種:ミニチュアダックスフンド

病名・症状:胆泥症/子宮蓄膿症

発症年齢:14歳/15歳

発症の経緯:ヒート症状から食欲不振 陰部の腫れ

治療法:投薬治療(2年間)→17歳9ヶ月で手術

 

関連記事:

【セカンドオピニオン】わたしが転院した理由(1)

【セカンドオピニオン】わたしが転院した理由(2)

 

 

驚きの診断内容

【セカンドピニオン】わたしが転院した理由(3)

 

初めて訪れたその病院は、今まで行ったことのないような雰囲気でした。

待合とつながった診察室。間仕切りのない診察台がいくつも並び、複数人のドクターと忙しそうに走り回るたくさんのスタッフの方たち。その中で、ひときわ大きな声で指示を出されていたのが院長先生でした。

初診で見ていただいた先生に、抗生剤投与しても8ヶ月CRPが下がらないこと、心臓の薬を飲んでいること、胆泥症であること、子宮水腫の治療をしていること、胆管肝炎と診断されたこと、わたしは歯が悪いのではないかと思っていること、2年以上食べムラに悩んでいることなどをお伝えし、持参した前の病院の検査結果などをお渡ししました。

まずはきちんと診断した方がいいということで、CT(無麻酔)とレントゲン、血液検査・心電図・血圧・エコーでの検査をすることになりました。

血液採取してCTとレントゲンを撮った後、院長先生が来てくださり、先生から状態の説明をしていただいた後、ちょっと触らせてとクリンの体を触られました。

「この子、子宮に痛みがあるよ。だからご飯食べないんじゃない?」

なんと1分もかからず、食べムラの原因を究明してくださいました。そして検査の結果、子宮はすぐに取った方がいいといわれました。

心電図の結果、不整脈があることがわかりました。そして中度の水頭症であることもわかりました。胆泥症は軽度でこのまま投薬でいいとのこと、そして重度のヘルニアであることがわかりました。

前の病院に行った3日後だったのですが、その時に2週間効く抗生剤を注射してもらっていたため、CRPは高いけどクリンの負担になるから2週間経ってからでないと何もできないといわれました。

痛みがあること、アリジンでの治療が2年続いていることなどから、もしかしたら子宮が癒着しているかもしれないこと、エコーで診た限り少し腫れがあるようなので、これ以上アリジンでの治療は効果が期待できないかもしれないこと、歯の状態がかなり悪いため、炎症は歯の可能性もあること、きちんと治療したいなら手術しかないことなどの説明を受けました。年齢的にももう猶予はないため、決断するなら早い方がいいといわれました。

そして、ものすごく分厚い本を持ってきてくださいました。それは獣医さん用の薬の辞典のようなもので、今まで使っていた薬をひとつひとつ説明してくださいました。

 

 

炎症の原因と術前の準備

【セカンドピニオン】わたしが転院した理由(3)

 

抗生剤には種類があり、どういった炎症に効くか、どの臓器に負担がかかるのか、薬の種類により効果がない炎症があるため、どこで炎症が起こっているかを把握して薬を選ばないと、効果はないのに臓器に負担だけがかかる、ということを教えてもらいました。クリンが受けていた2週間タイプの抗生剤は、歯には効かないタイプの抗生剤とのことで、8ヶ月間も下がらないところをみると、炎症は歯で起こっている可能性が高い、といわれました。

それまで原因のわからなかった炎症の原因に見当がついたことと、食べムラの原因がわかったことで、わたしの決心は固まりました。この先生にクリンの命を預けよう、そう心に決めました。

手術を受けることを伝えると、まずは2週間の薬が切れるのを待つこと、不整脈があるため、寝ている時に不整脈が乱発していると麻酔のリスクが高まるため、24時間心電図で事前に調べておくこと、そしてもしもの時の場合の処置ができるかどうか、血液の流れをよくする薬を投与し、状態を確認しましょうといわれました。

 

心電図の結果、不整脈はあるものの、大きな問題はないということでした。血の検査も問題なし。あとは手術の日を待つばかりとなりました。

「15歳で子宮水腫がわかった時すぐに手術をしておけば、クリンはこんなにしんどい思いをしなかったのかもしれない。」

この時に、選ぶ病院でここまで差があるということを痛感しました。

前の病院も決して悪いところではありませんでした。わたしの友人も何人か紹介しましたが、転院して命を救われた子もいました。もしかしたら、14歳でセカンドオピニオンを受けた時に「手術を受けるのが怖い」という入口だったから、手術をしないという前提になってしまったのかもしれませんし、手術に自信があるからこそ、できるだけリスクを避けてギリギリまで待つという方針になったのかもしれません。

