【シニア犬の食事】老犬(高齢犬)の食べさせ方の工夫

愛犬情報

犬種:ミニチュアダックスフンド

病名・症状:老化によりご飯がうまく食べられなくなった

発症年齢:18歳半~

発症の経緯:老化による視力・嗅覚の低下

治療法:自宅ケア

 

 

目に見えて進む老化現象

 

我が家の愛犬クリンは、先日19歳1ヶ月の生涯を終えました。

クリンはとても丈夫で、14歳の時に胆泥症が発覚するまでは持病もありませんでした。

ところが、投薬の失敗がきっかけで「食べムラ」「食い渋り」に悩むようになりました。体調不良が重なり入院した時は、食べなさ過ぎてこのままだと危ない、とまでいわれたこともありました。

若い頃は1日食べなくても問題ありませんが、老犬にとっては一大事。食べないとすぐに痩せてしまい、体力が落ちてしまいます。

食事は毎日のこと。どうしたら食べてくれるか、日々悩み続けました。先輩飼い主さんからアドバイスをいただいたり、いろんなフードを試したりしながら、何とか食べてくれるようになりました。

体の不具合が治まり、かなり食欲も改善され、食べない悩みから少し開放された18歳半を超えた頃、新たな悩みが生まれました。

今までは「食べたくないから食べない」だったのが、「食べたいけどうまく食べられない」に変化していたのです。

今回は、クリンがご飯をうまく食べられなくなった時に実践していた「食べさせ方」を紹介させていただきます。

 

 

徐々に衰える機能

 

クリンは18歳を迎える前までは目が見えていました。当時は自宅前でノーリードで運動をさせていましたが、一目散に飼い主に向かって走ってきてくれていました。

毎日お散歩と自宅前での運動を続けていました。ヘルニア予防のため、大きな段差は避けていましたが、小さな段差はあまり気にしたことがありませんでした。

ところが、ある日いつものように自宅前を走っていた時、玄関前のほんの数センチの段差につまづいたことがありました。それまでは段差前で止まっていたんです。

それからどんどん視力は低下し、18歳半を迎える頃には、うっすら光を感じる程度にまで視力は低下していたようです。

視力と共に、嗅覚も低下していきました。今まではおやつなどを近づけると、鼻をクンクンする仕草を見せていましたが、この頃になると鼻先につけないと気づかなくなっていました。

視力・嗅覚が衰えると、食事をするのも大変になりました。

それまではお皿にフードを入れて、高さ調節してやればご飯を食べてくれましたが、目も鼻も利かなくなると、ご飯がどこにあるかがわからなくなり、同時にうまく距離感を測れなくなっているようでした。

ご飯を食べたくても、お皿に顔をうまく近づけることができなかったり、鼻をお皿で強打してしまうこともありました。

年齢と共にわがままに頑固になってきたこともあり、些細なことでもご機嫌を損ねると食べなくなりました。

このあたりから、うまく食べられるようにするにはどうすればいいかを考えるようになりました。

 

 

食べさせ方①:ご飯の場所を確認させる

 

食べムラ・食い渋りでご飯を食べさせることにとにかく苦労していたので、食事はまずは食いつきのいいトッピング用のジャーキーや肉などを先に食べさせるという方法をとっていました。

器を2つ用意し、1つの器に先にジャーキーなどをおろし金ですりおろします。もう1つの器に、ドライフードを準備し、その上にジャーキーをすりおろしたものをふりかけ、全体を混ぜ合わせておきます。

そして、食事台の前にクリンを座らせ、2つの器を床にセット。まずすりおろしジャーキーの器を手に取り、クリンの鼻に器の中にあるジャーキーを近づけます。その時に少し鼻先にジャーキーをつけると、たいていペロッと舐めてくれます。

クリンの場合、ペロッと舐める=今日はこのジャーキーを食べる、という合図だったので、すかさず器をクリンの口元に持っていき、今度は口先にすりおろしジャーキーを少しつけると、そのままペロペロと食べ始めてくれました。

そのまま少しずつ器を降ろしていき、食事台のところまで誘導します。この時クリンはずっとジャーキーを舐めています。

台の上にセットできたら、もうひとつの器に準備していたフードを、ティースプーンで横からそっと入れていきます。

フードに絡めるジャーキーを多めにしておくと、器のすりおろしジャーキーからジャーキーまみれのフードに変わった時に、比較的違和感なく食べてくれます。

ジャーキーを食べているつもりが、いつの間にかフードに変わるんですが、先にジャーキーの味がするからか、この方法だと比較的うまくフードを食べさせることができました。

ただしひどい食い渋りの時は、フードとわかったらすぐに逃げていました。逃げられた時はめちゃくちゃガッカリしたものです。

 

