愛犬情報
犬種:ミニチュアダックスフンド
病名・症状:胆泥症/子宮蓄膿症
発症年齢:14歳/15歳
発症の経緯:ヒート症状から食欲不振 陰部の腫れ
治療法:投薬治療(2年間)→17歳9ヶ月で手術
動物病院を選ぶ基準って?
我が家の長女クリンは、14歳の時に胆泥症と診断されました。病気を見つけていただいた病院では、手術を強く勧められましたが、その時に違和感を感じ、自らセカンドオピニオンを申し出、違う病院で投薬治療でもいけるといわれ転院しました。
その病院に1年ほど通った時に、今度は子宮の不具合が見つかりました。約2年間、子宮の治療も投薬で行っていましたが症状は改善されず、別の病院で診察を受けたところ、手術をした方がいいといわれ、転院して手術を受けました。
今回は転院の経緯と、飼い主として思ったことを書きたいと思います。
胆泥症発覚!その時の心境と感じたこと
我が家の愛犬クリンは、14歳になるまで病気もなく、動物病院には毎年のワクチン及び狂犬病接種とフィラリア予防のお薬をもらう以外にはほとんどお世話になることがありませんでした。
なので病院を選ぶ基準は、利便性が一番で、自宅から近くて駐車場があって、待合室が広くてそこそこキレイな病院を選んでいました。
13歳を過ぎたあたりから、フィラリア検査で血液を採取してもらった時に健康診断として血液検査を受けるようになりました。2014年の6月に、当時通っていた病院で血液検査を受けたところ、GPT(肝臓に異常がある時に基準とする数値)が高かったので、エコー検査とレントゲンをしてもらい、胆泥症であることがわかりました。
※胆泥症とは → 何らかの原因で胆汁が濃縮して変質し泥状になったもの(胆泥)が胆嚢に貯留した状態
クリンの胆泥症が発覚する数ヶ月前に、我が家の次女ニコの乳腺腫瘍が見つかりました。腫瘍は3つあり、避妊手術と合わせて手術をすることになりました。初めての手術でどのくらいの費用がかかるのか心配で確認しましたが、実際に請求されたのは最初に聞いていた額の3倍以上の金額でした。
事前に費用は変動すると聞いていましたが、高くてもこのくらい、といわれた額よりも2倍以上の金額だったため非常に驚きましたが、この時は無事手術が終わったことと、良性腫瘍でホッとしていたので、あまり深く考えていませんでした。
クリンの胆泥症がわかった時、担当医から「手術しないと助からないかもしれない」と聞き、目の前が真っ暗になりました。しかし、その先生は胆泥症の手術をした経験がないとのことで、院長に相談するといわれました。
そして提案されたのは、
「他の病院から手術のできる先生を呼んであげる」
「今の状態であれば、死んでしまうかもしれない。でも麻酔リスクもあり、年齢を考えると半々の確率で亡くなるかもしれない」
「でも手術しないと助からない」
ということでした。
初めての大きな病気ということだけでもショックなのに、いきなり「死」という言葉を突きつけられ、しかも半々の確率で死んでしまうかもしれない「手術」という治療しかできないということで、その場ですぐに決めることができませんでした。目の前のクリンはとても元気で、こんなに元気でピンピンしているのにわざわざリスクを冒す必要があるのか…
ニコの手術のこともありましたし、先生と話をしていても、「クリンの命を助けたい」というより「手術をさせたい」という印象を受けました。麻酔のリスクの話なんて、めちゃくちゃ雑な感じだったんですよね。半々で死んでしまうかもしれないのに。とにかく手術、手術しかないという感じだったので、正直「手術したらお金になるからじゃないのか」と思ってしまいました。
初めてのセカンドオピニオン~転院まで
手術以外の治療方法はあるのか、また手術のリスクについて別の先生の意見を聞きたいと思い、以前友人から教えてもらった病院にセカンドオピニオンに行きたい、と申し出ました。申し出るのはものすごく勇気がいりましたが、大切な我が子の命がかかっているためこちらも必死でした。
