【ヘルニア予防】専門家に聞く!愛犬のヘルニア予防のために飼い主がすぐに実践できること(1)

愛犬が若くて元気な頃は、まったく考えなかった「歳をとる」ということ。

歳をとると、いろんなところにいろんな不具合が出始めます。どれだけ気をつけていても、どこかしらに何か出てくるのが「老化」です。

中でも足腰に不具合が出ると、飼い主の負担はとても大きくなります。自分の足で歩けなくなった愛犬を見るのはとても辛いもの。

病気で歩けなくなってしまったのは仕方ないですが、予防できることもあります。

我が家の愛犬も、寝起きなど後足のふらつきがみられることがあります。楽しそうに走る姿を見ていると、少しでも機能を長く保ってあげたいと思います。

シニアになっても、自分の足で歩き、大好きなお散歩を続けられるよう、愛犬の足腰を守るためにできることを紹介させていただきます。

 

 

手術ってそんなにかかるの!?

 

足腰の不具合と聞いてまず思い浮かべるのが、椎間板ヘルニア(以下ヘルニアと表記)です。ダックスやコーギーは、胴長短足の体型により腰に負担がかかりやすいため、発症する率が高いそうです。

ヘルニアになる原因は、老化や太りすぎ、激しい運動で椎間板に負荷がかかってしまうことなどが挙げられます。

犬は運動が大好きな動物です。足腰が悪くなってしまうと、大好きなお散歩に行けなくなりますし、何より痛みが伴う傷病のため、辛そうにする愛犬をみるのは飼い主としてとても悲しいことです。

そして、医療費もかかってしまいます。大手ペット保険会社が、2016年に支払った事案を集計したペットの手術ランキングを発表されていたので紹介させていただきます。

出典:2017年ペットの傷病ランキング | ペット保険のアイペット損保

 

特筆すべきは金額です。ヘルニアは手術数では7位ですがトップ10中金額は1位です。手術費用が高額になるのは、医療機器の発達や技術の進歩などによるそうですが、もし手術で治るのなら何とかしてあげたいと思いますよね。

いくらヘルニアを予防したいと思っても、愛犬のすべての動きを飼い主さんがコントロールすることは不可能です。高いところから飛び降りたり階段を行き来したり、飼い主さんがどれだけ気をつけていても、どうすることもできないこともあります。

できれば最期の時まで自分の足で歩いてほしいというのは、どの飼い主さんも思うことだと思います。重度のヘルニアになってしまうと、歩くことができなくなってしまうことも。そして医療費も結構な額になります。ここでは手術費用だけをピックアップしていますが、実際は手術前後の診察など、もっと医療費がかかってしまいます。

大切な我が子をヘルニアから守るために、「ヘルニアの注意信号」と、飼い主さんがすぐに実践できる「愛犬のヘルニアを予防」するためにできることを紹介させていただきます。

 

 

こんな症状は要注意

 

症状1.抱っこを嫌がる

抱っこをすると嫌がる素ぶり(歯を剥く、キャンと鳴くなど)があると、ヘルニアの可能性が高いです。突然抱っこを嫌がったりすることがあれば、可能性大です。

症状2.歩き方がおかしい・足がもつれる

後足を引きずったり、足がもつれたり、腰がフラフラ揺らして歩いたりしている場合もヘルニアの可能性があります。痛みがあると、どうしてもかばってしまうため、動きが鈍くなったりすることも。

症状3.反応が遅い・すぐに立ち上がれない

強い痛みが出ていると、動くこと自体を躊躇するようになることも。その場合、腰回りを触られることや、少し体を動かそうとすることも嫌がります。

症状4.排泄がうまくできない

この場合、神経障害が出ている恐れもあります。下半身の感覚が麻痺していることもあるそうです。この症状が一番重症で、完治は難しい状態かもしれません。

ヘルニアは、痛みを伴う傷病です。言葉を離さない愛犬は痛いといえないため、普段の仕草や行動を見てあげることが大切になります。

 

 

その習慣、見直してみよう

 

日々の習慣で、愛犬の足腰に負担をかけていないか、確認することも大切です。飼い主さんが少し気をつけてあげることで、大切な愛犬の体を守ることができます。飼い主さんの日々の習慣をぜひチェックしてみてください。

☑抱き上げる時、脇の部分を持ち上げる

☑抱っこは縦抱きだ

☑出かける時はスリングを愛用している

☑縦型の抱っこ紐(おんぶ紐)を使っている

 


 

実は、これらすべて愛犬の腰に負担がかかるといわれています。

 

抱き上げる時に脇の部分を持ち上げる。これは抱き上げる時に、後足で立たせる体勢になります。これを続けることで、腰に大きな負担がかかってしまいます。

 

抱っこは縦抱き、これも腰に負担をかけてしまいます。腰が悪い愛犬を縦抱きされている方もよく見かけます。肩に上半身を載せる抱き方も、腰に負担がかかることと、犬に自分がえらいと勘違いさせるという理由でやめた方がいいといわれています。

 

出かける時はスリングを愛用している飼い主さんは多いと思います。うちでも買い物に行く時には便利でつい使いたくなりますが、スリングは体を包み込む形状で柔らかい布を使っているため、犬が上から顔を出すと、全体重が後足にかかる体勢になってしまいます。またその体勢のまま不安定になるため、余計に負担が大きくなります。

 

縦型のおんぶ紐、ビジュアル的には赤ちゃんみたいでとても可愛らしいですが、犬にとっては非常に負担のかかる体勢となるため、絶対にやめた方がいいです。

 

 

ドッグケアマネージャーから聞いた「犬の体を守るために大切なこと」

 

ドッグマッサージ・ペットケアマネージャーの講師であり、長年ドッグケアに携わっておられる今井先生に話を伺いました。

 

今井 みゆり先生

 

老犬訪問介護・ドッグマッサージ リアノン代表

2008年よりドッグマッサージセミナーを始め、2010年より4年間、ペットケアサービスレッツにてペットケアマネージャー養成講座の講師及びマッサージケアに従事。2012年、中部地方初のペットケアマネージャー認定を受ける。現在静岡・中部地方にて老犬訪問介護、病中病後ケア、リハビリ支援、ドッグマッサージなど、ペットケアマネージャーとして活動。

老犬訪問介護・犬のリンパマッサージ・リハビリケア やさしい手*リアゾン

老犬介護・犬のリハビリ・しつけ レッツ


 

わたしが一番初めにドッグマッサージを教えていただいた先生から、「犬の姿勢」「地に足をつける」ことの大切さを学びました。

犬は4本足です。その姿勢が一番自然で、体に負担のかからない体勢であるため、「犬にとって自然な姿勢をキープすること。それが愛犬の健康は勿論、気質にも大きな影響を与えている」と。

ですので、自然な体勢を保てる形で抱くことは、犬の足腰を守るためにとても大切です。飼い主さんからたまに聞かれることがありますが、スリングは体にかなり負担がかかるため、やめたほうがいいです。そして愛犬が歩ける場合は、極力抱っこせず、地に足をつけさせるのが一番効果的です。


 

今井先生に、愛犬の足腰に負担のかからない抱き方をご教授いただきました。こちらは ❝専門家に聞く!愛犬のヘルニア予防のために飼い主がすぐに実践できること(2)❞ にてご紹介させていただきます。