 

食べさせ方②:汁物を使う

 

最初は①の方法で問題なく食べることができていましたが、今度はうまく飲み込めないという悩みにぶち当たりました。人間でも固いものがうまく食べられなくなったり、喉に詰めてしまうことがありますが、犬もまったく同じでした。

特にドライフードは口の中の水気をとってしまうのか、もさもさしてとても食べにくそうにしていたので、鶏ガラ・ささみ等を水煮にしたスープや、牛乳(クリンは牛乳が大好きで、下痢もしなかったためずっと使っていました)を一緒に与えるようになりました。

これもやり方は①と同じで、先にスープまたは牛乳を入れた器を口先に近づけ、飲みだしたら少しずつ器を下げ、食事台にセットできたら、横からフードを少しずつ入れていきました。

この方法も結構うまくいきました。

 

 

食べさせ方③:スプーンを使う

 

クリンが18歳8ヶ月の時、頸椎ヘルニアが発覚しました。それまでは食事台の上に置いた食器に顔を近づけていましたが、ある時から器に顔を近づけなくなりました。食事台に誘導しようとしても、下を向かないため、フードに誘導するのが難しくなりました。

そして飲み込む力がさらに落ち、4mmほどの超小粒フードもうまく食べられなくなっていました。この頃からフードプロセッサーで細かく砕いたフードを与えていました。(クリンはお湯でふやかしたフードは食べませんでした)

器を顔に近づけたいのですが、下を向いてくれないため、器からこぼれてしまいます。

この時に使用したのがティースプーンでした。

この頃はスープか牛乳がマストだったので、ティースプーンでスープまたは牛乳をすくい、それを口元まで持っていきます。

クリンは水頭症があり、首を反らせる仕草が見られたため、最初の一口を飲ませるコツをつかむまでは結構大変でしたが、ペロッと舐めてくれると、その後は少しずつ首をおろして飲んでくれました。

最初は水分をティースプーン3~4杯くらい飲んでもらいます。そしてスープの器に砕いたフードを入れて、今度はスープ+ほんの少し砕いたフードが浮いた状態のものを飲ませるようにしました。

スープと思って飲んだものに、異物(フード)があるので、最初に口に入った時は少し拒否反応のような仕草がありましたが、そのままスープと共に口に入れてくれたら、少しずつスプーンですくうフードの量を増やしていきました。食事が進むとフードはスープと混ざってドロドロになりますが、水気があるため食べやすいようでした。

この方法は、クリンが旅立つ前日まで実践していました。同じものばかりだと飽きるので、牛乳・鶏ガラスープ・ミキサーでスープ状にしたウェットフードなどでアクセントをつけていました。ウェットフードは、お湯や温めた鶏ガラスープをフードプロセッサーで混ぜ合わせていました。温かいとより匂いが立ち、とても食いつきがよくなりました。

事前にドライフードを測っておけば、食べた量の把握ができるため、食事の管理をしたい場合に向いている方法だと思います。

 

 

若い頃は当たり前に食べてくれますが、高齢になってからは「食べてくれることがとてもありがたいこと」になりました。クリンは食欲にムラがあり、余計に食べてくれるありがたさを実感することができました。

19歳を超えてからは、食べても全く太れなくなりました。でも食べないとすぐに体重は落ちてしまうため、最後の2ヶ月は1日の食事の回数は4~5回になっていました。

1回の食事でかかる時間は、うまくいくと5分。なかなか食べ始めてくれない場合は30分を超えることもありました。

約4年食い渋りに悩んでいたので、当時は食べないことにイライラしたり、本気で怒ったこともありました。

でも、その悩みがあったからこそ、食べてくれるありがたさが身に沁みましたし、スプーンからとてもおいしそうにペロペロとご飯を舐めている姿は、もう可愛くて可愛くて、こんなに食べにくくなっているのに一生懸命食べてくれると思うと、嬉しくて泣いてしまうこともありました。

残念ながら、もうクリンはいません。「今日は食べてくれるかな」と毎日ドキドキでしたが、その悩みもありがたいことだったんだとつくづく思います。

 