診断書を書いてもらい、セカンドオピニオンの病院で診察と検査をしてもらいました。その先生のお見立ては、「今とても元気だから、わざわざリスクの高い手術はしないで内科治療で様子を見て、状態が悪化した時に手術は考えればいいのでは」ということでした。
ただ、肝臓に何か影のようなものも見えるから、一度CTを撮った方がいいといわれ、CTの撮れる病院にてサードオピニオンを受けることになりました。
3つめの病院で血液検査とエコー検査してもらった結果、胆泥症はあるけどその他は問題ないので、CTを撮る必要はないといわれました。3つの病院で検査を受け、うち2つの病院から手術しなくても治す方法があるといわれ、とてもホッとしたことを覚えています。
そしてわたしは、迷わずセカンドオピニオンを受けた病院に転院することを決めました。
手術を勧められた病院で、手術を受ける意思はないことと、内科治療をしてくれる病院に転院することを伝えました。するとそこの院長に、びっくりするくらい感じの悪い態度を取られました。確かに転院するというのは病院にとってはいい話ではないですが、それまで長い間通っていたこともあり、とても残念な気持ちになりました。
胆泥症治療~子宮水腫発覚まで
転院してから胆泥症の投薬治療が始まりました。「ウルソ」と「ニチファーゲン」という薬が使われましたが、どちらも肝機能の改善のための薬で、大きな副作用はないとのことでした。14歳当時のクリンは、薬をフ―ドの上に乗せても普通に食べてくれていました。
そのまま投薬治療を続け、胆泥はあるものの初めてエコーで確認した時よりも改善されていってたので、このまま問題なく行けると思っていました。
ところが2015年5月に、突然前足を引きずりだし、その時にもらった痛み止めがきっかけで食べムラが始まりました。
※食べムラについての記事 シニア犬の食べムラ ~食べムラで悩んでいる飼い主さんへ伝えたいこと
足を引きずるのは3日ほどで治まりましたが、レントゲンで見る限り関節の状態はよくないといわれていたので、通院は続けていました。食べムラは多少ありましたが、それでも何かは口にしてくれていました。
ところが翌月になり、ヒートのような症状が出始め、クリンが全然食べなくなってしまったんです。それまでの食べムラや食い渋りよりもひどい状態で、匂いすら嗅ぐのを嫌がりました。これはどこかに不具合があるのかもしれないと思い、血液検査とエコー検査をしてもらった結果、子宮内に水が溜まっていることがわかりました。
この時クリンは15歳4ヶ月。主治医の先生からは、
「今の年齢と状態を考えると、このまま積極的治療はせずに投薬で逃げましょう。もし命にかかわる重篤な状態になったら、子宮と胆のうを同時に摘出する手術をすればいいから大丈夫です」といわれました。
主治医は有名な大学病院に長年勤務され、数多くの手術の経験がある先生だったので、「大丈夫」という言葉でとても安心し、先生の言う通りにしようと思いました。
子宮水腫の治療は、「アリジン」という注射で水腫が悪くならないようにする方法でした。まだあまりメジャーではないとのことで、ネットで調べても全然出てきませんでしたが、副作用があまりなくて効果は結構出るという話で、試してみることにしました。
1回目の注射の24時間後に2回目の注射を打つとのことで、初回は注射の後に食欲が戻りました。子宮内の炎症はあったようで、CRPが少し高かったので抗生剤を飲んだ方がいいといわれましたが、薬を嫌がることも十分ご存知だったので、2週間効くタイプの抗生剤を注射してもらいました。
とにかく一番困っていたのは「投薬」でした。それまではご飯の上に乗せてフードと一緒に薬を食べる方法しかとってなかったので、ご飯を食べないと薬も飲めないことになります。でも体に不具合が出ると薬を処方されます。薬が出ても、飲ませることができないので、八方ふさがりの状態でした。