 

まもなく18歳を迎える高齢の子に積極的治療を提案するのはかなりリスクが高いと思います。でもその病院では、15歳16歳で手術する子はたくさんいて、高齢での手術がはそう珍しいことではないとのことでした。クリンの胆泥症がわかった14歳の時、子宮の異常がわかった15歳の時、もしこの病院を知っていたらきっと治療法は違ったと思うと、心の底から後悔しました。

クリンは、最初に病院を訪れてから約3週間後の11月3日に手術を受けることになりました。年齢的にも急変に備え、他に手術が入っていない日でドクター2人体勢で手術をしてくださるとのことでした。

この日から、手術前日までは祈るような気持ちで過ごしていましたが、一方で転院してから食欲も旺盛になり、元気に過ごしているクリンを見て、「きっと大丈夫」そう思えました。

 

 

手術を受けてからの変化

【セカンドピニオン】わたしが転院した理由(3)

 

手術当日、抱っこされて手術室に向かうクリンを祈るような気持ちで送り出し、待つこと1時間。

先生からは「心臓の様子によって、歯の治療はできないかもしれない」と言われていましたが、無事歯石を取り、1本抜歯をしていただくことができました。

摘出した子宮も見せてもらいました。1ヶ所腫れている部分がありそこに痛みがあったのではないかということ、癒着はしていなかったこと、歯の状態は思ったほど悪くなかったけど歯石はかなりひどい状態でおそらく痛みもあったであろうこと、そして年齢的にも術後の急変も考えられる状況であるため、今日は終日病院で様子をみましょうといわれました。

 

クリンは麻酔の影響でぐったりしていましたが、1時間後には自力で起き上がりました。

【セカンドピニオン】わたしが転院した理由(3)

 

長い1日が終わり帰宅すると、足元はおぼつかないながらよたよたと歩いてくれて、クリンの生命力にとても感動しました。傷口が癒着してしまうためできるだけ動くようにといわれてたので、翌日からお散歩再開。傷口が突っ張るのか本調子ではないものの、クリンは走ろうとするくらい元気でした。食欲はなかなか戻りませんでしたが、術後4日目でやっとご飯を完食してくれました。術後初めてご飯を食べた時、「あれ?」という顔をしたんですよね。大きな歯石がべったりついていて、それが歯茎に食い込んで痛みがあったようだといわれていたので、きっといつもの痛みや引っかかりがないことに気付いたのだと思いました。歯石も食べムラの原因であったのだと思いました。

 

病院を変わってから、クリンに良い変化がありました。まずは食べムラ。それまでよりも明らかに食欲が戻りました。特に通院から帰宅した後はなぜか食欲が増していて、帰るなりガツガツと食べてくれることもありました。もしかしたら今の病院で痛みがあることを最初にわかってもらえて安心したのかもしれない。そう思いました。

実はクリンが下痢をしたので昨日も病院に行ったんですが、少し食べムラがあると伝えたところ、体を触ってすぐに❝ヘルニアの痛みが原因だと思うから、ヘルニアの注射と鍼治療をして痛みを取ったら食欲は戻ると思いますよ❞といわれ、治療を受けたところ、昨夜はしっかり食欲が戻りました。

 

犬は話ができませんので、飼い主は愛犬のしぐさや表情から推測するしかありません。前の病院はクリンにとって良い思い出がないのかもしれませんが、同じようなに嫌なことをされても痛い思いをしても、それでも震えたり嫌がったりすることはなくなりました。クリンはわたしに自分なりに伝えていてくれていたのだと思うと、本当に申し訳ない気持ちでいっぱいになりました。

 

 

飼い主だからこそできること

【セカンドピニオン】わたしが転院した理由(3)

 

手術を受け、クリンは今まで以上に元気になりました。今でも食べムラは多少ありますが、以前と比べるとかなりご飯を食べるまでの時間は短くなりました。体の悪いところをしっかりとわかってくださっていて、飼い主のわたしにもわかるように伝えてくださるので、本当に安心してお任せすることができます。

 

