【老犬の介護】大型犬を家族に迎える覚悟(1)~介助が始まるまで

愛犬情報

犬種:ボルゾイ

病名・症状:眼振、後肢不具合、ナックリング

発症年齢:8歳(眼振)、11歳(後肢不具合)、13歳(ナックリング)

発症の経緯:老化

治療法:自宅ケア

 


 

我が家に超大型犬ボルゾイのメープルが来たのは、2002年。

2018年、15歳でお星様になるまで、私達の大切な大切な家族でした。

 

犬を飼うことは簡単にできます。小型犬は女性でも片手で抱っこできますし、年老いて介護が必要になった時、精神的に苦しいことは同じだと思いますが、大型犬の場合は、肉体的・体力的にも非常に大変になります。人間と同じくらいの大きさ・重さの犬は、男手がないと動かすことも容易ではありません。私が出張などで不在の際は、妻が大苦戦し腰を痛めましたし、犬の床擦れもひどくなってしまいました。

 

若き日は若き日で大変なことはたくさんありますが、そこは可愛いので何とかなります。問題は要介護になってから。半端な気持ちでは絶対に無理です。

 

ここに、私達の大切な家族であったメープルの介護記録を記しました。私達が経験したことをそのままお伝えします。

 

今、超大型犬を家族に迎え入れる検討をされている方へ。

獣医療が進歩し、犬も長生きになり、晩年は人間と同じように介護が必要になります。

ボルゾイオーナーではなくなった今、実際に自分が経験した苦労や問題点を少しずつ思い出した都度、お伝えしていこうと思います。ボルゾイならではの苦労もありました。

 

「超大型犬を介護すること」とはどんなことなのか、それを知った上で家族として迎えるか検討してください。最期まで家族でいてあげる強い気持ちと環境があるかどうか、どうか慎重に考えてください。

 

 

楽しかった成犬時代

【画像】メープル3ヶ月の頃

 

1歳の時に肺気胸で瀕死になり、私達家族も早い別れを覚悟しました。何とか持ち直してくれてからは、肺の強化をやや意識し、イタズラ防止のため運動で疲れさせて寝かせたり、部屋の温度はメープルに合わせ夏でも人間が毛布にくるまっていたくらい、とても可愛がりました。

 

超大型犬であるボルゾイの平均寿命は8歳前後。メープルはピーク時体高86㎝、体重47㎏とボルゾイの中でも最大級の大きな子でした。共に過ごせる期間を精一杯楽しもうと、ドライブやイベントに行ったり、旅行に行ったり都心に繰り出したり、可能な限り家族として同伴させ、「今」を楽しみました。

 

散歩は私が早朝に出勤前にメープルが疲れ果てるまで土手で爆走を繰り返させ、夕方は妻が犬の集会に顔を出し遊ばせ、夜は寝る前の散歩。嵐でも必ず外で走らせました。

食事は1日2回、安いドッグフード主体でしたが留守番時は勝手に冷蔵庫を漁って人間の物も食べていました。ですので、フードへのこだわりもほとんどありませんでした。良く食べ良く動き良く寝るの若き日。

 

メープルが8歳の時、不定期に眼振が出るようになり、10日ほどで治まることが年に2回ほどありました。眼振がある時は、首を傾げた状態になり歩行や食事が困難になりました。原因はおそらく脳の老化。家族2人がかりでメープルを支えながら庭に出し、腹部を刺激しトイレをさせていました。

 

超大型犬は、1人ではなかなか介護が難しく、何とかメープルの足腰を支えて介護することもありましたが、この時は「介護靴」の存在も知らず、今思えばこのタイミングから履かせて慣れさせておけばよかったと思いました。

 

少しずつ不具合が出始めているものの、メープルは私達と共に過ごしてくれました。

 

 

できないことが増えていく

 

11歳くらいの時、散歩をしていると、まれに腰が抜けたように一瞬後肢側が沈むような状態になり、それ以降少しずつその頻度が増えていきました。そして、今までは軽々と飛び乗っていたワンボックスカーの後部貨物部に飛び乗ることができなくなりました。