薬を飲ませることがどうしてもできない、と先生に相談したところ、
「薬は必ず飲ませてください」
「好きな食べ物に薬を包んで食べさせてください」
「口を開けて舌の奥に薬を入れて口を閉じさせれば飲み込みます」
「甘いガムシロップに溶かして飲ませてください」
そこで好物に隠して食べさせたり、ガムシロップに薬を溶かして舐めさせようとしたり、とにかく言われたことはそのまま実行してみましたが、ものすごく苦い薬だったため、クリンは薬そのものが恐怖になりました。そして口すら触らせてくれなくなり、全く投薬ができなくなってしまいました。
食べムラと投薬
投薬の失敗から強い食べムラや食い渋りが出始め、精神的にかなり参っていたわたしは、すがる思いで主治医の先生に食べムラについて相談しました。
先生からは、食べなかったら病院に来て、といわれてたので、丸1日食べない時は翌日病院で点滴を受けていました。輸液の中に食欲増進作用のある薬(ステロイドの副作用を利用する方法)を少量入れてもらったり、別の薬をもらったりしました。
その頃には「好物」はすっかりなくなってしまっている状態で、薬も苦みのあるものは一切ダメ。ウルソとニチファーゲンは無味だったので、匂いの強いトッピングで何とかごまかして食べさせたりしていましたが、薬を飲まない子に薬を飲ませるのって本当に大変なんですよね。病院では「薬を飲ませてください」しかいわれないし、どの方法も失敗しているから、どうしていいかわからない。もはや口すら触らせてくれないクリンを前に、泣いたりわめいたりしていました。
当時は精神的にかなり追い詰められた状態で、ご飯を食べなかったら弱ってしまうかもしれない、薬が飲めなかったら状態が悪化するかもしれない、どうしようどうしよう……と焦りと不安で押しつぶされそうでした。(※投薬と食べムラについては別記事にまとめます)
この時の経験が、サイトを始めるきっかけにもなりましたが、本当につらくて苦しくて、思い出しただけでも吐きそうなくらいしんどくなってきます。そのくらい参っていました。
不思議なもので、飼い主の精神状態が悪くなると、愛犬の調子も悪くなるんですよね。毎日、今日はご飯を食べるだろうか…ばかり考えていました。多い時では缶詰やジャーキー類、ふりかけや肉や魚など5~6種類くらいの食べ物を用意し、クリンの前に差し出しましたが、あれもこれもいらないといわれて、食べ物を放り投げたこともあります。冷蔵庫の中はクリンが食べなかったウェットフードや調理したものが入ったタッパーでいっぱいになっていました。ドライフードも、おそらく30~40種類試したと思いますが、なかなか食べてくれるものに当たらず、置き場所のないような状態でした。
そんなこんなでクリンの食べムラはひどくなり、徐々に体重が減ってきました。子宮水腫が発覚した時は3.6㎏あった体重が、10月半ばには3.3㎏になりました。そして全く食べなくなってしまったため病院に駆け込んだところ、炎症数値が1.2に上がっていました。エコー検査の結果、子宮の腫れはありませんでしたが、膵臓がエコーに写っていました。もしかしたら膵臓に炎症があるかも、とのことでしたが、この日の血液検査では数値としては出ておらず、抗生剤を点滴してもらい様子見といわれました。
翌日は何とか少しは食べたものの、その日の夜は全く食べなくなったため、翌朝に病院に行くとCRPは6.7に跳ね上がっていました。点滴をしてもらいましたが、その日の深夜にぐったりとして動かなくなり、うずくまるような体勢で尿を垂れ流しているような状態になりました。
夜が明けるのを待って朝一で病院に駆け込んだところ、CRPがさらに上がっていて、即入院となりました。
(2)に続く
ライター:福井 惠子