今の病院に移り、薬によって負担がかかる臓器が違うことや、症状に合わない薬を投与しても効果は全くないということを知りました。誤診で間違った治療を続けていても、症状は全く改善されず、ただ体に負担がかかるだけということも痛感しました。

そして、高齢であっても積極的治療ができるということを知りました。

 

わたしの友人は、愛犬の不具合である病院を訪れ、きちんと検査を受けないままに手術を受けました。そして開腹して何もできないまま閉じたそうです。手術を受ける前にはCTを撮るなど、病変をもっと詳しくみてからというのが一般的ですが、その病院ではエコーだけで手術に踏み切ったそうです。そして「うちでできることはない」と退院させられたそうです。

その病院はとても綺麗で、結構流行っているとのことでした。

 

今回の件で、わたしは知人からの口コミにとても救われました。もし情報がなければ、きっと病院を変わることはなかったと思いますし、今クリンと一緒に過ごせていなかったかもしれません。

 

ネットは情報が溢れています。口コミサイトもありますがほとんどは匿名で、中には自作自演のものもあると聞きます。リアルな情報かどうかも正直わかりません。そしてどの情報をチョイスするのかにより、結果は大きく変わってしまいますが、もちろんそれは自己責任。ネットは手軽ではありますが、発信されている情報がすべて正しいとはいえないんですよね。

だからこそ、愛犬家同士のリアルなつながりは大切だと考えています。

 

もし今、セカンドオピニオンを考えておられる飼い主さんがおられたら。

近所のドッグランに行って他の飼い主さんと動物病院の情報を交換したり、周りに犬を飼っている方がいない場合は、ネットで愛犬ブログをやっておられる飼い主さんを探し、コンタクトを取ってみるといいかもしれません。闘病を経験している飼い主さんは、情報の宝庫です。いろんなことを試されたり工夫されているので、お話を伺うだけでも参考になります。

なにより、愛犬家の皆さんはとても優しくて、とても親身になってくださいます。

 

どうかお一人で悩まないでください。必ず手を差し伸べてくれる優しい飼い主さんがおられますから。

 

 

ライター:福井 惠子

【犬のセカンドオピニオン】わたしが転院した理由(2)

愛犬情報

犬種:ミニチュアダックスフンド

病名・症状:胆泥症/子宮蓄膿症

発症年齢:14歳/15歳

発症の経緯:ヒート症状から食欲不振 陰部の腫れ

治療法:投薬治療(2年間)→17歳9ヶ月で手術

 

関連記事:【セカンドオピニオン】わたしが転院した理由(1)

 

初めての入院

 

クリンは2015年10月24日に入院しました。点滴の針を刺されて、冷たいステンレスのケージの中に入ったクリンを見ているだけで悲しくて悲しくて、やりきれない思いでいっぱいでした。

当初膵炎の疑いといわれてましたが、血液検査でリパーゼの数値が上がることはなく、おそらく膵臓と胆のうが合流しているあたりが炎暑を起こしているのであろうとのお見立てでした。

その病院は、先生が年中寝泊まりされているとのことで、何かあれば連絡をくださるとのことで安心して預けることができました。入院中はほぼ1日2回病院にご飯を持って通いました。点滴の針は入院して2日後に抜いてもらいましたが、全く食欲がない状態で、先生が強制給餌でフードを食べさせてくれていました。嫌がって暴れるクリンを無理やり押さえて食べさせるため、胸元はウェットフードでガビガビになっていました。

当時の自分には押さえつけて食べさせることはできませんでしたので、食べさせてもらえるだけでありがたいと思っていました。毎日薬を飲んで血液検査をしていましたが、CRPはなかなか下がらず、体重はとうとう3㎏を切り、2㎏台になってしまいました。

その時に先生から「死の宣告」をされました。

面会に行くと嬉しそうにこっちに来てくれるし、顔を見ていると元気そうだったんですが、これほどまでに食べない子はなかなかいないし、何よりも食欲がないという状態はとても怖い状態だといわれました。

相変わらず食べない日が続いていましたが、入院して1週間が経った頃くらいからようやく炎症数値が下がり始め、エコー検査は問題なし、血液検査も特に悪い数値は出ておらず、CRPが2を切ったら一旦退院しましょうといわれました。

 

ちょうど入院して2週間経った頃、病院のスタッフの方が「退院した方が食べるようになるのでは」と言ってくださり、CRPはまだ少し高めではありましたが、11月4日に一旦退院することになりました。

