ハイシニア犬(老犬)の飼い主が思う、犬が病気になった時に大切な「3つのこと」

 

犬と暮らす人にとって、パートナーが病気になってしまうのは本当に悲しくて辛いことです。できることなら自分が変わってやりたい、と思う飼い主さんも多いのではないでしょうか。

愛犬は、10歳を超えた頃から、目に見えて体の衰えを感じたり、病院のお世話になることが増えてきます。そして歳を重ねるごとに病気になってしまうリスクは高まります。

わたしはSNSを通じて、たくさんの飼い主さんと知り合うことができました。その中には、愛犬と共に大変な病気と闘う飼い主さんもたくさんいらっしゃいました。

今回は、そんな愛犬の病気と闘う飼い主さんたちが共通して感じている《愛犬が病気になってしまった時大切だと思う3つのこと》を書こうと思います。

 

 

自分が信頼できるかかりつけ病院を見つけること

 

愛犬のための病院選びは、とても重要なことです。

わたしはこれまでに病院を数回変わっています。今通っている病院の先生はたくさんの経験をお持ちで、最新医療を取り入れておられるとても進んだ病院です。その前に通っていた病院は、大学病院で長年経験を積まれた外科治療に定評のある方でした。

しかし、それ以前に通っていた病院は、根本治療でなく症状を抑えるだけ(歯が腫れている時にステロイドで腫れを抑える等)の処置がメインでした。その頃はまだ愛犬も若く、命に関わるような病気でなかったので、不安になることはありませんでした。

4年前、当時14歳の愛犬クリンが胆泥症と診断された時、「手術しないと助からないかもしれない」といわれました。担当の先生はこの手術の経験がないため、「他の病院からわざわざ先生を呼んで、この子の手術をしてもらうから大丈夫。でも麻酔のリスクは半々なので命の保障はないし、麻酔に耐えられなかったら仕方がない」といわれたんです。

実はこの少し前に、我が家の次女、ニコの乳腺腫瘍の手術をしていました。その際に避妊手術も同時に受けたのですが、手術後に請求された手術費用は、当初聞いていた金額のおよそ3倍でした。理由は、子宮に水がたまっていて避妊手術ではなくなったから、というものでした。それならそうと費用についてもう少し詳しく話をしておいて欲しかったと、思っていた矢先の出来事でした。

手術をしないといけない。でも麻酔のリスクは半々なので、ダメだった時は仕方ない。自分はこの手術をしたことがないから、他の先生をあなたのためにわざわざ呼んであげるのだから、手術しましょう…と。

正直その時、ものすごく違和感を感じました。難しい手術で、麻酔で命を落とすかもしれない。それでも手術しないと助かりませんから、わざわざあなたのために先生を呼んであげるんだから、手術するしか手はないですよ。あなたのためにわざわざ他からこの手術ができる先生を呼んであげるんだから、という部分を強調した話だったんです。

 

愛犬が何かしらの病気であると宣告されると、多くの飼い主は大きなショックを受けます。だからこそ、どうすれば治るのか、またどんな治療法があるのかを聞き、その上で納得して選択したい。それなのにこの先生は、こちらの意向を考えず、とにかく手術を受けさせようとしているとしか思えなかったのです。

大事な我が子が病気の宣告をされ、しかも死ぬかもしれないといわれてるのに、他から先生を呼んで手術するから大丈夫という話をされても、ぜんぜんありがたくないし、手術以外に治療法はないのか、と思いました。

 

不信感を持ったわたしは、自らセカンドオピニオンを申し出て、他の病院で診てもらいました。そこでは、図解で今の状態を説明してくださり、治療法についてもいくつか提案してくださいました。

胆泥症を見つけてくださったのはとても感謝しています。でもやたらと手術を勧めてくるところに「助けたい手術」というよりも「商売としての手術」ではないのかと感じてしまったのは事実です。

 

獣医さん選びについては、多くのベテラン飼い主さんから同様の話を聞きました。飼い主と相談しながら治療方針を決めてくれる、質問や不安に思うことについてきちんと説明してくれる病院でないと、何よりも大切な愛犬の命を預けることはできないと考えています。