ここで介護用品を本格的にそろえるつもりでしたが、ボルゾイの深い胸元とクビレ、長い足に合う介護用品は皆無でした。

超大型犬サイズのサポート用品は、胸から腹部を包んで持ち上げようとしても、胸元は届かず、届いたとしても腹部がスカスカになりました。お尻だけ包んで持ち上げるタイプのものは、今度は体が薄いため、腹部を上げる動作をすると股の付け根に食い込み、1点集中で負荷がかかり内出血してしまいました。

 

結局、バスタオルをお腹に巻いて、肩手で吊るしながら散歩することになりました。おかげで私たちの腕の筋肉は散歩後は毎回限界状態でムキムキになりました。このような状態でもまだ後肢が少しでも動くので外に連れ出すことは何とかなっていました。

 

一方のメープルは、どんどん筋力が弱まり、立ち上がるのも勢いをつけてでないと難しくなってきました。幸い食欲はあったので、運動量が減ってしまった分、肥満防止のため1日1回の食事とおやつ(豚耳など)となりました。

 

そして13歳くらいで、後肢にナックリングが出始め、足首が伸びた状態で地面に擦れるため指先から出血することがありました。ここで特大サイズの介護靴を買いました。しかし靴を履かせるタイミングが遅く、すでに足首の曲がりが甘くなってから履かせたため、ただでさえ不慣れで嫌がるのに、靴の型に力が負けてしまい、常時足首が伸びた状態になり、逆に危険を伴うことになりました。靴を履いていても爪先部分を引きずりながら歩くため、靴にすぐに穴が開いてしまい、消耗品として出費もかさみました。

 

この介護靴も、超大型犬でもピレネー犬などを想定しているのか、足が細く甲の長いボルゾイの足には全く合わず、横幅がスカスカ。また靴上部の固定バンドが関節まで届かずすぐ脱げてしまうこともありました。

もしボルゾイの飼い主さんがおられたら、健康な早いうちに合う靴を探すか、オリジナル品を制作するか、いずれにしても靴に慣れさせておく方がいいと強く思います。

 

 

体の不具合と介助

【画像】メープル14~15歳の頃

 

とうとう靴をフィットさせることができないままメープルは14歳を迎えました。

バスタオルで体を支えての散歩は相変わらず続けていましたが、長時間、足が浮くくらい持ち上げ続けることは困難で、メープルの指先は流血してしまいました。テーピングでカバーしようとしても、すぐにボロボロになってしまいました。

メープルの体力が弱まっていくと、長時間の散歩はどう尽力しても困難になりました。その頃は自力で起き上がるのも時間がかかり、前肢で上半身を起こし、後肢は引きずるようにして立ち上がっていました。

水を飲む際には脚が震えだし、この時点でかなり高額でありましたが、歩行補助機をオーダーメイドで製作しましたが、歩行補助機自体がメープルのサイズですので重いこと、足腰が弱り切ったメープルを一人で補助機ににセッティングすることは難しいこと、興奮すると必ず眼振が現れたため危険と判断。結局歩行補助機は使わずにボランティア団体に寄贈しました。

【画像】ほとんど使わなかった歩行補助機

 

◎歩行中にナックリングが出始めたら、また指先から出血していたら、歩行補助機を使用することをおすすめします。

◎自力で立ち上がれる最後の段階で、床ずれ防止策を真剣に考えた方がいいです。

 

床ずれは何より痛みがひどく、自分で動くことのできない愛犬を苦しめてしまいます。また、飼い主も床ずれがあると介護の難易度が高まります。床ずれを発症すると、人間も犬も精神的にも体力的にもとても大変になります。薬代も半端ではありません。

※床ずれについては(2)で詳しく記述します

 

この頃のメープルは、前足にはまだ力があったため立ち上がることができました。ただ、少しでも自力で動けることで、不在時などにひとりで移動して玄関の段差に転げ落ちてしまい、帰宅すると逆さまの状態で糞尿まみれになっていたこともありました。正直この頃が一番気疲れしました。

 

 

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ライター:サラメー★

 

※この記事は、サラメー★さんのツイートを元に、サラメー★さん監修の元編集したものです。