帰ってきたらびっくりするくらい元気になり、帰宅後はなんと2食もりもり食べてくれました。

とはいえ年齢的には決して楽観できないと思い、食べないと病院に行って点滴をしてもらう日々は続きました。ムラはあるものの、ご飯も食べてくれるようになり、ホッと一安心でした。

 

 

ヒートと陰部の腫れ

退院後は食欲も戻り、16歳の誕生日を元気に迎えることができました。体重も3㎏台になりました。

ところが5月になり、また強い食べムラが出始めました。ここから現在までの約2年近く、ご飯の時間になったら普通に食べに来てくれるということはなくなりました。そして、ヒートではないのに陰部が付いている部分が腫れるという症状が出てきました。(陰部が垂れ下がる感じ)

病院に行って診てもらいましたが、子宮の腫れはなく、点滴と抗生剤の注射をするだけで、なぜ陰部が腫れているかなどの話はありませんでした。その頃から少しずつ不信感が芽生えていましたが、ずっとお世話になっていることもあり、自分の気持ちにフタをするようになりました。

それからも陰部が腫れることはありましたが、時間と共に治まることもあり、それからはヒートのような症状が出たらアリジンを打って、食欲が落ちたら点滴をするという治療が続きました。

アリジンは、最初の時は目に見える効果がありましたが、2回目・3回目と回数を重ねていくごとに効果を感じることはありませんでした。ただ子宮蓄膿症を発症することもなく、なんとなく状態が安定していたので、その治療を維持していました。

そして2017年、17歳の誕生日月にワクチン注射と検診に訪れた時、血液検査でCRPが上がっていることがわかりました。

 

 

理由のわからない炎症

当時、食べムラと陰部の腫れ以外に気になることがひとつありました。それは「歯」です。

ご飯を食べた後などに、クッションなどにマズルをこすりつけるようなしぐさをよく見せていました。実際クリンの歯は歯石だらけで、奥歯の頬側には大きな歯石が固まりとなってべったりついていました。歯のケアをしたかったのですが、投薬の失敗からクリンは一切口周りを触らせてくれなくなっていたので、隙を見て唇をめくって状態を見るくらいしかできませんでした。

もう少し若ければ歯石除去をお願いしたかったのですが、年齢的に難しいと思っていたので、取れそうなところだけ取ってもらえないか病院で頼んだことがあるのですが、なかなかやってもらえませんでした。

 

CRPが上がっている原因は「子宮」だろうとのことで、アリジンと炎症を下げる薬を注射してもらいました。この時点で約3年通っていたのですが、最初の頃に比べて診療が雑になっているように感じていました。

「本当に子宮なのだろうか」と思っていましたが、言い切られてしまうとなかなかそれ以上聞けなくて、2週間効くタイプの抗生剤と点滴を打ってもらっていました。

ここから10月まで、ずっとこの治療が続きました。いつまでも下がらない炎症数値。血液検査をしても特に異常はなく、ただCRPが高いだけ。たまにこちらから子宮と胆のうの状態を見てほしいとお願いしてエコーで確認してもらうことはありましたが、大きな変化もなく、ヒートっぽい症状が出たりきつい食べムラが出たりするとアリジンを打って様子見していました。

 

 

8ヶ月間続く不調

 

8ヶ月にも及ぶ抗生剤投与と点滴。でも炎症数値は改善されず、下がっても1を切ることはなく、食べムラや食い渋りがひどくなることもありました。2月から数えると通院は20回を超えていました。

9月半ばに改めて炎症の原因について、先生に聞いてみました。エコー検査と血液検査を受け、先生の答えは子宮と胆のう炎ではないか、ということでした。そして自宅で皮下注射をする方法を提案されました。

もしかしたら歯が原因ではないかと思っていたので、歯を診てほしいということ、そして歯石もできる範囲でいいので何とかしてもらえないか、とお願いしました。

しかし、歯は診てもらえませんでした。理由は、「噛むから」でした。

実は転院してきてすぐの頃、クリンの歯石を麻酔なしでペンチのような器具で割って取ってくださったことがあったんです。それを見ていたので、簡単に取ってもらえるのでは、と考えていました。

長い治療の中でいろんな「嫌なこと」が積み重なり、クリンにとって病院そのものがストレスになっていたのだと思います。病院に行くととても嫌がるようになってしまっていました。