 

 

 

薬はご飯と分けて与える

 

愛犬が元気なうちは、ご飯もパクパク食べてくれるし、薬を処方されてもご飯の上に乗せてしまえば大抵普通に食べてくれます。ところが、これがずっと続くとは限りません。

薬の中にはとても苦いものもあります。最近はペットも人間と同じ薬を処方されることがありますが、その場合体重に合わせて錠剤をカットして与えたりします。苦い薬は甘いコーティングの糖衣錠タイプが主流ですが、カットされていると断面図は薬がむき出しになり、その部分を舐めてしまった時かなりの苦味を感じます。

薬=苦いことが一度インプットされてしまうと、薬を嫌がるだけでなく、薬が仕込んであるご飯そのものを嫌がってしまうことにもなりかねません。

これは我が家でもそうですが、多くのシニア犬の飼い主さんからも同様の話をいくつも伺いました。

投薬の際には、投薬専用のおやつ投薬補助食品等を使うことを強くお勧めします。たとえ食いしん坊の子であっても、年齢と共に食べムラや食い渋りが出ることがあります。ほんのささいなきっかけであっても、それで食べなくなってしまうと、それこそ投薬も一苦労になります。うちはこれで本当に苦労しましたし、今でも薬に対する不信感をぬぐうことはできません。

 

病気を治すために薬は必要なもの。でも薬を与えることより、薬を混ぜたせいでご飯を食べなくなってしまい、結果体力を失い、危険な状態になることの方が大問題なのです。薬で大きな失敗をしてしまった経験者として、薬とご飯を分けて与えることを強く強くお勧めします。

 

 

「笑顔」と「言葉」は最高の治療薬

 

わたしの知っているハイシニア犬の飼い主さんたちが口をそろえて言うこと、それは、飼い主の「笑顔」と「言葉」は、愛犬にとって何よりも大切だということです。

愛犬の病気を嘆いてずっと泣いていると、愛犬は飼い主さんのことが心配で不安になってしまいます。犬ってわたしたちが思う以上にいろんなことを感じ取っているものなんですよね。

愛犬にとって一番安心できるのは、飼い主さんの笑顔です。大好きな飼い主さんが笑顔でいるだけで、愛犬には生きる力がみなぎります。それほど笑顔には、とてつもない力があると実感しています。

 

そしてもうひとつ、とても大切なことがあります。
愛犬にたくさん「声」をかけてあげることです。

「大丈夫だよ」「心配ないからね」「ずっとそばにいるからね」

優しく触れながら声をかけると、愛犬はとても安心した表情になります。

飼い主は愛犬が病気になると、心配で夜も眠れなくなったり、元気のない姿を見て涙を流すことも多いと思います。犬は口がきけないため、どうしてほしいのか確認することもできません。痛いのかもしれない、辛いのかもしれない…そう思うと悲しくてやりきれない気持ちになってしまいます。

ですが、そんな時こそ、笑顔で優しく愛犬に語りかけてあげて、愛犬の不安を取り除いてあげることが大切だと思うのです。

 

犬は素直で賢くて、とても勘がいい生き物です。だから飼い主の気持ちはすぐにばれてしまうんですよね。焦ったり不安になったりイライラしたりすると、それはそのまま愛犬に影響してしまうことがあります。

わたしも愛犬クリンが食べムラでなかなか食べられない時、薬を飲んでくれないことで病状が悪化するのではないか、と気が気でなく、無理に食べさせようとしていました。その結果、クリンはご飯の時間そのものがストレスになってしまい、余計に食べなくなってしまったという経験があります。飼い主に気持ちの余裕がなくなってしまうと、愛犬に大きなストレスを与えることになりかねません。

 

もし愛犬が病気になってしまったら、わたしはこの3つのことを気をつけるようにしています。特に3つめはとても効果があります。クリンが元気のない時は、いつも耳元でこう囁いています。

 

「クリンは絶対に大丈夫。もっともっと元気になるし、ご飯もいっぱい食べられるよ。」