 

皆様のおうちの大切な我が子が、今日もおいしくたくさんご飯を食べてくれますように。

 

 

 

 

 

ライター:福井 惠子

 

 

【シニア犬(老犬)の食べムラ】我が家の秘密兵器

愛犬情報

犬種:ミニチュアダックスフンド

病名・症状:食べムラ・食い渋り・食欲不振

発症年齢:15歳

発症の経緯:投薬の失敗・子宮の不具合(痛み)・歯石による食欲不振

治療法:飼い主の工夫

 

 

飼い主を悩ませる「食べムラ」

 

我が家の愛犬クリンは、15歳の時の体の不具合と投薬により、強烈な食欲不振に陥りました。

きっかけは足の痛みでしたが、その時の投薬(超苦い痛み止めと超苦い抗生剤)を食べ物(好物)に隠して与えようとしたことが原因で、食べ物に不信感を持ってしまいました。

飼い主の失敗により、「食べること=苦いものを無理やり口に入れられる」とインプットされてしまったことで、口さえ触らせてくれなくなってしまいました。

ご飯を食べないことは、重篤な病の宣告をされるのとはまた種類が違うのですが、シニアになってご飯を食べない=このまま衰弱してしまう、という風に考えてしまい、めちゃくちゃ精神的に堪えます。

我が家の場合は少しずつ信頼関係を作り直すところから始め、ご飯と薬を完全に分けて与えるようになり、今では食べることへの不信感は払拭できましたが、食べムラだけは残ってしまいました。

クリンが食べるかどうかは、ご飯の時間になってみないとわかりません。以前は起きてすぐにご飯を食べてくれましたが、今はクリンがご飯を食べるまでの時間を想定し、用事がある場合はでかける3時間前には起きないといけなくなりました。

 

飼い主の生活にも大きく影響してしまう食べムラですが、数年付き合ううちにこちらにも知恵がつき、様々な小道具を使って比較的すんなり食べてくれるようになりました。

今回は、我が家で使用している、食い渋る時に使っている小道具とトッピングを紹介させていただきます。

 

 

食欲をそそる「匂い」

 

クリンはおかあさんに丈夫に産んでもらったようで、昨年末の手術の時に歯石ケアをしてもらった時、抜歯は1本だけで済みました。その他の歯はぐらつきもなく問題ないとのことで、今でもドライフードを食べてくれています。(手術の記事はこちら

 

手作りフードがいいという話も聞きますが、うちの場合は食べてくれないということと、栄養バランスを考えるのが大変なので、食べてくれるうちはドライフードを使おうと思っています。ただ噛む力は弱くなっているので、超小粒サイズのドライフードを与えています。

元々ドライだけでは食いつきは悪かったので食べムラ以前からトッピングはしていましたが、今はドライフードだけでは絶対に食べません。なのでトッピングは必須なんです。

 

14歳までは市販の缶詰をフードにかけて、上に薬をおいても食べてくれていたんですが、ここ数ヶ月は市販の缶詰やレトルトパウチなどは全く食べなくなってしまいました。

なので、最近は手作り系(鶏肉・牛肉・豚肉等)のボイルやソテーにしたものをトッピングに使ったり、ジャーキー系のものをトッピングに使用しています。

 

ジャーキーはうまみが凝縮しているようで食いつきはとてもいいです。

最近はふりかけ系も充実していていろんな種類の商品があり、以前は使っていましたが、開封したてはものすごく強い香りでも日数が経つにつれどんどん香りが弱くなり、食いつきも悪くなっていくんですよね。

食欲を刺激するのに一番効果的なのは「匂い」。なので匂いが強くなる方法を色々考えてみました。

 

 

うちで使っているトッピングと秘密兵器①

 

これが今一番ホットなジャーキーです。鴨肉のジャーキーで、鶏肉よりも匂いが強く、開けた瞬間めっちゃ食いついてきました。これは鴨ささみ肉がカットしてあるタイプです。あまりに食いつくのでつい大人買いしてしまいました(笑)

 

 

 

こちらは砂肝ジャーキーです。これは砂肝がそのまま乾かしてあり、かなりハードタイプになります。

 

これらをトッピングに使用していますが、このままだと固いし大きいしでどちらも食べることはできません。大きなものも固いものも、食べようとはしますが、ポロっと落としてしまうんですよね。一度落としてしまうと、食べられなかったことにショックを受けるのか、それから食べてくれなくなってしまうこともあります。これは性格もあると思いますが、クリンにとっては「今までと同じように生活している」ということが大切なことのようなので、「できないこと」を増やさないようにするために、こちらで工夫してできることは先回りしてするようにしています。