この時、これ以上クリンを診てもらうのは難しいと感じました。

実はずっと心のどこかで「このままではクリンは治らないかもしれない」と感じてはいました。でもそれまでの経緯や、入院した時にお世話になったから…重篤な状態の場合深夜でも連絡がとれるから…もし手術をすることになったらほかの病院では受けてもらえないかもしれないから…と、転院しない理由を考えていたんです。うちから車で10分かからない距離であったのも大きかったです。

 

この時のセカンドオピニオンは、わたしにとってはとても大きな決断でした。約3年間、ほぼ毎月のように通っていた病院で、クリンの状態を一番わかってくださっている先生だと思っていたので、気持ちの上でもかなり依存していたのだと思います。

でも今できることがあるならなんとかしてやりたい。病気でなく、自然に心臓が止まるその日までは元気に過ごしてほしい。そのためには、クリンの不調の原因を調べてくれる病院を探さなければ。

 

そして、SNSを通じて知り合った犬友さんが通われていたという、隣の市の病院に行ってみることにしました。

 

 

(3)に続く

 

ライター:福井 惠子

 

【犬のセカンドオピニオン】わたしが転院した理由(1)

愛犬情報

犬種:ミニチュアダックスフンド

病名・症状:胆泥症/子宮蓄膿症

発症年齢:14歳/15歳

発症の経緯:ヒート症状から食欲不振 陰部の腫れ

治療法:投薬治療(2年間)→17歳9ヶ月で手術

 

 

動物病院を選ぶ基準って?

 

我が家の長女クリンは、14歳の時に胆泥症と診断されました。病気を見つけていただいた病院では、手術を強く勧められましたが、その時に違和感を感じ、自らセカンドオピニオンを申し出、違う病院で投薬治療でもいけるといわれ転院しました。

その病院に1年ほど通った時に、今度は子宮の不具合が見つかりました。約2年間、子宮の治療も投薬で行っていましたが症状は改善されず、別の病院で診察を受けたところ、手術をした方がいいといわれ、転院して手術を受けました。

今回は転院の経緯と、飼い主として思ったことを書きたいと思います。

 

 

胆泥症発覚!その時の心境と感じたこと

 

我が家の愛犬クリンは、14歳になるまで病気もなく、動物病院には毎年のワクチン及び狂犬病接種とフィラリア予防のお薬をもらう以外にはほとんどお世話になることがありませんでした。

なので病院を選ぶ基準は、利便性が一番で、自宅から近くて駐車場があって、待合室が広くてそこそこキレイな病院を選んでいました。

13歳を過ぎたあたりから、フィラリア検査で血液を採取してもらった時に健康診断として血液検査を受けるようになりました。2014年の6月に、当時通っていた病院で血液検査を受けたところ、GPT(肝臓に異常がある時に基準とする数値)が高かったので、エコー検査とレントゲンをしてもらい、胆泥症であることがわかりました。

 

※胆泥症とは → 何らかの原因で胆汁が濃縮して変質し泥状になったもの(胆泥)が胆嚢に貯留した状態

 

クリンの胆泥症が発覚する数ヶ月前に、我が家の次女ニコの乳腺腫瘍が見つかりました。腫瘍は3つあり、避妊手術と合わせて手術をすることになりました。初めての手術でどのくらいの費用がかかるのか心配で確認しましたが、実際に請求されたのは最初に聞いていた額の3倍以上の金額でした。

事前に費用は変動すると聞いていましたが、高くてもこのくらい、といわれた額よりも2倍以上の金額だったため非常に驚きましたが、この時は無事手術が終わったことと、良性腫瘍でホッとしていたので、あまり深く考えていませんでした。

 

クリンの胆泥症がわかった時、担当医から「手術しないと助からないかもしれない」と聞き、目の前が真っ暗になりました。しかし、その先生は胆泥症の手術をした経験がないとのことで、院長に相談するといわれました。

 

そして提案されたのは、

「他の病院から手術のできる先生を呼んであげる」

「今の状態であれば、死んでしまうかもしれない。でも麻酔リスクもあり、年齢を考えると半々の確率で亡くなるかもしれない」

「でも手術しないと助からない」

ということでした。

 

