命を預かるということ~飼育放棄の放置子からうちの子へ

我が家の新しい仲間、ベリーは保護犬。約1年半、育児放棄された放置子でした。

今日は放置子からうちの子になるまでのお話をさせていただきます。

放置子からの脱却

2013年12月、警察から保護した捨て犬のアメリカンコッカースパニエルの里親さんを探していた時、たまたま連絡した親戚の知人の方から「うちの子を引き取ってほしい」との依頼がありました。

12月31日に、親戚に連れられてベリーを連れて母の家に来られました。

話を伺うと、看護師さんをされているシングルマザーの方で、お子さんがどうしても犬がほしいと半年粘られて、根負けして迎えたのがベリーだということでした。

最初はお子さんたちもかわいがっていたそうですが、ほどなくして飽きてしまい、それと同時にお子さんのアレルギーが発覚し、以来ほぼ誰も入らない暗い部屋に設置した小さなサークルに閉じ込められ、そのまま約1年半ほど放置されていたそうです。

初めてベリーを見た時、まだ2歳に満たない子とは思えないほど全く表情のない、すべてをあきらめたみたいな顔をしていました。

ベリーが初めて来た日に撮影した画像。目に光がなく、なでようとしても逃げて触らせてくれません。ガリガリに痩せこけて毛艶もなく、爪は完全に巻いて肉球に当たっていました。

引き取り~母の家の子に

元飼い主さんに、どのような状況だったのかを伺いました。

・ごはんを食べないからたまにおやつをあげていた

・サークルに入れてからは外に出していない

・予防注射は打っている(ドヤ顔)

・高かった(知るか)

言葉を失いました。命をなんだと思っているのかと呆れました。

大真面目に語る元飼い主さん。予防注射のくだりを詳しく聞いたところ、ペットショップから迎えた時に一度だけ注射を打っただけで、その後病院に行っていないのに、ドヤ顔で「打っている」と言い切る。無知ってこわいです。

とりあえず引き取って里親さんを探すこと、そして二度とペットを飼わないと約束してくださいと伝え(元飼い主さんは子供のせいにしていましたが)、お帰りいただきました。

(元飼い主さんはずっと罪悪感があったのだと思いますし、かわいそうだと思う気持ちがあるだけまだマシではあるんだと思いますが、一生罪悪感に苛まれていてほしいです)

コッカーはすぐに里親さんが決まりましたが、里親さんのご都合で1ヶ月ほど我が家で預かりをすることになっていたため、母のところで預かってもらって里親を探そうと思っていたら、母が「わたしが飼う」と言い出しました。

母は仕事をしており留守にする時間が長いため、本当に面倒をみれるのか何度も確認しましたが、どうしても自分が引き取るというため、母の家の子となりました。

そして悲しい過去を忘れるために新たな名前をつけることに。「ベリー」と命名しました。

ベリーは生まれてからほとんどの時間をひとりで過ごしていたため、ひとりで過ごすこと自体は苦痛ではない様子でした。むしろたくさんの人や犬がいる方がストレスを感じてしまうようでしたので、母の家でリハビリができてちょうどよかったのかもしれません。

無表情であきらめたような顔でしたが、日中はお留守番、夜は母と一緒に寝る生活を過ごすうちに、少しずつ表情が和らいできました。

愛情をかけてあげるとこんなにも変わるのかと実感しました。

母のところには、その後数回元飼い主さんから連絡があったそうです。

放置していたくせに急に気になるのか、本当に理解できませんが、母は「幸せに暮らしています」と伝えたら連絡がこなくなったそうです。

そしてうちの子へ

母の家の子になり約10年。母の住むマンションをリフォームすることになり、我が家でベリーを預かることになりました。

2024年6月5日、ベリーを迎えに行きました。

約1ヶ月預かる予定でしたが、母も高齢であること、ベリーがハイシニアになること、我が家もみのすけだけになったこと、みのすけにも慣れてきて普通に過ごせていたこともあり、そのままうちの子になりました。

母はさみしそうでしたが、ベリーの年齢的にもうちの子でいた方が幸せだということでなんとか納得してもらいました。

うちにきてすぐはみのすけが怖かったのか、寝床代わりにしていた自分のキャリーに入っていましたが、みのすけが優しいことに気づき、少しずつ距離が縮まりました。

ほどなくしてキャリー以外の場所でも寝るようになり、徐々に本領発揮。

まったく吠えないおとなしい良い子ちゃんだったベリーは、超凶暴で暴れん坊でわがままで気に入らないと唸る、掃除機に吠えながら挑む立派なチワワらしいチワワに成長しました。

みのすけがくわえたおやつを飛びかかって強奪しようとする傍若無人ぶり。おとなしくて優しいみのすけは、ベリーがいると避けて通るくらいビビッてますが、ベリーはどこ吹く風。小さいくせに堂々としております。

我が家はみのすけが一番なので、ベリーも優先順位は理解していますが、おやつは我慢できないようです笑。

ちなみにわたしは3回噛まれました(一番お世話してかわいがっているのに涙)。

12歳からのしつけはなかなか大変でしたが、母のところでは失敗していたトイレもちゃんとでき、あまり食べなかったドッグフードもしっかり食べるようになりました。

命を預かるということ

ペットは、人間の都合で捨てられたり放置されたり、病気でも治療をしてもらえない子がいると聞きます。

ペットを迎えるということは、命を預かるということです。ですが動物は、人間の都合で命を粗末にされることも多々あります。

命を預かるということは、その子の一生に責任を持つということ。

それほど重く、責任重大であると考えます。

ハイシニアになると、若い時は考えられなかった不具合が出てきます。病気になると医療費がかかります。医療費は非常に高いこともあります。

ちなみにうちでは過去すべての医療費を合算すると、中古のマンションくらい買えます。

知人の方は、愛犬が旅立つ月は1ヶ月の医療費が100万円越えだったそうです。

調子が悪くなると気軽に外出などできません。粗相もするし嘔吐もします。新しいラグをその日のうちに汚されるなんて当たり前。家や家具も破壊されますし、大切にしているものをむちゃくちゃにされることもあります。

犬は人間の赤ちゃんと同じで、それがダメなことだと知らないから、目の前にある興味のあるもので遊びたくなるのは仕方のないことです。

人間の思うように過ごしてくれるなんて思ったら大間違い。育児と同じで、根気強く何がよくて何がダメなのかを教えてあげる必要があります。

「かわいいから」「流行っているから」では必ず後悔します。命を迎えることは、相応の覚悟が必要です。

この子たちを最高に幸せにする覚悟を持ち、自分にできることは精一杯やる。これが命を預かる責任だと考えます。

ベリーがうちに来て約2年、今では立派なマザコン犬になりました。誰よりも噛まれましたが、一番信頼されていると感じますし、ずっと「なでて」「触って」と要求されております。

噛む前に少し躊躇しているそぶりをみせるようになり、威嚇だけで噛むことも今のところありません。

気が強くでわがままで凶暴なのが本来のベリーの性格なんだと思います。そう思うと、(たとえ噛まれたとしても)自由にのびのびと過ごせていることがとてもうれしいです。

たくさんの幸せをくれるこの子たちが、みんなみんな幸せでありますように。

不幸な子がひとりでも減りますように。

ライター:福井 惠子