わたしはアメブロを通じ、ライターの奥村さんと知り合いました。
奥村さん家には、我が家の愛犬クリンよりも1歳年上のMackくんがいました。Mackくんと奥村さんは、幾度も襲ってくる恐ろしい病魔と闘い、わたしがブログの読者になった時は、ちょうどMackくんが前庭疾患を患い、ほどなくして膵炎を発症し、奇跡的に復活した後に歩行困難になった頃だったと記憶しています。
膵炎で入院している時に座ることも立つこともできなくなり、無事退院した頃には完全寝たきりになってしまったMackくん。そんなMackくんに約1年間ずっと付き添い、昨年の10月に18歳4ヶ月で見送られました。
Mackくんとの絆
奥村さんは、小学生の頃にMackくんを家族に迎え、弟としてMackくんを可愛がっていました。
一時家庭の事情により、Mackくんと離れて暮らしていたそうですが、結婚し妊娠中に里帰りをした時にMackくんを迎えにいき、それからずっと一緒に過ごしていたそうです。
Mackくんと共に過ごすようになり、ほどなくして奥村さんは母になりました。赤ちゃんだった娘さんはどんどん成長し、それまではMackくんが娘さんのことを見守っていたのが、立場は逆転していったそうです。
成長していく娘さんと、年老いていくMackくん。できることがどんどん増えていく娘さんと、少しずつ少しずつ体に変化が出てくるMackくん。Mackくんが小さなパピーの頃からずっと一緒に過ごしていた奥村さんは、とても切なかったそうです。
みんな平等に歳をとり、平等に老いていく。当たり前のことですが、奥村さんは、家庭の事情とはいえ、一時Mackくんと離れていた時期があったため、Mackくんの体に不具合が出ると、自分のせいかもしれない、と自分自身を責めたそうです。
不眠不休の介護生活
少しずつ少しずつ、Mackくんの体を蝕む病。
前庭疾患を発症してからのMackくんは、それまで自由に動けたはずの体が不自由になり、とても辛そうだったそうです。そして、辛そうなMackくんを見ている奥村さんは、どうすることもできない自分を責めたそうです。
当時のブログには、何もできない自分を責め、不自由な体で排泄さえも自分でできなくなってしまったMackくんを受け入れることに必死な奥村さんの心の叫びが書かれていました。
認知症のような症状も出始め、夜鳴きをするようになってしまったため、ご近所に迷惑にならないよう、夜もほとんど不眠でドライブに連れ出したり、抱っこしてなだめてみたり…
小さな子供がいながら、夜は眠れない生活をずっと続けている中、それでもなんとかMackくんが気持ちよく快適に過ごせるようにと様々な工夫をされていました。
まだ20代の奥村さんが、子育てと介護を両立している姿に、こちらまで心が締め付けられるような思いでした。
愛犬と共に病と闘う飼い主の心の声
寝不足で疲労困憊の中、それでも介護は休めません。ワンワンと鳴き続けるMackさんを前に、泣いてしまうこともあったそうです。そんな中、娘さんとの会話の中で、「犬の十戒」のことを、今のMackくんの気持ちになって考えたそうです。
その時にできたのが、「老犬の十戒」です。
犬の十戒は、作者不明です。今ではいろんなサイトなどで紹介されていて、たくさんの方がご存知だと思います。
奥村さんは、介護が必要になった愛犬を前に、自分自身が日頃感じている「介護する側の辛さ」ではなく、本当は今まで通り自分の足で歩きたいであろう、自分の力で排泄したいであろうMackくんの気持ちになり、そこで改めてMackくんの辛さを実感したそうです。
我が家にも老犬がいます。老犬は、今まで当たり前にできていたことが、気づいた時にはできなくなっていたりします。
正直、我が子同然の愛犬が年老いていく姿はとても辛いですし、現実逃避したくなることもあります。でも、介護は待ってくれません。だから、この「老犬の十戒」をブログに書かれていたのを読んだ時、心が締め付けられるようでした。
老犬の介護をしている飼い主さん、また愛犬の病気と共に闘っている飼い主さんに、ぜひ知っていただきたいと思い、紹介させていただきました。
辛いのは、介護しているわたしたちよりも、きっと介護されている愛犬の方なのかもしれません。
奥村來未さんのブログ記事:老犬の十戒
ライター:福井 惠子