初めての大きな病気ということだけでもショックなのに、いきなり「死」という言葉を突きつけられ、しかも半々の確率で死んでしまうかもしれない「手術」という治療しかできないということで、その場ですぐに決めることができませんでした。目の前のクリンはとても元気で、こんなに元気でピンピンしているのにわざわざリスクを冒す必要があるのか…

ニコの手術のこともありましたし、先生と話をしていても、「クリンの命を助けたい」というより「手術をさせたい」という印象を受けました。麻酔のリスクの話なんて、めちゃくちゃ雑な感じだったんですよね。半々で死んでしまうかもしれないのに。とにかく手術、手術しかないという感じだったので、正直「手術したらお金になるからじゃないのか」と思ってしまいました。

 

 

初めてのセカンドオピニオン~転院まで

 

 

手術以外の治療方法はあるのか、また手術のリスクについて別の先生の意見を聞きたいと思い、以前友人から教えてもらった病院にセカンドオピニオンに行きたい、と申し出ました。申し出るのはものすごく勇気がいりましたが、大切な我が子の命がかかっているためこちらも必死でした。

診断書を書いてもらい、セカンドオピニオンの病院で診察と検査をしてもらいました。その先生のお見立ては、「今とても元気だから、わざわざリスクの高い手術はしないで内科治療で様子を見て、状態が悪化した時に手術は考えればいいのでは」ということでした。

ただ、肝臓に何か影のようなものも見えるから、一度CTを撮った方がいいといわれ、CTの撮れる病院にてサードオピニオンを受けることになりました。

3つめの病院で血液検査とエコー検査してもらった結果、胆泥症はあるけどその他は問題ないので、CTを撮る必要はないといわれました。3つの病院で検査を受け、うち2つの病院から手術しなくても治す方法があるといわれ、とてもホッとしたことを覚えています。

そしてわたしは、迷わずセカンドオピニオンを受けた病院に転院することを決めました。

手術を勧められた病院で、手術を受ける意思はないことと、内科治療をしてくれる病院に転院することを伝えました。するとそこの院長に、びっくりするくらい感じの悪い態度を取られました。確かに転院するというのは病院にとってはいい話ではないですが、それまで長い間通っていたこともあり、とても残念な気持ちになりました。

 

 

胆泥症治療~子宮水腫発覚まで

 

転院してから胆泥症の投薬治療が始まりました。「ウルソ」と「ニチファーゲン」という薬が使われましたが、どちらも肝機能の改善のための薬で、大きな副作用はないとのことでした。14歳当時のクリンは、薬をフ―ドの上に乗せても普通に食べてくれていました。

そのまま投薬治療を続け、胆泥はあるものの初めてエコーで確認した時よりも改善されていってたので、このまま問題なく行けると思っていました。

ところが2015年5月に、突然前足を引きずりだし、その時にもらった痛み止めがきっかけで食べムラが始まりました。

※食べムラについての記事 シニア犬の食べムラ ~食べムラで悩んでいる飼い主さんへ伝えたいこと

 

足を引きずるのは3日ほどで治まりましたが、レントゲンで見る限り関節の状態はよくないといわれていたので、通院は続けていました。食べムラは多少ありましたが、それでも何かは口にしてくれていました。

ところが翌月になり、ヒートのような症状が出始め、クリンが全然食べなくなってしまったんです。それまでの食べムラや食い渋りよりもひどい状態で、匂いすら嗅ぐのを嫌がりました。これはどこかに不具合があるのかもしれないと思い、血液検査とエコー検査をしてもらった結果、子宮内に水が溜まっていることがわかりました。

 

この時クリンは15歳4ヶ月。主治医の先生からは、

「今の年齢と状態を考えると、このまま積極的治療はせずに投薬で逃げましょう。もし命にかかわる重篤な状態になったら、子宮と胆のうを同時に摘出する手術をすればいいから大丈夫です」といわれました。

主治医は有名な大学病院に長年勤務され、数多くの手術の経験がある先生だったので、「大丈夫」という言葉でとても安心し、先生の言う通りにしようと思いました。

子宮水腫の治療は、「アリジン」という注射で水腫が悪くならないようにする方法でした。まだあまりメジャーではないとのことで、ネットで調べても全然出てきませんでしたが、副作用があまりなくて効果は結構出るという話で、試してみることにしました。