 

 

そこで、1つ目の秘密兵器の登場です。

 

ニッパーです。ホムセンなどで100円くらいで売っているものです。ニッパーは固いものを簡単に切れるので、砂肝などはこれで小さくカットして食べさせています。

最初からカットしてあるものを買わないのは、ものが大きい方がカットしてあるものよりも匂いが強いように思うからです。いつも食べる直前にパチパチとカットして、フードの上にふりかけています。

カットすると、切り口は新鮮なので結構匂いが強くなります。なのでこれもかなり有効な方法です。

 

 

我が家の現在最強の秘密兵器

 

ずっとニッパーを使っていましたが、これでもやっぱり食い渋りが出てしまうことがありました。

そこで、匂い立たせるための方法を考えてみたんです。焼く・煮る・あぶる……そう、熱を加えれば匂いは強くなるぞ!という結論に達しました。

 

そして、我が家の最強の秘密兵器ができました。

 

 

それは、おろし金です。

これでジャーキーをすりおろすと、封を開けて多少時間が経っていても、すりおろす際の熱で瞬時に匂い立たせることができるんです。

ちなみに、最初は100均のプラスティックのおろしを使っていましたが、あまりに固いため、とんがっている部分が折れてフードの中に混ざってしまったんです。

すぐに見つけることができたので事なきを得ましたが、間違って食べてしまうと大変なことになるかもしれません。なので、強度のあるステンレスのおろし金を探して購入しました。

これは固い砂肝ジャーキーでも楽々すりおろすことができます。ありがとう、おろし金。

 

おろし金ですると、とても細かいふりかけになります。匂いは強いですが、もう少しジャーキーっぽさを出すことと、ザラっとした食感を混ぜることでドライフードを違和感なく食べてくれるように、ハサミでジャーキーをカットしてフードの上にふりかけるようにしています。フードだけになってしまうと残してしまうこともあるので、食べている途中でトッピングを追加して、フードを残さないように工夫しています。

 

 

【参考】簡単自家製ふりかけを使った食べさせ方

 

 

 

これが実際にすりおろし&カットしたジャーキーです。

うちの場合、最初からフードの上にかけても食べてくれません(涙)

長年の食べムラでどうも癖がついてしまったようで、すんなり食べてくれることはほとんどないため、まずはトッピング選びから。数種類あるトッピングを、ローテ―ションでくるくる回すようにしています。

鴨肉ジャーキーの場合は、まず小さな一口大にカットしたものを食べるか確認し、食べてくれたらふりかけを作ります。

ふりかけだけをまずは食べさせて、食べてる間に別のお皿に出したフードの上にジャーキーをシャカシャカとふりかけ、それをスプーンで少しずつ横から足していきます。

コツは、最初に入れるフードはトッピングたっぷりにすること。これでうやむやになるようで、結構フードをすんなり食べてくれるようになりました。

フードを食べたら、あとは残ったフードを追加していくだけで、普通に完食してくれるようになりました♪

 


 

かかりつけの獣医さんによると、ハイシニアの食べムラや食い渋りは当たり前に起こるそうです。人間も歳をとると食の嗜好が偏ってしまうことがありますが、それと全く同じだそうで、今までおいしいと感じていたものもおいしく感じなくなったり、嗅覚が衰えてくることでより匂いの強いものを好む傾向が出る場合もあるそうです。

誰でもいつかは歳をとります。歳をとるとわがままになってしまうのは人間も犬も同じ。なので、自分が付き合える範囲であれば、食べたいものを食べたい時に食べてもらうのが一番かなぁと考えています。以前は食べないといちいち落ち込んだりしていましたが、3年も付き合ってると耐性がつき、今は1食くらい抜いてもいいか、くらいに思っています。

ただ体重が減っている時やあまり体調が優れないような時などは、体力を維持するためにシリンジで与えるようにしています。シリンジを有効活用することで、わたしの生活もかなり楽になりました。

ちなみに薬もシリンジで与えています。シリンジを使った投薬と給餌方法はまたあらためて紹介させていただきますね。

 

食べムラで困っている方はとても多いようで、よく耳にします。どうか少しでも参考になりますように。

 

 

ライター:福井 惠子