1回目の注射の24時間後に2回目の注射を打つとのことで、初回は注射の後に食欲が戻りました。子宮内の炎症はあったようで、CRPが少し高かったので抗生剤を飲んだ方がいいといわれましたが、薬を嫌がることも十分ご存知だったので、2週間効くタイプの抗生剤を注射してもらいました。

 

とにかく一番困っていたのは「投薬」でした。それまではご飯の上に乗せてフードと一緒に薬を食べる方法しかとってなかったので、ご飯を食べないと薬も飲めないことになります。でも体に不具合が出ると薬を処方されます。薬が出ても、飲ませることができないので、八方ふさがりの状態でした。

 

薬を飲ませることがどうしてもできない、と先生に相談したところ、

「薬は必ず飲ませてください」

「好きな食べ物に薬を包んで食べさせてください」

「口を開けて舌の奥に薬を入れて口を閉じさせれば飲み込みます」

「甘いガムシロップに溶かして飲ませてください」

 

そこで好物に隠して食べさせたり、ガムシロップに薬を溶かして舐めさせようとしたり、とにかく言われたことはそのまま実行してみましたが、ものすごく苦い薬だったため、クリンは薬そのものが恐怖になりました。そして口すら触らせてくれなくなり、全く投薬ができなくなってしまいました。

 

 

食べムラと投薬

 

投薬の失敗から強い食べムラや食い渋りが出始め、精神的にかなり参っていたわたしは、すがる思いで主治医の先生に食べムラについて相談しました。

先生からは、食べなかったら病院に来て、といわれてたので、丸1日食べない時は翌日病院で点滴を受けていました。輸液の中に食欲増進作用のある薬(ステロイドの副作用を利用する方法)を少量入れてもらったり、別の薬をもらったりしました。

 

その頃には「好物」はすっかりなくなってしまっている状態で、薬も苦みのあるものは一切ダメ。ウルソとニチファーゲンは無味だったので、匂いの強いトッピングで何とかごまかして食べさせたりしていましたが、薬を飲まない子に薬を飲ませるのって本当に大変なんですよね。病院では「薬を飲ませてください」しかいわれないし、どの方法も失敗しているから、どうしていいかわからない。もはや口すら触らせてくれないクリンを前に、泣いたりわめいたりしていました。

 

当時は精神的にかなり追い詰められた状態で、ご飯を食べなかったら弱ってしまうかもしれない、薬が飲めなかったら状態が悪化するかもしれない、どうしようどうしよう……と焦りと不安で押しつぶされそうでした。(※投薬と食べムラについては別記事にまとめます)

この時の経験が、サイトを始めるきっかけにもなりましたが、本当につらくて苦しくて、思い出しただけでも吐きそうなくらいしんどくなってきます。そのくらい参っていました。

 

不思議なもので、飼い主の精神状態が悪くなると、愛犬の調子も悪くなるんですよね。毎日、今日はご飯を食べるだろうか…ばかり考えていました。多い時では缶詰やジャーキー類、ふりかけや肉や魚など5~6種類くらいの食べ物を用意し、クリンの前に差し出しましたが、あれもこれもいらないといわれて、食べ物を放り投げたこともあります。冷蔵庫の中はクリンが食べなかったウェットフードや調理したものが入ったタッパーでいっぱいになっていました。ドライフードも、おそらく30~40種類試したと思いますが、なかなか食べてくれるものに当たらず、置き場所のないような状態でした。

 

そんなこんなでクリンの食べムラはひどくなり、徐々に体重が減ってきました。子宮水腫が発覚した時は3.6㎏あった体重が、10月半ばには3.3㎏になりました。そして全く食べなくなってしまったため病院に駆け込んだところ、炎症数値が1.2に上がっていました。エコー検査の結果、子宮の腫れはありませんでしたが、膵臓がエコーに写っていました。もしかしたら膵臓に炎症があるかも、とのことでしたが、この日の血液検査では数値としては出ておらず、抗生剤を点滴してもらい様子見といわれました。

翌日は何とか少しは食べたものの、その日の夜は全く食べなくなったため、翌朝に病院に行くとCRPは6.7に跳ね上がっていました。点滴をしてもらいましたが、その日の深夜にぐったりとして動かなくなり、うずくまるような体勢で尿を垂れ流しているような状態になりました。

夜が明けるのを待って朝一で病院に駆け込んだところ、CRPがさらに上がっていて、即入院となりました。

 

 

(2)に続く

 

ライター:福井 惠子